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2008年1月31日 (木)

第321回 SPZ選手権 ラッキー内田VS氷室紫月

19年目2月

晴れてSPZ新王者となったラッキー内田、最初のシリーズが2月の「ハイパーバトル2028」である。初戦山口大会、新王者のラッキー内田はメインイベントの6人タッグに登場し、マッキー上戸、武藤めぐみと組んでビューティ市ヶ谷、芝田美紀、ロイヤル北条のジュエルローゼスと対戦。

「覚悟なさい!」
後輩にベルトを持ってかれた市ヶ谷がハッスル。マッキー上戸をエルボーでなぎ倒し、代わって出てきた武藤にはラリアット、そしてデスバレー。武藤をあっという間に追い込む。

そしてロイヤル北条、芝田もまだまだ下の世代には負けんと熱いファイトを展開。世代闘争マッチは長引いた。そしてロイヤル北条が手ごわい。恐怖のロイヤルスパイクがジューシーペアの2人を立て続けに突き刺す。ここで市ヶ谷様登場。ニーリフトでカウント2.9まで追い込まれた内田だったが、なんとか返し、マッキー上戸にタッチ。

しかし芝田がここでダイヤモンドキック。代わったロイヤル北条もこの日3発目のロイヤルスパイクをたたきき込む。マッキー上戸、半失神状態に追い込まれたが、これは武藤のカットに救われた。

最後は6人が入り乱れる攻防の中、武藤が芝田を捕らえて、ノーザンライトスープレックス!これでカウント3奪取。

「はぁ、はぁ、・・・・まだよ!もっと強くならないと!」

地方大会のメインながら38分57秒の激闘。しばらく6人はリング上に転がっていた。

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第4戦富山大会メインはあばしりタッグ戦。成瀬唯、フォクシー真帆のコンビが登場。今回の挑戦者は「キックの鬼」デイジー・クライと「弱気のネタ外人」ジーナ・デュラム。だが今回はデイジーの蹴りが猛威。ニーリフト、ハイキックでまず成瀬が脱落。孤立したフォクシー真帆にも猛攻。DDTでぐらつかせて、伝家の宝刀ハリケーンラッシュ。蹴り乱打を食らったフォクシーがのされてしまった。25分6秒、王座移動。

「ABASHIRI・・タッグベルト?」

*********************

第7戦神戸大会メインはSPZタッグ戦。王者ロイヤル北条、芝田美紀に挑むのは前王者のジューシーペア。ラッキー内田にSPZ王者の風格が出てきたのか、ジュエルローゼス相手でも優位に試合を進める。ならばとロイヤル北条もヘッドバットなどラフに転じるが、逆にラッキー内田に捕らえられコブラツイストを延々かけられてしまう。ここで弱ったロイヤル北条を捉えて・・・

「マッキー!」
「おうよー!」
合体パワーボム炸裂。29分2秒、これでカウント3が入った。これでジューシーペアがベルトを奪還。なんとラッキー内田は2冠王。

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SPZタッグ選手権(60分1本勝負)

○ラッキー内田、マッキー上戸(29分2秒、合体パワーボムからのエビ固め)ロイヤル北条×、芝田美紀

R北条組が2度目の防衛に失敗、ジューシーペアが第32代王者となる

________________________
最終戦は横スペ大会。会場入り口には下記の大看板が。

「SPZ世界選手権 ラッキー内田 VS 氷室紫月」

第1試合は野村つばさ対ジーナ・デュラム。
「いやーーッ!」
会場の男性ファンの感性を味方につけた?ジーナが悲鳴を上げながら放ったニーリフトが入ってしまって、野村からカウント3奪取。勝負タイム8分4秒。

第2試合はノエル白石対キューティー金井。アイドルレスラーのキューティーも団体最古参となり、新人のノエル白石相手に投げ技を軽やかに決めてゆく。しかしー
「もう終わりにするの」
ノエル白石のSTOが思ったより効いたのか、動きがガクッと落ちるキューティー、しかし・・
「これでどぉだぁ!」
必殺バックドロップ炸裂。これでノエル白石からカウント3.16分16秒の激闘だった。

第3試合は「悪党」ライラ神威 対 「キックの鬼」デイジー・クライ。今年最初の横スペ登場に気合が入ったのか、ガトリング砲を乱射しながら登場したライラだったが、デイジーが蹴りを的確に決めて優位に試合を進め、最後はネックブリーカーでカウント3を奪った。勝負タイム12分42秒。その試合が終わると休憩。

************************

休憩明けの第4試合はフレイア鏡・ロイヤル北条・芝田美紀の「ジュエルローゼス」登場。やはりこの3人がリングに並ぶと壮観。

対するはフォクシー真帆、成瀬唯、マッキー上戸の寄せ集め?トリオ。試合は6人タッグマッチらしいバタバタした攻防が続いた。しかし最後はマッキー上戸のパワーが大爆発。ロイヤル北条をスプラッシュマウンテンで半失神に追い込んで、合体パワーボムで3カウント奪取。勝負タイム18分5秒。
「やっぱアタシってば最強ッ!」

セミファイナルはビューティ市ヶ谷対武藤めぐみ。SPZベルトをラッキー内田に奪われ失意の市ヶ谷に対するは武藤めぐみ。しかしこの日の市ヶ谷は強かった。イッキの攻めで武藤を撃沈。8分13秒、フィッシャーマンバスターで一蹴した。

メインイベントはSPZ戦。新王者ラッキー内田、初防衛戦の相手は同期の氷室紫月。ファイトスタイルが似ているのでレスリングの真髄が見られるカードで、固定ファンの多い横スペだからあえてこういう地味なカードをメインのタイトル戦に持ってきた。しばらくはグラウンドレスリングの地味な攻防が続く。選手会興行のバトルロイヤルで周囲そっちのけで2人きりの世界を20分も作ったのは語り草になっている。満員のファンもじっと見入る。

「ううっ・・・」

氷室のねちっこい攻めに苦しむラッキー。逆片エビで反撃するも氷室はロープ近くで闘い決定的チャンスを作らせない。そしてワンチャンスを先にものにしたのは氷室。

「これで決まり。」

リング中央でのもみ合いを制して、さっと組み付いてドラゴンスリーパー。ラッキー内田の身体からすうっと力が抜けてゆく。

―ダメ、防衛・・しなきゃ・・・

しかしどうあがいてもドラゴンスリーパーから抜けられない。しばらく耐えた内田だったが、ついに諦め、ギブアップの言葉を吐いた。勝負タイム27分19秒、氷室がSPZ第54台王者に輝いた。

「良かった・・・」
氷室の腰にベルトが巻かれる。16期生の氷室もこれで女王の座に輝いた。

ラッキー内田はパートナーのマッキー上戸の肩を借りて控室へ戻った。悔しさをこらえて「氷室さんは・・・ああいう勝ち方を狙ってたと思う。それに気づかなかった私のミス。」とコメントした。
__________________________

SPZ世界選手権(60分1本勝負)

氷室紫月(27分19秒、ドラゴンスリーパー)ラッキー内田

第53代王者が初防衛に失敗、氷室が54代王者となる

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2008年1月30日 (水)

第320回 ギムレット美月の「それから」

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記

輝くエッセンシャル 外伝

それから (1)

2027年1月6日、埼玉県熊谷の体育館。独立系のプロレス団体、「さいたまソウルプロレス」の興行が行われる。昨年8月までSPZの人気選手・ギムレット美月だった八重樫美月は愛車を駆って、午後4時会場入り。

「どうも、今日はよろしくお願いいたします」

プロモーター兼エースレスラーのアポカリプス矢野に挨拶。この団体はハードコア系の団体だが、女子プロレスありルチャありの面白ければ何でもいいというバラエティに富んだ団体である。

控室に入り、新しいコスチュームに着替える。黒いタイツと黒いカッターシャツ。いちおう「暗黒の殺し屋」というギミック。

午後5時30分、開場。客席は6割くらい埋まった。彼女の出番は第1試合30分1本勝負。
入念にストレッチをして試合開始を待つ。そして第1試合開始。

場内に流れる「oblivion」
知っているファンからはオオーの歓声。

―今日から、新しい私。
ギムレット美月、いや、ジ・オブリビオンは控室のドアを開けた。花道を歩いてリングへ。

対戦相手はさいたまソウル女子部の若手レスラー、ミラクルひばり。キャリアは1年程度。下調べはしておいたがあまり心配はないと判断していた。

「赤コーナー、ジ・オブリビオン~!」
オブリビオンは一礼した。そのあとゴング。

「たー、たー、たーっ!」
ミラクルひばりがオーバーアクションのナックルで殴りかかってくる。適当に受けてから、オブリビオンは持ち前のグラウンドレスリング地獄に持ち込む。

だん。
足を引っ掛けて転ばせ、上に乗って腕関節を取る。

「いた、いたたたっ・・・」
オブリビオン、本気では決めずいたぶる戦法を取ったが、ミラクルひばりは防御が甘く、関節を決められまくって悲鳴をあげるだけだった。ギムレット美月が得意としていたグラウンドテクニックに場内のファンは息を呑んで見入った。

そのまま5分が経過。

「Die!」
オブリビオンが一言呟いて、上に乗って右腕をミラクルひばりのノド元に押し当てた。ギロチンチョークと呼ばれる総合格闘技ではおなじみの技だ。場内歓声と悲鳴。

「ううううう・・・」
悲鳴をあげるミラクルひばり。

「反則だッ!1,2,3,4」
レフェリーの菅原きよし(元レスラー)が反則カウントを取る。オブリビオン、カウント4でギロチンチョークを離し、レフェリーにハイ離しましたよとアピールしてからまたギロチンチョーク。

「反則だっ!1,2,3,4」
反則カウントとギロチンチョークが3回繰り返された。場内笑い。

「うう・・ゴホッ、ゴホッ・・・」

大ダメージを食らったミラクルひばり、もがき苦しむ。ニュートラルコーナーに立って起き上がるのを待つオブリビオン。

「ユーアー、ノット、マイマッチ、ダイ」
(和訳:おまえなんか目じゃない、シネ)

ぼそりとつぶやいてから、オブリビオン、走りこんでラリアットを狙った。ギムレットのときは使っていなかった技。

しかしそのとき、
「ミラクル・マジック!」
会場の照明が消えた。まっくら。

「なっ・・・」
戸惑うオブリビオン。数秒後に照明が再点灯したが、そのときミラクルひばりの手には巨大な金だらいが装備されていた。

「ちょ、ちょっと・・・」

がん、がん、がん、がん!

ミラクルひばり、金だらいでオブリビオンを殴打。館内に響く金属音。ファンは爆笑した。

「はう・・・っ」
わざとらしく頭を抱えてうずくまるオブリビオン。

「チャンス到来っ」
すばやく組み付いてDDT、あまりスピードがなくただ首をつかんで倒れこんだだけだが、その前に頭にダメージを負っているので効果的といえば効果的。

ミラクルひばり、そのまま押さえ込む。
「ワン、トゥ、スリー。」
菅原レフェリーがマットを3つ叩く。
オブリビオンのデビュー戦は敗北に終わった。

「8分3秒、DDTからの体固めでミラクルひばりの勝ち」

観客にアピールしながらミラクルひばりが引き揚げる間、オブリビオンは頭を押さえて転がっていた。これは勝者に対する礼儀。

―これも、プロレス・・・
たらい攻撃は痛かったが、ボンバー来島のナパームラリアットに比べたらへでもない。最後のDDTにいたっては論外。でも彼女は負けた。そのほうが客席が沸くから。

そのあとフラフラと起き上がったオブリビオン、
「ガデーム」
腹いせに菅原レフェリーを右ストレートでぶん殴ってから引き揚げた。このあたりはヒールの常套手段。

控室に引揚げ、ミラクルひばりに「グッドジョブ」と声をかけてから、手早くスーツに着替えた。そのまま花道奥から試合を観戦。こうして他人のムーブをインプットしていく。ギムレット美月の頃からの習慣だ。

休憩時間、オブリビオンはグッズ販売コーナーに立ち、自分のグッズ(オブリビオンTシャツ2000円)と、先輩で友人のタレント:渡辺智美から預かったニューシングル「あばしりブルース」(1000円)を並べた。勝っていただいた人にはサイン入り色紙をプレゼント。SPZに所属していた頃と違って、もう自分で稼がないといけないので何でもやる。

「ギムレット美月・・・さんですか?」

Tシャツを買った若い男性ファンが

「ふふ、ギムレット美月は終わりました。いまはオブリビオンです。ただ中の人は一緒です」

「・・・そうですか、これからも頑張ってください」

けっきょくTシャツは12枚、CDは5枚売れた。後半の試合、メインイベントの凶器デスマッチまで見てから、会場を後にした。

「お疲れ様、ナイスファイト、また来週も船橋でやるから来てよ」

プロモーターのアポカリプス矢野、メインで流血戦をやったあとで息も上がっていたが、売上金の中から5万円を美月にファイトマネーとして渡した。

「ではどうも、ありがとうございました」
こうしてオブリビオン(八重樫美月)は、ギャラ5万円とグッズ売上げ2万9千円を持って、

愛車に乗り込んで東京府中の自宅へ戻った。
SPZから撤退したギムレット美月は、籍は東京エクストリームプロレスに置いたが、フリー選手としてオファーがあればどこへでも参戦すると表明していた。新リングネームは考えるのがメンドウなので、自分のテーマ曲から取って、闇の殺し屋のギミックをつけた。今日がその初陣、売り上げ7万9千円。

―2,3年この立場で頑張って、いい物件を探して自分のプロレス会場を持ちたいですね。

美月はパソコンに売上額と必要経費を入力すると、遅い夕食の支度にかかった。

2008年1月29日 (火)

SPZスター選手列伝 024 ボンバー来島

SPZスター選手列伝 24

従業員コード:023 SPZ11期生

殺人ダンプカー ボンバー来島

本名:来島智代、2003年8月13日、福岡県北九州市出身。大柄な体格とパワーを見込まれ、SPZにスカウトされ2019年4月16日、釧路アリーナ大会でのガイア小早川戦でデビュー。

ファイトスタイルは馬力に頼る荒削りな面もあるが、上原今日子コーチの指導でめきめきと実力をつけ、体全体で打ち抜くナパームラリアットを習得。同期の菊池理宇とのタッグであばしりタッグ王者、そしてSPZタッグ王者に輝き、シングルマッチでもその圧倒的なパワーを武器にSPZ世界王者に3度輝く。得意技はヘッドバット、ナパームラリアット。

2027年9月24日、さいたまドーム大会でのライラ神威戦で引退。稼動月数102ヶ月、出場試合数(概算)728試合。

タイトル歴

第39代・第42代・第46代SPZ世界王者

第22代・第25代SPZ世界タッグ王者(パートナーは菊池理宇)

第29代SPZ世界タッグ王者(パートナーは武藤めぐみ)

初代あばしりタッグ王者(パートナーは菊池理宇)

第15回SPZクライマックス優勝

第13回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは吉田龍子)

第17回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは菊池理宇)

写真集 1冊

今野役員コメント:パワーだけならSPZの中でも最強の部類だった。あのガタイでジャーマンやパワーボムをやられると交通事故級の破壊力で、体重をまるごと乗せるナパームラリアットを習得してからは対戦相手が真正面から当たってこなくなった。強いときは化け物と思われるくらい強かったが、反面攻め込まれたときはコロッと負けることもあるマッチメーカー泣かせの選手だった。

先輩のスイレン草薙の壁をなかなか越えられず、やっと壁を壊して来島さん時代到来と思いきや、あっさり市ヶ谷に追い抜かれてトップの座を明け渡した。以後はSPZの重鎮として、武藤めぐみのコーチ役として活躍していただいた。引退試合のライラ神威戦は殺伐かつエキサイティングな試合だった。史上もっともファンの興奮度が高かった引退試合だったと思う。

2008年1月28日 (月)

SPZスター選手列伝 023 ギムレット美月

SPZスター選手列伝23

従業員コード:022

バトルコンピューター  ギムレット美月

本名:八重樫美月、2002年5月26日、岐阜県垂井町出身。SPZ10期生としてスカウトされ、2018年4月15日、札幌キターアリーナ大会の小川ひかる戦でデビュー。冷静沈着な性格で、レスリングセンスを生かしたグラウンド技を武器に活躍。ガイア小早川と組んであばしりタッグ王座を獲得。また、AAC最強のハイサスカラスを破りAAC世界王座も奪取。得意技はドラゴンカベルナリア。

2027年8月15日、横浜スペシャルホールでのキューティー金井戦でSPZマットから撤退。稼動月数113ヶ月、出場試合数(概算)808試合

タイトル歴

AAC世界選手権

第2代・4代・7代あばしりタッグ王者(パートナーはガイア小早川)

第11代・第21代あばしりタッグ王者(パートナーはビーナス麗子)

第16代あばしりタッグ王者(パートナーはキューティー金井)

写真集1冊

今野役員コメント:玄人好みのレスリングを展開する地味な選手だったが、小川ひかるのファイトスタイルを受け継いでいたためか、人気はかなりのものがあった。頭の良さはSPZ随一で、勝利の方程式を事前に立てて試合ではそれを着実に実行するスタイル。ハイサスカラス戦でわざと前半ふがいない戦いをして油断させたところをドラゴンカベルナリアで勝ってしまう芸当もできた名選手だった。

SPZでのキャリアは9年以上にも及んだ息の長い選手で、同期のビーナス麗子が引退してからもリングに上がり続けたが、試合中のアクシデントで骨折、入院となってしまい、さすがにこれ以上ついていけないと判断したのか、SPZマットを離れた。いまはリングネームを変え、フリーの選手として独立系団体を渡り歩いて、SPZで培った技術を若手レスラー相手に伝承している。

2008年1月27日 (日)

SPZスター選手列伝 022 ビーナス麗子

SPZスター選手列伝22

従業員コード:021

「アイドルシューター」 ビーナス麗子

本名:愛野麗子、2002年10月12日、広島県広島市出身。SPZ10期生新人テストに合格し、2018年4月15日の札幌キターアリーナ大会でのガイア小早川戦で白星デビュー。打撃技の威力はなかなかのもので、時に大物食いをしてしまうことも。スターライト相羽のパートナーとなりSPZタッグ王者にも輝く。得意技はハイキック。2026年12月20日さいたまドーム大会での武藤めぐみ戦で引退。稼動月数105ヶ月、出場試合数(推定)736試合。

タイトル歴

AAC世界選手権

第23代SPZタッグ王者(パートナーはスターライト相羽)

第11代・第21代あばしりタッグ王者(パートナーはギムレット美月)

第14代・第19代あばしりタッグ王者(パートナーは氷室紫月)

写真集2冊

今野役員コメント:かわいい名選手だった。ルックス重視で採用したのだが、SPZのハードな練習にもついて行って、デビュー戦を白星で飾るという離れ業をやってのけた。(SPZの長い歴史でも南利美、草薙みこと、新咲祐希子しかいない)

華奢な身体だが打撃はけっこう強烈で、必殺技のハイキックは伊達遥のSPZキック並みの破壊力があった。SPZ本隊でメインやセミの6人タッグにもちょくちょく顔を出し、きっちり存在感を出していた。引退後はタレントに転身し、バラエティーやドラマにそこそこ出演しているらしい。

2008年1月26日 (土)

SPZスター選手の入場テーマ曲の妄想(2)

あまりの寒さにリプレイを書き進める気が起こりませんので、今日も適当にお茶を濁します。

(市ヶ谷政権が崩れてひと区切り・・・っているのはあると思いますが)

*********************

1.SPZに伝わる鍋

寒い冬場はやっぱり鍋。多くのプロレス団体はちゃんこ鍋の秘伝メニューを持っているが、SPZにもそういったものは存在する。

「タラのお上品鍋」

2009年の旗揚げ当初、道場で当時の今野社長が振舞って、一期生に「これ微妙」「あまりおいしくないわね」「いやおいしいですよ」と賛否両論あった鍋。作り方はいたって簡単。「料理は適当」が信条ですから。

材料:(2-3人前)

タラの切り身 3-4切れ

白菜4分の1 ネギ1本 豆腐1丁 つゆの素、しょうゆ 柚子こしょう(フンドーキン推奨)

1.鍋に湯を沸かす

2.タラを適当に切って放り込む

3.豆腐を適当に切って放り込む

4.白菜を適当に切って放り込む

5.ぐつぐつしてきたら、めんつゆを適当に入れる。しょっぱさは醤油で調整。

6.そのあとネギを適当に切って入れてひと煮立ち。最後に柚子こしょうをスプーン1さじほど入れてかき回す。柚子こしょうは大分県臼杵のフンドーキン製がベスト。

タラの上品な香りが食欲をそそります。淡白さにゆず胡椒が効いていてべりグー。

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2.今後のリプレイ予告編?

