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2007年7月29日 (日)

筆者バカンスのお知らせ

どうも、SPZのギムレット美月です。

作者konno氏からの書き置きを読み上げます。

筆者「バカンス」のため、レッスルエンジェルスサバイバー没頭中 リプレイ更新を

7月30日~8月2日まで 休止させていただきます

・・・ですって。

第174回 殺るか殺られるか

13年目10月

10月シリーズ最終戦は新日本ドーム大会。
第1試合はロイヤル北条対ビューティ市ヶ谷。新人同士の対戦。この半年でどちらが力をつけたかが見られる一戦。ビューティ市ヶ谷が打撃技で押しまくる。芝田も終盤タイガードライバーを連発して猛反撃、しかし最後は、
「ハァーーツ!」
市ヶ谷が思い切り右腕をたたきつけた。
的確に決まったラリアット。これでロイヤル北条は起き上がれなくなり3カウントを聞いた。勝負タイム9分3秒。

―ふっ、敗者はみにくく倒れ伏す。これがプロレスの面白さですわね。オーホホホホ。

第2試合はガイア小早川、キューティー金井がアンナ・クロフォード、ウェイン・ミラーと対戦するタッグマッチ。ガイア小早川がフェイスクラッシャーで飛び回り奮闘するも、キューティー金井にはまだ外人相手は荷が重い。案の定15分過ぎに外人組につかまってしまう。

フェイスクラッシャーはどうにか2.9で返した金井、

「諦めなさいっ」
ウェインミラーのコブラツイスト。

「うわあああああん」

涙を浮かべながらロープに逃げる金井。しかし外人組みはキューティ金井に容赦のない合体パイルドライバー!
ああこれでだめだとドームの誰もが思ったが、金井の腕はサードロープにかかっていた。

「ウワァァァァン!」
キューティー金井、泣きながらウェイン・ミラーにバックドロップ。そしてようやくガイア小早川にタッチ。この瞬間ドームに大歓声が。

これで燃えたガイア小早川、ミサイルキックでウェイン・ミラーを倒してカウント3奪取。金井は泣きながらアンナ・クロフォードにしがみついて逆カット。勝負タイム18分8秒。

「カナイ、カナイ、カナイ・・・」
ドームがカナイコール。
「えぐ、えぐ・・・」
リアクションに困ったのはガイア小早川。クールなキャラなのでどうなだめたものかと思案していた。ガイアのパートナーでセコンドについていたジャージ姿のギムレット美月がリングに上がり、キューティー金井の頭を抑えて
「ぺこり。」
二人で一礼したあと、

「台車」
スタッフに用意させた台車にまだ泣いている金井を乗せて、そのままギムレットは台車をごろごろ押して花道を後にした。場内爆笑。

第3試合はマイトス香澄対芝田美紀。なんと2年目の芝田が優勢に進め、マイトスの絶望2000(変形ジャーマン)をカウント2で返して、最後は延髄斬りを叩き込んで元SPZタッグ王者のマイトス香澄に勝ってしまった。その試合が終わると休憩。

*****************************

第4試合はビーナス麗子、ギムレット美月の10期生コンビにドリュー・クライ、ユーリ・スミルノフの前あばしりタッグ王者が激突する一戦。実力は伯仲、そして連携も方や同期、方や常連外人タッグなので互角。勝負を分けたのはギムレット美月の勝負勘の鋭さだった。

「いきます」
ユーリ・スミルノフの息があがったのを見るやドラゴンスリーパー。
「NO!」
ドリューがあわててカットに入るもビーナス麗子がコブラツイストで逆カット。
「・・・うう、ギブアップ・・」
ギムレットが昨日のタイトル戦同様にギブアップ勝ちを収めた。

第5試合はハイサスカラス、ドスカナリブレ対ナターシャ・ハン、エレン・ニールセンのタッグマッチ。EWAとAACのプライドをかけた熱戦が展開された。最後はエレンニールセンの裏拳がハイサスカラスを「昏倒」させ、3カウントを奪う結末。

そのあと今回の目玉、3大シングルマッチ。
セミ前は菊池理宇対スターライト相羽。
EWA王者になって意気上がる11期生の菊池、次期エースといわれながらなかなかトップ争いに食い込めないスターライト相羽。しかし地力は相羽のほうが何枚か上で、タイガードライバー連発で菊池を追い込む。

「せぇいっ!」

菊池もムーンサルトを繰り出すなど健闘したが、つづくミサイルキックを叩き落とされたのが痛かった。最後はふらつく菊池に相羽が勢いよく走りこんでのヒップアタック。これで菊池は3カウントを聞いた・・・

セミファイナルはスイレン草薙対ボンバー来島。
スイレン草薙強い。ボンバー来島にほとんど付け入る隙を与えない、流れるような動きでボンバー来島を投げまくり、バックドロップ2発で動きを止めて最後はデスバレーボム。

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メインイベントは吉田龍子対ハイブリッド南のSPZタイトル戦。

過去数年にわたって繰り広げられた5期生の吉田龍子と6期生のハイブリッド南の抗争。マンネリだが常にスリル満点のプロレス。まだこのカードがドームのメインを張る。

「南選手とはもうベルト云々じゃないね。殺るか殺られるかだよ」

そういい残してメインのリングに上がった吉田。ラリアットを乱打してダメージを与えて行く吉田、スリーパーと投げ技で隙をうかがうハイブリッド。序盤から緊迫感あふれる攻防。
ブレーンバスターの打ち合いを制した吉田がニーリフト、ギロチンドロップ。このあたりで好機と見た吉田、

「そろそろ派手に決めようか!」

吉田龍子、先に切り札を出してきてのスプラッシュマウンテン!ハイブリッドカウント2.8で返す。

・ ・よし次、大きいの決めれば勝てる
しかし勝ちを急いだか、一瞬の隙ができてしまったか吉田、ハイブリッドに組みとめられ、転がされてサソリ固めを食らってしまう。運の悪いことにロープは遠い。

「ふんっ、・・あー?」

いつものようにプッシュアップでこらえようとした吉田、だが、その瞬間腰に電気が走った。
吉田を襲う激しい痛み。本能的にやばいと感じた吉田は井上レフェリーにギブアップの意思表示をした。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

ハイブリッド南(20分くらい、サソリ固め)吉田龍子

王者が2度目の防衛に失敗、ハイブリッド南が35代目王者となる。

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ハイブリッド南が35代目王者に返り咲いた。この選手も5度目のベルト戴冠。うち4回は吉田龍子を破って巻いている。まさに吉田キラーである。

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その夜、戸塚の日本料理店「よこ川」

「うわなんですかこの二流レスラー、サソリ固めの返しに失敗してるハハハハ」
ノートパソコンに映し出された自分の試合を見ながらコップ酒をあおる吉田龍子。
「はぁ、あたしのレスラー人生もさして長くないねえ、こんなんじゃ」

「そんなことないわよ、まだまだ龍子ちゃんの力が必要よ~」
吉田を上回るペースでウイスキーの水割りをあおる井上霧子。

2007年7月28日 (土)

第173回 EWA選手権 菊池理宇VS ナターシャ・ハン

13年目10月

10月シリーズ「UZUMAKIバトル2021」開幕。

2戦目の浜松大会。メインは菊池理宇の持つEWA世界王者ベルトに「ナターシャ・ハンが挑戦」するタイトルマッチ。ここ1ヶ月のEWAの慌てっぷりはかなりのものがあった。「王者不在」で本国での興行を乗り切らねばならなかったのだから。

「キクチ、ダイ!」
ナターシャがうなり声を上げて菊池に襲い掛かっていった。しかし菊池はロープに走ってのドロップキックで抵抗。そしてローリングソバット。あのナターシャ・ハンに対しても一歩も引かない。もはや立派な一流レスラーといえた。

「テンション、あがってきたぁー!」
終盤、菊池がミサイルキック、DDT、そして延髄斬り。

「ぐわあっ!」

ワン、トゥ、スリー!

波状攻撃を見せ、延髄で頭を打ったのか、勝負タイム17分48秒、菊池理宇が先月同様ナターシャ・ハンに勝ってしまった。

「・・・・・・・・・ええええお!」

浜松のファンも唖然。

「・・・・・・・・えっ」

控え室で見ていた菊池のコーチ役・吉田龍子も唖然。正直言って前回は王者が甘く見ていた節もあってまぐれだと思っていた。だがまぐれで2連勝はできない。SPZに小さなスーパースターが誕生した瞬間であった。

「やるねぇ、菊池」

控え室に戻ってきた菊池のベルト姿を見て吉田が一言。

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その翌日、三重サンシャインアリーナ大会。メインに組まれたのはAAC選手権、王者ハイサスカラスに挑むのはボンバー来島。

―キクチに出来て、あたしに出来ないことはない。あいつよりあたしのほうが力も技の切れも上なんだ!

そう考えてハイサスカラスに挑みかかっていった来島。しかし飛び技を交えながらエルボーで痛打を与えてくるハイサスカラスのハイスピードレスリングに来島ついていけずズルズルとダメージを重ねる。

「ウォォーツ!」

しかしボンバー来島のナパームラリアット、そして裏拳で意地を見せる。だがー
ハイサスカラスも王者のプライドをかけてバックドロップ、ジャーマン。最後はサソリ固めで来島の動きを止めたところをコーナーに上がってムーンサルト炸裂。これで試合は終わった。勝負タイム24分34秒。

「くそ・・・ダメだった・・」

頭を抱えながら控え室へ戻るボンバー来島。

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第7戦長野大会メインは先月と同じカードのあばしりタッグ戦。ガイア小早川とギムレット美月がEWAの常連外人、ドリュー・クライ、ユーリ・スミルノフに挑む。試合はギムレット美月が外人組のパワーあふれる攻勢を懸命にかいくぐってガイア小早川にスイッチ。
「お前をソテーにしてやろう!」
スミルノフのバックドロップがガイア小早川を追い込む。代わって再度出てきたギムレット美月が奮闘し、

「勝利の方程式発動します」
ドリュー・クライに奥義・ドラゴンカベルナリアをしかけてギブアップを奪った。あばしりタッグが1ヶ月で自団体に戻ってきた。
そして10月シリーズ最終戦は新日本ドーム大会。

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ドーム興行の当日昼下がり、少し間があったので、SPZ社長の座を退いていまは関連会社の役員になっていた今野前社長は、小川ひかる(1期生、10年目8月引退)と肩を並べて神田神保町の古書店街を歩いていた。このふたり、たいてい都内では北の丸公園の散策か神保町の古書店まわりというケースが多い。

「小川さんも、引退して3年か・・・」

「ふふっ、わたしも監査法人の人になりきりました。」

「もうそろそろ、ほとぼり冷めてる頃だと思うんで、その、ショーブかけて、いいかな」

「・・・はい」

「靖国神社へお参りへいこうか」

「・・・えっ」

「ふ、ふたりだけの結婚式をあげるのだよ」

「ええっ」

15分後、ふたりは九段下の靖国神社におまいりをした。

「じゃあついでに披露宴もすませちゃおう、飯田橋の『グリーンカー』で、えび定食でも」

「・・・吉田さんみたいな速攻ですね。」

「今日のドーム、メインは吉田さん対ハイブリッド選手だったかな」

***************************

「小川さん、社長、久しぶり!」

5時半過ぎ、今野前社長と小川ひかるが新日本ドームの関係者通用口を通った。いつものように控室に差し入れ。吉田龍子はいまでも今野のことを社長と呼ぶ。

「頑張れよ、ハイブリッドにもってかれるなよ」

「わあってるよ。・・でもやられるときはやられるよ、ははは。」

(ドーム興行は長くなるので、続きます)

2007年7月27日 (金)

第172回 13年目10月時点のプログラムから

13年10月時点のプログラムから。

生ける格闘伝説 吉田龍子《SPZ世界王者》

1997年11月13日、熊本県八代市出身。2013年4月11日、札幌キターアリーナ大会での富沢レイ戦でデビュー。長身と規格外のパワーを生かした攻撃的な戦いぶりで先輩レスラーを次々に撃破し、デビュー2年目で南利美を破り、SPZ王者に輝くなど驚異のスピード出世でトップグループの一角に食い込む。SPZ世界王者には7回輝き、4度目の戴冠時には驚異の15連続防衛を果たすなどSPZ絶対王者として君臨。またSPZクライマックスは第8回から第13回まで6連覇を成し遂げるなど、最古参選手ながら今なお団体の頂点の座に君臨し続ける。得意技はスプラッシュマウンテン、ムーンサルトプレス。
テーマ曲は「赤い破片」

最強戦士 ハイブリッド南

1999年3月1日、高知県高知市出身。姉は元SPZ王者で「関節のヴィーナス」南利美。本人いわく「姉をいたぶる連中に復讐するため」SPZ入り、2014年4月10日、釧路アリーナ大会の対ミシェール滝戦でデビュー。姉譲りの関節技で実力は急上昇。ついには南利美とのタッグでEWAタッグベルト、SPZタッグベルトを戴冠。南引退後は革命軍を結成し、吉田龍子の首を付け狙い、SPZ王座に4度輝くなどSPZのトップ戦線で暴れ回る。得意技はネオ・サザンクロスロック(変形STF)
テーマ曲:スピード(映画サントラ)

格闘クイーン 新咲祐希子 《SPZ世界タッグ王者》

1999年3月2日、山口県下関市出身、2014年5月7日、高知市体育館の対渡辺智美戦でデビュー。デビュー戦を白星で飾る。AACで海外武者修行を行い、2015年11月の凱旋帰国後は吉田龍子とタッグを組んでSPZタッグ王者にも輝く。トップに立つために受け身の取りづらい高速ジャーマンを編み出し、SPZ世界王者に3度輝く。いっぽうでテレビの大食い番組ではおなじみの大食い女である。得意技は高速ジャーマン、シャイニングウィザード。
テーマ曲:G・T・O(シニータ)

草薙流の守護者 スイレン草薙

本名:本堂ななか。2000年9月21日、山形県寒河江市出身。幼い頃から草薙流武術を伝承体得し、15歳で草薙流武術大会で優勝。この才能に目をつけた草薙みことがSPZプロレスにスカウトし、2016年4月14日、札幌キターアリーナ大会の渡辺智美戦でデビュー。持ち前の格闘センスと草薙流兜落としを武器にめきめきと実力をつけ、伊達遥とのタッグでEWAタッグ王者、SPZタッグ王者に輝く。また、団体最強の称号・SPZ世界王者にも2度輝く。得意技は草薙流兜落とし。
テーマ曲:オリエンタルクラッシュ2

突貫少女 マイトス香澄

本名:秋山香澄 2000年10月10日、東京都江戸川区出身。2016年のSPZ新人テストに合格し、8期生として入門。2016年4月14日、札幌キターアリーナ大会での南利美戦でデビュー。ハイブリッド南と革命軍を結成し、SPZタッグ王者にも輝く。シングル戦ではまだまだ上位選手の壁が厚いが、小柄な体格を持ち前の精神力でカバーする厚いファイトを展開。得意技はバックドロップ。絶望2000
テーマ曲「恋はピンポン」(リチャード・クレイダーマン)

暴走エクスプレス ガイア小早川

本名:小早川桃子、2002年1月16日、福島県郡山市出身。2017年のSPZ新人テストに合格し、9期生として入門。2017年4月11日、釧路市体育館での保科優希戦でデビュー。勝気な性格を生かしたファイトで活躍。最近ではスイレン草薙のパートナーに抜擢され、SPZタッグ王座を獲得。またギムレット美月とのタッグであばしりタッグ王者にも輝く。得意技はミサイルキック。
テーマ曲:sky was g-ray(C.G mix)

スターライト伝説 スターライト相羽 《SPZ世界タッグ王者》

本名:相羽明子。2001年7月12日、石川県金沢市出身。SPZに第9期生として入門し、2017年7月16日、山口宇部大会の対マイトス香澄戦でデビュー。メキシコ長期遠征から3月に凱旋帰国して、将来を嘱望されているが、SPZクライマックスではここ数年上位選手の厚い壁にはじき返されている。しかし、その真正面からぶつかっていくファイトが評価され、新咲祐希子と組んでSPZタッグ王者に輝き、9月にはSPZ王者吉田龍子にも挑戦。破れはしたが吉田龍子をあと一歩まで追い詰めた。得意技はタイガースープレックス。
テーマ曲:スターライトシンフォニー KOTOKO

バトルコンピューター  ギムレット美月

本名:八重樫美月、2002年5月26日、岐阜県垂井町出身。SPZ10期生としてスカウトされ、2018年4月15日、札幌キターアリーナ大会の小川ひかる戦でデビュー。冷静沈着な性格で、レスリングセンスを生かしたグラウンド技を武器に活躍。ガイア小早川と組んであばしりタッグ王座を獲得。得意技はドラゴンカベルナリア。
テーマ曲:oblivion(KOTOKO)

ザ・エンジェル ビーナス麗子

本名:愛野麗子、2002年10月12日、広島県広島市出身。SPZ10期生新人テストに合格し、2018年4月15日の札幌キターアリーナ大会でのガイア小早川戦で白星デビュー。打撃技の威力はなかなかのもので、時に大物食いをしてしまうことも。得意技はハイキック。
テーマ曲:toghther forever(リック・アストリー)

豪腕破壊大王 ボンバー来島

本名:来島智代、2003年8月13日、福岡県北九州市出身。大柄な体格とパワーを見込まれ、SPZにスカウトされ2019年4月16日、釧路アリーナ大会でのガイア小早川戦でデビュー。ファイトスタイルはまだまだ馬力に頼る荒削りな面もあるが、上原今日子コーチの指導でめきめきと実力をつけ、体全体で打ち抜くナパームラリアットを習得。菊池理宇とのタッグであばしりタッグ王者に輝き、シングルマッチではハイサスカラス、ハイブリッド南といった一流選手を倒すまでに成長した。得意技はヘッドバット、ナパームラリアット。
テーマ曲:エクリプス(イングヴェイ・マルムスティーン)

ピュアダイナマイト 菊池理宇

2003年6月24日、宮城県仙台市出身。SPZの新人テストに合格し、11期生として2019年4月16日、釧路アリーナ大会での渡辺智美戦でデビュー。小柄な体格を持ち前のガッツでカバーする戦いで人気は上昇。また、吉田龍子が負けん気を見込んでコーチ役を買って出て、連日の特訓漬けで成長させたのは有名な話。最近は一つ一つの技に正確さ、重さが出てきて、なんとEWA最強のナターシャ・ハンを破ってEWA世界王者に輝く。得意技はムーンサルトプレス、ミサイルキック。
テーマ曲:THROUGH THE FIRE(ラリー・グリーン)

スーパーお嬢様 芝田美紀

2004年11月18日、大阪府箕面市出身。天性の運動神経が井上霧子の目に留まり、SPZ12期生として2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での菊池理宇戦でデビュー。瞬発力には定評があり、延髄斬りのフォームは若手離れしていると評判。最近では新咲、相羽とタッグを組んで後半の試合に出ることも多い。今後の活躍に期待。
テーマ曲:セプテンバー(アース・ウインド&ファイアー)

アイドルレスラー キューティー金井

2005年1月31日、北海道千歳市出身。SPZのDVDを見てアイドルレスラーになろうと決意しSPZプロテストを受験し見事合格。2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での渡辺智美戦でデビュー。闘志を前面に出すタイプではなく、前座戦線で先輩にしごかれるキャラで人気は上昇中。時たま出すバックドロップはかなりの威力(らしい)。
テーマ曲:げっちゅきっちゅsummer(佐藤裕美)

暴走お嬢様 ビューティ市ヶ谷

2005年9月10日、埼玉県さいたま市出身。中学時代は柔道で鳴らし、数多くのジュニア大会で優勝するが、井上霧子に誘われ突如プロレス転向を宣言。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会でのキューティー金井戦でデビュー。若手ながらその高笑いを交えた個性的なファイトスタイルで人気は上昇中。得意技はDDT。
テーマ曲:トッカータとフーガ BWV565(J・S・バッハ)

お嬢様特急 ロイヤル北条

2006年2月7日、富山県氷見市出身。中学時代はフェンシングに熱中し全国大会で入賞する成績を残す。しかし、中学を卒業するや上京しSPZの新人テストを受験。合格しSPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。新人らしからぬキビキビとした動きは将来性を感じさせる。得意技はラリアット。
テーマ曲:Jive into The Night(グリーン・オリーブス)

レフェリー 井上霧子

1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。

レフェリー 保科優希

1992年9月3日、滋賀県大津市出身。SPZ一期生として2009年4月21日横浜赤レンガアリーナ大会で、アリッサ・サンチェス戦でデビュー。SPZ草創期から団体を前座戦線で支え、「6時半の女」と呼ばれていた。2017年6月に現役引退。引退後はレフェリーに転向し、主に前半の試合を裁く。SPZプロレス中継のテレビ解説者としても有名で、おっとりとした口調で凄絶な試合の解説が人気を博している。最近はバラエティ番組にも出るマルチタレントとしても活躍。

レフェリー 伊達遥

1993年10月23日、宮崎県都城市出身。SPZの一期生として旗揚げ直後から参加し、2009年6月20日根室市体育館、アリシア・サンチェス戦でデビュー。SPZ草創期から団体を支え続け、SPZ初代王者として団体エースとして活躍。2019年2月、現役引退。井上霧子の推薦でレフェリーに転向。井上霧子がフロント業、保科がタレント業に駆り出される中、伊達が実際のチーフレフェリー格となりつつある。

リングアナウンサー 上原今日子

1995年12月31日、沖縄県那覇市出身。SPZ3期生として2011年5月11日、青森スポツァルト黒石大会の保科優希戦でデビュー。2020年4月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、その人柄か、リングアナウンサー、代打レフェリー、雑用、物販スタッフなんでもやる人になってしまった。現在は主に前半戦のアナウンスを担当。

リングアナウンサー 村越忠幸

1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、営業社員兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。2児のパパで趣味は料理。

リングドクター 羽山海
1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野前社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2007年7月26日 (木)

第171回 巨龍神話 VS 星明り伝説

13年目9月シリーズ 続き

翌日の長崎大会。メインはハイサスカラス対ビーナス麗子(10期生)のAAC選手権。また集客目当てのタイトル戦だ。

―この団体、ヤングガールでも計り知れない力がある。さっさと終わらそう。

ハイサスカラス、早めのムーンサルトでペースを握り、ラリアット、裏拳とつないで3カウント。12分24秒でビーナス麗子の挑戦を退けた。

「グスン・・・ダメでしたア・・・」

ビーナス麗子、ハイサスカラスを蹴り倒すには至らなかった。

**********************

第6戦 佐賀大会。メインに組まれたのは2ヶ月前と同じマッチメイクながら、あばしりタッグ選手権。ガイア小早川、ギムレット美月に挑むのは常連外人、EWAのドリュー・クライ、ユーリ・スミルノフ組。

「ウラー!」

ユーリ・スミルノフのヘッドバットがガイア小早川をグラつかせる。その後も外人組、持ち前のパワーと長年の連携で王者組に的を絞らせない。そして、逆にガイア小早川を孤立させー
「あたしたちの本気を見せてやろう!」

ドリュークライが小早川を肩車、そしてスミルノフがダイビングラリアット!ダブルインパクトが決まりガイア小早川まっさかさまに落下。これで3カウントが入った。勝負タイム25分55秒。横浜の至宝?あばしりタッグが海外に流出してしまった。

****************************

第7戦山梨カイメッセ大会ではSPZタッグ戦。王者チームの新咲、スターライト相羽にタッグベルトを奪われたスイレン草薙は、パートナーを打撃に定評のあるビーナス麗子に替えて、リターンマッチに挑んできた。

試合は4人が4人とも持ち味を出すいい勝負となったが、新咲がラリアットの乱発で勝負に出る。たまらずスイレン草薙がくるしまぎれにビーナス麗子にタッチ。

ここがチャンスとばかりに王者組がビーナス麗子に集中砲火を浴びせ、最後はダブルインパクトをきっちり決めてカウント3奪取。勝負タイム27分27秒。王者組が初防衛に成功。

*********************

9月シリーズ最終戦はさいたまドーム決戦。

第1試合はガイア小早川対アンナ・クロフォード。
あばしりタッグを失い再起のスタートとなったガイア小早川だが、この日はEWAの実力派外人、アンナにいいように投げられて、フィニッシュはいきなりのアキレス腱固め。

「アーーーーーーーーーーーーー!」

さいたまドームに響くガイア小早川の絶叫。これでギブアップ負け。勝負タイム7分14秒。

第2試合はキューティー金井対ビューティ市ヶ谷。

キューティーのドロップキックがビューティ市ヶ谷を翻弄。しかしこの展開にお嬢様が切れた。

「私にひざまづきなさい!」

容赦のないDDT3連発。しかし直後のフォールはあまりにロープに近い。そしてキューティー金井が逆転のバックドロップ!
「もしかして、今日は勝っちゃうかも?」
ドーン!
まだ受身の上達していないビューティ市ヶ谷、これでカウント3を聞いた。

「こ、このわたくしが、なんてことなの、キーッ!」

第3試合は菊池理宇、ロイヤル北条対ユーリ・スミルノフ、ドリュー・クライの対決。EWAのベルトを「初挑戦で強奪」した菊池にEWAのベテラン2人が制裁を加えるような猛攻。

―こんなチビがうちの団体EWAのチャンプだと?、フザケルナ!

