第63回 7年目11月SPZタッグリーグ戦
11月シリーズ「SPZタッグリーグ戦」が始まった。出場チームは下記8チーム。
・ 南姉妹
・吉田龍子、新咲祐希子組(SPZタッグ王者)
・ 秋山沢崎(一期生同時入門)
・ 草薙みこと小川ひかる(前回優勝)
・ 永沢舞、富沢レイ
・伊達遥、保科優希(一期生コンビ)
・ ナスターシャ・ハン、マリア・クロフォード(EWA代表)
・ ウェイン・ミラー、カレン・ニールセン(EWA代表)
上原今日子と渡辺智美はケガのため欠場。
初戦の大阪城大会前、今野社長は選手全員を集めてゲキ。
「えー、うちの会社は2億7千万、借金をしました」
動揺が走る。
「来年4月に寮の移転を行いますので、その建設資金に10億かかります。7億ちょいは手持ち資金で出しましたが、あとの2億7千万は借金しました。で、3ヶ月以内、来年の2月末までに完済しないと会社がつぶれます。皆様一生懸命ファイトしていただいて会場を埋めてください。よろしくお願いいたします。みんなの力を貸してください」
選手の間にはじめは動揺が走ったが、小川選手会長が「私は社長を信じています」とフォローしたので、選手の士気はむしろ上がった。
(このゲーム、金溜め込んでると空き巣イベント起こっちゃう)
メインは満員にするために組んだ吉田龍子対伊達遥のシングルマッチ。伊達が殺人ヒザ魚雷を乱発し、吉田をマットに沈めた。
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2戦目の浜松大会からタッグリーグ戦がスタート。
伊達、保科○(2点)-カレン、ウェイン×(0点)
伊達のアシストを受けた保科がドラゴンスリーパーで決めた。
南、H南○(2点)-草薙、小川×(0点)
ハイブリッドのアキレス腱固めが極まってしまい、小川ギブアップ。前年優勝チームが黒星発進・・・
沢崎秋山○(2点)-永沢×、富沢(0点)
穴のないチーム。沢崎秋山が分断に成功、最後は孤立した永沢を攻め立て、秋山の「ひっさつ?」DDTで決めた。
吉田○、新咲(2点)―ナスターシャ×、クロフォード(0点)
SPZタッグ王者チームは白星発進。
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3戦目は千葉幕張大会。
ナスターシャ、クロフォード○(2点)ーウェイン×、カレン(0点)
草薙○、小川(2点)-伊達、保科×(2点)
草薙が手堅く保科を仕留めた。
秋山沢崎○(4点)―南、H南×(2点)
秋山沢崎が2勝目、沢崎がジャーマン2連発でハイブリッドを沈めた。
吉田○、新咲(4点)―永沢、富沢(0点)
吉田がキャプチュードで富沢を撃沈。
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第4戦は新潟大会。
ナスターシャ○、クロフォード(4点)―伊達、保科×(2点)
保科が伊達につなぐ前に外人組に集中攻撃され撃沈。
永沢、富沢○(2点)-ウェイン×、カレン(0点)
永沢が投げまくって大ダメージを与え、富沢が延髄斬りでトドメ。
草薙○、小川(4点)-秋山×沢崎(4点)
沢崎が小川を捕獲してタイガースープレックス、合体パワーボムであと一歩まで追い込むが小川はするりと逃げて草薙にスイッチ。草薙がいつものパターンで秋山を追い込み、草薙流兜落としで万事休すかと思われたが秋山冷静にロープブレイク。しかしー
―小川さんっ!アレいきましょう!
サッとリングインした小川がふらつく秋山を肩車で抱え上げて、草薙がコーナー最上段からラリアット。ダブルインパクト炸裂。
まっさかさまにマットに転落した秋山は無念の3カウントを聞いた。27分53秒の好試合。
吉田○新咲(6点)南×、H南(2点)
南姉妹、吉田のパワーの前に撃沈。フィニッシュは合体パワーボムだった。
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第5戦は長野大会。
永沢○富沢(4点)-伊達、保科×(2点)
穴のあるチーム同士の対戦は、永沢がスープレックス乱発で保科を仕留めた。
南、H南○(4点)-カレン、ウェイン×(0点)
ハイブリッドのネオ・サザンクロスロックが決まりウェイン・ミラーはたまらずギブアップ。
沢崎○秋山(6点)―ナスターシャ、クロフォード×(0点)
秋山沢崎がクロフォードに的を絞り勝利。
吉田○新咲(8点)-草薙、小川×(4点)
つなぎの達人小川、きょうは相手チームの猛攻をさばききれず、吉田のムーンサルトに撃沈・・・
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第6戦は岐阜大会。吉田組が破竹の5連勝。
南、○H南(6点)―永沢、富沢×(4点)
草薙、○小川(6点)―ナスターシャ、クロフォード×(4点)
沢崎○秋山(8点)―伊達、保科×(2点)
吉田○新咲(10点)―ウェイン、カレン(0点)
第7戦は名古屋大会。
南、○H南(8点)―ナスターシャ、クロフォード×(4点)
南姉妹3連勝。ハイブリッドのネオサザンが猛威を振るう。
沢崎○秋山(10点)-ウェイン、カレン×(0点)
草薙○、小川(8点)-永沢、富沢×(4点)
草薙流兜落としが炸裂。
吉田○、新咲(12点)-伊達、保科×(2点)
「おらぁっ!」
吉田龍子のラリアットが保科優希を吹っ飛ばす。大先輩に対しても容赦なし。
「ぶーぶーぶーぶー」
「人でなしーっ!」
吉田の保科に対する遠慮ない攻撃に館内大ブーイング。優勝を狙う吉田組はやはり保科に的を絞るのがセオリー。普段は第1試合で会場を温める仕事をする保科がメインで奮闘するも吉田のデンジャラスキックに力尽きた。
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最終戦は横スペ大会。超満員の盛況。全勝の吉田組を1敗の秋山沢崎が追う展開。最終戦メインで両チームの直接対決。秋山沢崎が優勝するためには2連勝しなければならない。
ナスターシャ○、クロフォード(6点)-永沢、富沢×(4点)
EWAコンビが有終の美。富沢は永沢につなぐ前にナスターシャのアキレス腱固めに力尽きた・・・このコンビけっきょく2勝どまり。
南 ○H南(10点)―伊達、保科×(2点)
ネオ・サザンクロスロック発動。保科たまらずギブアップ。南姉妹は10点でリーグ戦終了。
草薙○、小川(10点)ウェイン×、カレン(0点)
草薙がEWAの中堅どころ2人を問題にせず。前年優勝の草薙組も10点でリーグ戦終了。
沢崎○秋山(12点)―吉田、新咲×(12点)
沢崎秋山が一期生の意地を見せた。吉田が有利に試合を運ぼうと考えたのか、早い段階で秋山沢崎に1発ずつスプラッシュマウンテンを見舞うも、秋山沢崎両者とも驚異の粘りを見せ、逆に吉田に着々とダメージを与えて新咲を引きずり出し、
吉田ほど強くはない新咲に集中砲火を浴びせ、最後はこのリーグ戦初公開のダブルインパクト!
