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2007年11月30日 (金)

第273回 17年目5月 普通の女の子に戻ります

18年目5月

SPZ最古参レスラー、9期生スターライト相羽が引退を表明。
「体力の限界を感じちゃいました。普通の女の子に戻ります」

元エースのスターライト相羽、トップ争いを離れてからも24歳まで現役生活を続けたがついに身体が動かなくなった

 そして11期生の菊池理宇も引退を表明。
「ゴメン、社長!あたしもう若くないから、あはは・・・」

菊池理宇22歳、空中戦主体のレスラーだけあって体の痛み具合も早かった。

両方ともSPZシングル・タッグ王者に輝いた経歴を持つスーパースター選手なので営業に与える影響は大きい。5月シリーズは両名の引退シリーズとなった。引退興行は九州各所を回る。

初戦鹿児島大会、菊池、B来島、S相羽の3人がメインでトリオを組んでEWA軍ナターシャ、デイジー、アリス組と対戦。

やはりEWA軍の猛攻にヘボエース相羽が捕まりかけたが、懸命にしのいで来島さんにスイッチ。ボンバー来島がパワーあふれる攻撃でナターシャを追い込み、菊池を呼び込んで
「オラオラオラー!」
ダブルインパクト発動。これで試合は終わった。19分49秒、SPZ本隊チームが勝利。

第2戦宮崎大会、菊池はボンバー来島と組み、スターライト相羽はギムレット美月と組んでセミファイナルでタッグ対決。ボンバー来島がフェイスクラッシャーで相羽をたたきのめした。

第3戦熊本大会。スターライト相羽は第2試合で16期の氷室紫月とシングル対決。けっこう勝負は長引き、最後は集中力の切れた相羽をミサイルキックで氷室が仕留めた。

菊池はセミでボンバー来島と組んでジューシーペアと対戦。進境著しいマッキー&ラッキーだが、SPZタッグ王座の防衛記録を持つ菊池来島にはまだまだ通じず、最後は合体パワーボムにマッキーが力尽きた。

第4戦別府ビーコンホール大会。スターライト相羽はまたも第2試合で氷室と連日のシングル対戦。投げ技なら相羽、グラウンドなら氷室、気迫のこもった攻防が展開された。最後は氷室のパイルドライバーに相羽が力尽きた。

次の試合で菊池来島がビューティ市ヶ谷・芝田美紀組と対決。ここ数年のSPZを盛り上げたキラーマシン軍対お嬢様軍団ジュエルローゼスのラスト対決。最後は芝田のハイキックで菊池がフォール負け。勝負タイム29分46秒。

別府大会メインでは、ジューシーペアが返上したあばしりタッグ王座決定戦。ビーナス麗子、ギムレット美月対アリス・スミルノフ、エレン・ニールセン組。
「ガンガン、いっちゃうぞー!」

ーひとつ上の相羽さんが引退。ひとつ下の菊池も引退。自分たちがマットを去る日もそう遠くない。でも今できることを精一杯やる。

10期生コンビが意地を見せ、アリス・スミルノフを合体パワーボムで仕留めた。勝負タイム22分17秒。

第5戦長崎大会。菊池、ボンバー来島、スターライト相羽がメインに登場。対戦相手は16期生トリオ、氷室、ラッキー内田、マッキー上戸の3人。
試合はのっけから氷室がドラゴンスリーパーで来島を落としにかかり、ムッとした来島さんがマッキーをパワーボムで投げつける波乱の展開。スターライト相羽もハッスルしてバックドロップを氷室に打ち込んでいく。しかし氷室も裏投げでお返し。だが、最後は来島さんが暴れて、菊池を呼び込んでー

「いくぞオラーー」

合体パワーボム。20分47秒、これで試合は終わった。

第6戦佐賀大会。第3試合でスターライト相羽対ラッキー内田のシングルマッチ。スターライト相羽がタイガースープレックスを繰り出せばラッキー内田はドラゴンカベルナリア(ラッキーキャプチャーZ)。そしてー

「はああーっ!」
ラッキー内田のフライングニールキック。これでカウント3が入った。

続く第4試合で菊池理宇対マッキー上戸。こちらも熱戦となった。攻めあいしのぎあう両者。しかし菊池が勝負をかけたムーンサルトは自爆。菊池の自爆はよくあることだが、これが彼女の選手生命を縮めたとも言える。そして動けなくなった菊池にマッキーが猛反撃。

菊池、バックドロップはカウント2.9で返したものの続くジャンピングニーに万事休す。

「残り、あと二つか・・・」

*********************
第7戦やまなしカイメッセ大会。

第3試合で菊池理宇対ラッキー内田。早い段階でムーンサルトを繰り出し勝利への執念を見せる。しかしラッキー内田もラッキーキャプチャーZ。最後はエルボーの打ち合い。制したラッキー内田が相羽に続いて菊池も撃破。

第4試合でマッキー上戸対スターライト相羽。

ー内田に出来てアタシにできないはずがない!

マッキー上戸が猛攻。しかし相羽もタイガースープレックス、キャプチュードで猛反撃。しかし激闘に終止符を打ったのは初公開、マッキー上戸のスプラッシュマウンテン。昔のSPZのDVDを見ながら練習を続けついに自分のものにした。食らった相羽はしばらく起き上がることができなかった・・・

最終戦横スペ大会。
「スターライト相羽 引退試合」
「菊池理宇 引退試合」

横スペ正面には大看板が2枚設置された。

2007年11月29日 (木)

第272回 来島さんじゃ勝てないFINAL

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日誌のようなもの
「輝くエッセンシャル」
(かなり脳内妄想はいってます)

18年目4月。

時に西暦2026年、創立17周年を迎えた横浜のお嬢様プロレス団体「SPZ」は「旗揚げ17周年記念バトルカデンツァ」を開催。ドーム会場を5つ回るビッグなシリーズ。

第1戦、北海道は網走大会であばしりタッグ戦。ラッキー内田マッキー上戸のジューシーペアに挑むのは常連外人、エレン・へレンのニールセン一族。

売り出し中の17歳2人、ラッキー内田とマッキー上戸が颯爽とリングイン。ニールセン一族の血の連携に手こずったが、体格のいいマッキー上戸が前面に立って相手の攻撃を受け、ラッキー内田にタッチ。ラッキーもうまくエレンをさばいて、代わって出てきたヘレンに・・・

「そろそろ決めどき・・・ねっ」
ラッキーキャプチャーZ(変形のドラゴンカベルナリア)が炸裂。エレンのカットは上戸に阻まれた。これで終了。王者組が2度目の防衛に成功。

第2戦札幌どさんこドーム大会、メインではSPZタッグ選手権。ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条に挑むのは菊池理宇、ボンバー来島の前王者組。4人が4人ともSPZ女王の戴冠歴がある選手。

「北条さん、あんなヘボロートル2人わたくしひとりで十分ですわ」

その言葉通りビューティ市ヶ谷が20分ほどひとりで暴れて菊池来島に大ダメージを与えた。そして「炎のクローザー」ロイヤル北条登場。市ヶ谷様の攻撃でズタズタに弱った来島へ猛攻。バックドロップでカウント3を奪い28分49秒、防衛に成功。

「かー、やっぱり市ヶ谷は強い・・・」

「くー、勝てなかった・・・」

11期生の二人、悔しそうな表情。

第6戦九州ドーム大会。メインに組まれたのはAAC選手権、ハイサスカラス対ラッキー内田。どうみても16期生のラッキー内田にタイトルマッチの経験を積ませるマッチメイクだ。

16期生のラッキー内田、まだまだ世界の一流選手の壁は厚く、21分55秒、フランケンシュタイナーに敗れ去った。

*****************

最終戦は新日本ドーム大会。

セミ前から3大シングルマッチ。まずラッキー内田対芝田美紀。ラッキー内田もラッキーキャプチャーZを繰り出すなど善戦したが、最後は芝田のダイヤモンドキックに沈んだ。

セミファイナルはロイヤル北条対マッキー上戸。前SPZ王者のロイヤル北条が11分24秒、カカト落としで勝利。

そしてメイン。SPZのトップ2が久々のシングル対決。SPZ王者ボンバー来島に挑むのは「最強の挑戦者」ビューティ市ヶ谷。

「来島さんじゃ勝てない、ベルト移動しますよ」

かいせつの上原今日子が断言。ボンバー来島は市ヶ谷様には分が悪い。来島さんのブルファイトは市ヶ谷には通じにくいのである。

「覚悟なさいっ!」
市ヶ谷のハイキック炸裂。ボンバー来島あっさり王座転落。勝負タイム16分0秒。市ヶ谷様の腰に4ヶ月ぶりにベルトが戻ってきた。

2007年11月28日 (水)

第271回 17年目3月それぞれの幕間

17年目3月 それぞれの幕間

ロイヤル北条を撃破してSPZ世界王者になった来島さんは横浜戸塚の日本料理店「よこ川」でマスコミ記者さんたちと飲んでいた。

「まあどうせ市ヶ谷のバカヤロウに獲られちゃうけどよ、チャンピオンってのはええです。一番強いちゅう看板だけんね」

鯛の塩焼きをつつきながらビールを飲む来島さんだった。

*****************

そのころボンバー来島のパートナー、菊池理宇(22)は入院していた。なんと胃潰瘍で倒れ吐血(表向きは肋骨骨折ということにしておいた)。レスラーの例に漏れず胃袋には自信のある彼女だったが、痛み止めの飲みすぎで胃がやられてしまった。もともと彼女は飛び技主体のプロレスでムーンサルト自爆は「伝統芸能」といわれるほど日常茶飯事であった。シリーズ終盤には必ずどこかを痛め、痛み止めの量が増えていくのが止まらなかった。

「あー、菊池さん、今後はしばらく痛み止め禁止ねー、マジで死んじゃうから」

マッド女医、羽山海が宣告する。

「・・・・そんな、あたし、どうやって闘えば・・・」

ついていった井上霧子が助言。

「菊池さんには悪いけど、ファイトスタイルを変えるしかないわね。剛速球投手でもある程度ベテランになると軟投派になるでしょ。関節技や打撃主体に闘い方を変えて・・・」

「そんなの私のプロレスじゃありません、菊池理宇であるかぎり飛び続けなくちゃいけないと思います」

「でもでも~、お医者さんの立場からすれば、クスリは出せませんよ~、第2の人生、棒に振っちゃうわよ~」

「・・・・・・・・・」

深夜の病室。菊池理宇、なかなか寝付けない。いきなり血を吐いたときの恐怖、リングに上がれなくなる恐怖。

「来月、痛み止めなしでリングに上がって、ダメだと思ったら・・・そのときは・・・」

****************

スターライト相羽(24)も引退を真剣に考えていた。

ーボクは、ボクは・・・

横浜某所の居酒屋でギムレット美月と焼き鳥を食いつつ、ビールを飲んでいた。一時はSPZ女王の座にまで輝いたが実力はピークを過ぎ、最近は前座に回ることも多くなってきた。会場でふがいないファイトをして、いちばんヤジが飛ぶことが多い。

「年収1000万を手放すのは痛いと思います。動けるうちは現役にしがみつくべきです」

ギムレット美月が助言。

「・・・うん、でも・・・」

相羽ちゃん、実力は落ちても人気はあるのでグッズの収入がばかにならないのである。

「いまさら、カネのために、仕事やってるんじゃない・・・」

**********************

SPZ今野役員(52)は久々のオフなので妻の元レスラー(今は公認会計士)、ひかる(32)を連れて信濃大町温泉へ1泊旅行に出ていた。

「冬の木崎湖も・・・いいですね。」

真っ白な世界、今野役員はひかると手をつなぎ、雪を踏みしめながら木崎湖のほとりを歩いていた。

「ふゆのよっぞらー、まだ、しろいかっけらー♪・・・、やってみたかったんだ、スノーエンジェルごっこ。」

「何言ってるんですか、って、アッ!」

雪の上を歩いているうちに二人揃って思いっきりコケた。

「アイタタ・・・」今野役員は頭を打ってしばらく動けなかった、が

「こ、こんなところで受け身取っちゃいました・・・」

ひかるは元レスラーの習性できっちり受け身を取っていた。

「うわ、星が・・・こんなにきれいです」

「・・・もうちょっと、こうしてようか・・・」

今野役員とひかるは雪の上に横たわって星を見上げていた。

**********************

そのあと海ノ口駅のベンチで、ふたり並んで座っていた。

「あー、つめた。寒い」

「もうすぐ大町行きの電車来ますから」

「はー、明日からまた出社だ。SPZも人がいるようで居ないから、ひかるさん経理部長やってよ」

「ダメです。家族経営はよくないですよ。仮にも日本屈指の興行会社なんですから」

*********************

その夜信濃大町温泉の某旅館で、温泉に漬かり、黒部会席を食べて、温泉卓球をやった後・・・

「こうやって旅行するのも久しぶりですね・・・」

「・・そうだねえ、今回たまたま休みが合ったから」

「ねえ・・・そっちへ・・・行って、いいです・・か?」

「・・・うん」

「・・うふふ♪」

(16年後へ向けて伏線張ってます、ええ。)

******************

そのころ戸塚のSPZ本社、

「はい、SPZプロレスです、はい、はい、・・・・・・・4月シリーズの仙台大会、特別リングサイド2枚ですね。ありがとうございます。お名前は・・ヤナガワ様、ですね。それではチケットは代金引換でお送りいたしますので、はい。ありがとうございました。」

(ラッキー内田、電話番)

******************

2007年11月27日 (火)

第270回 復活!ボンバー来島

17年目3月、

「ファイヤーソウルシリーズ」開幕。菊池理宇は肋骨骨折のため欠場。

第6戦、宇都宮大会。

第3試合で組まれたシングルマッチは氷室紫月対ハイサスカラス。氷室やはり世界の一流選手の壁は厚くバックドロップ2連発に敗北。

宇都宮大会メインはあばしりタッグ選手権。王者ジューシーペア(ラッキー内田マッキー上戸)に挑むのは「通称ギムキュー」ギムレット美月、キューティー金井のコンビ。

「さっさと終わらして餃子食いに行くぜ~!」

「美月さんの関節技は警戒しないと・・・じっくり攻めたほうがいいですね」

長いキャリアを持つギムレットが関節技でかく乱してゆくが、試合中盤にキューティー金井が長いこと捕まってしまう展開。それでもー

「もしかして今日は勝っちゃうかも?」

キューティー金井「必殺バックドロップ」発動。ラッキー内田は頭からマットへ。

「ウワーッ!」

男子団体を何度も観戦に出かけてコピーした技だ。そしてラッキー内田にダブルラリアット。懸命にギムレット美月につなぐ。マッキー上戸対ギムレット美月の局面。

ー何がファイティングコンピュータだ、ぶっ壊してやる。

しかしギムレット美月、強烈なマッキーの頭突き連発でかなりふらつく。
そしてー
「落――ちーーろーー!」

マッキー上戸のバックドロップ炸裂。これでカウント3が入った。ジューシーペアがあばしりタッグ初防衛に成功。勝負タイム51分15秒。キューティー金井のベストバウトといえた。

*********************

7戦目幕張大会。メインはSPZタッグ選手権。
ー赤コーナー、SPZタッグ選手権者、ビューティー、いちーがやー。SPZタッグ選手権者、ロイヤルー、ほうーじょー!!

村越リングアナのコール順が代わった。ロイヤル北条がSPZベルトを取ったのであとからコールされるようになった。市ヶ谷様はちょっと複雑な気分。テーマ曲も今日はロイヤル北条のテーマで入場した。

が、いまのSPZにはこの2人を止められるチームがいない。とりあえず今月はEWAの実力者2人、デイジー・クライとアリス・スミルノフを当てたが、この2人はもともと「あばしりタッグレベル」の選手。市ヶ谷様の敵ではなく最後はムーンサルトが決まり、高笑いが幕張に響いた。勝負タイム20分37秒。

*******************

最終戦さいたまドーム大会。

SPZマッチメイク委員会はもめた。

「やっぱり選手のモチベーションを考えると一回くらいは防衛させてあげたほうがいいと思います」

「じゃ市ヶ谷さんは次の次でいきますか。北条さんの相手どうしますか。」

「うーん・・・」

(SPZも人がいるようでいない。16期生はまだ発展途上だし菊池は故障中だし相羽ちゃんは問題にならないし)

「まあいいや、今回は来島さんでいく?」

「それしかないと思うよ」

さいたま大会、休憩時間には元プロレスラーSPZ5期生にして売れないタレント渡辺智美(27)のデビューシングル「悲しみの日本海」が披露された。CDを売りさばくためにドームで3万人の前で歌うという暴挙に出た。演歌っぽい曲がかかり、オーロラビジョンに渡辺智美の熱唱シーンが大写しになる。

ー悲しみの日本海ー (作詞・作曲:今野和弘)

ひとり 夜汽車の 自由席

ふらり 旅立つ きたぐにへ

窓枠 もたれ 外の闇

ぼんやり、見つめ、もの思う

夢破れ 恋破れ ああ それでも あんた 愛しくて

鉛色 涙色 ああ 悲しみの 日本海ー

姫川 渡れば 糸魚川

荒波 流れる 朝ぼらけ

私の 心は 遠い空

はるかな 波間 揺れている・・・

夢破れ 恋破れ ああ それでも あんた 愛しくて

鉛色 涙色 ああ 悲しみの 日本海ー

 ( さいたまドームのファンは笑うしかなかった。それでもこのあとグッズ売り場にCDの即売会を行ったところそれなりに売れたらしい )

さいたまドーム大会、セミファイナルはビューティ市ヶ谷対氷室紫月のシングルマッチ。やはり10分3秒、デスバレーからのパイルドライバーに氷室玉砕。響き渡る高笑い。

メインはSPZ選手権、

新王者ロイヤル北条が「jive into the night」に乗って入場。リングで控える初防衛戦の相手は元王者のボンバー来島。楽な相手ではない。

「ぶっ殺してやるぜーー!!」

ボンバー来島、いままでロイヤル北条にシングルでは負けたことがない。調子に乗ったときの来島さんは止められない。

がすんがすんヘッドバット責めにして突進力を鈍らす。こうなってしまってはロイヤル北条きつい。そしてー
「食らいやがれー」
早い段階でのパワーボム2連発、これは何とかカウント2.5で返したロイヤル北条だったが、続くフェイスクラッシャーをもろに食らってはどうにもならなかった。16分46秒、ボンバー来島が久しぶりにベルトを奪還した。

「ふっふっふっ、まだまだSPZで暴れてやるぜ、エーオラ!」

「はぁぁ・・・力技をまともに受けすぎました・・・」

控室、ベルトを失ったR北条、試合内容のビデオをチェックして一言。乾杯用に置かれたビールが物寂しい。

「そろそろベルトを奪還する頃合いですわ。あんな野蛮なプロレスの人にベルトを預けては置けませんから・・・」

(ビューティ市ヶ谷、ベルト奪還を決意。そしてSPZは18年目へ突入)

2007年11月26日 (月)

第269回 17年目2月 千載一遇のチャンス

17年目2月。マッチメイク委員会は紛糾した。

SPZ王者のナターシャ・ハンの対戦相手をどうするかで。市ヶ谷の再チャレンジの前に誰をぶつけるか。来島さんがダメだったので順当に行けばJRナンバー2の芝田なのだが、先シリーズの最終戦でマッキー上戸に負けてしまったことがマイナス要因となった。かといって菊池も動きが落ちてきているし、ヘボエースの相羽は問題にならないし・・・SPZも人がいるようでいない状況?になってきた。

第6戦高岡大会、メインはあばしりタッグ選手権。アリス・スミルノフ、アンナ・クロフォード組に対するはマッキー上戸、ラッキー内田のジューシーペア。
「マッキー がんばれえー!!」
マッキー上戸のファンは子どもが多い。ラッキー内田は男性ファンが多数。
「いっちゃうよ、バーカーヤーロー!」
マッキー上戸がパワーで押し切った。最後はバックドロップでアンナを仕留めた。これでジューシーペアにあばしりタッグ王座が渡った。

第7戦神戸大会メインはSPZタッグタイトル戦。王者組ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条。今回の挑戦者は芝田美紀、フレイア鏡のジュエルローゼス同門対決。
芝田のダイヤモンドキックが王者組をたじろがせたものの・・・
「覚悟なさい!」
ビューティ市ヶ谷がフィッシャーマンバスター。これでフレイア鏡から3カウントを奪った。勝負タイム45分52秒の激戦。

***************************

そして最終戦は横スペ大会。

第1試合はフォクシー真帆対ビーナス麗子。
―あーあ、あたしも前座に使われるようになっちゃったか・・・
ビーナス麗子の動きも落ちている。それでもフォクシーを危なげなく追い込んで、最後はハイキックで仕留めた。勝負タイム14分34秒。

そして第2試合・・・
次の試合に登場するイレーヌ・シウバ選手はこの試合が日本で最後のファイトとなります、ファンの皆様、よりいっそうのご声援をお願いいたします!」

AACの鉄砲玉ファイター、イレーヌ・シウバ最終試合。イレーヌももう25歳になり、身体にガタが来ている状態。対戦相手はSPZ15期の「関西弁ファイター」成瀬唯。

「死ね!」
切れ味鋭い掌底を乱打。ハデに吹っ飛ぶ成瀬。しかし成瀬も体勢を立て直すと
「腕、もろたー!」
延々と脇固めをかけ続ける。しかし負けたらその場で日本でのレスラー生活が終わるイレーヌ、懸命にこらえ、そのまま30分時間切れドローになった。後半の試合に出場する所属選手がリングに上がり、みんなでイレーヌを胴上げしたあと、井上社長代行から記念品と金一封を贈呈。

続く第3試合も常連外人のラストマッチ。
「次の試合に登場するアンナ・クロフォード選手はこの試合が日本で最後のファイトとなります。ファンの皆様よりいっそうのご声援をお願いいたします」

元SPZタッグ王者、あばしりタッグ王者のヒール外人、アンナ・クロフォードもこの日が最後。
対戦相手は12期のキューティー金井。アンナにはずいぶん泣かされたクチだ。

「いらっしゃい。じっくり、たっぷりいじめてあげるわ・・・」
「アアアーいたーい!」
アンナクロフォードの執拗なアキレス腱固め。しかしキューティーも懸命にこらえてノーザンで反撃。アンナ、なんとかカウント2.5で返す。

ーもう少し弱らせてから決めるか・・・

アンナパイルドライバー、バックドロップで弱らせておいてまたもやアキレス腱固め。半べそ状態のキューティーにまるで容赦なし。

「・・・・・・・!!」
キューティー金井、今度は悲鳴を上げる余裕すらなく、ついにギブアップ。勝負タイム26分58秒。アンナ・クロフォードが日本で最後の1勝を挙げた。