しかもドリューの掌底で菊池流血。久々に怖いドリューがががが。
代わったロイヤル北条も新人なので、ドリューの相手にならない。しかし菊池が懸命に耐えしのいで、代わって出てきたスミルノフに起死回生のムーンサルト、その次のダイビングボディプレスで大逆転勝利。これには館内沸いた。この試合のあと休憩。

*************************

休憩明けの第4試合は新咲、芝田美紀のタッグにハイサスカラス、ドスカナ・リブレが激突するタッグマッチ。この試合は盛り上がった。AACコンビのスピード感あふれる猛攻。この戦いに懸命についてゆく芝田。ハイサスカラスを裏拳でぶん殴ってカウント2.8まで追い込む。そして最後はドスカナに狙いを定め、新咲が高速ジャーマン発動。22分39秒の激闘を制した。

セミファイナルは6人タッグマッチ。スイレン草薙、ビーナス麗子、ギムレット美月の3人にハイブリッド南、マイトス香澄、ナターシャ・ハン。6人が入り乱れる華々しい戦いが展開された。ベルトを失ったショックなのか、ナターシャ・ハンの動きにいつもの切れがない。スイレンのバックドロップを食らってしまう。朦朧とする意識の中カウントが入るが、マイトス香澄のカットが間に合った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」

これでナターシャの本能が目覚めたのか、なんとSTFで前SPZ王者のスイレンからあっという間にギブアップ勝ちを収めた。勝負タイム19分35秒。
そしてメイン、王者吉田に挑むのはSPZベルト初挑戦のスターライト相羽。

**************************

・ ・・とうとう ここまで きた・・・

テーマ曲「スターライトシンフォニー」がかかる中、スターライト相羽は気合の入った表情でリングへ向かう。先輩方を差し置いて挑戦が決まった理由は「新鮮味」だけということなのだが、本人はベルトを取る気満々であった。

しかし試合が始まるや、ペースは吉田が握りっぱなし。

「ふっ!」
吉田のラリアット。そしてニーリフト。DDTとだんだん大技をつみかさねてゆく。相羽もバックドロップ、デスバレーボムと大技攻勢をかけるが、吉田は満を持して・・・

「遊びじゃないんだよ!」

スプラッシュマウンテンはローリングクラッチホールドに切り返したものの、

「おるぁっ!」

吉田龍子、続くデンジャラスキックで相羽を吹っ飛ばした。スターライト相羽はこれで3カウントを聞いてしまった。
勝負タイム28分45秒、王者が初防衛に成功。

************************

「相羽ちゃん?いい選手だよ。でもあれじゃあチャンピオンにはなれないね。もっとずるくならなきゃ。真正面から来るからやりやすかったよ」

「ボクは・・どうして・・・」

スターライト相羽の苦悩は続く。この選手がSPZベルトを巻く日は来るのだろうか。

2007年7月25日 (水)

第170回 大番狂わせのあと

SPZ11期生菊池理宇がナターシャ・ハンを破ってEWA世界チャンピオンになってしまったことはSPZ社内社外を問わず大事件になった。以下は翌日の京スポ新聞より。

EWA世界選手権試合 2021年9月 別府ビーコンホール

○菊池(23分28秒、ムーンサルトプレスからの体固め)ナターシャ・ハン●

菊池 奇跡のEWA王座奪取

目の前で大事件が起きた。SPZが開催する海外団体のタイトルマッチは若手に世界の一流選手に当てて成長させるマッチメイクがほとんどなのだが、今回は菊池がやってくれた。序盤はナターシャのレスリングのうまさに攻め込まれる一方だったが、ロープ際でエスケープできるよう闘い、決定的チャンスを作らせなかった。そして強烈な延髄斬りで反撃。これでナターシャが倒れこんだ隙を見逃さなかった。コーナーに登ってムーンサルトプレス。これでまさかのカウント3が入った。

18歳の菊池のEWA王座奪取に別府のファンは沸いた。本人もまさかの王座奪取にコメントが出せない状態。コーチ役の吉田龍子は「まぐれでもうれしいよ。やはりプロレスは強い選手がそのまま勝つとは限らないんだね。あきらめちゃいけないことを教えられたよ」と語った。

これでいままでボンバー来島の陰に隠れて目立たなかった11期生の菊池にもスポットが当たり、ボンバーと違って菊池は「絵になる」ので取材の申し込みが殺到した。

「え、まあシリーズ中ですし、最終戦のさいたま大会が終わってから日程の件はお打ち合わせさせていただきたく・・・」

SPZ社長代行の井上霧子は携帯でマスコミ対応に追われた。

「近い将来、あたしもSPZベルトを奪ってみせるぜ!」

同期のボンバー来島さん(彼女はパワーが強くてEWAやAACからは挑戦者にしてくれるなといわれていた)は笑顔でコメント。

1期先輩のビーナス麗子、ギムレット美月は後輩の世界タイトル奪取に刺激を受けた。

「菊池に出来てあたしに出来ないことはないと思います。世界のベルトを獲ります」

「焦ることなくチャンスを頂いたときには全力で行きます」

最終戦で吉田龍子のSPZベルト朝鮮が決まっているスターライト相羽(9期)も後輩の活躍に刺激を受けた。

「ボクは、絶対に吉田さんに勝たなくちゃいけないんだ・・・」

*************************

翌日の長崎大会試合前、菊池はいつものように吉田コーチに投げられまくっていた。

「おらぁ菊池、チャンピオンになったからっていい気になるなよ!いい気になっていいのはSPZベルトをとった時だけだ!」

「は、はい~」

横浜のプロレス団体、SPZ。若い選手は確実に育っており、世代交代の時期は近づいている・・・

*************************

(筆者より:すみません富士登山でガタガタの状況ですので今回はお茶を濁しました)

2007年7月23日 (月)

第169回 菊池理宇の大番狂わせ

13年目9月
ボンバー来島の膝は思ったより重症で、医者から少なくとも1ヶ月の安静を言い渡された。

9月シリーズ「秋爽シリーズ2021」開幕。

シリーズ開始前のマッチメーク委員会。委員は井上副社長、伊達取締役、保科取締役、上原コーチ、永沢コーチの話し合いでシリーズの全カードが決定される。

最終戦さいたまドーム大会で行われる予定の、SPZ世界王者・吉田龍子の対戦相手をめぐって話し合いが長引いた。

「順当に考えたら、先月のリーグ戦で吉田さんに勝っているハイブリッド南さんだと思いますが、このシングルドームでは結構組んでるので新鮮味がないと思います」
上原コーチが話し出す。

「うーん、でもスイレンも先月龍子さんと2回やって2回とも負けてるから・・・」

「このさい、相羽ちゃんでいいんじゃない?、リーグ戦6点取ってるし、勝つ可能性はゼロじゃないとおもうわ。相羽ちゃんが勝ったら『しんせーき幕開けドーン!』みたいになるし、吉田さんが勝ったら「まだ若手には渡さん」吉田ほえる!!みたいな感じでいいんじゃないかなぁ」

「どっちに転んでも・・・・団体の注目度は上がる」

「その通り」

井上霧子はクッキーをつまんでアールグレイをすすってから、ホワイトボードにSPZタイトルマッチ 王者吉田×挑戦者S相羽 と書き入れた。

このようにプロレスのマッチメイクでは「思いつき」が多用される。

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シリーズ第3戦・別府ビーコンホール大会では集客目当てのEWAタイトル戦が組まれた。

(王者)ナターシャ・ハン VS (挑戦者)菊池 理宇

「まあ、一発ドーンとあたって散ってきなよ。大きい会場でシングルメインなんだからさ」

吉田龍子が菊池を激励?する。ほとんどすべての関係者が菊池の負けと見ていた。

王者ナターシャ・ハンに挑むのは挑戦者菊池理宇。11期生の菊池がシングルのベルトに挑むところまできた。EWAサイドが手ごろな日本人をやっつけたいと申し入れ、双方の話し合いであまり強くない菊池が挑戦者に選ばれた。

「いい試合にはなると思うけど、ナターシャの関節技はすごいから理宇ちゃんなら問題にしないでしょう」

井上霧子はそう考えてマッチメイクしたのだが、結末は誰もが予想しないものとなった。

「せええーっ!」

菊池、持ち前のガッツでハンのSTFをはじめとする関節技攻勢を懸命にこらえてエルボー、そして延髄斬りで反撃。

ここでナターシャが倒れたのを見て、そして・・・

この技で勝負をかける!

菊池理宇、コーナーに駆け上がってムーンサルトプレス!

ワン、トゥ、スリー。

当たり所が悪かったのか、キックアウトできないナターシャ。レフェリー、EWAのトム・クリステン氏も呆然としながらマットを3つ叩く。

ドオオオオオ!

「23分28秒、ムーンサルトプレスからの片エビ固めで、菊池理宇の勝ち」

「ええ?いま3つ、もしかして入っちゃった?」

勝者の菊池があわててレフェリーのトム氏にカウント3が入ったかを確認する。

本部席もびっくり仰天。

「かいせつの保科さん・・・・菊池選手が勝ってしまいましたねえ・・・・」
「驚きです~」

なにしろSPZクライマックスにも出られなかった若手中堅選手の菊池があのEWAの最強外人、ナターシャ・ハンに勝ってしまったのだ。

菊池の細い腰に歴史あるEWAのシングルベルトが巻かれる。

「あ、あわわわ・・・」

菊池、あばしりタッグの時とは違ってうろたえまくりであった。あのときはボンバー来島という強力なパートナーがいたが今回は100%自力で獲ってしまった・・・・

「おうい!しっかりしろチャンピオン!そのベルトはあたしも巻いたことがないんだから、胸を張って帰れ」

SPZ王者の吉田龍子がリング下から声を掛ける。井上霧子に要請されてこの選手のコーチ役を引き受け、精神力だけはありそうだと考えて、厳しい練習を課したが、菊池は進んで特訓を受けて、ついにシングルのベルトを巻くまでに成長した。 

試合後の控え室。

「イヤー残念だなー菊池、ベルト獲っても定番儀式できないなんてな、悪く思うなよ、ハハハハ」

吉田龍子が菊池の頭から「ミネラルウォーター」をかける。何しろ菊池はまだ18歳。ビールで乾杯なんてことは許されない。吉田はちゃっかりカバンの中に隠し持っていた「スーパードライ」を飲んでいた。

「自分が面倒見た選手がベルトとるってのは、マグレでもうれしいね。」

ーおそらく今回は相手も100%勝てると甘く見ていたフシがあった。ベルトがないと本国の興行にさしさわりがでるから来月はそれこそ死に物狂いで取り返しに来るだろう。今の菊池にそれを撥ね返して防衛する力はないだろう。それでもこんな小さな選手がシングルのベルトを獲ったのはすごいことだ・・・

敗れたナターシャ・ハンは呪いの言葉をロシア語でつぶやきながら控え室へ向かった。

「翌月リターンマッチで腕へし折ってやる・・・・」

2007年7月22日 (日)

第168回 吉田龍子の栄光

前回までのあらすじ

横浜のお嬢様プロレス団体「SPZ」は毎年8月にシングルリーグ戦、SPZクライマックスを開催する。過去12回の優勝者は以下の通り。

第1回 優勝 ミミ吉原 

第2回 優勝 沢崎光  

第3回 優勝 南利美    

第4回 優勝 伊達遥 

第5回 優勝 草薙みこと 

第6回 優勝 草薙みこと  

第7回 優勝 草薙みこと 

第8回 優勝 吉田龍子 

第9回 優勝 吉田龍子 

第10回優勝 吉田龍子  

第11回優勝 吉田龍子   

第12回優勝 吉田龍子   

そしt最終戦横スペ大会リーグ戦開始前時点での優勝争いはこうなっていた

勝ち点10 吉田龍子(最終戦の対戦相手:ギムレット美月)

       スイレン草薙(最終戦の対戦相手:ハイブリッド南)

勝ち点8 ハイブリッド南(最終戦の対戦相手:スイレン草薙)

      新咲祐希子(最終戦の対戦相手:ボンバー来島)

吉田の勝ち点12は確定的なので、優勝争いは吉田とスイレンの2人に絞られた。

そして、横スペ、最後の激闘4試合が始まった。

新咲(10点、パワーボムからのエビ固め 14.04)B来島(6点)

ボンバー来島、SPZクライマックスをかき回す。優勝候補の一角ハイブリッド南から白星を挙げたのは見事。しかしこの日は新咲の動きについていけず、ヘッドバットでの反撃も散発的。やはりリーグ戦の疲れが出ているのか。

(ボンバー来島、じつは昨日の相羽戦で膝をかなり痛めていた)

「はああー、いっくよーっ!」

ボンバー来島、最後はフェイスクラッシャーからパワーボムとつながれて敗北。4敗目を喫して予選会行きが決まった。

S相羽(6点、タイガースープレックスホールド12.13)V麗子(2点)

セミ前の試合では、相羽の投げ技とV麗子の蹴りが激突。

「やっ!」

ビーナス麗子のハイキックが相羽をたじろがす。しかし相羽もデスバレーボムで形勢逆転、そのあと強烈なハイキックのお返し、続けてのタイガースープレックスで3勝目をあげてリーグ戦を終えた。

「負けた試合は全部悔しいです」

そういって相羽は会場を後にした。

吉田(12点、ステップキックからの片エビ固め15.27)G美月(0点)

あー、やっぱり今日は2試合やるのかな・・・
吉田はセミファイナルでギムレット美月と対戦。いつものように力任せに攻め込んでゆく吉田。後半はギムレット美月の攻撃を適度に受けて、ドラゴンカベルナリアを力で振りほどいて、最後はステップキックでギムレットを下した。ギムレット美月、初めて出たリーグ戦は全敗に終わった。

吉田龍子、着がえずそのまま控室モニタでメインイベントを見る。

「ハイブリッド選手が勝ってくれたらもうけものなんだけどね」

S草薙(12点、背面トペからの体固め 16.35)H南(8点)

「こういうの、心臓に悪いね」

モニタでメインの激闘を見つめる吉田龍子。ハイブリッド南が勝てば優勝が転がり込んでくるが、スイレンが勝てば同点での優勝決定戦となる。

一進一退の攻防が続いたが、スイレン草薙がノーザンからバックドロップ2連発で優位に立つ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ハイブリッド南もならばとネオサザンクロスロックをしかけるがロープに近い。スイレン、最後は返し技の背面トペでうまくハイブリッド南からカウント3奪取。

もう1試合見られる。場内はものすごい歓声に包まれた。

「やーれやれ、賞金は自力でつかめってか」

吉田はタオルで汗を拭いてから2度目のウォーミングアップを始めた。

*****************************

「ただいまより第13回SPZクライマックス 優勝決定戦を行います!」

ドドドドドドドド!

20分のインターバル(合間にはトークショーで時間を稼いだ)をはさんで優勝決定戦のアナウンス。

スイレン草薙、悲願のSPZクライマックス初優勝へ向けて進む!この日2回目の戦いの場へ向かう!

「オリエンタルクラッシュ2」がかかる中、スイレン草薙が決定戦のリングへ向かう。表面上は冷静を装っているが実際はボロボロの状態。

ー疲れているけど、そんなこと言い訳にしたくない。2年続けて決定戦で負けられない。

激闘の後だが、スイレンの目はまだ死んでいない。
午後7時40分、スイレン草薙は覚悟して青コーナー側の花道を歩き始めた。

そして「赤い破片」がかかり、吉田龍子がリングへ。

ーはっきり言って、実力ではもうアンタのほうが上だ。でもプロレスは強い選手が必ず勝つとは限らないんだ。その辺を教えてやる。

「吉田選手がちょっと有利ですね。スイレン選手はさきほどハイブリッド選手と気の抜けない戦いを16分やりましたけど、吉田選手はセミファイナルでギムレットの挑戦を余裕で受けてましたから休養できていると思います」
かいせつの上原コーチが評する。

優勝決定戦のゴングが鳴った。

ー短期決戦しかない。強い気持ちで行く。向こう以上の。

「オラァァァ!」

試合のほうはいきなり吉田がスイレンを「殺し」にかかった。長期戦では不利と見たのか、3分過ぎに吉田いきなりスプラッシュマウンテン、そしてDDT。カウント2で返すスイレン。

「うあああーっ!」

ー吉田さんも、死ぬ気で戦っているのがわかる。だからこそ、この人に勝ちたい。

スイレン草薙は体勢を立て直すとノーザンライトスープレックス。吉田のガタイが放物線を描いてたたきつけられる。カウント2で返したところをスイレン、追撃のバックドロップ!

「うわあああ・・・っ」
あまりの投げの鋭さに、重心をずらしてダメージを半減させる手も使えない。
そしてスイレン、

「これで、決めますっ!」

とどめとばかりに2度目のノーザンライトスープレックス。
ワン、トゥ・・・
吉田がカウント2.8で返す。

スイレン、すかさず組み付こうとして投げようとするが、踏み込みが甘いのか、吉田に頭を抑えられて、

「コノヤロウ!」

美しさのかけらもない吉田のヤクザキック3連打。1発目はひざ、2発目は腹に叩き込んで、3発目には顔面に思いっきりけりを入れた。
吹っ飛ぶスイレン、蹴った吉田も勢いのあまり倒れこんでしまう。両者ダウン。

「死闘だ・・・」

つぶやくセコンド陣。

これが2試合めの両者、もういくらも力は残っていない。
先に吉田がしんどそうに起き上がり、横たわるスイレンの頭をつかんで、足の間に挟み、そのまま腰を持って、

パイルドライバー!

「がっ・・・・」

頭を打ったスイレン、この後のフォール、思うように足が動かせず無念の3カウントを聞いた・・・

「14分49秒、パイルドライバーからの体固めで吉田龍子の勝ち」

ドドドドドドドドドドド!

吉田龍子、SPZクライマックス6連覇達成。若手のころ先輩方を倒した優勝。全盛期、涼しい顔してほかの全員を圧倒しての優勝。下から追いかけてくる後輩を返り討ちにしての優勝。そして、自らの力の限界と闘いながら得た優勝。横スぺのファンはヨシダコールで応えた。

「ハァ、ハァ・・・へっ、やったぞ・・・」

吉田龍子、立ち上がれず、這うようにしてトロフィーをつかみ、抱きしめた。13本のリボンのうち6本に彼女の名が記されている。

2007年7月21日 (土)

第167回 吉田龍子の気迫

引き続き13年目8月、SPZクライマックスの続き。

第5戦は名古屋しゃちほこドーム大会。ドーム球場が4万5千の観衆で埋まった。

新咲(6点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 13.33)V麗子(2点)

打撃技に見るべきもののあるビーナス麗子だが、総合力では新咲のほうが数枚上手。この日も落ち着いて闘って最後はフェイスクラッシャー2連発からのシャイニングウィザードでしとめた。

S相羽(2点 キャプチュード 10.45)G美月(0点)

3連敗同士の一戦。スターライト相羽、裏拳2連発などでなりふり構わない手で攻め立て、ぐらついたギムレット美月をキャプチュードで沈めた。ギムレット美月、いいところなく4連敗で予選会行きが決定。

「よしっ!勝てた!優勝はむずかしいけどシード権を取る!」

そして、次のセミファイナルで大番狂わせがががが。

B来島(6点、ナパームラリアットからの片エビ固め 24.11)H南(4点)

6期生のハイブリッド南と11期生のボンバー来島の対決は意外に大熱戦となった。来島のヘッドバットが頭にきてふらついたハイブリッド南、動きにいつもの冴えがない。互角のまま20分経過のアナウンス。盛り上がるドーム。

「・・ったく、さっさと眠りなさい!」

しかしハイブリッド南、5年先輩の意地で盛り返し、ニーリフト!腹を押さえてうずくまる来島を引きずり起こしてもう一回!
伊達遥が引退した今ではこの選手がニーリフトの一番の使い手かもしれない。冷酷な攻めに館内息を呑む。

これでハイブリッド南が流れをつかんだかに見えたが、

ボンバー来島が、

体ごとぶつかる、

STO!

「あーっと、これは交通事故級の衝撃~!」

そして

「ウオオオーッ!」

ボンバー来島が咆哮したあと、ナパームラリアット炸裂。鍛え上げられた来島の重さを右腕に乗せたラリアットを食らって頭からマットに落ちるハイブリッド南。

「ワン、トゥ、スリー!」

これでハイブリッド南から3カウントを奪った。

「そんなバカな・・・・」

呆然とするハイブリッド南。このリーグ戦では下位からの取りこぼしは「してはいけない」のだ。この1敗はあとあと大きな意味を持つことになる・・・

吉田(6点 スプラッシュマウンテンからのエビ固め 10.06)S草薙(6点

「昨日の負けたの?ビール飲んで忘れたよ」

試合前の吉田はリラックスした表情。しかし吉田龍子、この試合は「絶対に負けられない」ことはわかっておりいきなりの猛攻を仕掛ける。

ーいまのあたしには長期戦は厳しい、一気に勝つしかない!