「アーーーーッ!!」
悲鳴とともにまっさかさまに転落する新咲。
こんなの新咲は受けきれるはずもなくカウント3を聞いた・・・この結果両チームが12点で並んだので優勝決定戦。館内「もう1試合見られる!」大喜び。
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「マジっすか・・・」戻った控室で横になりながら秋山が漏らす。
両者とも26分の激闘のダメージ、そして吉田のスプラッシュマウンテンを一発ずつ食らって息も絶え絶え。そんななかもう1試合闘わなければならない。彼女たちも2試合やることは覚悟していたが、こんなズタズタの状態で2試合目に臨むとは思っていなかった。とりあえず20分間のインターバルは横になってダメージの回復を待った。
―こんなハードな試合を2試合やれなんてひどい話。・・・みんなあのパワー女が悪い。回復力なら16、17歳のあいつらが21歳のうちらよりどう考えても有利。でもあたしらにはこの団体をここまで引っ張ってきた誇りと経験がある。ビールで乾杯できない未成年の5期生6期生コンビに優勝賞金さらわれてたまっか。
秋山美姫はSPZタッグリーグ戦に過去4回出て4回とも準優勝という結果である。(パートナーは伊達が2回、沢崎が2回)
「伊達さん、」秋山が不機嫌な顔で言う。
「な、なに・・・?」
「猛然と腹が立ってきたわ。あいつらはり倒してくるから、ビール用意しといて」
「あ、もう用意してあります~、社長指示で5缶ほど買いました~」
保科がテーブルの隅を指さす。乾杯用の「スーパードライ」が用意してあった。(吉田組の控室にもスポーツドリンクを5缶ほど届けたのだがそれは言わないでおいた)
一方の吉田新咲はもっと深刻。吉田はまだまだいけそうだが、ダブルインパクトを食らった新咲は半失神状態でセコンドの力を借りながら控室へ戻った。
「ゆっこ、もう1試合やれるか?」
「あうー」
「優勝したらカレー食いに行こうな、横須賀に海軍カレーのうまい店あるんだ」
「あ、カレー・・・」
「・・・やばいな・・・」
リング上では小川ひかると井上秘書、今野社長の急造トークショー。話す内容を決めていなかったので会場はダレた。
「もつれた責任の一端は秋山さんチームに勝っちゃった私たちにもあるんですけど(会場笑い)こうなったら決定戦はおなじ1期生の沢崎さん秋山さんに勝って欲しいと思います」
午後8時30分、いよいよ優勝決定戦のゴング。重い足取りで秋山沢崎が入場。次いで吉田、新咲が入場。館内大盛り上がり。
新咲はやはり足元がふらついていたが、必死にドロップキックなどで手数を返し吉田にスイッチ。吉田のパワー殺法、個々の力ではかなわないが、秋山組は早いタッチワークと連係攻撃でうまく対応するがー
吉田のスプラッシュマウンテンが形勢を一変。大ダメージを食らった沢崎、動けなくなった。すかさず吉田がムーンサルトプレス、カウント2.5で返されてもう一発コーナーに上がってムーンサルトプレス。秋山がカットに入ろうとしたが新咲が抱きついて離れない。重爆ムーンサルトを2連発で食らった沢崎は動けず、無念の3カウントを聞いた・・・
決定戦の勝負タイムは15分24秒、5期生6期生チームが優勝をさらい、賞状、金一封と「デジタルカメラ」が贈られた。準優勝の秋山沢崎にも賞状と「マイナスイオンドライヤー」が贈られた。
「これも努力の結果というところかな・・・」
「まさか優勝できるなんて・・・すっごくうれしい!」
一方の一期生側控室。
「はぁぁ・・・」
「ゴメン、美姫」
秋山沢崎は3年連続準優勝という結果。準優勝は賞品もしょぼい上に賞金が出ないのであまりおいしくない。一期生テスト組の名タッグといわれていてもリーグ戦では優勝できない。連係がいくらよくても個々の力が下だと勝てないのかな・・・
用意されたビールは保科が気を利かせたのか、どこかへ消えていた。
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