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2007年5月19日 (土)

第120回 怒りの吉田龍子 10倍返し

10年目7月

この団体の社長はかなりの小心者である。ハイブリッド南に破れSPZチャンピオンの座から転落した吉田龍子、練習にもいつもの気迫が見られないようだったので今野社長は声をかけた。

「よ、吉田さん、ちょと話があるんだけど、ベルトを手放したからといって・・・」

「いやだなあ、社長、ぜ、全~然おちこんでないよ。相手あってのプロレスだから思い通りに行かないときもあることはわかってる、気にしないで下さいよ」

「す、寿司でも食べに行かない?」

「誘うんなら小川さんを誘いなよ。ほんと落ち込んでないから、気にしないで、じゃあね」

ああ・・やはり15回も防衛してきたベルトを失って、ショックとまではいかないまでも、少しは落ち込んだんだろうなーと社長は推察した。

「社長、」入れ違いに井上霧子が入ってきた。

「新日本女子さんがまたSPZに引き抜き工作をかけて来ています。先月までは小川ひかるが標的のようでしたがマイトス香澄に狙いを変えて・・・」

「テポイアマタール!」

「えっ?」

「テポイアマタール!頭にきた。新日本女子の田中のヤローにガツンといってやらないと。」

そういって今野社長は電話機をつかんで、名刺ファイルをめくってから番号を押し、先方につながったのを確認するや・・

「田中さん、うちの選手にちょっかい出しまくるのやめてくれませんかねえ。これまでは同業者ということで、女子プロ発展のためにうちは引き抜きはやってませんでしたけど、申し訳ないけどおたくのレスラーに声かけちゃいますし、同じエリアで同時期に興行ぶつけるかもしれませんよ。申し訳ない言い方だけど、おたくの会社がその気ならうちもそれ相応の覚悟がありますよ。テポイアマタール!ムェレェ!」

がちゃん。

「ふう、やっぱり罵詈雑言は異国語で言うに限る」

7月シリーズ「サマースターナイツシリーズ」前半3戦はSPZクライマックス出場者を決める予選会の第2ステージ。小川ひかる・富沢レイ・マイトス香澄が前回の本大会で大負けした上原今日子、スイレン草薙とシングルマッチを闘い、一つでも勝てばSPZクライマックス出場。と言う内容。

初戦の青森大会、第4試合で小川ひかる対上原今日子。だが小川の力のおとろえは明らかで、上原の投げ技飛び技にサンドバッグ状態。

関節の悲鳴を聞きなさい!」

小川も得意のSTFで一発逆転を狙うも、落ち着いて振りほどいた上原。

「かわいそうだけど、これで終わり!」

伸びのあるフライングニールキック一撃。小川は3カウントを聞いた。勝負タイム11分0秒。

次の試合は富沢レイ対スイレン草薙。SPZタッグ王者の富沢レイだが、シングルマッチではどうにも苦しい。試合の9割がたはスイレンが攻めまくった。ノーザンで動きを止めてDDT、ヒップアタックの波状攻撃で終了。勝負タイム9分39秒。

青森大会のメインで異常事態発生。吉田龍子・渡辺智美 組対ハイブリッド南、マイトス香澄 組のタッグマッチ。ゴングが鳴った後、渡辺とマイトスが軽く手合わせしたあとタッチを受けてハイブリッド南登場。その直後にハイブリッドいきなり勝負に出て、渡辺をタックルで倒してアキレス腱固め。

「いやぁぁぁー!」

瞬時に決まってしまい、渡辺の表情がたちまち激痛に顔をゆがめギブアップ。吉田はカットに入る前に終了。メインイベントなのに勝負タイム3分51秒。館内どよめき。

この結末に吉田龍子は怒った。

リング上で勝ち名乗りを受けるハイブリッドにズカズカと近づき

「コノヤロウ!」

グーパンチ一撃。なにしろ彼女はリングインする前に試合が終わってしまったのだ。

カンカンカンカンカン!

ゴングが乱打されるが吉田は崩れ落ちたハイブリッドの上に乗って殴りまくる。

―あたしの暴れっぷりを期待してチケットを買ってくれたお客さんに申し訳ないと思わないのか!。

「いかん、止めろ!」

今野社長の指示で試合を見ていたセコンド陣が止めに入るが、

「邪魔するな!」

なんと吉田、ビーナス麗子やギムレット、富沢レイあたりをラリアットでぶん殴って行く。

カンカンカンカンカン!

「お嬢様プロレス団体」SPZではありえない殺伐とした展開に場内は驚愕。

異変を察知して控室からジャージ姿の伊達遥と草薙みことが出てきた。先輩を前にして吉田、少しはたじろいだが、勢いで草薙にも殴りかかろうとした。が、草薙はサッとかわしてフロントスープレックスで投げつけた。スッと立ち上がった吉田、しかし伊達が問答無用の、

「・・・・・・・・・・・・!!」

SPZキック一撃。これにはさすがの吉田も吹っ飛んだ。乱闘が数分続いてまあ暴れたなと判断した吉田はリング下に降りてマイクを握り、

ハイブリッド南!草薙!伊達!あたしを怒らせたな。来月SPZクライマックスでぶっ潰してやる!」

そういい残して花道を後にした。

*****************************

その翌日は盛岡大会。第4試合で小川ひかる対スイレン草薙。だが両者の力の差はそうとう開いており、スイレンが投げまくったあげく、ヒップアタックでフォール勝ち。勝負タイム9分48秒。これで小川のSPZクライマックス出場はなくなった。