「けええーっ!」

ラリアット連発の後ニーリフト。そのあとDDT,プラズマサンダーボムと鬼気迫る動きを見せた。そしてとどめは吉田のフェバリットホールド、スプラッシュマウンテン、勝負タイム10分6秒、スイレン草薙に圧勝した。

「かいせつの保科さん、スイレン選手に土がついてしまいましたね」

「ええ~、まさかスイレン選手も吉田選手がいきなり積極的にどかどかしかけてくるとは予想してなかったんだと思います~」

まだまだ吉田龍子死なず。名古屋のファンはそう感じた。

****************************

第6戦は仙台大会。過酷なリーグ戦がまだまだ続く

新咲(8点、高速ジャーマン 17.38)S相羽(2点)

相羽は先輩相手だと気後れする性格なのか、どうしても主導権が握れない。この日も前半は新咲あいてによく闘ったのだが・・・最後は新咲、高速ジャーマンで決着。4敗目を喫したスターライト相羽、予選会行きが決定。

「ボクは・・・どうして勝てないんだろう・・・」

3度にわたる海外遠征でそうとう力も技術も上達した。それでもなお先輩方の壁は厚い。

吉田(8点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 13.18)B来島(6点)

パワーファイター同士の激突。吉田には修羅場をくぐり抜けてきたキャリア、来島には若さがある。

「まあ油断は出来ないよね。きのう性悪女に勝っちゃってるし」

吉田がラリアットやステップキックなどの打撃で試合を作ってゆく。しかし、来島のヘッドバットを鼻で受けてしまった吉田流血。これで闘争心に火がついた吉田が猛攻。

「てめぇコノヤロウ!」

鼻から鮮血を滴らせながらラリアット連発、バックドロップ2連発、そしてニーリフト。鬼神の表情で来島を攻める。そしてパイルドライバーで来島の動きを止めてからギロチンドロップ、そして非力となった来島を高く担ぎ上げてスプラッシュマウンテン。

ドーン。

ボンバー来島をたたきつぶした。

「まだまだ、若いあいつらには負けませんよ!」

控え室で鼻血をぬぐいながら吉田はきっぱりとコメントした。

H南(6点 ジャーマン12.21)V麗子(2点)

思いのほかビーナス麗子の蹴りにてこずったハイブリッド南だが、最後はジャーマンでビーナス麗子を撃破。

S草薙(8点、ノーザン 6.00)G美月(0点)

スイレン草薙が前日の悪夢を振り払うかのような猛攻。まったくギムレット美月を寄せ付けずノーザンで完勝。6分ジャストでの短時間決着に場内唖然。

***************************

北海道に移動して第7戦は札幌どさんこドーム大会。

S相羽(4点、ヒップアタックからの片エビ固め 15.52)B来島(6点)

このカードは意外に好勝負となった。来島の力まかせの攻撃をかいくぐった相羽が一つ一つの技を的確に決めていって最後はヒップアタックから片エビ固めでフォール勝ちをスコア。

H南(8点、カカト落としからの片エビ固め 8.01)G美月(0点)

ハイブリッド南が格下のギムレット相手に貫禄を見せつけ、快勝。

吉田(10点 キャプチュード 20.15)新咲(8点)

1敗同士の対決。吉田は先手必勝とばかりにラリアットで攻勢。しかし新咲もチョップ、エルボーで応戦し、気合の入ったプロレスが展開された。

しかし吉田、ころあいを見てバックドロップ、ブレーンバスター、DDTと大技攻勢に出るあたりはさすがに試合運びがうまい。しかし新咲も逆転を狙って高速ジャーマン!場内悲鳴。

しかし吉田、勝利への執念か、あまり見せないアキレス腱固めを繰り出して新咲の勢いをとめて、そしてステップキック。

しかし新咲もシャイニングウィザード。大技の攻防で場内は沸きに沸いた。

「ハ、ハァ、やる、ねぇ・・・ゆっこ・・・」

しかし新咲が次の技を狙ってロープに振られた吉田がうまく逆転の背面トペで押しつぶして形勢逆転。

何とかフォールを返した新咲、息が相当乱れてる。吉田龍子、すかさずキャプチュードで投げてカウント3を奪って優勝戦線に踏みとどまった。

ーよしっ、とったぞ・・・・

20分に及ぶ激戦を制した吉田、これで勝ち点を10とした。

S草薙(10点、ストレッチプラム 10.26)V麗子(2点)

スイレン強い。ビーナス麗子をまったく問題にせずサソリ固めで動けなくしておいてのストレッチプラムでギブアップ勝ち。完勝である。

**************************

これでリーグ戦はあと1試合最終戦のヨコスぺ大会を残すのみとなった。8点のハイブリッド南、新咲にも数字のうえで可能性は残されているが、吉田の最終戦の相手がここまで0点のギムレット美月なので、実質的に優勝争いは10点の吉田とスイレンに絞られたといえる。スイレン草薙、最終戦の相手は難敵ハイブリッド南。仮にスイレンが勝っても恐らく吉田との決定戦になるであろう・・・

2007年7月20日 (金)

第166回 吉田龍子の苦闘

13年目8月 SPZクライマックス編その2

前回のあらすじ

横浜のお嬢様プロレス団体「SPZ」は毎年8月にシングルリーグ戦を行う、過去5年連続優勝を誇る吉田龍子(23)、力の衰えは隠せないが、「それでも出るからには優勝を狙う!」と悲壮な決意でリーグ戦に臨んだ。初戦の大阪大会、まずスターライト相羽を撃破した。

リーグ戦第2戦 博多大会。

B来島(2点、パワーボムからのエビ固め 7.21)G美月(0点)

「オラオラオラー!」

地元ということで気分よく闘ったボンバー来島がパワーでギムレット美月を圧倒し、力のこもったパワーボムでカウント3を奪ってリーグ戦初白星を挙げた。

吉田(4点、プラズマサンダーボムからのエビ固め 7.13)V麗子(2点)

「こういう試合でポカできないのがSクラなんだよ」

試合前の雑談で記者に話す吉田龍子。一方的に攻めて、わずか7分でビーナス麗子の挑戦を退けた。これで吉田龍子2連勝。恐ろしいまでの集中力。

H南(2点、カカト落としからの片エビ固め15.57)S相羽(0点)

意外と相羽が攻める。ハイブリッドはなんとかして寝かせて関節地獄に持ち込もうとするので攻めがワンパターン。しかしハイブリッド、12分過ぎに一気に猛攻。ニーリフトで相羽の動きを止めてジャンピングニー、アキレス腱固めで痛めつけてジャーマン。相羽はこれで大ダメージ。最後はカカト落としで熱戦に終止符を打った。これでハイブリッド南、リーグ戦初白星。

「どうして、ボクは勝てないのかな・・・」

スターライト相羽、2連敗発進に控室で落ち込む。

S草薙(4点 ノーザンライトSH 14.02)新咲(2点)

スイレン強い。元SPZ王者の新咲を圧倒し、ノーザン、ストレッチプラム、デスバレーボムで動きを止めてしまう。最後は2度目のノーザンで快勝した。スイレン草薙2連勝。今年こそは優勝して吉田時代に終止符を打つ。そう考えているのか。

******************************

翌日は広島若鯉球場大会。

B来島(4点、裏投げからの片エビ固め 15.47)V麗子(2点)

いつものような品のない闘い、ヘッドバット連発でペースを握る来島。しかしV麗子もエルボーやチョップで応戦。まるでケンカのようなファイトに広島のファンは沸いた。しかし来島の頭突き攻勢を受け切れなかったビーナス麗子がふらふらになり、そこを突進した来島のネックブリーカー。これは強烈。そしてパワーボムで大ダメージを受けてしまう。ビーナス麗子もハイキックで反撃するなど見せ場を作ったが、そこまでで最後は来島が裏投げでビーナス麗子をしとめた。これで2勝目。

新咲(4点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 12.07)G美月(0点)

ころあいを見て猛攻を仕掛けた新咲が快勝。フィニッシュはシャイニングウィザードだった。

H南(4点、ジャーマン12.11)吉田(4点)

手数ではハイブリッド南が勝る。この展開にじれた吉田がスプラッシュマウンテンで形勢打開を図ろうとする。しかしきょうのハイブリッド南は落ち着いていた。

―吉田さんに勝つには技を積み重ねればいい。

ヒップアタック連発で流れを変え、そしてジャーマン、ミサイルキックと多彩な攻めを見せて吉田をふらふら状態に追い込み、最後はバックに回って2度目のジャーマン。重い吉田をハイブリッジできれいに投げきってしまう。

―ワーン、トゥー、スリー!

吉田返せず試合終了。場内どよめきに包まれた。

「あたしもプロレスがヘタクソになってきたね」

控え室でリプレイを見ながら吉田ボソッとつぶやく。今のスイレン草薙の状態を考えるとこれ以上負けられなくなった。

S草薙(6点、デスバレーボムからの片エビ固め 14.47)S相羽(0点)

スイレン強い。投げまくりで相羽に付け入る隙を与えない。しつこくストレッチプラムをかけ続けて戦意を奪っておいてデスバレーでしとめて終了。そつなく3連勝で単独トップ。

「ああああああ・・・・」

スターライト相羽、まさかの開幕3連敗。吉田H南スイレンの団体トップどころからひとつも勝てなかった。

試合が終わり、選手が荷物をまとめて宿舎行きのバスに乗り込む。

「明日の名古屋、スイレン選手に負けられなくなっちゃったね」

つぶやく吉田龍子。

先月のSPZ戦主権では勝っている相手で、真正面から来るタイプなのでやりやすいのだが、今の自分が100%勝てる相手じゃない。向こうも強い気持ちで来るだろうから、こっちも負けないようにしないと・・・

「まあ、やるしかないよね。結果はなるようにしかならないし」

吉田龍子は新咲と夜の街へお好み焼きを食べに出かけた。

2007年7月19日 (木)

第165回 吉田龍子の決意

13年目8月
恒例の「真夏の決戦」SPZクライマックスの季節。8月3日の夜9時、例年通りSPZ横浜本社2階にある閉店後のメイド喫茶「あばしり」を借り切って記者会見が行われた。

■「生ける格闘伝説・SPZ世界王者」吉田龍子(23)

第8回・第9回・第10回、第11回、第12回大会優勝、8年連続8回目の出場

 「全員倒して、優勝する、それだけ。」

■「最強戦士・元SPZ世界王者」ハイブリッド南(22)

6年連続6回目の出場。

「今年も完璧な闘いを見せるわ」

■「生ける大食い伝説」新咲祐希子(22)

5年連続5回目の出場

「目標は優勝。賞金でおいしいものを食べに行きます」

■「新・最強巫女伝説 元SPZ世界王者」スイレン草薙(20)

5年連続5回目の出場

「今年は絶対に優勝します」

以下は予選会勝ち上がり組。

■「シューティングスター」スターライト相羽(19)

3年連続3回目の出場(予選会1位通過)

「特訓の成果を見せます」

■殺人ラリアット「ボンバー来島」(17)

初出場 予選会2位通過

「全員気持ちよく眠らせてやるぜー」

■「一撃必殺」ビーナス麗子(18)

2年連続2度目の出場 予選会3位通過

「何とかして勝ち越したいです」

■「ファイティングコンピューター」ギムレット美月(18)

初出場 予選会4位通過

「優勝の確率は微妙ですが、まあ、頑張ります。」

*************************

今年の注目はなんといっても吉田龍子の「超絶金字塔6連覇」がなるかどうかといったところ。かつての絶対王者・吉田も最近ではハイブリッド南やスイレン草薙相手には分が悪くなってきており、京スポ新聞は昨年同様に「本命スイレン草薙、対抗ハイブリッド、大穴吉田龍子」などと報じていた。(怒った吉田龍子が京スポ新聞をビリビリと引き裂き、若林記者に手加減して卍固めを仕掛けたのは言うまでもない)

吉田は新咲など親しい選手には漏らしていた。

「長期戦は・・・きついと思う。あとはあたしの身体に流れているレスラーの血を信じるだけだ」

なにわパワフルドームでのリーグ戦初戦の前に、ドハデに入場式が行われた。リング上に8人の出場が整列。選手はそれぞれの名が記された「タスキ」をかけている。これはリーグ戦のお約束である。

選手ひとりひとりが恐ろしい寸評つきで読み上げられる。寸評を考えたのは京スポ新聞若林記者。読み上げるのは村越リングアナ。

「SPZきっての頭脳派!対戦相手を地獄送りにするアプリケーション多数!ギムレットー美月!」

「かわいい顔してハイキックは激烈。相手を一発で眠らせる恐怖のキッカー、ビーナスー、麗子ーッ!」

「対戦相手を気持ちよく眠らせる、豪腕大魔王、ザ・ラリアット、福岡が生んだとんでもないやつ、ボンバー来島!」

「海外修行3度!不屈の闘志、今度こそ、今度こそ星明りがSPZを照らす!スターライトー、相羽ーっ!」

「テレビ番組でおなじみのしょくつうレスラー、大物食いを狙う山口の怪人、新咲ー、ゆきこーー!!」

「姉を超えたハイブリッド戦闘マシーン!関節技も立ち技も完璧、SPZのサイボーグ、ハイブリッドー、南ーーッ!」

「草薙流格闘術の真髄を見せる。いまやSPZの大黒柱、スイレンー、草薙ィィィィ!」

「吉田の前に吉田なく、吉田のあとに吉田なし。SPZクライマックス5連覇、吉田ーーりゅーこーッ!」

ドドドドドドドドドドドドドドドド!!

沸き立つ大阪のファン。そのあと吉田龍子のトロフィー返還、井上SPZ社長代行の開会浅間ルール説明と続いて、8選手が花道をいったん引き揚げる。

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「リーグ戦に先立ち、始殴式(なぐりはじめしき)を行います。始殴式を務めますのは、元KJW世界王者、井上霧子であります。」

会場大笑い。

やられ役を務めるのは特別ゲスト、第2回SPZクライマックス優勝者沢崎光である。

パンツスーツ姿の井上がジャージ姿の沢崎をロープに振って、戻ってきたところを・・・

ヤクザキック!

井上の強烈?な蹴りを食らって倒れこむ沢崎。井上がそのまま押さえ込んで3カウント奪取。なにわパワフルドームは大笑い。

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前座の3試合のあと、悪魔のリーグ戦がスタート。

V麗子(2点、ジャンピングニーからの片エビ固め 11.04)G美月

一方的にビーナス麗子が打撃技で押し込む展開。ジャンピングニーが入ってしまったのかモーローとするギムレット美月、動きに精彩なく、最後もジャンピングニーで敗れた。

「勝ったよーッ!」

同期対決を制して、コーナー最上段で叫ぶビーナス麗子。

吉田(2点 シューティングスタープレス 14.41)S相羽

今年も熱い夏、吉田龍子の挑戦が始まる。しかし吉田の試合順はセミ前の扱い。

―ま、相羽ちゃんがどこまで強くなってるかだけど。緒戦は絶対に取りたいよね。

SPZクライマックス5連覇の吉田龍子と新鋭のスターライト相羽が相対、

いつものように、

パッシーン!

ラリアットでペースをつかむ吉田。そしてステップキック。打撃技に頼るあたりが動きのかげりが見て取れなくもない。相羽、けんめいに抗戦するも4発めのラリアットでグロッキー状態になってしまう。吉田、ころあいを見てDDT,プラズマサンダーボムと大技攻勢に持ち込んで、最後は秘技・シューティングスタープレスで相羽を退けた。

「よしっ、初戦はとった。」

ニコリともせず引き揚げる吉田龍子。この選手、本気で奇跡の6連覇を狙っている。

新咲(2点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 15.35)H南

 大阪大会セミファイナルは6期生同士の対戦。一進一退の攻防が続く。新咲がとくいのフロントスープレックスを2連発。ハイブリッドも自分得意の関節技に持ち込もうとするが新咲もそこいらへんはよくわかっており、シビアな差し手争いが展開される。そして終盤はフェイスクラッシャー、シャイニングウィザードで優位に立った新咲が、ハイブリッド南を高々と抱えてー

スプラッシュマウンテン!

ドッゴーん。

名手・吉田ばりのフォームで決めた。返せなかったハイブリッドは黒星発進。

「くッ・・・でもすんだ事だわ。これで吉田さんとスイレンに勝つしかなくなったわけね」

ハイブリッド南、吉田に並ぶ団体西の横綱格の選手だが、まだSPZクライマックスを制したことがない。

S草薙(2点、ローリングソバットからの片エビ固め 13.23)B来島

大阪大会メインにはスイレン草薙とボンバーが起用された。

「ウォォォォォー!」

ーまだまだ構えに隙が見えます。

力任せの来島の動きを難なくさばいてゆくスイレン。逆にカウンターの投げ技で着々とダメージを与えてゆく。ボンバー来島、攻め手がみつからぬまま逆にずるずるとダメージをもらってしまい、逆に強烈なバックドロップを食らってしまう。

「うがっ・・・・」

このあとデスバレーボムで動けなくしておいて、最後はスイレン草薙、力の差を見せ付けるようにローリングソバットでカウント3奪取。パワーファイター、ボンバー来島に完勝。

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メインの試合をリング下で見終わった吉田。京スポ新聞若林記者にポツリと一言。

「なるようにしかなりませんね。」

かみ締めた唇が6連覇への決意を物語っていた。

(長くなるので続きます)

2007年7月18日 (水)

第164回 13年目7月 まだ、あたしは死んでないぞ・・

13年目7月
横浜のお嬢様プロレス団体・SPZが夏の夜空を熱く彩る「サマースターナイツシリーズ」開幕。

第5戦宇都宮体育館大会メインイベントではギムレット美月・ガイア小早川対ユーリ・スミルノフ、ドリュー・クライの「あばしりタッグ戦」
「ハーハハハハハ、何もかもぶっ壊してやる!」
「お気をつけ下さいお気をつけ下さい」(村越リングアナ)

必要以上にチェーンを振り回して暴れながら花道を入場するユーリ・スミルノフ。パートナーのドリュークライも草薙みことや伊達遥を蹴り倒したこともある「キックの鬼」常連外人である。

「解説の保科さん、この試合の見所は」
「そうですね~、ドリュー選手もユーリ選手もSPZでの戦歴の長い常連外国人さんですので、若い選手相手だとつぶしにかかってくるでしょうね~」

で、その通りにドリュー・クライのニーリフトでガイア小早川がいいようにやられる状態だったが・・・
ギムレット美月、逆転のドラゴンカベルナリア。これで王者組が2度目の防衛に成功。

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あばしりタッグ選手権試合

ガイア小早川 ○ギムレット美月(25分くらい、ドラゴンカベルナリア)ドリュー・クライ×、アリス・スミルノフ

王者組が2度目の防衛に成功

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最終戦は新日本ドーム大会。

第1試合はビューティ市ヶ谷対キューティ金井。キューティーのバックドロップ、市ヶ谷のDDTと双方大ダメージを負った試合は最後、キューティー金井のフロントスープレックスが決まり終了。

第2試合はロイヤル北条対ウェイン・ミラー。新人の北条も懸命に食い下がったが、ウェインミラーが場外戦で散々いたぶってからのブレーンバスターで北条、玉砕。

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メインはスイレン草薙のSPZ王座に吉田龍子が挑戦。かつての絶対王者にも往時の凄みはない。ただスイレン相手の相性の良さを買われての挑戦者起用となった。場内に「赤い破片」がかかり、いつものように黒いロングガウンを羽織った吉田龍子がドームの長い花道をゆっくり歩いて入場。

―もしかしたらこれが最後のベルト挑戦かもしれないね。

吉田龍子24歳、スターライト相羽やボンバー来島といった次の世代もかなり育ってきているので、そのあたりは覚悟していた。

吉田龍子は全力でスイレンにぶつかっていった。いまではスイレンのほうが投げ技のキレがあるので吉田はそのたびに流れを止められ、思うような攻撃ができない。しかしー

ーどんどん攻めてく。それがあたしのレスリングだったはずだ!。

15分過ぎに先手必勝で勝負に出た吉田、強引にスイレンを担ぎ上げてのスプラッシュマウンテン!

「あ・・・っ・・・・」

唐突に力任せのスプラッシュマウンテンをムリヤリ決めたためかえってダメージが大きかったようだ。

これで動きに精彩がなくなったスイレン、吉田龍子、そこを狙ってステップキック、そしてプラズマサンダーボム!