また後半の試合に出る選手がいっせいにリングに上がりアンナを胴上げ。井上社長代行が記念品と金一封を手渡した。

そのあとアンナ・クロフォードが本部席前でマイクを取った。
英語でなにやら話し始めた。スッと京スポ新聞・若林太郎記者が気を利かせて同時通訳。

「日本のファンのみなさま、きょうは来てくれてありがとう。・・・イギリスの・・飲み屋で闘っていたわたしが9年前にこの会社・・・SPZに来て、エキサイティングな試合をやることができた。おかげでイギリス本国での評価も上がり、ビッグな一流のレスラーになれたと思う。リングを去るのは心残りだが、イギリスには2人目、3人目のアンナ・クロフォードがとても、たくさんいる。・・・そいつらが日本人レスラーどもを絶望のどんぞこに落とすことを私は予測する。」

「ハーハハハハハハ!使えない通訳メ!」

そのあとアンナは若林記者にヤクザキック一撃。
「ぬわーっ!」
京スポ新聞若林太郎記者(47)失神。ハーハハハハと高笑いしながら引き揚げたアンナ・クロフォード、最後まで悪役道を貫いた。

休憩明けはスターライト相羽登場。きょうはギムレット美月と組んでEWAのアリス・スミルノフ、エレン・ニールセンと激突。動きが落ちて元エースといわれて久しくなっても相羽は懸命のファイトを見せる。

―この1勝をアンナに捧げる。
きょうのEWA選手は先輩の引退試合の日とあって、眼の色が違っていた。しかし最後はスターライト相羽が往年の必殺技、タイガースープレックスをエレンに決めて試合は終わった。勝負タイム18分4秒。

セミ前はボンバー来島、菊池理宇対ハイサスカラス、ドスカナ・リブレ。SPZタッグ王者の前王者と元王者が激突。しかしこの試合は「弱いほうを狙え」のセオリーどおりに動いた来島さんがあっさりドスカナをエルボーで料理。10分41秒と短めの勝負タイム。

セミファイナルはビューティ市ヶ谷、芝田美紀、フレイア鏡の「ジュエルローゼス」が、氷室紫月、ラッキー内田、マッキー上戸の「16期生トリオ」と対戦。若手3人が代わる代わるぶつかっていっても市ヶ谷様の壁は崩せない。
「覚悟なさい!」
市ヶ谷様のムーンサルトがマッキー上戸に決まって11分42秒、終了。

************************

メインはSPZ選手権。王者ナターシャ・ハン対挑戦者ロイヤル北条。けっきょく挑戦者は市ヶ谷のパートナーのロイヤル北条が選ばれた。

―天下獲りの千載一遇のチャンス、必ずものにするッ!
王座挑戦の優先順位が低くなかなかチャンスが回ってこなかったロイヤル北条、いつも以上の気迫でEWA最強のナターシャに挑んでいったが、相手も世界の強豪。巧みな関節攻撃でペースを手放さない。そして強烈な裏投げ、ネックブリーカーで追い込む。がー

「この技に耐えられるか?」
伝家の宝刀ロイヤルスパイク。しかしナターシャ、カウント2.8で返す。

ナターシャハン、来島を仕留めたSTFをここで繰り出す、しかしあまりにもロープに近い。

―絶対に、絶対にこれで決める!
ロイヤル北条、裏投げ。ナターシャを思い切りたたきつけて、片エビでカバー。
ワン、トゥ、スリー。
「23分56秒、裏投げからの片エビ固めでロイヤル北条の勝ち!」
・・・ついにベルトを獲った・・・
市ヶ谷の強烈な個性と実力に隠れること数年、ロイヤル北条がついに団体の頂点に駆け上がった。

2007年11月25日 (日)

第268回 17年目1月 SPZの新しい波

年末恒例のプロレス大賞、MVPはビューティ市ヶ谷。最後の最後でベルトを失ってしまったが年間通じた活躍が評価された。最優秀新人はライラ神威。シングルのベストバウトはビューティ市ヶ谷対ボンバー来島。タッグマッチはどこかの会場で組んだドリームカード、ビューティ市ヶ谷、ナターシャ・ハン対ボンバー来島、ハイサスカラスの一戦が選ばれた。

そして年が明けて2026年、「新春ロケットシリーズ」開幕。
初戦は1月5日新日本ドーム大会。第1試合のキューティー金井対フォクシー真帆から始まる。体格だけで判断すれば、どう見てもキューティーのほうが負けそうなのであるが、キャリアの長さを生かしキレイなノーザンライトスープレックスなど繰り出す。しかしフォクシーも馬力には定評があるのでキューティーをエルボーでぐらつかせてDDT2連発。
「うわああーっ!」
キューティー金井、涙を浮かべながらノーザンを繰り出すが、
「真帆の勝ちだ!」
受けきったフォクシー真帆がパワーボムで第1試合を制した。勝負タイム18分25秒。

「たっぷり、じっくり、痛めつけてあげるワ・・・」
第2試合にEWAのベテラン、アンナ・クロフォード登場。今日の対戦相手は15期の成瀬唯。やはりアンナが優勢に試合を進め、最後は脇固めでギブアップを奪った。
「マア、こんなものネ」
19分38秒の公開オペが終わった。

第3試合はスターライト相羽対アリス・スミルノフ。かつてのエースが休憩前に登場。しかもこの試合は最終戦でSPZタッグ王座挑戦の決まっているアリスが奮起して相羽を攻め込んでゆく。
―ちょっと前はこんな選手に負けることはなかったのに・・・

S相羽、懸命のタイガースープレックスもカウント2で返され逆に
「血祭りにあげてやるよ!」
裏投げ。たまらず相羽は場外へ逃げる。しかしおってきたアリスに場外ジャーマン、場外パイルを食らってズタズタ状態。

「アタシの本気を見せてやろう」
2度目の裏投げ。相羽2.9で返す。アリスはデスバレーで追い打ち。相羽また場外へ転がって逃げる。ここからまた場外乱闘。

―ボクは負けない!
相羽、場外パイルドライバーのお返し。これでぐったりしたアリスをリングに戻して、
「せぇぇい!」
強烈なハイキック一閃。これで3カウントを奪った、勝負タイム15分50秒。

休憩明けの第4試合はビーナス麗子、ギムレット美月対ラッキー内田、マッキー上戸。10期生古参タッグ対新鋭のジューシーペア。

「はっ!」
ギムレット美月、あまり見せない裏投げ。これはカウント2.8で返したラッキー内田だったが、合体パイルを立て続けに食らって万事休す。勝負タイム17分44秒。

セミ前は菊池理宇、氷室紫月対芝田美紀、フレイア鏡のタッグマッチ。芝田が打撃技で菊池を追い込み、氷室にも優勢に試合を進めてゆく。

「軽くひねってさしあげますわ」
芝田ダイヤモンドキック。延髄斬りだがこの選手が仕掛けるとこの名で呼ばれる。しかし氷室もカウント2.8で返す。ここで30分タイムアップ。

セミファイナルはビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条が登場。今日の相手は外国人連合、ハイサスカラス、エレン・ニールセンと対戦。しかしSPZシングルのベルトを失ってごきげんななめの市ヶ谷様、エレンをあっさりと退治。勝負タイム6分2秒。あっさりと終わった。

新日本ドーム大会、メインイベントはSPZ選手権試合。新王者ナターシャ・ハンに挑むのはボンバー来島。最近は市ヶ谷様の活躍に隠れがちだった「団体ナンバー2」ボンバー来島、ベルト奪還の大チャンスをもらった。

―ま、まあ普通にやりゃあ負ける可能性は低い。
いつもどおり頭を使って(といっても頭突きの連発だが)攻めてゆくボンバー来島。そしてバックドロップ、裏投げ。徹底的な頭攻めだ。ナターシャをあと一歩まで追い込んだのだがー

「壊れなさい・・・」

脱出不能STFがここで発動。関節技使いは一発逆転があるからタマラナイ。

「う、抜けられねえ・・・」
そのまま数分、耐えた来島さんだったがついに力尽きた。勝負タイム19分16秒、王者が初防衛に成功。

********************

第6戦岡山大会、メインはあばしりタッグ選手権。王者スターライト相羽、ラッキー内田(通称・らきすた砲)に挑む今回の挑戦者はEWA悪役コンビのアリス・スミルノフ、アンナ・クロフォード組。楽な対戦相手ではない。まして今の相羽選手はゼッ不調。

「仕掛けるわよ!」
アンナ・クロフォードがアリスを招き入れてダブルインパクト。相羽まっさかさまにマットへ。続くフォールは何とか内田がカットしたが、アンナ・クロフォード、落ち着いてスクラップバスターで相羽にトドメを刺した。勝負タイム28分34秒、あばしりタッグ王座もEWAへ流出した。

「・・・・・・・・・・ううっ。」

スターライト相羽が中堅外人にまで敗れるようになってしまった。控室でタオルをかぶって落ち込む。

**********************

1月シリーズ最終戦新潟大会。後半で「若手3選手チャレンジシングルマッチ」が組まれた。
第4試合のシングルマッチで16期生のマッキー上戸がジュエルローゼス2番手の芝田美紀を破ってしまう快挙。初公開のフィッシャーマンバスターで22分59秒、芝田を沈めた。
「やっぱアタシってば最強!」
芝田は呆然とした表情で引き揚げる。これで次期シリーズのSPZ王座挑戦は難しくなった・・・

そしてその熱気はセミファイナルにも伝染。同期のマッキー上戸の奮戦に触発されたラッキー内田がスターライト相羽の投げ攻勢を耐え抜いて、最後はラッキーキャプチャー(変形STF)。これで17分12秒、元エースのスターライト相羽からギブアップを奪った。

「そんな・・・・」

立て続けて格下選手に敗れたS相羽、ただただ呆然。

「こういう雰囲気の中やるのやだな・・・」

セミファイナルは菊池理宇対氷室紫月。進境著しい氷室が菊池も食ってしまうのではないかという異様な雰囲気の中ゴング。菊池もローリングソバットを連発するなど氷室を倒しにかかったが、13分過ぎ、氷室のスリーパーが決まる。他の選手のスリーパーは痛め技なのだが、この選手は決めるスリーパーだ。

「ううっ・・・」
―やばい落ちる。

菊池これでギブアップしてしまった。
「ごほっ、ごほっ・・・・」マットに伏せて苦しむ菊池。なんと氷室が元SPZ王者の菊池を倒した。SPZに新しい時代が来ようとしている。

そしてメインイベントのSPZタッグ戦。なんと今回の対戦相手はEWAのナターシャ・ハン、アリス・スミルノフのロシアンコンビ。ナターシャに敗れて女王の座を失った市ヶ谷様、そのショックもいえぬうちにタッグで因縁の相手と対戦。

しかしこの試合は市ヶ谷のパートナー、ロイヤル北条が頑張る。アリス・スミルノフを一方的に攻めて最後は伝家の宝刀ロイヤルスパイクを決めて勝利。勝負タイム18分43秒。王者組が6度目の防衛に成功。

2007年11月24日 (土)

第267回 夢のマスターズ編・1期生トリオ一夜限りの復活?

17年目12月 夢のマスターズ編後編

横浜のお嬢様プロレス団体SPZは毎年年末に越年資金捻出のためにファン感謝デー興行を行っている。ことしも現役選手・引退したマスターズ選手による、ゆる~いバトルが繰り広げられた。

休憩明けの第3試合はガイア小早川(9期)対マイトス香澄(8期)の「10分間マラソンマッチ」である。要するに10分間目いっぱい闘ってどちらが多くフォールまたはギブアップを取るかといった形式。両方とも動きが早く、現役を離れて比較的日が浅いのでいい勝負になる予感がした。

「せいっ!」
いきなり組み付いてスクールボーイで丸め込むガイア小早川、反応が遅れたマイトス香澄、あえなく3カウントを聞いた。裁くレフェリーはロイヤル北条、マラソンマッチらしく高速でカウントを取る。

「ガイア小早川、1ポイント」
そのあとリング中央でのもみ合いが数分続いたが、バックの取り合いからサッとスリーパーを決めたマイトス香澄。ガイア小早川、ここは無理せずタップ。

「マイトス香澄、1ポイント」
ロイヤル北条レフェリーの指示でいったんブレイクした後試合再開。
ぱんっ!
マイトス香澄、猫だまし。一瞬の隙を突いて絡み付いて逆さ押さえ込み。これでカウント3が入った。

「マイトス香澄、2ポイント。」
リードされて焦ったガイア小早川、強引に寝かせようとするがマイトス香澄もしっかりガード。
「あっ!!」
マイトス香澄、いきなり南側客席を指差す。思わずそっちを向いてしまうガイア小早川。隙を突いてスモールパッケージ。そのまま3カウント。

「マイトス香澄、3ポイント」
―くっ、そんな・・・
焦ったガイア小早川、コーナー最上段に登って、現役時代得意技にしていたミサイルキック。しかし久しぶりにブッツケ本番で放ったせいか当たりが浅く、逆に背中で受け身を取ってしまったので衝撃で動けない。すかさず上からのしかかったマイトス香澄、カウント3奪取。

「マイトス香澄4ポイント」
―残り時間2分。
「くっ・・・この!」
ガイア小早川、負けん気は現役時代と変わらない。組み付いてフロントネックロックに捕らえる。マイトス香澄あえなくタップ。
「ガイア小早川2ポイント」

―やば。くらっとした・・・
なお反撃に出るガイア小早川、息の切れかけたマイトス香澄をムリヤリ押さえつけてエビ固めで3カウント。
「ガイア小早川3ポイント」

ここでマイトス香澄、場外へ逃げた。そのまま南側客席へなだれ込んでの追いかけっこが展開された。さらにバルコニーへ逃げるマイトス香澄、追い詰めるガイア小早川、しかし身のこなしを生かしマイトス香澄、バルコニーからジャンプ。そのままきれいに着地。これには沸いた。ここでタイムアップ。

「試合終了、4対3でマイトス香澄の勝ち」

セミファイナルはタッグマッチ。

SPZ社長代行井上霧子、京スポ新聞記者若林太郎 対 SPZコーチ上原今日子、SPZ今野役員。民間人2名混入でクオリティ無視の無茶苦茶なカード編成。

先発は井上霧子と上原今日子。2人とも黒いパンツスーツ姿なので、女マフィアの決闘シーンに見えなくもない。

「井上さん、前回のような暴挙はさせませんよ。」
上原今日子、組み付いてコブラツイスト。井上霧子の年齢を考えてじわじわと痛めつける作戦に出た。

「う・・・あっ・・・たす・・けて・・・」

さすがに苦悶の表情を浮かべる井上霧子、しかし若林記者が新聞紙攻撃でカット。シングルマッチなら決まっていたかもしれない。

「食らえ、アイアンクロー」
調子に乗った若林記者、長年の記者生活で鍛えた右腕で上原今日子をアイアンクローに捕らえる。この男、プロレス記者歴23年なのであらゆるプロレス技を知っている。
「うわ、イタ・・・」
苦悶の表情を浮かべる上原、場内大ブーイング。しかしこんなので怯む上原さんではない。片ひざを突いて弱ったふりをしてから、
がっ!

若林記者のノドへ鋭い地獄突き。
「ぐっ・・・ゴボ・・・」
ノドを突かれてダウン、のた打ち回ってもがき苦しむ若林記者、
「これでとどめ!」
上原今日子、スーツ姿の若林記者の足を持って
ジャイアントスイング!

「・・うわあっ、や、やめろおおお~、あ~れ~」
体重70キロの若林記者をぶんぶん回してしまうのだから上原今日子のパワーはさすがというしかない。意外な展開に場内は沸いた。井上霧子は空気を読んで、カットにあえて入らない。
「いち、にー、さん、しー・・・」
上原今日子、回すまわす回す。素晴らしい筋力。現役を離れてからも若手選手の練習を見ながらトレーニングを積んでいた成果が出た。けっきょく21回転もぶん回した。

「ぐふっ!」
三半規管がやられてしまった若林記者、目がうつろだ。完全に戦闘不能に追い込まれてしまった。しかし仕掛けたほうの上原も様子がおかしい。調子こいて21回も回したせいでやはり三半規管にダメージが残っているようだ。足元がふらついている。
「そこダァ!」
井上霧子、スッとリングインして、
「ヤクザキック!!」
上原今日子に強烈なフロント顔面蹴り。これでダウンした上原、場外へ転げ落ちた。

「あー、どないせいっちゅうねん・・・・」
今野役員しぶしぶリングイン。井上霧子とにらみ合い。しかし相手はかつて氷のヤクザキックといわれたほどの猛者なので容易に近づけない。

「ごめんあそばせ」
先に仕掛けたのは井上霧子、組み付いてスリーパーに捕らえる。井上霧子、若干手加減はしていたが今野役員の意識がだんだん漂白されてゆく。

「うわ・・・死ぬぅ・・・・」
「アブナイ!」
しかし上原今日子が懸命にリングに戻ってカット。今野役員はかろうじて死から逃れた。しかし井上霧子が上原をあっさり場外にハンマースルーで落とす。
「若林さん!」
やっとジャイアントスイングのダメージから立ち直った若林記者が半落ちの今野役員をはがいじめに捕らえる。そのまま距離をとって・・・
「ハァァーッ」
ヤクザキックを狙う井上霧子、オーバーアクションで気合をためる。

しかし今野役員、寸前で羽交い絞めから逃れる。当然ヤクザキックは若林記者に誤爆。つうこんのいちげき。
「オーマイガッ・・・」
やってしまったぜという表情で頭を抱える井上霧子、アメリカンプロレスの古典的ムーブだ。

昏倒した若林記者に今野役員が覆いかぶさる。井上霧子のカットは上原今日子がしがみついてカット。
ワン、トゥ、スリー。
成瀬唯レフェリーがマットを3つ叩いた。
「7分11秒、ヤクザキック誤爆からの体固めで今野役員上原今日子組の勝ち」
「若林さん、ゴメン、ホントゴメン・・・」
翌日の京スポ一面には「元女子レスラー 本紙記者を蹴撃」という記事が載ってしまった。

メインイベントは豪華メンバーのストリートファイト6人タッグマッチ。

沢崎光、伊達遥、エル・オガワ・メンドーサ VS 富沢レイ、永沢舞、新咲祐希子。SPZの地方興行で時折あった顔合わせ。あのころと違うのが6人が6人とも私服姿ということ。メンドーサ、正体はバレバレなのだが、例年通り銀色の覆面をかぶって参戦。

「Matar!」(死んでしまえっ!)

メインはわりとまともな立ち上がりとなった。先発を買って出たメンドーサがスペイン語で物騒な言葉を吐きながら富沢レイに殴りかかる。しかし富沢レイ(怪しい軍服姿だった、どこかのアニメのコスプレなのだろうか)、うまく腕を手繰ってアームブリーカー。
「あいたっ・・・」
思わず日本語でうめいてしまうメンドーサ。場内失笑。富沢レイが昔を思い出したかのような執拗なアームブリーカーをしつこく仕掛ける。

5分過ぎ、ようやく1期生連合の息が乱れてきた。3人とも32歳、やはりスタミナに難がある。タッチワークを細かくしてもごまかしきれない。
「よーし、一気にいくわよ、勝っておいしいもの食べに行くんだから~」
新咲祐希子がエルボー、崩れ落ちる沢崎、
「ワン、トゥ・・・」
レフェリー・ギムレット美月がカウントを取る。
なんとかカウント2.5で返す沢崎。息が上がっている。
―ハァ、ハァ・・・

しかしここで1期生トリオが汚い?手に出た。
「アミーゴ、アミーゴ」
なんとタッチを受けて出てきたE・O・メンドーサがレフェリーのギムレット美月に1万円札を手渡す。

「アミーゴ、アミーゴ」

そして握手。なんと堂々とレフェリーを買収する作戦に出た。場内は失笑とブーイングに包まれた。

「くっ・・・ならば正面からタオス!」
代わって出てきた永沢舞が正面からぶちかまし気味の体当たり。大きく吹っ飛ぶメンドーサ。

「おおおっ!」

7年目ころのSPZのメインでよく見られた光景が再現。しかし、
「ワ・・・・・・・ン、ツ・・・・・ウ」
買収されたレフェリーのギムレット美月、超鈍足カウント。その間に沢崎が悠々カット。
「フコウヘイ、アンフェア、ヒドイ!」
永沢舞がギムレット美月に食ってかかるが、ギムレット美月は冷たく言い放つ。

「・・・アイム、ルールブック・・・」
場内爆笑。なおも対戦相手そっちのけでレフェリーに抗議を続ける永沢舞。すかさずメンドーサが後ろから足を取って、スクールボーイで丸め込んだ。これもアメリカンプロレスではよくあるムーブだ。

「ワントゥスリッ」
80年代のアメリカ団体よりもひどい超高速カウント。

「9分3秒、スクールボーイからのエビ固めで伊達遥、沢崎光、エルオガワメンドーサ組の勝ち」

こうして頭脳プレーに成功した一期生チームが勝利を収めた。場内はあきれ返ってしまって、笑うしかなかった。
「エーイ!」
敗れた永沢舞はギムレット美月にボディスラム一閃して憂さを晴らして引き揚げた。

こうして夢のマスターズ戦は終わった。

2007年11月23日 (金)

第266回 夢のマスターズ編・頭突き限定デスマッチ

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日誌のようなもの
輝くエッセンシャル 17年目12月 夢のマスターズ戦

(今回と次回は完全妄想作話です。)

世の中がクリスマスで浮かれる12月23日、東京水道橋は後楽園プラザ。年季の入った会場のフロア中央にはいつものSPZの年季の入ったリングが置かれていた。
カン、カン、カン、カン、カン・・

「メリー・クリスマス」
リング上で井上霧子が挨拶。
「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2025にお越しいただきましてまことにありがとうございます」
(チケットは破格の2,000えん)
「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私どもと致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。」
(場内笑い)
「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係であります。従いましてこのイベントの権限と責任のすべては井上霧子個人にあります。この興行の収益の50%はチャリティ施設に寄付致します。残りの50%は井上の飲み代とさせて頂きます」
(場内失笑)
やはりカードは試合開始まで発表されず、「全5試合」とアナウンスされたのみであった。

第1試合:頭突き限定マッチ 10分1本勝負
アクション映画のテーマが流れる。ナレーションはギムレット美月。
「SPZに大きな遺恨を残した5期生、吉田龍子と渡辺智美。メインイベンターと前座要員の光と影。現役を引退しても両者の確執は続く。今夜、完全決着なるか。」
「赤い破片」がかかり、吉田龍子入場。ジャージ姿でリングイン。そのあとディスコ音楽がかかり渡辺智美が入場。

「アーハハハハ!今日こそ決着をつけにきたわ!吉田龍子!この1年あたしは芸能活動のかたわら秘密の特訓をつんできたのよ!頭突き対決で勝負だー!」

5期生の渡辺智美、現役時代はかわいい顔して強烈なヘッドバットで数多くの若手選手を泣かせてきた実績がある。

「・・・おもしろい。私も頭の固さには自信がある。」

ということで両者、それぞれ後ろ手に手錠をかけて、腕をつかえなくしておいてから、午後6時44分、世紀の一戦?のゴング。

―カンッ。

「さあマスターズ戦とは思えない決闘がはじまりました。頭しか使ってはいけないというこの対決どうなるんでしょうか。」

なんとレフェリーのギムレット美月、手にはワイヤレスマイクを握っている。頭突きの音を拾おうというのか。

まず両者にらみ合い。これだけで場内拍手。

「食らえーっ!この思い上がり者めがーー」

先に仕掛けたのは渡辺智美。反動を大きくつけてから、

がっ。
けっこうな頭突き。頭突きの音がスピーカーから出力される。それだけでどよめく。大きくよろめく吉田龍子、絶対王者がんがれー!の声援が飛ぶ。

「氏ねやーーーー!!」

がすっ。
渡辺智美もう一発頭突き。現役時代と変わらない威力。思わずダウンしてしまう吉田龍子。場内どよめき。本当にこれはマスターズ戦なのか。
「ワーン、ツーウ、スリー、フォー」

まるでK1のようにダウンカウントが数えられる。吉田龍子、むくっとカウント5で起き上がり、

がすっ!
頭突きの返礼。ぐらつく渡辺、

「おら、おら、オラ!」

ごすっ、がすっ、ごつっ!!