19年目1月、SPZを長らく支配していたビューティ市ヶ谷がついにSPZ王座から陥落し、16期生のラッキー内田が新王者に輝いた・・・

「とりあえずうれしいですけど、これからが大変です・・・」

16期生の中で一番練習熱心で、毎月のように特訓を志願していたラッキー内田、得意の関節技意外にも打撃技、投げ技、飛び技を練習しプロレスの幅を広げ、ついにその努力が実り栄冠を勝ち取った。やはり日ごろの練習が一番大事ということか。

今野役員の喜びようは半端ではなかった。ここ数年のお嬢様軍団「ジュエルローゼス」全盛は今野役員的にはあまりおもしろくなかったらしい。

「はははは、やっとまともな正統派ヒロインがトップに立った。これからバシバシ儲けまっせー、まずは記念Tシャツの発売だ、がははははは」

しかしこれからのSPZはまさに戦国時代。このまま引き下がる市ヶ谷様ではないだろうし、16期の氷室紫月、マッキー上戸も実力では同程度なのでタイトル戦線に割って入ってくるだろう。そして17期生は何をしでかすか分からないド悪党ライラ神威、18期生には天才姫武藤めぐみが先月芝田を破って、トップ戦線殴り込みをかけてきた・・・

*****************************

3.昨日勢いで書いた入場テーマ曲の妄想

《SPZ11-15期生》

殺人ラリアット ボンバー来島:「エクリプス」(イングヴェイ・マルムスティーン)

田上明選手(現ノア)の入場テーマ曲として知られています。疾走感あるギターサウンドがたまりません。

F1プロレス 菊池理宇:「THROUGH THE FIRE」(ラリー・グリーン)

トップガンサントラから、炎を抜けてといった曲の監事が菊池選手のイメージにあっていると思ったので。

スーパーお嬢様 芝田美紀:「セプテンバー」(アース・ウインド&ファイアー)

やはりスーパーお嬢様ということでディスコ音楽の有名どころから。

アイドルレスラー キューティー金井:「げっちゅきっちゅsummer」(佐藤裕美)

美少女ゲーム音楽の歌姫として有名な佐藤裕美さんの歌から持ってきました。アイドルレスラーですから。

世界最強の暴走お嬢様 ビューティ市ヶ谷:「トッカータとフーガ BWV565」(J・S・バッハ)

衝撃的な曲を持って来ようと15分ほど考え、パイプオルガンの響きがあまりにも有名でCMにも多数使用されている「トッカータとフーガ」を選んでみました。SPZの17-20年目のセミかメインにはこの曲が毎試合流れていたというのも恐ろしいことです。クラシックの廉価版で割合あっさり手に入ります。

お嬢様特急 ロイヤル北条:「Jive into The Night」(グリーン・オリーブス)

市ヶ谷以外のJRはディスコ系で固めてしまえということで、「DISCO FINE」の中で記憶に残っていたグリーン・オリーブスから選びました。「カモン ジャイブ ジャイブ ジャイブ」の繰り返しが印象的です。R北条のちょっと高貴な雰囲気に合っているのではないかと思います。

妖しのお嬢様 フレイア鏡:「リライト・マイ・ファイヤー」(ダン・ハートマン)

「ベスト・オブ・ディスコ・ナイツ」から気に入っていたので、フレイア鏡の入場時にかけています。

野生少女 フォクシー真帆:「ウイリアムテル序曲」(ロッシーニ)

クラシックの名曲としてあまりにも有名です。ストーカー市川選手(ドラゴンゲート)の入場テーマとしても使われています。やはり前座戦線では万人が知っている曲のほうが反応が良いかと・・・

ナニワファイター 成瀬 唯:「ミオクルカラ」(C.G mix)

個性派脇役として前座戦線を盛り上げる成瀬唯。秋山美姫選手のような不屈のヒロイン系かな・・と思いまして、I’ve soundから。

運命戦士 氷室紫月:「ウォンテッド」(ザ・ドゥーリーズ)

1979年に出たディスコサウンドから、力強い歌声と決然としたメロディーが氷室さんの内なる闘志に近いかな・・と思って、氷室さんの入場時に流しています。

ラッキーキャプチャー ラッキー内田:「ラッキー・ラブ」(カイリー・ミノーグ)

やはりDISCO FIINEから、ラッキーつながりで割合すんなり決まりました。♪あいしゅびそらっき、らーっきらっきらっき~、あーいしゅびそらっきーらー

炎の戦士 マッキー上戸:「Cheer up full throttle!」(パソコンゲームサントラ)

2007年に戯画から出たパソコンゲーム「チアフル」のサントラから。武富士のCMっぽいダンス音楽系です。ゲームそのものは1週間で終わりましたがこの曲は印象に残ります。

悪役ファイター ライラ神威:「COLLECTIVE」 (KOTOKO)

悪役、血の海、ということでこの曲が真っ先に念頭に浮かびました。暴君ライラ様のお通りだー、みたいなイメージにぴったりだと思います。歌詞もけっこうどぎついので。KOTOKOさんの歌の中ではベスト5に入る名曲だと思います。

リングのひまわり 野村つばさ:「ほほえみのヴァネッサ」(クレイダーマン)

やはりかわいらしさということを考えると、クレイダーマンのピアノ曲から選ぶということになります。作曲者(名前忘れた)が自分の娘をイメージして作った曲との事。

天才姫 武藤めぐみ:「アメジスト」(KOTOKO)

「孤高の天才姫」ということでどことなくもの悲しさがあってかつ力強い曲・・・となるとKOTOKOさんですねえ。遥かな旅を終えた、川の水のように・・・という歌詞が気に入ってます。エロゲソングなんですが・・・

不思議系戦士 ノエル白石:「ラジオスターの悲劇」(バグルズ)

「ふわふわ」と「あわあわ」つながりではありませんが、この選手は将来大成すると思ったので、80年代サウンドとしてあまりにも有名なバグルズの名曲を入場テーマ曲に使っています。最近でもサントリー「アワーズ」のCMに使われました。個人的には間奏のドラムの音が好きです。

下記3曲は今適当に考え付きました。

SPZクライマックス入場式のテーマ:

ブランデンブルグ協奏曲 第5番第1楽章 BMV1050(J.S.バッハ)

SPZ真夏の祭典入場式のテーマということでバッハの弦楽合奏曲の中であまりにも有名でCMにも多く使われている曲がかかる・・・という設定です。

SPZタッグリーグ戦入場式のテーマ:

2つのヴァイオリンのための協奏曲 第1楽章Vivace BMV1043(J.S.バッハ)

やはりタッグの祭典ということで、入場式テーマはバッハのドッペルコンチェルトが相当だと思います。「オリンピア」に負けないくらいいい曲だと思います。

時間切れ引き分けのテーマ: 「LADI DI」 (リチャード・クレイダーマン)

SPZでも滅多にかからないのですが、30分フルタイムドローになったときのテーマ曲もいちおうあります。長い間よく闘ったといった賛辞の意味をこめて・・・

2008年1月25日 (金)

SPZスター選手の入場テーマ曲の妄想(1)

よくドームクラスの興行で全試合リプレイをやる際に、あえて入場シーン妄想のために試合前にテレビの音を消して、「入場テーマ曲」をCDまたはパソコンで流して、頭の中で入場シーンを妄想してから試合に臨む(といっても見守るだけですが)なんてことをやります。日本人同士の対決の場合は勝った選手のテーマ曲を流す。このやり方でWASを5倍は楽しめます。

私が今回のリプレイで勝手に「入場テーマ曲」に認定しているのは下記の通りであります。

《SPZ1期生》

関節のヴィーナス 南利美:「SPEED TK Remix」(映画サントラ)

(ハイブリッド南も同じ)

 いわずと知れた桜庭とジョニー・スミスのテーマ曲です。やはり関節技使いでしたらこれでしょう。ゲーム内でも良く似た曲が入場テーマになっています。

不屈の大和撫子 保科優希:「ボレロ」(ラヴェル)

第1試合にかけるとしたら誰もが知っているこの曲ですね。

万能ファイター 秋山美姫:「DETECT」(C.G mix)

I'veサウンドの中から、気に入っていたので秋山さんの入場のときにかけてました。

SPZの闘うヒロイン 小川ひかる:「マイティ・ウイング」(チープ・トリック)

トップガン・サントラの2曲目、「デンジャーゾーン」が欲しくて買った際に2曲目のマイティ・ウイングに心惹かれました。最愛のレスラーはこの曲で入場させてます。

《SPZ2-5期生》

ファイヤーソウル 富沢レイ:「Moon Revenge」(アニメ映画サントラ)

元ネタから言ってこれでしょう。セラムンの歌の中では一番好きです。映画版セーラームーンRの主題歌。

マットの覇者 上原今日子:「disintegration」(Lia)

I've soundの英語歌詞曲から。かっこいい曲調なので、上原さんの入場シーンでかけていました。

規格外ファイター 永沢舞:「Change my style」(KOTOKO)

限りなく明るい曲といったら電波ソングに勝るものはありません。

王者の魂 吉田龍子:「Red Fraction」(MELL)

I’ve soundの英語歌詞曲から、攻撃的なサウンドと荒っぽい歌詞がたまりません。

リングの元気娘 渡辺智美:「第一級恋愛罪」(バナナラマ)

やはり歌って踊れるレスラーとなると、ディスコサウンドでしょう。DISCO FINEのCDの中からお気に入りのナンバーを。今でもこの曲をかけるたびにども、どもと手を振る渡辺さんの顔が見えてきます。

《SPZ6-10期生》

格闘クイーン 新咲祐希子:「G・T・O」(シニータ)

やはりDISCO FINEから、冒頭のエンジン音がたまりません。

突貫少女 マイトス香澄:「恋はピンポン」(リチャード・クレイダーマン)

クレイダーマンはピアノ曲で有名ですが、この曲はシンセで演奏されています。軽快なサウンドが香澄さんの雰囲気にマッチしていると思います。

リングの新風 ガイア小早川「sky was g-ray」(C.G mix)

小柄な選手なんですけど1本筋が通っている勝気な選手ということで、I'veサウンドの中でも哀調を漂わせる曲を使っていました。

ヤングライオネス スターライト相羽「スターライトシンフォニー」(KOTOKO)

「スターライト」のつく曲の枠内で選んでこうなりました。

バトルコンピューター ギムレット美月:「oblivion」(KOTOKO)

「私立ナントカ女学院」の主題歌ですが、哀調を漂わせていて、かつ機械質なサウンドが好きなので、思い入れの強いG美月さんの入場テーマにしてしまいました。

ザ・エンジェル ビーナス麗子:「together forever」(リック・アストリー)

限りなく明るいディスコ音楽。冒頭のぱぱぱぱぱー、ぱぱぱぱぱーがよく似合う選手だと思います。「DISCO FINE」の1曲目に収録されています。

(打っているうちに午前3時を回りました。こういうWASの楽しみ方もあります。ただの妄想かもしれませんが・・・明日も仕事なので続きは次回・・・)

2008年1月24日 (木)

第319.5回 追われる立場

(今日は忙しいので、適当にお茶を濁します)

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19年目1月新日本ドーム大会の試合後、控室で

「おめでとーーー!」

成瀬唯選手会長の音頭で恒例のタイトル奪取セレモニー。本隊の選手が集まって、乾杯。

ビューティ市ヶ谷を破ってSPZ新王者となったラッキー内田の頭からミネラルウォーターがかけられる。かけているのはタッグパートナーのマッキー上戸。

「ひー、つめたっ・・・」

SPZもコンプライアンス上、ラッキー内田(19)のビールかけは致しかねた。もっとも団体最高峰のベルトを未成年で獲ってしまうというのもたいしたものである。

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翌日から取材攻勢が凄かった。人気と実力を兼ね備えた若手レスラー、ラッキー内田がついに団体の頂点へ。しかもあのビューティ市ヶ谷を破っての戴冠。「あばしり」でまる一日、マスコミ記者の応対に追われた・・・

「とりあえず嬉しいです、けど、これからが大変です・・・」

あの市ヶ谷様がこのまま黙っているはずがない。JRの4人総出でラッキー内田をぶっ潰しにかかってくることだろう。市ヶ谷のパートナー、ロイヤル北条もベルトを狙っているだろう。

同期の16期生も大変。氷室紫月も虎視眈々とSPZベルトを狙っている。16期生の出世争いで逆転されてしまい、氷室も内心穏やかではないはずだ。

パートナーのマッキー上戸もチャンスがあれば狙ってくるだろう。ツボにはまったときの実力は計り知れないものがある。

後輩もガンガン力をつけてきている。18期生の武藤めぐみは芝田を破ってトップ争いに殴り込みをかけてきて、17期生のライラ神威も何をしてくるか分からない恐ろしさがある。こうしてみるとSPZ、周りはすべて敵だらけ・・・

そして翌週プレスリリース。2月シリーズ最終戦横スペ大会、新王者ラッキー内田、初防衛戦の相手は16期生の氷室紫月。氷と氷の対決。なまじ手が合うだけに激闘が予想される・・・

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筆者より近況

今27年目4月までプレイしたところです。武藤めぐみ、ライラ神威が引退してスター選手が減ってタイヘンよ、もう・・・

27期生でマイティ祐希子採用。次期エース決定か。

2008年1月23日 (水)

第319回 I should be so Lucky

19年目1月

第7戦新潟大会、メインはSPZタッグ選手権が組まれた。芝田美紀、ロイヤル北条対氷室紫月、武藤めぐみ組。
芝田が氷室のサソリ固めに延々つかまってしまうが、なんとか振り切って北条にスイッチ。しかしロイヤル北条も合体パワーボムで氷室を追い込む。最後は武藤とロイヤル北条の局面。
武藤がムーンサルトで勝負に出たが芝田がカット。

「もう遊びの時間は終わりだ!」
ロイヤル北条、「スパイク」を繰り出して流れを変え、そしてパートナーの芝田を呼び込んで、
合体パイル炸裂。1度目はカウント2.9で返した武藤だったが間髪いれずの2発目で終了。42分47秒の激戦を制した王者組が初防衛に成功。

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SPZ世界タッグ戦(60分1本勝負)

芝田美紀 ○ロイヤル北条(42分47秒、合体パイルドライバーからの片エビ固め)氷室紫月、武藤めぐみ×

第31代王者組が初防衛に成功。

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シリーズ最終戦は新日本ドーム大会。正面入り口には大看板が。

「SPZ世界選手権 王者ビューティ市ヶ谷 VS 挑戦者ラッキー内田」

第1試合はノエル白石対ジーナ・デュラム。

「は・・・」
よくわからない気合でノエル白石タックル、またタックル、タックル、タックル。このタックル4連発で流れをつかんだノエル。場内はものすごいジーナコールに包まれた。

「いやあっ!」
ジーナもローリングソバットで反撃、そして

「これで、どうですかあ・・・」

意外にきれいなフォームの裏投げ、しかしノエル白石はカウント2.5でクリアして、
「もう、おわりにするの」
この日3度目のスクラップバスター。11分15秒、これで試合は終わった。

第2試合はライラ神威対フォクシー真帆。パワーファイター同士の対決。地力に勝るライラ神威が押し気味に試合を進め、20分51秒、最後は強烈なバックドロップを決めて勝利。

第3試合は氷室紫月、成瀬唯がタッグを組んでデイジー・クライ、ヘレン・ニールセンと対戦。思いのほかデイジーがハッスルして、強烈なニーリフトで氷室をグロッキー状態に追い込む。しかし、成瀬も奮闘して流れを変え、息を吹き返した氷室を呼び込んでヘレンに合体パワーボム。23分3秒、これでカウント3が入った。その試合が終わると休憩。

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後半に入り、3大シングルマッチへ。

第4試合は芝田美紀対武藤めぐみ。

昨日の新潟大会で芝田・R北条の持つタッグベルトに挑むも、惜敗した武藤がJRナンバー2の芝田相手に一歩も引かない。ダイビングプレスで芝田の動きを止める。しかし芝田も団体最古参の意地がある。

「あなたのような小物にまけるわけにはいきませんわ!」

芝田の必殺ダイヤモンドキックが命中。これまでの武藤なら動きが止まってしまうところだったが、

「・・・・・・・・・・・」

ムくっと起き上がって、ボディスラムで倒すとコーナーに上がってシューティングスタープレス!これで決定的ダメージを与える。芝田がフラフラと起き上がったところを延髄斬りでトドメを刺した。勝負タイム24分44秒。

「よし、まだまだ勝たないと」

18期生の武藤がいよいよトップ戦線に殴りこみをかけてきた。

セミファイナルはロイヤル北条対マッキー上戸。力のこもった好勝負が展開された。ロイヤル北条がロイヤルスパイクを繰り出せばマッキー上戸はスプラッシュマウンテン。

お互いぼろぼろの状態になったが最後はロイヤル北条が奥の手、カカト落としを決めてマッキー上戸を倒した。勝負タイム14分35秒。

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メインイベントはSPZ選手権、王者ビューティ市ヶ谷に挑むのはラッキー内田。

「正月だから人気で選んでいいでしょう」ということで人気の高いラッキー内田がチャレンジャーに選ばれた。

―いまのSPZは強い人が多い。つぎのチャンスはいつになるかわからない。だから全力をつくす。自分がどうなっちゃってもいいから勝つ。

「おーおほほほほ、あなたのような二流選手は超一流のわたくしにひれ伏すのが落ちですわ」

午後8時22分、運命のゴング。

ビューティ市ヶ谷、開始早々のラリアット2連発できつい攻撃を浴びせる。その後もラリアット、DDTで優位に試合を進める。

「アーやはりビューティ市ヶ谷強い!まったく容赦のない攻めを見せています」

「んー、まあ内田選手もSPZで4年やって実力や技術は持ってるんですけど、市ヶ谷選手はそれを超越した力を持ってますからね。それを崩すのは容易じゃないですよ。」

しかしラッキー内田はやられながらも、隙をうかがっていた。

「そろそろ極めどき・・・ね」

タックルでうまく転ばすと、

ラッキーキャプチャーZ!

「うわああああ・・っ!!」

ビューティ市ヶ谷の身体が弓なりにきしんでゆく!何とか振りほどいた市ヶ谷だったが、ラッキー内田攻撃の手を緩めず
コブラツイスト。

「うあああああっ!!」

たまっていたものを吐きつけるような猛攻。ドームは大歓声に包まれた。懸命にロープに逃れるビューティ市ヶ谷。

そしてラッキー内田フランケンシュタイナーでカウント2.5まで追い込む。この選手けっこうプロレスの幅が広い。

なおも内田の攻勢は続く。R北条を倒したフライニングニールキックをここで出してきた。何とかカウント2.8で返したビューティ市ヶ谷、

「アーーーーーッ!」

気合を発し、

「あなたなんかにこのわたくしが破れるはずがありません!」
ビューティ市ヶ谷、伝家の宝刀ビューティボム!ドームに轟く悲鳴。
ワン、トゥ・・・

「返せホラ!」

セコンドのマッキー上戸が檄を飛ばす。
ラッキー内田、カウント2.5で返す。

ドドドドドドド。

「そんな・・・っ・・・」

動揺する市ヶ谷、ラッキー内田すかさず反撃、アームホイップで転ばしてから、コーナーに登って、

「行きます」
ラッキー内田、ダイビングプレス。何をやらせてもきれいに決めるラッキー内田、ふわりと舞ってビューティ市ヶ谷に落下。そのまま押さえ込む。

「ワン、トゥ、スリー!」

伊達遥レフェリーがマットを3つ叩いた。

「アーッと、時代が動いた~!!」

森アナウンサーが絶叫。

「28分46秒、ダイビングボディプレスからの体固めでラッキー内田の勝ち。」

村越リングアナが上ずった声で、結果をアナウンス。

ドドドドドドドドド!
ラッキー内田が市ヶ谷からカウント3を取ったのは初めてである。
その瞬間ドームが爆発。セコンドのマッキー上戸が飛び込んでくる。

「わたし・・勝った?・・・・」

「ああ、ラッキーの勝ちだ!よくやったよ!」

ラッキー内田の腰にベルトが巻かれる。場内はものすごい内田コールに包まれた。

―市ヶ谷さんに勝って、ベルトも手に入れた・・・

ラッキー内田の瞳から熱いものが零れ落ちた。SPZに入門して4年、16期生がついに団体の頂点に立った。

「解説の吉田さん、ラッキー内田選手が勝ってしまいましたね」

「んー、まあ後半うまくラッキーキャプチャーZで流れを引き寄せてそのまま攻めきりましたよね。まあ市ヶ谷選手の壁をよく崩したと思います。」

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

ラッキー内田(28分46秒、ダイビングプレスからの片エビ固め)ビューティ市ヶ谷

第52代王者が2度目の防衛に失敗、L内田が第53代王者となる

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2008年1月22日 (火)

第318回 19年目1月 奈良大会

19年目1月。
キューティー金井、野村つばさ、フレイア鏡が負傷、厳しい団体運営は続く。

「新春ロケットシリーズ」開幕。外国人を入れて14名体勢で四国・西日本を回るシリーズ。
第5戦岡山大会、メインはあばしりタッグ選手権。先月同様チャレンジャーはおなじみ外人、ヘレン・ニールセン&ネタ外人ジーナ・デュラム。こうみえてSPZも中堅の選手層が薄い。
試合はジーナが弱気っぷりをいかんなく発揮し、さいごはあっさりつかまって成瀬のストレッチプラムにギブアップ負け。勝負タイム13分23秒。

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第6戦奈良大会、選手たちは前夜の試合地、岡山からバスで移動。そして昼過ぎに会場入り。若手選手はリング上でスパーリング。ジュエルローゼスの面々は会場隅で軽めの調整。

午後五時半、「開場すっぞー」という吉田社長の声で選手はぞろぞろと控室へ引き揚げる。
そして会場隅では例によってグッズ販売。吉田社長がグッズ売り場隅のスペースにどっかと腰を下ろし、きょうの客層をチェックする。呼び込みは何でもやる課・課長の上原今日子。レジ打ちは今野役員。

「ラッキー内田Tシャツ、2000円~」

地方大会だが好カードが組まれていたので会場は超満員。そしてマスコミ各社も多数、京スポはビッグマッチのときしか来ない若林デスクまで来た。

「今日はちょっと気になるカードがあったんでね、うん。」

そして6時30分の試合開始時間。村越リングアナがリングへ上がりカードを読み上げる。観客の反応は良くもなく悪くもなくといったところ。

第1試合はフォクシー真帆(14期)対成瀬唯(15期)。普段はタッグを組んでいる両者だが、シングルでも数多く対戦し名勝負を残している。

「シャー・・・」
フォクシー真帆のパワーさっぽうに成瀬の動きが止まる。そして容赦のないニーリフト攻め。成瀬カウント2.8まで追い込まれれたが、ストレッチプラムで逆転大勝利。勝負タイム14分59秒。

第2試合は芝田美紀(12期)対マッキー上戸(16期)。前座でこんな好カードが実現するのだから凄い。終始押しまくったマッキー上戸が優勢に試合を進める。しかし団体最古参の芝田もまだまだ元気。掌底をはじめとする打撃系で反撃。会場は一気にヒートアップ。

「りゃああああ!!」

マッキー上戸、バックドロップで芝田の戦意を奪うと最後は豪快なフェイスクラッシャーでトドメ。勝負タイム14分58秒。

その試合が終わると休憩。グッズ売り場にはまた列が出来た。

そして後半、ビューティ市ヶ谷(13期)対ライラ神威(17期)のシングルマッチ。先月の暴走七番勝負で結果は2勝5敗だったものの、ヒールとして存在感を出したライラ神威が市ヶ谷様とシングルで対決。

「ひゃーはははははははは!!」

ライラ神威、この試合にイレ込んでいるのかチェーンソーをぶぃぶぃぶぃーんと響かせながらの登場。館内は一瞬にして恐怖のどん底に。

しかし試合が始まってしまえば市ヶ谷のペース。ライラもカムイエクウチカウシを2連発で繰り出したが、それまでにダメージの蓄積のない市ヶ谷は受けきってしまう。

ならばとライラ神威はシューズから鉄製の凶器を取り出しビューティ市ヶ谷の頭にズサッと突きたてる。

「オラオラオラーッ!!」

会場に詰め掛けたファンは悲鳴とブーイング。

「あの、凶器は、ダメ・・・」

伊達レフェリーが制止して、ライラ神威から凶器を何とか取り上げた。しかしこれで市ヶ谷がブチ切れてしまった、
「いい加減になさい!」
ビューティ市ヶ谷怒りのハイキック。このあとのフォールは何とか2.9で返したライラだったが、当たり所が悪かったのか、そのあとライラがぐったりとした状態で動かない。

「・・・起きて、まだ試合続いてる。」

伊達レフェリーの呼びかけにも応答がない。ざわつく館内。市ヶ谷、異変を察知して引きずり起こしてアームホイップで軽く投げてそのまま覆いかぶさって3カウント奪取。ライラ神威、起き上がれずそのまま担架で運ばれた。悪は必ず滅びる。この結末に奈良のファンは拍手喝采。勝負タイム13分56秒。

セミファイナルはロイヤル北条(13期)対ラッキー内田(16期)。最終戦でビューティ市ヶ谷の持つSPZ王座挑戦が決まっているラッキー内田は負けられない一番。しかしロイヤル北条にも前王者の意地がある。

「でぇぇぇい!」

ブレーンバスターのせめぎ合いで沸き立つ館内。最近はロイヤル北条にも力負けしなくなった。ラッキー内田、フランケンシュタイナー2連発で攻勢に転じ、フライングニールキック2連発でロイヤル北条を仕留めた。勝負タイム16分34秒。人気レスラーの勝利に沸き立つ館内。

メインイベントは地方大会の定番、日本人対外人の6人タッグ。まさに伝統芸能プロレス。氷室紫月(16期)、武藤めぐみ(18期)、ノエル白石(19期)対デイジー・クライ、ヘレン・ニールセン、ジーナ・デュラム。

メインに抜擢された売り出し中の不思議ちゃん・ノエル白石がネタ外人ジーナと意外にかみ合った攻防を展開。いい流れでノエル白石がが氷室とタッチ。沸き立つ館内。

ジーナ・デュラム、弱さを発揮して氷室にあっさりとつかまってしまい、スリーパーで捕獲される。

「NO!」

デイジー、へレンがカットに入ろうとするが武藤、ノエル白石が逆カット。これは危ない。氷室のスリーパーは繋ぎ技でも痛め技でもない。魔性のスリーパーだ。

「・・・はうっ」

ジーナ・デュラム、氷室のスリーパーにあえなく失神。これは危険と判断した伊達レフェリーが試合を止めた。勝負タイム13分43秒。

気絶したまま動かないジーナ、館内は悲鳴に包まれた。リングに上がった吉田社長がジーナに活を入れた。

「あ、あれ、私・・・」

意識を取り戻したジーナをヘレンとデイジーが両脇から支えながら退場。ジーナ・デュラムの玉砕に奈良のファンは大きな拍手を送った。

メインが終わったのが午後8時半、選手が私服に着替える間にスタッフは手早く撤収をすませ、午後9時には選手を乗せたバスが会場を出た。今日の宿は奈良市内のホテル。明日は新潟への移動日なので、20歳以上の選手の面々はゆっくり飲みながら夕食。奈良には8ヶ月に一度来るので、各自行きつけの店ができている。

宿舎内の一室。ラッキー内田がルームサービスの食事をしながらノートパソコンでビューティ市ヶ谷の試合を見て研究していた。悪魔的なパワーと破壊力は健在。きょうもライラ神威を失神させた。パワーではどう考えても分が悪いラッキー内田、まだシングルで市ヶ谷に勝ったことがない。はたして勝機はあるのだろうか。