あの絶対王者時代をほうふつとさせる猛攻。新日本ドームが揺れた。

最後は大技を受けまくったスイレンの集中力が切れたところをー

「しばらく寝てろ!」

強烈なステップキック。頭を蹴られてマットに倒れこむスイレン草薙。上からのしかかって片エビで押さえる吉田、

「ワン、トゥ、スリー」

これで勝利をもぎ取った。王座移動。吉田龍子がチャンプに返り咲いた。

「まだ、あたしは、死んでないぞ・・・」

吉田龍子、これで7回目のSPZベルト戴冠。戴冠回数でもあの伊達遥に並んでトップに立った。
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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

吉田龍子(20分くらい、ステップキックからの片エビ固め)スイレン草薙

スイレン草薙が初防衛に失敗。吉田が第34代王者となる

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2007年7月17日 (火)

第163回 13年目6月 SPZクライマックス予選会

13年目6月
「ファンクラブだって?物好きなやつがいたもんだな」
キュートさとは無縁のパワーファイター・ボンバー来島にファンクラブができた。

「気持ちよく眠らせてやるぜー」が一部のマニアックなファンのハートをわしづかみにしたのかもしれない。

SPZの商売敵、新日本女子が今度はAACと提携。井上社長代行は目の前が暗くなった。EWAと契約を再締結した矢先の出来事であった。

「これも、興行戦争なのね・・・・」
書類の山に突っ伏す井上代行。

6月はSPZクライマックスの予選会。若手中堅選手の熾烈なリーグ戦である。上位4名にSPZクライマックス本大会出場権が与えられる。出場選手は以下の8名。

(8期生)マイトス香澄
(9期生)ガイア小早川、スターライト相羽(前回本大会2点)
(10期生)ビーナス麗子(前回本大会4点)、ギムレット美月
(11期生)菊池理宇(前回本大会0点)、ボンバー来島
(12期生)芝田美紀〔昨年度最優秀新人〕
初戦の山口大会からリーグ戦がスタート。

G美月(2点、ハイキックからの体固め)芝田

終始圧倒した10期生のギムレット美月、昨年は負傷で予選会に出られなかったが今年はなんの問題もない。まずは芝田にキャリアの差を見せつけ快勝。

V麗子(2点、ハイキックからの片エビ固め)M香澄

去年は3位通過で本大会に出ているV麗子、落ち着いてマイトス香澄をハイキック2連発で仕留め白星発進。

菊池(2点、ダイビングボディプレス)G小早川

菊池は去年ギリギリで4位通過して、本大会で全敗している。「先輩たちに成長したとこを見せたいと思います」リーグ戦初戦、まずはガイア小早川を撃破。

S相羽(2点、キャプチュード)B来島

3度にわたる海外遠征で相当もまれた相羽、「予選会に出るのは今年で最後にしたいと思います」来島のパワーにもあわてず逆に強烈な裏拳、キャプチュードで戦意を奪いフォール勝ち。

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2戦目は島根大会。

芝田(2点、延髄斬りからの片エビ固め)V麗子(2点)

「これでおしまいですわ!」芝田が延髄斬り、裏拳で追い込む。これで「訳わかんなくなった」ビーナス麗子。2発目の延髄斬りを食らってフォール負け。ビーナス麗子、後輩相手に痛い星を落とした。

菊池(4点、ダイビングボディプレス)M香澄(0点)
「菊池ぃ」菊池のコーチ役の吉田が檄を飛ばす。
「8月のSクラ(略している)であたしに勝つつもりだだったら予選リーグは全勝してこぉい!」

菊池、危なげなくダイビングボディプレスでマイトスを圧殺。

B来島(2点、バックドロップからの片エビ固め)G小早川(0点)

「食らいやがれ!」
試合開始早々のヘッドバット3連発。これでガイア小早川ふらつく。そして痛めた頭をさらに痛めつける。バックドロップ3連発!教科書どおりの一点集中で来島が勝ち点2をゲット。

S相羽(4点、タイガースープレックス)G美月(2点)

「相羽選手は海外生活が長かったですから、いろんなスタイルのプロレスに適応できるバランスが取れてるんですよ~」かいせつの保科優希が語る。

「ふっ!」裏拳がギムレットを追い込んで。
「はぁぁぁ・・・!」S相羽のタイガースープレックス。腕のフックもしっかりしていたのでこれは返せなかった。

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第3戦は鳥取大会。
菊池(6点、スクラップバスターからの片エビ固め)芝田

きのうV麗子を破って意気上がった芝田だが、菊池は攻め手を与えずガンガン行く。ボディプレスは返したが続くスクラップバスターを返せず終了。菊池これで3連勝。

来島(4点、STOからの体固め)M香澄(0点)
マイトス香澄21歳。ボクっ娘レスラーもベテランの域に入ってきたが、きょうの相手、来島のパワーにはなすすべなし。

「オラオラオラー!」
最後は「交通事故並みの衝撃じゃないですか~」STO。マイトス香澄これで撃沈。

G美月(4点、逆片エビ固め)G小早川(0点)

前SPZ世界タッグ王者のガイア小早川、この日はG美月の強烈な逆片エビにタップするしかなかった。これで3連敗・・・

S相羽(6点、デスバレーボムからの体固め)V麗子(2点)
スターライト相羽強い。ビーナス麗子のお株を奪うハイキックで弱らせて、デスバレーボムで豪快に決める。

「こんなところで、負けてらんない・・・」

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第4戦福井大会。
来島(6点、ネックブリーカーからの片エビ固め)芝田(2点)

「これでおしまいですわ!」
芝田の必殺延髄斬りが決まるが、来島は動じない。
「そんなんで勝つつもりかーっ?」
突進してネックブリーカードロップ。こんな技も来島が使えば交通事故並みの衝撃。芝田撃沈。
控室に戻って来島は「ちょっと痛かったね」と言ってコールドスプレーを頭にかけた。

G美月(6点、逆片エビ固め)M香澄(0点)

「ギャアアアアアア」
ギムレットの逆片エビ固め。マイトスの体が反り返る。痛め技などでなくこれで決めるつもりだ。マイトス香澄はたまらずギブアップ。

V麗子(4点、片エビ固め)G小早川(0点)

すでに2敗を喫し星勘定の苦しいビーナス麗子がわずか6分で小早川を蹴り倒した。

S相羽(8点、裏拳からの体固め)菊池(6点)

全勝同士の対決。相羽の繰り出す投げ技を懸命に耐えて、菊池ムーンサルト。しかし相羽返す。つづいて菊池が勝負をかけたダイビングボディプレス。しかし相羽転がってかわす。そーぜつな自爆。

「ああああああっ・・・」
腹を押さえてもだえる菊池。すかさず引きずり起こして裏拳一撃。これで相羽4連勝。

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第5戦は石川大会。残すところ3戦の予選会、若手中堅選手による壮絶な星のつぶしあいが展開された・・・

G美月(8点、ドラゴンカベルナリア)菊池(6点)

1敗同士の対決だが、きょうの菊池いいところなく、ギムレットに攻め込まれて最後はドラゴンスリーパーでぐったりさせてからのドラゴンカベルナリア。ギムレット美月に完敗を喫した。
「菊池ぃ、もっと技かけてかないとだめだろが!」
控室で吉田が叱咤する。
「あした麗子戦だろ、死ぬ気でやれ、いいな!」

来島(8点、バックドロップからの体固め)V麗子(4点)

ボンバー来島が持ち前のパワーで圧倒して終了。これで勝ち点を8に伸ばし、予選会突破が見えてきた。

芝田(4点、延髄斬りからの片エビ固め)G小早川(0点)

劣勢だった芝田、流れを変えたのは延髄斬りだった。それ以降小早川の動きにキレがなくなり、さいごは2発目の延髄斬り。芝田が先輩越えを果たした。前世界タッグ王者のガイア小早川、これで5連敗・・・

S相羽(10点、バックドロップからの体固め)M香澄(0点)

相羽選手、地元と言うことで燃えたのかマイトスを問題にせず快勝で全勝キープ。これで予選会通過をまっさきに決めた。

「別にこれくらいで喜びません。8月の本番で優勝するだけです!」

スターライト相羽にも次期エースの自覚?が出てきたのか・・・

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第6戦は富山大会。
B来島(10点、エルボーからの片エビ固め)G美月(8点)

いよいよ予選会リーグ戦も残り2試合、椅子とりゲームの様相を濃くしてきた。1敗同士の対戦。しかしギムレット美月、体格やパワーで勝るボンバー来島を攻めきれず、バックドロップで意識が遠のいたところをエルボー一撃。これでカウント3が入った。1敗を守った来島も予選会通過を決めた。

V麗子(6点、キャプチュード)菊池(6点)

ビーナス麗子、負ければ椅子とりゲームから脱落の一戦。菊池もすでに2敗しており、あしたの相手がパワー絶好調の来島であることを考えると負けられない。意地と意地がぶつかり合った対戦だったが、ビーナス麗子の放ったジャンピングニーが菊池の顔面を直撃。これで弱った菊池、次のキャプチュードを返せず終了。菊池、3連勝の後3連敗・・・

試合後の控室。怒鳴られるかと思っていた菊池だったが、吉田コーチの言葉は、

「まだ終わったわけじゃないぞ。明日精一杯戦え、いいな。」

G小早川(2点、ミサイルキックからの片エビ固め)M香澄(0点)

全敗同士の対決はガイア小早川がミサイルキックで勝利。

S相羽(12点、タイガードライバー)芝田(4点)

芝田が先輩相手にも臆しない掌底の乱打。これで気合いが入った相羽、猛攻を見せ、最後はタイガードライバーで勝利。これで堂々の6連勝!

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第7戦は神戸大会。予選会リーグはこの日が最終日。

V麗子(8点、キャプチュード)G美月(8点)

同期で、普段はタッグを組むことも多い10期生のビーナス麗子、ギムレット美月。しかし3敗をすでに喫しており、「勝つしかない」ビーナス麗子が猛攻。最後はキャプチュードでG美月を仕留めた。

これでビーナス麗子、ギムレット美月の予選会通過、菊池の予選会敗退が決定。(菊池がこのあとの来島戦に勝っても8点でG美月、V麗子と並び、直接対決ではこの2人に負けているため)

菊池(8点、延髄斬りからの片エビ固め)B来島(10点)

11期の同期対決。前あばしりタッグ王者の二人が激突。出番直前に予選会敗退が決まってしまった菊池だが、落ち込むそぶりは見せない。

ーここまで育ててくれた吉田さんのためにも、この一戦は勝つ。

ボンバー来島のパワーをかいくぐってエルボーやドロップキックを決めていく。しかし来島もナパームラリアットで反撃。最後は双方大ダメージを負ったが、菊池が意地を見せて

「はっ!」

飛び上がっての延髄斬りで来島からカウント3奪取。菊池、昨年に続いての予選会突破はならなかったが、最後に意地を見せた。

M香澄(2点、絶望2000)芝田(4点)

入社2年目の芝田に攻められ、延髄でカウント2.8まで追い込まれたマイトス香澄だったが最後は絶望2000(スペシャルジャーマン)でリーグ戦初勝利を挙げた。

S相羽(14点、キャプチュード)G小早川(2点)

スターライト相羽がキャプチュードで予選会リーグを全勝で通過。この結果本大会へは

1位通過スターライト相羽、

2位通過ボンバー来島、

3位通過ビーナス麗子、

4位通過ギムレット美月が決定。

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最終戦さいたまドームのメインはSPZ選手権、王者新咲祐希子に挑むのはスイレン草薙。6期生で能力減衰の兆候が見える新咲と8期生で新エースの風格が出てきたスイレン草薙。王者がやや苦しいという京スポ新聞の下馬評どおりで、投げまくったスイレン草薙、ストレッチプラムで完全に戦意を奪ってからのノーザンで3カウント奪取。勝負タイム22分14秒。
スイレン草薙が33代目王者に返り咲いた。まさにこの団体の天下は回り持ちである。

2007年7月16日 (月)

第162回 13年目5月 新咲祐希子2冠王

13年目5月

5月シリーズ「バトルカデンツァ」開幕。前半は四国各県を回る地方興行主体のシリーズ。

初戦の高知大会第1試合で市ヶ谷がプロ入り初勝利。キューティー金井をラリアットで撃破した。
「オーッツホッホッホ!ここから私の輝く道が始まるのですわ!!」

第4戦徳島大会のメインでAACタイトルマッチ。王者ハイサスカラスに挑むのは10期生のビーナス麗子。

ビーナス麗子はアイドルレスラーっぽい外見だが、実力をめきめきとつけ、鋭いキックを武器にシングルタイトル戦に挑戦するところまで来た。
しかし、結果はハイサスカラスが華麗な飛び技を次から次へ繰り出し、最後は強烈な裏拳がビーナス麗子の戦意を奪って終了。勝負タイム17分4秒。

第5戦岡山大会、メインはガイア小早川、ギムレット美月のあばしりタッグ王者にAACのドスカナ・リブレ、イレーヌ・シウバが挑むタイトル戦。両チームとも連係がそこそこ良かったのでスピード感ある好試合が展開された。最後は27分28秒の激戦の末、ギムレット美月が裏投げでイレーヌ・シウバを仕留めた。王者組が初防衛に成功。

第7戦新潟大会のメインは、スターライト相羽が新咲祐希子と組んで、スイレン草薙、ガイア小早川のSPZタッグ王座に挑む。
が、試合のほうは早々とガイア小早川が捕まってしまい。
ガッ!
新咲のシャイニングウィザードが入ってしまい、もうろうとするガイア。続くキャプチュードで3カウントを奪った。勝負タイム8分47秒。スイレン草薙とスターライト相羽は試合開始直後に軽く手合わせした程度。激戦死闘を期待していた新潟のファンは拍子抜け・・・

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SPZ世界タッグ戦

○新咲祐希子、スターライト相羽(8分47秒、キャプチュード)スイレン草薙、ガイア小早川×

新咲組が第21代王者となる。スイレン草薙組は7度目の防衛に失敗

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スターライト相羽も拍子抜け。あこがれていたSPZタッグベルト、ほとんど疲れていないのに獲れてしまった。
「相羽ちゃん、ゴメンゴメン、これもプロレスだよ!いやーシャイニングウィザードが入っちゃって。」

いっぽう、メインの重責を果たせず、わずか8分で沈んでしまい、6度防衛したSPZベルトを手放したガイア小早川は控室で泣き崩れた。

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最終戦は地元へ戻って横スペ大会。
第1試合はビューティ市ヶ谷対ロイヤル北条、新人同士の対戦。今回はビューティの気合いが入っていて、8分24秒、ラリアットで北条を下し先月の雪辱を果たした。
「私が勝つことは試合前から分かっていたことですわ、オーホホホホ」新人なのにコーナーに登って勝利のアピール。

「井上さん・・・えらいの獲っちゃったね」
「あら、ああいうのも個性があっていいんじゃないですか」
「固定ファンつくかな。営業的にどうなのかな。」
「ふふ、まだ社長ぐせが抜けてませんね」

お忍び観戦で来ていた今野前社長と小川ひかる。やはり自らが育て上げた団体なので気になるので、社長辞任後も横スペや新日本ドームでの興行は時間を割いて見に行くようにしている。

第2試合はキューティー金井対イレーヌシウバ。アイドルレスラーを容赦なく殴りまくったシウバが完勝。

第3試合はマイトス香澄対ガイア小早川。昨日SPZタッグベルトを失ったばかりで傷心のガイア小早川、その悔しさをぶつけるかのようにマイトスに当たって行った。すばしっこさなら団体で1・2を争う両者の攻防は横スペの観客を引き込んだ。
「くらえっ!」
最後はガイア小早川のフィシャーマンバスターが決まってマイトス香澄からフォール勝ちを収めた。

続く第4試合は菊池理宇が芝田とタッグを組んで、アンナ・クロフォード、ジョーカーウーマンと対戦。昨年の最優秀新人選手の芝田だが、さすがにアンナの独特の間合いといたぶり方には苦戦を余儀なくされる。しかしこの試合は菊池が奮闘し、5分過ぎにタッチを受けてから最後、ジョーカーウーマンをエルボーで仕留めるまで外人2人を相手にひとりで戦い抜いた。

「菊池さんもしっかり強くなってきたね」
11期生で採用して2年少々でここまで強くなる。兼任コーチの吉田龍子がそうとう面倒を見てあげたようだが。

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休憩後の第5試合、ハイサスカラス、ドスカナリブレのAAC勢がビーナス麗子、ギムレット美月の10期生コンビと対戦。最後はハイサスカラスのサソリ固めがリング中央で決まり、ビーナス麗子からギブアップを奪った。

セミ前はスターライト相羽対ボンバー来島。SPZのあしたを担う選手同士の一騎打ち。
「気持ちよくねむらせてやるぜーっ!」
来島もナパームラリアットであわやというところまで攻め込んだが、最後はスターライト相羽がキャプチュード、ハイキック、タイガースープレックスとたたみかけて勝利。15分10秒の熱闘を制した。

セミファイナルは吉田龍子対スイレン草薙。来月のSPZベルト挑戦権のことを考えるとお互い負けられない。吉田が懸命にパワーで押し、スイレンもフロントスープレックス乱発で流れを取り戻そうとする。しかし今回はストレッチプラムをしつこくかけ続けたスイレンがギブアップ勝ちを収めた。

「あークソ。これでまたあのみこ女2が調子に乗っちゃう。困ったもんだ」

吉田龍子の動きもここ1年でかなり落ちている。

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メインはハイブリッド南のSPZ王座に新咲が挑むタイトル戦。6期生同士の対決だが、新咲が意外にも押しまくって、フェイスクラッシャー乱発でハイブリッドをフラフラ状態に。ハイブリッドもネオサザンで反撃にかかるがロープにあまりにも近い。
「はああー、いっくよーっ」
新咲がスプラッシュマウンテン。吉田のそれと違ってめったに出さない「隠し大技」だ。これで視界がブラックアウトしたハイブリッド南、無念の3カウントを聞いた。勝負タイム22分35秒、王座移動。新咲が32代目王者となった。

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SPZ世界タッグ選手権(60分1本勝負)

新咲祐希子(22分35秒、スプラッシュマウンテンからのエビ固め)ハイブリッド南

第31代王者ハイブリッド南が初防衛に失敗、新咲祐希子が第32代王者となる

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「やーりー。これで2冠王!ぶいぶいっ!」

コーナーに立って両手を突き上げる新咲。SPZの天下は回り持ちという状態だが、それでも2冠王になれたのだから新咲は喜色満面であった。

2007年7月15日 (日)

第161.5回 菊池理宇特訓CHU!

13年目(2021年)4月、横浜戸塚にあるSPZ第2ビルにある道場。

夜10時だが特訓をしている選手(菊池理宇11期)とコーチ(吉田さん5期)。

今日はスパーリング形式での特訓をしているようである。

しかし投げられまくっているのは特訓させられてるほうの菊池。

こういうときの吉田さんは鬼である。

「おら、立て・・・こういうときに反撃できないヤツが本番で負けるんだ」

ー何とか立ち上がって組み付く菊池、しかし吉田さんがあっさりと、

バァン!

ボディスラム。

「オラ、立て・・・」

「・・う・・・もうダメです、動けませ~ん・・・」

「1回でもアタシを投げたら特訓は終わりだ、アンタが上に行きたいんだろう」

「・・・うう、そうは言っても~・・・」

ガッ!

吉田さん、倒れている菊池の顔面を軽く蹴る。まさに鬼だ。

「うおああああっ!」

しかしこれで菊池の心に火がついたのか、菊池起き上がって吉田に組み付き、

バァンッ!

吉田をボディスラムでたたきつける。

「やれば出来るじゃん。その気持ちを忘れるな。」

ー今年も6月にSPZクライマックス予選会が開かれる。去年はマグレで予選通過した菊池だが今年はどうなるかわからない。

(作者より:ちょっと夏風邪気味で体調崩しています。リプレイが止まっておりますのでこれでお茶を濁させていただきます)

2007年7月14日 (土)

第161回 SPZは最凶のお嬢様を雇ってしまいました

13年目4月
SPZの社長代行、井上霧子はスカウトに出向いていた。さいたま市にものすごい素質を持つ有望選手の卵がいるという情報をいちはやくキャッチしたのである。

「でっかいお屋敷ね~」
そして候補者と面談すること30分ほど。
「オーホホホホ、よろしくてよ!貴方の団体に入ってあげますわよ」
ビューティ市ヶ谷、SPZに入門決定。

その3日後に新人テストを行い、ロイヤル北条を採用。
「ありがとうございます。期待は裏切りませんから」

そして4月シリーズ「旗揚げ12周年記念エキサイティングシリーズ」開幕。1戦目釧路大会、13期生二人がいきなりデビュー戦。

***************************

第1試合は芝田美紀対ロイヤル北条。北条も芝田の動きに懸命にくらいついて、
「うらぁっ!」

体当たり気味でのショルダータックルで反撃。
しかし芝田、ドロップキック2連発からタックル2連発と怒涛の攻勢。この次のフォールをロイヤル北条は返せなかった。
「ほーっほっほっほ。私の完全勝利ですわね」
意気揚々と引き揚げる芝田。勝負タイム10分39秒。

第2試合はビューティ市ヶ谷対キューティー金井。
「これでどぉだぁ!」
初めての先輩としての試合、張り切っていたのはキューティーのほうだった。チョップの乱打でペースをつかんでドロップキック、ブレーンバスターで7分50秒、あっさり勝利。
「そんな、このわたくしが・・・」
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翌日は札幌キターアリーナ大会。

第1試合はビューティ市ヶ谷対芝田。
「私にひざまづきなさい!」
新人の市ヶ谷、先輩を先輩とも思わぬ言動でDDT。
しかし最後はスタミナ切れを起こした市ヶ谷に対し芝田がアームホイップ。これで市ヶ谷は3カウント奪われた。勝負タイム9分9秒。
「なんてこと、このわたくしが・・・」
新人お嬢様に手厳しいプロの洗礼。12期生も若手とはいえSPZマットで1年もまれてきているのである。

第2試合はロイヤル北条対キューティ金井。
ロイヤル北条がパワーを生かしてキューティーを追い込む。しかしキューティーも先輩の意地で反撃、しかし、ロイヤル北条が・・・
「うおおーっ!」
ダブルアームの体制から担いでタイガードライバー。短期間でよくこんな技を覚えたものである。

「きゃあああー」
そのままフォール。ロイヤル北条が2戦目であっさりプロ初勝利。ロイヤル北条、にこりともせず勝ち名乗り。
控室で見ていた市ヶ谷、呆然。昨日自分が負けた相手に同期の北条が勝ってしまったのである。
―北条さんのほうが私より強い?
手はわなわなと震えていた。
―見ていらっしゃい。いつか近いうちに金井さんも北条さんもひざまづかせてあげるわ。

札幌大会メインはあばしりタッグ王座決定戦。
「えー、この試合は、えー、横浜のメイド喫茶、えー、「あばしり」が、えー、認定するタッグ選手権の、えー、王座決定戦であることをえー、認定する。2021年4月21日、メイド喫茶あばしり店長、鈴波かすり。えー代読、京スポ新聞若林太郎。」

立会人の京スポ新聞若林記者が認定証読み上げ。先シリーズボンバー来島があばしりタッグを返上したので、とりあえずそこそこの選手のギムレット美月とガイア小早川を組ませて、ジョーカーウーマン、アンナクロフォードとの王座決定戦。
「・・・勝利の方程式発動します」

悪の外人コンビに追い込まれたガイアギムレットだが、頃合いを見てギムレット美月のドラゴンカベルバリア発動。ガイア小早川もしっかり逆カット。これでアンナクロフォードはギブアップ。
なにげにガイア小早川はタッグ2冠王。ギムレット美月は初めてベルトを巻いた。クールな美月の表情が少しだけ緩んだように見えた。
―おじさん、やりましたよ。

第4戦大阪大会。メインに組まれたのはAAC選手権。

ハイサスカラスの所属するAACのエージェント、ハヤトール氏が

「先月さいたまでハイサスが恥をかかされた。最近はインターネットという厄介なものがあって、キャリア2年のヤングガールに負けたことがメキシコの間でも広まってしまう。だからこの間の負けがマグレだということを証明するためにもう一回ボンバーとカードを組んでくれ」と要望してきた。
今度はハイサスカラスの目の色が違っていた。試合開始早々転ばせてムーンサルトプレス。そしてフランケンシュタイナー。これでペースをつかみ損ねた来島、

「ウオオーッ!」
強引にナパームラリアットで反撃するも、それまでにダメージの蓄積がないのでカウント2で返されてしまう。急場しのぎに裏拳を放つがそれまでで、最後はハイサスカラスが意外にもサソリ固めを繰り出してきた。予想外な技に来島の表情が歪んでいって・・・
「くぞ・・・ギブアップ」

勝負タイム18分21秒、敗れたとはいえ大阪のファンは来島の健闘に拍手を送った。
―ハァ、ハァ、キシマ、恐ろしい存在ダ。あのラリアットを2発は食えナイ。今日はアイツの試合運びの未熟さに救われたようなものだ・・・
勝ったとはいえハイサスカラスの息は乱れていた。

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第7戦、名古屋しゃちほこドーム大会。
スイレン草薙ガイア小早川のSPZタッグ王座に挑戦するのはハイブリッド南、マイトス香澄の革命軍元王者コンビ。
ハイブリッドとスイレン草薙はSPZシングル戦を翌日に控えており激しい攻防を繰り広げ、マイトス香澄とガイア小早川もキビキビとした攻防。しかし最後は
「全力で行きます」
スイレン草薙がマイトス香澄を捕まえて、ノーザンで投げつけて3かウント奪取。勝負タイム39分5秒の激戦を制し6度目の防衛に成功した。

最終戦は新日本ドーム大会。
第1試合は初めて組まれた新人同士のシングル、ロイヤル北条対ビューティ市ヶ谷。ロイヤル北条の的確なドロップキック連発で市ヶ谷追い込まれ、
がすっ!
ヘッドバットからのエルボー一打。しかしビューティ、カウント2.9で返す。

はぁっ!
しかしロイヤル北条、続くボディスラムでフォールを奪った。
―そんな、このわたくしがシリーズ全敗?
呆然として市ヶ谷は引き揚げた。

ドームのメインイベントはSPZ世界選手権。ハイブリッド南に挑むのはスイレン草薙。17分過ぎまでは互角の攻防。ハイブリッドがねちっこく攻めればスイレンもフロントスープレックスで応戦。しかし結末は突然に。
「この技に耐えられるかしら?」
ネオ・サザンクロスロック発動。これでスイレン草薙は無念のギブアップ。王者が初防衛に成功。

2007年7月13日 (金)

第160回 アイドルレスラー・渡辺智美引退!