頭突き連打。やはりこの人、引退して4年になろうとするのに気性の荒さは相変わらず。頭の固さはともかくパワーがあるので鋭い頭突きが多段ヒット。恐怖の頭突きサウンドが後楽園プラザを震撼させる。

「あがあううう・・・」
足元が大きくふらつきだした渡辺智美。やはり役者が違うのか。

「遊びじゃないんだよ!」
吉田龍子大きく振りかぶってトドメの一撃を放とうとするが、

「ふっバカめが」
渡辺智美、手錠をぶちっと外してポケットから栓抜きを取り出しそれを吉田龍子の頭に突き立てた。

「ぐ、がああああっ!」

凶器のカウンター攻撃を食らった吉田龍子、リング上をのた打ち回る。足をばたつかせているのだからかなり痛かったのだろう。

「ふふ、あたしの手錠はいつでも外せたのよ」

しかしここでレフェリーのギムレット美月が厳格なジャッジ。
「はい渡辺さん、反則負けです」
「4分15秒、凶器攻撃により渡辺智美の反則負け」

「ヒャハハハハハ、そんなことはどうでもいいこと。吉田龍子、今日こそキサマの最期だー」

リングサイドからパイプ椅子を持ち出し、吉田龍子にトドメを刺そうとする渡辺。
しかし吉田龍子、何とかかわして、

「アンタの根性は、ゴミよりも腐っているようだな・・・」

ぶ ち っ。

吉田龍子、手錠を自らの腕力だけで引きちぎった。なんという怪力。そしてー

「うらあああっ!」
ラリアット一閃。ハデに場外まで転げ落ちた渡辺智美、そのまま起き上がれずに担架で運ばれた。館内はヨシダコールに包まれた。

第2試合:極め技オンリー・ドランカーデスマッチ 時間無制限1本勝負。

ハイブリッド南、菊池理宇(現役) VS スイレン草薙、スターライト相羽(現役)

出場する4人がリングイン。OG2人はジャージ姿、現役の2人はTシャツとトレパン姿。現役選手2人とOG2人がタッグで対決。もちろん普通の試合ではない。

試合前に井上霧子レフェリーからルールの説明。

_______________________________
■リングで闘うのはOG2人、ハイブリッドとスイレン草薙のみ、ただし危険防止のため投げ技飛び技厳禁、レスリングだけで戦ってもらう。
■パートナーの現役2人はコーナーで控えてるだけ。リング内への立ち入りは厳禁。
■リングで闘っている選手がロープエスケープした場合はペナルティーとしてコーナーに控えるパートナー(スイレン草薙の場合はS相羽、ハイブリッド南の場合は菊池)が「連帯責任」としてワインを1杯、ギブアップした場合はパートナーがワインを2杯飲む。
■コーナーに控えるパートナー、菊池かS相羽が最後まで立っていたチームが勝者。

________________________________
あまりにも過酷なルールに場内唖然。
カンッ!
スイレン草薙とハイブリッド南がひさしぶりに組み合う、ただそれだけで大歓声。現役時代はSPZ選手権で激闘を繰り広げた仲。

関節技ならば一日の長があるハイブリッド南、しかしスイレン草薙はまだリングを離れて1年ちょっとでブランクが短い。
するするとスイレン草薙が流れの中からヘッドロックに捕らえる。ハイブリッド南、元レスラーの習性が抜けず、足を伸ばしてサードロープへ。

「あ、ダメ・・・」
場内あーあの声。
「赤コーナー、減点1、なお本日使用するワインはAOCボージョレ、カルベネ・ソービニヨンであります」
セコンドの若林記者が菊池にワイングラスを手渡す。

くいっ。
菊池1杯目は軽く飲み干した。飲んでいる間はリング上の二人は休憩。

しかしここでハイブリッド南が反撃、バックの取り合いからスッと腕を極める。このあたりの技術はさすがだ。

「・・あッ」
たまらずスイレン草薙タップ。
「青コーナー、減点2」
スターライト相羽が赤ワイン2杯の刑。1杯目は軽く飲み干したS相羽だったが、2敗目は時間をかけてクラッカーで中和しながら飲んだ。場内失笑。そのあと試合再開。

「スイレンさん、お願いします、さっさと片付けちゃってください!ボク、これ以上はきっついです。」

スイレン草薙、スッと取っ組み合いを制してハイブリッド南をコブラツイストに捉える。
「う・・・くっ!」
「全力でいきます!」
しかし堪えたハイブリッド、何とか前進してセカンドロープをつかんだ。
「赤コーナー、減点2」

「はー・・・・ふー・・・」
何とか2杯目のカルベネを飲み干す菊池。
「菊池選手、ああ見えてもそれなりに飲めるんですよ。酒豪の吉田龍子さんが師匠でしたからねぇ」
本部席ではビーナス麗子が暴露解説。館内どわははははと笑い。

15分が経過。闘っている二人は現役を離れているのでインターバルを挟んでいるとはいえ相当疲れてきた。戦況を見守っている二人も少しヤバイ。赤ワインを2杯ずつ飲まされている菊池とS相羽は足元がふらついてきた。トップロープにしっかり身体を預ける相羽ちゃん。

そのあとスイレンとハイブリッド南がグラウンドの攻防、動きにキレがなくなってきたのを見た菊池が、

「南さん、足っ!」
的確なアドバイス。「タッグマッチではコーナーに控えている選手も戦闘中だ」という吉田コーチの教えを守っている。
ハイブリッド南、スイレン草薙の右足を捉えてアキレス腱固め!
「うああああ・・っ」
なんとか左手をサードロープに伸ばすスイレン草薙、

「青コーナー、減点3」
3杯目のカルベネを飲ませられるS相羽。もう一気には飲めず一口ずつ慎重に口にした。顔面真っ赤。
「相羽選手はすぐ酔いますからね。負けたあと飲み屋でウサ晴らしに付き合うことはよくありますけど生中ひとつで真っ赤ですから」
ビーナス麗子がまた暴露。後楽園プラザはまたまた笑いに包まれた。しかしリング上では元SPZ王者同士が熾烈?な闘い。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
スイレン草薙も息が上がっていた。
「フーフーフーフー」
コーナーに控えるS相羽もターンバックルにしがみついている状態。ある意味SPZ選手権より過酷な死闘となった。

「・・・もう逃げられませんね」
スイレン草薙、意を決して攻めかかったが、ハイブリッド南、うまくカニバサミで転ばせて、上に乗って伝家の宝刀ネオ・サザンクロスロック!

「ぐ、あ、うっ!」
何とか匍匐前進、スイレン草薙懸命にロープブレイク。
「青コーナー、減点4」
スターライト相羽、4杯目の赤ワイン。
「ハァハァ・・・ボクは、負けません・・・」
気合と根性で飲み干した。そして試合再開、組み合った・・・と思ったら、
がしゃん。
足に来たスターライト相羽、立っていられず場外に転落、フェンスに激突した。
「・・・・・うあ」

カンカンカンカンカン!
「25分23秒、スターライト相羽場外転落により、ハイブリッド南、菊池理宇組の勝ち」
こうしてSPZ元王者4人の死闘が終わった。ここで休憩。

(後半へ続きます)

2007年11月22日 (木)

第265回 17年目12月 絶対王者が沈むとき

そして2025年12月、スノーエンジェルシリーズ開幕。久々にSPZ全メンバー揃っての巡業となった。

2戦目の札幌どさんこドーム大会。メインに組まれたのはEWA選手権。王者ナターシャ・ハンに挑むのは若手の氷室紫月。要するにEWAサイドがまた「日本人選手を叩きのめす実績がほしい」ということで、氷室をタイトルマッチの経験をつませる意味で人身御供に差し出した。
「いくわよ」
サソリ固めでいたぶっておいてのキャプチュード2連発。氷室はわずか7分3秒でフォール負けを喫した。

第4戦なにわパワフルドーム大会。メインイベントでは同様の理由でAACのタイトルマッチ。王者ハイサスカラスに挑むのはやっぱり氷室紫月。こんどは氷室がわりと善戦した。終盤になってハイサスカラスがラッシュ。ミサイルキック2連発、バックドロップ、フランケンシュタイナーで17分57秒、氷室を沈めた。
「・・・・・・・・・・・」
負けても平然とした顔で引き上げる氷室。

ーこの選手はきっと近い将来大物になる。

今野役員はそう感じた。

*********************

第5戦広島大会メインは久々に実施のあばしりタッグ戦。王者スターライト相羽、ラッキー内田(通称:らきすた砲)に挑むのはビーナス麗子、ギムレット美月の10期生コンビ。
―ボクは負けない!
数年前だったら100%勝てる相手だったビーナス麗子ギムレット美月に容赦のない攻めを見舞ってゆくスターライト相羽24歳。場外のマットをはがしてボディスラム。

「うぐっ・・・!!」

ギムレットの口から悲鳴が漏れる。
ビーナス麗子にもキャプチュード、たまらず場外に逃げたビーナス麗子を追撃して場外キャプチュード。スターライト相羽は団体最古参になってからなりふり構わず勝つことを覚えた。
これでズタズタになったビーナス麗子。最後はラッキー内田を呼び込んでの合体パワーボムで終了。勝負タイム28分15秒、王者組が2度目の防衛に成功。

***********************

第7戦しゃちほこドーム大会はSPZタッグ選手権。王者チーム、ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条に挑むのは先月のタッグリーグで優勝した菊池理宇、ボンバー来島。

だがボンバー来島のブルファイトはいまの市ヶ谷には通じない。ましてや飛び過ぎがたたって身体がボロボロの菊池に至っては問題にならない。

―勝てるとしたら北条さんを狙うしかねえ・・・

そう考えて攻めていった来島だが、ロイヤル北条もひとしきり受けてきっちり市ヶ谷にスイッチ。ならばと細かいタッチワークで市ヶ谷に立ち向かっていった挑戦者組だがー
「マットにひれ伏しなさい!」
ビューティ市ヶ谷のビューティボム炸裂。
「グヘッ・・・」
来島何とかかうんと2.8で返すも目が死んでいる。
「北条さん、その獲物はあなたにさしあげますわ、てきとうに仕留めてあげなさい!」
「・・・・」
ロイヤルスパイク一撃。これでカウント3が入った。勝負タイム24分43秒。

**************************

最終戦はさいたまドーム大会。
「さあ、今年最後の興行です。みんなミスがないようにして、さすがSPZだといわれるように頑張りましょう!」

井上霧子社長代行が檄を飛ばす。しかも今日の大会のサブタイトルは

「ICHIGAYA FESTIVAL」と銘打たれていた
第1試合は前座の定番カード、キューティー金井対フォクシー真帆。試合はフォクシーがパワーボムを連発し17分17秒、勝利。

第2試合は6人タッグマッチ。スターライト相羽、ビーナス麗子、ギムレット美月の9-10期生トリオに対するは氷室紫月、ラッキー内田、マッキー上戸の16期生トリオ。元SPZ王者のS相羽がが第2試合に回されるという屈辱のマッチメイク。しかし16期生のほうがのびのびとファイト。

「ぐはっ・・・」

なんと12分49秒、マッキー上戸のバックドロップでギムレット美月昏倒。これで16期生トリオが勝ってしまった。この選手はけっこうパワーがある。

休憩前の第3試合に菊池理宇・ボンバー来島が登場。後半はすべてジュエルローゼス登場のため、この位置に追いやられた。菊池、来島、成瀬唯対ハイサスカラス、ドスカナ・リブレ、エレン・ニールセンの6人タッグマッチ。だが来島がドスカナを簡単に捕まえて、最後は裏投げを叩き込んで終了。勝負タイム11分24秒。

後半4試合は「ジュエルローゼス対EWA 4対4対抗戦」が組まれた。

最初はフレイア鏡 対 アンナ・クロフォード。

ともに関節技を得意とするだけあって地味な攻防が続いたが、最後はフレイア鏡がアキレス腱固めで勝利。

セミ前はロイヤル北条対アリス・スミルノフ。ロイヤル北条が落ち着いたファイトを見せ、11分42秒、ロイヤルスパイクからの片エビ固めでアリスをあっけなく仕留めた。これでジュエルローゼスが2勝。

セミファイナルは芝田美紀対デイジー・クライ。このシングルは容赦のない殴り合いとなる。バチバチファイトが展開されて場内大盛り上がり。
「はっ!」
芝田裏拳。ぐらつくデイジー。しかしデイジーも体制をたてなおして・・・
がすっ!
ハイキック炸裂。
「ううっ・・・これでトドメです!」
これ以上は受けられないと判断した芝田、ここでダイヤモンドキックを叩き込んで勝利。30分ジャストの激戦を制した。

軍団対抗戦は早々とJRが勝ちを決めたが、メインは市ヶ谷様対ナターシャ・ハンのSPZ選手権。

あまりに強い市ヶ谷、勝てそうな選手がいない現状に頭を抱えたマッチメーク委員会(井上霧子上原今日子吉田龍子伊達遥今野役員がお茶を飲み和菓子を食いながらカードを決める会議体)は関節がマグレで極まってしまうのに賭けてナターシャ・ハンを挑戦者に選んだ。

午後9時ゴング。市ヶ谷がいつものように猛然と攻める。ナターシャは関節一振りにかけるしかやりようがない。
「いつの間にか・・市ヶ谷さんの団体になっちゃったね」

今野役員が井上社長代行にぼそっと。いまの市ヶ谷を止める選手はいない。

「ええ、16期生の氷室さんたちが伸びてくるまでは・・え、、って、ちょっと。えええ?」

ナターシャ・ハンがグラウンドの攻防から流れるように足をつかんで逆片エビ固め。

「ひああああああっ!」
市ヶ谷の痛がり方は尋常ではない。

「―ただの逆片エビなのになんであんな痛がって・・・」

「これヤバイ。入るときに腰をやってます。そのまま絞られてるから、ものすごい痛いはずですよ」

「・・・ぬわあああああっ!」

市ヶ谷の悲鳴。腰に走る激痛。ついに市ヶ谷は諦めた。
伊達レフェリーの腕をたたいてギブアップの意思表示。

「21分7秒、逆片エビ固めでナターシャ・ハンの勝ち」

「あーっと、絶対王者が沈んだーーーーー!!」
森アナウンサーが絶叫。

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SPZ世界選手権 60分1本勝負

ナターシャ・ハン(21分7秒、逆片エビ固め)B市ヶ谷

第43代王者が12度目の防衛に失敗、ナターシャが第44代王者となる。

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市ヶ谷呆然。負ける相手ではないし油断したつもりもない。いつもどおりのファイトをして追い込んだのに。

「運が悪いとしか言いようがないですね。」
テレビ解説の吉田龍子が一言。自らが持っていた連続防衛15を破られるかなと思っていたがここで止まった。
「極め技はいくら警戒してもやられるときはやられますから。ましてや相手はあのナターシャ選手ですからね・・・」
ビューティ市ヶ谷、連続防衛は11でストップ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
市ヶ谷様、追い込んでおきながらの敗北に呆然としながら引き上げた。なんとSPZ女王のベルトが初の海外流出という事態。

2007年11月21日 (水)

第264回 17年目11月SPZタッグリーグ後編

第6戦は宇都宮大会。
S相羽○、G美月(4点、タイガーSH 15.15)ハイサスカラス×、ドスカナ(6点)
スターライト相羽の意地が爆発。

―ボクは負けない!
AAC最強のハイサスカラスもなんのその、場外で痛めつけてからギムレットを呼び込んでダブルインパクト!これでハイサスカラスは半失神状態。何とかドスカナのカットに救われたが相羽、容赦せずタイガースープレックス。ギムレットはうまくドスカナを押さえ込んでいる。これで終了。

R北条、氷室○(8点、スクラップバスターからの片エビ固め23.04)芝田×、F鏡(8点)

ロイヤル北条、同じお嬢様軍団相手の試合でもプロ意識を見せきっちりと自分のプロレスをやってのける。そして氷室も弱った芝田を追い込み、なんとネックブリーカーからのスクラップバスターで芝田から3カウントを奪った。
「良かった・・・」
館内ドオオの声。2年目の氷室がロイヤル北条のアシストがあったとはいえ、JR2番手の芝田にフォール勝ちしてしまったのだからある意味大金星。ともかくこれで勝ちっぱなしがなくなった。

デイジー○、アリス(4点、アキレス腱固め 11.26)M上戸、L内田(0点

デイジー・クライが蹴りまくってジューシーペアをボコボコにしたあと満を持してアキレス腱固め。マッキー上戸悶絶・・・

菊池、B来島○(8点、合体パワーボムからのエビ固め 16.21)エレン×、アンナ(2点)

「よっしゃあこれで望みが出てきたぜえ!」現金なボンバー来島。セミ前で芝田組が敗れたので優勝の望みが出てきた。とはいえ今日の相手は星が上がっていないとはいえEWAの常連外人なので油断ならない。来島がいつも以上の力任せのファイトを見せてエレン・ニールセンから3カウント奪取。

第7戦、幕張コンベンションホール大会。
R北条○、氷室(10点、ロイヤルスパイクからの片エビ固め 13.20)S相羽、G美月×(4点)
ロイヤル北条がけっこうな気迫。

―市ヶ谷さんがいなくても自分の手で優勝をつかみとってみせる!
相羽を痛めつけ、ギムレット美月をロイヤルスパイクで仕留めた、。

デイジー、アリス○(6点、バックドロップからの片エビ固め 9.19)エレン、アンナ×(2点)
EWA軍の同門対決はデイジー組に凱歌。

芝田、F鏡○(10点、合体パワーボムからのエビ固め 23.35)ハイサスカラス、ドスカナ×(6点)

芝田がハイサスカラスのムーンサルトを食らってあわやと思われたが、なんとかフレイア鏡が戦局を挽回して、最後はドスカナを捕まえて23分の激闘にピリオドを打った。

菊池、来島○(10点、STOからの片エビ固め10.14)L内田×、M上戸(0点)
「オラオラオラー!」
ボンバー来島がほとんどひとりでやっつけた。以上。

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最終戦は本拠地横スペ大会。
R北条○、氷室(12点、ダブルインパクトからの片エビ固め24.13)ハイサスカラス×、ドスカナ(6点)

ロイヤル北条、氷室組が優勝の可能性を残したまま最終戦へ。最終戦の相手はAACチーム。勝てない相手ではないが難敵だ。
「よし、いくぞっ!」
氷室がハイサスカラスを肩車。ロイヤル北条がコーナー最上段から飛んでダブルインパクト!これで3カウントが入った。これでトップタイを保ったままリーグ戦を終えた。

S相羽○、G美月(6点、タイガーSH10.47)L内田×、M上戸(0点)
相羽がハッスルしてタイガースープレックスを決める。ジューシーペア、屈辱の全敗・・・

芝田○、F鏡(12点、ドラゴンスリーパー 10.18)エレン×、アンナ
芝田組はエレン組を問題にせず退けた。これで優勝決定戦の実施が決まった。館内大盛り上がり。

菊池、B来島○(12点、ジャーマンSH 14.47)デイジー×、アリス

―今日の夜は長くなりそうだぜ。
来島もデイジーを落ち着いてジャーマンで屠った。この結果団体始まって以来の3チームによる優勝決定巴戦。横スペのファンは大喜び。

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メイン終了後、15分のインターバルを置いて優勝決定戦第1試合は菊池、ボンバー来島対芝田、フレイア鏡。
「菊池、とりあえずあたしが攻めて攻めまくる、動けなくなったときのフォロー頼む」
菊池の動きがピークを越し、昨年までのような「どこからでも勝てるチーム」ではなくなっている。勝つためには来島が攻めて攻めるしかない。

―リーグ戦の負けも出会いがしらの事故みたいなもんさ。
来島猛烈な攻め。芝田を弱らせフレイアも投げ技でずたずたにする。
「おらおらおらー!」
最後は13分9秒、ジャーマンでフレイア鏡を仕留めた。
「よぉっし!あと1勝!」

15分のインターバルを置いた後、今度は菊池、来島組がロイヤル北条、氷室組と対戦。勝てば優勝の菊池来島、やはり先ほどの試合同様、先発の菊池は軽く手合わせしただけであとはボンバー来島が矢面に立ってロイヤル北条の攻撃を受け続ける。
ロイヤル北条、来島のパワーに力負けしたのか氷室にタッチ。

―チャンスだ、氷室をつぶす。

しかし氷室もそうとう力をつけていて、来島のパワーボムをカウント2.5で返して、ドラゴンスリーパーで窮地を脱出してロイヤル北条に再びタッチ。そのあと菊池とロイヤル北条がひとしきり熱い攻防を繰り広げ、ボンバー来島につなぐ。
最後はボンバー来島、集中力の切れたロイヤル北条にパワーボム!これで3カウントが入った。菊池来島、悲願のタッグリーグ戦初優勝。

「まあ、当然の結果だけどな、へへっ」
3試合戦い抜いたボンバー来島、さすがに疲労の色は隠せないが、笑顔で賞金の小切手を掲げた。

2007年11月20日 (火)

第263回 17年目11月 SPZタッグリーグ戦(前編)

17年目11月
恒例のSPZタッグリーグ線の季節だが、ビューティ市ヶ谷負傷。先シリーズ最終戦のボンバー来島との激闘で痛めたらしい。したがってSPZタッグリーグ戦の出場チームは以下のようになった。

菊池理宇、ボンバー来島(前SPZタッグ王者)

芝田美紀、フレイア鏡(JR)

