第151回 スイレン草薙、頂点へ
12年目7月、
サマースターナイツシリーズ最終戦は新日本ドーム大会。マイトス香澄と新咲祐希子は負傷欠場。
ドーム大会セミファイナルは吉田龍子、永沢舞のコンビにEWA最強タッグ、ナターシャ・ハン、ドリュークライ組。
館内のナガサワコールに乗せられた永沢、強引なJOサイクロンでナターシャを意識不明に追いやって・・・
「龍子さん、あとよろしくぅ!」
孤立したドリューを吉田が追い込み、最後は豪快なスプラッシュマウンテンでドリューを仕留めた。
ドーム大会メインイベントはハイブリッド南対スイレン草薙のSPZ選手権。ハイブリッドの長期政権が続いているが、吉田スイレン新咲のトップどころをあてていくしかないカード編成。
しかしこの試合はスイレンが攻めに攻めた。アームホイップ、フロントスープレックスと得意の投げ技乱発でハイブリッドにペースを握らせない。
しかしハイブリッドもニーリフト、踵落としといった打撃技で反撃に転じ、徐々にスイレンを追い込む。しかしスイレン、ハイブリッドがトドメを狙ったハイキックをうまく水面蹴りで切り返し、
―勝たせて頂きます!
スイレン草薙の草薙流兜落とし発動。
しかしハイブリッドも王者の意地か、カウント2.9、ギリギリで返す。しかしスイレンは落ち着いて、弱ったハイブリッドを捉えて、ノーザンライトスープレックス。
ワン、トゥ、スリー。井上レフェリーの手がマットを3つ叩く。
26分45秒、これで試合は終わった。
「やっと・・・ベルトを・・・獲れました」
スイレン草薙19歳、ようやく団体最高峰のSPZベルトを戴冠。
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SPZ世界選手権
スイレン草薙(26分45秒、ノーザンライトSH)ハイブリッド南
スイレン草薙が第29代王者となる
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「くっ・・・納得いかないわ」
ハイブリッド南の連続防衛は7で途絶えた。
そして今年も8月、真夏の地獄、SPZクライマックスが始まる・・・
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12年目8月
恒例の「真夏の決戦」SPZクライマックスの季節。8月3日の夜9時、例年通りSPZ横浜本社2階にある閉店後のメイド喫茶「あばしり」を借り切って記者会見が行われた。
■「生ける格闘伝説」吉田龍子(22)▲
第8回・第9回・第10回、第11回大会優勝、7年連続7回目の出場
「全員倒して、優勝する、それだけ。」
■「最強戦士・前SPZ世界王者」ハイブリッド南(21)○
5年連続5回目の出場。
「今年も完璧な闘いを見せるわ」
■「生ける大食い伝説」新咲祐希子(21)×
4年連続4回目の出場
「目標は優勝。賞金でおいしいものを食べに行きます」
■「新・最強巫女伝説 SPZ世界王者」スイレン草薙(19)◎
4年連続4回目の出場
「修行の成果を見せないといけませんね」
以下は予選会勝ち上がり組。
■「七色のスープレックス」永沢舞(23)
7年連続7回目の出場(予選会1位通過)
「応援していただいているファンの皆さんの期待に応えられるよう、頑張ります」
■「シューティングスター」スターライト相羽(18)
2年連続2回目の出場(予選会2位通過)
「特訓の成果を見せます」
■「一撃必殺」ビーナス麗子(17)
初出場 予選会3位通過
「初めてなんで緊張していますが、ひとりでも大物食いをしたいです」
■菊池理宇(16)初出場 予選会4位通過
「あ、う、えうおえ・・・」
今年の注目はなんといっても吉田龍子の金字塔5連覇がなるかどうかといったところ。かつての絶対王者・吉田も最近ではハイブリッド相手には分が悪くなってきており、京スポ新聞は本命スイレン、対抗ハイブリッド、大穴吉田龍子などと報じていた。
(怒った吉田龍子が京スポ新聞を引き裂き、若林記者に手加減してスリーパーを仕掛けたのは言うまでもない)
菊地理宇はガチガチに緊張していた。ギムレット美月が予選会欠場した影響もあって、予選会で4位に食い込んでしまった。
「あ、あたしが出ていいんですか???」
「あなたは出る権利を自力でつかんだのよ。だから覚悟して戦いなさい、適当に相手してあげるから」
ハイブリッド南が諭す。
「菊池ぃ、Sクラに出られないレスラーもいっぱいいるけどよ、2年目から出られるなんて運がいいヤローだ。正直言って結果は厳しいと思うけど、精一杯戦えるよう開幕まで毎日、特訓だ!!」