12年目3月
「ごめーん!、なんかもう無理みたい」
渡辺智美が引退を表明。

菊池理宇のファンクラブが設立。玉砕覚悟の懸命のファイトとボンバー来島とのタッグが人気を集めた。
「なんか照れちゃうな、えへへっ」
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そして3月シリーズ「渡辺智美引退シリーズ」開幕。
しかしここでアクシデント。EWAがSPZとの契約を破棄し新日本女子に参戦。
「えー、クリステンさん、そりゃあないんじゃないの」
井上秘書がエージェントに国際電話をかけて抗議するも「上層部に働きかけが別ルートであってどうしようもなかった」と言い訳をされた。
「ああもう・・・」机に突っ伏す井上社長代行。
「ムラコシさん、お詫び文考えて~」会場入口に張り出すおわびを営業スタッフに指示する井上社長代行。

第3戦秋田大会、スイレン草薙、ガイア小早川のSPZタッグ王者に挑むのはビーナス麗子、ギムレット美月の10期生コンビ。ガイアが捕まる前にスイレンが投げまくれるかがポイントの一戦。
「すべては私の計算通り」

ギムレット美月が勝負をかけたドラゴンカベルナリアがスイレンに決まる。苦戦しながらもようやく必殺技を繰り出したが、

「ふっ!」
スイレン草薙、気合いとともにドラゴンカベルを振りほどいてしまった。

―そんな!
スイレンのDDT、これでギムレット頭を打ってしまい、代わったガイア小早川のファイスクラッシャーをまともに食らって終了。勝負タイム24分20秒、王者組が5度目の防衛に成功。

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第7戦幕張大会のメインはあばしりタッグ選手権。
今回の挑戦者はアンナ・クロフォード、ジョーカーウーマンの「悪の外人コンビ」である。
試合は来島のパワーをうまくいなしてグラウンドに持ち込む外国人コンビのしたたかさに苦しんだが、
「パワーを封じても合体さっぽうがあるぜ!」
ダブルラリアットを連発。これで集中力が切れたジョーカーウーマンに最後は
「どりゃああああ!」
力任せのパワーボム一閃。これでカウント3か入った。王者組が5度目の防衛に成功。このあと来島がマイクアピール。

「スイレンさんのSPZ世界タッグベルトを獲る!あばしりタッグは卒業だ!」

なんとタイトル返上で世界タッグどりをアピールした。

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そして最終戦、さいたまドーム大会。渡辺智美引退興行。

第1試合はマイトス香澄対ジョーカーウーマン。マイトスもフロンとスープレックスなどで善戦したが、ジョーカーウーマンもAACナンバー2の意地で、最後は意外にきれいなノーザンでマイトスを仕留めた。

第2試合はドスカナリブレ対アンナクロフォード。実力派外人同士のシングルマッチはアンナが関節技でジワジワとダメージを与え、そして、
ズドーン!
目の覚めるような強烈なスクラップバスターが決まる。これで動きの鈍ったドスカナをアンナが強烈なステップキックからのフロントスープレックスで仕留めた。

その次の第3試合
「次の試合に出場する渡辺智美選手はこの試合が最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」
花道からキューティー金井入場。そのあと渡辺智美入場。

SPZ5期生として、長らく前座戦線で若手の壁としてプロレスの怖さ、面白さを伝え続けた。保科優希とは200回以上シングルで戦って、いっとき前座の名物となった。

「赤コーナー、香川県 多度津出身、わたなべー、ともーみー」
そして渡辺最後のファイト。キューティー金井のほうが緊張の色をありありと浮かべていたので序盤は渡辺がヒップアタックで攻める。
「これでどうだっ!」

がすっ!

渡辺の「強烈ヘッドバット」からのドラゴンスリーパー。しかしキューティー金井も懸命に耐える。
そしてキューティーが大逆転を狙ってバックドロップを放とうとする。

―甘い、これなら返せる。
空中で体勢を入れ替え、上からボディプレス気味に押しつぶした。
ズドーン。

そのままフォール。キューティー金井には返す力は残っていなかった。

「15分39秒、バックドロップ切り返しからの体固めで渡辺智美の勝ち」

最終試合をフォール勝ちで飾った渡辺はコーナーに駆け上がって両手を突き上げた。
ここで休憩。

休憩明けの第4試合はビーナス麗子、ギムレット美月、菊池理宇対新咲祐希子、ガイア小早川、芝田美紀の6人タッグマッチ。6期生で元SPZ王者の新咲が攻めまくる。しかし新咲はあまりの好調な展開にタッグマッチの「引きどころ」を誤り、ビーナス麗子の掌底を食らって戦線離脱。あとはデビュー1年足らずの芝田を捕まえたビーナス麗子、ハイキックで料理した。

そして3大シングルマッチ。
セミ前はボンバー来島対ハイサスカラス。
AACのトップ選手に来島が懸命にヘッドバットを放って食いついてゆくが、ハイサスカラスも人間離れしたばねを生かしてドロップキックを連発。
ハイサスカラスのミサイルキックが顔に入って少しくらっときたボンバー来島がパワーボムで早めの仕掛け。
ワン、トゥ・・・
カウント2.5で返すハイサスカラス。しかし来島、同じ技をもう一度たたきこもうとする。

―ワンパターンネ。ソンナンデハメインイベンターハツトマラナイワ。
落ち着いてリバースSウラカンラナで切り返す。しかし来島はこの展開を読んでいた。カウント2で返して、

ウォォーッ!

咆哮とともに豪腕ナパームラリアット。全身の力を右腕に集めて叩き込む。ものすごい衝撃をうけて頭からマットに落ちるハイサスカラス。すかさずカバー。これでカウント3が入ってしまった。

場内えええええ!の声。いくら来島はパワーがあるといっても世界の強豪ハイサスカラスとは総合的な実力差がかなりあるので勝てないだろうと思っていたファンが多数、その予想を裏切ってしまった。
「オボエテロ、キシマ・・・」
後頭部を押さえながら引き揚げるハイサスカラス。

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「うわ来島さん勝っちゃったよ」

きょうはさいたまでの興行なので、仕事が長引いて見に行けなかった今野社長は小川ひかるの都内マンションに寄ってペイパービューを見ていた。

「ふふ、やっぱり大技持っている人は番狂わせ起こしますね。井上さんもそれ考えて組んだと思うんですけど、来島さんも期待に応えるのだから凄いです」

ざわついた雰囲気のままセミファイナル。

「スターライト相羽凱旋帰国試合 Ⅲ」

3度目の海外遠征から帰ってきたスターライト相羽がスイレン草薙と対戦。スターライト相羽も海外遠征でもまれてきた力を見せ付けるかのようにタイガースープレックス、キャプチュードで追い込んだが・・・
「全力で行きます」
スイレン草薙のドラゴンスリーパー。スターライトの体から力がすぅっと抜けていく。これで意識が遠のいたところを組み付いてこの試合2度目のノーザン。スターライト相羽返せず試合終了。

「・・・・勝てなかった・・・」
悔しさをあらわにしながら引き揚げる相羽。

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メインは吉田龍子のSPZ王座にハイブリッド南が挑むタイトル戦。頻繁に組まれている顔合わせ、一時期はハイブリッドの関節技が良く入って吉田に勝ち越してた時期もあったが、昨夏のSPZクライマックスで2連勝してからは吉田も盛り返してきている。

「要するにね、南選手とやるときにはガンガン攻めてく。関節技を怖がらずにね。決まっちゃって負けたらそれはそれで仕方ないじゃない」

この言葉を実践する吉田も凄い。ガンガンラリアットやギロチンドロップで攻め込んでゆく。が、今回は大どんでん返しが。
リング中央まで来たのを見計らったハイブリッド南、ボディスラムで倒すやいなや、必殺のネオサザンクロスロック。

ぐキッ!

いきなり強く締め付けられたために吉田の首に鋭い痛みが走った。たまらず吉田ギブアップ。これで王座移動。試合の9割方は吉田が攻めていただけに館内からはあ~あの声。勝負タイムも13分33秒とSPZ選手権試合にしては短い。

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SPZ世界選手権

ハイブリッド南(13分33秒、ネオ・サザンクロスロック)吉田龍子

第30代王者が5度目の防衛に失敗 ハイブリッド南が第31代王者となる

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「あー、クソ!やっぱり南選手は凄い。まあ、いいや!」

5度目の防衛に失敗した吉田龍子は控室で無念の表情を浮かべた。

「・・・警戒してもダメ、警戒しなくてもダメ。やはりプロレスって難しいね」

吉田龍子はそうコメントを出すと、渡辺智美の引退式で花束を渡すため、コスチュームの上からジャージを羽織った。

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メイン終了後渡辺智美の引退セレモニー。
「あたしはリングを下りるけど、とっても楽しかったよ!ありがとーッ!」

アイドルレスラーの渡辺、最後まで笑顔で、リングを後にした。

「ほらよ、同期置いて辞めやがって・・・」

吉田龍子選手会長が花束を渡す。この二人は同期である。トップレスラーの吉田と前座あっため役の渡辺で役割は違うのだが、タッグリーグに参戦してで優勝したことや、選手会興行で激闘?を繰り広げたこともある間柄。

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渡辺智美
SPZ5期生 2013年7月17日、岐阜体育館での対 ミミ吉原戦でデビュー。2021年3月22日、さいたまドームでの対 キューティー金井戦で引退。

稼動月数93ヶ月 出場試合数(概算)672試合

タイトル歴 第12回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは吉田龍子) 
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2007年7月12日 (木)

第159回 12年目2月 ウルトラソウルシリーズ

12年目2月
SPZベルトのトップコンテンダーと目されていたハイブリッド南が右足負傷のため欠場。で、同時に写真集オファーが来たので受けた。かくてハイブリッド南ファースト写真集「TOSA」が発売。ファンの間では騒然となったらしい。

12年目2月「ウルトラソウルシリーズ」開幕。
3戦目三重サンシャインアリーナ。
メインイベントはスイレン草薙、ガイア小早川のSPZタッグ王座に挑むのは「あばしりタッグ王者」菊池理宇、ボンバー来島のふたり。スイレンの実力はおそろしいものがあるが、ガイア小早川が穴なので挑戦者組が勝つ可能性もゼロではない。

「いいかあ菊池、気合入れていけよ!絶対勝つって強い気持ちでやれ!いいな!」

吉田龍子コーチが挑戦者を叱咤激励する。そしてメインのゴングが鳴った。

来島のパワーを警戒したスイレン草薙がしつこいスリーパー攻め。これを嫌った来島、
「うらー!」
ヘッドバット乱打。これでたじろいだスイレン草薙はいったんガイア小早川にスイッチ。代わったガイア小早川もハッスルして菊池と派手な空中戦をやってのけた。
そして再度ボンバー対スイレンの局面。
「せいっ!」
強烈なノーザンで叩きつけられる来島。

「あれが出ると苦しいんですよ、肩が腹にめり込んじゃって~」テレビ解説の保科が指摘する。
これで動きに精彩がなくなった来島、デスバレーボムで叩きつけられてフラフラになってそしてストレッチプラム。ガイア小早川がスッと菊池の前で通せんぼ。ボンバー来島はあえなくギブアップの言葉を吐いた。勝負タイム22分48秒。11期生のトップどりの夢は破れた。

SPZ世界タッグ選手権

○スイレン草薙、ガイア小早川(22分48秒、ストレッチプラム)菊池理宇、ボンバー来島×

第20代王者が初防衛に成功

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第6戦和歌山大会メインはあばしりタッグ選手権、菊池、来島に挑むのはビーナス麗子、渡辺智美組。渡辺選手は5期生のSPZ最古参だが、これまでベルトと縁がない。
試合は案の定渡辺が捕まってしまう。大先輩でも容赦のない攻撃。なんとかこらえてビーナス麗子につないだが、

「気持ちよく眠らせてやるぜーっ!」

ナパームラリアット炸裂。これでビーナス麗子は一時的に戦闘不能状態。場外でのびてしまった。これで孤立してしまった渡辺、懸命にローンバトルを耐えて、再度ビーナス麗子にスイッチ。しかしビーナス麗子はすでにフラフラ状態で、王者組の合体パワーボムを食らって終了。勝負タイム28分9秒。王者組が4度目の防衛に成功。

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最終戦は横スペ大会。今野前社長と小川ひかるがセンター席でお忍び観戦。

第2試合はボンバー来島対ビーナス麗子。キャリアでは1期上のビーナス麗子だが、ボンバー来島のパワーに押されっぱなし。最後は2発目のパワーボムで万事休す。

「これ次のエース来島さんかな。」
「・・・その可能性はあります。パワーだけなら吉田さんよりあるかもしれません」

セミ前は菊池理宇対ハイサスカラス。現時点では両者の実力差はかなり違う。

「井上さんも思い切ったカード組むね~」
「時々電話で相談を受けます。マッチメイクは難しいって」

小川ひかるは監査法人に再就職し、公認会計士の資格をとろうと勉強中の身である。今野社長と双方とも「ただの人」になってしまったので、時折デートを重ねるようになった。小川は現役時代と髪形を変え、メガネをかけており、なにより格闘家のオーラがまるっきりないので(現役時代からレスラーらしくなかった)気づかれにくい。

セミ前はハイサスカラスの飛び技が冴え、結局、菊池玉砕。最後は9分46秒ムーンサルトで終了。

セミファイナルはスイレン草薙新咲祐希子にEWAのアンナ・クロフォード、ドリュークライ。
かつてSPZ世界タッグを長期守ったこともある新咲スイレンにEWAの中堅外人2人では勝負にならない。

「セミにしては盛り上がらないんじゃないかな、大丈夫かな」
あっさり新咲がフェイスクラッシャーでドリューを退けた。

メインイベントは吉田龍子対ナターシャ・ハンのSPZ選手権。この顔合わせでのタイトル戦は始めてである。ナターシャもEWA世界王者の誇りを胸に攻めてゆくが、吉田もいつもどおりのパワーあふれる攻めを見せて、ナターシャなすすべなし。そのままズルズルと試合は進み、あっさりスプラッシュマウンテンで幕。最後までナターシャの関節地獄を出させなかった。勝負タイム14分44秒。王者が4度目の防衛に成功。

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SPZ世界選手権

吉田龍子(14分44秒、スプラッシュマウンテン)ナターシャ・ハン

第30代王者が4度目の防衛に成功

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「今回あっさり終わっちゃったね」場内からひそひそ声。

SPZ選手権はそーぜつな試合になることが多いので、濃いファンからは不満の声も漏れた。今野前社長も複雑な表情。

全6試合が終わったのが8時半過ぎ。
「じゃ、メシ食ってきますか」
横浜某所のイタリア料理店「アレグロ」で食事した。ここのイタ飯は値段の割りにおいしいので、ミミ吉原が行きつけにしていた店である。

「それじゃあ、またね・・・」
夜10時半、つとめて明るく手を振る今野前社長。小川ひかるは都内、今野前社長は川崎市内のマンションに住んでいるので京浜東北線の川崎で別れた。

2007年7月11日 (水)

第158回 12年目1月 新春ロケットシリーズ

12年目1月「新春ロケットシリーズ」開幕。

5期生の渡辺智美が腰痛で欠場。初戦は鹿児島大会。

鹿児島大会メインに組まれたのはハイサスカラス、ドスカナリブレの持つSPZタッグに、スイレン草薙、ガイア小早川のタッグが挑戦。試合はスイレンが極め技でねちっこく攻めて、そしてバックドロップ。しかしドスカナも懸命にミサイルキック。ぐらついたスイレンがガイア小早川にタッチー

「チャーンス!」
ドスカナが再度ミサイルキック。スイレン、ガイア小早川組ならガイア小早川を潰すのが手っ取り早い。しかしガイア小早川も外人組の猛攻を振り切ってスイレンに再スイッチ。最後はスイレン草薙対ドスカナの局面を作り出し。スイレンが落ち着いて草薙流兜落とし、これはロープに逃れたドスカナだったが続く合体パイルドライバーで終了。SPZにタッグベルトが戻ってきた。勝負タイム19分23秒。

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SPZ世界タッグ選手権

○スイレン草薙、ガイア小早川(19分23秒、合体パイルドライバーからの片エビ固め)ハイサスカラス、ドスカナ・リブレ×

スイレン草薙組が第20代王者となる

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「やったーーーーー!」

ガイア小早川、小柄な体格のハンデを背負いながらSPZタッグのベルトを巻くところまで来た。

第5戦別府大会のメインはあばしりタッグ戦。チャンピオンの菊池、ボンバー来島対へレン、エレンのニールセン一族。
「今日の犠牲者はどこのどいつだ!」

ボンバー来島が咆えながら入場。そして試合が始まっても来島のペース
「くらいやがれ!」
来島のヘッドバットがエレンをたじろがす。

「仕返しっ!」エレンもなんと頭突きで反撃。これは沸いた。
試合は15分過ぎにヘレンが鋭いノーザンで菊池を叩きつけ、エレンがすがさずDDTで追い打ち。これで菊池、グロッギー状態になって来島にタッチ。ヘレンもここが勝負どころとニーリフト、ステップキックで来島を追い込む。しかしボンバー来島
「おーらぁー!」
豪腕ナパームラリアットを叩き込んでヘレンを戦闘不能状態に。あとは孤立したエレンを菊池が攻め立て、ミサイルキックで仕留めた。勝負タイム36分26秒の激闘。王者組が3度目の防衛に成功。

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最終戦は新日本ドーム大会。

第1試合は新人同士の対戦、芝田美紀対キューティー金井。
「とおっ!」

芝田美紀がきれいなフォームで延髄斬り。これで3カウントが入った。

第2試合はガイア小早川対マイトス香澄。苦節3年でSPZタッグ王者になって意気込むガイア小早川、しかしこの日はマイトス香澄の投げ技が冴え、バックドロップ2連発に痛い敗戦。
「やったー、ボクの勝ちー」先輩の意地を見せたマイトス。

第3試合はEWAのベテラン同士の対決、ドリュー・クライ対ユーリスミルノフ。日本マットでは珍しい顔合わせ。普段はタッグを組んでいる両者だが、いざ相対すると意外にスイングした攻防。スミルノフのえぐいバックドロップで闘志に火がついたドリュー、

がすっ!
ハイキック一閃。かつてはこれで草薙みことや伊達遥をたたきのめしたこともある。
しかしスミルノフも意地でバックドロップのお返し。ドリューまたハイキック。ユーリスミルノフカウント2.9で返す。これは場内盛り上がった。しかしスミルノフの目が死んでいたのを察したドリュー、鋭い裏拳で一撃!
崩れ落ちたユーリ・スミルノフ。これで試合は終わった。外人同士とはいえ白熱した攻防に沸いた。

休憩明け第4試合はビーナス麗子、ギムレット美月がエレン・ヘレンニールセンと対戦。10期生コンビが落ち着いてニールセン一族の攻勢をさばき、最後はビーナスがハイキックで終了。

セミ前は菊池理宇、ボンバー来島が前SPZタッグ王者のハイサスカラス、ドスカナリブレと対決。ドスカナとは普通に攻防が展開できるが、さすがにAACトップのハイサスカラスでは苦しい。

ボンバー来島のパワーを警戒したのか、ハイサスカラスが早めのムーンサルト。これで来島の動きがめっきり悪くなった。しかし菊池が懸命に挽回する。ミサイルキックでハイサスカラスをたじろがせ、来島を呼び込んで合体パワーボム。これでハイサスカラス、頭を打ってしまって戦線離脱。取り残されたドスカナを来島が懸命に攻め立てる。

「ウォォーッ!」
来島のナパームラリアット炸裂。これでドスカナから3カウント。なんとあばしりタッグ王者組が前SPZタッグ王者組を撃破する大番狂わせ。

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セミファイナルはハイブリッド南対新咲祐希子。なんと一方的に攻めたハイブリッド南、新咲をあっさりジャーマンで撃破。勝負タイム13分12秒。

メインはSPZ選手権、吉田龍子対スイレン草薙。前王者のスイレン、吉田相手のシングル戦績は悪くないので積極的に攻めた。吉田もラリアットで応戦。しばらく一進一退の攻防が続いた。だがー

「ぐふっ!」
吉田のニーリフトが入ってしまったのか、スイレンの動きが鈍くなり、そのあとフランケンシュタイナー、プラズマサンダーボムの波状攻撃をもらってしまう。ピンチに陥ったスイレン草薙、
「勝たせて頂きます」
一発逆転を狙って草薙流兜落とし、しかし吉田はカウント2で返して、こんどはお返しの、

ドゴォォォン!