「自分が、どうなっちゃってもいいから、勝ちたい・・・」

(新春・新日本ドーム決戦まであと3日)

2008年1月21日 (月)

第317回 19年目12月 夢のマスターズ編 後編

19年目12月 夢のマスターズ戦 後編

横浜のお嬢様プロレス団体SPZの社長、吉田龍子は年末のボーナス代わりの臨時収入を稼ぐため、SPZ影番の」井上霧子と共謀し、「マスターズ戦」と題して、引退したかつての所属選手に声をかけて、ノスタルジーに訴えるリバイバル興行を後楽園プラザで開催した。あの頃のように動けないが、往時の片鱗くらいは見せられる。昔を知るファンは沸いた。

① ○上原今日子(リングアウト 8.22)伊達遥

② ○菊池理宇(逆さ押さえ込み 6.55)ボンバー来島

③ ○カミカゼ相羽(カミカゼ特攻たいあたりからの体固め 7.22)E・ウトンベリノ99

④ (ケーキ大食いハンディキャップマッチ 30分1本勝負)

  △新咲祐希子(37-37 引き分け)武藤めぐみ、ノエル白石△

そしてセミファイナル。青コーナー側から入場してきたのは、

「どもー、レイちゃんでーすっ!」

カリスマ同人誌作家富沢レイ入場。もう結婚して一児の母らしいが、同人誌での創作活動はまだ続けている。この日も試合前と休憩中に自分のサイン本(1000円)をかなり売りさばいていた。マスターズ興行に出るのもファイトで暴れるのよりも「同人誌売りさばき」が目的と噂されている。

そして「スピード」がかかるや南利美(SPZ1期生・元SPZ世界王者)が入場。ライダースーツに身を包んでいる。SPZの草創期を支えた選手の入場に場内大盛り上がり。

そして「必殺仕事人」が流れ、青コーナーのトリはSPZの創業者、今野役員53歳。イタリー製スーツに身を包んで入場。場内のファンは笑うしかなかった。もっとも、1-2期生のOG選手が動けないため、つなぎの喧嘩要員としての起用である。今野役員にもギャラが1万円出るので、「子供のおむつ代稼ぎだよ」と本人は言っていた・・・

そして赤コーナー側。
「スピード」がかかるや、ジャージ姿の元SPZ世界王者にしてSPZ6期生、ハイブリッド南登場。うぉぉおの大歓声が響く。青コーナー側はあとの2人がアレなのでこの選手に期待がかかる。

そのあと黒いジャンプスーツに身を包んだSPZの裏番、井上霧子が入場。きょうもヤクザキックで会場を恐怖のどん底に落としてしまうのか。

赤コーナー側のトリは日本のプロレスマスコミの雄、京スポ新聞記者:若林太郎が登場。プロレス記者歴25年、今夜もそのラーニングした超絶テクが冴えるのか。

6人がリングに勢ぞろい、ただそれだけで大声援。

そのあと作戦会議、誰と誰が先発を買って出るか。ここでも沸いた。けっきょく先発を買って出たのは男どうし、今野役員と若林記者だった。じっとにらみ合う両者。しかし

「うぉぉぉぉーーー」

「おんどりゃーーーー」

出た、駅のホームで酔った親父同士のケンカ。大降りの殴る蹴る攻撃、レベルの低い闘いに場内は凍りついた。

「この、どエロ新聞!!」

今野役員の強烈?パンチが若林記者をたじろがす。しかし、

「フフフフ、プロレス記者歴25年はダテじゃない。見せてやろう俺の必殺技を。もう、逃げられないべさ。」

若林記者、コブラツイストの要領で今野役員に絡み付いてそのまま倒れこんで、今野役員を抱えたまま回転。ローリングクレイドルと呼ばれる今では誰も使わなくなったプロレス技だ。若林記者、この日のために京スポ編集部で若手社員相手に特訓してきたらしい。

ごろごろごろ・・ごろごろごろ・・・
5回、6回、今野役員が回される。それなりにスピードがあったので今野役員は三半規管がやられてしまった。

8回転したあとフォール。今野役員ぐったりとしている。目がうつろだ。
ワン、トゥ・・・
しかしここで南利美が蹴りを入れてカット。惜しい。カットが入らなければこれで決まっていた。

「いてててて・・・」

若林記者、頭を蹴られたのでたまらずハイブリッド南にタッチ。今野役員は回転揺り椅子で気持ちがかなり悪くなったのか、そのまま場外でダウン。観客の失笑を浴びてしまう。そのあとリング上は姉妹同士の喧嘩がつづいた。もみ合い、殴り合いベースの攻防に場内は盛り上がった。

息が上がった南利美、ひとまず富沢にタッチ。

「せぇーい!」
富沢レイ、ミドルキックを叩き込んでゆくが元格闘サイボーグ・ハイブリッド南には通じない。いまは結婚してスポーツインストラクターを高知でやっているらしいので、まだまだ凄みは健在。

「これでどーだっ!」

しかし富沢レイもアイアンクローで反撃。同人誌活動で右手は相当鍛えられているのか。これでたじろいだハイブリッド南、井上霧子にタッチ。ざわつく館内。
「てぇーい!」
不用意に突っ込んでくる富沢レイ。そこを井上霧子は狙っていた。

「ヤ ク ザ キ ッ ク !!」

もう40代なのに相変わらずの破壊力。蹴りが速過ぎて見えない。

「あーれー!!」
吹っ飛ぶ富沢レイ。たまらず南利美にタッチ。

「分が悪いわね・・・短期戦でいきましょうか・・・」
南利美、富沢レイに作戦を指示。富沢レイはコーナーにもたれるハイブリッド南を場外乱闘に連れ出した。タッグマッチ終盤によくあるベタな展開。そして南利美、コーナーにうずくまる若林記者に思いっきりげんこつで一撃。

「ウォーッ」

若林記者はこれで場外マットに転落、そのままのびてしまった。これでリング上は1対1の状況。ざわつく館内。

「長期戦は不利だから、さっさと片付けるわ。リミさん、ヤクザキック痛いけどがまんしてね~」
井上霧子、南利美をパンチでぐらつかせておいて腰を落とした。

「くらえ!ヤクザ・・・」
しかし南利美、ヤクザキックを食らう直前に後方にダンと倒れこんで、そのまま水面蹴りの要領で井上の軸足を払った。

「うわ・・っ」
ハデにすっ転ぶ井上霧子。一瞬にして攻守逆転。

「これで、お終いね」
南利美、起き上がって、ダウンした井上霧子の左足を取ってニヤリと笑う。アキレス腱固めねらいか。

「あまいっ、アンタは昔から詰めがアマいんよ」
井上霧子、左足をとられながらも上半身を起こして、左手を南の首にかけてフックし、そのまま南もろとも後方へ倒れこんでスモールパッケージの要領で丸め込んだ。このあたりのうまさはさすが。

ワン、トゥ・・・
成瀬レフェリーがマットを叩く。しかし南利美、レスラーの本能は残っていて、そのまま半回転。こんどは井上霧子の肩がマットについた。

ワン、トゥ・・・・
「そんな手にひっかかるか!」
井上霧子、また半回転、こんどは南の肩がマットについた。

南側客席では富沢レイとハイブリッド南がベタな乱闘をやりあっていて、場外マットではおっさん二人がのびている。
ワン、トゥ・・・

「くっ・・・」
南利美、カウント3ギリギリで返してまたまた半回転。こんどはフックをきつくして返しにくくした。

ワン、トゥ、スリー。
井上霧子、足をばたつかせたが返せず、3カウントを聞いた。

ドワアアアア!!
南利美、往年の冴えは無いものの相変わらずの要領のよさ。井上霧子からきっちりフォールを奪った。
「11分2秒、スモールパッケージホールドで南利美、富沢レイ、今野取締役組の勝ち。」
勝利チームの3人で手上げ。勝利者賞として「横浜中華街のお食事券1万円ずつ」が贈られた。

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そして夢のマスターズ戦、メインイベント。
「赤い破片」が流れるや場内ヒートアップ。
泣く子も黙るSPZ代表取締役社長、吉田龍子が革ジャンにジーンズ姿で入場。これだけで場内沸いた。タッグパートナーはSPZ10期生で今はタレントとして第2の人生を送っているアイドルレスラーにしてシューター、ビーナス麗子。

「ワハハハハハハハ、吉田龍子、今日こそキサマの最期だ。」

一昔前のディスコ音楽が流れ、スーツ姿の渡辺智美がリングイン。
パートナーは誰だ?

「吉田龍子!今年こそキサマの息の根を止めてくれる。そのために今日はスペッシャルな殺し屋を用意した。覚悟しろ」

5期生の渡辺智美、同期の吉田龍子がメインやセミで華々しい活躍をする一方で、第1試合で黙々と闘っていたのであり、年収も倍近い開きがあった。その現役時代の恨み?を晴らすというギミック。

スペシャルな殺し屋って・・・ざわつく館内。

そしてかかったのは「oblivion」
4ヶ月前にSPZをマットを離れたギムレット美月が現れた。黒と赤紫のリングコスチュームはそのままだ。彼女だけはまだ別名でインディー団体を渡り歩いてファイトしている。

「会長~!!」
ドワアアアアと場内沸く。ギムレット美月、ポーカーフェースで花道を歩いて階段を上がってリングイン。そのままメガネを外してセコンドに預ける。

「どうだ驚いたか、スペッシャルな殺し屋は8月までSPZで暴れてたファイティングコンピュータ、ギムレット美月だ、関節技でヒーヒーいわせてやんよ」

 「うっせーバカヤローテメー」

吉田龍子、ビーナス麗子 対 ギムレット美月、渡辺智美

4人がコールされる。乱れ飛ぶ紙テープ。これだけで大歓声。4人が4人とも現役時代は凄い選手だったので、リバイバルに後楽園プラザは爆発した。

「作戦発動」
コールが終わってラッキー内田レフェリーのチェックのスキをついて、渡辺とG美月は仕掛けた。吉田のパートナー、ビーナス麗子をまず二人がかりで殴る蹴るの暴行。

「あっ、コノヤロ」
吉田龍子が割って入ったが、ギムレット美月、うまくかわしてそのまま吉田を場外に放り落とす。

「うあ・・・っ・・・」

着地がうまくいかず吉田龍子、腰を強打、そのまま場外でうずくまってしまった。やはり社長業が忙しくてトレーニングどころではなかったのか。

その隙を突いてリング上ではビーナス麗子が二人がかりで殴られ蹴られるという予想外のバイオレンスな展開。

「タッグマッチの必勝法は一人の選手を二人がかりで攻めることです」

ギムレット美月、ダウンした同期のビーナス麗子へ容赦なくエルボードロップ。反対側から渡辺もエルボードロップ。二人が交互にエルボードロップを落とすのでビーナス麗子ただやられるだけ。場内悲鳴。吉田龍子はまだ起き上がれない。ギムレット美月の作戦がズバリ的中。
5分過ぎ、ようやく吉田がリングに戻ったので、ビーナス麗子、
「せえっ」
ギムレット美月に二段蹴り。アクション映画に何本か出ているのでこのあたりのうまさはさすが。ふっとぶG美月、このスキに吉田龍子にタッチ。吉田リングイン。

「はうー、もう・・ダメ」

ビーナス麗子、5分間二人がかりの暴行を食らってしまったせいか、そのまま場外でのびてしまった。

「てめぇこのやろう!」
吉田龍子の強烈パンチがG美月をたじろがす。

―やはり力はまだまだありますね・・・
ギムレット美月、作戦を変えて今度は吉田龍子と真正面からグラウンドの攻防。そのまま10分経過。

―ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・・
吉田龍子のほうが息が上がってしまった。この人ももう30歳、昔のカイブツのイメージはない。
「酒の飲みすぎですね、社長。」

 「くっ、コノヤロウ・・・」
吉田龍子、強引にラリアットを放った。真正面から受けて吹っ飛ぶギムレット美月。
「そろそろハデに決めようか!」
吉田龍子、パワーボムを狙ったが、背後から渡辺智美が、
バシッ!
イス攻撃。

「うごぉぉぉ・・・・」

絶妙なタイミングのイス攻撃に吉田龍子悶絶。そこへ渡辺が猛攻。代名詞、ヘッドバットを叩き込む!
「積年の恨み晴らしてくれるぅぅぅ!」

がすっ!がすっ!
「あがっ・・・」

渡辺智美、アイドルレスラーらしからぬ攻撃だが、この選手の石頭は有名。6期生から11期生あたりまでの若手は散々この攻撃に泣かされてきたのだ。
吉田龍子、懸命に起き上がるが、ギムレット美月が羽交い絞めに捕らえる。

「クソ・・離せぇぇ・・」

「そのまま押さえといて、んしょっ」
渡辺智美、コーナー最上段へ上がって、そのままダイブ。頭から吉田龍子へぶつかった。

「いん石だ!」
叫ぶファン多数。高い位置からの頭突きを食らった吉田龍子。ダウン。そのままカバーする渡辺。
ワン、トゥ、スリー。
「12分41秒、いん石からの体固めでギムレット美月渡辺智美組の勝ち」

「やたーっ!吉田龍子に真正面からやって勝った~!」
コーナーに上がって喜びを爆発させる渡辺。事前にG美月と打ち合わせた作戦が的中したとはいえあの吉田龍子からカウント3を取ったのは偉業?といっていいだろう。

こうして魔のマスターズ戦は終わった。

2008年1月20日 (日)

第316回 夢のマスターズ戦 大食い対決

19年目12月 夢のマスターズ戦

後楽園プラザ:観客数2100名(超満員)

続く第3試合、場内のスピーカーから聞こえてきたのは!

♪わが大君に 召されたる
命栄えある 朝ぼらけ
たたえて送る 一億の
歓呼は高く、天を突く
いざゆけ つわもの 日本男児

「出征兵士を送る歌」に乗って、一時期メキシコ、ヨーロッパで大ブレイクした軍国少女レスラー、カミカゼ・相羽が入場。

SPZ9期生のスターライト相羽は、若手時代なかなか芽が出ず3回もAAC,EWAへ海外遠征に出されており、そのときのリングネームが「カミカゼ相羽」。軍国主義少女というギミックで海外で暴れた過去がある。現役の間は海外でしか見ることができなかったが、今日ついにリバイバルとなった。

白い入場ガウンの背中には「八紘一宇」などと大書きされている。そのままコーナーに上がって一言叫ぶ。

「大日本帝国!バンザイ!」

アハハハハハハ・・・

場内大爆笑。腹を押さえて笑い転げるファン多数。往年の日本人レスラーが使ったギミックも、2027年の今日ではただのギャグとしか思えなかったのであろうか。
対戦相手は一時期AACにいた「かませ犬覆面レスラー」をリバイバルした、「エル・ウトンベリノ99」。正体はSPZ関係者筋によると「ギムレット美月が手配した、セミリタイアしたインディー系の女子レスラー」とのこと。

カンッ。

午後7時7分、笑い声の中ゴング。

「八紘一宇パーンチ!」
K相羽がナックルを打ってゆく。場内大盛り上がり。対戦相手のウトンベリノ99もヘッドバットやドロップキックで反撃、試合はヒートアップした。
5分過ぎ、ウトンベリノ99の息が上がったのを見たK相羽、ここでラッシュに出た。

「ゼロ戦キィーック!」

ただのフライングニールキックなのだが大盛り上がり。崩れ落ちるウトンベリノ99、そしてカミカゼ相羽はトップロープに登った。

「大日本帝国、バンザイッ!!」
決め台詞をシャウトしてから、起き上がったウトンベリノへ、ダイビングショルダータックルの要領でぶつかった。
「カミカゼ特攻たいあたり」命中。そのまま押さえ込んで3カウント。場内にまたも流れる「出征兵士を送る歌」。そして起き上がったカミカゼ相羽、ファンと一緒に唱和。

「大日本帝国、バンザイッ!!」
大爆笑の中、逆輸入レスラーのリバイバル、カミカゼ相羽の戦いは終わった。ここで休憩。

**************************

休憩後のセミ前はなんと

「大 食 い ハンディキャップマッチ 30分1本勝負」
場内ドン引き。いつのまにかリング上にはテーブルが二つとイスが3つ。そしてティーポットが。なにやら怪しい雰囲気。
そして赤コーナーから大食いといえばこの人。テレビ番組でおなじみの大食いタレント兼グルメリポーター、SPZ6期生で元SPZ世界王者・新咲祐希子がトレーニングウェア姿で入場。

「ふっふーん、タダ飯ならなんぼでも入るわよー」

対戦相手は、SPZ18期生の武藤めぐみ、そして19期生のノエル白石。なんとリングコスチューム姿で入場。現役選手2名とOGが大食いでハンディキャップマッチなのか。

「青コーナー、新潟県糸魚川市出身、のえるー、しらーいしー。静岡県本川根町出身、むとー、めぐーみー。赤コーナー、山口県下関市出身、しんざきー、ゆきーこー。」

「えー、試合に先立ちましてルールの説明をします。ご覧の通り1対2の大食い対決です。クリスマスにふさわしくケーキの大食い対決。30分間でケーキを多く食べたほうの勝ちです。」

マッキー上戸リングアナがルールの説明、どよめく館内。
「なおケーキは横浜戸塚のメイド喫茶、魅惑のスイーツからイタリアの軽食まで『あばしり』の提供であります」

「ども~」

パティシェ姿の喫茶あばしり鈴波店長が手を振る。

カンッ。

午後7時33分、運命のゴング。裁くレフェリーは成瀬唯。(といっても食ったケーキの個数をカウントするだけだが)

試合が始まるや3人がものすごい勢いでケーキにかぶりつく。ショコラケーキ、イチゴショート、モンブラン、りんごのタルトといったケーキがどんどん3人の胃袋に入ってゆく。

しかし試合開始から10分が経過したところで、意外にも新咲のフォークの動きが止まった。

「・・・甘いの飽きた」

さすがグルメリポーター。日本全国の美味珍味を食べつくしてきただけあって舌が肥えている。あばしりのケーキも美味しいのだが、さすがにここまで甘いものが続くとちょっと・・・ということらしい。

「よこ川の海鮮料理だったらいくらでも食べれるのにな・・・」

一方の青コーナー側のふたり、
「バカみたい・・・おいしいけど」

武藤めぐみ、紅茶を優雅に飲みながらケーキをつつく。世代が下の18期生で人気レスラーということで、今回こんな役を押し付けられたのだが。

―もぐもぐ・・・・もぐもぐ・・・

一方のノエル白石、ひたすらマイペースでケーキを口に運んでいる。これはこれでいい勝負になってきたのだが、新咲の動きが止まってしまっている。ざわつく館内。大食いクイーン、まさかの敗北か?

「鈴波さん、アレ出して・・・」

「うわ、こんなところでやるの・・・」

あばしりの鈴波店長、炊飯ジャーと鍋を取り出して、新咲のテーブルの上においた。

―何をする気だ。

鈴波店長、ごはんをよそおって、味噌汁を注いで新咲の前に置いた。ごはんは新潟産コシヒカリ、味噌汁の具はワカメとジャガイモ。

「ケーキ定食ぅぅ~」

ええええええ、マジかよ。場内悲鳴。ケーキをおかずにごはんを食べるか普通?

しかし「喫茶あばしり」の「裏メニュー」にこのケーキ定食が存在(1,200円)するらしい。そして新咲祐希子はこのケーキ定食が現役時代から好物だった!

「秘技、三角食べ!!」

新咲ケーキをにかぶりつく、ごはんをかき込む、味噌汁で流し込む。ケーキにかぶりつく、ごはんをかき込む、味噌汁で流し込む。ケーキ、ごはん、味噌汁。ケーキ、ごはん、味噌汁。

ウォォォォォォォォ!

場内どよめき。信じられない光景。三角食べなのでゆっくりとではあるがケーキがひとつ、またひとつと減ってゆく。そして絶妙のタイミングでごはんをよそおい味噌汁を追加する鈴波店長!!

「うわ・・・ひっどい・・・」
武藤めぐみ、呆然としてフォークが止まった。満腹になったところでこの信じられないものを見て、喰う気が失せてしまった。

しかしノエル白石、まったくペースが落ちない。

「ケーキ・・甘い・・・おいしい・・・」
ノエル白石、イチゴショートを集中攻撃。ある意味SPZ選手権以上の死闘が展開された。そのまま30分タイムアップ。結果発表。成瀬レフェリーが平らげたケーキの個数を読み上げる。

「赤コーナー、新咲祐希子、ケーキ37個」
ドワアアアアアアアア!!
ごはんと味噌汁を食べながらのこの怪記録。底なしの胃袋を存分に見せつけた。

「青コーナー、武藤めぐみ、ケーキ9個、ノエル白石、ケーキ28個、合計37個。従いましてこの勝負は引き分けとなりました。」

ドオオオオオオ!!
19期生のノエル白石大健闘。ケーキ28個を平らげるとは。
「ハァハァ・・・なかなかやるわね。来年は1対1で勝負よ」

またやる気なのか新咲祐希子。

「・・・・おいしかった・・・」
こうして壮絶な大食い対決が終わった。

そしてセミファイナル。なつかしの名選手が続々登場する6人タッグマッチ・・・

2008年1月19日 (土)

第315回 19年目12月 夢のマスターズ戦・前編

レッスルエンジェルスサバイバー 
プレイ日誌のようなもの
輝くエッセンシャル

19年目12月 夢のマスターズ戦

「年末は何かとお金が出て行く・・・」

SPZの吉田龍子社長が呟く。SPZのフロント陣のギャラは選手時代から比べるとたかが知れている。吉田のように現役時代華々しい活躍をした選手はなおのこと。現役を離れて数年。さすがに金銭感覚を修正してバカ高い酒は飲まないようにして、なるべく外食はしないようにしているがそれでも年末は風が冷たい。

「やはりあたしたちはレスラー。お金が無いときは身体を張って稼ぐしかない・・・」

ということで今年もSPZのリングを卒業した面々がリングに帰ってくる。
12月24日、後楽園プラザ。フロア中央にはいつものSPZの年季の入ったリングが置かれていた。

カン、カン、カン、カン、カン・・

「メリー・クリスマス」
リング上で井上霧子が挨拶。

「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2027にお越しいただきましてありがとうございます」

(チケットは破格の2,000えん)

「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私ども実行委員会と致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。」

(場内笑い)

「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係であります。従いましてこのイベントの権限と責任のすべては井上霧子個人にあります。この興行の収益の50%はチャリティ施設に寄付致します。残りの50%は井上の飲み代とさせて頂きます」

(場内失笑、とはいえ現役の所属選手はレフェリーやらリングアナ、セコンドなどの手伝いに駆り出されているのである。)

やはりカードは試合開始まで発表されず、「全6試合」とアナウンスされたのみであった。

第1試合 シングルマッチ 伊達遥 VS 上原今日子

「disintegration」がかかるやウォォォの歓声が。SPZがものすごい人気を誇っていたとき、マットの覇者と呼ばれていた看板選手、元SPZ世界王者・3期生の上原今日子がパンツスーツ姿でリングイン。

そして「宇宙の皇女」がかかるやこちらもものすごい歓声が。SPZ初代王者、静かなる不死鳥・SPZ1期生の伊達遥が花道を歩いてリングへ。

「今年のマスターズ戦すげーーー」
数々の死闘を繰り広げた両者が、引退後9年の時を経て再度激突。あの日のような魂のシバキアイは期待できないが、それでも何を見せてくれるのか。

午後6時45分、運命?のゴング。裁くレフェリーは氷室紫月。リングアナはマッキー上戸。

にらみ合う。ただしばらくにらみ合う両者。それだけで大歓声。そのあと組み合う。またまた大歓声。現役を離れてからもトレーニングを欠かしていない上原が押し勝ち、ロープ際へ追い詰める。そしてブレイク。

そんな昔を思い出したかのような攻防が5分ほど続いた後、伊達遥が仕掛けた。
すばやく組み付くや、

殺人ヒザ魚雷!!

現役時代、上原の挑戦をこの技でことごとく退けてきたのだ。往年の威力はないが、それでもかなりの痛さだ。

「くっ・・・・」

上原今日子、ふらつく足取りで起き上がったところを伊達が・・・

SPZキック!

