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2007年3月24日 (土)

第66回 上原今日子、悲願のSPZベルト初戴冠

SPZの2016はお正月、1月5日の新日本ドーム大会からスタートした。男子団体の最大手のドーム興行の翌日で「男対女のドーム興行戦争」と騒がれたが、無事に超満員札止めとなった。

第2試合は小川ひかる、富沢レイの「関節技使い同士なんだけど普段はあまりタッグを組まない2人」と、マリア・クロフォード、ウェイン・ミラーのEWA軍が激突。4人とも極め技を得意とするので、試合はレスリングの奥深くへ入り込み、30分タイムアップドロー。お屠蘇気分を吹き飛ばす激闘に5万人超の観衆は拍手を送った。

「はー、1期生のあたしたちがドームで休憩前なのねぇ」

今回の目玉は「死闘!3大シングルマッチ」なので、秋山沢崎のタッグチームは割を食って、第3試合での登場。それでも相手はドリュークライ、ユーリ・スミルノフのEWAの強豪である。連係プレーで勝った秋山沢崎が有利に進め、最後は沢崎が必殺のタイガースープレックスでスミルノフを仕留めた。ここで休憩。

休憩明けの第4試合は伊達遥対ハイブリッド南のシングルマッチ。今回は南利美、新咲祐希子はヒザの負傷で欠場。なので後半はシングルマッチを3連発というカード編成。

―とうとうここまできた。

ハイブリッド南は心中期するものがあった。雑誌や新聞で見た、姉さんを何度もボコボコにした張本人が目の前にいる。やっとシングルで戦えるところまでポジションを上げてきた。

だが伊達もこういうときは怖い。ハイブリッドは関節技を狙うのだが伊達はロープ際で闘って、絶好機をつくらせない。逆にハイブリッドが徐々に追い込まれて、

がすっ!

鋭いSPZキック一閃。

「なっ・・・・」

前のめりにマットに崩れ落ちる。ハイブリッド南はこの一撃で動けなくなった。18分16秒、フォール負け。

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セミファイナルは草薙みこと対吉田龍子。元SPZ王者同士の戦い。次の挑戦権のことを考えるとお互い負けられない。しかし試合中に突如吉田が足首を痛めるアクシデント。異変を察知した草薙がサッとコブラツイストを決めてギブアップを奪った。勝負タイム13分1秒。やや不完全燃焼な試合だった。

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メインは永沢舞対上原今日子のSPZタイトルマッチ。

3期生の上原、SPZの中で人気実力ともトップクラスなのだが、絶対的な大技がないことと、追い込まれるともろい面が災いして、SPZのベルトに縁がない状態が続いている。が、今回挑戦する相手は過去のシングル戦績では分のいい永沢なので、上原はチャンスと考えベルト獲りに挑んだ。伊達とのコンビを解消して団体のトップを狙ってからは思い通りに行かない苦難の日々が続き、1期生2期生の伊達草薙といった化け物連中には勝てず、後輩の永沢、吉田にSPZベルト獲得では先を越されていたので、このチャンスは絶対ものにすると入れ込んでいた。

「かわいそうだけどこれでおわリッ!」

中盤、上原がフライングニールキックで勝負に出る。しかし永沢もノーザンライト、ジャンピングニーで反撃。

「これでどうだ!」

上原がドラゴンスリーパーでしめあげる。鍛え上げられた腕が永沢の意識を漂白してゆく。永沢はかろうじて右足をロープにかけたがぐったりとしていた。

―詰めを間違わなければ、勝てる。

上原は長年の得意技、フェイスクラッシャーで永沢の顔面をマットに叩きつける。躍動感あふれる攻撃だ。

ワン、トゥ・・

しかしニアロープ、良く見ていた永沢がサードロープに足をかけた。意識もうろうとする中永沢は必死にタイガードライバーで反撃。

これをカウント2でクリアした上原はすばやく組み付いて、右腕で永沢の首を、左腕で永沢の左足をフックしてそのまま担ぎ上げてさらにジャンプを加え、永沢を頭からマットへ突き刺した。上原があまり見せない奥の手、フィッシャーマンバスターが炸裂。これで永沢の意識は闇に落ちた。