スプラッシュマウンテン。これはスイレン返せなかった。勝負タイム23分15秒、吉田龍子が3度目の防衛に成功。

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SPZ世界選手権

吉田龍子(23分15秒、スプラッシュマウンテンからのエビ固め)スイレン草薙

第30代王者が3度目の防衛に成功

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「まだまだ下の世代には負けませんよ」吉田は笑顔でコメントした。

2007年7月10日 (火)

SPZ外伝 ストロベリー・ギムレット004

前回までのあらすじ

横浜のお嬢様プロレス団体、SPZの期待の若手選手、ギムレット美月(18)は後輩のキューティー金井(15)を連れて、男子インディー団体「東京エクストリームプロレス」へ、プロレスの引き出しを増やすために観戦に訪れた。ギムレット美月はこの団体のエース選手兼社長のヒロポン粕谷(39)に気に入られ「いつでも見に来てねえ、タダでいいから」と言われていたのである・・・

そしてメインイベント。
今日は千葉県での巡業とあって、メインイベントはタッグマッチである。
青コーナー側からMWA(ミシガン・レスリング・アソシエイション)チャンプのブルース・ブロディが入場、パートナーは顔にペイントを施した怪力レスラー、インセーン・ウォリアー。
そして赤コーナー側から団体エース、ヒロポン粕谷がパートナーのコットン綿貫とともに登場。

「ウォッ!」
試合はブルースがパンチ攻撃で暴れまわったが、コットン綿貫もうまく上体をそらしてかわす。そしてパンチに来る腕を手繰って脇固め。

「ウウウウ!」
苦しむブルース。しかしこれはウォリアーが出てきてカット。
そしてブルースとヒロポン粕谷の局面。

「シネ!デブゥ!」
ブルースのシャウトに場内爆笑。しかしヒロポン粕谷もタダのデブではない。上から押しつぶすようにスリーパー。

「試合序盤で着実にダメージを与えるには上に乗って攻めることです。これで相手は確実にスタミナを消耗します」
「-そうなんだ・・・」

この流れに嫌気が差したブルース、場外へ逃げた。リング回りをとぼとぼと歩いてダメージ回復に努める。

「不利になったら場外にいったんエスケープするのもひとつの戦術です。これはけっこう流れを変えることがあります」

「逃がさん!」
ヒロポン粕谷も巨体を躍らせリング下へ。
「オゥ、ノォー」
ブルースはリング下をグルグル走って逃げる。追いかけるヒロポン粕谷。場内は爆笑した。しかしー
公称160kgのヒロポン粕谷。全力疾走したため息が苦しくなってしまい、その場に片ヒザをついてしまう。そこまで見越したブルースの狡猾な作戦。

「Stupid!( あ ほ )」

ブルース、リングサイド最前列の観客にドケと目配せしてパイプ椅子を手にして、それでヒロポン粕谷の背中を

パシーン!
椅子で一撃。これで弱りきったヒロポンの首根っこをつかんで客席に踊りこむ。
「お気をつけくださいお気をつけください」
「金井さん、逃げましょう、こっちに来ます」
キューティー金井とギムレット美月逃げる。そしてブルース、場外でビッグブーツ一撃。
「ぐわああ!」
ヒロポン粕谷、強烈な蹴りを食らって椅子の中に吹っ飛ばされる。

「ウォッウォッウォッ!」
アピールするブルース。そこを背後から近づいたコットン綿貫が、延髄ラリアット一戦。
「キサマァアアア・・・」
「おっとっとっと」
コットン綿貫逃げる。
ヒロポン粕谷椅子の上に倒れこんだまま動かない。このままではリングアウト負けになってしまう。
「サーティーン、フォーティーン、フィフティーン」

このあたりで起きだし、ふらふらとリングインしてコットン綿貫にタッチ。外人チームもウォリアーにタッチ。

「15分経過、15分経過・・・フィフティーンミニッツパス、フィフティーンミニッツパス」
「ウゴオオー!」
ウォリアーがラリアットを狙う。しかしコットン綿貫、寸前で身をかがめてかわし、腕をぶんと振って体勢が崩れたウォリアーに組み付いてバックに回り。

―バーックドロップ!
―きれいだ。
キューティー金井はこの動きに魅せられた。

「ア・・アウチ・・」
ダウンしたまま頭を抑えて苦痛にうめくウォリアー。この選手は受け身に難があるようだ。ここをチャンスと見たのか、コットン綿貫は青コーナーにもたれかかるブルースのほうへ走って

「コットンパンチ!」
いきなりグーで殴る不意打ちを食らって場外に転落するブルース。そして
「粕谷さん、コーナーに登って!」
指示を飛ばすコットン綿貫。ヒロポン粕谷、懸命に巨体をゆすってコーナー最上段に登る。

ギムレット美月、思わず左手で握り拳。
「出ますよ」
場内異様などよめき。このあとの惨劇を予想しているのか。
ウォリアー、必死に起き上がろうとするが、コットン綿貫が上からフィストドロップを乱発。こんな懐かしい技を平気でやるところもコットンの引き出しの多さ。
「オラァ!オラァ!」
上から殴られ続けてウォリアー、伸びてしまった。

そしてようやくヒロポン粕谷がコーナー最上段に登って前傾姿勢。
館内ウォォォォォと沸く。そしてー
ヒロポン粕谷が飛んだ。実際は200kg前後あるといわれている巨体を躍らせて。

「アアアアー」
ウォリアー、引きつった表情。ヒロポンスプラッシュ炸裂。これでウォリアー圧死。場外でブルース頭を抱える。
「ワン、トゥ、スリー!」
「17分1秒、ヒロポンスプラッシュからの体固めでヒロポン粕谷、コットン綿貫組の勝ち」
場内大熱狂。
―そうか、必殺技っていうのはお客さんをも乗せちゃうんだ・・・
文字通りぺしゃんこに潰されたウォリアーは試合を見ていた外人レスラーに運ばれて退場。

「ガッデーーーム!」
叫びながら腹いせにチェーンをぶんぶん振り回して引き揚げるブルース。リング上ではヒロポン粕谷とコットン綿貫が手上げ。

客出しが終わった後、控え室。激闘を終えたヒロポン粕谷は社長の顔に戻って、裸で腰にバスタオルを巻いたまま、一万円札を数えていた。
「イー、アル、サンスー、ウーリョーチーパー・・・」
「人がいないみたいですので、撤収手伝いましょうか?」
「すまないねえ、美月ちゃん」
きょう第1試合に出た若手が凶器攻撃で負傷して病院へ行ってしまったのだ。

ギムレット美月とキューティー金井は黙々と椅子を台車に放り込んだ。
「こーやって見てみると・・・プロレスって・・・面白いですね」
「でも私たちはやる側ですよ。金井さん、盗めるものは盗んでお客さんを喜ばせないと」

「美月ちゃん、今日は来てくれてありがとね」
メインに出て疲れているはずなのに、撤収に加わっているコットン綿貫が声をかける。
「社長、美月ちゃんのこと気に入ってるから、きょういつも以上に気合いはいってたよ」
「いえ、そんな・・・」
ギムレット美月は少し赤くなった。
それでも頭数が少なかったので撤収は10時過ぎまでかかり、二人は帰る方向が一緒の菅原きよしの運転するヴィッツに同乗して横浜へ帰った。当然門限は過ぎていたが、

「麗子さんに携帯で話しておきました。2階の窓が開いていますからそこから入りましょう」
「・・・・・」

***********************

そのころSPZ社長室ではー

「・・・・・・・・・・・・・」
吉田龍子が潰れていた。さすがに絶対王者でもウォッカのストレートはこたえたらしい。井上霧子はまだ飲んでいた。

2007年7月 9日 (月)

SPZ外伝 ストロベリー・ギムレット003

そして季節は秋から冬へ。
12月シリーズ前のオフ、井上霧子と吉田龍子はSPZの社長室で飲んでいた。

「龍子ちゃんにウオッカの飲み方を教えてあげるわ。舌で味わおうとすると焼けつくからね、こ~うやって喉の奥にぶっつけるように飲むのよ。」

テーブルの上には裂きイカ、ピーナッツのほかにロシア産ウォッカ「ストリチナヤ」が。
井上霧子は社長室での残業「クリスマスカード書き」にエース選手の吉田龍子をつき合わせて、そのあと飲みに入っていた。

「うっ、これは効きますね~」
「あのバカ、今頃ひかるちゃんとうまくやってんのかしら」
「う~ん、小川さんとメールのやり取りはしてるんですけどね~、その辺は明かしてくれないですよ・・・うわきっついこれ、失神しちゃいそう」

********************

そのころ千葉市原にある臨海体育館。東京エクストリームプロレスの「冬のビッグビッグシリーズ」最終戦が行われていた。
「プロレスで一番大事なのは人の試合を見ることです。」

今回もSPZのファイティングコンピューター、ギムレット美月が後輩で団体史上再弱と噂されるキューティー金井を連れて観戦に来た。

リングではTEPの新人、高町狂矢が悪役外人レスラー、ザ・ピラニアにいいようにやられていた。
ザ・ピラニア、必殺ムーブの首しめ!
レフェリーの制止も聞かずコーナーに追い詰めて首を絞める。
「ワン、ツー、スリー、フォー、ファ・・・・」
カウント5寸前で手を離すピラニア。しかしこの首しめで高町、動けなくなってしまった。

「Die!」
ピラニアがシューズの中に隠した鉄製の棒状凶器で高町のノドを一突き。これでピクリとも動かなくなった高町。

「―すごーい、あたしも凶器攻撃やってみよっかなー」
キューティー金井がボソッと恐ろしいことを言う。
「SPZでは厳しいと思います。伊達さんや井上さんが容認しないでしょう」

「ククククク」
ズドン。
ザ・ピラニア、さすがに最後のトドメはエルボードロップだった。これでスリーカウントが入り第1試合終了。

*******************************

市原体育館は1000人にも満たない入り。選手層の薄い団体なので仕方ない。きょうもギムレット美月とキューティー金井は「プロレスのお勉強」に来ていた。普段は雑用、そして自分の登場試合で叩きのめされてしまってセミやメインでの先輩方の試合を冷静に見る余裕がない。

第2試合は覆面レスラー、レッド・フラクション対黒人怪力レスラー、ココサベジ。
フラクションは先日の後楽園と中身が入れ替わっているらしく、今日は関節技をやたら繰り出していた、が、最後は・・

「フンフンフンフンフン!」
ヘッドロックパンチで痛めつけたあとのジャイアントスイング。これでフラクションは完全に伸びてしまった。そして走りこんでのボディープレスで3カウント。

そのあと休憩。セミファイナルはTEP三本柱のひとり、菅原きよしが登場。対戦相手はアメリカ人ながら空手が大得意のレスラー、カラテファイター。

「あおおおう!ぎゃおおう!」
カラテファイターのチョップ連打を奇妙な悲鳴を上げて耐える菅原きよし。市原体育館は沸いた。
「FINISH!」
カラテファイターが叫んで走って、必殺の「飛び蹴り」をヒットさせる。ハデに吹っ飛ぶ菅原。
「ワーン、トゥー」
しかし菅原カウント2で返す。
「キェーッ!」
三流アクション洋画のような手振りで手刀を打ち込んでゆくカラテ。しかし菅原、悲鳴を上げながら懸命に耐える。
「きよし!きよし!きよし!きよし!」

―そうか、やられてるだけでもお客さんを乗せることができるんだ。
「UOOOOO――」
カラテが大きく振りかぶってトドメの手刀を打ち込もうとするが、この隙を菅原、見逃さなかった。
スッと間合いをつめると、
―ガリガリガリガリガリ!

菅原、顔面かきむしり。さすがに爪は立てていないがそれでも痛い。
これで怯んだカラテファイター。その隙を突いて組み付いてスモールパッケージ!
「ワン、トゥ、スリー」
けっきょく菅原、大技らしい大技はまったく出さぬまま勝ってしまった。それでも客席が沸くのだからこの選手は高い技量を持っている。
そしてメインイベント。(長くなるので続きます)

2007年7月 8日 (日)

第157回 12年目12月 SPZタッグリーグ戦 後半

第6戦はどさんこドーム大会、辛うじて満員になった。

吉田○、渡辺(8点、スプラッシュマウンテン11.33)V麗子×、G美月(2点)

「吉田さんとまともにやりあったら難しいけど、渡辺さんを狙えば勝てるよ!」

渡辺に狙いを定めしつこく食い下がった10期生の二人だったが、優勝を狙う吉田は自ら前面に立って若い2人を蹴散らし、トドメはビーナス麗子に必殺スプラッシュマウンテン。

―もうダメ、返せ・・・ない。

薄れる意識の中、カウントを聞くビーナス麗子。しかしカウント3ギリギリでギムレット美月がカバーする吉田を殴ってカット。

ドドドドドド。

しかし吉田龍子はギムレットを場外へ投げ飛ばすと、すでに半失神状態のビーナス麗子を引きずり起こして、2発目のスプラッシュマウンテン。場内悲鳴。もちろんこれで試合は終わった。

「今日は・・・殺されるかと思った~」
控室で大の字のビーナス麗子。

S草薙○、G小早川(6点、バックドロップからの片エビ固め12.13)ドリュー×、ユーリ(0点)

GS砲が手堅く勝ち点2をプラス。ガイア小早川が適度にやられてスイレンが決める。まるで昔の草薙小川のようなパターンになってきた。

新咲○芝田(8点、パワーボム16.50)ナターシャ×、A・クロフォード(6点)

勝ち点6同士の直接対決は新咲組に軍配。芝田もクロフォードの攻めに苦しんだが、決定的な場面を作らせず新咲にスイッチ。あとは新咲が暴れまわって終了。

H南○、M香澄(6点、ジャーマン 20.36)菊池、B来島(4点)
ハイブリッド南強い。11期生の2人をグチャグチャにしてからマイトス香澄にスイッチ。出てきたマイトスもノーザン乱発で来島を追い込むが、来島が怒りのナパームラリアットで反撃。カウント2.8で返したマイトスが這うようにしてハイブリッドに再度タッチ。あとはハイブリッドが落ち着いてジャーマンで来島を仕留めた。

************************

1日の移動日をおいて第7戦は仙台大会。

吉田○、渡辺(10点、プラズマサンダーボム)ドリュー×、ユーリ(0点)

渡辺まったく出番なし。吉田がひとりでEWAの2人をたたきのめして1敗キープ。

ナターシャ○、A・クロフォード(8点、アキレス腱固め11.06)菊池、B来島×(4点)

来島のタックル、頭突きが館内を沸かせる。地元凱旋の菊池にもけっこうな声援が送られる。しかしフィニッシュは突然に。ナターシャのアキレス腱固め。

「うああああああっ!」

ボンバー来島、突然痛がりだしあえなくギブアップの言葉を吐いた。

S草薙○、G小早川(8点、ノーザン、15.23)V麗子、G美月×(2点)

ギムレット美月がドラゴンカベルナリアでガイア小早川をあと一歩まで追い込むが、どうにか耐え切ったガイア小早川がスイレン草薙につなぐ。あとはスイレンが一人奮闘。ギムレットをノーザンで退けた。

H南○、M香澄(8点、ネオサザンクロスロック 15.21)新咲×、芝田(8点)

15分少し前にハイブリッドのネオサザンが決まってしまった。芝田のカットはマイトスに阻まれ新咲ついにギブアップ。これだからハイブリッド南は恐ろしい。

******************************

最終戦さいたま大会を前の星勘定は
吉田組10点、ハイブリッド組、新咲組、スイレン組、ナターシャ組が8点、この5チームに優勝の可能性が残る大混戦となった。

ドリュー、ユーリ○(2点、バックドロップからの片エビ固め11.33)V麗子×、G美月(2点)

EWA古参チームが最後の最後で意地を見せた。

吉田○渡辺(12点、ステップキックからの片エビ固め14.14)新咲、芝田×(8点)

吉田は新人の芝田にも容赦なく攻撃。しかし芝田もただの新人ではない。果敢にも吉田に延髄斬り。これでふらついたのか渡辺にタッチ。渡辺も新咲の猛攻を懸命にしのいで再び吉田にスイッチ。吉田が新咲をいつもどおり重量感あふれる攻め、苦し紛れのタッチを受けて芝田が出てきたところで強烈なステップキック。これで試合終了、5期生コンビの優勝が決まった。

敗れた新咲組。芝田美紀がこのリーグ戦についていって最終戦まで優勝の可能性を消さなかったのだから大したものである。

S草薙○、G小早川(10点、ノーザンライトSH 11.56)菊池×、B来島(4点)

直前の試合で優勝の可能性のついえたスイレン組、テンションを下げることなく菊池組とぶつかった。ボンバーのナパームラリアットを食らったガイア小早川が危ない場面もあったが、最後はスイレンがキレイなノーザンを決めて終了。2020年有終の美を飾った。

H南○M香澄(10点、ジャーマン12.23)ナターシャ×、A・クロフォード(8点)

年間の最終戦が日本人VS外人の試合になるのはいつ以来だろうか。ドームのメインに出られたアンナクロフォードはハッスルしてハイブリッド南に挑みかかっていった。しかし今年最後の試合ということでハイブリッド南も猛攻。なんとぶっこ抜きジャーマンでEWAの女王ナターシャ・ハンからカウント3奪取。

優勝の吉田龍子、渡辺智美組には賞状と金一封、副賞として「液晶テレビ」が贈られた。

「まあ、あたしの実力なら、当たり前でしょ!なんちゃって♪」
渡辺智美、パートナーの吉田におんぶ抱っこ状態とはいえ、まさかのタッグリーグ優勝。

2位は10点でスイレン組とハイブリッド組が並んだが、直接対決で勝っているスイレン草薙、ガイア小早川組が準優勝となり、賞状と副賞の「ももかん詰め合わせ」をゲットした。

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年末のプロレス大賞。最優秀選手はハイブリッド南。最優秀新人は芝田美紀。ベストバウトはハイブリッド南対吉田龍子、ベストバウトのタッグはなぜか、どこかの地方会場で組んだスイレン草薙、菊池理宇対ハイブリッド南、マイトス香澄の一戦が選ばれた。

2007年7月 7日 (土)

第156回 12年目12月 SPZタッグリーグ

12年目12月
永沢引退で1ヶ月遅れになっていたSPZタッグリーグ戦。出場チームは以下の8チーム。

5期生チーム:吉田龍子・渡辺智美組

革命軍チーム:ハイブリッド南、マイトス香澄組

GS砲:スイレン草薙、ガイア小早川組

10期生タッグ:ビーナス麗子、ギムレット美月組

あばしりタッグ王者:菊池理宇、ボンバー来島組

大穴即席タッグ:新咲祐希子、芝田美紀組

EWA代表1:ナターシャ・ハン、アンナ・クロフォード組

EWA代表2:ドリュー・クライ、ユーリ・スミルノフ組

今回は力のある選手が離れ離れでタッグを組んでしまったので本命不在の大会といえた。
2戦目のなにわパワフルドーム大会からリーグ戦スタート。

新咲○、芝田(2点 高速ジャーマン 17.46 )B来島×、菊池(0点)
「どおりゃっ!」
ボンバー来島のナパームラリアットが新咲を吹っ飛ばす。
新人の芝田がストンピングでカット。

「美紀・・・わるい、しばらくお願い」
ここを先途と攻めまくるボンバー来島、しかし芝田も懸命に受けて、延髄斬りで反撃

「ぐううっ」
頭を押さえてうずくまる来島、そこをタッチして出てきた新咲、必殺の高速ジャーマン炸裂。これで終了。

吉田○、渡辺(2点 ステップキックからの片エビ固め 14.44)S草薙、G小早川× (0点) 

ようやく腰痛が治まり、シリーズ参戦が可能になった吉田。
「優勝は無理だと思うけど、ももかん目当てに頑張るよ」
何しろパートナーがあのキューティー金井にも負けた渡辺である。しかし吉田、スイレン相手にはハードなレスリングを仕掛ける。そして渡辺を呼び込んで合体パイル。ガイア小早川が出て来たところを・・・

「これでトドメだ!」
スプラッシュマウンテン炸裂。だれもがこれで試合は終わったと思った。しかし、ガイア小早川、本能だけで2.9で返す。

―そんな、スプラッシュマウンテンを返すなんて。
吉田龍子、急場しのぎににステップキックを放ってダウンさせ、押さえ込んで強引にカウント3を奪った。

ナターシャ○、Aクロフォード(2点、ジャーマン 17.10)V麗子、G美月×(0点)

ナターシャ・ハン強い。10期生コンビの2人を関節技で悲鳴を上げさせまくって、最後はジャーマンでトドメ。案外このEWAコンビが本命かも知れない

H南○、M香澄(2点、ジャーマン 18.34)ドリュー、ユーリ×(0点)

マイトス香澄が捕まる場面もあったが、ハイブリッド南がサイボーグっぷりを遺憾なく発揮して終了。

************************

翌日は九州ドーム大会。カードが弱いせいか8割の入りだった。

菊池、B来島○(2点、パワーボム 12.01)ドリュー×、ユーリ(0点)

ここ数ヶ月の会社の菊池、来島へのプッシュは半端ではない。若い世代を育てないとそろそろヤバイと考えた井上霧子、KK砲というタッグ名、あばしりタッグという2本目のタッグベルトを創設。

そしてきょうの相手はドリュー、ユーリという年季の入ったEWA常連外人。ひとつの試練といえるカードだったが、地元凱旋のボンバー来島がパワーで押しまくって、EWAナンバー2のあのドリュークライからパワーボムで勝利。館内沸いた。

S草薙○、G小早川(2点、バックドロップからの片エビ固め13.57)新咲×、芝田(2点)

スイレン草薙が10分ほどひとりで相手2人を投げまくって、ちょっと一息ということでガイアに交代、そこを新咲付けねらって攻め込むも攻めきれず、休んで体力回復したスイレンが再度出てきてバックドロップ一閃。これが角度がやばかったのか、新咲返せず試合終了。

吉田○、渡辺(4点、スプラッシュマウンテン 18.0)ナターシャ、Aクロフォード×(2点)

後半、渡辺が捕まってもうダメかと思われたが、合体パワーボムをカウント2.8で返した渡辺が懸命に吉田にタッチ。あとは吉田の一人舞台。

H南、M香澄○(4点、背面トペからの体固め)V麗子×、G美月(0点)

ハイブリッド強い。10期生二人をほとんどひとりで追い込む、二人がズタズタの状態になったところでマイトス香澄登場、動きになっていないヘロヘロのビーナス麗子を背面トペで押しつぶして勝利。

**************************

翌日は広島の若鯉球場。
新咲○、芝田(4点、フェイスクラッシャーからの片エビ固め 11.45)ドリュー、ユーリ×(0点)

新咲がほとんどひとりでEWAの外人二人をやっつけた。

V麗子○、G美月(2点、ハイキックからの片エビ固め)菊池×、B来島(2点)

SPZの将来を担う4人の決戦。だが10期生タッグが先輩の意地を見せて、最後はビーナス麗子の凶悪なハイキックでジエンド。

ナターシャ、Aクロフォード○(4点、サソリ固め22.24)S草薙、G小早川×(2点)

長期戦に入ってしまうとナターシャ組は強い。関節地獄でジワジワといたぶってゆき、最後はガイア小早川が捕まってしまった。クロフォードのサソリがために無念のギブアップ。

吉田○、渡辺(6点、体固め 23.07)H南、M香澄×(4点)

渡辺智美がハイブリッド南のネオサザンクロスロックを耐え切ってネックブリーカーで反撃したところで場内は爆発した。まさに奇跡というしかない。最期はマイトスが吉田をバックドロップで投げようとしたところをうまく吉田が押しつぶしてカウント3。前タッグ王者から白星をもぎ取った。

「ふう、勝ててよかったよ。あの性悪女だけには優勝させたくないからね」

吉田は私怨丸出しのコメント。

************************

第5戦はしゃちほこドーム大会。

新咲○、芝田(6点、フェイスクラッシャーからの片エビ固め、12.02)V麗子×、G美月(2点)

昨日同様新咲がほとんどひとりでやっつけた。

菊池、B来島○(4点、ナパームラリアット 13.51)吉田、渡辺×(6点)

11期生コンビが吉田の猛攻をしのいでしのいで、出てきた渡辺を集中砲火。最期は来島がパワーで押し切った。吉田組の連勝は3でストップ。これで早くも全勝が消えた。

ナターシャ、Aクロフォード○(6点、ストレッチプラム15.48)ドリュー×、ユーリ(0点)

EWA勢同士の対決はナターシャ組が勝利。館内は日本ではめったに見られない、バリバリのEWAプロレスを楽しんだ様子。

S草薙、G小早川○(4点、ミサイルキックからの片エビ固め20.37)H南、M香澄×(4点)

試合中盤はスイレン対ハイブリッドがまるでシングルマッチのようなシバキあいを展開して双方大ダメージ。残った二人が決着戦。ガイア小早川がうまくマイトスを料理した。

第12回SPZタッグリーグ戦、リーグ戦4試合を消化して、吉田組、ナターシャ組、新咲組が6点でトップの状況。

(続く)

2007年7月 6日 (金)

SPZプレイ日誌外伝002 ストロベリー・ギムレット

外伝あらすじ

負けてばかりのSPZ最弱レスラー、キューティー金井。自分はプロレスラーに向いていないのではないかと感じ始めたキューティーを救うために、社長代行の井上霧子はギムレット美月を彼女の「教育係」に任命した。ギムレットはキューティーを後楽園プラザで行われる男子プロレス団体「東京エクストリームプロレス」の興行観戦に誘った・・

************************

休憩明けはいきなりセミファイナル。TEP3本柱のうち2人が登場したので客席は沸いた。菅原きよし、コットン綿貫に対するは黒人レスラー、ココサベジと怪奇派覆面レスラー、ザ・ピラニア。

「きゃぉう!」
赤いショートタイツをはいた菅原が奇声を発しながらチョップ、チョップ。

「菅原さんは技をほとんど出さないのに観客を乗せるのがうまいんですよ」

「ウォオオオオー」
しかし、ココサベジが逆襲のタックル。そして引きずり起こしてヘッドロックに捕らえ、そのままパンチを頭部に3連発で叩き込む。

ガッガッガッ。

「おおう~!」
痛みのあまり、悲鳴を上げながらリングを転げまわる菅原。客席は笑いに包まれた。

そのあとココサベジがなお悶える菅原の足を取った。

―出るぞ出るぞ!客席がいっせいにぜわめく。

ココサベジの必殺ムーブ、ジャイアントスイング!
「いち、にい、さん、しー」
客席が回した回数をカウントする。
軽量の菅原は30回転も回されてしまった。しかしココサベジも調子に乗って回し過ぎてしまったためかふらついてしまったのでたまらずザ・ピラニアにタッチ。

ジャイアントスイングが相当効いたのか、菅原はダウンしたままピクリとも動かない。

「oh!yeah!」
ピラニアがアピールしてからエルボードロップ!

