第59回 第7回SPZクライマックス(後編)
前回のあらすじ
横浜に本拠地をもつお嬢様プロレス団体「SPZ」はが毎年8月に開催するシングルリーグ戦「SPZクライマックス」、第7回大会の今年は団体のスーパースターたちが名勝負を繰り広げ、連日星のつぶしあい、意地のぶつかり合いが展開された。が、今年も前半戦を終えた時点で全勝をキープしたのは3連覇を狙う「最強巫女伝説」草薙みことであった。はたしてこの投げ技怪人を止める選手は出てくるのか・・・
第5戦は神戸大会。8000人超満員札止め。
伊達○(6点、殺人ヒザ魚雷からの片エビ固め、18.07)秋山(4点)
伊達が危なげなく秋山を仕留めた。
永沢○(2点、JOサイクロン、10.46)南(0点)
いまだ白星がない両者の闘い。南いいところなく永沢のJOサイクロンに敗退。館内悲鳴とため息。
上原○(4点、フィッシャーマンバスター 20.39)沢崎(4点)
沢崎のスープレックス攻勢に上原大苦戦。タイガースープレックスをカウント2.9で返し、フィッシャーマンバスターでなんとか勝利。
草薙○(8点、ダイビングボディプレス 15.23)吉田(4点)
吉田でも草薙を止められず。スープレックス攻勢でズルズルとダメージを重ねてしまい、最後はコーナー最上段からのダイビング・ボディプレスにフォール負け。
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第6戦は名古屋大会。12000名超満員札止め。
伊達○(8点、ミサイルキックから片エビ固め15.10)永沢(2点)
伊達が中盤、殺人ヒザ魚雷とSPZキックで永沢に大ダメージ。最後はミサイルキックで永沢を仕留めた。4敗目を喫した永沢、シード権確保は難しくなってきた・・・。
吉田○(6点、スプラッシュマウンテン14.32)沢崎(4点)
吉田がパワーで圧倒。最後はスプラッシュマウンテンでカッコよく決めた。
秋山○(6点、コブラツイスト 16.09)上原(4点)
秋山は最後まで勝負を捨てなかった。「上原さんは極め技の対応がヘタだから立ち技以外でなら勝機はある」大ダメージを負いながらも、試合終盤、リング中央でコブラツイスト。だんだん上半身が変な方向に曲がり、上原は無念のギブアップ。
草薙○(10点、ダイビングボディプレス 12.24)南(0点)
南はまったく草薙に歯が立たず敗戦。かつてのエースの没落を印象付けた。このまま全敗なのか。フィニッシュはこのシリーズ草薙が多用しているダイビングボディプレスだった。南の予選会行きが決定。
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第7戦は群馬大会。
永沢○(4点、JOサイクロン 13.59)沢崎(4点)
永沢が終始攻勢を保ち、沢崎を危なげなく下した。
南○(2点、脇固め 18.40)上原(4点)
ここまで全敗の南利美、場内南ファンの悲鳴と歓声が轟きわたる。
「意地を見せてくれ関節のヴィーナス!」の声も。
15分過ぎ、会場の大声援に後押しされて脇固めが決まる。上原、懸命に振りほどく、しかし南、再び鬼の表情で脇固め。
「ぐあああああ・・・っ」
こんどは上原抜けられず、痛みに耐えかねギブアップ。南のリーグ戦初勝利に群馬のファンは爆発、ものすごい南コール。泣いているファンも散見された。
伊達○(10点、SPZキックからの片エビ固め 26.46)吉田(6点)
吉田は伊達にどうしても勝てない。スプラッシュマウンテンなどで追い込むも、伊達のSPZキック3連発に撃沈。26分46秒の好勝負に館内拍手。
草薙○(12点、ドラゴンスリーパー 18.35)秋山(6点)
秋山がコブラツイスト、ドラゴンカベルであと一歩まで追い込むも、草薙も「奥の手」ドラゴンスリーパーで秋山からギブアップを奪って全勝をキープ。
