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2007年5月11日 (金)

第112回 デスピナリブレ最終戦

9年目2月

そして2月シリーズ「スノーエンジェルシリーズ」開幕。

SPZ王座の挑戦者に内定していた永沢舞が右足首負傷で無念の欠場となった。

中国地方北陸地方を回るシリーズ初戦の山口大会で客寄せのために「ドーム級」のカード、吉田龍子対ハイブリッド南のシングルマッチ(ノンタイトル戦)を組んだ。しかしここでハイブリッドの意地が爆発した。

手数では吉田のほうが上で、パワーでガンガン攻める。そして20分ころ満を持してスプラッシュマウンテン。ああ決まったかーという雰囲気。しかしハイブリッド、驚異のカウント2.9でクリア。

勝ちを急いだ吉田は2発目のスプラッシュマウンテン。しかしロープに近く、まだ意識の残っていたハイブリッドがカウント3直前で右手をサードロープに伸ばした。焦った吉田がリング中央で3度目のスプラッシュマウンテンを狙うがこれをハイブリッドローリングクラッチホールドで切り返した。そしてー

ハイブリッドがニーリフト。吉田がたまらずダウン。

い、今だ。

ハイブリッドのアキレス腱固め。これが極まってしまった。足の痛みに耐えかね吉田ギブアップ。絶対王者がシングルマッチで負けてしまったのは一昨年、8年目8月のSPZクライマックス以来1年半ぶりのことである。もしこの一戦にベルトがかかっていたら、王座移動になっていたところである。

「くっ・・・なんてことだ」

足を引きずりながら引き揚げる吉田。

近いうちに決着戦をやってその時は叩き潰してやる・・・

***********************

そして2月シリーズ最終戦は横スペ大会。SPZが地元に帰ってきた。しかし今野社長は浮かない顔をしていた。常連外人が2人、引退を社長に告げてきたのだ。

第1試合はガイア小早川対アンナ・クロフォード。アンナが試合開始早々のアキレス腱固めでじっくりといたぶる。

「ウァアアアアー」

館内に響くガイア小早川の悲鳴。どうにかロープに逃れる。

ガイア小早川もローリングソバットやネックブリーカーを繰り出し、良く頑張ったが最後はアンナのスクラップバスターに力尽きた。

続く第2試合は富沢レイ、渡辺智美対伊達遥、スターライト相羽。いくらカード編成の都合とはいえ、かつての絶対王者、伊達が第2試合に回されるとは・・・古くからのファンは時代の流れに息をのんだ。

「伊達さんゴメン、今日は引退セレモニーやんなくちゃなんない選手が2人いて、本拠地で出番が第2試合だけどお願い。」

この扱いに奮起した伊達、富沢レイを殺人ヒザ魚雷2発で処刑。これでフォール勝ち。館内は強い伊達の姿に静まり返った。

そしてー

次の試合に登場するデスピナ・リブレ選手は本日が日本最後の試合となります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」

館内ワアアア・・・と声援。

いまでこそ中堅外人のひとりだが、デスピナ・リブレはあのSPZ旗揚げ戦、2009年4月21日の横浜赤レンガ大会のメインイベントでミミ吉原と対戦して勝っている選手で、古くからのSPZファンになじみが深い。

あれから9年、デスピナは70回以上の来日を誇り、そのスピード感あふれるファイトはファンの印象に強く残っている。

「社長サン、モウ限界。アタシ3月にメキシコで引退スル。日本ニ来レル、コレガ最後。引退後は結婚シテ、ブティックでも始メル。イママデアリガト」

外国人選手はヒール(悪役)の役割を与えられることが多いのだが、デスピナは明るい人柄からか、日本のファンからも善玉として愛されていて、草薙や伊達あたりとぶつけるとデスピナコールが起こってしまう現象もあった。

異様な興奮の中、メキシコ音楽のほわーんとしたテーマ曲が流れ、デスピナ入場。そのあと「マイティ・ウイング」がかかって小川入場。

「青コーナー、メキシコ出身、デスピナー、リブーレー」

みんなありがとう。

デスピナはいつも通り、右手を突き上げた。メキシコの貧民街に育ち、幼い頃は苦しい生活だったが、その身のすばしっこさを買われて、14歳でプロレスの道に身を投じて闘ってきた。メキシコ本国ではスター選手が多くてトップ争いに食い込めなかったが、16歳のとき、AACのエージェントから「日本に新しい団体ができるから、行ってみてくれ」といわれて初めて太平洋を渡った。

前座の試合に出てきた選手は素人同然で、すぐつぶれるんじゃないかと心配したが、自分が叩きのめしてきたミナミやダテはぐんぐん力をつけてあっという間にスターにのし上がった。そしていつしかSPZはドームで数万人の観衆の中で試合をするまでになり、本国での試合よりも日本で戦うことのほうが多くなった。そしてついに、激しい試合に身体がついていかなくなった・・・・

デスピナ!デスピナ!デスピナ!デスピナ!

日本ノファンハ優シイ。外国人ナノニ懸命ニ闘エバ声援ヲ送ッテクレル・・・

デスピナは涙を懸命にこらえた。

「赤コーナー、

長野県松本市

出身、おがわー、ひかーるー」

この日ばかりは青い紙テープも数えるほどしか飛ばない。

「オラー!!」

掛け声とともにいつものダイナミックなフォームでドロップキックを打ち込む。しかし小川もスリーパーや脇固めでねちっこく反撃。ファイトスタイルが全然違う両者の激突にファンは沸いた。

しかしデスピナも日本最後の試合、なりふりかまわないヘッドバッド、ブレーンバスター、ローリングソバットの猛攻でペースをつかむ。

Matar!」(死んでしまえっ!)

デスピナは目に涙をためながらランニングエルボー。

バキッ!

続くフォールはカウント2.8。ドドドドドド。

ふらふらと立ち上がる小川。

iTe cogi!」 (もらった!)

デスピナは再度走ってエルボーを小川の顔面にぶち込んだ。

しかしこのフォールもカウント2.8、ドドドドドド

ハア、ハア・・・オガワ、ヤハリシブトイ・・・

SPZ旗揚げ以来、9年間戦い続けてきたのでお互い手の内はわかっている。実力も同程度なので両者のカードが組まれるケースも多かった。

小川ひかるは懸命に組み付いてスリーパーで弱らせると、

「もう逃げられないわよ!」

アピールしてからSTF。小川の必殺技だ。

「ウ、グアアアア~」

顔面を襲う痛みに耐えるデスピナ、しかし小川も泣きながら絞めてきた。デスピナは無念の思いで保科レフェリーに最後の言葉を発した。

「ギブアップ・・・」

デスピナの日本での戦いは終わった。

「19分59秒、STFで小川ひかるの勝ち」

終ワッタ・・・

満員のファンがデスピナコール。ここでゲストのミミ吉原登場、デスピナに花束を贈呈した。旗揚げシリーズでは同格の相手がいなかったのでシングル8連戦をやった間柄だ。

戦い終わってノーサイド。今野社長、井上秘書、保科レフェリー、ミミ吉原、小川ひかる、デスピナの6人、SPZ初期メンバーで手上げ。

「ミンナ、アリガトウゴザイマシタ!」

涙ながらにデスピナはファンに別れの言葉を告げたあと、花道を引き揚げた。

こうして、SPZを旗揚げから支えた名レスラーがまたひとり、リングを去った。

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