「ワン、ツー、」ドドドドドド。
フォールをカウント3ギリギリで返す菅原、後楽園プラザはものすごい拍手に包まれた。

「ただやられるだけでもカウント3ギリギリで返せばお客さんは沸いてくれます」

ギムレットが小声でアドバイスする。

ふらつきながら菅原は赤コーナー側にたどりつき、手を伸ばしてコットン綿貫とタッチ。これだけで拍手。しかし菅原、ダメージが深く場外でそのままのびてしまった。

コットン綿貫は黒いロングタイツをはいている。ピラニアをじわじわとアームホイップ、ボディスラムで攻め込んでゆくが、正攻法では勝てないと判断したピラニアが顔面かきむしり、そしてレフェリーの制止も聞かず堂々と反則攻撃、首絞め!映画に出てくる殺人鬼のように両手でコットンの首をしめあげる。

「あんなことやっていいんですかぁ?」
「5カウント以内なら反則ではありません」

ブーイングの嵐、うぉぉぉとうめくコットン綿貫。
「1,2,3,4」
反則負けギリギリで首しめの手を離すピラニア。しかしこれでコットン綿貫の闘志に火がついた。

大きく振りかぶってグーパンチ攻撃。
「出た!コットンパンチ!」

綿貫がパンチを打つたびに観客は沸く。大きくのけぞるピラニア。そして綿貫はコーナーに控えるココサベジにもパンチを放って場外に落としてから、ピラニアのバックに回って投げた。

ジャーマン!

ワン、トゥ、スリー!ピラニア返せず試合終了。

「相手の攻撃を受けてから勝つとお客さんの沸き方が違います」
それまで場外でのびていた菅原もリングに上がって勝ち名乗りを受けた。
「コットーン!」「きよしー!」

*************************

そしてメインイベント、「MWA(ミシガン・レスリング・アソシエイション)」選手権試合。アメリカ独立団体のローカルチャンピオンベルトだが一応タイトルマッチである。

現チャンピオンのブルースブロディに挑むのは団体エース兼社長のヒロポン粕谷。後楽園プラザはけっこうなカスヤコールに包まれた。

ガウンを脱ぐとヒロポンの巨腹があらわになる。そして試合開始。序盤は腕の取り合いを軸にしたじっくりとしたレスリングを展開、しかしヒロポン粕谷が上に乗るとそれで重さ負けしてしまうのか、ブルースの息はだんだん乱れていった。

「いいぞー、200キロ!」
ヒロポン粕谷の体重は公称160kgだが実際はもう少々あるらしい。
「ウリャ!」

ヒロポンのボディスラム。そして助走をつけてのボディプレス。
ワン、トゥ・・・・

ほとんどのレスラーはあれで終わりなのだが、ブルース、王者の意地でカウント2で返す。
そしてヒロポン、首かっきりポーズを見せてから「いくぞー!」と叫ぶ。

そしてコーナー最上段に登る。が、巨体のせいか登るのにちょっと時間がかかってしまう。ようやくコーナー最上段に立ったところで、ブルースは起き上がっていた。
場内悲鳴。ツカツカとブルースはコーナーへ向かい、ヒロポンの首根っこをつかんで前方へ放り投げた。
デッドリードライブと呼ばれる荒技。ヒロポンは体重がありすぎるのでこの高さから落とされたら致命傷である。

ズッドーン。

「ぎゃおおおうー!」
マットにたたきつけられ衝撃でうめくヒロポン。そこへブルースが走りこんでのギロチンを落とす。

ワン、トゥ、スリー。
そのまま3カウントが入った。
わああああああ!場内大声援に包まれた。

「ウオッウォッウォッ!」
ベルトを防衛し勝ち誇るブルース。しかしぐったりとした表情で引き上げるヒロポンの方にはものすごい拍手が送られた。
***************************

全試合終了後の控え室。

「イー、アル、サン、スー、ウー、リョー、チー、パー・・・」

裸のまま腰にバスタオルを巻いたヒロポン粕谷が一万円札を数えていた。興行売り上げをそのまま選手のギャラに回すらしい。
「はいコットンさん5万、菅原さん5万、キョーちゃん2万、くー、あとこんだけかよ、きっついなあ」

会場経費と外国人レスラーへの支払いを引いたらあとはいくらも残らない。それでも赤字が出なかっただけ成功かもしれないと粕谷は感じた。

「それじゃ、粕谷さん、今日はどうもありがとうございました。おかげで勉強になりました」

「美月ちゃん、飯食ってこうよ~」

「・・・せっかくですが、寮の門限がありますので、寮長が守らないわけには行きません」

「そっか、また見に来てね、おじさん待ってるから」

「はい。」

帰りの東海道線電車の中でギムレットがぼそりと。

「私も新人のころはプロレスラーとしてやっていくためにはどうしたらいいかずいぶん悩みました。この団体は化け物じみた人が多く参考になる人がいなかったので、いろんな団体のプロレスを自分で見に行きました。やはり上達するためには人の試合を客観的に見ることが必要です」

「・・そう、ですね・・・」

*************************

2007年7月 5日 (木)

SPZプレイ日誌外伝001 ストロベリー・ギムレット

レッスルエンジェルスサバイバー 

プレイ日誌の外伝

「ギムレット美月、熱愛発覚?」

横浜戸塚に本拠地自社ビルを構えるお嬢様プロレス団体「SPZ」その社長代行を務める井上霧子は困ってしまって吠えたい気分だった。

「井上さぁぁん、あたしもうだめー、弱いしぃ、ぜんぜん勝てないしぃ、ふえーん!」
12期生、新人のキューティー金井が泣きついていた。

何しろ弱い、トロい。すぐ泣く。SPZ団体史上最弱と心無いファンには言われていた。シングルマッチの成績も極端に悪く、同期の芝田が着実に成長しているのにキューティーは一向に勝てない。

・・泣きたいのはこっちよ・・・
前座盛り上げ役のアイドルレスラー候補として採用したのだが、ここまで育成に手がかかるとは思っていなかった。

ーどうすりゃいいのよ。ヘンになりそう・・・

井上霧子の酒量はだんだんと増えていった。悩んだ末に考えた解決法は、ありがちな「先輩社員に悩み相談、面倒を見させる」という手であった。

**************
「美月さん!」

呼ばれた10期生のギムレット美月。

「あの泣き虫をなんとかしてあげて!私じゃ手に負えない!先輩としてアドバイスでも・・・」

「はあ・・・」

* *************
その1週間後の日曜日、ギムレット美月とキューティー金井は戸塚から電車で東京へ出てきた。

「美月さん、どこ行くんですか?」
「後楽園プラザ」

水道橋駅から少し歩いて青いビルに入り、エレベーターで5階へ。

「今日の催し物 :東京エクストリームプロレス 秋のビッグビッグシリーズ」

と立て看板が。
なんと一般入り口ではなく、チケットも買わず関係者入り口から堂々と入り込む。

「あら、美月ちゃん、いらっしゃい」

まず控え室へ挨拶に。

「おう、よく来たね、美月ちゃん」

東京エクストリームプロレス、社長兼看板レスラーのヒロポン粕谷が出迎える。

キューティー金井は一瞬引いてしまった。

―うわ、なんてデブい人なのっ!

このレスラー、顔つきは優しいおじさんなのだが、体型はかなり太っており、公称で体重160kgである。

「これ、みなさんで食べてください」
美月が手土産の「横浜シウマイ」を渡す。

「悪いね」

「いえ、こちらもタダでプロレスを見させてもらって勉強させてもらっているので、今日はうちの新人を連れてきました」

「金井です、よろしくお願いします」

「よろしくね、ボクはTEPの粕谷」

「え、美月ちゃんカワイイコ連れてきたの?」

控え室奥からがっちりした体型の中年レスラーが顔を出した。

「あ、この人がコットン綿貫さん。けっこうレスリングが上手だから参考になると思います」

この団体は主力選手が3人しかいない選手層の薄い団体なので、後楽園プラザを埋めるのがせいいっぱいの団体である。

「あ、この子知ってる。SPZ期待のアイドル系新人だって~」
ストレッチをしていたもうひとりの中年レスラーが美月に挨拶する。

「やー、美月ちゃん、きょうの試合は面白いよ、なんてたって粕谷さんのタイトルマッチだから、あ、金井さん、はじめまして、ボクはね、この団体のトップスター、菅原きよし」

「菅原さん!その子まだ15なんだから手出したら犯罪だよ!」

コットン綿貫が合いの手を入れる。

「キミねえ!ボクにはカミさんと子供がいるのですよ!あ、粕谷さんは独身だけど」
控え室は爆笑に包まれた。
そのあと開場時間となり、ギムレット美月と金井は北側席に陣取る。

「うちの会社より和気あいあいとしてますね」

「この団体は2年前に粕谷さんたち3人が独立して始めた小さい団体だから、仲間意識が強いところです。金井さん、プロレスで一番大事なのは、人の試合を見ることです。普段は雑用やダメージで倒れたりしてなかなか見れないと思うので、男子団体なんですが今日案内しました」

「どうして・・・タダで観戦できるんですか?」

「それは・・・秘密です」

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カン、カン、カン、カン、カン・・・

きょうの後楽園プラザは9割がたの入り、そして第1試合が始まった。

「赤コーナー、180cm、85kg、たかまちー、きょーやー!」

第1試合はTEP新人の高町狂矢、相手は外人レスラーのインセーン・ウォリアー。プログラム(1000円で売っている)によれば、高町選手はこの間デビューしたばかりなので、ウォリアーにただ殴られ蹴られるだけ。一方的な展開。でも観客は暖かく見守っている。

「せいやあっ!」

耐え切った高町がドロップキック。しかしダメージが深いのかそこから先が動けない。ウォリアーがにやりと笑う。

「UOOOOOOO!」

走りこんでのラリアット。これで3カウントが入った。

「YEAHHHHHHHH!」

雄たけびを上げながら引き上げるウォリアー、そのあとふらふらと新人選手が立ち上がり一礼してからリングを降りる。客席からはけっこうな拍手が沸き起こった。

―やられでも、お客さんは手をたたいてくれるんだ・・・

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第2試合はカラテ・ファイター対謎のマスクマン、レッド・フラクション。レッドは不定期参戦している謎のマスクマンで、正体は他団体の選手がバイトで受け持っており、日々変わっているらしい。試合はカラテファイターが飛び蹴りを決めてフォール勝ちを収めた。その試合が終わると早くも休憩。
(続く)

2007年7月 4日 (水)

第155回 規格外戦士・永沢舞引退

12年目10月
「バトルカデンツァ2020」開幕。しかしハイブリッド南が左ひざ負傷、マイトス香澄も首の負傷で戦線離脱。そして吉田龍子の腰も完治しない状態。しかたなく地方大会はスイレン草薙と新咲をメインに出した。
7戦目神戸大会。メインは菊池・B来島の「KK砲」がギムレット美月、ガイア小早川の挑戦を受けるあばしりタッグ選手権。先輩相手のタッグ戦で苦戦した来島、しかしナパームラリアットでガイアを吹っ飛ばすと、最後はギムレットもSTOで始末して防衛に成功。勝負タイム24分6秒。

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あばしりタッグ選手権試合

菊池理宇、ボンバー来島(STOからの片エビ固め,24分6秒)ガイア小早川、ギムレット美月×

王者組が初防衛に成功

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最終戦は新日本ドーム大会、メインは「最終戦限定出場」の吉田龍子に新咲祐希子が挑むSPZ選手権。

―こんなチャンス、巡って来ないからすべてをかける!
手負いの巨竜が相手とあって、新咲が積極的にドロップキックを放ち攻め込んでいく。吉田は腰の具合が悪いのか、大技をなかなか繰り出せない。それでもアキレス腱固めやブレーンバスターで応戦。しかし新咲が45分過ぎに勝負をかけた。

ズバン!
高速ジャーマン。吉田のガタイをきっちり投げるのだから凄い。さらにフロントスープレックス2連発、たまらず吉田は場外にエスケープ。しかし場外戦で追ってきた新咲にステップキック、これで形勢逆転、リングに戻ったところで吉田、フラフラになりながらもお返しのノーザンライト2連発。これで新咲は3カウントを奪われた。吉田がボム系の大技を使わなかったこともあり、勝負タイム60分の死闘となった。

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SPZ世界選手権

吉田龍子(60分0秒、ノーザンライトスープレックスホールド)新咲祐希子

第30代王者が初防衛に成功

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12年目11月

「やりたいことやったし、そんな時期かな~って」
永沢舞が引退を表明。引退後はしばらくコーチとしてSPZに残ることが発表された。
人気と実力と明るさを兼ね備えた選手だっただけにファンからは惜別の声が。

2戦目の岩手友愛ドーム、永沢舞はメインでビーナス麗子と組んでハイブリッド南、マイトス香澄と対戦。
「みんなー、必殺技だよ、ひっさつわざ」
永沢のJOサイクロンがハイブリッド南を追い込むが、マイトスのカットに阻まれた。逆にハイブリッドのネオ・サザンクロスロックにギブアップ負け。

翌日の山形大会でもビーナス麗子と組んでスイレン草薙、ガイア小早川組と対戦。あっけなくスイレンのストレッチプラムに永沢ギブアップ負け。

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第5戦宇都宮大会ではギムレット美月とシングル戦、いくら力が落ちてもこのクラスの選手には勝てる。JOサイクロンで快勝した。

宇都宮大会メインはあばしりタッグ選手権、菊池理宇、ボンバー来島組に挑むのはエレン・ヘレンのニールセン一族。試合はニールセン組の血の連係が菊池を追い込んでゆく。変わったボンバー来島もエレンのスピードについていけず、ステップキックで追い込まれる。しかしー
「くらいやがれっ!」
ナパームラリアットさくれつ。これで王者組が防衛に成功した。
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あばしりタッグ選手権

菊池理宇、○ボンバー来島(ナパームラリアットからの片エビ固め)エレン・ニールセン×、ヘレン・ニールセン

王者組が2度目の防衛に成功

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第6戦群馬大会、

第4試合で永沢舞対ボンバー来島のシングルマッチ。来島のパワーをうまくさばいてアームホイップで投げ飛ばす永沢。
「どりゃっ!」
ボンバーのヘッドバット乱発。永沢の動きはふらついていった・・・
しかし試合後半、永沢がスープレックス攻勢で猛攻、ノーザン2連発からキャプチュード。しかしボンバー来島もきょうは気合いが入っていた。
―永沢さんとやれるのは今日しかない、だから絶対勝つ!
ボンバー来島のパワーボム、永沢カウント2.5で返す。
永沢キャプチュード。ボンバー来島の動きが鈍った。ここで永沢JOサイクロン。懸命に場外に逃げた来島。永沢がなんと場外タイガードライバー。

「ぐわあああっ!!」」
フラフラの来島がリングに戻ったところをねらって永沢が3度目のキャプチュード。何とか勝利をもぎ取った。勝負タイム26分8秒の大熱戦だった。

第7戦幕張大会から吉田龍子が限定参戦。まだ吉田の腰痛は続いているようだ。きょうは永沢舞、ビーナス麗子対吉田龍子、菊池理宇のタッグマッチが組まれている。
「すごいのいっきまーす!」
永沢のJOサイクロンが菊池に決まる。しかし菊池もカウント2.5で返して
「この技に勝負をかける!」
豪快なミサイルキックで永沢吹っ飛ぶ、そして吉田龍子がリングイン。

―永沢さん、今までありがとう。
吉田龍子にとって永沢は1期先輩、よくタッグを組んで伊達遥や草薙みことと熱い戦いを繰り広げた間柄だ。
菊池のアシストを受けて、抱えあげて叩きつける。合体パワーボムを決めて永沢からカウント3奪取。

幕張大会メインで大波乱。ハイブリッド南、マイトス香澄のSPZタッグにハイサスカラス、ドスカナ・リブレのAAC勢が挑んだが、マイトス香澄が捕まってしまって最後はハイサスカラスがみごとなムーンサルトプレスを決めて終了。タッグベルトが流出してしまった。
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SPZ世界タッグ選手権

○ハイサスカラス、ドスカナ・リブレ(20分くらい、ムーンサルトプレスからの片エビ固め)ハイブリッド南 マイトス香澄×

ハイサスカラス組が第19代王者となる

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そして最終戦、横スペ大会。永沢舞の引退試合とあって、1万5千の会場は早い段階でチケット完売。試合前の控室、関係者や元所属選手がひっきりなしに現れて永沢舞に挨拶する。やはりこのレスラーは誰からも愛される人だった。
今野前社長も小川ひかると一緒に訪問。
「わー、これ欲しかったんですよ~」
ホッキョクグマの巨大ぬいぐるみを永沢にプレゼントした。

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さて午後6時30分試合開始。
第1試合は渡辺智美対キューティー金井。アイドルレスラー同士の一騎打ち。キューティーもエルボーやブレーンバスターなどでよく攻めて、バックドロップまで繰り出して渡辺を追い込んだのだ。そしてー
2度目のバックドロップ炸裂、渡辺はフォールを返せなかった。
「勝っちゃった~」
いくらアイドルレスラーとはいえ、7年先輩でSPZの苦しい時代を知る渡辺を倒してしまったのだ。キューティー金井は喜びを全身で表した。

第2試合はマイトス香澄対ユーリスミルノフ。革命軍のハイブリッド南が大きなシングルマッチに出るときは、たいていマイトスが割りをくって前座に回される。しかし相手はEWAの常連外人、ユーリ・スミルノフなので苦しい戦い。
「がはっ・・・」
ニーリフトで悶絶させられ、そのあとのフロントスープレックスで玉砕。暴れたりないスミルノフをチェーンを振り回しながら引き揚げた。

第3試合はガイア小早川、ギムレット美月のコンビがエレン、ヘレンのニールセン組と対決。やはり一族ならではのチームワークが勝り、最後はヘレンのヒップアタックがガイア小早川を仕留めた。

休憩明けの第4試合は菊池理宇、ボンバー来島のあばしりタッグ王者組と、ハイサスカラス、ドスカナリブレのSPZタッグ新王者が対戦という豪華カード。だがハイサスカラス強い。菊池も来島もいいようにやられて、最後はハイサスカラスのフランケンシュタイナーに来島が沈んだ。
そして第5試合、

「次の試合に出場する永沢舞選手は本日が最後の試合となります、ファンの皆様一層のご声援をお願いいたします」
ドオオオオオ!