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最終戦は地元横浜に戻っての横スペ大会。メインで草薙が勝つか引き分ければ草薙の優勝だが、伊達にも優勝の可能性が残っている。
伊達○(12点、SPZキックからの片エビ固め23.08)沢崎(4点)
伊達が追いすがる沢崎を殺人ヒザ魚雷、SPZキックで振り切った。沢崎も予選会行きが決定。
永沢○(6点、ムーンサルトプレス 20.05)秋山(6点)
永沢が初公開のムーンサルトで秋山を下した。
吉田○(8点、ステップキックからの片エビ固め 12.11)南(2点)
吉田がパワーで南を圧倒。プラズマサンダーボム、スプラッシュマウンテンの猛攻で半失神に追い込んで、最後はグロッギー状態の南に強烈なステップキックをみまってフォール勝ち。南は1勝6敗でリーグ戦を終了。
「これが現実よね」と自嘲気味に語った。
上原○(6点、フライングニールキックから片エビ固め 14.03)草薙(12点)
千秋楽結びの一番。勝つか引き分ければ優勝の草薙。ここまで2勝4敗と不本意な結果の上原は草薙相手に一発狙ってきたが、投げ技極め技をバランスよく繰り出してくる草薙の前に防戦一方。しかし上原、中盤にニールキック、パワーボムでまさかと思わせる。しかし草薙もサソリ固め、ノーザン、タイガースープレックスの猛反撃。しかし上原のかかと落としが終盤になって炸裂。これで草薙、額から出血。チャンスと見た上原、フライングニールキックを叩き込んで、草薙からカウント3奪取!最後に意地を見せた。
リーグ戦の結果は下記の通りとなった。
1位:草薙、伊達 12点
3位:吉田8点
4位:上原、永沢、秋山(6点)
7位:沢崎(4点) 8位:南(2点)
シード権は上位4名なのだが、4位に上原永沢秋山が6点で並び、当該者同士の対戦成績も三すくみのため、翌月以降に順位決定戦を行うことにした。
そして1位は草薙と伊達が12点並んだので優勝決定戦。とはいえ伊達は第4試合に登場して休養十分なのに対して、草薙はメインで上原にやられてすぐなので、「15分間」の短いインターバルが取られた。リング上では小川ひかると井上霧子の急造トークショーで場もたせ。
南、草薙連合軍控室。
「自業自得ですね、最後の詰めが甘かったです」
草薙が息を整えながら、額の傷口の手当てをリングドクター羽山女医にしてもらっている。額に張られた肌色のテープをうまく髪で隠す。
「相手は伊達さんか・・・きついけどやるしかない・・」
一方の伊達は第4試合で沢崎を退けたあと、コスチューム姿で待っていてメインの結果に望みを託していたが、上原が草薙に勝ってしまったのをモニターで見ると、黙々と体を動かし始めた。
SPZクライマックスの優勝が決定戦にもつれ込んだのは初めてのことである。午後9時5分、伊達が入場、そのあと草薙が入場。15分のインターバルではダメージは回復しきっておらず、足取りもどこか重い。そして優勝決定戦のゴング。
―長期戦は無理、とにかく飛ばして飛ばすしかないですね。
そう考えて草薙は試合開始直後から猛ラッシュをかけてちぎっては投げの草薙劇場を展開。伊達は草薙の気迫にのまれたのか防戦一方。タイガースープレックス2連発はカウント2.8でクリアした伊達だったが、タイガードライバーをはさんでもう一度タイガースープレックス炸裂。これを伊達は返せなかった。
勝負タイム18分32秒、草薙みことがSPZクライマックス3連覇を達成。3年続けて団体最強の称号を得てしまうのだから凄い。
第7回 SPZクライマックス優勝決定戦
○草薙みこと(18分32秒、タイガースープレックスホールド)伊達遥×
「最後、ちょっともたついちゃってすみませんでした。これからも修行に励みます」
優勝した草薙みことには賞状と金一封、副賞として「ブランドバッグ」が贈られ、準優勝の伊達遥にも賞状と「横浜中華街お食事券」が贈られた。
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