第212回、コツコツやるのが、コツ
15年目8月
恒例の「真夏の決戦」SPZクライマックスの季節。8月3日の夜9時、例年通りSPZ横浜本社2階にある閉店後のメイド喫茶「あばしり」を借り切って記者会見が行われた。
■「新・最強巫女伝説 前SPZ世界王者」スイレン草薙(22)
前回優勝 7年連続7回目の出場 京スポ予想倍率1.9倍
「全力で戦います」
■「シューティングスター」スターライト相羽(21)
5年連続5回目の出場 京スポ予想倍率2.7倍
「気合と根性で頑張りますッ」
■「殺人ダンプカー・SPZ世界王者」ボンバー来島(19)
3年連続3回目の出場 京スポ予想倍率2.7倍
「全員気持ちよく眠らせてやるぜー」
■「小さな宇宙戦艦」菊池理宇(19)
2年連続3度目の出場 京スポ予想倍率9.3倍
「出るからには一つでも多く勝ちます」
以下は予選会勝ち上がり組。
■「史上最凶のお嬢様」ビューティ市ヶ谷(17)
初出場 予選会1位通過 京スポ予想倍率6.2倍
「オーッホッホッホ!全員このわたくしにひざまづくのです!」
■ 「一撃必殺お嬢様」芝田美紀(18)
2年連続2回目の出場、予選会2位通過 京スポ予想倍率99.9倍
「ホーッホッホホホホ!芝田ここにありということを全国のファンに見せ付けますわ」
■「スーパーお嬢様」ロイヤル北条(17)
初出場 予選会3位通過、京スポ予想倍率99.9倍
「ようやくこのリーグ戦に出られるところまで来ました。これに甘んじることなく、自分のレスリングをして白星を積み重ねたいです」
■「ファイティングコンピューター」ギムレット美月(20)
3年連続3度目の出場 予選会4位通過 京スポ予想倍率99.9倍
「優勝の確率は微妙ですが、まあ、頑張ります。」
例年通り、上記8人が総当りリーグ戦を闘い、勝ち2点引き分け1点負け0点で、最も勝ち点の高い者が優勝となる。スイレン草薙が本命とみられていたが、先月ボンバー来島のラリアットをモロに食らって首を負傷。この影響がリーグ戦の行方にどう影響するか。SPZシングル戴冠経験のあるボンバー来島、スターライト相羽、菊池理宇も一発狙ってくるだろうし、進境著しい市ヶ谷様もダークホース的存在。今年は例年になく混戦模様になる・・というのが戦前の予想だった。
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初戦京都大会。この日はリーグ戦は行われず「前夜祭」と称して通常の地方興行だが、読み上げられたカードにスイレン草薙の名はなかった。
実は先シリーズ最終戦でボンバー来島のラリアットを食らった際に首を痛めてしまって、リーグ戦の出場をも危ぶまれたが本人の強い希望もあって出場、ただし初戦の京都大会は大事をとって欠場となった。
京都大会メインの6人タッグにはこのシリーズ参戦予定のなかったナターシャ・ハンがワンマッチ限定参戦。あいかわらずのグラウンドさばき、関節技で菊池来島をキリキリ舞いさせたあと最後はキューティ金井をSTFで葬った。
「キョート・サイコー!」
ナターシャ・ハンは翌日京都観光を楽しんでから、夕方関空発の飛行機でEWAの興行場所、オランダへ戻った。
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2戦目の大阪なにわパワフルドーム大会から地獄のリーグ戦がスタート。
G美月(2点、ドラゴンスリーパー 15.31)R北条
予選会ではギムレットに勝っているロイヤル北条だったが、本大会ではギムレットが先輩の意地を見せた。アキレス腱固めを長々とかけて動きを止めて自分のペースに持ち込むあたりはさすが。最後はドラゴンスリーパーでギブアップを奪った。
「この試合を取らないと全敗の恐れがあります。真剣でした」
B市ヶ谷(2点、ミサイルキックからの片エビ固め16.42)B来島
大阪、セミ前で注目の顔合わせ。SPZ王者のボンバー来島に新鋭のビューティ市ヶ谷がどこまでくらいついてゆくか。
「覚悟なさい!」
ラリアットを3連発、ペースを握ろうとする市ヶ谷。しかし来島、リーグ戦初戦からの消耗戦を嫌ったのか、
「これがラリアットだ!」
ものすごい勢いのナパームラリアット。そしてボディプレス。厳しい攻めを見せて市ヶ谷をカウント2.5まで追い込む。
しかし市ヶ谷も猛反撃。
「マットにひれ伏しなさいッ!」
ビューティボム、パイルドライバーで来島の動きを止める。そしてコーナー最上段に登って
ダイナミックなフォームでのミサイルキック。このあとのフォールを来島返せず。
ええええええええええええええ!
騒然とするなにわパワフルドーム。SPZ王者が黒星発進してしまった。
S草薙(2点、サソリ固め 11.11)菊池
手負いのスイレン草薙、この日午前に横浜市内の病院で痛み止めを打ってもらったあと「のぞみ」で会場入り。初戦の相手は菊池理宇、楽な相手ではないがアームホイップ、スリーパー、タックルなどの小技でこつこつと攻める。結果的にこれが功を奏し、やや動きの落ちた菊池にサソリ固めを極めてギブアップを奪った。
試合後の控室。
「まずは第一の難関突破ですね」
「そうですね、あまり調子が良くないので、こういうときはコツコツやるのが、コツだと思います」
スイレン草薙を取り囲んだ記者団は凍りついた。
S相羽(2点、タイガースープレックスホールド 14.44)芝田
スターライト相羽がメインに登場。芝田の打撃攻勢に追い込まれたものの最後はきっちり必殺タイガースープレックスで勝ち点2をゲット。
「今年こそ、ボクが、優勝する・・・」
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メイン終了後、森和紀アナウンサーが吉田龍子解説者と話す。
「かいせつの吉田さん、初戦を終えましたが、ズバリ優勝の予測は」
「ほんっと今年はわからんですよ。実力に差がないと思いますし、スイレン選手も今日は勝つことは勝ちましたが動きが悪いです。まあ、今日負けましたけど菊池に頑張って欲しいですね」
「スターライト相羽選手はどうですか、今日メインで芝田を破りましたが」
「多分ダメでしょう。オーラがないんですよ彼女には」
「オ、オーラですか・・それではなにわパワフルドームからこの辺で失礼致します。実況はわたくし森和紀、かいせつは吉田龍子さんでした。」
「はいどうも」
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