スターライト相羽、ギムレット美月
 ビーナス麗子負傷欠場のため相羽のパートナーはギムレットとなった。

ロイヤル北条、氷室紫月
 市ヶ谷負傷欠場のためR北条のパートナーは2年目の氷室が抜擢された。

マッキー上戸、ラッキー内田(ジューシーペア)

ハイサスカラス、ドスカナ・リブレ(AAC代表)

デイジー・クライ、アリス・スミルノフ(EWA代表)

エレン・ニールセン、アンナ・クロフォード(EWA代表その2)

本命不在のタッグリーグ、2戦目の岩手大会からスタート。

エレン○、アンナ(2点、合体パワーボムからのエビ固め17.56)L内田×、M上戸

ラッキー&マッキーがついにタッグリーグ参戦。しかし外人組のコンビネーションに苦しむ。ラッキー内田が終盤つかまってしまう。逆転をかけたフランケンシュタイナーは2.9で返されて最後は合体パワーボムに撃沈・・・

芝田、F鏡○(2点、ダブルインパクトからの片エビ固め19.48)S相羽×、G美月

芝田が打撃を武器に暴れまわる。そして余力充分のフレイア鏡が相羽組にトドメを刺す。フィニッシュはダブルインパクトだった。

ハイサスカラス○、ドスカナ(2点、バックドロップからの片エビ固め 14.12)デイジー、アリス×
外人対決はAAC軍に凱歌が上がった。

菊池○、B来島(2点、エルボーからの片エビ固め 18.58)R北条、氷室×

ロイヤル北条、氷室組は地方興行を除けばこれがおそらく初タッグ。抜群の連携を誇る菊池来島相手となるとやはり苦しい。タッグチームとしての経験の差が出た。最後は氷室が孤立。菊池のエルボーに沈んだ。

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3戦目秋田大会。

R北条、氷室○(2点、ドラゴンスリーパー 13.04)エレン×、アンナ(2点)

氷室がSPZ常連外人のエレン・ニールセンからギブアップを奪い、初白星を挙げた。

芝田、F鏡(4点、スクラップバスターからの片エビ固め 30.00)L内田×、M上戸(0点)

意外とこの勝負は盛り上がった。ジューシーペアはフレイアに狙いを定めて攻撃。しかし芝田も打撃で活路を見出し最後はラッキー内田にダイヤモンドキック一撃。これはカウント2.9で返した内田だったが続くスクラップバスターで肩を上げることはできなかった・・・

デイジー○、アリス(2点、DDTからの片エビ固め23.10)S相羽×、G美月(0点)

団体元エースのスターライト相羽が捕まってしまい、デイジーのDDTに3カウントを奪われた。相羽組2連敗・・・

菊池、B来島○(4点、合体パワーボムからのエビ固め 14.12)ハイサスカラス、ドスカナ×(2点)

菊池来島のコンビはまだタッグリーグで優勝していない。タッグベルトを持っていたときは負傷で出られなかったり、市ヶ谷組に負けたり格下相手の取りこぼしで優勝を逃している。それだけに今年こそはという思いがあった。
ハイサスカラスの攻勢を振り切ってドスカナに狙いを絞り集中攻撃。フィニッシュは合体パワーボム。

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第4戦山形大会。
R北条○、氷室(4点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 29.26)L内田×、M上戸(0点)
このメンツの中ではトップどころに近いロイヤル北条が試合を引っ張り、ジューシーペアの2人を追い込んでゆく。そして満を持して氷室登場。ラッキー内田も懸命の反撃、しかしラッキーキャプチャー(変形STF)はロイヤル北条のカットに阻まれた。そして最後はロイヤルがシャイニングウィザードで締めた。29分26秒の激闘。ジューシーペア、善戦むなしく3連敗・・・

ハイサスカラス○、ドスカナ(4点、ムーンサルトプレスからの体固め 11.03)エレン、アンナ×(2点)
AAC組も2勝目を挙げた。

芝田、F鏡○(6点、ダブルインパクトからの片エビ固め 30.00)デイジー×、アリス(2点)

この試合も長引いた。最後は芝田が捕まりかけ、ハリケーンラッシュを食らってしまったが、なんとか2.9で返しフレイアにスイッチ。フレイアは体勢を立て直すとダブルインパクト。これで30分の激闘に終止符を打った。ジュエルローズ軍これで3連勝。

菊池、B来島○(6点、ナパームラリアットからの片エビ固め 23.11)S相羽、G美月×(0点)

菊池の動きが少々悪くなっても来島の破壊力は健在。しかしスターライト相羽も意地を見せバックドロップ、タイガースープレックスで来島を追い込む。しかし相羽がフィニッシュのつもりで繰り出したパイルドライバーはカウント2.9で返された。そしてギムレットにタッチしたとたん、ボンバー来島の不意打ちナパームラリアット。これでギムレット沈没。菊池・来島組も3連勝。

第5戦は福島いわき大会。
ハイサスカラス○、ドスカナ(6点、スクラップバスターからの片エビ固め 18.05)L内田、M上戸×(0点)

ジューシーペア勝てない。この日はマッキー上戸がハイサスカラスにも臆せず場外バックドロップを連発して追い込んだが逆転のムーンサルトを食ってしまった。これはラッキー内田がカットしたが続くスクラップバスターで万事休す。

S相羽○、G美月(2点、キャプチュードからの片エビ固め13.43)エレン×、アンナ(2点)

相羽組がようやく初白星。エレン・ニールセンをキャプチュードで退けた。

R北条○、氷室(6点、ロイヤルスパイクからの片エビ固め 11.44)デイジー、アリス×(2点)

ロイヤル北条が伝家の宝刀でアリス・スミルノフを撃破。インスタントチームなのにこれで早くも6点。

芝田、F鏡○(8点、ストレッチプラム 13.55)菊池、B来島×(6点)

全勝同士の対決。昨年の公式戦では芝田組が勝っている。優勝の行方を占う上で重要な一番。しかし来島のパワーがうなる。フェイスクラッシャーで芝田をボコボコにのしてしまう。芝田はフラフラになりながらも懸命にフレイアにスイッチ。

―あとは鏡のヤツを仕留めるだけだ
そう考えたボンバー来島、油断があったか、フレイアの逆襲ストレッチプラム!来島抜けられず菊池のカットは芝田が懸命に逆カット!!

「くそ・・ギブアップ。」
腕の痛みに耐えかね来島ギブアップの言葉を口にしてしまった。
勝ってた試合を落としてしまった菊池来島。がっくりと肩を落として引き上げた。またタッグリーグ戦の優勝に見放されしまうのか・・・

(続く)

2007年11月19日 (月)

第262回 ギムレット美月の巡業

こんばんは、SPZのギムレット美月です。

今回はSPZの巡業について書いてみたいと思います。SPZの興行形態は旗揚げ時からほぼ変わらず、2週間のシリーズを行いそのなかで全8戦の興行をこなすというスタイルです。これは外国人選手のギャラが1週いくらという体系のため、それにあわせているようです。

いまのSPZは日本全国を回るようにしており、どの都道府県でも8ヶ月に1回は必ず興行を行うようにしています。あまり間隔があいてしまうと、お客さんに忘れられてその地域での人気が下がってしまう・・・という理由らしいです。しかし、大阪や福岡や名古屋広島といった大き目のハコがあるところは、「儲かるから」という理由で4ヶ月に1度興行を行い、東京神奈川埼玉といった地元首都圏は「やっぱりプロレス団体は地域密着だから」という理由で3ヶ月に1度興行を行っています。こういうところにこの会社の銭ゲバ、げふんげふん、利益に執着する体質が現れています。

巡業初日(前泊の場合は前日)、選手は横浜戸塚のSPZ第2ビルの道場に集まり、移動用バス「NEWあおりんご号」で興行地へ向かいます。NEWあおりんご号の車内はサロンバス形式で、とっても広々としています。16人の選手プラス井上さん、吉田コーチ、今野さんといったスタッフが大型バスで旅をします。バスは2つに分かれており、前部に未成年の選手、後部に20歳以上の選手が座っています。後部には冷蔵庫が備え付けてあり、井上さんの発案なのか、キリンビールがタップリ詰まっています。

私は移動中はもっぱらパソコンでネットを見ているか、本を読んでいるかのどちらかです。同期のビーナス麗子さんはたいてい携帯用ゲーム機で遊んでいます。最古参のスターライト相羽さんはたいていバスの一番後ろの座席で横になっています。
SPZチャンピオンのビューティ市ヶ谷さんはリング上では騒々しいのですが、移動中は物静かな人で、眠っているか本を読んでいるかのどちらかです。
スタッフの皆さんは様々で、伊達さんは携帯のメールを打っている姿をよく見かけます。今野さんはバスの一番前でいつも伝票を整理したり取引先にメールを打ったりで仕事をしており、吉田龍子さんはコーチしている若手選手にアドバイスを送ったりしています。井上霧子さんはたいてい後ろのほうでビールを飲んでいます。

巡業中のスケジュールは単純で、選手は朝7時ごろに起きて、ホテルの周りを軽く走って調整します。朝ごはんはホテル近くのファミリーレストランか喫茶店でテキトウに済ませます。個人的にはクロワッサンとコーヒーが好きです。来島さんのように朝から牛丼を食べる気にはなりません。

朝10時ころ集合時間で、ホテルの前に全選手スタッフが集まります。各選手、朝のうちに身体を動かしているので遅れる人はほとんどいません。むしろ井上さんや今野さんといった役員クラスが朝寝坊しまくります。
そのあとバスに乗り込んで、その日の興行場所に向かいます。SPZは基本的に長い移動のときは移動日をはさむので、バスに乗っているのは長くて3時間程度です。昼食は移動中、ドライブインやファミレスでテキトウに食べます。しかし渋滞にはまってしまったときは昼食の時間が取れないときもあります。2月の山陰シリーズのとき、雪で道路が通行止めになり、迂回を余儀なくされたことがありました。こういうときのためにNEWあおりんご号の後部座席にはカップラーメンが箱で置いてありまして、みんなでカップめんをすすりながら移動したときもあります。

その日の興行地にはだいたい午後2時ごろ到着します。以前は全員でリングを設営していたのですが、今は団体がそこそこ儲かっているのでリング屋さんと呼ばれるスタッフが組み立ててくれるので楽になりました。到着後すぐに練習です。リング上では氷室選手やラッキー内田選手といったキャリアの浅い選手が吉田コーチの指導を受けながら取っ組みあっています。私たちのようにある程度のキャリアを積むと、試合前の調整は各人の自由に任されています。

私は会場に着いてまず外周のランニング。そのあと会場の客席を見渡します。会場が小さい場合は関節技やグラウンドレスリング主体でファイトしますが、大きな会場の場合はエルボーやハイキックといった立ち技を多く混ぜるように心がけます。新人のころ、小川さんに「一番安い席に座っている人にも楽しむ権利があることを忘れないでくださいね」とアドバイスされましたので。だから私はドームクラスの大会場で試合するのはちょっと苦手です。
そのあとちょっとだけリングに上がって受け身の練習を取ります。同期のビーナス麗子さんに投げてもらってチェックします。あまり長い間リングを占拠すると若い選手がスパーリングできませんので、早めに切り上げてあとは麗子さんと入念にストレッチをします。
来島さんは黙々と会場の隅でバーベルを持ち上げています。相羽さんはやはり会場の隅で腕立て伏せ腹筋といった筋トレを行って調整していることが多いです。

この間井上さんや今野さんといったスタッフの面々は音響のチェックをしたり、グッズ販売の手伝いをしたりけっこう動いています。また当日券のはけ具合をチェックすることも忘れません。ちょっと当日券の出が悪いと、今野さんと上原コーチが「ちょっとひとっ走りしてくるよ」といって街宣車、いえ宣伝カーを走らせてきます。
「松山の皆様、横浜のお嬢様プロレス団体SPZの興行が今夜6時半から松山市立体育館で開催されます。今シリーズも史上最凶のお嬢様市ヶ谷様が・・・」といった感じで今野さんが市街地を騒がせてきます。21世紀にもなってプロレス業界ではこんな前時代的な宣伝をやっています。

午後5時半になると、井上さんが「開場しまーす」と練習終了を指示し、練習していた選手がいっせいに控室に散ります。控室の部屋割りはたいてい決まっていて、私は相羽さん、ビーナス麗子さん、その他新人選手と同じ正規軍控室に陣取って6時半の試合開始を待ちます。前半の試合に出る場合はこの辺でコスチュームに着替えます。私は前半にも後半にも出ることの多いユーティリティ、もとい便利屋レスラーですので、メインやセミに出る日は控室でまったり相羽さんと将棋をさしたりすることもあります。

前半の試合は若手選手やそこそこの外人選手と当たる場合なのである程度作戦を立てられ、だいたい計算通りに試合を運べますが、セミやメインとなると市ヶ谷さんや来島さんのような人間離れした選手が相手ですので、もう無茶苦茶で、ある意味出たとこ勝負になってきて、意識が飛んでしまうこともあります。
メインイベントが終わるのがたいてい午後9時少し前、そのあと撤収してNEWあおりんご号に乗り込んで、宿舎には午後10時前に到着します。宿舎はたいてい常宿にしている地域の一流半ホテルをワンフロア借り切ります。

夕食は宿舎近くのお店でテキトウに済ませます。新人のころは全国チェーンのファミレスばかりでしたが、富沢さんや上原さんといった先輩レスラーに美味しいお店を何軒も紹介されたこともあり、レスラー稼業も7年を過ぎるとその土地のグルメに相当詳しくなっており、大阪はこの店、名古屋はこの店といった行きつけが出来ています。博多の料理屋さんでは何枚かサインをするだけで食事代が割安になったりします。しかし、人気があるのは私ではなく同期のビーナス麗子さんです。食事を済ませたらホテルに戻り、0時過ぎにさっさと寝ます。レスラーは身体が資本ですので。

4月8月12月のシリーズでは移動距離が長いので新幹線や飛行機で移動があります。飛行機での移動は好きになれませんが最近では慣れました。新幹線の移動では駅弁が食べられますのでまあまあ好きです。

巡業地で人気があるのが北海道です。4月、8月、12月に札幌で興行があるのですが、翌日はたいていオフですので、北海道観光を楽しむことができます。最近凝っているのはレンタカーを借りて温泉ですね。定山渓や登別にはよく行きます。
SPZは旗揚げ直後から北海道興行を重視していました。食通の選手が多かったので、試合後の寿司や炉端焼きが楽しみだったのでしょう。どさんこドームで好勝負が多いのもそういう励みがあるからだと思います。
私が現役でいられるのもあと2年くらいですので、せっかく会社のカネで全国を回っていますので、行けるところは今のうちに行っておきたい、そう思っています。

(ギムレット美月自伝 プロレスの舞台裏 より)

2007年11月18日 (日)

第261回 17年目10月 市ヶ谷様V11

17年目10月。「秋のスーパースターシリーズ」開幕。スターライト相羽、ギムレット美月、キューティー金井が負傷欠場。

第3戦三重大会メインでSPZタッグ戦。王者ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条に挑むのはEWAのナターシャ・ハン、アリス・スミルノフ組。ストップ市ヶ谷組を常連外人に託した。ロイヤル北条が負けにくくなってきているので菊池来島でも勝てないと判断してこのマッチメイク。
だがー
市ヶ谷様強い。ナターシャの関節攻勢にやや手こずったものの最後は投げまくりが炸裂し、27分34秒、デスバレーボムでナターシャを仕留めた。館内ため息。王者組4度目の防衛に成功。

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SPZ世界タッグ戦

B市ヶ谷、R北条(27分34秒、デスバレーボムからのエビ固め)ナターシャ・ハン×アリス・スミルノフ

王者組が4度目の防衛に成功

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シリーズ最終戦は新日本ドーム大会。人気選手3名が欠場でも首尾よく超満員となった。

第3試合は芝田美紀、フレイア鏡のお嬢様軍団にラッキー内田、マッキー上戸が対決。
「Cheer up full throttle!」に乗って「ジューシーペア」入場。若いタッグチームの登場にドームは沸いた。しかし今日の相手はSPZの最大派閥、ジュエルローゼスの芝田・フレイア鏡。連係で粘った2人だったがー

「軽くひねってさしあげますわ」
芝田のダイヤモンドキックにマッキー上戸、大ダメージ。これで分断されてしまい。孤立したラッキー内田が合体パワーボムを食らって終了。それでも23分55秒の熱闘。16期生の力は予想以上に伸びてきている。

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休憩明けは3大シングル戦。

まずセミ前はロイヤル北条対ナターシャ・ハン。ロイヤルスパイクなどで懸命に攻めていった北条だが、ナターシャの足殺しにはまってしまい11分10秒、アキレス腱固めに敗北。

セミファイナルは菊池理宇対氷室紫月。動きに翳りが見え始めた菊池だが、飛び技が決まればまだまだ強い。この日もダイビングプレスで危なげなく10分17秒、氷室を下した。

メインはSPZ選手権。王者ビューティ市ヶ谷に挑むのはボンバー来島。一応団体実力ナンバーワンとナンバーツーの激突だが、レスリングは市ヶ谷のほうが一・二枚上手である。

この日もチョップで来島をぐらつかせる下工事を経て、ラリアットを連発で打ち込んでゆく市ヶ谷のペースにズルズルとはまってしまう来島。
「どうかしら!」
DDT、ブレーンバスターで市ヶ谷中押し。来島の息は徐々に乱れていった。
「覚悟なさい!」
市ヶ谷秘密兵器のムーンサルト、これは2.5で返したボンバー来島だったが
「せぇっ!」
ハイキック一撃。これで来島は崩れ落ち3カウントを奪われた。

勝負タイム25分29秒。市ヶ谷の牙城を崩す者見当たらず。王者が11度目の防衛に成功。

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SPZ世界選手権

ビューティ市ヶ谷(25分29秒、ハイキックからの片エビ固め)ボンバー来島

王者が11度目の防衛に成功

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本部席では今野役員と井上社長代行がひそひそ話。
「こりゃ吉田さんの記録超えちゃうよたぶん」
「・・・そうですね、止められそうな選手がいません」

あと4回。吉田龍子の伝説を塗り替えられるか。

2007年11月17日 (土)

第260回 17年目9月 市ヶ谷様V10

9月シリーズ「秋爽シリーズ」開幕。九州各地を転戦する地方興行主体のシリーズ。またSPZクライマックス激闘の後遺症でロイヤル北条、ビーナス麗子が欠場となった。

初戦鹿児島大会で16期生同士のシングル戦。ラッキー内田対氷室紫月。

SPZクライマックスに出て1勝を挙げた氷室へのジェラシーか、ラッキー内田が懸命に攻めていく
「ラッキーキャプチャー!」
必殺のラッキーキャプチャーZ(変形ドラゴンカベルナリア)が決まるが、腕のフックが甘く、氷室何とか振りほどく。最後はスクラップバスターで氷室が13分58秒、逆転勝利。

「ふっふっふっ、やっぱり女子レスラーはルックスですよ。お嬢様軍団の次はあの2人をトップ戦線に据えて儲けましょか」

「小川さんのときみたいにプッシュするんですか?」

**********************

第7戦、カイメッセやまなし大会。S相羽、ラッキー内田のあばしりタッグに挑むのは元王者のギムレット美月、キューティー金井。

「今日は泣かないんだからぁ!」
キューティー金井がS相羽の攻勢を懸命にこらえる。しかし王者組が連携攻撃を多用して、まず合体パイルでキューティーを戦闘不能に追い込む。

これでギムレット美月が孤立。そこへ合体パワーボム!ギムレットがラッキー内田に3カウントを喫してしまった。勝負タイム36分9秒の激闘。

***********************

そして最終戦さいたまドーム大会。
第1試合はフォクシー真帆対成瀬唯。なんと第1試合から双方相譲らず、30分時間切れドロー。

第2試合はフレイア鏡対デイジー・クライ。デイジーの打撃技ラッシュにフレイアなすすべなし。ボコボコにされたのちフロントスープレックスで終了。

第3試合はマッキー上戸、ラッキー内田対ギムレット美月、キューティー金井のタッグマッチ。
「決めるなら今しかない!」
マッキー上戸のバックドロップ炸裂。これでキューティー金井からフォール勝ち。26分17秒の激闘を制した。

休憩明けの第4試合は氷室紫月対スターライト相羽。だが氷室にとって、まだまだS相羽の壁は厚く、9分14秒、キャプチュード2連発で相羽が勝利。

セミファイナルは菊池理宇、ボンバー来島対ナターシャ・ハン、アリス・スミルノフのタッグマッチ。終盤は菊池対ナターシャの一騎打ちの様相。最後は菊池が裏投げでナターシャから3カウントを奪って終了。

メインはSPZ選手権。王者ビューティ市ヶ谷に挑むのは芝田美紀。来島も芝田もSPZクライマックスで市ヶ谷に破れているのだが、市ヶ谷に勝てる可能性がわずかながらあるのがこの2人なので当てていかざるをえない。
試合は序盤こそ芝田の掌底が入って互角の展開だったが、市ヶ谷がラリアット連発でいつもの形を作り、だんだん芝田の息が上がっていって最後はデスバレーボム2連発。勝負タイム26分13秒。終わってみれば市ヶ谷の完勝。これで市ヶ谷SPZ王座防衛V10達成。連続防衛記録で歴代2位の伊達遥に並んだ。

「こりゃあ、あたしの15回は越えられちゃう・・なあ」

本部席のテレビ解説、吉田龍子が慨嘆。市ヶ谷様に勝てそうな選手が居ないのである。

2007年11月16日 (金)

第259回 17年目9月時点のプログラムから

17年目9月
今野役員は久々にプログラムのメンテナンスを行った。

スターライト伝説 スターライト相羽

本名:相羽明子。2001年7月12日、石川県金沢市出身。SPZに第9期生として入門し、2017年7月16日、山口宇部大会の対マイトス香澄戦でデビュー。3度にわたる海外遠征を経て、あらゆるタイプのプロレスに対応できるスター選手へと成長し、新咲祐希子と組んでSPZタッグ王者に輝き、そしてスイレン草薙を破ってSPZ世界王者に輝いた。得意技はタイガースープレックス。現在はタイトル戦線から離れているがSPZの重鎮として熱いファイトを展開。

テーマ曲:スターライトシンフォニー (KOTOKO)

バトルコンピューター  ギムレット美月

本名:八重樫美月、2002年5月26日、岐阜県垂井町出身。SPZ10期生としてスカウトされ、2018年4月15日、札幌キターアリーナ大会の小川ひかる戦でデビュー。冷静沈着な性格で、レスリングセンスを生かしたグラウンド技を武器に活躍。ガイア小早川と組んであばしりタッグ王座を獲得。また脱出不能ドラゴンカベルナリアでハイサスカラスを破りAAC世界王者にも輝く。得意技はドラゴンカベルナリア。

テーマ曲:oblivion(KOTOKO)