上段蹴りが上原の側頭部にヒット。昔を知るファンはヤンヤの歓声。西部劇の悪役のようにユラーリと崩れ落ちる上原。このあたりの演技力はさすがだ。
すかさず伊達カバー。

ワン、トゥ、

ドドドドドド!!
カウント2.9で返す上原今日子。第1試合から重低音ストンピングが。

「うううう・・・」

上原今日子なんとか立ち上がろうとする。まるで8年目頃のSPZがフラッシュバック。リングコスチュームこそ着ていないが見事なリバイバルだ。
伊達遥、トドメを刺すべく距離をとって、上原が起き上がろうとするや、走りこんでラリアットを狙った。伊達遥、この技でSPZ初代王者に輝いたことがある。

―い、いまだ。
上原今日子、ラリアットを食らう寸前で右側に飛びのいてかわした。伊達遥、急には止まれない。そのまま突進して場外へ転落。フェンスにガシャンと激突してしまった。これは痛い。

「はう・・・っ」
伊達遥、そのまま動けなくなってしまい、場外マットの上に倒れこむ。氷室レフェリーが場外カウントを淡々と数えた。20カウントが数えられ、あわれ伊達遥、逆転のリングアウト負けを喫した。

「8分22秒、リングアウトで上原今日子の勝ち」

上原今日子、何も技を繰り出さなかったが、タナからボタモチ逆転大勝利。それでも歓声が轟くところがこのカードの凄いところ。上原は一礼してから引き揚げた。

*********************

続く第2試合。こんどは引退後間もない選手が出てきた。
「オラオラオラー!!」
9月に引退したばかりの11期生、SPZの殺人ダンプカー・ボンバー来島登場。オレンジのリングコスチューム姿で客席をあおりながら登場。

対戦相手は11期生の菊池理宇。SPZクライマックスやSPZ選手権で何度かあった顔合わせだ。こちらは引退から2年が経とうとしている選手なので、トレーニングウェア姿。
そしてゴング。来島さんのパワーの前に菊池たじたじ。グラウンドでも攻められっぱなし。

「はぁ・・・不公平だぁ・・・」
それでもエルボーやチョップで懸命に手数を返してゆく。

「ぬぅぅっ・・・」
菊池、来島さんをボディスラムで投げようとするが、来島さんは岩のような体。いくら菊池が気合を入れようが動かない。しかも菊池コールが飛んだので、菊池やめるにやめられずボディスラムをトライし続けるしかなかった。3分くらいそんな状況が続いたので場内は盛り上がった。
「ほらよ」
来島さん、菊池を捕らえて反対にボディスラム3連発。軽量の悲しさ、菊池が壊れたおもちゃのように投げ飛ばされる。

「うっ・・・・」
菊池ここで早くもスタミナ切れ。やはり大きい選手とやるときは厳しいものがある。
ここでボンバー来島がニヤリ。

「気持ちよく眠らせてやるぜーーー!!」
菊池をつかんで引きずり起こして、ショートレンジのナパームラリアットを狙った。場内悲鳴!
しかし菊池寸前でかわした。

「あ、うわっ」

来島さんバランスを崩す。

―い、いまだ・・・っ
菊池理宇、うまくからみついて来島さんの巨体を乗せて逆さ押さえ込み!!

「しまった・・・・」

ワン、トゥ、スリー。氷室レフェリーがマットを3つ叩いた。ボンバー来島、久々のファイト?で丸め込み技を返す反応が遅れてしまった・・・・

「6分55秒、逆さ押さえ込みで菊池理宇の勝ち」

ドワアアアア!

「アークソ、でもまあいいや。さすが私のパートナーだよ。」
11期生の二人、握手して健闘をたたえあった。

(中篇へ続きます)

2008年1月18日 (金)

第314回 ライラ神威・凶器攻撃炸裂

19年目12月。

「んー、まあ、今年最後の興行なので気合入れていきましょう。」

最終戦はさいたまドーム大会。営業努力の甲斐あって超満員。

第1試合は野村つばさ対キューティー金井。元祖アイドルレスラー・キューティー金井が7分16秒、バックドロップで野村を仕留めオープニングを飾った。

第2試合はフォクシー真帆対成瀬唯。年内最終戦であばしりタッグ王者どうしがパートナー対決。
「行くでぇ!」
成瀬、いつものように脇固めで執拗な右腕攻め。
「そんな攻撃は、キカナイ!」
フォクシー真帆、痛みを感じる神経が図太いのか、意にも介さず振りほどいて、ショルダータックルで反撃するが波状攻撃には至らない。そのまま相譲らず30分ドローとなった。

第3試合は氷室紫月対フレイア鏡。ともにねちっこいレスリングを得意とする選手同士の対決。しかし氷室がこの日は立ち技を意識的に多く使い、最後は強烈なパイルドライバーで3カウントを奪った。勝負タイム12分19秒。その試合が終わると休憩。

休憩明けは「不思議ちゃん新人4」ノエル白石登場。対戦相手はネタ外人、ジーナ・デュラム。
「SPZも前衛的なカードを組むねえ・・・」

どうみてもマニア向けのカード。困りきった顔をしてノエルを投げるジーナ。ノエルもタックルで反撃、しかしー
ジーナ・デュラムのノーザンを食らって肩が腹に入ってしまったのか、ノエルが少しイヤそうなした表情で、

「もう、終わりにするの・・・」
場内唖然。
スクラップバスターからヘッドバット2連発。これでジーナは倒れてしまい3カウントを奪われた。
「勝ったの、ふーん。」
勝負タイム10分27秒、無垢なる戦士たちの戦いは幕を閉じた。

セミファイナルは

ライラ神威暴走7番勝負最終戦。

相手は常連外人のヘレン・ニールセン。きょうのライラはガトリング砲を乱射しながら入場。

試合のほうはここまでシビアなシングルマッチが続いて疲れが出たのか、ライラが攻め込まれてしまう。それでも疑惑のヘッドバットで攻勢に転じ、そのあと恥も外聞もなく、シューズに隠しておいた凶器でヘレンの頭を一突き!!

「そこまでして勝ちたいんか!」

「BOOOOOO」

会場騒然。
怒ったのはヘレン、クリーンファイトを身上とする常連外人だけあってこんなファイトは許せなかったのか、怒りのノーザン。しかし頭に血が上りすぎたのか、すぐに息切れし、そこを捕らえられて、
「ブッコワレローーー」

13分55秒、カムイエクウチカウシでライラ神威が勝利。

「物を投げないでください物を投げないでください」

リングに横たわるヘレン。ケケケケと奇声を上げながらまたも花道でガトリング砲を乱射しながら引き揚げるライラ。興奮したファンからはやっていけないことなのだが、紙コップやら巻き寿司やらしめ鯖が花道に投げ込まれる始末。

―ふう、きつかった。

ライラ神威、控室に戻ったとたん、ひとりの北海道人に戻り水を飲む。
「マスクに・・しめ鯖・・ついてる」
ノエルが投げられたものを取る。
「ふふ、どうせならビール瓶なげてくれればいいのにねえ、」
ライラ神威・暴走七番勝負はけっきょく2勝5敗で幕を閉じた。

************************

メインイベント、年内最後の戦いはSPZタッグ戦、ジューシーペアに対するはジュエルローゼスのロイヤル北条、芝田美紀。
「CHEER UP FULL THROTTLE」がかかるや場内大歓声。いまや人気実力を兼ね備えたSPZのトップスターにのし上がったジューシーペアが入場。しかし対戦相手のJRも海千山千。戦いの修羅場をかいくぐってきた猛者である。
芝田の打撃は相手に傾いた流れをたちまち引き戻す。

―コンビプレーで勝負!
ジューシーペア、ダブルドロップキックで芝田を吹っ飛ばす。

「しばらく休んでてください。私が挽回します」
ロイヤル北条がマッキー上戸と力のこもった攻防。馬力ならマッキーだがロイヤル北条には瞬発力がある。

「もう遊びの時間は終わりだっ!」
ロイヤルスパイクを叩き込んでから芝田につなぐ。しかしマッキー上戸もスプラッシュマウンテン!これで芝田は戦闘不能状態。リング上はロイヤル北条とラッキー内田がシビアな攻防を繰り広げたが、ロイヤル北条が先輩の意地を見せた。
パワースラムで弱らせておいての裏投げ!
「ア、 危ない!」
マッキー上戸がカットに入ろうとするが場外から芝田が
「させませんわよ」文字通り足を引っ張る。

「くっ、この・・・」
これで3カウントが入ってしまった。勝負タイム36分48秒、ジュエルローゼスにタッグ王座が移動してしまった。芝田のパートナーはほんらいならフレイア鏡なのだが、市ヶ谷の負傷ということもあってロイヤル北条にパートナーを代えて臨んだらタイトルを奪取してしまった。

2008年1月17日 (木)

第313回 19年目12月 ライラ神威暴走七番勝負

19年目12月
「なんですって、市ヶ谷さんと武藤さんが負傷欠場?」
井上霧子が悲鳴。
 「双方ともタッグリーグで古傷を痛めてしまったそうです」
ああもう・・・」
 「井上さん、GWAが新女に引き抜かれてしまいました!」
「うがぁーー」

これで12月シリーズは所属選手12名プラス契約外人の2名、14名での巡業を余儀なくされた。わるいことに12月は年末需要を当て込んでドームクラスの会場を押さえまくっている。
「埋める企画、どうしましょうか?」
今野役員と吉田社長と井上霧子の3人は夜通し考えたが、いい案が出るはずもなく、

「ライラ神威暴走7番勝負」

でお茶を濁すことになった・・・いよいよSPZはこの個性派ヒールを売り出しにかかった・・・

第2戦札幌どさんこドーム大会、セミはジューシーペア対R北条、フレイア鏡。内容は保証書つきの一戦、最後は18分56秒、ラッキー内田がフライニングニールキックでフレイアを仕留めた。

メインは予測不能の一戦。暴走七番の第一戦。ライラ神威は奇声を発しながらチェーンソーをぶいぶいぶいーんといわせながら登場。対戦相手はジュエルローゼスのナンバー2、元SPZ王者の芝田美紀である。

「ぐっ・・・」
芝田の掌底で口元を切ったライラ、覆面越しにもわかる流血。これで怒ったのか、怪しいヘッドバットで反撃したが、最後は芝田が伝家の宝刀ダイヤモンドキック。これで芝田が3カウント奪取。勝負タイム18分27秒。

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第3戦仙台大会、メインはライラ神威暴走七番勝負第2戦、ライラ神威対フレイア鏡。ライラは火のついたたいまつをぶんぶん振り回して入場。

「あ、アイツ、裸火はここ使用厳禁だぞ・・・」

青ざめる吉田龍子社長。
「ふふ、出来の悪い後輩はオシオキしてあげませんとねえ」
怪しげな笑みを浮かべながら立ちはだかるフレイア鏡。ある意味怪奇派対決かもしれない。
「ぐわあああ・・・」
フレイアの執拗な逆片エビでライラの動きが止まる。
「ああ、身体が火照ってきましたわ・・・」
最後はストレッチプラム。狂気が入った表情で締め上げられたライラはたまらずギブアップ。なんと勝負タイム36分51秒の激闘。

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4戦目はなにわパワフルドーム大会。かろうじて満員。
第2試合で氷室対ラッキー内田のシングル対決。ラッキー内田がジャーマンで氷室を下した。
セミファイナルはライラ神威暴走七番勝負第3戦、ライラ神威対ロイヤル北条。ライラはなんと花道をジープを運転してリングへ。 
「あいつ、もう免許持ってたっけ?」

吉田社長が2日連続で青ざめる。6月に18歳になったようだが自動車教習所に通ったかどうかは記憶にない。

「道交法なんて知るかそんなの!」
本部席をなぎ倒し場外フェンスに激突してようやくジープは止まった。ここで車を降りてライラ、リングイン。
攻めあぐねたロイヤル北条だったが、ロイヤルスパイク、カカト落とし、パワースラムとつないで何とか追い詰めたが、
「ハハハハ、泣き叫びナ!」

ライラ神威の必殺ムーブ・カムイエクウチカウシ。ロイヤル北条何とか場外に逃げる。このあとド派手な場外乱闘。場外でロイヤルスパイクを繰り出した北条だったが、リングに戻った直後に強烈な裏投げを食らってしまう。
「しまっ・・・た・・・」
ライラ神威、前SPZ王者のロイヤル北条から25分20秒、ピンフォール勝ちを収めた。この選手はただのパフォーマーではない。これで七番勝負は1勝2敗。

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場外に転がったジープは結局、上原今日子レフェリーがバック運転して撤去した。そしてメインはあばしり選手権。成瀬唯、フォクシー真帆のあばしりタッグ王者に挑戦するのは毎度おなじみの常連外人ヘレン・ニールセンと、ネタ外人、ジーナ・デュラムの異色コンビ。
緊張の色を浮かべながら花道を歩くジーナ・デュラム。大阪のファンにも暖かい声援が飛ぶ。
「行くでぇ!」
大阪では絶対的ベビーフェイスの成瀬だが、やられっぱなしのジーナにも声援が飛ぶ。ヘレンもうまくフォローに入ったので、このタイトルマッチは盛り上がった。

「いてこましたる!」
成瀬のドラゴンスリーパー。これでジーナはたまらずギブアップ。場内は歓声より悲鳴のほうが大きかった。勝負タイム24分11秒、王者組が2度目の防衛に成功。

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その翌日はひろしま若草アリーナ大会。メインはライラ神威暴走七番勝負第4戦、ライラ神威対マッキー上戸。この日のライラは大鎌をぶんぶん振り回し、最後はセコンドの若手に投げつけてからリングに上がった。

しかしパワー勝負ならマッキー上戸が何枚も上。ライラも疑惑のヘッドバットで反撃するが、そこまでで、マッキーがパワースラム、ジャーマンと猛攻を仕掛けて3カウントを奪って終了。

「アンタしょっぱいよ!」

一喝して引き揚げるマッキー上戸、勝負タイムは14分5秒。

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第6戦九州ドーム大会。ここもかろうじて満員となった。メインはライラ神威暴走七番勝負第5戦、ライラ神威対ラッキー内田。今日のライラはロケットランチャーを発射しながら登場。

試合が始まれば案外まともなレスリングの攻防をやってのける。しかし疑惑のヘッドバットでペースを握ろうとするあたりは変わらない。

―覆面の中に凶器入れての頭突きなんて20世紀のプロレスじゃあないですか!

ラッキー内田、怒りの関節地獄。コブラツイストでねじりあげてからのフライングニールキックで快勝。勝負タイム18分2秒。ライラ神威、これで7番勝負1勝4敗。SPZのトップどころとはやはりまだ一歩及ばない・・・

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第7戦はしゃちほこドーム大会。ここもなんとか満員になった。メインは暴走七番勝負第6戦、ライラ神威対氷室紫月。なんとライラはスタンロッドを振り回しながらリングイン。試合前のコールが終わってもスタンロッドを手放そうとしない。

「さっさとその怪しい武器を捨てろ!」
上原レフェリーが警告するが、
「うるさいよ。」
スタンロッドの犠牲者は上原レフェリー、電撃を浴びてあわれ、昇天。そのまま氷室に襲い掛かっていったがー
氷室は落ち着いて試合を運び、サソリ固めで散々痛めつけて最後はダイビングプレスで3カウント奪取。勝負タイム17分47秒。これぞ勧善懲悪である。

2008年1月16日 (水)

第312回 19年目11月 SPZタッグリーグ戦 後編 

19年目11月 SPZタッグリーグ戦 後編

第6戦は宇都宮大会。
ライラ、デイジー○(6点、ハイキックからの片エビ固め 25.56)芝田×、F鏡(3点)

「死ねや!」
暴れるライラ神威。しかし芝田もよく見て打撃で強烈なお返し。しかしきょうはデイジーが奮闘。強烈なDDTでフレイア鏡をたじろがす。
「フ、イクゾ!」
強烈ハイキックで芝田を眠らせた混成タッグが26分の激闘を制した。

ローズ○、Fローズ1号(6点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 18.48)氷室、武藤×(4点)

ローズ・ヒューイット強い。武藤氷室の2人を相手にしても最後まで引かなかった。ファントムローズ1号も絶妙のフォローを見せて、最後はシャイニングウィザードで武藤を華麗に葬った。

L内田○、M上戸(9点、逆片エビ固め 17.21)成瀬、F真帆×(0点)

あばしりタッグ王者組も懸命に応戦したが力の差はいかんともしがたく・・・

B市ヶ谷○、R北条(10点、ビューティボムからのエビ固め 10.47)パトリシア×、ジーナ(2点)

市ヶ谷様、このレベルのネタ外人相手では楽勝。あっさりと5連勝をマーク。

___________________________

第7戦は幕張大会。
芝田、F鏡○(5点、ストレッチプラム 18.28)ローズ×、Fローズ1号(6点)

ローズヒューイットの攻めを合体技で断ち切るジュエルローゼス。そして弱らせておいて、フレイア鏡のストレッチプラム。なんとGWAの女王からギブアップを奪った・・・

L内田、M上戸○(11点、ジャーマン 10.21)パトリシア、ジーナ×(2点)

弱気外人ジーナがマッキー上戸と相対。やはり実力差はかなりのものがあり、痛めつけられるジーナ。館内はジーナコールに包まれた。ジューシーペアが悪者になってしまうのも珍しい。しかしマッキー上戸まったく容赦せず、ジャーマンで処刑。

氷室、武藤○(6点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 25.01)ライラ×、デイジー(6点)

タッグチームとして統制の取れていない2チームが幕張のセミで登場。連係技のあまり出ない試合、氷室のドラゴンスリーパーもロープに近く決め手とならなかったが、最後は武藤がシャイニングウィザードをズバリ。25分の熱戦を制し3勝目をゲット。

B市ヶ谷、R北条○(12点、ロイヤルスパイクからの片エビ固め 14.32)成瀬×、F真帆(0点)

幕張のメインは市ヶ谷組が完勝。あばしり王者組みはいまだ勝ち点ゼロ・・・
これで優勝争いは12点の市ヶ谷組と11点のジューシーペアに絞られ、最終戦横スペ大会メインの直接対決で勝ったほうが優勝となった。

____________________________

最終戦は本拠地へ戻っての横スペ大会。
ローズ○、Fローズ1号(8点、パワーボムからのエビ固め 17.24)ライラ、デイジー×(6点)

ローズ・ヒューイット強い。相手チームが引っ掻き回しても圧倒的な技の切れ。ファントムローズも絶妙のつなぎ。フィニッシュは意外にもパワーボムだった。EWAの強豪、デイジー沈む。

「ワタクシこそ最高、そして最強!」
ファントムローズが薔薇をばら撒く中、高笑いしつつ引き揚げるGWA軍。4勝3敗、堂々の勝ち越し。
「けっ、賞金ももらえねえのか」
敗れたライラは倒れるデイジーには目もくれず、腹いせに上原レフェリーをボディスラムで投げてから引き揚げた。

芝田○、F鏡(7点、ヘッドバットからの片エビ固め 24.18)成瀬、F真帆×(0点)

「うちらはこれ以上っ、負けられへんのや」
何とかして勝ち点の欲しいあばしり王者組が懸命の攻め。しかし最終戦はフレイアが前面に出て攻撃を受け、無傷の芝田が後半に出てトドメを刺す作戦。これがズバリ的中し芝田、裏拳そしてダイヤモンドキック。これで頭を打ったフォクシー真帆、続くヘッドバットに力尽きた・・・

氷室、武藤○(8点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 7.49)パトリシア、ジーナ×(2点)

メインが死闘になりそうなのでセミは軽くあっさりと、というカード編成。それでもネタ外人が横スペのセミに出てしまうのだから恐ろしい。武藤が落ち着いて弱気外人ジーナを仕留めた。勝負タイムわずか7分49秒。

B市ヶ谷○、R北条(14点、合体パワーボムからのエビ固め20.24)M上戸×、L内田(11点)

「格の違いというものを見せて差し上げますわ」

 「これからはあたしらの時代だ!引っ込めバラ軍団」
メインイベント、タッグ王者のジューシーペアに最凶の相手が立ちはだかる。

「作戦通りに行けば・・・っ」
ラッキー内田、スリーパー、逆片エビとコツコツ市ヶ谷様を崩す作戦に出たが

「しょせんあなた方は小物ですわ!」
ラリアット乱発でたちまち内田を追い込む。出てきたマッキーにも猛攻を仕掛ける。

―化けもんだ、この人・・・

狼狽するマッキー上戸。そこを突いて市ヶ谷裏拳!
崩れ落ちるマッキー。

「北条さん!」
ここでロイヤル北条を呼び込んでの合体パワーボム。
ワン、トゥ、スリー。
ジューシーペア敗れた。
「私ってどうしてこんなに完璧なのかしら!オーホホホホホ!」

横スペに響く市ヶ谷様の高笑い。強豪ひしめく中、堂々の全勝優勝をさらっていった。19年目のSPZ、まだ市ヶ谷様の天下は続く・・・・

2008年1月15日 (火)

第311回 19年目11月 SPZタッグリーグ 前編

19年目11月。
恒例のタッグリーグの季節。出場チームは下記の通り。

ラッキー内田、マッキー上戸(前回優勝)

氷室紫月、武藤めぐみ

ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条(ジュエルローゼス1 第15回・16回優勝)

芝田美紀、フレイア鏡(ジュエルローゼス2)

フォクシー真帆、成瀬唯(あばしりタッグ王者)

ライラ神威、デイジー・クライ(悪役+キックの鬼連合)

ロース・ヒューイット、ファントムローズ1号(GWA代表)

パトリシア・ルイス、ジーナ・デュラム(白星配給係?)