規格外ファイター永沢舞が最後の入場。その投げまくり攻勢は全盛期の伊達遥を一方的に破ったこともある。が、吉田龍子と比べて安定感に難があり、負けるときはコロッと負ける一面もあった。SPZ王者に5回も輝きながらリーグ戦のSPZクライマックスで2位以上になった事がないことが安定感のない彼女のファイトスタイルを物語っている。それも含めてファンから愛されていた。

永沢舞、最後の相手は10期生のビーナス麗子。じっくりとした攻防を展開していったが、いきなり永沢が問答無用のJOサイクロン。
「みんなー、必殺技だよ、必殺技。」

ドッゴーン。

この技は受け身が取りにくいので一撃必殺の破壊力がある。ビーナス麗子は返せなかった。9分35秒、唐突なフィニッシュだが試合終了。これも永沢らしい終わり方だった。

所属選手全員がリングに上がり永沢を胴上げ。そのあと特別ゲスト、長年タッグを組んだ富沢レイがリングに上がり花束を手渡した。そのあと永沢舞は手を振りながら花道を引き揚げた。

セミファイナルはスイレン草薙対新咲祐希子。17分15秒の激闘の末スイレンがバックドロップで勝利。

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メインイベントは吉田龍子対ハイブリッド南のSPZ選手権。今年最後の激突である。試合は例によって関節技を狙うハイブリッドと、ラリアットを軸にパワーで攻める吉田のいつもどおりの好勝負が展開された。試合中盤に決まった吉田のスプラッシュマウンテン。これでハイブリッドの動きが落ち、焦ったのか、くりだしたネオ・サザンクロスロックはあまりにもロープに近い。

そして吉田龍子が2度目のパイルドライバー。頭を打ってしまったハイブリッドは無念の3カウントを喫した。30分30秒の激闘を制した吉田龍子が2度目の防衛に成功。腰痛を抱えていてシリーズフル参戦ができないのだがきっちりビッグマッチでは結果を残す。

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SPZ世界選手権

吉田龍子(30分30秒、パイルドライバーからの片エビ固め)ハイブリッド南

第30代王者が2度目の防衛に成功

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メイン終了後、永沢舞の引退セレモニー。

「えっと、きょうは来て頂いてありがとうございます。相手を思った通りに投げ飛ばすことができなくなりましたので、プロレスを辞めることを決めました。今までありがとうございましたー!」
テンカウントゴングのあとファンに挨拶。涙はなかった。
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永沢舞

2012年4月16日、大阪舞州アリーナ大会での保科優希戦でデビュー。2020年11月26日、横浜スペシャルホール大会でのビーナス麗子戦で引退。稼動月数103ヶ月、出場試合数(概算)728試合

タイトル歴

SPZ世界王者 第10代、第14代、第18代、第23代、第27代

SPZ世界タッグ王者

第8代、第11代、第14代(パートナーは富沢レイ)

第4回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは草薙みこと)

2007年7月 3日 (火)

第154回 2本目のタッグベルト新設

12年目9月

9月シリーズ「SPZ秋爽シリーズ」開幕。
「ごめん、やっちゃった・・・」

吉田龍子がSPZクライマックス最終戦の激闘でブチギレたときに腰をやってしまった。したがって今シリーズは最終戦のさいたまドームのみの出場となった。

「ボク、また海外で鍛えなおしてきますっ」
SPZクライマックスで不本意な成績に終わったスターライト相羽が3回目の海外武者修行。EWAで再度修行を積むらしい。

ビーナス麗子がファースト写真集「CHIDORI」撮影のため欠場。
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初戦は高知大会。ハイブリッド南の地元で、SPZタッグ選手権試合が組まれた。

チャンピオンのハイブリッド南、マイトス香澄に対するのはEWAのナターシャ・ハン、アンナ・クロフォード。

「ゲスト解説はSPZ副社長の井上霧子さんです。井上さん、この試合の見所は」
「やはり関節技の極めあいなんじゃないでしょうか。あとはマイトス香澄選手が捕まると危ないので、ハイブリッド選手が前面に出て闘った方がいいですね」

「覚悟して」
その通りにハイブリッドがひとりでEWAの2強を追い込んでゆくが、クロフォードのパイルドライバーで少しふらついたのか、マイトスにタッチ。そこをつけこんで外人組が攻め込んだので会場は盛り上がった。しかし最後は攻め込まれたマイトス香澄が奮起。

ボクの必殺技受けてみろ!

ドォンッ。
ハイブリッジで決めたジャーマン「絶望2000」炸裂。
A・クロフォード返せず試合終了。
「28分41秒、絶望2000でハイブリッド南、マイトス香澄の勝ち」

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第7戦新潟大会、メインに組まれたのは新設されたタッグベルト初代王座決定戦。要するに若手中堅選手の目標を作りたかったので、男子団体のアジアタッグのパクリ。

ドスカナ・リブレ、エレン・ニールセンの外人コンビに対するは菊池理宇、ボンバー来島の11期生コンビ。
ただいまより『あばしりタッグ選手権』、初代チャンピオン決定戦60分1本勝負を行います!」

伊達レフェリーが新しいベルトをお披露目。黄金のベルトの真ん中には極太文字で「網走」と刻まれている。ベルト制作費と世界レスリングコミッションへの認定料で5億かかった代物だが、あくまで中堅のベルトということと、本社2階にあるSPZ選手のたまり場「あばしり」が制作費のごく一部、5万円を負担したのでこの名がついた。

メイド服に身を包んだコミッショナー、喫茶あばしり店長(このためだけに新幹線で新潟まで来てもらった)が認定証を読み上げる。

「えーと、このタッグマッチは、横浜市戸塚区の喫茶「あばしり」が認定する「あばしりタッグ選手権」初代王者決定戦であることを認定いたします、2020年9月23日、喫茶あばしり店長、鈴波かすり」

試合は来島のパワーとドスカナの空中殺法が正面から激突する好勝負となった。最後は菊池がコーナー最上段からミサイルキック。これでエレン・ニールセンを仕留めて初代あばしり王座に輝いた。

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あばしりタッグ初代王者決定戦(60分1本勝負)

菊池理宇、ボンバー来島(20分くらい、ミサイルキックからの片エビ固め)エレン・ニールセン×、ドスカナ・リブレ

菊池組が初代王者となる。

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「エヘヘッ!やったー!」

パフェを模したトロフィーを掲げる2人。

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最終戦さいたまドーム大会、メインはスイレン草薙対吉田龍子のSPZ選手権。

だが欠場明けで吉田の動きにいつもの切れがなく、スイレンに先手をとられてしまう。懸命にラリアットでチャンスをうかがう。そして20分ごろ、逆転を狙ってスプラッシュマウンテン。しかしスイレンも2.8で返して草薙流兜落とし。

必殺技を一度ずつ出し合って、終盤は両者フラフラの状態。しかし吉田、スイレンを押さえつけて、

ガッ!

ステップキック炸裂。これで3カウントを奪って23分45秒試合終了。吉田龍子に1年8ヶ月ぶりにベルトが戻ってきた。

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SPZ世界選手権試合(60分1本勝負)

吉田龍子(23分45秒、ステップキックからの片エビ固め)スイレン草薙

吉田が第30代王者となる

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「もう、巻けないかな、って思った・・・」
吉田はベルトをしっかりと抱きしめた。

2007年7月 2日 (月)

第153回 「吉田龍子・王者の魂」

12年目8月 SPZクライマックス(シングルリーグ戦)

最終戦横スペ大会を前にして優勝争いは3人に絞られた。

12点 ハイブリッド南(最終戦の相手は吉田龍子)

10点 吉田龍子(最終戦の相手はハイブリッド南)

    スイレン草薙(最終戦の相手は菊池理宇)

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午後5時試合開始。

第1試合はキューティー金井対マイトス香澄。マイトスがSPZクライマックスに出られず前座の第1試合に回された怒りをぶつけ、新人のキューティー金井を6分32秒、キレイなフォームのバックドロップで撃破。

第2試合はボンバー来島が新人の芝田美紀と組んでドスカナ・リブレ、ユーリ・スミルノフと対決。芝田が意外にもこの戦いについていって、けっこう白熱した。最後はドスカナのスピードが勝り、ジャンピングニーで芝田が沈んだが、それでも15分21秒の好勝負となった。

休憩前第3試合はギムレット美月対ドリュー・クライ。若手有望株のギムレットより、常連外人ドリュークライの方がかつてはシングルで草薙みことや永沢舞を倒したこともある実力者なので声援が飛ぶ。

「ウラ!」

風格ある裏拳でギムレットを仕留めた。勝負タイム8分14秒。

休憩後、公式リーグ戦の残り4試合が行われた。

○永沢(6点、ノーザンライトSH 15.27)S相羽(2点)

なんとか先輩相手から1勝を挙げたいスターライト相羽と、落日のイメージを振り払いたい永沢の対戦。予選会では永沢が勝っているが、スターライト相羽が積極的に攻め、永沢に波状攻撃をさせない。しかし、15分直前、永沢がラッシュをかける。JOサイクロン2連発。これでは相羽どうにもならず。

ヨーロッパ武者再修行をしたにもかかわらず、スターライト相羽、リーグ戦戦績は昨年と同じ2点。上位から1勝もできず茫然自失・・・

○新咲(8点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 6.31)V麗子(4点)

新咲があっさりと6分少々で勝利。新咲、格下相手にはきっちり白星を集め4勝3敗で終了。初出場のビーナス麗子は2勝に終わった・・・

○スイレン(12点、デスバレーボムからの片エビ固め 10.49)菊池

ーこのまま何もできずに終わるなんて嫌だ。
菊池が懸命にスイレンのサソリ固め、ストレッチプラムを堪える。菊池の粘りに手を焼いたスイレン、とっておきのデスバレーボム。1発目はロープに近かったので逃げられたが、2発目はリング中央で決まって終了。

「菊池ー、よくやったぞー!」「ありがとうー!」

全敗でリーグ戦を終えた菊池。それでも横スペのファンは温かい声援を菊池に送った。
スイレン草薙、控え室に戻っていすに腰掛けコスチューム姿のままメインの行方をモニターで見守る。吉田が勝てば優勝決定戦である。

吉田(12点、スプラッシュマウンテン28.10)ハイブリッド南(12点)

直近のシングルでは分の悪い吉田、しかし5連覇するためにはどうしてもこの試合勝たなくてはいけない。

「うらーっ!」

裂帛の気合を込めてラリアット、ギロチンドロップを連発してハイブリッド南を攻め込んでゆく吉田。派手な大技は使わないところがこの戦いのシビアさを物語っている。ハイブリッド相手には隙は見せられないのでディフェンスを固めながら攻める。後半ハイブリッドが、一発逆転でネオサザンを狙うがあまりにもロープに近い。

ここで吉田がラッシュ。強烈なステップキックでダウンさせておいて、コーナー最上段に登るや秘技、シューティングスタープレス。しかしハイブリッドもカウント2.9で返す。

ドドドドドド!
しかし吉田は落ち着いてトドメのスプラッシュマウンテン。まっさかさまに叩きつけられてこれはハイブリッド返せなかった。

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ウオオオオオオ!

これで12点で吉田龍子、ハイブリッド南、スイレン草薙が並ぶ展開。4年前と同じ「優勝決定巴戦」が行われることになった。超絶シングルマッチがあと2試合見られる。思わぬ「アンコール」に横スペのファンは大歓声を送った。

メイン終了後20分のインターバル。2度目の休憩の後、井上霧子がリング上に上がり試合順を決めるくじを引く。村越リングアナが読み上げる・

「優勝決定戦第1試合、吉田龍子対ハイブリッド南。優勝決定戦第2試合は第1試合の勝者対スイレン草薙。」

ドワーーーーー!!
抽選の結果、決定戦第1戦はメインイベントと同じカード、ハイブリッド南対吉田龍子。

そして疲労困憊の両選手が入場。

ーあのころと違って若くないからね・・・

吉田龍子の脳裏に4年前、最終戦で永沢草薙伊達を3連破してSPZクライマックスを初優勝したときの記憶がよみがえる。3試合目は本当に苦しかったのだ。

「香澄さん、ちょっと気合入れて。集中力切れちゃってる」

花道奥でハイブリッド南が革命軍同志のマイトス香澄に指示を出す。

「はい、行きますよ。」

パーーーーーン!

思いっきりマイトス香澄はハイブリッドの顔面を張った。

「ありがとう、目が覚めたわ」

ハイブリッド南は両こぶしを握り締めたまま花道を歩き始めた。

■第12回SPZクライマックス優勝決定巴戦第1試合■

吉田(シューティングスタープレスからの片エビ固め23.47)ハイブリッド

午後7時42分、ゴング。しばらく両者にらみ合ったまま動かない。これだけで盛り上がる。何しろここ数年のSPZはこの2人の激闘がウリだったのである。

ハイブリッド南が吉田の突進力を鈍らそうと考えたか、執拗なスリーパー攻め。前の戦いのダメージもあって吉田龍子劣勢。しかし、吉田龍子ベテランの味でロープ際で闘いハイブリッドに関節地獄での決定的チャンスをつくらせない。そしてハイブリッドの集中力が切れてきたのを見計らって反撃開始。DDTやギロチンドロップで徐々に盛り返し、最後は秘技、シューティングスタープレス炸裂。これでハイブリッドに1日で2連勝。

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ゼエッ、ゼエッ、ゼエッ・・・

ただでさえものすごい集中力を要する宿敵・ハイブリッド南との闘いを2試合、計51分闘って、吉田龍子ズタズタの状態。このあとさらにスイレン草薙との闘いが控えている。しかも相手のスイレンはセミファイナルで菊池に楽勝してさほど疲れていない。

「勘弁してくれよ・・・」

控え室の床に毛布を敷いて寝そべる吉田龍子。リング上ではボンバー来島と菊池理宇が客席へのカラーボール投げを行って場を持たせている。

「龍子さん、ここまできたら技や体力じゃないですよ。魂で勝つしかないですよ」

セコンドの渡辺智美が励ます。

「魂、ねえ・・・」

「それに龍子さん9人斬りやったことあるでしょう。」

「4年前の話だよ。それにあの時は素人が3人混じってた。」

そうこうしている間にインターバルは終わり、優勝決定戦第2試合が始まる。

「あー、家に帰って風呂入って寝たい~。Sクラなんて、もうこりごりだ、2度と出たくない」

さすがの吉田もかなりまいっているようだ。

そこへお忍び観戦に来ていた今野前社長と小川ひかるが現れた。

「あ、社長、小川さん・・・・」

吉田は起き上がって挨拶する。

「吉田さん、もうここまで来たら勝っても負けても吉田さんの伝説は残る。好き勝手に暴れてきた方が良いと思うよ」

「吉田さんはまだ本当の力を出していないと思います。いい試合をしようなんて思わないで、やりたいファイトを思い切りやれば結果はついてくると思いますよ」

小川ひかるも助言する。

***********************

午後8時31分、いよいよ優勝決定戦第2試合のゴングが。

ー吉田さんは疲れきっている。いつも通りにやれば必ず勝てる。

スイレンがいつものようにフロントスープレックス連打で攻め込んで行く、が、ここでブチキレたのか吉田が猛ラッシュをかけた。

「アアオオオオオオオ!」
雄たけびとともにものすごいスプラッシュマウンテン。そのあとプラズマサンダーボムと大技攻勢。スイレンもカウント2.8で返して、懸命に反撃したが、足が震えていた。
「ウォオオオオオオ!」
鬼神の表情で吉田、2発目のスプラッシュマウンテン、これで試合は終わった。絶対王者だった頃の迫力がよみがえった。いや、それ以上の気魄。
「11分40秒、スプラッシュマウンテンからのエビ固めで吉田龍子の勝ち。」

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SPZクライマックス 優勝決定巴戦第2試合(30分1本勝負)

吉田龍子(スプラッシュマウンテン、11.40)スイレン草薙

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「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
いっちゃった目でリング上で仁王立ちする吉田龍子。場内はものすごい吉田コールに包まれた。しかし・・・

バタ。

さすがの吉田龍子もやはり3連戦はきつかったのか、ぶっ倒れてしまった。当然表彰式も何もあったものではなく、4年前と同じく騒然とした雰囲気の中SPZクライマックス最終戦は終わった。上原コーチ、菊池、ボンバー来島らにより運ばれる吉田龍子。館内は拍手喝采。

「やった・・・5連覇、だ」

控室で横になりながら呟く吉田。4年前同様、毛布をかけられそのまま上原コーチの運転する車の後部座席にほうりこまれ、自宅マンションへ護送された。後日吉田には賞状と金一封、副賞として「ブランド腕時計」が贈られた。

2位はスイレンとハイブリッドが並んだが、直接対決で勝っているハイブリッド南が「横浜中華街のお食事券」を手に入れた。
こうして真夏の死闘は幕を閉じた。

2007年7月 1日 (日)

第152回 12年目8月SPZクライマックス 吉田龍子の挑戦

12年目8月、恒例のSPZクライマックスは第4戦。

1日の移動日をおいて一行は北海道へわたり、釧路アリーナ大会。

○永沢(4点、JOサイクロン15.22)V麗子(2点)

試合前半は互角の攻防を演じたビーナス麗子だったがさすがは百戦錬磨の永沢、うまく持ち直して、最後は伝家の宝刀JOサイクロンがズバリ。

○S相羽(2点、キャプチュード 10.57)菊池(0点)

S相羽に初日。白星配給係を手堅くしとめた。

○スイレン草薙(6点、リバーススープレックス 21.10)吉田(4点)

こんな黄金カードが北海道最果ての地、釧路の体育館で実現。いまや吉田とスイレンの間の実力差はない。むしろスイレンの方がSPZ王者に輝くなど勢いがある。試合では面白いようにスイレンの投げが決まる。吉田のプラズマサンダーボム狙いは切り返された。

「これで決めます」

スイレンの草薙流兜落とし。しかし吉田カウント2.9で返す。スイレン、トドメのバックドロップ、しかし吉田またもカウント2.9で返す。

「このーっ!」吉田が蹴りの乱打。あの吉田龍子、かつての絶対王者が必死になって勝ち点2を獲りに行く。釧路のファンは息を飲んだ。

「遊びじゃないんだよ!」

吉田が最後の力を振り絞ってパワーボムを狙う、しかしスイレンはー

「うあーっ」

なんとリバースで返した。このあとのフォールを吉田返せず終了。

「あー、クソ。最後、目の上にスイレンのケツが乗っかっちゃって、返せなかった」吉田V5に黄信号が灯った。

○H南(6点、ネオサザンクロスロック 22.10)新咲(0点)

6期生の同期対決。新咲がシャイニングウィザード連発などでよく攻めたが、逆転のネオサザンクロスロックで万事休す。新咲3連敗・・・

********************

翌日はどさんこドーム大会、メインのカードが強力だったのでいちおう4万6千人を集客して満員になった。

○V麗子(4点、ハイキックからの片エビ固め 19.12)S相羽(2点)

ビーナス麗子の掌底が入ってしまったのか、スターライト相羽の動きに切れがない。終盤になってタイガードライバーなどで反撃するも、最後はビーナス麗子の凶悪なハイキックが相羽の頭部を捕らえて終了。

「そんな・・・今日もボクが負けるなんて・・・」

未来のエース候補(のはず)のスターライト相羽、後輩に足元を掬われてしまった。

○新咲(2点 パワーボムからのエビ固め10.12)菊池(0点)

新咲ようやく初日。菊池は4連敗。ストレートで負け越し、来年の予選会行きが決定。

ー勝てないことはわかってたけど・・・内容がひどすぎる。

ーもっと、強くなりたい。

菊池は控え室奥の廊下で涙を流した。

○吉田(6点、スプラッシュマウンテンからの片エビ固め 14.03)永沢(4点)

過去何回もSPZ王座をめぐって戦い続けてきた両者の対決。だが永沢が吉田を投げきれない。JOサイクロンで見せ場はつくるものの、そこまでであった。

「そろそろ派手に決めようか!」

スプラッシュマウンテン炸裂。これで永沢は3カウントを聞いた。

○H南(8点、ヒップアタックからの片エビ固め 25.52 )スイレン草薙(6点)

「勝てば優勝はカタイよ」上原コーチがスイレンに囁く。

なにしろ明日以降、残りの対戦相手が比較的「計算」できる永沢相羽菊池なのだから。ハイブリッド南も同じ事を考えていた。

ースイレン選手を走らせるわけには行かない。

気迫のこもったジャンピングニーで追い込んでゆく。

吉田龍子も控室のモニタで観戦。

―頼むよ、ハイブリッドさん。

しかしスイレンの猛攻も凄い。草薙流兜落とし、ギロチンドロップでハイブリッドも苦戦。

しかし、ハイブリッドのハイキックが決まり、これでスイレンは決定的ダメージを負った。これはカウント2.9で返したが、ハイブリッドが奥の手、ヒップアタックでカウント3奪取。ハイブリッド南が先月のSPZ選手権のリベンジを果たすとともにスイレン草薙の連勝を止めた。

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翌々日は仙台大会。

○新咲(4点、パワーボム 12.51)S相羽(2点)

スターライト相羽、まだまだ上位陣の壁は厚くて新咲にいいように投げられて最後はパワーボムで終了。

「どうして勝てないんだろう・・・」

海外でけっこう鍛えてきたはずなのに。スターライト相羽は控室で落ち込んだ。これで予選会行きが決定。

○スイレン(8点、サソリ固め 11.41)永沢(4点)

元SPZ王者永沢だが、スイレンの投げ技構成でただやられるだけ。最後はぐったりしたところをサソリ固めを決められて終了。場内、ため息と悲鳴が・・・

○吉田(8点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 11.25)V麗子(4点)

ビーナス麗子、初めての吉田相手のシングルマッチ。入団したときからシングル対決することが目標だった。

「たあー」

果敢にチョップを打ち込んでゆくが、吉田さんはウントモスントモいわず、逆にラリアットでのお返し。10分ほど相手をして、最後はスプラッシュマウンテンで一撃必殺。

○H南(10点、サソリ固め9.23)菊池(0点)

菊池理宇、故郷仙台凱旋、しかもシングルマッチでメインイベントという扱い。しかし相手がハイブリッド南。

「キ・ク・チ!キ・ク・チ!」場内は菊池コール一色。

ハイブリッドも少しは攻めさせてあげようと考えたのか、ミサイルキックやローリングソバットを受けた。しかし頃合いを見てサソリ固め。菊池たまらずギブアップ。

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1日の移動日をおいて名古屋しゃちほこドーム大会。あまり良くないカード編成のわりに4万5千の観衆で埋まった。

○新咲(6点 フェイスクラッシャーからの片エビ固め 12.18)永沢(4点)

永沢舞の衰えは誰の目にも明らか。劣勢をJOサイクロンで打開しようとするが新咲カウント1で返す。これで闘志に火がついたのか新咲、

「はぁぁー、いっくよーっ」

高速ジャーマン、シャイニングウィザード、キャプチュード、フェイスクラッシャー2連発。怒涛の大技攻勢で永沢を完全に沈黙させた。これで永沢も予選会行き。

○吉田(10点、ステップキックからの片エビ固め8.43)菊池(0点)

「3分で終わるんじゃないか?」

「いや、ドームのセミだから吉田さん空気読むから5分は持つよ」

客席からはそんな声が。勝敗よりも菊池が何分もつかが見所。

菊池、先に入場して青コーナー側に立って吉田の登場を待つ。程なく吉田が「赤い破片」に乗ってリングイン。Tシャツを脱ぐと鋭い眼光で菊池をにらみつける。

ーもうここまできたら仕方ない。吉田さんとやれるんだから精一杯やろう。

カンッ。

展開されたのはやはり惨劇。菊池ただやられるだけ。最後は強烈なステップキックで菊池昏倒。それでも8分43秒菊池は耐えた。

○スイレン草薙(10点、草薙流兜落としからの片エビ固め 12.11)S相羽(2点)

スターライト相羽もタイガースープレックスを繰り出すなど善戦健闘したが・・・スイレン草薙強い。

○H南(12点、踵落としからの片エビ固め 6.06)V麗子(4点)

ハイブリッド南が翌日の横スペ決戦の事を考えたのか、ビーナス麗子をわずか6分で仕留めて全勝キープ。これで最終戦を前にしてハイブリッド南が12点でトップ、吉田龍子、スイレン草薙が10点で追う展開。

最終戦はSPZ本拠地の横スペ大会。ハイブリッド南、悲願の初優勝まであと一歩。そのためには吉田龍子に引き分け以上が要求される・・・

(長くなるので続きます)

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