ザ・エンジェル ビーナス麗子

本名:愛野麗子、2002年10月12日、広島県広島市出身。SPZ10期生新人テストに合格し、2018年4月15日の札幌キターアリーナ大会でのガイア小早川戦で白星デビュー。打撃技の威力はなかなかのもので、時に大物食いをしてしまうことも。スターライト相羽のパートナーとなりSPZタッグ王者に輝く。ヘレン・ニールセンを破ってAAC世界王者にも輝く。得意技はハイキック。
テーマ曲:toghther forever(リック・アストリー)

豪腕破壊大王 ボンバー来島

本名:来島智代、2003年8月13日、福岡県北九州市出身。大柄な体格とパワーを見込まれ、SPZにスカウトされ2019年4月16日、釧路アリーナ大会でのガイア小早川戦でデビュー。ファイトスタイルは馬力に頼る荒削りな面もあるが、上原今日子コーチの指導でめきめきと実力をつけ、体全体で打ち抜くナパームラリアットを習得。同期の菊池理宇とのタッグであばしりタッグ王者、そしてSPZタッグ王者に輝き、シングルマッチでもその圧倒的なパワーを武器にSPZ世界王者に2度輝く。得意技はヘッドバット、ナパームラリアット。
テーマ曲:エクリプス(イングヴェイ・マルムスティーン)

ピュアダイナマイト 菊池理宇

2003年6月24日、宮城県仙台市出身。SPZの新人テストに合格し、11期生として2019年4月16日、釧路アリーナ大会での渡辺智美戦でデビュー。155cmの小柄な体格を持ち前のガッツでカバーする戦いで人気は上昇。また、吉田龍子が負けん気を見込んでコーチ役を買って出て、連日の特訓漬けで成長させたのは有名な話。
最近は一つ一つの技に正確さ、重さが出てきて、EWA最強のナターシャ・ハンを破ってEWA世界王者に輝き、そしてボンバー来島を破って団体最高峰のSPZ世界王者にまで輝く。体格面でのハンデをものともせず団体トップにまで登り詰めたその戦いぶりは多くのファンの胸を打った。タッグ戦線でも同期のボンバー来島とタッグを組み、あばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝く。得意技はムーンサルトプレス、ミサイルキック。

テーマ曲:THROUGH THE FIRE(ラリー・グリーン)

スーパーお嬢様 芝田美紀

2004年11月18日、大阪府箕面市出身。天性の運動神経が井上霧子の目に留まり、SPZ12期生として2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での菊池理宇戦でデビュー。瞬発力には定評があり、延髄斬りの威力は恐ろしいものがあり、数々の選手をその餌食にしてダイヤモンドキックと呼ばれるに至った。最近ではビューティ市ヶ谷らとお嬢様軍団を結成し熱い戦いを繰り広げる。得意技はダイヤモンドキック。

テーマ曲:セプテンバー(アース・ウインド&ファイアー)

アイドルレスラー キューティー金井

本名:金井紗也。2005年1月31日、北海道千歳市出身。SPZのDVDを見てアイドルレスラーになろうと決意しSPZプロテストを受験し見事合格。2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での渡辺智美戦でデビュー。闘志を前面に出すタイプではなく、前座戦線で外人レスラーに痛めつけられるキャラで人気は上昇中。時たま出すバックドロップはかなりの威力(らしい)。ギムレット美月と組んであばしりタッグ王座を戴冠。

テーマ曲:げっちゅきっちゅsummer(佐藤裕美)

暴走お嬢様 ビューティ市ヶ谷

本名、市ヶ谷美香。2005年9月10日、埼玉県さいたま市出身。中学時代は柔道で鳴らし、数多くのジュニア大会で優勝するが、井上霧子に誘われ突如プロレス転向を宣言。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会でのキューティー金井戦でデビュー。その高笑いを交えた個性的なファイトスタイルで人気爆発。ロイヤル北条とのコンビであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝く。ナターシャ・ハンやハイサスカラスといった世界の一流選手を破り、AAC,EWAのシングルベルトをも戴冠。そしてSPZ王者にもボンバー来島を破り戴冠し、絶対王者として防衛を重ねている。得意技はビューティボム。

テーマ曲:トッカータとフーガ BWV565(J・S・バッハ)

お嬢様特急 ロイヤル北条

本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。中学時代はフェンシングに熱中し全国大会で入賞する成績を残す。しかし、中学を卒業するや上京しSPZの新人テストを受験。合格しSPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。キビキビとした動きは将来性を感じさせる。同期のビューティ市ヶ谷と組んであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝き、お嬢様軍団の一員としてメインやセミでも存在感を出している。得意技はロイヤルスパイク。

テーマ曲:Jive into The Night(グリーン・オリーブス)

妖しのお嬢様 フレイア鏡

本名:鏡春江。2006年12月13日、長崎県佐世保市出身。井上霧子にスカウトされ、SPZ第14期生として入団し、2022年4月16日、札幌どさんこドームでのビューティ市ヶ谷戦でデビュー。持ち前の運動センスを生かし、関節技を主体としたファイトを見せる。最近ではビューティ市ヶ谷率いるお嬢様軍団の一員としてメインやセミにも顔を出す。鬼気迫る表情で得意技のストレッチプラムを繰り出すシーンがたまらないというファン多数。
テーマ曲:リライト・マイ・ファイヤー(ダン・ハートマン)

野生少女 フォクシー真帆

本名:平津戸真帆。2006年8月18日、岩手県田野畑村出身。SPZの新人テストに合格し、14期生として入団。2022年4月16日、札幌どさんこドーム大会でのロイヤル北条線でデビュー。岩手県の山奥で育ったことをネタにして吉田プロデューサーが「野生少女」というギミックを考え出し、その個性的なキャラで売り出し中。得意技はヘッドバット。
テーマ曲:ウイリアムテル序曲(ロッシーニ)

ナニワファイター 成瀬 唯

本名・同じ。2007年11月2日、大阪府豊中市出身。新人テストに合格し、SPZ15期生として2023年4月21日、釧路アリーナでのフォクシー真帆戦でデビュー。まだまだ実力は発展途上だが、身軽な動きを生かしたプロレスで会場を盛り上げる。得意技はミサイルキック。
テーマ曲:ミオクルカラ(C.G mix)

運命戦士 氷室紫月

本名・同じ 2008年11月27日、富山県高岡市出身。中学時代からアマレスで身体を鍛え、これに目をつけた井上霧子がスカウト。SPZ16期生として2024年4月21日、仙台アリーナ大会でのマイトス香澄戦でデビュー。レスリングセンスはかなりのもので、ビーナス麗子と組んであばしりタッグ王者に輝き、デビュー2年目でSPZクライマックスに出場するなど16期生の中では一歩リードしている。得意技はドラゴンスリーパー。

テーマ曲:ウォンテッド(ザ・ドゥーリーズ)

ラッキーキャプチャー ラッキー内田

本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。中学時代からアマレスで頭角を現し、SPZ16期生としてスカウトされる。2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。同期の氷室とは出世競争を繰り広げ、スターライト相羽とのコンビであばしりタッグ王座も戴冠。得意技はラッキーキャプチャー、ラッキーキャプチャーZ。
テーマ曲:Double Harmonize Shock!(I‘ve sound)

炎の戦士 マッキー上戸

本名:上戸真紀 2009年3月8日、鳥取県倉吉市出身。SPZ16期生としてスカウトされ、2024年7月16日、青森武闘館大会での氷室紫月戦でデビュー。同期の氷室、ラッキー内田らと出世競争を繰り広げる。パワーに任せて突っ走るファイトで人気も上昇中。得意技はバックドロップ。
テーマ曲:Cheer up full throttle!(某ゲームサントラ)

悪役ファイター ライラ神威

本名:島宮香織。2009年6月16日、北海道新得町出身、SPZ17期生としてスカウトされ、2025年4月21日、釧路アリーナ大会での成瀬唯戦でデビュー。現在はEWAへ修行中。

レフェリー 井上霧子

1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。最近はメインイベントかセミファイナル1試合のみをさばく立行司格。文字通りSPZの最高指導者だが、近年は一部スポーツ紙上で酒びたりであることが暴露され、吉田龍子にその座を脅かされている。

レフェリー 伊達遥

1993年10月23日、宮崎県都城市出身。SPZの一期生として旗揚げ直後から参加し、2009年6月20日根室市体育館、アリシア・サンチェス戦でデビュー。SPZ草創期から団体を支え続け、SPZ初代王者として団体エースとして活躍。2019年2月、現役引退。井上霧子の推薦でレフェリーに転向。井上霧子がフロント業に駆り出される中、伊達が実際のチーフレフェリー格となりつつある。

リングアナウンサー 上原今日子

1995年12月31日、沖縄県那覇市出身。SPZ3期生として2011年5月11日、青森スポツァルト黒石大会の保科優希戦でデビュー。2020年4月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、その人柄か、リングアナウンサー、代打レフェリー、雑用、物販スタッフなんでもやる人になってしまった。現在は主に前半戦のアナウンスを担当。

リングアナウンサー 村越忠幸

1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、営業社員兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。2児のパパで趣味は料理。

リングドクター 羽山海

1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野前社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2007年11月15日 (木)

第258回 私ってどうしてこんなに完璧なのかしら!

17年目8月SPZクライマックス 後編

リーグ戦5試合を消化してボンバー来島とビューティ市ヶ谷の2名が全勝をキープ。

第7戦は仙台大会。

菊池(8点、DDTからの片エビ固め)S相羽(4点)

菊池の地元だけあって万雷のキクチコール。これに気を良くした菊池がハッスルしてドロップキックを連発。しかし相羽も「恥かかせてやるー」と猛反撃。

タイガードライバーを繰り出す。相羽裏拳。しかし菊池もムーンサルト。相羽また裏拳。しかし菊池も飛ぶ。ダイビングプレス、しかし相羽2.8で返す。

相羽ハイキックで反撃。菊池2,5で返す。

菊池ムーンサルト、2回続けて自爆。仙台のファン悲鳴!

―仙台では負けられない!
それでも菊池、しかめ面をしながら相羽に組み付いてDDT.これで何とか3カウントを奪った。

B来島(12点、パワーボムからのエビ固め 5.08)氷室(2点)

ボンバー来島鬼神の強さ。氷室をわずか5分で退け、公約どおり全勝で横浜決戦にのりこむことができた。

芝田(5点、時間切れ引き分け)R北条(5点)

仙台大会のセミはジュエルローゼス(略すとJR・・・?)同門対決。これまで2勝3敗と星が上がっていないので両者目先の1勝をもぎ取ろうと懸命のファイト。ロイヤルスパイクで北条が追い込むも柴田は強烈な裏拳、そしてヘッドバットまで繰り出し勝とうとする。そして伝家の宝刀ダイヤモンドキック、決まったかと思われたが2.9で返す。

しかし芝田は落ち着いてドラゴンスリーパーで弱らせてからもう一度ダイヤモンドキック。今度こそ終わったかと思われたが北条これも2.9でクリア。

最後の力を振り絞ってパワースラムで反撃。芝田2.5で返して逆片エビに捉える。
―ダメだっ、力が入らない・・・

「残り時間10秒!」

―後10秒、それならば・・・っ
ロイヤル北条、無限とも思える10秒間をしのいでドローに持ち込んだ。

B市ヶ谷(12点、パイルドライバーからの片エビ固め 8.51)V麗子(0点)

市ヶ谷様強い。ビーナス麗子を軽く一蹴。これで優勝の行方は横スペ直接対決へ。

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そして最終戦横スペ大会。後半の4試合がリーグ戦千秋楽。

R北条(7点、パワースラムからの片エビ固め13.10)S相羽(4点)
ロイヤル北条、右足首の負傷を隠しながらのファイト。この日もS相羽にタイガースープレックス、バックドロップを食らうなど危ないシーンがあったものの、ロイヤルスパイクで形勢逆転に成功。裏投げで動きを止めてパワースラムで有終の美。7点でリーグ戦を終え、堂々のシード権確保。

菊池(10点、タイガードライバーからのエビ固め 13.34)V麗子(0点)

なんとかして1勝したいビーナス麗子。しかし菊池も有終の美を飾るべく得意の空中殺法で繰り出す。ビーナス麗子、ハイキックも繰り出したが、最後は菊池のタイガードライバーに沈んだ。ビーナス麗子、2年連続でリーグ戦全敗。菊池、市ヶ谷と来島に負けただけの堂々の10点、3位入賞。胸を張って引き上げた。
「まあ、負けた試合は悔しいですけど全体では良くやったと思います。さあ、あたしのインタビューより早くメインを見たほうが良いですよ。」

芝田(7点、ノーザンライトSH 23.05)氷室(2点)
ここまで2点の氷室。さすがにトップどころには一蹴されてしまったが、それ以外の試合は内容的には悪くなく将来を感じさせた。この日も芝田に懸命にぶつかっていった。ストレッチプラムで芝田をあわてさせたがー
芝田ノーザン2連発。これで試合は終わった。それでも23分5秒の激闘。横浜の常連ファンは新しい風を感じた。

市ヶ谷(14点、ハイキックからの片エビ固め20.39)B来島(12点)
「ようやくアンタと戦えるところまで来たぜ」
「まあ、無駄な努力だったことを証明してみせますわ」

全勝同士の相星決戦。勝ったほうが優勝。

「来島さんじゃ勝てない」
解説の上原コーチが断言。
「最近の市ヶ谷さんは試合の組み立ての技術が格段に上達しています。チャンピオンになって負けない試合を覚えたんでしょうね」
で、その通りに試合は進んだ。要所要所で大技で痛撃を与えて来る市ヶ谷。あせった来島はナパームラリアットで勝負をかけるが単発では効果なく、だんだん追い込まれていったが、終盤、場外戦で異変が。

来島の場外フェイスクラッシャーで顔面を打った市ヶ谷の動きが止まる。すかさずリングに戻して、ボンバー来島コーナー最上段に登ってダイビングプレス!
菊池のそれとくらべてフォームは雲泥の差だが重さがある。

決まったかー?
しかし市ヶ谷懸命に右足をサードロープへ伸ばした。
あぁああ・・・
場内落胆の声。

市ヶ谷は体勢を立て直すと、
がすっ!
ボンバー来島にハイキックを叩き込んだ。
ワン、トゥ、スリー。
「私ってどうしてこんなに完璧なのかしら、オーッホッホッホ!」
横スペに響く市ヶ谷の高笑い。堂々の2連覇達成。

2007年11月14日 (水)

第257回 今は勝てない、でもいつか必ず勝つために、せいいっぱいやる。

17年目8月4 SPZクライマックス(続き)

第3戦は広島・若鯉球場大会。夜のスタジアムに異様な熱気が漂う。

S相羽(2点、タイガーSH 11.15)氷室(2点)

「いくら力が落ちたとかヘボエースとか言われても、ボクはデビュー1年ちょっとの人には負けません」

S相羽、タイガードライバー、DDTで優位に立って、氷室のドラゴンスリーパーを受けきった上でタイガースープレックス。これでリーグ戦初日を出した。

芝田(2点、ダイヤモンドキックからの片エビ固め 6.54)V麗子(0点)

地元凱旋で燃えたビーナス麗子だったが、芝田がいきなりの打撃攻勢。ダイヤモンドキック(鋭い延髄斬り)、裏拳、そしてまたダイヤモンドキック。ビーナス麗子、7分でボコボコにされた・・・

B来島(4点、STOからの片エビ固め 17.20)菊池(2点)

タッグパートナー同士の対決。しかし今回は来島さんが気合が入っていた。

「あのタカビーお嬢と横スペで当たるまでは負けられねえんだ!!」
要するに市ヶ谷は最終戦まで全勝で来るだろうから、それまで負けるわけにはいかないということ。

来島ショルダータックル。軽量の菊池ハデに吹っ飛ぶ。ローリングソバットで反撃するも岩のような来島の身体には通用しない。しかし菊池も裏投げで懸命に反撃。ダンプカーを追い込んだが、

「オラオラオラー!」

久々のSTO炸裂。F1がダンプカーに潰された。

B市ヶ谷(4点、ムーンサルトからの体固め 12.1)R北条(0点)

セミの激闘を見ながらビューティ市ヶ谷ひとこと、「しょせんは三流の試合ですわね。最後は私があの怪力だけの来島・・・さんを這いつくばらせてあげます」
この日は同期で同門のR北条の攻めを受けきってムーンサルトで勝利。

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第4戦はなにわパワフルドーム大会。

S相羽(4点、タイガーSH 15.37)V麗子(0点)

「麗子ちゃーん!」「アイバー!」「ヘボエース!」
キャリアの長い両者に声援が飛ぶ。互角の戦いが展開されたが

「すっごいのいくよ!」
ビーナス麗子ハイキック。それでも相羽は沈まない。逆にタイガースープレックス。しかしビーナスは場外に逃げた。しかしリングに戻るや相羽2度目のタイガースープレックス。これはビーナス麗子返せなかった。必殺技にこだわったS相羽が2勝目。

R北条(2点、ロイヤルスパイクからの片エビ固め 16.56)氷室(2点)

ロイヤル北条に初日。氷室のマイペースな対応にやや手を焼いたが、シャイニングウィザードでぐらつかせてカカト落としで追い込む。氷室もドラゴンスリーパーで反撃したが最後はロイヤルスパイク(変形DDT)の餌食。

B来島(6点、フェイスクラッシャーからの片エビ固め18.37)芝田(2点)

昨年は引き分けに終わった一戦。今年も大熱戦が展開された。
「あたしはあのタカビーお嬢とやるまで負けられねえんだー」ボンバー来島の意地が芝田をねじ伏せた。

B市ヶ谷(6点、ニーリフトからの片エビ固め 14.55)菊池(2点)

前年の公式戦では市ヶ谷が負けているので油断のならない相手。その反省か、市ヶ谷、チョップチョップの乱打とベーシックな技で慎重に崩してゆく。菊池も懸命にドロップキックを打ってゆくが市ヶ谷には通じない。逆にラリアット、スリーパーで弱らせてから

「覚悟なさい」
バックドロップ、フィッシャーマンバスター。これで決定的ダメージを負った菊池、続くニーリフトに3カウントを聞いた。

「アー、来島さんの援護射撃できなかった。勝ったら飲み1って話だったのに・・・」

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第5戦は名古屋しゃちほこドーム大会。
R北条(4点、パワースラムからの片エビ固め 9.22)V麗子(0点)

ロイヤル北条、ビーナス麗子の打撃をかいくぐり、うまく攻めてパワースラムで2勝目ゲット。ビーナス麗子、今年も全敗の予感。

菊池(4点、ボディスラムからの片エビ固め13.58)氷室(2点)

売り出し中の氷室が元SPZ王者の菊池と対戦。だが菊池の空中戦に氷室ただやられるだけ。ドラゴンスリーパーで反撃もロープに近い。最後はスタミナの尽きた氷室を菊池がボディスラムで仕留めた。

B来島(8点、パワーボムからのエビ固め 8.07)S相羽(4点)

来島さんが一方的にスターライト相羽を8分でやっつけた。相羽、元エースの風格はどこへ・・・

B市ヶ谷(8点、ミサイルキックからの片エビ固め 13.46)芝田(2点)

いまのSPZで暴君市ヶ谷に勝つ可能性がわずかながらあるのが来島と芝田。だが今年の市ヶ谷は本気で全勝優勝を狙っている。ミサイルキックでジュエルローゼスの2番手、芝田を撃破。

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第6戦は北海道どさんこドーム大会。

菊池(6点、ダイビングプレスからの体固め 20.5)R北条(4点)

SPZタッグベルトをめぐって熱い闘いを展開している両者がシングルで対戦。空中戦を展開した菊池がやや押し気味に進める。そしてミサイルキックで追い込んで北条が倒れたのを見計らって、コーナー最上段に登り、
ダイビングプレス!いっせいに瞬くフラッシュ。1回目はカウント2.8で返した北条だが、立て続けにもう一度食らっては返せず。20分の激闘を制した菊池が3勝目を挙げた。

「ファンの皆さんのおかげです。キツイけどあと二つ、頑張ります!」

芝田(4点、ダイヤモンドキックからの片エビ固め19.43)S相羽(4点)

「ボクはこのまま終わる気はありませんよ」
ジュエルローゼスの芝田相手に一歩も引かず戦っていく相羽、得意のタイガードライバーも。しかし芝田もものすごい裏拳をヒットさせる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・うあ・・・・・」

そしてー
「いきますわよ!」
芝田のダイヤモンドキックが相羽の意識を闇へ。

叩き込むダイヤモンド。両手を高く掲げる芝田、ドームにとどろき渡る歓声が。

B来島(10点、パワーボムからのエビ固め 5.17)V麗子(0点)

「さっさと終わらせて寿司食いに行くぜー!」

来島さんの圧倒的パワーにビーナス麗子どうすることもできず3カウントを聞いた。勝負タイムわずか5分17秒。

B市ヶ谷(10点、デスバレーボムからの片エビ固め 7.39)氷室(2点)

札幌どさんこドームのメインカードは前衛的なものとなった。絶対王者市ヶ谷様に挑むのは未来のエース候補、氷室紫月。

「3分で終わるんじゃないか?」今野役員。
「いや、ドームのメインですし5分は持つでしょう、市ヶ谷さんも気を使うでしょうし」井上霧子。
「じゃあ氷室さんが5分持つかどうかで賭けましょう。今夜の炉端焼き」
本部席での失礼な会話をよそに氷室は絶対王者の入場を心待ちにしていた。

―やっと、ここまで、来た・・・・

デビューから1年4ヶ月でSPZ絶対王者とシングルが組まれるところまで来た。

ー今は勝てない。でもいつか必ず市ヶ谷さんに勝つために、せいいっぱいやる・・・。

「オーオホホホホホ!すぱぁッと終わらせてあげますわ」

市ヶ谷ラリアット2連発、ハデに吹っ飛ぶ氷室。さらに市ヶ谷様、攻撃の手を緩めることなくニーリフト、アームホイップの猛攻。
札幌に悲鳴が。
しかし氷室懸命にドロップキックで反撃、だがここまでだった。
バックドロップ、そしてデスバレー。氷室撃沈。

「オーホホホホホホ!準備運動にもなりませんでしたわ!」

市ヶ谷、勝ち誇り観客にアピールしまくりながら引き上げた。氷室はラッキー内田の肩につかまりながら退場。
「7分持ったですね。じゃあ炉端焼きおごりで」
「・・・はい」

第17回SPZクライマックス、残り2戦の段階で、優勝はボンバー来島とビューティ市ヶ谷の二人に絞られた。

(続く)

2007年11月13日 (火)

第256回 1%でも、可能性がある以上・・・

17年目7月

「オーホホホホホホ!このわたくしに勝てるものなどおりませんわ!7月は南の島へバカンスに行ってまいりますわ!」
ビューティ市ヶ谷セカンド写真集「URBAN」発売。撮影のため7月は不在。したがって7月「サマースターナイツシリーズ」はSPZタイトルマッチの組めないシリーズとなった。それでも東北・関東各県で熱いファイトを展開。