2戦目の岩手大会からリーグ戦開始。
パトリシア○、ジーナ(2点、裏拳からの片エビ固め 19.01 )F真帆、成瀬×

一部のマニアからは熱狂的な支持を得ているネタ外人ジーナ・デュラム。弱気な顔して技を仕掛けるところがたまらないらしい。この日も、

「ど、どうなっても知りませんからね・・・」

とか言ってフォクシーに強烈な裏投げを叩き込む。リーグ戦初戦から盛岡のファンはジーナに大声援。しかしあばしり王者組のコンビプレイにあっさりつかまり、合体パイルでフラフラになってしまう。しかし懸命にパトリシアにスイッチ。そして、パトリシアが力のこもった裏拳を成瀬にたたきこんでカウント3を奪った。GWA軍の勝利に大歓声。

氷室、武藤○(2点、バックドロップからの片エビ固め15.52)芝田×、F鏡

氷室が怖い。ストレッチプラムサソリ固め逆片エビで早々にフレイアを戦線離脱に追い込む。残った芝田を集中攻撃。最後は武藤が元SPZ王者の芝田をシャイニングウィザード、ダイビングプレス、バックドロップと怒涛の波状攻撃で撃沈。案外このコンビ突っ走るかもしれない予感。

L内田、M上戸○(2点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 13.33)R神威、デイジー×

タッグチームとしての完成度はジューシーペアのほうが何枚も上。混成タッグもかき回そうとするが、ジューシーペアは早めのタッチワークで的を絞らせない。ライラのカムイエクウチカウシをもらってしまう危ないシーンもあったが、最後はマッキーがスプラッシュマウンテンでデイジーを仕留めた。

B市ヶ谷、R北条○(2点、カカト落としからの片エビ固め 19.20)ローズ、Fローズ1号×

メインはジュエルローゼス対ヒューイットお嬢様軍団。この4人がリングに立つだけで高貴な感じ?が漂う。試合のほうはやはりファントムローズ1号が捕まってしまい早々と戦線離脱。ヒューイットお嬢様が猛攻にさらされ、最後は苦し紛れにダメージの深い1号にタッチしたところをロイヤル北条のカカト落としがズバリ。

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第3戦は秋田大会。
○ローズ、Fローズ1号(2点、バスターローズ 8.38)パトリシア、ジーナ×(2点)

GWA軍の同門対決はヒューイットお嬢様がジーナ・デュラムをバスターローズ(変形のパワースラム)で仕留めてリーグ戦初白星をゲット。

氷室○、武藤(4点、合体パワーボムからのエビ固め 27.39)成瀬×、F真帆(0点)

「武藤、実力では追い越されたけどな、うちらは簡単にはやられへんでー」

成瀬、懸命のストレッチプラムで武藤を追い込んだが、氷室が殴ってカット。その調子で氷室にも脇固め、しかし氷室がパイルドライバーで形勢逆転に成功。最後は武藤を呼び込んでの合体パワーボムで幕。あばしり王者組は27分粘ったのだが・・・

L内田、M上戸(3点、時間切れ引き分け)芝田、F鏡(1点)

過去何度もSPZタッグ戦線で激闘を繰り広げてきた両チームの熱い攻防。ジューシーペアの攻めを芝田が打撃で流れを断ち切る。ダイヤモンドキックでマッキーを追い込んだがこれで闘志に火がついたのか、マッキーのスプラッシュマウンテンで芝田ふらふら。しかしこのあとのラッキーキャプチャーを耐え切ったのだから凄い。最後はお互い死力をつくしての攻防。時間切れ引き分けとなった。

「くそっ、1点取りこぼしちまった・・・」
これが後々どう響くか。

B市ヶ谷○、R北条(4点、デスバレーボムからの片エビ固め 15.52)ライラ、デイジー×(0点)

ビューティ市ヶ谷が最近「タッグは芝田さんと鏡さんにお任せします、わたくしは女王の座にこだわりたいですわ」と言っておりタッグベルト争いからは一歩引いているが、ロイヤル北条と組んだときは負けない。ライラの凶器入りヘッドバット、デイジーの蹴りをものともせず手堅く勝利。

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第4戦は山形大会。
ローズ、Fローズ1号○(4点、スクラップバスターからの片エビ固め 19.04)成瀬×、F真帆(0点)

GWAの女王、ローズ・ヒューイットにあばしり王者組、なすすべなし。最後はフォクシーをパワーボムで粉砕し、孤立した成瀬をズタズタにしたのち、ファントムローズ1号が落ち着いて仕留めた。

ライラ、デイジー○(2点、合体パイルドライバーからの片エビ固め 10.42)パトリシア、ジーナ×(2点)

混成チームが初白星、個々の力で完全に上を行っているので落ち着いてGWAチームを仕留めた。

L内田、M上戸(5点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 22.52)氷室×、武藤(4点)

先月のSPZタッグ選手権と同じ組み合わせ。マッキー上戸と氷室がブレーンバスターの打ち合いで魅せる。氷室のドラゴンスリーパーがラッキーを捉えるがマッキーがカット。最後はマッキーが猛攻。ジャーマンで半失神に追い込んでのスプラッシュマウンテンで氷室を完全に沈黙させた。タッグチームとしての完成度が勝敗を分けたか。

B市ヶ谷○、R北条(6点、合体パイルドライバーからの片エビ固め 15.19)芝田、F鏡×(1点)

ジュエルローゼス同士の対決。今シリーズ市ヶ谷様の動きがいい。こうなると昨日ジューシーペアと30分やって疲労の残る芝田組はきつい。最後はフレイアがつかまってしまった。

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第5戦はいわき大会。

ライラ、デイジー○(4点、ハイキックからの片エビ固め 9.16)成瀬×、F真帆(0点)

混成チームが手堅く2勝目。最後はデイジーの蹴りが成瀬を眠らせて終了。

芝田、F鏡○(3点、DDTからの片エビ固め 13.27)パトリシア×、ジーナ(2点)

芝田組がようやく初白星、GWA外人組を一蹴。

L内田、M上戸○(7点、合体パワーボムからのエビ固め 25.04)ローズ×、Fローズ1号(4点)
「ヒューイットお嬢様はああ見えて手ごわいから、ファントムを狙いましょう」

ラッキー内田の立てた作戦。しかしファントムローズも深追いしない作戦でヒューイットを前面に立てる戦い方。ならばとコンビプレイを多用しヒューイットお嬢様を追い込み、最後は合体パワーボムで仕留めた。

「ちょっとあぶなかったね。」
内容はともかくジューシーペア、勝ち点を7に伸ばした。

B市ヶ谷、R北条○(8点、リバーススープレックス 30.0)氷室×、武藤(4点)

ここまで全勝の市ヶ谷組。この人が本気になればまだまだ敵なしなのか。この日も氷室武藤をちぎっては投げる。パートナーのロイヤル北条も付け入る隙を与えない。氷室の極め技にもロープを背にして闘うクレバーさを見せる。

「これで!」
武藤のドロップキックを仁王立ちで受ける市ヶ谷。

「そんな攻撃は効きませんことよ」
逆に場外でフィッシャーマンバスターというひどいことをやって武藤を戦闘不能に。これで氷室孤立。最後は氷室が強引にパワーボムを狙ったところをリバースで押しつぶして終了。それでも30分の激闘だった。市ヶ谷組はこれで4連勝。

第19回SPZタッグリーグ、ビューティ市ヶ谷、R北条組が8点でトップ。1点差でジューシーペアが追う・・・・

2008年1月14日 (月)

第310回 19年目10月 SPZ選手権ビューティ市ヶ谷×マッキー上戸

19年目10月

10月シリーズ「秋のグレイテストシリーズ」開幕。芝田美紀が右ひじ負傷で欠場。ノエル白石も負傷欠場。フォクシー真帆が写真集撮影で欠場ということで所属選手11名プラス外国人という16人でのサーキット。

第3戦は三重サンシャインアリーナ大会。
セミファイナルはビューティ市ヶ谷対ライラ神威。悪役レスラーとして実力をつけてきた17期生のライラ神威だったが、市ヶ谷様の壁は厚く、一方的に攻め込まれて最後はフィッシャーマンバスターに散った。勝負タイム8分40秒。

「あなたの実力などこの程度ですわ!オーホホホホホホ」

メインイベントはSPZタッグ戦。王者ジューシーペアに挑むのは氷室紫月、武藤めぐみ組。来島さん引退でパートナーがいなくなった武藤と元からパートナーのいない氷室がタッグを組んでSPZタッグをとりにきた。

「落ちろーーー!」

マッキーが早い段階で氷室にスプラッシュマウンテン。これで氷室の動きが止まった。代わった武藤にはラッキー内田が逆形エビ、コブラツイストでじわじわとスタミナを奪い、武藤にペースを握らせない。
最後はマッキー上戸が登場、非力となった武藤を高々と抱えあげて、スプラッシュマウンテン。26分41秒、これでカウント3が入り、王者組が2度目の防衛に成功した。

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最終戦は新日本ドーム大会。
第1試合は野村つばさ18期対GWAのネタ外人ジーナ・デュラム。
「イ、イヤア・・・」
ジーナ・デュラム、弱気な顔をしながらエルボーでぐらつかせて、そのあとノーザンで野村から3カウントを奪った。勝負タイム8分25秒。

第2試合は「アイドルレスラー」キューティー金井対「GWAのネタ外人」ファントムローズ1号。ヒューイットの来日しない今シリーズ、ファントムローズが代理で暴れまくった。
キューティーの動きも相当落ちており、フロントスープレックスやノーザンで攻め込んだが、ファントムローズ1号のミサイルキックに動きが止まってしまう。そしてファントムローズ1号のジャンピングニーに沈んだ。勝負タイム14分58秒。

第3試合はライラ神威がフレイルを振り回しながら入場。きょうはGWAの外人選手パトリシア・ルイスと組んでEWAの強豪デイジー、ヘレン・ニールセンと対戦。ライラ神威は個性が強すぎるので日本人とはタッグを組ませることができないのである。

「ブッコワレローーー」
必殺カムイエクウチカウシはデイジーのカットに阻まれたライラ。そしてデイジーの強烈なニーリフトをもらってしまう。
代わったパトリシアとデイジーが裏拳での殴り合いを展開して場内沸いた。しかし打撃ではデイジーが何枚も上で、倒れたパトリシアにギロチンドロップでトドメを刺して終了。ライラのカットは間に合わなかった。勝負タイム13分28秒。

「フン!!」

ひとりヒールとして孤独な戦いを続けるライラ神威。しかしこの選手、数年後には悪役軍団を結成することになるのである・・・

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休憩明けの第4試合には新鋭の武藤めぐみ登場。きょうは成瀬唯(15期)と組んでロイヤル北条・フレイア鏡のジュエルローゼスと対決。
―先輩方に勝って、近いうちにSPZベルトに挑戦する!そのためには負けられないっ!
武藤が前SPZ王者のロイヤル北条にローリングソバットを連発でタタキこんで追い込む。

が、JRはピンチになるとさっとパートナーにタッチ。フレイア鏡がねちねちといたぶる。

武藤たまらず成瀬にタッチ。成瀬も新日本ドーム後半の試合登場にハッスルし、フレイア鏡と五分の攻防をやってのけた。しかしスクラップバスター2連発を食らって成瀬も動きが止まる。

成瀬、何とか脇固めで反撃していい流れで武藤にタッチ。
「この技を受けて立っていられる?」
武藤勝負に出てシューティングスタープレス。しかしフレイア鏡、カウント2.5でクリアして・・・

「しつこいと嫌われますわよ!」
フレイア鏡、ストレッチプラムで武藤を捕らえる。
「うああああああっ・・・」
「あかん!」

成瀬がカットに入ろうとするがロイヤル北条に殴られて失敗。そのまま場外に連れ出される。

「ウフフフフフ、苦痛にゆがむ顔もステキよ、ゾクゾクするわ。」

耐えた武藤だったがついにギブアップ。勝負タイム30分ジャスト。あと1秒耐えていればドローだった。

セミファイナルは16期生同士の対決。氷室紫月対ラッキー内田。予選会ではL内田、SPZクライマックス本大会では氷室が勝っているカードの決着戦。SPZ王座への挑戦権の順位を考えるとお互い負けられない一戦。試合はお互いスリーパーを軸としたじっくりとした攻防を展開。

「てぇぇい!」
ラッキー内田、目先を変えるためかエルボー、ドロップキック、ジャンピングニーと打撃技で活路を開こうとするが、

「はっ!」
氷室もエルボーを打ち返す。お互い意地がぶつかり合う好勝負となった。しかし・・・

「はっ!」
氷室のパイルドライバー炸裂。氷室は馬力はあるので結構強烈。頭を打ったラッキー内田。

―これ以上は受けられない。

ラッキー内田、勝負に出て、ラッキーキャプチャーZでスタミナを奪っておいてから、ジャーマンでぶん投げた。これは2.5でクリアした氷室だったが、
「これで決めます!」
ノーザンライトスープレックス一閃。これで氷室から3カウント奪取。勝負タイム28分18秒。ギリギリのところでラッキー内田が氷室を振り切った。

セミ前、セミとSPZらしい激戦が続いてファンはすっかり出来上がっていた。
そしてメインのSPZ戦、ビューティ市ヶ谷初防衛戦の相手はマッキー上戸。8月のSPZクライマックス本大会で負けた唯一の相手、ここは力の差を見せ付けて叩きのめして2ヶ月前の敗北はマグレだったと実証しておきたいところ。

「パワーファイトの神髄みせてやるぜ!」
同期・相方のラッキー内田を差し置いてSPZベルト挑戦、マッキーは燃えていた。しかし市ヶ谷も本気モード。

「同じ相手に2度続けて負けるほど私はお人よしではありませんわ!つぶしてさしあげます!」
いきなりラリアットで先手を取る市ヶ谷、そのあとチョップ乱打、ドロップキック、そして、またラリアットと流れるような攻めを見せる市ヶ谷様。

「あ、これは市ヶ谷選手の勝ちですね、上戸選手攻め込まれてパニクッテます」
開始5分の時点で解説の吉田社長が断言。
デスバレーで叩きつけて起き上がったところを裏拳でぶん殴る。マッキー上戸が頭を押さえてうずくまったところをパイルドライバー。

ズン。

これで3カウント。勝負タイム13分16秒、市ヶ谷様が完勝を収めた。

「・・・ちく・・しょーーー」
マッキー上戸、2ヶ月前は勝った相手だが完敗を喫した。

2008年1月13日 (日)

第309回 19年目10月時点のプログラムから

19年目10月

横浜のお嬢様プロレス団体・SPZは入場者にプログラムを無料配布している。吉田社長の挨拶、成瀬唯選手会長(9月にギムレット美月から引き継いだ)の挨拶に続いてスポンサー各社の広告が続く。

「ITの力が企業の潜在力を掘り起こす、エスピーソリューション」

「スポーツ中継から泣けるドラマまで、大日本テレビ」

「日本料理 よこ川」

「紅茶とケーキの美味しいお店 あばしり」

その後選手紹介が続く。

スーパーお嬢様 芝田美紀

2004年11月18日、大阪府箕面市出身。天性の運動神経が井上霧子の目に留まり、SPZ12期生として2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での菊池理宇戦でデビュー。運動神経を生かした瞬発力には定評があり、それを生かした延髄斬りの威力は恐ろしいもので、数々の選手をその餌食にしてダイヤモンドキックと呼ばれるに至った。最近ではビューティ市ヶ谷らとお嬢様軍団「ジュエルローゼス」を結成しメインやセミで熱い戦いを繰り広げる。2027年5月にはビューティ市ヶ谷を破りついにSPZ世界王者に輝く。得意技はダイヤモンドキック。

入場テーマ曲:セプテンバー(アース・ウインド&ファイアー)

アイドルレスラー キューティー金井

本名:金井紗也。2005年1月31日、北海道千歳市出身。SPZのDVDを見てアイドルレスラーになろうと決意しSPZプロテストを受験し見事合格。2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での渡辺智美戦でデビュー。闘志を前面に出すタイプではなく、前座戦線で外人レスラー、先輩レスラーに痛めつけられるキャラで人気は上昇中。時たま出すバックドロップはかなりの威力(らしい)。最近ではギムレット美月と組んであばしりタッグ王座を獲得するなどアイドルレスラーの枠にとどまらない活躍を見せている。

テーマ曲:げっちゅきっちゅsummer(佐藤裕美)

世界最強の暴走お嬢様 ビューティ市ヶ谷

本名、市ヶ谷美香。2005年9月10日、埼玉県さいたま市出身。中学時代は柔道で鳴らし、数多くのジュニア大会で優勝するが、井上霧子に誘われ突如プロレス転向を宣言。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会でのキューティー金井戦でデビュー。その高笑いを交えた個性的なファイトスタイルで人気爆発。

ロイヤル北条とのコンビであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝く。ナターシャ・ハンやハイサスカラスといった世界の一流選手を破り、AAC,EWAのシングルベルトをも戴冠。そしてSPZ王者にもボンバー来島を破り戴冠し、絶対王者として防衛を重ねる。最近でもSPZクライマックス4連覇を果たし、2027年9月にはR北条を破りSPZ王座を奪還するなどまだまだトップの座をキープ。得意技はビューティボム。

テーマ曲:トッカータとフーガ BWV565(J・S・バッハ)

お嬢様特急 ロイヤル北条

本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。中学時代はフェンシングに熱中し全国大会で入賞する成績を残す。しかし、中学を卒業するや上京しSPZの新人テストを受験。合格しSPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。

キビキビとした動きで一躍頭角を現し、同期のビューティ市ヶ谷と組んであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝き、お嬢様軍団「ジュエルローゼス」の一員としてメインやセミでも存在感を出している。2027年7月にはSPZ世界王者に輝くなど、ツボにはまった時の実力は健在。得意技はロイヤルスパイク。

テーマ曲:Jive into The Night(グリーン・オリーブス)

妖しのお嬢様 フレイア鏡

本名:鏡春江。2006年12月13日、長崎県佐世保市出身。井上霧子にスカウトされ、SPZ第14期生として入団し、2022年4月16日、札幌どさんこドームでのビューティ市ヶ谷戦でデビュー。持ち前の運動センスを生かし、関節技を主体としたファイトを見せる。最近ではビューティ市ヶ谷率いるお嬢様軍団「ジュエルローゼス」の一員としてメインやセミでも奮闘し、芝田美紀と組んでSPZタッグ王者にも輝く。鬼気迫る表情で得意技のストレッチプラムを繰り出すシーンがたまらないというファン多数。

テーマ曲:リライト・マイ・ファイヤー(ダン・ハートマン)

野生少女 フォクシー真帆

本名:平津戸真帆。2006年8月18日、岩手県田野畑村出身。SPZの新人テストに合格し、14期生として入団。2022年4月16日、札幌どさんこドーム大会でのロイヤル北条線でデビュー。岩手県の山奥で育ったことをネタにして吉田プロデューサーが「野生少女」というギミックを考え出し、その個性的なキャラで売り出し中。成瀬唯と組んであばしりタッグ王座を獲得するなど若手中堅選手の壁として活躍。得意技はパワーボム、ヘッドバット。

テーマ曲:ウイリアムテル序曲(ロッシーニ)

ナニワファイター 成瀬 唯

本名・同じ。2007年11月2日、大阪府豊中市出身。新人テストに合格し、SPZ15期生として2023年4月21日、釧路アリーナでのフォクシー真帆戦でデビュー。身軽な動きを生かしたプロレスで会場を盛り上げる。大阪出身らしく気合のこもったファイトで多くの固定ファンを持つ。最近ではフォクシー真帆と組んであばしりタッグ王座を獲得するなどSPZに欠かせない存在として活躍。得意技はミサイルキック、ストレッチプラム。
テーマ曲:ミオクルカラ(C.G mix)

運命戦士 氷室紫月

本名・同じ 2008年11月27日、富山県高岡市出身。中学時代からアマレスで身体を鍛え、これに目をつけた井上霧子がスカウト。SPZ16期生として2024年4月21日、仙台アリーナ大会でのマイトス香澄戦でデビュー。レスリングセンスはかなりのもので、ビーナス麗子と組んであばしりタッグ王者に輝き、デビュー2年目でSPZクライマックスに出場するなど16期生の中では一歩リードしている。強力な必殺技を持たないが最近は先輩選手や強豪外人にも力負けしなくなってきている。得意技はドラゴンスリーパー。
テーマ曲:ウォンテッド(ザ・ドゥーリーズ)

ラッキーキャプチャー ラッキー内田

本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。中学時代からアマレスで頭角を現し、SPZ16期生としてスカウトされる。2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。同期の氷室とは出世競争を繰り広げ、スターライト相羽とのコンビであばしりタッグ王座も戴冠。相羽引退後はマッキー上戸との同期コンビでジューシーペアを結成し、あばしりタッグ王座、SPZ世界タッグを戴冠。シングル戦線での勝率アップが今後の課題。得意技はラッキーキャプチャー、ラッキーキャプチャーZ。

テーマ曲:ラッキー・ラブ(カイリー・ミノーグ)

Double Harmonize Shock!(I‘ve sound:ジューシーペア登場時限定)

炎の戦士 マッキー上戸

本名:上戸真紀 2009年3月8日、鳥取県倉吉市出身。SPZ16期生としてスカウトされ、2024年7月16日、青森武闘館大会での氷室紫月戦でデビュー。同期の氷室、ラッキー内田らと出世競争を繰り広げる。パワーに任せて突っ走るファイトで人気も上昇。ラッキー内田とジューシーペアを結成し、あばしりタッグ王座、SPZタッグ王座に輝く。2027年8月にはビューティ市ヶ谷をシングルで破るなどパワーは計り知れないものを持っている。得意技はスプラッシュマウンテン。

テーマ曲:Cheer up full throttle!(某ゲームサントラ)

悪役ファイター ライラ神威

本名:島宮香織。2009年6月16日、北海道新得町出身、SPZ17期生としてスカウトされ、2025年4月21日、釧路アリーナ大会での成瀬唯戦でデビュー。正統派レスラーの多いSPZマットにおいてただひとりのヒールレスラーとして活躍。入場時には凶器を持ってのパフォーマンスを繰り広げ観客を恐怖のどん底に陥れる。
悪役パフォーマンスに目が行きがちだが、リング上でのパワーファイトもかなりのものをもっており、ボンバー来島の引退試合でスプラッシュマウンテンで投げきってカウント3を奪ったときには観客の度肝を抜いた。得意技はカムイエクウチカウシ(高角度スプラッシュマウンテン)、凶器攻撃。

テーマ曲:COLLECTIVE (KOTOKO)

リングのひまわり 野村つばさ

本名:同じ、、2011年3月30日、愛媛県西条市出身。SPZの新人テストに合格し、18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 ライラ神威戦でデビュー。まだまだレスリングは発展途上だが、抜群のルックスと軽やかな身のこなしでファンのハートをつかむ。得意技はミサイルキック、エルボー。
テーマ曲:ほほえみのヴァネッサ(クレイダーマン)

天才姫 武藤めぐみ

本名:同じ、2010年4月4日、静岡県本川根町出身、天性の運動神経に目をつけた井上霧子にスカウトされ、SPZ18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 フォクシー真帆戦でデビュー。SPZの次代をになうスター候補として期待され、デビュー1年足らずでボンバー来島と組んでSPZタッグ王座を獲得し、2年目にはいきなりSPZクライマックス本大会に出場するなど驚異の出世街道をばく進。
しかし2027年8月のSPZクライマックスでは上位選手の壁に阻まれ、ロイヤル北条に勝ったのみの2点という結果。今後の巻き返しが期待される。得意技はシューティングスタープレス。

テーマ曲:アメジスト(KOTOKO)

不思議系戦士 ノエル白石

本名:白石直子、2011年11月11日、新潟県糸魚川市出身。中学時代は助っ人で出た柔道大会で5人抜きするという伝説を持つ。SPZにスカウトされ、19期生として2027年4月20日、釧路アリーナ大会での対 野村つばさ戦でデビュー。レスリングの技術はまだまだ発展途上だが、細身の身体からは想像もつかない腕力の強さを持ち、デビュー2戦目で野村を破ってプロ初勝利を飾るなど今後が楽しみな選手。得意技はスクラップバスター。
テーマ曲:ラジオスターの悲劇(バグルズ)

レフェリー 井上霧子
1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。近年は一部スポーツ紙上で酒びたりであることが暴露され、2027年8月に酒気帯びレフェリング事件が発覚し、社長代行の座を退いた。現在は新人選手のスカウトを務める傍ら、前座試合のレフェリーを務める。

レフェリー 伊達遥
1993年10月23日、宮崎県都城市出身。SPZの一期生として旗揚げ直後から参加し、2009年6月20日根室市体育館、アリシア・サンチェス戦でデビュー。SPZ草創期から団体を支え続け、SPZ初代王者として団体エースとして活躍。2019年2月、現役引退。井上霧子の推薦でレフェリーに転向。井上霧子がフロント業に駆り出される中、伊達が実際のチーフレフェリー格となりつつある。

レフェリー 上原今日子
1995年12月31日、沖縄県那覇市出身。SPZ3期生として2011年5月11日、青森スポツァルト黒石大会の保科優希戦でデビュー。2020年4月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、その人柄か、リングアナウンサー、代打レフェリー、雑用、物販スタッフなんでもやる人になってしまった。現在は主に後半戦のレフェリングを担当。

レフェリー 吉田龍子
1997年11月13日、熊本県八代市出身。2013年4月11日、札幌キターアリーナ大会での富沢レイ戦でデビュー。2022年3月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、ボンバー来島、菊池理宇の後見人として「吉田キラーマシン軍」を結成。第1試合前のMCを勤める。2027年8月、井上霧子のあとをうけて3代目のSPZ社長に就任。バランスシートも読めない社長でSPZの将来をお先真っ暗にすること確実。社長業のかたわら前座のレフェリーも時たまつとめる。

リングアナウンサー 村越忠幸
1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、営業社員兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。2児のパパで趣味は料理。

リングドクター 羽山海
1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野前社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2008年1月12日 (土)

第308回 大爆発!ボンバー来島ファイナルバトル

そして最終戦さいたまドーム大会。

「ボンバー来島 最終試合」

の大看板が。

ボンバー来島、実力はともかく人気はあまりなかったので、第1試合開始前のメモリアルビデオの上映もなく、いつもどおり淡々と第1試合が始まった。

第1試合は新人のノエル白石対弱気のネタ外人、ジーナ・デュラム。無表情を装って投げたり殴ったりする白石。本当に困った顔をしながらも反撃するジーナ。館内は妙に盛り上がった。

「は・・・」
気合だか何だかわからない声とともに繰り出したヘッドバット2連発に、ジーナ、ダウン。
そのままフォールして3カウント、ノエル白石、デビュー半年で外国人選手に勝ってしまった。将来が恐ろしい。勝負タイム11分30秒。

第2試合は野村つばさ対パトリシア・ルイス。パトリシアがわずか6分で野村をラリアットで沈めた。

第3試合は芝田美紀、フレイア鏡対成瀬唯、フォクシー真帆のカード。あばしり王者組が元SPZタッグチャンプと対戦。

「うちらの意地、見せたろうな!」
張り切って向かっていったあばしり王者組だったが、26分45秒、フレイア鏡のジャンピングニー2連発の前に成瀬が力尽きた。

その試合が終わると休憩。

この辺でボンバー来島、最後のウォーミングアップを終えてコスチュームに着替えた。控室でじっと出番を待つ。軽口や焼き肉談義に花を咲かせていた先輩や同期が次々にリングを去り、そしてついに自分の番が来た・・・

―いけねえいけねえ、今日はあいつの曲がった根性を叩きなおしてやるんだった。

ボンバー来島は寂しさを振り払うかのように身体を動かした。

休憩明けの試合にジューシーペアが登場。対戦相手はデイジー・クライ、ファントムローズ1号の外人コンビ。デイジーの蹴りにさえ気をつければ負ける相手ではない。この日もラッキー内田があっさりと一瞬の隙を突いてえぐい逆片エビをデイジーに決めてギブアップを奪い、8分42秒という短時間で終了。

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「来島さん、セミ前終わりました!スタンバって下さい」

コーチ兼雑用係の菊池理宇が声をかける。

「おうよー」
セミ前が終わって一瞬の静寂、そしてー

「次の試合に出場するボンバー来島選手はこの試合が最後のファイトとなります、ファンの皆様、より一層のご声援をお願いいたします」

ワアアアアア!