その次はマイトス香澄対上原今日子。上原が一方的に攻めてフェイスクラッシャー2連発で棒立ちにさせてから、力の差を見せ付けるように脇固めでギブアップを奪った。勝負タイム6分22秒。

その次のセミファイナルではハイブリッド南がアンナ・クロフォードと組んで今シリーズからタッグを組むようになった草薙みこと、伊達遥と対戦。ハイブリッド南とアンナの即席タッグ、その連係の粗さを突いて百戦錬磨の草薙・伊達が攻め込む。最後も分断作戦に成功し、草薙がアンナを草薙流兜落としで仕留めた。

盛岡大会メインは吉田龍子、新咲祐希子対ナターシャ・ハン、ジョーカーウーマン組。さすがにナターシャのテクニックと吉田のパワーの対決は見ごたえがあったが、最後は新咲が分断作戦に成功しジョーカーウーマンをフェイスクラッシャーで仕留めた。

********************

第3戦秋田大会。

第4試合はマイトス香澄対スイレン草薙。いちおう同期対決なのだがスイレンが攻めまくり、わずか6分0秒、ミサイルキックでマイトスを沈め本大会出場を決めた。

第5試合は富沢レイ対上原今日子。年季の入った選手同士の対戦は地力に勝る上原が攻めかかり、バックドロップ、パイルドライバーとたたみかけて勝利。勝負タイム8分5秒。上原もSPZクライマックス本大会出場を決めた。

******* *************

第4戦山形大会、草薙みこととスイレン草薙の地元凱旋。スイレンはセミ前のタッグ戦に上原今日子と組んで新咲祐希子・永沢舞組と対戦したが、パートナーの上原が永沢のキャプチュードに沈んだ。

山形大会のセミはハイブリッド南、マイトス香澄対吉田龍子、富沢レイ。今回は吉田が先発を買って出た。

吉田がものすごい目でハイブリッド南をにらみつけ、そしてゴング。

「てめぇこのやろう!」

ハイブリッド南にラリアット、またラリアット、ラリアットと猛烈に攻める。代わって出てきたマイトス香澄にもラリアット、ギロチンドロップ、パイルドライバーの猛攻で軽量のマイトス香澄を半失神に追い込む。マイトスがパワーボム狙いをどうにかリバースで切り返してハイブリッドにつなぐも怒りの吉田は強い。

「これでどうだ!」

プラズマサンダーボムでグロッギー状態に追い込み、最後はスプラッシュマウンテン!1度目は切り返されたが2度目はハイブリッドを高々と担ぎ上げて垂直落下。

ドォォォォン!

ハイブリッド南は薄れゆく意識の中3カウントを聞いた。

「・・・あら」

吉田のパートナー、富沢レイはカットプレーと合体攻撃以外、試合出場権利が回ってこなかった・・・・

ーお前なんかこの程度のものだ。

革命軍二人がリング上に横たわる中、開幕戦青森大会そして先シリーズSPZ戦のリベンジを果たした吉田が厳しい表情のまま引き揚げる。怖い吉田龍子に場内は静まり返ってしまった。

山形大会メインは伊達遥・草薙みこと・小川ひかるの1・2期生ベテランの3人が、EWAのナターシャ・ハン、ロレンニールセン、エレンニールセンの3人を迎え撃つタッグマッチ。さすがにこの3人が同じコーナーに立つと会場の盛り上がりが違う。ましてや草薙みことの地元である。

SPZを長いあいだ支え続けてきた3人がメインイベントでいまだかわらぬ輝きを放つ。小川はナターシャの猛攻を必死に耐え、裏投げを食らってフラフラになりながらも逆片エビ固めで反撃して、伊達につなぐ。

伊達は自らの代名詞、殺人ヒザ魚雷とSPZキックをナターシャに叩き込んで戦闘不能に追い込む。試合はロレンニールセンが粘り、ノーザンまで繰り出して伊達を追い込み、ダメージの深い小川ひかるを引きずりだしたが、小川もうまくロレンを逆さ押さえ込みにとらえる!SPZマットではめったに見られない技だ。

「アーッ!」今野社長がリング下で絶叫。

カウント2.8で返すロレンニールセン。小川は深追いせずトドメを草薙に任せる。ロレンも最後の力を振り絞って草薙にニーリフトを叩き込むが、

「小川さん!」

草薙小川の合体パイルドライバー。これで頭を打ったロレンの動きが鈍くなり、最後は、

「これで決めます!」

草薙みことの代名詞、草薙流兜落とし発動。これで試合は終わった。22分46秒の激闘。SPZをここまで大きくした古参3人の奮闘に山形のファンは熱い声援を送った。もうこの3人が揃った姿が見られるのもあとわずか。そう考えた社長がこのマッチメイクを行った。

〔長くなるので続きます〕

次回予告:10年目7月シリーズ最終戦ドーム大会。新王者ハイブリッド南に挑むのは同期のあの選手。はたして初のベルト奪取なるか。

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