吉田コーチはもっと容赦がない。
初戦の沖縄大会、そのあと2戦目の九州ドームから地獄のリーグ戦が開始。
○V麗子(2点 ジャンピングニーからの片エビ固め12.33)菊池(0点)
「菊池、優勝だ!!」
心ない?ファンからの声援が飛ぶ。
やはり菊池がガチガチ。そこを突いてビーナス麗子が殴りかかる。顔面を狙っての掌底。これで菊池流血。やはりビーナス麗子は「表面上アイドルレスラーの体裁をとっているが内面はかなりのシューター」である。
「ガンガンいっちゃうぞー」
ビーナス麗子の裏投げ、カウント2.8で返す菊池、キャプチュード、菊池しつこくカウント2.9で返す。だが次のジャンピングニーで菊池は戦闘不能になってしまった。
○スイレン草薙(2点、バックドロップからの片エビ固め22.37)新咲(0点)
現在のSPZ4強、最初の直接対決が組まれた。やはり投げ技ならスイレンに一日の長がある。STOまで繰り出して、SPZ王者の風格が出てきたスイレンが新咲を追い込んでいって、2発目のバックドロップ、これでフラフラになった新咲、懸命にネックブリーカーなどで反撃するが、3発目のバックドロップで勝負あり。スイレンが手堅く白星発進。
○吉田(2点、スプラッシュマウンテン 16.53)S相羽(0点)
「行って来ます!」
気合を入れながら花道を走って入場したスターライト相羽だが、吉田の「いきなりラリアット」の洗礼。吉田の牙城に懸命に食らいついて行くが、強烈なラリアットを4発もらってS相羽の集中力が切れた。そこをすかさず突いた吉田龍子DDT。あとはスターライト相羽、いいようにアキレス腱固めでいたぶられて・・
「行くぞ、フィニッシュはこれだっ!」
スプラッシュマウンテン!
しかし吉田龍子の必殺ムーブをスターライト相羽カウント2,9で返す。場内大盛り上がり。しかし吉田はまったく容赦なく、
ガッ!
ステップキックで相羽の意識を断ち切ってもう一度、
「遊びじゃないんだよ!」
2度目のスプラッシュマウンテン!これで相羽は動けなくなってカウント3を聞いた。起き上がれないスターライト。担架で控室に運ばれた。
○H南(2点、サソリ固め14.17)永沢(0点)
地元でメインの永沢に大声援が送られた。この声援に乗せられた永沢がアームホイップ乱発するなど気持ちよくファイト。だがこれはハイブリッドの戦法。ある程度受けきった上でスリーパーで反撃。これで動きの鈍った永沢にジャンピングニー2連発。あっという間に形勢逆転。そしてリング中央でサソリ固め。それなりに耐えた永沢だったがついにギブアップ。
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翌日はなにわパワフルドーム大会。5万人の大観衆で埋まった。
○永沢(2点、JOサイクロン 8.17)菊池(0点)
永沢がしばらく菊池とそれなりの攻防を展開して、菊池の息が切れたのを見計らってJOサイクロン。1発目はカウント2.5で返したのだが同じ技をもう一度食らって万事休す。永沢が菊池を潰した。
○スイレン草薙(4点、バックドロップからの片エビ固め 9.08)V麗子(2点)
落ち着いてファイトしたスイレン、最後はバックドロップで完勝。
○吉田(4点、シューティングスタープレスからの体固め 19.32)新咲(0点)
―龍子さんに勝つ。
すでに1敗してあとのない新咲がハッスルして吉田撃破を狙っていった。吉田もラリアットを放つのだが新咲も痛がるそぶりを見せずラリアットで逆襲。新咲のジャンピングニー、ネックブリーカー、吉田のキャプチュード、ノーザンともてる技を出し尽くす死闘が展開。最後は吉田がコーナー最上段から久々に飛んでバック転宙返り。
めったに見せない秘技、シューティングスタープレスに大阪のファンは驚き。これで試合は終わった。
H南(4点、踵落としからの片エビ固め 13.14)S相羽(0点)
ハイブリッド南のグラウンドテクニックに相羽きりきり舞い。しかし相羽もバックドロップやタイガースープレックスで見せ場を作る、しかしー
ハイブリッドのかかと落とし炸裂。これで相羽の視界がブラックアウト。気づいたときには控え室で転がっていた。
「・・・なんで、ボク、勝てないんだろう」
1日の移動日をおいて一行は北海道へわたり、釧路大会。
(長くなるので続きます)
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