まず青コーナー側から引退試合の相手に選ばれたライラ神威(17期)が登場

「きぇーへへへへへへ!」

「COLLECTIVE」がかかる中、ガトリング砲を構えたライラ神威が空砲を乱射しながらリングイン。悲鳴を上げる観衆。

そして、ボンバー来島のテーマ「ECLIPSE」がかかる。小気味いいギターサウンドがとどろく中、Tシャツを羽織ったボンバー来島が花道を悠然と歩いて入場。そしてのっそりとロープをくぐってリングイン。

ボンバー来島、最後の相手は吉田社長の配慮で「勝てる相手」ライラ神威が選ばれた。正義のヒーロー来島さんが悪党ライラ神威をたたきのめすというブック。

「青コーナー、北海道新得町出身、らいらー、かむーいー!」
「赤コーナー、福岡県北九州市出身、ぼんばー、きしーまー」

村越リングアナのコールが終わり、上原レフェリーがチェック・・・と思いきや、ここでライラ神威が仕掛けた。

「どけや」

上原レフェリーを蹴り倒して、ポケットから爆竹を取り出すや、ライターで火をつけて来島さんの手前に放り投げた!

「・・・おいおい。」

一部始終を見ていたリングサイドの観客が悲鳴。
ZDOOOOOOOOM!

リングに響く派手な爆発音!ボンバー来島は思わず両腕で顔面をガード。その隙を突いて

「死ねやー!デクノボー!」
ライラ神威がゴング前の奇襲!爆風に怯んだボンバー来島にいきなりおそいかかる。
「キェヘヘヘヘ!」
殴りかかってスリーパー、そしてヘッドバット。ざわめきの中、今野役員がゴングを叩いた。
ライラ神威が来島さんのお株を奪うヘッドバット攻勢。当然覆面の中には何か入れているに違いない。
「これが頭突きなんだよ!」
来島さんの怒りの本家ヘッドバットに場内沸き立つ。
しかし、勢いに乗るライラはタイガードライバー、掌底で波状攻撃。しかし来島もダンプカーの衝撃タックルで手数を返す。が、ここで早くもライラ神威が勝負に出た。

「ハハハハ、泣き叫びナ!カムイエクウチカウシ!」

ボンバー来島の巨体を軽々と担ぎ上げ、スプラッシュマウンテンの要領で垂直落下。
アイヌ語で「熊も転げ落ちるほどの急峻な山」を意味する大技、カムイエクウチカウシを食らった来島さん、そのままフォールされる。

ワン、トゥ、スリー。

上原に代わってこの試合を裁いた井上霧子レフェリーがマットを3つ叩いた。ライラ神威、ブック破りでボンバー来島を撃破してしまった。

「14分56秒、カムイエクウチカウシからのエビ固めでライラ神威の勝ち」

「ハーハハハハハ、来島なんか所詮この程度のものだ!」

ぐったりとした来島さんの顔面を踏みつけ勝鬨を上げるライラ神威。
そこへリング下から「かつてのキラーマシン軍総帥」吉田龍子SPZ社長が上がった。そして菊池コーチ、負傷欠場中だがセコンドについたパートナーの武藤めぐみ(花束を渡す役だった)もボンバー来島救出のためリングに上がった。

「ええかげんにせえよ。」
吉田社長が怒気を含んだ声で言う。しかしここでライラのセコンドについていたノエル白石がスタンロッドを渡す!
スイッチを入れるや「ばちばちっ」と言う音が。そしてライラ神威、なんのためらいもなく吉田龍子社長、菊池理宇コーチ、武藤の3人にスタンロッド攻撃。

「ひあああああっ!」「ぐっ!!」「うああああっ!!」
吉田社長、菊池、武藤は電撃をまともに食らい昏倒。あわてて若手が止めようとするが、スタンロッドを持っているので容易に近づけない。しかし井上霧子がライラの背後から近づき、ライラ神威にー

ヤ ク ザ キ ッ ク !
往年と代わらぬ迫力。スタンロッドを取り落としふっとぶライラ。これは不利と見て取ったのか、

「ひゃははははは、すっきりしたぜえ!」

花道を小走りに引き揚げるライラ神威。感動の引退試合だろうがまるで容赦なし。当初の予定では「正義のヒーロー来島さんが悪のライラを叩き直して現役生活を終える」というブックだったのだが、その斜め上をゆく大暴れをやってのけた。
ライラ神威は「ナパームラリアットを食らって終わる花を持たせること」を良しとしなかったのである。
リング上には吉田社長、菊池コーチ、武藤がマグロのように倒れたままの状況。ようやく来島が起き上がり、観客に一礼してから引き揚げた。吉田社長ら3人は担架で運ばれた・・・

「やっぱり・・甘くないね。プロレスは。でもこれで悔いなく辞められるよ」
控室で後頭部を冷やしながら来島さんはさっぱりとした表情でコメント。

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史上最もむちゃくちゃな引退試合が終わり、ざわついた状態のままメインのSPZ戦。王者ロイヤル北条に挑むのは元王者で先月のSPZクライマックス覇者、ビューティ市ヶ谷。ロイヤル北条はファイトスタイルが似ているのでやり易い相手である。
試合が始まるやビューティ市ヶ谷、まったく危なげない試合運び。ロイヤルスパイクを1発食らったもののあとは隙のない攻めを見せて、最後は弱りきったロイヤル北条にムーンサルト2連発。20分43秒、これで試合は終わり、市ヶ谷様が第52代王者に返り咲いた。

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SPZ世界選手権試合

ビューティ市ヶ谷(20分43秒、ムーンサルトプレスからの片エビ固め)ロイヤル北条

第51代王者が初防衛に失敗、B市ヶ谷が52代王者となる

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メイン終了後、ボンバー来島の引退式。引退後もしばらくはコーチとして団体に残ることが決まっている。
「自分のパワーの限界を感じました。今まで応援ありがとうございました!」
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ボンバー来島(SPZ11期生)

2019年4月16日、釧路アリーナ大会でのガイア小早川戦でデビュー。2028年9月24日、さいたまドーム大会でのライラ神威戦で引退。稼動月数102ヶ月、出場試合数(概算)728試合。

タイトル歴

第39代SPZ世界王者

第42代SPZ世界王者

第46代SPZ世界王者

(通算防衛回数4回)

第22代SPZ世界タッグ王者(パートナーは菊池理宇)

第25代SPZ世界タッグ王者(パートナーは菊池理宇)

第29代SPZ世界タッグ王者(パートナーは武藤めぐみ)

初代あばしりタッグ王者(パートナーは菊池理宇)

第15回SPZクライマックス優勝

第13回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは吉田龍子)

第17回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは菊池理宇)

写真集 1冊
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2008年1月11日 (金)

第307回 散り際は、潔くってな・・・

19年目9月

「散り際は、潔くってな・・・」

SPZ11期生で元SPZ王者のボンバー来島が引退を表明。SPZクライマックスでの2勝5敗という現実を突きつけられてそうとう応えたようだ。

ということで9月シリーズは「ボンバー来島引退シリーズ」として行われることになった。もっとも先月のSPZクライマックスの激闘の余波で武藤めぐみ、氷室、キューティー金井が負傷欠場となったので所属選手12名プラス外国人4名でのサーキットとなった。

今シリーズ前半は九州各県のサーキット。福岡出身の来島さんは大歓声で迎えられた。が、メインでジューシーペアと組んで市ヶ谷率いるジュエルローゼスと対戦する日々が続いた。

第3戦別府大会、メインはやはりラッキー内田、マッキー上戸、ボンバー来島対ロイヤル北条、芝田美紀、ビューティ市ヶ谷の6人タッグ戦。21分44秒の激闘が繰り広げられ、なんと最後はラッキー内田の逆片エビ固めに市ヶ谷様がギブアップ。場内ええええ!の声。

「よっしゃあ!」
ジューシーペアプラス来島の3人が一緒に勝利のポーズ、

―もっとも翌日の熊本大会では同じカードが組まれ、きっちり市ヶ谷がシューティングスタープレスで仕返しをした。

第5戦長崎アリーナ大会。ボンバー来島はジューシーペアと組んでメインの6人タッグに登場、相手は外人チーム、デイジー・クライ、ファントムローズ1号、パトリシアルイス。

「あのネタ外人をたたきのめすとすっか!」
だが来島さんの出番はなかなか訪れない、ジューシーペアが率先して外人3人を叩き潰す。最後はラッキー内田が14分27秒、ラッキーキャプチャーでネタ外人、いやファントムローズ1号を破った。来島さん、出番なし置物状態。

「ったく、しょうがねえやつらだ、先輩にも出番残しとけよ」

第6戦佐賀大会セミファイナル、来島さんがジューシーペアとトリオを組むのもこれで最後、相手は市ヶ谷芝田フレイアのジュエルローゼス。
「赤コーナー、鳥取県鳥取市出身、まっきー、うえーとー、東京都多摩市出身、らっきー、うちーだー。福岡県北九州市出身、ぼんばー、きしーまぁー」

実力で追い越されていてもコールは来島さんのほうがあとで、入場テーマも来島のテーマ「エクリプス」で入場する。
佐賀大会のセミは盛り上がった。しかし最後は15分3秒、怖い関節おねえさんラッキー内田がコブラツイストで芝田からギブアップを奪った。

佐賀大会メインは久々開催のあばしりタッグ戦。王者組フォクシー、成瀬に挑むのはGWAのファントムローズ1号、パトリシアルイス組。
ド派手な衣装に身を包みリング上を華麗に飛び回るファントムローズ1号。しかし何とか動きを見切ったフォクシー真帆が
「捕まえたよ!真帆の勝ちだ!」
パワーボム一閃。これで3カウントを奪った。勝負タイム23分19秒、王者組が初防衛に成功。

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第7戦山梨カイメッセ大会。ボンバー来島はセミでビューティ市ヶ谷と最後のシングル対決。
「・・・まあ、胸を借りるよ。」

「オーホホホホホ!最後は木っ端微塵に叩きのめして差し上げますわ!あなたの行き先は病院のベッドになりますわ!」

「寝ぼけたこと抜かすな、この高慢ちきお嬢」

しかし試合は一方的に市ヶ谷が投げまくり蹴りまくった。最後は14分35秒、ハイキックで幕。SPZの一時期を支えた2強の最後の激突が終わった。

やまなし大会メインはSPZタッグ戦。王者ジューシーペア、防衛線の相手は元王者の芝田美紀、フレイア鏡組。今シリーズ、6人タッグでさんざん対決した両チームだが、さすがにベルトがかかっていると気合の入り方がいつも以上。しかし能力に翳りが見えてきた芝田がつかまってしまう。それでもダイヤモンドキックを打ってフレイアにスイッチ。
フレイアも懸命にマッキーのパワーファイトについていったが、形勢を変えるまでには至らず、苦し紛れにダメージの抜けない芝田にタッチしたところをマッキー上戸のスプラッシュマウンテンに沈んだ。勝負タイム48分20秒。王者組が初防衛に成功。

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SPZ世界タッグ戦

M上戸○、L内田(48分20秒、スプラッシュマウンテンからのエビ固め)芝田美紀×、F鏡

王者組が初防衛に成功

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そして最終戦さいたまドーム大会。

「ボンバー来島 最終試合」

の大看板が。

2008年1月10日 (木)

第306回 FINAL oblivion

19年目8月 SPZクライマックス(3/3)

第7戦はどさんこドーム大会。ギムレット美月カウントダウン2は第1試合で野村つばさと対戦、7分30秒、アイドルレスラーをまったく寄せ付けず裏投げで勝利。

「フウ、あと・・・ひとつですね。」

そして、リーグ戦はいよいよ大詰め。
芝田(5点、時間切れ引き分け)M上戸(7点)

パワーならマッキー上戸、打撃の鋭さと試合運びなら芝田。両者の個性が真っ向からぶつかった。いつものようにマッキー上戸はヘッドバット攻め。芝田は掌底マシンガン。

「上戸さんはもっとずるくならないといけませんね・・・」
井上霧子が本部席でつぶやく。真正面から向かうだけでは勝てない相手がいる。それでも自分のプロレスを信じて真正面からぶつかってゆく上戸。頭突き、また頭突き。
やせ我慢をして「無駄、そんな攻撃は効きませんわよ」と装っていた芝田ついに崩れる。マッキー上戸、そこへギロチンを落とす。がー

「いきますわよ」
芝田、最後の勝負に出て裏拳、ダイヤモンドキック。カウント2.8で返す上戸。試合は長期化した。

「コノヤロウ!」
ジャーマンで反撃するマッキー上戸。カウント2.5で返したところでタイムアップのゴングが鳴った。マッキー上戸、シード権確保にも優勝の可能性が消えたので、浮かない表情。

氷室(8点、パワーボムからのエビ固め 16.48)武藤(2点)

予選会では武藤が攻めていたのに終盤でポカをやって逆転負けした相手。しかし今日は氷室、あと1点でシード権確保、そしてなにより優勝の可能性をまだ残しているのでねちっこくねちっこく攻め込んでいって、試合中盤からブレーンバスターなどの立ち技を多くしてくる。武藤も反撃するのだが、氷室、間合いをうまく取って波状攻撃を許さない。

しかし武藤も意地を見せ、シューティングスタープレスからのバックドロップ連発で氷室をあわてさせる。

「・・・・くっ」
氷室、勝負に出た裏投げは2.8で返されるが、ここで奥の手パワーボム。武藤を何とかマットに沈めた。

破れはしたが武藤めぐみ、内容は悪くなかった。氷室もまずシード権を確保、明日の市ヶ谷戦に優勝の望みをつないだ。

R北条(8点、ロイヤルスパイクからの片エビ固め 16.07)L内田(6点)

6点同士の対戦。シード権確保まであと一歩の両者、気合のこもった攻防を見せる。しかしパワーに勝るロイヤル北条が優位に立って、パワースラムでぐらつかせてのロイヤルスパイク一閃!これで4勝目ゲット。

「私はチャンピオンです。そう簡単に優勝争いから脱落するわけにはいきません」

B市ヶ谷(10点、ハイキックからの片エビ固め 10.38)B来島(2点)

落日モードの来島さんが市ヶ谷様と対戦。やはり力の差は明らかで、市ヶ谷の厳しい攻めに防戦一方。最後は起き上がったところを強烈なハイキック。

「くっ・・・・ウォォォーッ!!」

しかし来島倒れず、不意打ちナパームラリアット。しかし市ヶ谷すぐさま起き上がって、2度目のハイキック。今度は来島倒れた。そのまま3カウントが入った。

最終戦を前にして優勝争いは3人に絞られた。

1敗:ビューティ市ヶ谷

2敗:氷室紫月、ロイヤル北条

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そして最終戦は横スペ大会。入り口には下記の大看板が。

「ギムレット美月・最終試合」

第1試合は野村つばさ対ジーナ・デュラム。人気絶頂の弱気ネタ外人がアキレス腱固めで野村からギブアップ勝ち。館内沸いた。

第2試合はライラ神威対フレイア鏡。フレイア鏡が22分の激闘を制し、ライラからアームホイップをタイミングよく決めて3カウントを奪った。

第3試合は成瀬唯フォクシー真帆ノエル白石の3人が外国人3人(P・ルイス、ヘレン・ニールセン、ローズヒューイット)相手に玉砕。

そして第4試合。
「次の試合に登場するギムレット美月選手はこの試合が最後のファイトとなります!ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします!」

「oblivion」の機械質なメロディがかかるやものすごい歓声。体格も力もない彼女だが、絶妙のインサイドワークでAACのベルトまで巻いた。だがデビューから9年がたち、彼女の身体は激しいファイトの代償でボロボロの状態であった・・・

♪砕け始めた夜の 隙間ふいに揺れて、拒んだ、空気が、また滑り込む・・・

ーこのろくでもない会社はどうしてこんな微妙なマッチメイクをするのでしょうか。頑張れば勝てる相手よりも最後はパッと散って終わりたかった・・・

♪いつか命、絶えれば この痛みも消える それなら今だけ 追憶に溶け・・・

ギムレット美月、横スペの花道をゆっくりと歩いて、階段を登り、リングに上がった。

「青コーナー、北海道千歳市出身ー、キューティー、かなーいー!」

「赤コーナー、岐阜県垂井町出身ー、ぎむれっとー、みつーきー!」

 対戦相手は12期のキューティー金井。半分泣き顔でギムレット美月に襲い掛かっていった。ギムレットも懸命に立て直そうとしたが、ドラゴンカベルナリアは力ずくで振りほどかれ、逆にキューティー金井のノーザンでカウント2.8まで追い込まれる。

ー気合が入ってますね。いつもこういうファイトができればいいものを・・・

 しかしギムレット美月も意地でネックブリーカー2連発、カウント2.8で返すキューティー金井。

「ならばこれで・・・」

ギムレット美月が仕掛けたドラゴンスリーパーはキューティー金井、懸命にこらえて、泣きながらもギブアップだけはしなかった。そしてギムレット美月が息が切れたころあいを見計らって脱出。そして

「うーわーっ!」
キューティー金井、すばやくコーナーに登ってミサイルキック。これはカウント2.8で返したギムレット美月だったが、起き上がったときにはキューティーが間合いを取って走りこんでいた。
本気のたいあたり命中。ギムレット美月は全身を強く打ってカバーの返しが遅れた。
ワン、トゥ、スリー。

「20分6秒、ショルダータックルからの片エビ固めでキューティー金井の勝ち」

勝ったキューティーのほうが泣いていた。両者起き上がって握手。そのあと今野前社長、井上霧子、そしてデビュー戦の相手だった小川ひかるがひさしぶりに公の場に姿を現し花束を贈呈。思い起こせば9年前の3月、この3人で岐阜まで押しかけ彼女をスカウトしたのである。

「長い間お疲れ様、本当によく頑張ったね」

そのあとTEPの看板巨漢レスラー、ヒロポン粕谷がリングに上がり記念品の贈呈。館内はどよめいた。
「お疲れ様、これからもよろしく頼むよ」
若手の頃、彼女はこの団体を観戦に訪れ幾多のムーブを盗んだことがある。

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そのあと休憩、そしてSPZクライマックス最後の4試合。

R北条(10点、裏投げからの片エビ固め 18.59)M上戸(7点)
まだ優勝の可能性を残すロイヤル北条、SPZ王者の意地でマッキー上戸を攻め立て、ロイヤルスパイク2発で棒立ちにしてからトドメの裏投げ、10点でリーグ戦終了。SPZ王者としてまず合格点か。

「ちっくしょおおおおお・・・」

マッキー上戸、出だしは市ヶ谷様を破って3連勝するなど調子よかったのだが、後半失速・・・

B来島(4点、パワーボムからのエビ固め14.17)芝田(5点)

ボンバー来島、最終戦では意地を見せ、芝田美紀をパワーボム乱発で撃破。それでも4点。芝田も5点でシード権を手放す。時代は確実に流れている。

L内田(8点、ラッキーキャプチャーZ 12.45)武藤(2点)

ラッキー内田、ラッキーキャプチャー→ラッキーキャプチャーZと鬼のコンボで武藤を下し予選会の借りを返した。これでシード権を確保。敗れた武藤、北条に勝っただけの2点でリーグ戦を終えた。

「・・・もっと強くなって、仕返しします」

B市ヶ谷(12点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 14.12)氷室(8点)
「市ヶ谷さんが負けたら3人で巴戦だよ、引退試合とかで時間押してるのに」

心配性の今野役員。常打ち会場だからこそ決まりごとは守らないといけない。

「まあ、その確率は低いでしょうね。市ヶ谷さんも3連戦なんてやりたくないでしょうし。市ヶ谷さんがすぱあっと勝って終了ですよ」

一方的な市ヶ谷ペース。デスバレーで氷室フラフラに。氷室が一発逆転を狙ってしかけたドラゴンスリーパーはあまりにロープに近い。市ヶ谷、余裕の表情でフィッシャーマンバスター。これでカウント3。

「オーッホッホッホッホ!!当ッ然の結果ですわね!!」

ビューティ市ヶ谷、SPZクライマックス驚異の4連覇達成。吉田社長から賞状と金一封、副賞として「ダイヤのペンダント」が贈られた。初戦を落としてからは抜群の安定感だった。

「プロとして最善をつくしました。ジュエルローゼスで祝勝会ですね」

準優勝はSPZ王者のロイヤル北条、横浜中華街のお食事券が贈られた。
表彰式のあと、ギムレット美月の引退式。

「いつもこの団体の応援ありがとうございます。ギムレット美月は今日で終わりますが、自分にはまだやるべきことがあります。さよならは言いません。また、いつか、お会いしましょう。」

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ギムレット美月(SPZ10期生)

2018年4月15日、札幌キターアリーナ大会の小川ひかる戦でデビュー。2027年8月15日、横浜スペシャルホールでのキューティー金井戦で引退。稼動月数113ヶ月、出場試合数(概算)808試合

タイトル歴

AAC世界選手権

第2代・4代・7代あばしりタッグ王者(パートナーはガイア小早川)

第11代・第21代あばしりタッグ王者(パートナーはビーナス麗子)

第16代あばしりタッグ王者(パートナーはキューティー金井)

写真集1冊
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2008年1月 9日 (水)

第305回 ボンバー来島の崩壊

19年目8月 SPZクライマックス 続き

第4戦はなにわパワフルドーム大会。

第1試合で今シリーズ限りで引退のギムレット美月が19期生のノエル白石と対戦。スクラップバスター2連発で追い込まれたものの、

「はっ!」

ハイキック一撃、崩れ落ちるノエル白石。これでカウント3。

「キャリアの浅い選手を仕留めるには頭を攻撃して動きを止めてしまうのが基本です」
そしてこの日もリーグ戦。

M上戸(6点、ジャンピングニーからの片エビ固め14.57)B来島(2点)

「上戸さんよぉ、パワーファイトで本家のあたしに勝てると思ってんのか?」

 「できないって思ったら、できることもできなくなる。だから、今日はあんたを潰す」

「ヘッ、おもしれえ」
マッキー上戸、ナパームラリアットにも怯まずバックドロップ3連発、まるで容赦なし。
しかし来島もタックル、裏拳で懸命の反撃。

―おもしれえ、力でここまであたしとやりあうとはな。
ボンバー来島、奥の手STO!これで決まったかに見えたがが、マッキーカウント3ギリギリでクリア。

「そげな・・・」
呆然とする来島、そこを走りこんでジャンピングニー。まともに入った。来島崩れ落ちる。
ワン、トゥ、スリー!
ボンバー来島破れる。上戸これで3連勝!もしかしてもしかしてもしかすると。

武藤(2点、シューティングスタープレスからの片エビ固め 15.41)R北条(2点)

SPZ王者・ロイヤル北条にも懸命に食らいついていく武藤、ロイヤル北条のパワースラム、カカト落としを食らってもあきらめない。ダイビングプレス、ムーンサルトと飛び技で猛反撃。
―そんな、コイツいつのまにそんなに・・・

「これでフィニッシュ!」
狼狽する北条を転ばせて、シューティングスタープレスがズバリ。これで3カウント奪取。武藤、SPZクライマックス1勝目。これは大きな大きな一歩。

「予選会で苦しい思いをしたから絶対ひとつは勝ちたかった」

ロイヤル北条2敗目。優勝争いから大きく後退・・・

氷室(2点、パワーボムからのエビ固め 26.55)L内田(4点)

16期生同士の一戦。予選会ではラッキー内田が勝っている。この日もテクニカルな攻防に沸く。

―私は負けない。この日のために苦しい特訓にも耐えてきた。

16期生のうちでもっとも練習熱心なのがラッキー内田。この日もグラウンドテクニックを駆使し、氷室を追い込んで行くが氷室が奥の手パワーボムを出してきた。1発目はカウント2.5で返した内田だったが2発目、万事休す。

「良かった・・・」
氷室紫月リーグ戦初白星。ラッキー内田の連勝が止まった。

B市ヶ谷(4点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 14.53)芝田(2点)

「そろそろフルスロットルでいかないといけませんわね」

大本命の市ヶ谷様、いつものような華麗で力強いファイト。そして打撃戦でも一歩も引かない。そしてDDTで突破口を開き、ブンと裏拳をたたきつけてからのフィッシャーマンバスター。これで2勝目。

第5戦しゃちほこドーム大会。ギムレット美月は第3試合での登場。ライラ神威の凶器攻撃に悶絶・・・

そしてリーグ戦。
R北条(4点、ニーリフトからの片エビ固め 13.18)B来島(2点)

1勝2敗と星が上がっていない両者の対戦。

―私はSPZチャンプなんだ。「過去の人」には負けられない!