最終戦新日本ドームのメインカードはしかたないので「EWA選手権」で集客を図った、。ナターシャ・ハンに対するはSPZ10期生のギムレット美月。またしてもギムレットは「適切なやられ役」を演じた。最後は16分22秒、キャプチュードに沈んだ。
「まあ、負けましたけど新日本ドームのメインでシングルマッチをやれたのでよしとします」

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そして8月、今年もSPZクライマックスが始まる・・・
8月4日の夜、SPZ本社2階のメイド喫茶「あばしり」を借り切って記者会見。

■「シューティングスター」スターライト相羽(23)

7年連続7回目の出場 京スポ予想倍率(優勝オッズ)99.9倍

「新人のつもりで頑張りますッ」

■「殺人ラリアット・前SPZ世界王者」ボンバー来島(21)

5年連続5回目の出場 第15回大会優勝 京スポ予想倍率5.3倍

「全員気持ちよく眠らせてやるぜー」

■「小さな宇宙戦艦」菊池理宇(22)

4年連続5度目の出場  京スポ予想倍率22.3倍

「出るからには一つでも多く勝ちます」

■「一騎当千のお嬢様」芝田美紀(20)

4年連続4回目の出場、 京スポ予想倍率20.9倍

「ホーッホッホホホホ!芝田ここにありということを全国のファンに見せ付けますわ」

■「史上最凶のお嬢様 SPZ世界王者」ビューティ市ヶ谷(19)

3年連続3回目の出場 前回優勝 京スポ予想倍率1.2倍

「オーッホッホッホ!全員このわたくしにひざまづくのです!」

■「スーパーお嬢様」ロイヤル北条(19)

3年連続3回目の出場 京スポ予想倍率29.9倍
「自分のレスリングを信じて白星を積み重ねたいです」

以下は予選会勝ち上がり組。

■ 「一撃必殺」ビーナス麗子(22)

2年連続4度目の出場 予選会1位通過 京スポ予想倍率99.9倍
「何とかして勝ち越したいです」

■「超新星」氷室紫月(16)

初出場 予選会2位通過 京スポ予想倍率99.9倍
「運命の歯車が回り始めた・・・」

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2戦目の福岡・九州ドーム大会から地獄のリーグ戦がスタート。

氷室(2点、ドラゴンスリーパー 14.26)V麗子
6月の予選会ではビーナス麗子が勝っている一戦だが、今回は氷室がよく攻めた。しかしビーナス麗子もエルボーで反撃。終盤戦は技のレパートリーの多いビーナスが本領発揮。裏投げで追い詰めたが、

「これでトドメ。」
氷室、逆転のドラゴンスリーパー。これでギブアップを奪った。

「私の勝ち・・・」

菊池(2点、ムーンサルトプレス30.0)芝田

22歳になったばかりの菊池だが破天荒なファイトの代償で動きがおかしくなり始めている。この日も芝田の打撃の餌食に。それでも「この技で勝負をかける!」とムーンサルト、そして裏投げ。しかしトドメを刺そうとしたダイビングプレスは3回の自爆という苦難。それでも菊池は飛ぶ。2度目のムーンサルトで3カウントを奪った。30分の激闘に福岡のファンは拍手。

B来島(2点、パワーボムからのエビ固め 12.43)R北条

市ヶ谷政権になってから「来島さんじゃ勝てない」といわれ続けているナンバー2登場。

「そりゃあいまの市ヶ谷選手を止めるのは難しいよ。それでも可能性が1%でもある以上は全力でやるのがレスラーってもんだよ、そのためにはバラ軍団をバラバラにしてやんないとね」
この日はジュエルローゼスのロイヤル北条と対戦。地元とあって気合が入っていた。ロイヤルスパイクを2発食らったが最後はパワーボムで押し切った。

B市ヶ谷(2点、デスバレーボムからの片エビ固め 11.26)S相羽

「リーグ戦などやらなくても私が優勝することは決まっていますわ」この日は「過去の人」スターライト相羽をデスバレー2連発でカンペキにたたきのめした。

(長くなるので、続きます)

2007年11月12日 (月)

第255回 ビューティ市ヶ谷V9

17年目6月 SPZクライマックス予選会

引き続き出場枠2をめぐって激戦が。

第5戦は石川大会。

M上戸(6点、ボディスラムからの片エビ固め)F鏡(4点)

2勝2敗同士の対決。3敗目イコール本大会出場権絶望とあって両者気合の入ったファイト。意外にも押したのはパワーに勝る上戸。ヘッドバットでくらくらさせたところをボディスラムで終了。

氷室(8点、ドラゴンスリーパー)L内田(2点)

SPZが売り出し中の16期生同士の対戦。だが氷室の強さが際立つ。パイルドライバーで動きを封じてからのドラゴンスリーパー。これでギブアップを奪った。

V麗子(8点、ジャンピングニーからの片エビ固め)成瀬(2点)

ビーナス麗子が1敗を守った。

G美月(8点、カカト落としからの片エビ固め)F真帆(2点)

中盤まではギムレットが良く攻めたが、終盤フォクシーもパワーボム、DDTで猛チャージ。どうにかカカト落としでギムレットも1敗を死守。

石川大会メインはSPZタッグ戦。ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条対菊池理宇、ボンバー来島。先月フルタイムドローに終わった試合の再戦。しかし市ヶ谷様強い。ボンバー来島のドロップキックを受けても平然。しかし試合終盤、菊池のムーンサルト、来島のナパームラリアットを連続で食らうピンチ。
「・・・北条さん、しばらく頼みますわ」
タッチを受けて出てきたロイヤル北条大活躍。
「これで終わらせるっ!」
菊池にロイヤルスパイク2連発。ボンバー来島のカットは市ヶ谷が阻止。29分38秒の激闘は王者組が制した。

第6戦福井大会。予選会リーグも大詰め。

F鏡(6点、ストレッチプラム)L内田(2点)

壮絶な関節技の決めあいとなった。ラッキー内田のラッキーキャプチャー(変形STF)、フレイアのストレッチプラム。25分経過のアナウンスに福井のファンは大喜び。最後はフレイアが2度目のストレッチプラム。これで内田からギブアップ勝ち。25分58秒の大勝負だった。

氷室(10点、ドロップキックからの片エビ固め)M上戸(6点)

ラッキー上戸がヘッドバットやボディスラムで押し込む。氷室もスクラップバスターで懸命に反撃。そしてブレーンバスター、パイルドライバーで弱らせてからドロップキックで逆転勝利。22分58秒の激戦を制した。氷室執念の1敗キープ。

G美月(10点、ドラゴンスリーパー)成瀬(2点)

ギムレット美月は成瀬を一蹴。こちらも1敗をキープ。

V麗子(10点、ダイビングプレスからの体固め)F真帆(2点)

ビーナス麗子も1敗を危なげなく守った。これで1敗でV麗子、G美月、氷室の3人が2つの椅子を争う構図に。

第7戦は神戸大会。

M上戸(8点。ヘッドバットからの片エビ固め)L内田(2点)

―同期の上戸さんにまで負けたくない。
そう考えて攻めていった内田だが、体格やパワーに勝る上戸がだんだん挽回していって最後はヘッドバット乱打に内田が潰された。売り出し中のラッキー内田まさかの2点で終了。

ーこれが、いまの私・・・もっと、強くなって来年は必ず出る・・・

氷室(11点、時間切れ引き分け)フレイア(7点)

勝ちか引き分けでSPZクライマックス本大会出場が決まる氷室。必死に攻めていったがフレイア鏡もお嬢様軍団の実力者。試合は盛り上がった。フレイアが氷室の右腕に狙いを定め脇固めで決めにかかる。攻めるフレイア、しのぐ氷室。そのまま相譲らず30分フルタイムドロー。

「ハァ、ハァ・・・」
初めての30分ドローに息も絶え絶えで戻ってくる氷室。上原コーチが一声。
「予選通過おめでとう。これも運命だね」
デビュー2年目でSPZクライマックスの出場権をつかむのはすごいことである。

F真帆(4点、パワーボムからのエビ固め)成瀬(2点)

実力微妙の2人の対戦はパワーボムでフォクシーの勝ち。

V麗子(12点、ハイキックからの片エビ固め)G美月(10点)

10期生同士の試合は勝ったほうが予選通過という大一番。この同期の二人は何回も組んだり戦っているので手の内はわかっている。

―八重ちゃんは追い込まれるともろい。ガンガン攻めれば絶対勝てる!
ビーナス麗子が猛然とエルボー攻め。しかしそれを受け止めたギムレットがドラゴンカベルナリア!
懸命にこらえたビーナス麗子、何とか振りほどいてジャンピングニーで反撃。そしてハイキック。これがギムレットの戦意を不稼動へ追いやった。

これで予選会通過は1位ビーナス麗子、2位氷室紫月で決定。

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最終戦はさいたまドーム大会。

第2試合はハイサスカラス、ドスカナ・リブレ対フォクシー真帆、成瀬唯。ドスカナに狙いを定めたSPZ若手チームだったがハイサスカラスにはかなわず、バックドロップ2発で終了。

第3試合は氷室紫月対アリス・スミルノフ。前半よく攻めた氷室だったがアリスもEWAの精鋭。裏投げで反撃。しかしー
「これでとどめ!」
ドラゴンスリーパーで氷室ギブアップ勝ち。

休憩明けの第4試合はラッキー内田、マッキー上戸対ビーナス麗子、ギムレット美月。タッグチーム同士の対戦だけあってお互いに早いタッチワークで的を絞らせない展開。しかし試合終盤ビーナス麗子の恐怖の右足。これでラッキー内田の動きが落ちた。最後はギムレットのカカト落とし。10期生コンビが手堅く勝利。

セミファイナルは6人タッグ戦、菊池理宇、ボンバー来島、スターライト相羽対芝田美紀、ロイヤル北条、フレイア鏡。ジュエルローゼス対キラーマシン軍+相羽という豪華カード。しかし相羽の動きがかなり悪い。この日も芝田のダイヤモンドキックを食らって戦線離脱。しかし菊池来島もダブルインパクトでまずフレイア鏡を戦闘不能にして、ついでロイヤル北条を菊池のムーンサルトから合体パワーボムで沈めた。17分24秒の激戦。

メインはビューティ市ヶ谷対ナターシャ・ハンのSPZ戦。
「市ヶ谷さんが負けるとしたら関節が極まって終わりぐらいしか考えられない」そうSPZマッチメーク委員会は判断した。
だがー
市ヶ谷さん強い。EWA最強のナターシャを子供扱い。優雅だが力強いラリアットをぶち込んでいってバックドロップ。
「覚悟なさーい!」
フィッシャーマンバスターで終了。勝負タイム12分11秒。市ヶ谷が完勝。9度目の防衛に成功した。

2007年11月11日 (日)

第254回 17年目6月 SPZクライマックス予選会 壮絶イス取りゲーム

17年目6月。
恒例のSPZクライマックス予選会。

出場者は以下の8名。
ビーナス麗子(前回本大会0点)
ギムレット美月(10期)
フォクシー真帆(14期)

フレイア鏡(14期)
成瀬唯(15期)
ラッキー内田、マッキー上戸、氷室紫月(16期)
リーグ戦上位2名が本大会に出場できる。なお12期生のキューティー金井は負傷欠場となった。
第1戦山口大会。

F鏡(2点、掌底からの片エビ固め)成瀬

―ようやくチャンスをもろうた・・・
デビューから2年余、ようやくSPZクライマックスに出られるかもしれないチャンスをもらい、成瀬は燃えていた。

しかし試合は1期先輩のフレイアペースで進み、最後は強烈な掌底に3カウントを奪われた。

F真帆(2点、パワーボムからのエビ固め)M上戸

マッキー上戸、AACから凱旋帰国していきなりSクラ予選会。しかしこの日はフォクシー真帆の意地が爆発。
―後輩にそう簡単に抜かれてたまりますか。
フォクシー真帆、リング上では天然パワーキャラを演じているが、内面は相当の知性派である。
「パワー全開、いくぞー!」
パワーボム炸裂。これでマッキーを下し白星発進。

V麗子(2点、ジャンピングニーからの片エビ固め)L内田
前回の本大会に出ながら全敗に終わったビーナス麗子。予選会で再チャレンジ。
「がんがん、いっちゃうぞー!」
ビーナス麗子のハイキック、これはなんとかカウント2.8で返したが続くジャンピングニーに万事休す。

氷室(2点、パイルドライバーからの片エビ固め)G美月

「65%の確率で私と麗子さんは2位以内に入って本大会に出られるでしょう」初戦の相手は氷室。お互いねちっこいレスリングを得意とするタイプだが、まだ自分のほうが何枚か上という自負がギムレットにはあった。

「せいっ!」
見事な裏投げ。氷室カウント2.5で返す。しかしここで氷室ドラゴンスリーパー。
「ううっ・・・・」
ギムレット美月、何とか振りほどいたがダメージが深い。これ以上は受けられないと判断したギムレットは強引にバックドロップを繰り出したがうまく体重を預けられて潰された。何とかカウント2.9で返したが、氷室がここでパイルドライバー。これでカウント3。

25分46秒の激闘の末、16期生の氷室が10期生のギムレット超えを果たした。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「運命を感じる・・・」

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第2戦は島根大会。

F鏡(4点、ストレッチプラム)F真帆(2点)

14期生の同期対決はフレイア鏡が制した。

M上戸(2点、ブレーンバスターからの片エビ固め)V麗子(2点)

互角の展開に風穴を開けたのはビーナス麗子のハイキック。これで動きががくんと落ちた上戸だが懸命に反撃。ヘッドバットを連発してぐらつかせたあとはブレーンバスター3連発。マッキー上戸まさかの10期生越え。

G美月(2点、裏投げからの片エビ固め)L内田(0点)

「昨日ポカやったので今日は負けられませんね」
選手会長ギムレット美月が強い気持ちで臨んだ。まさか2日続けて16期生に連敗はできない。裏投げで快勝。

氷室(4点、スクラップバスターからの片エビ固め)成瀬(0点)

氷室がじりじりと押していって、ドラゴンスリーパーで弱らせて、スクラップバスターで手堅く2勝目。
「私の勝ち・・・」

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第3戦は鳥取大会。
V麗子(4点、キャプチュード)F鏡(4点)

ーなんとしても、もう一度Sクラに出る!

ビーナス麗子が強い気持ちで追い込んでいって最後はキャプチュードがズバリ。

G美月(4点、ドラゴンカベルナリア)M上戸(2点)

「上戸さんは動きにまだまだ粗さがありますから自分のレスリングをすれば負けません。」
しかしここは鳥取、マッキー上戸にとっても地元凱旋なのでみっともない試合はできない。パワーで押し込んだが・・・

「勝利の方程式発動します」
ドラゴンカベルナリア発動。ギムレットにはこれがあった。

成瀬(2点、ドラゴンスリーパー)L内田(0点)

成瀬が先輩の意地を見せてドラゴンスリーパーでギブアップを奪った。ラッキー内田まさかの3連敗・・・

氷室(6点、スクラップバスターからの片エビ固め)F真帆

氷室まさかのただひとり3連勝。2期先輩のフォクシーを7分で仕留めた。

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第4戦高岡大会。
G美月(6点、ドラゴンカベルナリア)F鏡(4点)

一進一退の攻防。フレイア鏡もお嬢様軍団「ジュエルローゼス」の一員でセミやメインでもまれているので実力は互角。しかし最後はギムレットのドラゴンカベルで終了・・・

M上戸(4点、ヘッドバットからの片エビ固め)成瀬(2点)

マッキー上戸が力強く攻める。最後は痛烈なヘッドバットで終了。

L内田(2点、ショルダータックルからの片エビ固め)F真帆(2点)
なんとかして1勝目がほしいラッキー内田。スリーパーを軸に攻めてゆく。しかしフォクシーも16期生には負けんとパワーボム、ネックブリーカーで反撃。それでもラッキー内田、最後はコブラツイストで弱らせてからのタックルでなんとか1勝をもぎ取った。

V麗子(6点、キャプチュード)氷室(6点)
ビーナス麗子の動きがいい、地元凱旋の氷室にキャプチュード、裏投げと猛攻で主導権を握って最後は2発目のキャプチュード、これで予選会リーグ、全勝が消えた。あと3戦、通過枠「2」をめぐって壮絶なイス取りゲームが展開される・・・

(ちなみにシード権を持っているのはB市ヶ谷、芝田、R北条、菊池、B来島、S相羽の6名)

(長くなるので、続きます)

2007年11月10日 (土)

第253回 17年目5月 第1回SPZ東西対抗戦

17年目5月

最終戦横スペ大会は、「第1回東西対抗戦」と題された。

SPZの今シリーズ出場選手14名を出身地で東西に分け、シングルマッチ7試合をやって勝ち越したほうの勝利。勝利チームには豪華商品が出るとあって選手たちは色めきたった。
一応東西の境は富山県以東、愛知県以東が東軍で、石川県、岐阜県以西が西軍という区分けとなった。また登場順は「若い選手が先に出る」ルールとなった。

1. 氷室紫月(16期:富山県)VS 成瀬唯(15期:大阪府)

氷室の実力は1期先輩の成瀬を完全に追い越している。危なげなく攻めて9分30秒、ストレッチプラムで勝利。まず東軍が1勝。

2.L内田(16期:東京都)VS F鏡(14期:長崎県)

ともに関節技を得意とする選手同士とあって地味な攻防にファンは見入った。しかし最後に勝ったのはフレイア鏡。必殺ストレッチプラムが決まる。ラッキー内田抜けられない。

「ふふふふふ、もっと、もっと・・・苦しみなさい!」

こーこつの表情でストレッチプラムを決めるフレイアの顔のアップがオーロラビジョンに移る。観衆あまりの表情にどよめき。根負けしたのかラッキー内田ついにギブアップ。勝負タイム15分1秒。西軍も1勝目。

3.F真帆(14期:岩手県)VS 芝田美紀(12期:大阪府)

実力微妙のフォクシーにとっては絶望的な顔合わせ。芝田が「軽~くひねってさしあげますわ」と終始余裕の表情。ダイヤモンドキックからスクラップバスター2連発で完勝。これで西軍が2勝目。

4.R北条(13期:富山県)VS B来島(11期:福岡県)

今大会のもっとも好カードがここで実現。
「この技に耐えられるか?」
ロイヤルスパイク炸裂。しかしパワーなら来島のほうが何枚も上手である。ナパームラリアット、パワーボム、フェイスクラッシャーと畳み掛けて3カウント奪取。西軍が3連勝で王手をかけた。

5.B市ヶ谷(13期:埼玉県)VS V麗子(10期:広島県)

これはもうやる前から結果は見えていた。SPZ絶対王者のビューティ市ヶ谷がビーナスを子ども扱い。勝負タイムわずか6分36秒。これで東軍が2勝目。

6.Q金井(12期:北海道) VS G美月(10期:岐阜県)

横スペのセミファイナルに団体最弱(かもしれない)キューティー金井が登場というむちゃくちゃなマッチメイク。相手は10期生のギムレット美月。キューティーが負ければその時点で東軍の負けが確定してしまう。なのでキューティーも懸命にくらいついていった。ノーザンでギムレットを投げきる。2度目のノーザンが決まったところからキューティーへの声援一色。

「あともう一歩!頑張れQT!」

しかしギムレット美月も元AACチャンプ。決定的なチャンスをつくらせない。そして・・・
「行きます。」
バックドロップ炸裂。この後のフォールをキューティー返せず。22分44秒の熱戦となった。
「メインに出る人が、アレなので、何とかして勝とうと思いました」
これで西軍の勝利が決定。

7.菊池理宇(11期:宮城県)VS S相羽(9期:石川県)

メインの大役を任されたのはこの2人。しかし菊池、昨日の市ヶ谷戦でボロ負けしたせいか動きにいつもの鋭さがない。しかしそれより相羽の動きはもっと悪い。菊池のハイキックを水面蹴りで切返したのが唯一の見せ場だった。
「テンション上がってきたぁ!」
最後は菊池の代名詞、ダイビングプレスが決まって終了。勝負タイム17分55秒。

「以上を持ちまして第1回東西対抗は4対3で西軍の勝利!西軍の7名には横浜中華街のお食事券が贈られます。」
西軍の7名がにっこり記念撮影。

2007年11月 9日 (金)

第252回 17年目5月 SPZ選手権 ビューティ市ヶ谷VS菊池理宇

17年目5月。
ライラ神威をヒール修行のためEWAに出した。
5月シリーズ「ヴィーナスラグナロク2025」開幕。前半は四国地方を回る興行。

第5戦岡山大会。第3試合に組まれたのはスターライト相羽対氷室紫月。進境著しい氷室が元SPZ王者のS相羽に挑む。
「おりゃー!」
相羽がなりふり構わぬ場外バックドロップ。これは氷室受けられなかった。何とかリングアウト負け寸前で戻ったが、すぐさま・・・
「ハァッ!」
スターライト相羽裏拳。13分10秒、氷室は力尽きた。

岡山大会メインはSPZタッグ戦、王者のビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条に挑むのは前王者の菊池理宇、ボンバー来島組。岡山でタッグの頂上対決が組まれる。
菊池来島は早いタッチワークで市ヶ谷に対抗しようとしたが、市ヶ谷強い。来島にDDT2連発。しかし菊池も飛び技に活路を見出しダイビングプレスで反撃。市ヶ谷たまらずロイヤル北条にスイッチ。
ロイヤルもそうとう打たれ強くなっており、菊池、来島の攻めをしのいでロイヤルスパイク2連発。これで大ダメージを負った来島はあとを菊池に託さざるを得なくなった。最後は菊池とR北条が気迫のこもった殴り合い、そしてタイムアップ。60分フルタイムドローとなった。

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SPZ世界タッグ選手権

B市ヶ谷、R北条(60分 時間切れ引き分け)菊池理宇、B来島

王者組が防衛に成功

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「SPZ!SPZ!SPZ!SPZ!」
岡山のファンは大興奮。まさか地方会場で60分フルタイムの死闘が見られるとは。満場のSPZコール。

「ふぃー、きつかったー。」
控え室に戻ったボンバー来島は首筋にコールドスプレーをかける。タッグベルトは取れなかったが、60分フルタイムの大勝負をやってのけたのである程度満足いく試合だった。

「はぅ・・・・」
菊池は控え室、床にバッタリ倒れこんだ。

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翌日は奈良大会。メインはあばしりタッグ戦。王者のビーナス麗子、氷室紫月組に挑むのは元あばしり王者のスターライト相羽、ラッキー内田組。

「ラッキーキャプチャー!」
と、ラッキー内田が叫んでからビーナス麗子を変形のSTFに捕らえる。そしてこの日はパートナーのS相羽も軽快な投げ技で氷室を追い込み、サソリ固めまで繰り出す。しかしビーナス麗子も掌底で反撃。試合は長期化した。

氷室のドラゴンスリーパーがラッキー内田をギブアップ寸前まで追い込んだのだが、何とか逃げ切った内田が相羽につなぐ。ここで相羽が猛攻。

―ボクは、まだまだ負けない!まだSPZで暴れてみせる!