「ワン、トゥ、スリッ!」

阪口レフェリーの手が3つマットを叩いた。

「ヨッシャー!」

勝負タイム24分44秒、第15代王者誕生。男女問わず幅広い上原ファンの声援がドームを震わせる。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

○上原今日子(24分44秒、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め)永沢舞×

第14代王者が初防衛に失敗、上原今日子が第15代王者になる

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今野社長からベルトを受け取る上原、しかし上原はベルトを腰に巻かずに肩にかけた。

「今日は、ファンの皆さんのおかげで勝てました。応援ありがとうございました。でも、自分の中では、伊達さんに勝って、真のチャンピオンだと思っていますので、来月、伊達さんに勝ったときにベルトを巻きたいと思います」

かつてタッグを組んだときに伊達遥の恐ろしさを存分に見ていて、この人に勝たない限りはチャンピオンの資格はない、そう考えていた上原なりのこだわりであった。

「いやかいせつの小川さん、ますますこの団体のトップ争いは混沌としてきましたねぇ」

「そうですね。伊達さん、草薙さん、吉田選手、今戦った永沢選手と上原選手。この5人は試合の流れ次第でいつチャンピオンになってもおかしくないですから。これからハイブリッド選手や新咲選手も割って入ってきますから、これからもっとこのリングは面白くなりますよ」

「ありがとうございました、かいせつはSPZの「関節キラー」小川ひかる選手、実況は私、森がお送りいたしました」

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試合後の青コーナー側控室。

「かんぱーい」

5日前に20歳になったタイミングでベルトを獲ってしまうタイミングのよさ。上原はカップに注がれたビールに少しだけ口をつけた。

「今日子ちゃん、おめでとう!」

秋山沢崎がビールを上原に頭からかける。

「ぶっ、ちょっと、目に・・・入って」

「いっぺんこれ後輩にやってみたかったのよ、でも草薙さんイメージ的にあわないし、未成年の選手にやったらアレだから」

「上原さん・・・その・・・来月・・・たぶん横浜で当たると思うんだけど・・・よろしく・・」

伊達が祝福の言葉?をかける。

「はい、今度こそ負けませんからね。そのために練習してますから」

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1月シリーズは最初にドーム大会があって、そのあと地方をサーキットする展開。最終戦は山梨カイメッセ大会。メインは上原今日子対秋山美姫のカード。昨夏のSPZクライマックスでは不覚をとっている相手だったので上原はガンガン攻めて、関節大逆転の隙を与えぬまま攻めて、ジャーマンで秋山を葬った。

「伊達さんに勝つまでは負けられませんよ」

こうして1月シリーズは幕を閉じた。

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「今のままじゃいけないかなって思うんです、私もう強くなれないんでしょうか・・・」

さすがに明るい永沢も、SPZベルトを2回も手に入れながら翌月に他人に明け渡すとあっては落ち込む。社長はなんとか永沢を励ました。

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コメント

上原さんついに・・・!おめです。

 ですが永沢が・・・

 永沢には結構思い入れがあるので寂しいです。

N様こんばんわ、上原さんは評価値の割に観戦すると勝率の低い人ですので、1回はベルトを取らせてあげたいと考えていましたのでホッとしました。
上原さんがベルトを取ったのはこの1回だけですが、永沢さんはこの先も恐怖の投げ技で何度も王座返り咲きを果たします。
吉田さん草薙さんは「化け物だ」と思ってますが、永沢さん上原さんは全盛期でも時々コロッと負けるので、ある意味人間らしくて応援にも力が入ります。
次回、「横浜決闘」です。このリプレイ最大の山場です。

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