ヘッドバットの打ち合いでも動じず、逆にシャイニングウィザード、バックドロップとたたみかける。

―くそ、こんなはずじゃあー

焦る来島だがどうしようもない。最後は棒立ちになったところへニーリフトがグサリ。腹を押さえてもがく来島、押さえ込んでカウント3が入った。

芝田(4点、ダイヤモンドキックからの片エビ固め 11.33)武藤(2点)

デビュー1年ちょっとの武藤が、SPZ前王者の芝田と対戦。だが試合運びという点では芝田が何枚も上。強烈な掌底連発で流血に追い込んで、ダイヤモンドキック。頭に強い衝撃を受けた武藤は動けなくなった。

氷室(4点、ドラゴンスリーパー 14.25)M上戸(6点)

予選会ではマッキーが勝っている組み合わせの再現。互角の攻防が続いたが、13分ごろ氷室のドラゴンスリーパーがリング中央で決まる。マッキー上戸抜けられない!

「うがああああ・・・っ」

懸命にこらえたマッキー上戸だったがついにギブアップ。マッキー上戸、3連勝で止まった。

B市ヶ谷(6点、パイルドライバーからの片エビ固め 13.58 )L内田(4点)

前の試合でトップを走っていたマッキーが負けるのを見て市ヶ谷「まあこんなものですわね」とひとこと。今日の相手はラッキー内田。デスバレーを連発し追い込み、場外戦でパイルドライバー、裏拳と容赦のない攻めをみせ、最後はリング内に戻してのパイルドライバー。これで3カウントを奪った。これで6点でB市ヶ谷とM上戸が並んだ。

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第6戦は仙台大会。ギムレット美月は第3試合で成瀬唯と対戦。いつものようにグラウンド技を駆使しじりじりと攻めるギムレット美月だったが、15分過ぎに集中力が切れてしまい成瀬に苦戦を強いられる。それでもドラゴンカベルナリアを繰り出すがあっさり腕のクラッチを切られてしまう。

―勝ちたい。今日入れてあと3試合。
しかしギムレット、攻撃の手を緩めることなく裏投げ、これで成瀬から3カウントを奪った。

そしてリーグ戦は佳境に、熾烈な星の潰しあい。

R北条(6点 カカト落としからの片エビ固め 16.50)芝田(4点)

JRの同門対決。先月の新日本ドーム決戦メインのSPZ戦と同じ顔合わせ。
―打撃さえ防げれば芝田さんは怖くない。
そうディフェンスを固めて芝田と相対するロイヤル北条。その上で一つ一つ投げ技を積み重ねて優位に立って、トドメはカカト落とし。先月に引き続きロイヤル北条が芝田を下した。

L内田(6点、DDTからの片エビ固め 15分くらい)M上戸(6点)

めったに見られないジューシーペア対決。
「くらえっ!」
頭を使ったマッキー上戸、ヘッドバットを連発してスタミナを奪う。アタマを使ったラッキー内田、じわじわとスリーパーを断続的に仕掛けてダメージを与えていく。しかしマッキーの作戦は残酷。ヘッドバットで頭を打ったところへバックドロップでさらに頭にダメージを蓄積させる。
遠慮なきファイトでラッキー内田を追い込む。しかしラッキー内田もラッキーキャプチャーZで反撃に転じ、すかさずDDT2連発。これで3カウントを奪った。

マッキー上戸ブレーキ。3連勝のあと氷室内田に2連敗。予選会では勝っているのにああもったいない。館内のファンはため息。

氷室(6点、パイルドライバーからの片エビ固め 14.46)B来島(2点)
―そ、そげな・・・
こんなはずではない。

ボンバー来島、築き上げてきたものがガラガラと崩れる音を彼女は聞いた。氷室にも攻め込まれる来島、懸命にナパームラリアット、裏拳で反撃するも、続くダイビングプレスをヒザ剣山で潰され、もがき苦しむ来島。そこへパイルドライバー。これでカウント3、4敗目を喫し、確保し続けてきたシード権を失った。

B市ヶ谷(8点、デスバレーボムからの片エビ固め 11.31)武藤(2点)

―とうとうここまできた。最強の市ヶ谷さんとサシで闘えるところまで。

もちろん勝ち気な武藤のことだから勝つ気でいた。
「オーホホホホ、あなたのようなコムスメなぞ10分で叩き潰してさしあげますわ」
市ヶ谷圧倒的な強さ。武藤のドロップキックにまったく動じずデスバレー2発で武藤をほふった。これで単独トップに立った。

第19回SPZクライマックス、残り2戦でビューティ市ヶ谷が単独トップに躍り出た。

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筆者より:北海道3泊4日旅行でしたが、2日目に吹雪の旭山動物園で体調を崩し風邪をひいてしまい昨日予定を繰り上げ緊急帰京しました。現在体温は37度前後、PCは打てるのでとりあえずストックから更新・・・

2008年1月 8日 (火)

第304回 19年目8月 SPZクライマックス

19年目8月

「潮時ですね、引き際を誤れば思わぬ事故につながりますし・・・」
10期生のギムレット美月、「引退」を表明。1期生と肌を合わせたことのある最後の一人がSPZのリングを離れることになった。

そして8月3日夜9時。

SPZクライマックスの出場選手記者会見がSPZ本社2階のメイド喫茶「あばしり」を借り切って行われた。

■「殺人ラリアット・前SPZ世界王者」ボンバー来島(23)

7年連続7回目の出場 第15回大会優勝 京スポ予想倍率10.3倍
「たぶんこれに出られるのも最後だな。せいぜい怪我しないよう頑張るよ」
■「一騎当千のお嬢様」芝田美紀(22)

6年連続6回目の出場、 京スポ予想倍率17.9倍
「ホーッホッホホホホ!芝田ここにありということを全国のファンに見せ付けますわ」

■「史上最凶のお嬢様 」ビューティ市ヶ谷(21)

5年連続5回目の出場 第16回・第17回・第18回大会優勝 京スポ予想倍率1.2倍
「オーッホッホッホ!全員このわたくしにひざまづくのです!」

■「スーパーお嬢様・SPZ世界王者」ロイヤル北条(21)

5年連続5回目の出場 京スポ予想倍率18.9倍
「自分のレスリングを信じて白星を積み重ねたいです」

以下は予選会勝ち上がり組。

■「炎の闘志」マッキー上戸(18)

2年連続2度目の出場 予選会1位通過 京スポ予想倍率54.5倍
「ぺしゃんこにしてやるぜ!」

■「氷の彗星」ラッキー内田(18)

2年連続2度目の出場 予選会2位通過 京スポ予想倍率46.5倍
「SPZ王座挑戦の足がかりを築くために頑張ります」

■「ザ・運命」氷室紫月(18)

3年連続3回目の出場 予選会3位通過 京スポ予想倍率99.9倍
「運命の歯車が回り始めた・・・」

■「超新星」武藤めぐみ(16)

初出場 予選会4位通過 京スポ予想倍率99.9倍
「まあ、やるだけだわ」

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初戦の京都大会は前夜祭。今シリーズ限りで引退のギムレット美月はセミに登場。ボンバー来島、成瀬唯と組んで氷室・マッキー上戸・ラッキー内田の16期生と対決。成瀬がマッキーの力攻めに沈んだ。
第2戦九州ドーム大会。地獄のリーグ戦がスタート。

B来島(2点、パワーボムからのエビ固め 15.50)武藤

タッグパートナー同士の対戦、もっとも来島さんに言わせれば「アタシのベストパートナーは菊池だよ。あいつは吉田さんからメンドウみてくれって言われてるだけさ、だから対戦するときは、自分のために叩き潰す。」

しかし、武藤が互角以上のファイト。来島の力押しにも耐えて反撃。しかしボンバー来島も

「1年ちょいの選手に負けられっか!」

重たい裏拳でぐらつかせてパワーボム。これで3カウントが入った。

「ふいー、あいつ天才肌と思ってたけど、意外と根性あるね」

L内田(2点、ラッキーキャプチャーZ 28.43)芝田

このリーグ戦、本命は市ヶ谷様で動かないのだが対抗してくるのは団子状態であり、だれが予選会落ちするかわからない混戦である。シビアな闘いを制したのはラッキー内田。最後はラッキーキャプチャーZをリング中央で決めて終了。

「よしっ、まず1勝ですね・・・」

R北条(2点、裏投げからの片エビ固め 13.06)氷室

SPZ新王者のロイヤル北条、しかし16期生の氷室にのっけからグラウンド攻勢で捕まり大苦戦。なんとかロイヤルスパイク2発、裏投げで流れを変え、最後は2発目の裏投げで氷室を撃破。
「私はチャンピオンですからね。そう簡単には負けられません」

M上戸(2点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 14.06)B市ヶ谷
「リーグ戦などやらなくても結果は見えてますわー!!」

前月、写真集を撮影し、休養充分の市ヶ谷様、落ち着いてマッキーを仕留めにかかったが、パワー勝負ならマッキー上戸も負けない。場外戦で優位に立ったマッキー。そして

「てゅりやああああ!!」

なんと場外バックドロップ炸裂。頭を打った市ヶ谷様は動けなくなった。

これでグロッキー状態にしてから、リングに押し入れて、
「決めるなら今しかないッ」
スプラッシュマウンテン炸裂!
ワン。トゥ、スリー!なんと市ヶ谷様から3カウント奪取。大本命が初戦から黒星発進・・・

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第3戦若鯉球場
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
第3試合、今シリーズ限りで引退のギムレット美月、フォクシー真帆の頭突き攻勢に苦戦を強いられたものの、最後はドラゴンカベルナリアでフォクシー真帆からギブアップを奪った。場内は大きな拍手に包まれた。

そしてリーグ戦。
M上戸(4点、ジャーマンSH 9.50)武藤(0点)

きのう市ヶ谷を破って一躍優勝戦線に殴り込みを宣言したマッキー上戸。しかし今日の相手の武藤、先輩相手に遠慮なく攻める。危ない場面もあったがスプラッシュマウンテンで大ダメージを与えてのジャーマンという勝ちパターンがズバリ。

L内田(4点、ラッキーキャプチャー14.0)B来島(2点)

SPZの試合中の本部席は3人が座っている。タイムキーパーの村越リングアナ、ゴング叩きとテーマ曲担当の今野役員、そして審判部長の井上霧子。
「今野さん、ラッキー選手のときは小川さんを見るような目ぇしてますね」
「そ、そんなことないさ~」
本部席でフロント陣がひそひそ話をしている間に、リング上ではボンバー来島のラリアット、パワーボムをしのぎきったラッキー内田が、ラッキーキャプチャーを極めた。
「くそ・・ギブアップ」
来島さん無念のタップ。この結果も最近では珍しくなくなってきた。

芝田(2点、ノーザンライトSH 26.49)氷室(0点)

2連敗は避けたい両者が力のこもった攻防を見せる。しかし切り札を持っている選手は強い。ダイヤモンドキックで突破口を開いた芝田、弱った氷室を攻めて、終盤は怒涛の裏拳攻め。文字通りボッコボコ。フィニッシュはノーザンライトだった。

B市ヶ谷(2点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 11.26)R北条(2点)
昨日まさかの敗北を喫した市ヶ谷様、さすがにエンジンがかかってきて、対戦相手のSPZ世界王者・ロイヤル北条にデスバレーを連発して子ども扱い。フィニッシュはフィシャーマンバスターでかっこよく締めた。

第19回SPZクライマックス、リーグ戦2戦を消化してラッキー内田・マッキー上戸が4点でトップ。市ヶ谷様の4連覇はなるのか・・・

2008年1月 6日 (日)

第303回 ギムレット美月の退職

7月シリーズ終了後、「体力的・技術的な限界」を感じたギムレット美月は引退を表明した。7月シリーズ最終戦新日本ドーム大会の翌日、SPZ本社で吉田社長今野役員と面談。

ギムレット美月、25歳を過ぎ、「後半の試合にはもう対応する自信がありません」ということでSPZの吉田社長に引退を申し入れた。

「まあ、レスラーは自分の出処進退は自分で判断するしかないからね。で、引退後は何かか予定はあるの?しばらくSPZでコーチとかで・・」

 「お話はありがたいのですが、少しやりたいことがありますので、遠慮します」

「・・・・・・」

 「まだ身体は動くので、プロレスを辞めようか迷いました。しかし考えたのですが、SPZのプロレスには対応できませんし、これ以上ギムレット美月の仕事はできませんのでSPZを退職したいと思いますが、まだプロレスのビジネスには携わりたいと考えています」

「・・・・TEP、行くの?」

東京エクストリームプロレス。首都圏が地盤の男子・女子なんでもありのインディー系団体である。ギムレット美月はここの粕谷社長とは親交があった。

 「まあ、そういうことになります。昨日粕谷さんには話しておきました。」

「・・・・・気持ちは分かるけど、SPZを去る事は感心しないな」

 「今の私の力は見ての通りです。これ以上ギムレット美月のイメージを壊したくありません。吉田さんだってそうだったと思います。6年前の11月、私にフォールを取られたのが引退を考えた最初でしょう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「ですが、まだプロレスという仕事は辞めたくありません、あの会場の非日常的な雰囲気が好きです。とはいえもうギムレット美月としてのファイトはできないので、新しいギミックを考えて新しい環境でやろうと考えました。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・今野さん、どう思う」

吉田龍子社長も退職申出者の面接は初めてだったのでどうしようかといった状況。

「八重樫さんの言いたいことはよく分かりました。ボロボロになっても現役を続けたいのはよく分かりますが、SPZはハードなレスリングが売りの団体ですから、居場所がないと感じたのかも知れませんね、それに八重樫さんはもう9年以上もSPZでファイトされて充分この団体の発展に貢献されたと思います。」

いったんリングに上がればどの選手も全力ファイトをする。ジーナ・デュラムやファントムローズ1号のようなネタ外人だってそうだ。

「それに、私がムリに現役にとどまると、ライセンスの問題があると思います。」

SPZには世界レスリングコミッションから交付されるレスラーのライセンスは16名分しか枠がない。EWAやGWAといった海外団体と提携する以上この問題はついて回る。力の衰えた選手が現役にしがみついたままだと新人選手がいつまでたってもデビューできず団体の衰退を招くことは充分予見できる・・・

「SPZさんとはケンカ別れしたくありませんし、年末のマスターズ戦にはぜひ出たいと思っています。なんとか円満退社ということで了承していただけないでしょうか」

ということで話し合いの末、ギムレット美月「引退」が決まった。いちおう口頭ベースの約束としては、引退後、どこのリングに上がっても構わないがギムレット美月のリングネームは使用しないということになった。

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ギムレット美月の引退試合は8月シリーズSPZクライマックス最終戦となった。翌日の夕方プレスリリース。AACチャンプにまでなった個性派レスラーの引退ということでけっこう大きく扱われた。その日の京スポ新聞に独占インタビューが載った。聞き手は若林記者。

ー引退を決意された理由は。

G美月:体力的なものですね。右腕を骨折して2ヶ月休んで無理して復帰しましたが、SPZのレスリングにはまだついていけません。さりとて半年も1年も休み続けることはできませんので、ギムレット美月をこれで終わらせることにしました。

ー引退後のご予定は。

G美月:プロレスビジネスで少しやりたいことがあります。

ーそのやりたいこととは何ですか?

G美月:私はこれまでいくつものプロレス団体を勉強のために見てきまして、多くの中小団体が存在するのを知りました。そういった団体は選手が副業をされながら闘っているケースが見られます。プロレス界の発展のためには、競技人口の裾野を広げていかない限りやがてはこの業界もいつかは下火になると思います。しかし中小のプロレス団体は月に1回、数ヶ月に1回試合を開催するのがやっとというところがザラです。なぜ興行をもっと打てないのかということを考えましたが、会場使用料の問題があることに気づきました。格闘技の殿堂の後楽園プラザの使用料は150万、地方の体育館でも30万くらいかかってしまいます。これでは客席が埋まらなければ、団体の持ち出しになってしまいます。

ーそうですね。

G美月:そこで考えました、会場使用料が高すぎるのであれば、私が都内のどこかに小規模用のプロレス会場を作ってしまえばいいと。古い倉庫か店舗の物件を居抜きで買って、少し改造してプロレス会場を作り、使用料を低く抑えて中小のプロレス団体に貸す。こうすればプロレスにかかわる人の裾野が増えるのではと思います。

ーそういう野望があったんですねえ。

G美月:野望というほど大げさなものではありません。大好きなプロレスに体が動けなくなってもかかわるとしたらこの方法か、自分で新団体を立ち上げるしか考え付きません。後者は今野さんや井上さんの苦労を見ているのでイヤです。酒びたりにはなりたくありませんし(笑い)

ーで、今後の予定はどうされるのですか?

G美月:まず8月シリーズの完走ですね。ライラ選手に殺されないように頑張ります(笑い)そのあとゆっくり休んで、粕谷さんのところでグッズの売人をやらせていただく傍ら、お金のために月1くらいで試合をしようかと考えています。もっともその際は別の名前を考えます。ヒールなんかやってみたいですね。アポカリプス八重樫とか、これはちょっと語呂が悪いですね(笑い)

ーそして「風雲美月城」を建設はいつごろの予定ですか。

G美月:いちおう目標は35歳に置いています。他のプロスポーツでもこのくらいまでは競技生活されている方が多いので。それまではレスリングを年に数試合でもいいのでやりたいですね。そうしてお金をためて新会社設立と(笑)

ーしっかりしてますねえ。

G美月:プロレスラーは猪突猛進で粗暴っていうイメージがあるとお思いでしょうが、基本的にはみんなそうじゃないですよ。みんな自分を生かすためにはどうしようか、よく考えてますから。ライラ選手なんかは特に。

ーこれからのご活躍を期待しています。最後に、ご結婚のご予定とかは。

G美月:それは・・・秘密です。

(7月30日、横浜戸塚の料理店「よこ川」にて取材、聞き手:若林太郎)

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ーこれからが本当の戦いです。人生という、社会生活という。

ギムレット美月、SPZで最後の戦いが始まる。

2008年1月 5日 (土)

コミック版レッスルエンジェルス入手

(本日は番組の予定を変更して、コミック版の感想なんぞを)

■ブックオフ八王子店通いウン十回で、ようやく見つけました。1995年発売でまさか手に入るとは思っていませんでした。即買い。

  「レッスルエンジェルス」(コミック版)江口賢一

 徳間書店、定価880円の本を500円でゲット。

 出てきているのは小縞聡美、斉藤彰子、マイティ祐希子、ボンバー来島、サンダー龍子、小川ひかる、ビューティ市ヶ谷の7名。

 当たり前ですがデザインが微妙に違うので、来島さんあたりはけっこう美形?に描かれています。わはははは。

サンダー龍子がけっこう怖い感じ。壊し屋さんです。

小川さんWARSのナンバー2、優等生キャラですが凛々しい。

マイティ祐希子さんの酒癖が悪いという設定。

小縞聡美、写真集で脱いじゃう(笑)

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(筆者より近況)

・リプレイ300回突破。このサイトでの連載は19年目8月ですが、先ほど26年目10月までプレイ終わったところです。したがって400回までは行くものと思います。フローラ小川登場まであと7年、助けてくれというほかない。

・1度出た人は起用しない(2Pは別人とカウント)縛りを設けると、24年目あたりから人材 難に陥ります。新人スカウトに一時間かかるとか。結果として選手層が薄くなってしまいます。エロ本が役に立たなくなるので、移籍交渉画面を開チェックして数年先まで採用計画を立てておくのが上策かと思います。18期の武藤めぐみが引退してからマッチメイクの幅が狭まったと痛切に感じています。

・次回以降の予告、ついにギムレット美月はSPZの戦いについていけなくなり引退します。そしてSPZクライマックス開催。武藤めぐみ初出場。優勝候補の筆頭市ヶ谷様4連覇なるかといったところ。

・1月7日~1月9日の3日間は筆者取材で北海道へ行くため、休載させていただきます。

・26年プレイした時点でうわかわいい、彼女にしたいと思った選手を5名挙げると、

コンバット斉藤、(何をやらせても絵になりますよこの人)

小川ひかる、(この人はしっかりしてそうです)

吉田龍子、(一番レスラーらしい人ではないでしょうか)

ギムレット美月、(一見クールなように見えても、意外に女の子っぽいところが・・・)

ラッキー内田。(筆者はどうもクール系に弱いようです)

2008年1月 4日 (金)

第302回 19年目7月 SPZ選手権 芝田美紀×ロイヤル北条

19年目7月

7月シリーズ後半

第7戦幕張大会のメインはSPZタッグ戦、王者来島さん・武藤めぐみに対するはジューシーペア(ラッキー内田&マッキー上戸)。

「いつまでもパワーファイト=アンタの時代じゃないんだよ!」
先発を買って出たマッキー上戸がボンバー来島に頭突きをかます。そのあと両軍ともパートナーにタッチ。武藤めぐみとラッキー内田がハイスパートレスリングの攻防を見せる。しかし、予選会で負けているラッキー内田がいきなり仕掛けた、

―長引けば底知れない力がある武藤選手が有利。意表をついて早めに切り札を出す!

ラッキーキャプチャーZ!