キャプチュード炸裂。これで氷室から3カウント奪取。S相羽・L内田(らきすた砲)があばしり王者に返り咲いた。勝負タイム28分13秒。

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あばしりタッグ選手権

S相羽○ L内田(28分13秒、キャプチュードからの片エビ固め)V麗子、氷室紫月×

第17代王者が初防衛に失敗、相羽組が第18代王者となる

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第7戦新潟大会、メインは新潟で開催は珍しいSPZ選手権。王者ビューティ市ヶ谷に挑むのは菊池理宇。

「―市ヶ谷さんのベルトに挑むのも・・・たぶんこれが最後になると思います」

菊池理宇21歳、そのあたって砕けるファイトスタイルは確実に彼女の身体を蝕んでいた。本人は表に出さないが、シリーズ中に使う痛み止めの量も増えていった。
悲壮な決意でメインのリングに上がった菊池。そしてゴング。

「オーッホッホッホ!いまさら菊池・・・さんなんかに負けるはずがありませんわーーー!」

市ヶ谷いきなりラリアット2連発。吹っ飛ぶ菊池だが何事もなかったかのようにドロップキックで反撃。

―菊池さんなんてさっさとで潰してさし上げますわ!

今日の市ヶ谷は怖さすら感じる。空中戦に付き合ったら厳しいので、一気に攻めて潰す戦法をとった。裏拳、パイルドライバーと容赦のない攻め。そしてハイキック。カウント2.8で返した菊池だったがトドメのニーリフト。これでカウント3が入った。
勝負タイム14分2秒、王者が8度目の防衛に成功。
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SPZ世界選手権

B市ヶ谷(14分2秒、ニーリフトからの片エビ固め)菊池理宇

第43代王者が8度目の防衛に成功

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2007年11月 8日 (木)

第251回 17年目4月 氷室紫月実力上昇中

第6戦大阪・なにわパワフルドーム大会で波乱。

「これでおしまい。」
氷室紫月のストレッチプラムに10期生のビーナス麗子がギブアップ負け。氷室が中堅の壁に風穴をあけた。

なにわドーム大会メインはやはり集客のために組んだハイサスカラス対ギムレット美月のAAC選手権。ギムレットは試合内容にムラがある。関節技が決まれば善戦するがそうでないときはあっさり負ける。この日は後者のパターンで、ハイサスカラスの空中殺法ショーが展開され、13分56秒、ギムレット玉砕。

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第7戦名古屋しゃちほこドーム大会はタイトルマッチが組めなかったのでひねりを利かせたカードをそろえてどうにか超満員にした。

第3試合はビーナス麗子対氷室紫月の再戦。

―きのうのはまぐれ。まだ普通に殴れば勝てる。
力のこもった掌底で氷室、何がなんだかわからなくなり、最後はビーナス麗子のタックルにフォール負け。今度はビーナス麗子が先輩の意地を見せた。

第4試合はアンナ・クロフォード対ラッキー内田。クロフォードの打撃技ラッシュに内田あっさりフォール負け。

しゃちほこドーム大会メインはボンバー来島対芝田美紀。SPZベルト次期挑戦権のことを考えるとお互い負けられない一戦。
「いきますわよ!」
芝田のダイヤモンドキック。そしてネックブリーカー、裏拳と来島相手に互角の闘いをやってのける芝田。しかしタックル連発で芝田をたじろがせた来島がフェイスクラッシャー、ダイビングプレスの猛攻で芝田をグロッキー状態にして・・・
「これが裏拳だー!」
体重の乗った裏拳が顔面に命中。これで来島がカウント3奪取。勝負タイム19分22秒。

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最終戦は本拠地に戻って横スペ大会。
第3試合は16期生同士の対戦。氷室紫月対ラッキー内田。静かなグラウンド技の攻防からだんだん立ち技が多くなっていったが、手数に勝った氷室がー
ドカッ!
スクラップバスターでラッキー内田を仕留めた。16期生3人の中では氷室が頭ひとつ抜け出てきた。

第4試合はハイサスカラス、デイジー・クライ対ナターシャ・ハン、アンナクロフォードの外人対決。デイジーのケリでアンナがのされて終了。

セミ前からは3大シングルマッチ

まずはスターライト相羽対ギムレット美月。いちおうギムレット美月デビュー7周年記念試合。年季の入った選手同士の対戦。ギムレットが関節技ベースでねちねちと攻めてゆくのだが、まだまだスターライト相羽には一発の重さがある。
タイガースープレックス炸裂!これで大ダメージを負ったギムレットの動きが鈍る。ここを先途と攻めまくる相羽、裏拳で叩きのめしてフォールを奪った。

セミファイナルはボンバー来島対菊池理宇のシングルマッチ。タッグパートナー同士の対戦。
「オラッ!」
来島のヘッドバット連打で動きが止まってしまう。それでも菊池、懸命にムーンサルト、ミサイルキックで反撃するが、ボンバー来島も力任せのパワーボム、STO。カウント2.8まで追い込まれる。

―次に大技を仕掛けてくる前に転ばせて、飛ぶ!
しかし菊池もあきらめず、アームホイップで転ばせて、ダイビングプレス。空中で一瞬ためを作って一気に急降下。これで来島、かなりのダメージを食った。

起き上がれない来島、すかさず菊池コーナー最上段にもう一度登って、この日2回目のムーンサルトプレス!
ワン、トゥ、スリー。
20分31秒、菊池理宇がボンバー来島を破った。

メインは芝田美紀対ロイヤル北条。お嬢様軍団同士の対決。序盤から中盤にかけて押したのは北条だったが、芝田もダイヤモンドキックで反撃。これで動きが鈍ったロイヤル北条、裏拳を食らってモーローとしてしまった。それでもロイヤルスパイクで反撃した北条だったが、芝田もトドメとばかりに組み付いて裏投げ。これでロイヤル北条は3カウントを奪われた。38分55秒の激戦。

2007年11月 7日 (水)

第250回 17年目4月 ライラ神威デビュー

17年目4月

「悪役をやらせていただきたいと考えています」
「・・・・・・・・・・・・・・」
井上霧子と今野役員は唖然とした。
北海道新得に空手の心得がある少女がいるという噂を井上霧子が聞きつけ、会いに行ってスカウトをかけたら上記の答えが返ってきた。
少女の名は島宮香織15歳。

「SPZの団体中継は毎週見ています。各選手の個性が出ていてそれなりに面白いのですが、ひとつ足りない要素があると思います」

「・・・ほう?足りない部分・・・ですか?」

「絶対的な悪役がいません」

「・・・あくやく」

「人気スターが複数いれば観客はわきますが、そのスターを引き立てるためには悪役が必要と思います」

「・・・・・」

「昔のプロレスが支持されたのは黒い呪術師とかアラビアの怪人とか凄い悪役がいっぱいいたからだと私は思います」

「・・・・・」

ここまでプロレス頭ができている採用予定者は初めてである。

「今野さん、お願いします。入団してデビューさせていただいた際は、SPZで悪役をやらせてください。今すぐはムリかもしれないと思いますが、市ヶ谷さんや北条さんを振り向かせたいと思います」

「よし、そこまで言っていただけるなら、島宮さんのやりたいようにやってみなはれ」
こうして、団体始まって以来のヒールレスラー、ライラ神威が誕生する運びとなった。

4月シリーズ「旗揚げ16周年記念バトルカデンツァ」開幕。ドーム興行が連発されるシリーズにもかかわらずSPZシングル・タッグ王者のビューティ市ヶ谷が「腰痛」のため欠場。

初戦釧路大会。ライラ神威のデビュー戦。相手は15期生の成瀬唯。初戦で戸惑ったのか、成瀬のストレッチプラムに8分38秒、ギブアップ負けとなった。

第4戦広島若草アリーナ大会、メインはあばしりタッグ選手権。ギムレット美月、キューティー金井の王者組に挑むは元王者のビーナス麗子、氷室紫月組。

―なんとかしてベルトを防衛したいな。
キューティー金井が当然挑戦者組に狙われたが、ビーナス麗子にステップキックで反撃するなど懸命のファイト。そしてギムレットにつなぐ。キューティーの奮闘にギムレットも燃えた。バックドロップ、カカト落としでビーナス麗子をカウント2.9まで追い込んだが、ここで一発逆転。

がすっ!
ビーナス麗子の「魔の右足」ハイキックが入ってしまい。、まともに食らったギムレット、前のめりにダウン。ビーナス麗子、ひっくり返してカバー。これでカウント3が入った。勝負タイム30分47秒。ビーナス麗子・氷室組が王者に返り咲いた。

第5戦九州ドーム大会。メインは例によって集客のために組んだEWA選手権、

王者ナターシャ・ハンに挑むのはスターライト相羽。元SPZ王者でネームバリュウのある相羽が「負け役」に最適だとEWAサイドが防衛戦実施を申し入れてきた。そして結果も想定どおりナターシャ・ハンの快勝。10分19秒、逆片エビ固めで相羽はあっさりギブアップ。ドームのメインにしては内容が悪すぎる。

―もうボクは、一流じゃなくなったのかもしれない。
スターライト相羽、頭を抱えながら引き上げた。

2007年11月 6日 (火)

第249回 キューティー金井がベルトを巻いた日

16年目3月。

「ファイヤーソウルシリーズ」開幕。東北地方各地を回るシリーズである。メインは連日、お嬢様軍団VSキラーマシン軍の6人タッグマッチという安直なマッチメイクが続く。そんななかでもデビュー1年を迎える期待の新人、氷室とラッキー内田は試練の試合が続く。なんとかフォクシー真帆やキューティー金井といった前座クラスには互角以上に渡り合えるようになったが、その上の中堅どころとあてるとまだまだ苦戦はまぬかれない。

第6戦宇都宮大会、メインはあばしりタッグ選手権。王者チームスターライト相羽、、ラッキー内田に挑むのは「地獄案内人」ギムレット美月と「永遠のアイドルレスラー」キューティー金井。

「ボクが・・・決める」
スターライト相羽が猛然とギムキュー(対戦相手の2人)を追い込んでゆく。スターライト相羽、本当はこのクラスの相手とこの試合をする選手ではない。最高峰のSPZ王座にまで輝いた相羽がいまさらあばしり選手権、内心では忸怩たるものがあったが、ラッキー内田育成のため黙ってタッグを組んでいる。気合のこもったキャプチュードでギムレットを追い込んでゆく。

しかし時の流れはざんこく。ギムレットのドラゴンカベルナリアで流れが変わり、グロッキー状態になったところをキューティーと二人で合体パイルドライバー。キューティーがS相羽に覆いかぶさる。
ワン、トゥ、スリー。
27分22秒、ギムキューが勝ってしまった。ベルト移動。

**********************

あばしりタッグ戦(60分1本勝負)

ギムレット美月 ○キューティー金井(27分22秒、合体パイルドライバーからの片エビ固め)スターライト相羽× ラッキー内田

第15代王者が初防衛に失敗、G美月組が16代王者となる

**********************

「みんな、やったよーーーーー!」
キューティー金井泣く。トロい、ドジ、弱いアイドルレスラーのキューティーがベルトを巻く日が来ようとは。宇都宮のファンは満場の拍手。

「おめでとーー」
控え室で菊池来島が1月31日に20歳になったばかりのキューティー金井にビールをかける。

「えぐ、えぐ、やったよー」

・・・やっぱりプロレスの神様はいるのかもしれない。素質がなくても、一生懸命やっていれば良いことがある。
井上霧子は感慨深げにビールをすすった。

第7戦幕張大会。セミファイナルは異色のカード、菊池理宇、氷室紫月組対ボンバー来島、ラッキー内田組。普段ではまず対戦しない菊池と来島がド迫力の攻防。それを懸命にサポートする新人二人。

「これで決まり」
氷室のストレッチプラムがボンバー来島を捕らえる。まさか。まさか、幕張が異様な雰囲気に包まれる。ラッキー内田のカットは菊池に阻まれた。
「うぐぐぐぐぐ・・・」
来島何とか強引に振りほどいたが、さすがにダメージが深い。そこへタッチを受けた菊池が。来島のガタイをボディスラムで転がすと、コーナー最上段からダイビングプレス。これで来島から3カウント奪取。

幕張大会メインはSPZタッグ戦、ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条に対するは芝田美紀、フレイア鏡。

お嬢様軍団「ジュエルローゼス」どうしのタイトル戦だが、いざ試合が始まるや市ヶ谷の独り舞台。出ずっぱりでも息が乱れないのが市ヶ谷のおそろしさ。芝田組が徐々に追い込まれてゆく。まずフレイアがこの激闘についていけなくなった。あとは芝田が市ヶ谷の猛攻にさらされてしまう。どうにか凌ぎ切ってフレイアにタッチしたがフレイアもダメージの色が濃い。
「北条さん、あとは任せましたわ。その獲物はあなたに差し上げますわ」
今日はほとんど出番のなかったロイヤル北条、バックドロップ。はい終了。26分26秒、王者チームが完勝。初防衛を果たした。

最終戦はさいたまドーム大会。

第1試合は成瀬唯対ターニャ・プッツ。初参戦のプッツはAACの新鋭レスラー。ドスカナが本国のスケジュールで参戦できないので代わりに派遣された。成瀬と若手同士の試合が組まれたが、エルボー、頭突きと荒々しい攻めを繰り出したプッツが勝利。

第2試合はロイヤル北条対へレン・ニールセン。タッグ王座を防衛したロイヤル北条が余裕の攻め。ヘレンも場外脇固めなどラフに出たが、ロイヤル北条危なげなく最後は必殺ロイヤルスパイク。9分20秒、完勝を収めた。

第3試合は芝田美紀、フレイア鏡対ギムレット美月、キューティー金井。さすがにこのメンツでは芝田の打撃がうなる。芝田の延髄がキューティーの頭を破壊。救援に出てきたギムレットにはきつい裏拳。最後はギムレットがハイキックを狙ってきたところを水面蹴りで切返して、そのまま押さえ込んで3カウント奪取。勝負タイム24分33秒。その試合が終わると休憩。

休憩明け第4試合は新人同士の対決。ラッキー内田対氷室紫月。氷室が手数に勝り、最後はスクラップバスターでたたきつけて3カウント奪取。勝負タイム11分23秒。結構氷室も見かけより力がある。

セミファイナルは菊池、ボンバー来島対スターライト相羽、ビーナス麗子のSPZタッグ元王者同士のタッグマッチ。菊池とビーナス麗子が熱い攻防。ビーナス麗子がハイキックなら菊池もミサイルキック。しかしスターライト相羽は動きが悪く、ズルズルとダメージを重ねるだけ。最後は来島のジャーマンがビーナス麗子の戦意を奪った。

メインイベントはSPZ戦。ビューティ市ヶ谷対ハイサスカラス。いまの市ヶ谷に勝てそうな相手が団体内にいないので、外国人選手トップにチャンスを回した。しかし力の差は歴然。終始市ヶ谷が押しまくる。ハイサスカラスもムーンサルト、ミサイルキックで見せ場は作ったがそこまでで、デスバレーボムに撃沈。22分48秒、王者が7度目の防衛に成功。

「やりましたビューティ市ヶ谷、落ち着いてハイサスカラスを下し、これで連続防衛回数を7に伸ばし、歴代3位のスイレン草薙、ハイブリッド南に並びました!かいせつの上原さん、市ヶ谷選手、ただただ強いですね」

「・・うーん、いまの市ヶ谷選手を止められる選手はよほどのラッキーが起こらない限りいないんじゃないでしょうか。」

「ありがとうございました、それではさいたまドームからこのへんで、かいせつは上原今日子さん、実況は森がお送りいたしました」

2007年11月 5日 (月)

第248回 スターライト相羽の凋落

2月シリーズ「バトルアトランティス」開幕。

2戦目の静岡大会、メインはAAC選手権、王者ハイサスカラスに挑むのはスターライト相羽。団体最高峰SPZベルトまで巻いたことのあるS相羽が「いまさら」AACのベルトへ挑戦。

AACサイドが「いまのアイバなら勝てる、元SPZトップのアイバと防衛戦をやってハク付けしたい」などと団体エゴまるだしで申し出てきた。まさにプロレス界は水に落ちた犬はたたかれる。今野役員と井上霧子は断ることも考えたが、相羽へのショック療法のつもりで受けた。

―ボク、ナメられてるのか・・・

相羽は懸命にハイサスカラスに向かっていったが、最近の相羽の力のかげりは想定以上で、フランケンシュタイナーで動きが鈍ったところを簡単に裏拳でやられてしまった。勝負タイム14分37秒、メインイベントとしての内容も悪すぎた。
ボクは・・・ボクは・・・
スターライト相羽、宿舎に戻って夕食にも出かけずひとり横になった。

スターライト相羽、落ち込んだまま翌日の三重サンシャインアリーナ大会に臨んだ。よりによって第3試合でビーナス麗子とのシングルマッチ。

なんとビーナス麗子にもズルズルと攻められてしまう。何とかタイガースープレックスで反撃したがそこまでで、
「ガンガン、いっちゃうよー!」
キャプチュード炸裂。ついに「半分アイドルレスラー」のビーナス麗子にまでシングルマッチで3カウントを許した。S相羽呆然。

凋落。

まさにこの表現がぴったり。スターライト相羽、着替え終えるとメインも見ずにひとりタクシーで宿舎へ戻った。

三重大会メインはSPZタッグタイトル戦。王者の菊池来島に挑むのはお嬢様軍団「ジュエルローゼス」のビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条。昨年11月のタッグリーグでは王者組が勝っているが、いまの王者組に勝てるとしたらこのチームくらいしか見当たらないのも確か。

ロイヤル北条が奮闘。来島のパワーさっぽうと互角以上に渡り合い、タイガードライバーで大ダメージを与える。そして有利な状況のまま市ヶ谷につなぐ。市ヶ谷も菊池に着実にダメージを与えていってデスバレーで追い込み、フィッシャーマンバスター。これを菊池返せず。勝負タイム20分9秒。

一昨年の2023年7月以来、1年7ヶ月間守ってきたタッグ王座から菊池・来島組が陥落。憮然とした表情で引き上げる王者組。

「オーホホホホホ!わたくしに勝とうなんて百万年早いですわ!」

市ヶ谷様2冠王。

「タッグベルトを獲れて嬉しいです。これに安心することなく、技を磨いていきたいと思います」ロイヤル北条もSPZタッグを巻いて笑顔でコメント。

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SPZ世界タッグ選手権(60分1本勝負)

ビューティ市ヶ谷○ ロイヤル北条(20分9秒フィッシャーマンバスターからの片エビ固め)ボンバー来島、菊池理宇×

第25代王者が12度目の防衛に失敗 市ヶ谷組が26代王者となる

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第7戦長野大会、メインはあばしりタッグ戦。王者ビーナス麗子、氷室紫月組に挑むのはスターライト相羽、ラッキー内田組。先月と同一カードのリターンマッチである。
若手同士の意地の張り合いより、ビーナス麗子とスターライト相羽のせめぎ合いが激しかった。三重大会のシングル戦で負けている相羽は後がないと感じたのか。

「ボクは、負けないーー!」
ビーナス麗子に渾身のタイガースープレックス。これで3カウントを奪った。勝負タイム28分23秒。

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あばしりタッグ選手権

S相羽○、L内田(28分23秒、タイガーSH)V麗子×、氷室紫月

第14代王者が初防衛に失敗 らきすた砲が第15代王者となる

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最終戦は本拠地に戻っての横スペ大会。

第1試合は成瀬唯対フォクシー真帆。16期生3人の台頭で影の薄くなったフォクシーと成瀬が懸命のファイト。
「もうあきらめろ」
こう言い放ってフォクシー真帆、力のこもったパワーボム。これで試合は終わった。勝負タイム10分27秒。

第2試合はギムレット美月対キューティ金井。ギムレットが落ち着いて攻めて、一歩一歩追い込む。ドラゴンスリーパーは顔を真っ赤にして耐えた金井、しかしギロチンドロップを立て続けにもらって3カウント。勝負タイム16分46秒。

第3試合はスターライト相羽、ハイサスカラス組対芝田美紀、フレイア鏡のタッグ戦。この試合はハイサスカラスがハッスルし、お嬢様軍団の2人を蹴散らして行く。相羽も懸命にフォロー。最後は延髄斬りでハイサスカラスが芝田を下した。勝負タイム28分32秒の激戦。

後半は本日の目玉、4大シングルマッチ。まずはラッキー内田対ドスカナ・リブレ。しかしドスカナも常連外人。ラッキー内田の勢いをたくみにかわしてミサイルキック。これでぐらついたのを見てブレーンバスター、ヘッドバット。ラッキー内田これで沈没。勝負タイム11分26秒。

セミ前はビーナス麗子対氷室。新人の氷室、懸命にビーナス麗子と渡り合おうとしたが、最後はビーナス麗子が格の差をみせつけるかのように、
がすっ!
ハイキック炸裂。10分47秒、これで終了。

セミファイナルは菊池理宇対ロイヤル北条。SPZ王座へ再挑戦するためにも負けられない菊池、勝って挑戦者ローテーションに入りたい北条。試合は菊池が先輩の意地を見せて徐々に優位に立ち、ハイキックで動きを止めてダイビングプレスでトドメ。勝負タイム17分36秒。

メインのSPZ戦はビューティ市ヶ谷対前王者のボンバー来島。上位選手の挑戦が一巡したのでふたたび来島にチャンスが回ってきた。
試合はごつごつとした力押し同士の消耗戦となった。来島もバックドロップや裏拳でよく粘った。しかし市ヶ谷の必殺・ビューティボムが来島の戦闘力を奪った。なんとかカウント2.9で返した来島だったがもう動けない。市ヶ谷、手早くコーナー最上段へ登ってー
ドゴォォォォン!
ミサイルキック炸裂。36分23秒の激戦を制して6度目の防衛に成功。

横浜スペシャルホールに響く市ヶ谷様の高笑い。この選手を止める者は当分出て来そうにない・・・

2007年11月 4日 (日)

第247回すべてに打ち負けそうな自分が怖かった。

16年目1月。
フレイア鏡のファンクラブ設立。アキレス腱固めで苦しむのを見てニヤリとする危ないファイトスタイルが評価された。

「新春ゴールデンバトル」開幕。

「あー、またEWAを持ってかれた・・・」
井上霧子社長代行が意気消沈。これで1月シリーズは3人しか外人を呼べない上、修行に出していたマッキー上戸が強制帰国・・・

新春第1戦新日本ドーム大会メインはSPZ戦、王者ビューティ市ヶ谷に挑むのは元王者の菊池理宇。昨年8月のSPZクライマックス公式戦で勝っている相性の良さと、トップグループを一通り当ててしまったことで菊池を挑戦者に起用した。

「まあ、いまの市ヶ谷に菊池が勝つ可能性は1%ぐらいなんじゃないの、せいぜい楽な気持ちで行ってきなよ」

吉田コーチが身もふたもない激励。

「ハイ、その1%に賭けてきます。当たって砕けてきます」

―菊池も言うようになったね。
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「オーホホホホ!菊池・・・さんなんて10分でひねり潰してさしあげますわ!」

だが、タッグ戦でもそうなのだが市ヶ谷は菊池と相性があまり良くない。捕まえようとするのだがちょこまかと動き回ってローリングソバットとかで痛打を与えてくるのでやりづらい相手である。

「これで終わり!」
菊池早めの仕掛け、ムーンサルト。市ヶ谷カウント2で返す。しかし続くミサイルキックを叩き落とされてしまった・・・

「ああっ・・」
派手にマットへ激突して苦しむ菊池。
「捕まえましたわよ、覚悟なさい!」
ビューティボム一閃。菊池はこの一発で仕留められた。勝負タイム24分35秒。市ヶ谷が5度目の防衛に成功。このまま絶対王者になってしまうのか。

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SPZ世界選手権

B市ヶ谷(24分35秒、ビューティボムからのエビ固め)菊池理宇

第43代王者が5度目の防衛に成功

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そのあとシリーズは九州地方を転戦。第7戦佐賀大会、

メインはスターライト相羽、ラッキー内田のあばしりタッグ王者にビーナス麗子、氷室紫月が挑むタイトル戦。未来ある新人同士が網走タッグのタイトルをかけて激突。

スターライト相羽とビーナス麗子が意地の張り合い。本隊同士なので戦う機会があまりないから殴りあうシーンは珍しい。しかしビーナス麗子の打撃が冴える。

ラッキー内田どうにかかいくぐって相羽にスイッチ。今度は相羽が氷室を仕留めにかかるが、相羽の動きはかなり落ちており、捉えきれない。

最後はビーナス麗子とスターライト相羽の一騎打ち状態。新人二人はエプロンにもたれて戦況を見守ることしかできなかった。

がすっ!