「うわああああ!」
突然必殺ムーブを仕掛けられて意表を突かれた武藤、たまらずギブアップ。

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SPZ世界タッグ選手権

ラッキー内田○、マッキー上戸(11分26秒、ラッキーキャプチャーZ)ボンバー来島、武藤めぐみ×

王者組みが3度目の防衛に失敗、ジューシーペアが30代王者となる

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11分26秒、王座移動。16期生のジューシーペアがようやく悲願のSPZタッグ奪取。

マッキー上戸、今日は死闘を覚悟していたが、顔見世ファイトに終わる。あまり汗をかいていない。

「ベルトを取りましたけど・・あまりいい試合じゃなかったですね」
神妙な表情でラッキー内田がコメント。

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7月シリーズ最終戦は新日本ドーム大会。

第2試合でギムレット美月対弱気外国人ジーナ・デュラム。骨折・入院から復帰したギムレット美月、精彩を欠くファイトだったものの何とかシリーズを完走。最終戦の相手はカード的に配慮されて弱い外人とシングル対決が組まれた。

試合中でもジーナはおどおどした感じでファイト。逆にそれが新鮮なのか、ドームにつめかけたファンのリアクションはよかった。

ギムレット美月はいつも通り安定したグラウンドテクニックでジーナを追い込んでゆくがー

「ど、どうなっても知りませんからね・・・」

裏投げ炸裂。意外に力のこもった一撃にギムレット昏倒。そしてー
ラリアットをはさんで、再度―

「い、いきますよぅ・・・」

2度目の裏投げ。これでギムレット美月沈没。3カウントを喫した。

「私・・・勝てましたー!」
弱気レスラー、ジーナが勝って見せる笑顔に新日本ドームのファンは沸き立った。今までいないタイプのレスラーなのでファンの驚き度は高い。

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外人同士のタッグ戦をはさんで第4試合はフレイア鏡対ライラ神威。

ライラは例によってロケットランチャーを持ち込んで登場。花火状の模擬弾を放ってファンを恐怖のどん底に。試合でも積極的に攻め、場外戦でタイガードライバーを仕掛けるなど破天荒なファイトを見せ、最後はバックドロップでフレイアを仕留め、予選会の借りを返した。勝負タイム20分10秒。

セミファイナルは16期生トリオ(氷室・M上戸・L内田)が、来島さん・武藤・フォクシー真帆のトリオと6人タッグで対戦。6人の個性のぶつかる豪華なタッグ戦、最後は氷室が来島さんからサソリ固めでギブアップを奪った。

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ドーム大会メインはSPZ選手権。王者芝田美紀の防衛戦の相手は同じジュエルローゼスのロイヤル北条。

―打撃さえもらわなければなんとかなる。

長いこと同じ陣営で戦っているので向こうの戦い方はわかっている。そう考えて芝田の掌底を良く見てかわす。そしてヘッドバットで流血させ、ひるんだところをロイヤルスパイク。しかし芝田もダイヤモンドキックを皮切りにミサイルキック、裏投げと猛反撃、しかし最後に笑ったのはロイヤル北条。

お互い疲れきっている状態の中、勝利への執念が上回ったのか、懸命に組み付いて裏投げ!これで3カウントを奪った。ロイヤル北条、久しぶりにSPZ王座奪還。48分44秒の死闘を制した。

「勝った・・・・」

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SPZ世界選手権

ロイヤル北条(48分44秒、裏投げからの片エビ固め)芝田美紀

王者が2度目の防衛に失敗、R北条が51代王者となる

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「ファンの皆さんの声援のおかげで勝てました。来月のSPZクライマックス、チャンピオンとして恥ずかしくない戦いを見せて、優勝を目指します」

2008年1月 3日 (木)

第301回 ギムレット美月の復帰戦

19年目7月

「ま、来月SPZクライマックスなので今月はお休みをいただきますわ」

ビューティ市ヶ谷(13期)のサード写真集「SWIFT」発売。

「やったー、これでウチもスーパースターの仲間入りや~」

成瀬唯(15期)のファースト写真集「NOZOMI」発売。

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7月シリーズ「サマースターナイツシリーズ」初戦青森武闘館大会、

4月の新日本ドーム大会で右ひじ骨折・じん帯裂傷の重傷を負って、2ヶ月戦列を離れていたギムレット美月の復帰戦が第1試合で組まれた。

ギムレット美月、午前中の新幹線で青森入り。13時頃会場入り。まずは場内をタッタッと走ってランニング。

ーまあ、やるしかないです。この2週間が過ぎれば、ギャラが入りますから。

SPZでは1試合いくらという契約なので、負傷欠場でもしようものなら月収は手取りで10万弱という惨状に陥る。グッズの売り上げが多い人気選手は歩合が入ってくるのでそのぶんカバーできるが、ギムレット美月はファイトスタイルが地味だしルックスも抜群というほどでもないので万人受けするタイプではないので、

 「美月さん、ストレッチやりましょー。」

今日の対戦相手、キューティー金井が声をかけてきた。会場隅で2人でストレッチをして身体をほぐす。復帰戦がアイドルレスラーであまり強いとはいえないキューティー金井が相手というのはマッチメイク委員会が配慮したのである。

 「腕の具合、どうですか・・・?」

「正直言って厳しいです。あまり強い衝撃はかけられません。まあ、お客さんには分からない部分でうまくやります」

そのあとリングに上がって、軽く受け身の練習。18期の武藤や19期のN白石と言葉を交わす。そうこうしているうちに17時半の開場時刻となった。

「はーい、開場しまーす」

菊池理宇コーチが声をかける。ギムレット美月、SPZ本隊控室へ戻る。今日の出番は前座の第1試合なのでもう準備しなければならない。

ついたての奥でリングコスチュームに着替え、そのあとイスに腰掛けリングシューズに紐を通す。

そのあと両手首ににテーピングをした後、問題の右ひじをテーピングでがちがちに固める。その上から黒いサポーター。サポーターというよりコルセットである。

「んじゃあ、よろしくお願いしますね~、」

対戦相手のキューティー金井がJR軍の控室へ移動する。

ーあの子もいっぱしのレスラーになりましたね。

そのあと控室の時計を見やる。あと10分で6時半だ。

ー大丈夫、なんとかなる。新人の頃、伊達さんや小川さんとやったときは、もっと怖かった。

ギムレット美月Tシャツを羽織り、屈伸運動などして本番に備える。

「美月さん、さっさと終わらせて、復帰祝いに津軽料理食いに行きましょう。」

今日メインに出場するボンバー来島も声をかける。

************************

18時30分、

ほどなく客席内の照明が落とされて、本部席の今野役員がゴングを5回叩いた。そのあと村越リングアナがカードを読み上げる。

「第1試合シングルマッチ30分1本勝負、キューティー金井対ギムレット美月」

ワアアアアア・・・

3ヶ月ぶりのリング復帰に、ファンの一部が歓声を上げて拍手。

ーまだ、私のために手を叩いてくれる人がいる。

リングアナのカード読み上げが終わった後、キューティー金井のテーマ曲がかかり、キューティー金井がいつものようにども、どもと愛想を振りまきながらリングへ。そのあと、

ギムレット美月のテーマ、「oblivion」の」機械質なサウンドがかかる。イントロの部分を聞いた後、歌の部分が始まるや、

「それじゃ、行きますか。」

セコンドのノエル白石に声をかける。花道奥のカーテンを開け、3ヶ月ぶりにリングへ向かう。5000人収容の会場は既に超満員。

ーやっとリングに戻れた。

ポーカーフェイスを崩さないように花道を歩き、リングへ続く階段を登ってリングイン。メガネを外してN白石に預ける。ここ数年続けているお約束のパフォーマンスだ。

「青コーナー、北海道千歳市出身ー、きゅーてぃー、かなーいー!」

ドワアアアア!

「赤コーナー、岐阜県垂井町出身、ぎむれっとー、みつーきー!」

ワアアアア!

第1試合なのに声援が大きい。紙テープまで何本か飛んだ。

そのあと羽織っていたTシャツを脱ぐ。物々しいテーピングとサポーターを観客に見られてしまう。どよめく観客。ああやっぱり無理して上がってんだろうなーという声が漏れる。

さばくレフェリーは井上霧子。

キューティー金井のほうから手を出してきた。試合前に握手。そして井上レフェリーが本部席にゴング要請のサインを送る。

「ファイッツ!」

まずギムレット美月、間合いを取ってリングを半周。

ー相手は金井さん。どうにもならない相手ではない。本来の感覚を取り戻せば何とかなる相手。

「はっ」

まずは前座第1試合らしくオーソドックスに組み合う。押し込むG美月だったが、キューティー金井のほうが前に出る力が強く、ロープ際へ押し込まれる。

「はい、ブレイク」

クリーンに別れてから再度組み合う。そのあとは組み付いてこんどはアームホイップで投げる。そのあと上に乗ってヘッドロックに捕らえる。

「ググッツ・・・イタ・・イタ・・・」

懸命に防御するキューティー金井。しばらくそういったグラウンドでの地味な攻防が続いた。たちまちのうちに5分が経過。

ーやれる。動きは復帰前と同じだ。

キューティー金井に右腕を攻められると厳しい表情を見せたが、これはオーバーアクションのうち。殴られても大丈夫なようにテーピングでがちがちに固めてある。

「はっ」

一つ一つの技の入り方を確かめるように繰り出してゆくギムレット美月。ボディスラムで転ばせて、キューティー金井の首を狙って執拗にグラウンドで攻めてゆく。

しかしキューティー金井もエルボーで反撃。しかし10分経過のあたりからギムレット美月、息が乱れてきた。

ーそんな、まだ10分しか経ってないのに・・・

体重差のない相手なら20分30分やっても平気な自信が彼女にはあったのだが、2ヶ月戦列を離れただけで感覚がなくなっているのか、息が乱れてしまう。

ゼェ、ゼェ、ゼェッ・・・

―私もヤキが回りましたね。

「今日は勝っちゃうよっ!」

キューティー金井がアピールしてからバックドロップ。そしてノーザンライトスープレックスをまともにを食らって動きが止まる。腹に肩が入ってしまいうずくまるギムレット美月。

ー金井さんも強くなりましたね・・・

若手の頃でぜんぜん勝てなくて、泣いてばかりいた頃とから長足の進歩を遂げているのは認識していたが、ここまでとは想定していなかった。

ーいや、これは金井さんが強くなったんじゃあなくて、私が・・・・

「せぇいっ!」

ギムレット美月、強引に金井をロープに振った、が、

「・・うわーっ!」

キューティー金井、ロープに振られたがうまく背面トペに切り返す。SPZの若手選手が道場でコーチから学ぶムーブだ。そのまま上から押しつぶされる。肩がマットにつく。

ー返さないと。

ワン、トゥ、スリー。

返したつもりだが足をばたつかせただけで、肩は動いていなかった。3カウントを献上。勝負タイム16分50秒。場内に流れるキューティー金井のテーマ曲。

「いまの、3つ入りましたか」

指を3本出して確認したが、井上レフェリーは入ったとのジェスチュア。

―金井さんにまで、正面からやって負けてしまいましたか・・・

ギムレット美月、ガラガラと崩れるものを感じながら、悄然とした表情で引き揚げた。、

2008年1月 2日 (水)

第300回 四人目の通過者

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日誌のようなもの

「輝くエッセンシャルS」

19年目6月、SPZクライマックス予選会。若手中堅選手8名による壮絶なイス取りゲームが展開された。リーグ戦最終戦の神戸大会を残して、16期生の氷室、L内田、M上戸は予選会突破を決めた。残る本大会出場枠1を新鋭の武藤めぐみと、アブナイ妖艶戦士フレイア鏡とで争う。得点では6点だが、勝ち点で並んだ場合直接対決で勝っているフレイア鏡が本大会の切符を手にするため、武藤めぐみ、勝ち点で差をどうしてもつけないといけない・・・

第7戦、神戸大会。
F真帆(4点、パワーボムからのエビ固め 13.25)成瀬(0点)

ーせっかくSクラの予選会に出たのに、全敗は避けんとなぁ・・・

全敗だけは避けたい成瀬だったが、フォクシーのパワーに押され、最後はパワーボムに涙をのんだ。

「やっぱり真帆は強い!」

フォクシー真帆、本大会出場は叶わなかったが、4点でリーグ戦を終えた。

武藤(8点、シューティングスタープレス 11.46)ライラ(4点)

「あの天才バカお姫様の足を引っ張って、精神的苦痛ってヤツを与えてやるぜぇ!」

武藤、予選会最後の相手はライラ神威。勝てない相手ではない。しかし確実に勝てる相手でもないし、何をやってくるかわからない相手である。

「武藤!星勘定なんか考えるな!目の前の小悪党を投げ飛ばして来い!」
セコンドの来島さんが的確?なアドバイス。
「・・・わかってるわよ、そんなことくらい」

ライラがいつもどおり奇声を発しながら、勝敗度外視のラフファイト。しかしこの日は武藤の集中力が凄かった。

―全力を出し切る。そしたら結果はついてくる!

武藤、徐々に優位に立ち、ボディスラムで転ばせてコーナー最上段へ登ってダイビングプレス。これで弱らせて、トドメは見事なシューティングスタープレス。デビュー1年足らずでこんな高度な技をやってのけるのだからやっぱり天才である。これで3カウントが入った。

「・・・うあああっ!」

武藤、声にならない叫び。後半の3連勝は対戦相手、そして自分自身との戦いでもあった。8点でリーグ戦を終えた武藤だったが、予選通過はなお次の試合の結果を待たねばならない・・・

氷室(10点、サソリ固め 26.36)F鏡(6点)

氷室が勝つか引き分けで武藤めぐみの予選通過、フレイア鏡が勝てばフレイアの予選通過・武藤の予選落ちが決まってしまう。武藤はコスチュームも着替えず花道奥から試合を観戦。

―順当にいけば氷室さんが勝つだろう、でも両方とも関節技使いだからどう転ぶかは時の運もあるわ・・・

フレイア鏡、しつこく脇固めで右腕集中攻撃。氷室も押し気味にスリーパーでつないで試合を進める。

「あーーもう!!」

焦ったフレイアがストレッチプラム!しかし氷室、何とか振りほどく。そのあとは壮絶な極めあいが続いた。最後は氷室のサソリ固めがリング中央で決まり、フレイア鏡に引導を渡した。この試合も26分を超える激戦。

「うう・・そんな・・・」

呆然とした表情で引き揚げるフレイア鏡。フォクシー真帆に負けた一戦が最後まで響いてしまった。武藤にはじき出されて予選落ちが決まった。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

その瞬間武藤はへなへなと力が抜けて床にひざを突いた。そこへメインイベントに出るボンバー来島が現れた。

「よく頑張ったな」

 「・・・・内容はぜんぜん納得してないわ」

「まあ、Sクラに出られたんだから素直に喜べや、本番で叩きのめしてやっから」

 「・・・はい。」

M上戸(14点、背面トペからの片エビ固め 15.13)L内田(10点)

すでに予選通過を決めている両者、1位通過をかけた一戦。タッグパートナー同士の対戦といえど、この団体でトップを取るためにはお互い負けられない。一進一退の攻防に風穴を開けたのがマッキーのバックドロップ。これで棒立ちになったラッキーにフェイスクラッシャー、ヘッドバットの波状攻撃。パワーボムはなんとかカウント2.9で返したL内田だったが、直後、ロープに振ったところを背面トペに切返されて押しつぶされ、そのまま3カウントを取られてしまった。マッキー上戸、堂々の全勝で1位通過。

「ウォオオ!やったぞお!この調子で本番もやってやるぜぇぇぇぇ」

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7月シリーズ最終戦はさいたまドーム大会。

第1試合は野村つばさ対ジーナ・デュラム。GWAの弱気レスラー、ジーナ、いくら性格に難ありとはいえ相手は団体最弱の野村つばさ、5分7秒、ネックブリーカーで片付けた。
「ま、マグレです・・・でも良かった」

第2試合はフォクシー真帆、ノエル白石対ライラ神威、パトリシア・ルイス組。フォクシーのパワーが冴え、ライラ神威を18分47秒、パワーボムで撃破して終了。

第3試合はフレイア鏡、成瀬唯対へレン・ニールセン、デイジー・クライ。
なんと成瀬がEWAの猛者、デイジーから22分17秒、ストレッチプラムでギブアップを奪う快挙。

休憩明けのセミ前はジューシーペア対氷室紫月、武藤めぐみのタッグマッチ。SPZクライマックス予選通過者4名によるタッグマッチである。しかしタッグチームとしての完成度はジューシーペアがずっとずっと上。この日もラッキー内田がつないでマッキー上戸のパワーボムが炸裂。武藤を沈めて幕。

セミファイナルはビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条が登場。相手はGWAの新外国人ローズヒューイット、そして初来日のファントムローズ1号である。ファントムローズ1号は「ヒューイットお嬢様に仕えるメイドだったが、ヒューイットお嬢様のプロレスデビューに合わせてプロレス入りした」という無茶苦茶な経歴を持つ選手である。だがやはりSPZ最強の市ヶ谷様と実力者ロイヤル北条の相手はきつい。

ファントムローズ1号のカッコウつけた戦いぶり、奇抜なコスチュームにさいたまのファンは失笑。実力のほうもたいしたことはなく、市ヶ谷のパイルドライバーにあっさり敗北した。勝負タイム14分57秒。

メインはSPZ選手権、新王者芝田美紀に挑むのは11期生、もう古参の域に入ったボンバー来島。
「またチャンスが来るとは思わなかったぜ!せいぜい楽しんでくるぜ!」
しかし来島さん、やるからには51代王者の座を真剣に狙っていた。しかし全盛期に比べて力はだいぶ落ちており思うように動けない。
「うわあっ!」
芝田の掌底、裏拳で殴られまくって流血。気がつけばズルズルと追い込まれ、フィニッシュはハイキック。終わってみれば芝田の完勝といっていい内容だった。勝負タイム27分12秒。芝田が初防衛に成功。

2008年1月 1日 (火)

第299回 イス取りゲームに、勝利せよ

19年目6月 SPZクライマックス予選会

第4戦は富山大会。
F鏡(6点、アキレス腱固め 18.56)成瀬(0点)

前日痛い星を落としたフレイア鏡、ジューシーペアや氷室との対戦を残しているのでここは落とせない。じっくりと関節地獄に引きずり込んで、アキレス腱固めでギブアップを奪った。
M上戸(8点、ジャーマンSH 13.12)武藤(2点)
武藤、先シリーズ2連敗しており分の悪い相手。序盤こそ互角の攻防だったが、マッキー上戸には必殺のスプラッシュマウンテンがある。まともに食らってしまい大ダメージ。あとは虫の息の武藤をジャーマンで投げてトドメ。マッキー上戸危なげなく4連勝。

武藤めぐみ1勝3敗、本大会出場へこれ以上負けられなくなった。

「・・・・・・・・・・・・・・くっ」

L内田(6点、ラッキーキャプチャーZ)ライラ神威(0点)

1敗しており下位からは取りこぼせないラッキー内田、チャンスと見るやラッキーキャプチャーZを仕掛けギブアップを奪った。ライラ神威、4連敗・・・

氷室(8点、パイルドライバーからの片エビ固め 14.15)F真帆(2点)

氷室が執拗なスリーパー攻めでフォクシーをじりじりと追い詰め、最後はパイルドライバーで勝利。お手本どおりの勝ち方。地元で白星、これで4連勝。

「運命を感じる・・・・」

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第5戦石川大会。
武藤(4点、バックドロップからの片エビ固め11.29)成瀬(0点)

予選会突破のためには残り3戦を確実に勝つことが絶対条件の武藤、しかし相手の成瀬も脇固めで武藤の右腕一本に狙いを定めるシビアな展開。しかしバックドロップで熱戦にけり。

「まだ、諦めるわけにはいきません」

武藤の猛追撃が始まった。

ライラ(2点、カムイエクウチカウシからのエビ固め、20分くらい)F真帆(2点)

バカ力対反則女の対決は息詰まる消耗戦となった。ラフ殺法をおりまぜながら初勝利を狙ったライラ、最後は
「ぶっ壊れろーー」と絶叫してからカムイエクウチカウシで叩き落して3カウント奪取。予選会リーグ戦で初日を出した。

M上戸(10点、パワーボムからのエビ固め 28.37)F鏡(6点)

フレイア鏡が本大会に出るには今日からのマッキーラッキー氷室の3人から1勝すれば当確ランプが灯る。だがこの1勝が難しいのである。

―正面からやったのでは厳しいですから腕を壊すしかありませんわね。

しかしマッキー上戸も怒涛の投げ技攻勢。終盤はフレイアもストレッチプラム、逆片エビで反撃。フレイアも懸命の粘りを見せ、フィッシャーマンバスターは場外に逃げ、パワーボムは1度はカウント2.9で返したが、最後は2度目のパワーボムで力尽きた。

・・・逃げ切れませんでしたわね。
フレイア、ここで少なくとも時間切れに持ち込めば武藤やラッキーにプレッシャーを与えられたのだが・・・マッキー上戸、怒涛の5連勝でいちはやく予選会通過決定。

L内田(8点、タイガードライバー 19.13)氷室(8点)

勝てば予選通過の氷室、しかしラッキー内田もここで負けたら星勘定が苦しくなるので力のこもった攻めを見せる。フランケンシュタイナーでカウント2.9まで追い込んだが、氷室も逆襲のドラゴンスリーパーでフラフラにしておいてダイビングプレス。しかしラッキー内田カウント2.8でクリアして、タイガードライバーで何とか勝利。

「きついですけど・・・それはみんな同じことです。明日は鏡さんですか。向こうも死に物狂いで向かってくると思いますのでこちらも強い気持ちでやります」

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第6戦は福井大会。予選会リーグ戦も大詰め。

ライラ(4点、ギロチンドロップからの片エビ固め 14.39)成瀬(0点)
ライラ2勝目。成瀬まだ連敗街道が続く・・・・

武藤(6点、シューティングスタープレスからの体固め26.36)F真帆(2点)

あと2つなんとしても勝たなくてはならない武藤めぐみ。こういう「落とせないプレッシャーの中での闘い」彼女にとっては貴重な経験だろう。

「SHAAAAAAA」

やはりフォクシーのパワー殺法に手を焼く。それでも武藤、ローリングソバット2連発で突破口を開く。そのあとはスリーパーでじわじわと攻める。終盤フォクシーのパワーボム、DDTをもらってしまいひやりとしたが、最後はシューティングスタープレスで振り切り、26分の熱戦を制した。これでリーグ戦の成績を3勝3敗のタイにした。

M上戸(12点、ジャーマンSH 12.30)氷室(8点)

これも激戦となった。すでに予選会通過を決めている上戸だが、氷室には負けられないと力のこもった攻め。逆に今日勝たないと・・・と考えたのか氷室、動きが硬い。そしてマッキー上戸のスプラッシュマウンテンをもらってしまう。これで勝敗はほぼ決した。トドメはジャーマンだった。

L内田(10点、スクラップバスターからの片エビ固め 30.0)F鏡(6点)

「どきどき・・・」

花道奥から武藤は祈るような視線で観戦。フレイア鏡が今日のラッキー内田戦、明日の氷室戦に敗れ、かつ武藤が明日のライラ戦に勝てば本大会出場権が転がり込んでくる。

「しつこいと嫌われますわよ!」
「!」
フレイアストレッチプラム。武藤の表情が凍りつく。

「う・・がっ!」

なんとかラッキー振りほどく。このあとも逆片エビ、アキレス腱固めでラッキー内田ピンチの連続。しかし最後はなんとか、ニーリフトで弱らせてのスクラップバスターでフレイアを振り切った。

勝負タイム30分0秒、あと1秒フレイアが粘っていたら予選会の結果も違ってきたと思われる・・・
ラッキー内田、苦しみながらも5勝目を挙げ、予選会通過を決めた。またこれで氷室紫月も予選通過が決まった。(8点を確保しており、武藤には直接対決で勝っているため)

「フゥ、今日決めとかないと、明日はマッキーさんだから。今シリーズのマッキーさん調子いいですから・・・」

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これで本大会出場権、残る椅子1つをフレイア鏡、武藤の2人で争う。フレイア鏡、最後の相手は16期生の氷室紫月。2期後輩だがかなりの実力者。楽な相手ではない。

「明日、氷室さんに、勝てばいいわけですからね。なんとかなりますわよ」(F鏡)

武藤めぐみ、たとえ明日勝ってもフレイア鏡の結果次第という厳しい状況。しかもよりによって第7戦の相手は何をやらかすか分からないライラ神威である。

「ここまできたらベストをつくすだけです。精一杯戦って結果を待ちます」(武藤)

「武藤のアホなんかに勝たせるかよ。本大会なんかに行かせねえよ、足引っ張ってやる。両リン、無効試合ってのはどーだ?」(既に脱落したライラ神威、武藤の明日の対戦相手)

(次回、輝くエッセンシャル、神戸決戦。お見逃しなく。)

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