ビーナス麗子の鋭いジャンピングニー。これで相羽ダウン。そしてギロチンドロップ!スターライト相羽、3カウントを奪われてしまった!勝負タイム28分37秒。

「そんな、ボクが取られるなんて・・・」
負けるとしたら内田選手が捕まるパターンだろう。しかし最後は自分がとられてしまった。相羽のショックは大きかった。

1日の移動日を置いて、最終戦はやまなしカイメッセ大会。
ボクはこのまま引退しちゃうんだろうか・・・

第2試合はスターライト相羽対ギムレット美月。元SPZ王者が第2試合というのも屈辱だが、スターライト相羽、すべてに打ち負けそうな自分が怖かった。
「ボクは、そんなの、嫌だーーーっ」
「・・・!?」
怒りというか沸き起こる恐怖感をギムレットにぶつけてゆく。キャプチュードを2度切り返されたが、スターライト相羽一気に攻めてタイガースープレックスでギムレットをしとめた。勝負タイム13分11秒。

第3試合はマッキー上戸、ラッキー内田の新人コンビが初タッグ結成。ビーナス麗子、キューティー金井と対戦。のちに「ジューシーペア」とよばれる名タッグが初めて同じコーナーに立ったのだが、相手は百戦錬磨のビーナス麗子。打撃で流れをことごとく止められてしまう。最後はキューティ金井のバックドロップに内田が沈んだ。

第4試合は氷室紫月対へレン・ニールセン。16期生の中では頭ひとつ抜け出ている氷室だが相手は常連外人のヘレン。7分40秒、フロントスープレックスに力尽きた。

セミファイナルはビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条対ハイサスカラス、ドスカナ・リブレ。ビューティがフィッシャーマンバスターをドスカナに決めて完勝。

やまなし大会メインはSPZタッグ戦、今回の菊池来島に挑むのはお嬢様軍団の芝田美紀、フレイア鏡。昨年11月のSPZタッグリーグ公式戦で王者組に勝っている実績が評価された。

「同じ相手に2度続けては負けられねえぜ!」
「今日もガンガン行くよ!」
先発は菊池と芝田。菊池が先制のドロップキック。ここで芝田、フレイアにスイッチ。

―菊池・・・さん。いらっしゃい。また痛めつけてあげるわ。
フレイア鏡、グラウンドに引きずり込んで、脇固めで攻勢を仕掛ける。菊池これに嫌気がさしたのか、ボンバー来島にスイッチ。

ここで来島さんが暴れまくる。裏投げまで繰り出しアーっというまにフレイアを追い込む。ここで再び芝田登場。来島も菊池にタッチ。ひとしきり菊池と芝田がやりあった後、再び来島登場。芝田の掌底で来島流血。これで表情が変わった。

「理宇―!」
サンドイッチラリアットで芝田に仕返し。芝田たまらずフレイア鏡にスイッチ。
「そろそろ決めるゾーー!」
来島エルボー2連発。単純なようで体重が乗っているのでフレイア鏡、ぐらつく。ボンバー来島、そこを突いてバックに回ってー
ジャーマン!炸裂!ワン、トゥ、スリー!
「42分55秒、ジャーマンスープレックスホールドで菊池理宇、ボンバー来島組の勝ち」
「ヨッシャー!」リング上でハイタッチ。
この二人は組めばそうそう負けない。堂々のV11達成。

2007年11月 3日 (土)

第246回 ギムレット美月の給与明細

第246回

横浜のお嬢様プロレス団体SPZは、よりによって史上最凶のお嬢様・ビューティ市ヶ谷がチャンピオンに君臨してしまい、当初の構想からだーいぶかけ離れたものになってしまった。リプレイも筆、いやキータッチが進みません。そこで今日は予定を変更して外伝みたいなSSを1本。

SPZの給与明細。
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こんばんは、SPZのギムレット美月です。
日々猛練習に試合と、ハードなことをやっているプロレスラーですが、私たちは基本的には一般のカイシャインと同じように株式会社スーパースターズ・プロレスリング・ゼットと雇用契約を交わしています。
で、皆さんの最大の興味は私たちがいったいいくら貰っているのか・・・だと思うのですが、きょうはそれについて簡単に説明してみたいと思います。

1.入団時の契約金。
これはだいたい1,500万円が相場らしいです。6年前に私がいただいたのもこの金額です。税金でちょっと引かれてますが。でも頂いたときは中学を出たばかり、15歳でしたので、このお金は私の親がそっくりそのまま銀行に預けてくれています。

2. 基本給
これは試合に出場するしないにかかわらず、SPZに選手として所属している間は基本給として月額10万円を頂いています。私が何度か怪我で試合に出られなくなったとき、本当にブルーライト銀行への振り込み額が手取りで9万ちょっとで青ざめたことがあります。寮住まいの選手は食べるもの住むところが保証されているからいいですけど、19歳になって寮を出て一人暮らしを始めたら、ちょっとやそっとの怪我では休めなくなります。

3. 試合出場給
これは入社したとき、あの新婚ボケ親父、げふんげふん、いえ今野取締役から説明がありまして、次のような計算式で決まるらしいです。

単価×等級×出場試合数
単価は6,960円。この金額は私たちには明かされていませんが、電卓で逆算すればすぐわかります。どうも長いこと変わっていないようです。

等級。なんでも各選手の実力やら試合内容や結果を社長の井上さんやらコーチがきっちり見ていて、その結果で等級が上がったり下がったりするみたいです。私が6年前にデビューしたときは4等級で、(WAS評価360、十の位以下は四捨五入)、ワンマッチあたり27,840円頂いていました。

基本的にはSPZは月8試合行うので、台風や地震とかで興行中止にならない限り、27,840×8=222,720円。基本給の10万円とあわせて322,720円、これが私の初任給でした。手取りは25万くらいでした。

現在の私はSPZでもそこそこの立場・・ということになっていますので、等級は11等級。従いまして月間の試合出場給は、6,960円×11×8=612,480円。基本給とあわせて712,480円。怪我とかがあって、年間稼動月が10ヶ月としても、年収732万円。同じ年齢のOLよりかは実入りのいい仕事だとは思いますが、女子プロレスラーは選手生命がたいへん短いので、あながちそうとも言い切れない面もあります。

私もいつ大怪我をしてニートになるかわかりませんので、ギャラの大部分は使わずに残しています。SPZはドーム興行を連発する日本でも屈指のプロレス団体なんですが、この会社は選手のギャラを低く抑えることで利益を上げています。プロ野球の選手が億単位の年俸を手にしていますが、同じスポーツ選手でもけっこう差があるものです。もっともインディー団体の選手のように副業でバイトをしないといけなければ食べていけない・・・なんてことがない分、恵まれているのかもしれませんが。

メインイベンター、団体のエース格の選手は私よりもう少し多くもらっているようです。全盛期の吉田龍子さんは15等級でしたから、ワンマッチ10万4千円、月収93万ほどもらえていたはずです。
え?どうして人の月収まで分かってしまうかですって?3月の決算期、志願して帳簿類の整理をしたところ、ある月の選手人件費の総額を見てしまいました。あの時は13選手が8試合出場して、欠場者が2名というシリーズで、月間の人件費合計が896万4000円でした。計算式と各選手の等級はだいたいわかっているので、どの選手がだいたいいくらもらっているのかは逆算すれば簡単に分かります。

しかしあの時は大きい会場でも興行をしたので、8万人ほどの集客で、客単価4000円としても3億2000万円の興行売上があったはずです。会場費や裏方スタッフへの支払い、井上さんやコーチの人件費があったとしても、現場で懸命に戦っている自社選手への分配率は2.8%。この数字が浮かんだとき、一瞬新団体を立ち上げようか考えました。きっと横浜戸塚のSPZ本社ビル最上階には隠し部屋がついていて、カウンターバーやジャグジーがあるに違いありません。他の選手は学生時代に数学の授業で居眠りをしていたようのでそこまで考えてないみたいですが。

4. その他副収入
毎月25日にブルーライト銀行に振り込まれるお給料とは別に、グッズ販売やサイン会、映画や写真集などの芸能活動による副収入があります。

SPZフィーバー(グッズショップ)や会場で売られているSPZグッズのうち、選手個人名が入っているものは売上額の5%程度が選手に支払われます。しかし人気がないとグッズそのものが売れません。私は人気では同期の麗子さんに及びませんので、グッズの売り上げもいまいちで、3000円のギムレット美月Tシャツが年間1万枚売れれば御の字で、年間150万程度の収入が上積みされます。もっとも新人や若手のうちはグッズそのものが作られません。

あと、SPZはサイン会を重視していて、毎月かならずどこかのSPZフィーバーやショッピングセンターでサイン会をやってます。3名の選手が行って、だいたい一人当たり100万円ほど、サイン会手当が入ってきます。会社もこの手当てをうまく各選手に割り振ってはいるようなのですが、私はあまり人気がないので、年に2回ほどお呼びがかかればいいほうです。
あとは写真集や映画撮影でギャラが入ってくることがありますが、昔のようにSPZが日銭に窮していたころはともかく、SPZが大きくなってからは、写真集は原則として1人1冊だけというのが不文律ですし、映画出演は基本的にお断りしていますし、それに会社に入る金は多くても選手にはあまり入てきません。一日署長に至っては全額、会社に巻き上げられます。

以上のように、現時点のプロレスラー・ギムレット美月の年収は合計で1,000万ちょっと。上場企業の平取クラスでしょうか。でもレスラーとしても稼動年数はせいぜい9年。あの伊達遥選手でも9年8ヶ月でした。身体をボロボロに酷使することを考えると、決して割りのいい仕事ではないと思います。
引退後の第二の人生は人それぞれです。ルックスのいい渡辺智美さんは一応マルチタレントとして活躍されていますし、現役のころから大食い番組に出ていた新咲祐希子さんはそのまま大食いタレントになられています。SPZから芸能界入りしたのはこの2名だけで、あとは様々です。会社に残ってコーチやスタッフをやる人、山奥の神社にこもる人、社長と結婚しちゃった人、本当に人生いろいろです。同期の麗子さんはおそらく芸能界でも通用しますが、私はせいぜいSPZフィーバーの店長でしょう。

なんか取り留めのない話になっていましたが、入社のとき、小川さんに言われたのは、「お給料は誰からいただいていますか?私たちのお給料はお客様からいただいています。」ということでした。ギャラは会社から振り込まれますが、元はといえばお客さんがチケットを買ってくれたおかげです。ですからお客さんが、ギムレット美月のファイトを見て手を叩いてくれているうちは、リングで身体の続く限り精一杯頑張りたいと思います。

(ギムレット美月・京スポ新聞への手記 女子プロレスの舞台裏 より)

2007年11月 2日 (金)

バトンが回ってきました。

本日は番組の予定を変更いたします。

リンク先でお世話になっているN様からバトンが飛んできました。
ネタに困っているのでさくっと回答したいと思います。
SPZ社長の立場ではなくコン様の立場として書きます。
ファンタジックなシチュエイションですね。

1.目覚めた時に、10cm「小川ひかる」があなたの顔を覗き込んでいました。どうします?

「あれ、小川さん、どうして?」
びっくりする。が、あと15分でかいしゃにいかなければならないので、とりあえずお菓子類を与えて
「21時ころ戻ってきます、対応策はそのあとに話し合いましょう、と・・・」

2.10cm「小川ひかる」を、あなたは飼いますか?

不法投棄するのはいかがなものか・・・
相談の上、しばらくお世話させていただくということで、
1畳くらいのスペースを提供します。
部屋の模様替えとか大変ですが、自宅警備員としては使えるのではないでしょうか。
パソコンゲームとかがやりにくくなりますけど・・・
まあそのうち一緒にテレビ見て一緒にビール飲んで、とまあ楽しくやれるのではないでしょうか。
 
3.10cm「小川ひかる」がお腹が空いたと主張しています。あなたは何を与えますか?

まあ大した物は作れませんので、パンとかレタスとかしらす干しとかコンビーフとか味噌汁とかコーヒーとか。
トイザラス行っておままごと用食器をかわないといけませんね。
 
4.10cm「小川ひかる」がトイレに行きたがっています。どうしますか?

初日の夜に「小川小屋」を造りますよ。30cm×30cmくらいの。
レゴブロックで適当に。トイレ棟ねえ、妥当なところでは土を入れたプランターに穴を開けて
割り箸と接着剤とで内部構造を作ってベニヤ板で外枠を作りますよ。山小屋方式です。
 

5.10cm「小川ひかる」がお風呂に入りたがっています。どうしますか?

これはプラ製の弁当箱で何とかなりそうな気がします。三方をレゴブロックで囲って
ビニール製のカーテンでもつけとけばOKでしょう。 

 
6.10cm「小川ひかる」と初デート! どこに連れて行きますか?

人の多いところはちょっと危険かなと思いますので、富士山の眺めのいい朝霧高原あたりで
どうでしょうか。

7.最後の質問です。10cm「小川ひかる」が実際にいたら、あなたはどう思いますか?

最初は戸惑いますが、まあ世の中には常識で説明できないこともあるということで、
受け入れるしかないと思います。

それに1年間同居生活して好感度を上げれば普通のサイズに戻る・・・というのが
いわゆるトゥルーエンド・・・だと思います。

2007年11月 1日 (木)

第245回 スターライト相羽、山ごもり

スターライト相羽の山ごもり。(完全妄想作話)
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16年目12月、

SPZ選手会が楽しい選手会主催興行を行っていたが、SPZ9期生・スターライト相羽の姿はなかった。

ヒュウウウウウウウウウウ。
山形県朝日町・寒風吹きすさぶ草薙本山。
スターライト相羽23歳(本名:相羽明子)は雪の斜面を歩いていた。長年の猛練習で山道を登るのは平気だが、それでも寒いものは寒い。
ざく、ざく、ざく。

ゴアテックスのブーツを履いているので転ぶ心配は少ないが、冬場は一般信者ですら登拝をためらう四時間の道のりである。
目の前に石灯籠が現れる。
「十六丁目」
―はー、まだ32パーセントか。

スターライト相羽、ここのところ負け続きで、今月はSPZ絶対王者ビューティ市ヶ谷に挑んだものの完敗。それどころかお嬢様軍団の芝田美紀やロイヤル北条といったあたりにも負け始めている。

先輩は全員引退し、同期のガイア小早川も「体がついていかないんだよね」ということで辞めた。

相羽はひたすら雪の参道を歩き続けていた。
「ボクは、もう疲れた・・・できることならSPZ、辞めたい・・」

リングに上がって相羽頑張れと手を叩いてくれるファンもいれば、あっさり負けたときには心無い言葉を吐きつけるファンもいる。ここ数年、相羽がもらってしまう言葉は後者の比率が高くなっていた。疲れた相羽は「自分を見つめなおすため」に、選手会興行への出場を断って、冬の草薙本山へ山ごもりの修行に出かけた。

たまに白装束の信者とすれ違う程度、S相羽は黙々と歩き続けた。

ー日のあるうちに、たどりつかないと・・・

「ゼェ。ハァ・・・・」
そして四時間歩くと、目の前に巨大な鳥居が現れた。
「草薙本社 稲尾門」
こう書かれた看板の横に、
「ここから先は草薙神社の神域となりますので、なまぐさものを食さぬようお願いいたします」

―なまぐさものって、何だろう・・・
そのあとは除雪されていて砂利敷きの参道を進み、目の前に大きな鐘楼が現れた。そして「千国門」をくぐると、草薙神社の境内に出た。「五十丁目」の石碑がある。
―えーと、一番奥の建物かな。

門から入って左手奥に、「白敬院」と書かれた建物があった。
「あの、予約していた相羽と申しますが」
「・・・ああ、相羽さんね。よくお参り下さいました」
初老の管理人らしき人が案内する。相羽はブーツの紐を解いた。
客間らしき八畳間に案内される。部屋には石油ストーブが備え付けてあったが山の上なので相当寒い。

「宿泊料は5200円になります。あと、願い事をなさる場合は別途1000円から承ります。1000円2000円は紙のお札、3000円からは木のお札となります」

「・・・・じゃ、3000えんで」
この神社、けっこう商売ズレしているようだ。
「願い事は何になさいますか。」

―連戦連勝?王座奪還?市ヶ谷抹殺?それとも、恋人出現?
どうしようかなと考えたが、相羽はこう口にした。
「・・・商売繁盛でお願いいたします。」

相羽は合計8200円を支払った。
「それでは夕食は5時からですのでそれまでに入浴を済ませてください。で、6時からのお勤めには参加してください。」
****************
ざばー。
ステンレス製の浴槽につかった。宿泊者用の浴室で夏場はかなりの信徒が上がってくるらしく広々としていたが、いまはとにかく寒い。温まった後すぐ上がって服を着た。
午後5時、夕食が運ばれてきた。

―肉も魚もない。あ、こういう所だからか・・・

ごはん、みそ汁、人参と大根の煮たの、漬け物。夕食はそれだけであった。あとは一合ほどの「般若湯」がつく。

―うわ、えらいところに来たかもしれない。

そして午後六時、ドーンドーンという太鼓の音が響くと、宿泊者と神社のスタッフが本殿に集まる。本殿も激烈に寒いが石油ファンヒーターが1台置かれていた。相羽はその前に正座した。

かっこんかっこんかっこんかっかこん・・・
なにやら木鐸のようなのを叩く音がしてそのあと、なにやら祝詞のような文句を二人の神職が連呼する。
「むいら、ひおかろ、しじりおみこりど、おやかしわすも・・・」

―うっ、足が痺れてきた・・・
そのあと一人の巫女が仰々しく本殿最奥に額づいて緞帳を巻き上げ、ご神体を開帳する。
「題目唱和ねがいます」
そのあとその場にいた全員が
「大光、金剛、神力、晴雲」の文句をひったすら連呼する。

―これが草薙神社の修行か!
相羽ちゃん。雰囲気に押されて信者でもないのに「だいこー、こんごー・・・」と唱和。
そのあと、ゴーンと鐘を叩いた後、奥にいた巫女服姿の女性が降りてきて壇上に上がる。

―みことさん!
今日の「お勤め当番」は草薙みことだった。引退後はマスターズ戦にも各種OGイベントにも顔を出さず神社にこもっているときいてはいたが・・・
草薙みことは手にしたファイルをめくる。すっかり巫女稼業が板についてきているようだ。

「むいら、ひおかろ、しじりおみこりど・・・・えー、東京都立川市において、大川勝彦、家内安全。山形県尾花沢市において、新倉直子、無病息災、秋田県能代市において、山上和也、家内安全・・・」

どうやら全国の信徒の願い事を読み上げているようだ。(草薙神社の最大の収入源がこれらしい)読み上げが100人ほど続いた後、

「神奈川県横浜市において、相羽明子・・・っ・・・商売繁盛」
草薙みことも気づいたようだ。
そのあと再度祝詞の唱和があって、最後に巫女さんの講和。草薙みことが壇上に上がって「ありがたい講話」。

「雪の中のご参拝、ご苦労様です。今日皆様が50丁の道を歩かれたことは、いつか必ず報いとなって返ってきます。この山を開山した、辻行者の残されたお言葉に、感応という言葉があります。今の世の中、難しいこと、困ったことは先送り、後回しにしてしまうことが多いと思いますが、今を大切に修行することで、草薙の神さまは応じてくださるのです。皆様が日々、精進なさることは、決して無駄なことではなく、いつかは本人に還ってくるのです。」

これで夕方のお勤めは終わった。

「今を、大切に、か・・・」
スターライト相羽、1時間以上も正座を続けて足が痺れてしまった。その夜は宿坊に泊まった。
翌日、朝五時に叩き起こされて朝の勤行。そのあと質素な朝食。

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「・・・相羽さん。」
社務所に呼ばれて草薙とお話し。9期生のS相羽、現役時代の草薙とリング上で絡むことはあまりなかったが、練習は良く見てもらっていた。

「井上さんは・・・元気ですか?」
「ええ、OG会とかではますます暴れています」

「そうですか・・・飲みすぎてないか心配ですが。あと・・今野さんは・・・」
「・・・小川さんと結婚して、新婚デレデレっぽいです。」
SPZで一世を風靡した草薙みこと、引退後は草薙神社にこもりきりで、元パートナーの小川ひかると手紙のやり取りをする程度。

「相羽さんも・・あと1・2年で身体が動かなくなってくると思います。それまで、悔いのないように精一杯、レスラー生活を・・・送ってください」
「・・・はい、頑張ります。」
スターライト相羽、雪の降りしきる山道を4時間かけて下った。

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