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2008年3月31日 (月)

第376回 ケンドー・カミスワ デビュー戦

22年目6月
恒例のSPZクライマックス予選会。

ノエル白石(19期:前回本大会7位)
フレイア鏡(14期)
フォクシー真帆(14期)
成瀬唯(15期)
野村つばさ(18期)
REKI(20期)
イージス中森(20期)
コンバット斉藤(21期)

リーグ戦を行い、上位3名が本大会に出場できる。
初戦の沖縄大会は通常の興行。
「青コーナー、ケンドー・カミスワ!」

銀色の覆面をかぶった新人レスラー「ケンドー・カミスワ」が第1試合に登場、長野県の温泉旅館で働いていたが突如プロレス転向を決意したという経歴の持ち主というギミック。マスクの額の部分には温泉マークが。

デビュー戦の相手は14期のフォクシー真帆。あっさりとパワーボム、ギロチンを食らって敗戦。勝負タイム5分9秒、SPZにまた新しい選手が登場した。

2戦目の静岡大会から予選会リーグ戦が始まった。若手中堅選手が限られた椅子を奪い合うのでマニアなファンの間では本大会より面白いといわれている。

REKI(2点、農鳥からの片エビ固め 10.47)野村

REKIがまず1勝。アイドルレスラー野村を寄せ付けず攻め込んで、最後は農鳥(高角度ミサイルキック)がズバリ。

A中森(2点、ブレーンバスターからの片エビ固め 20.59)成瀬

「これが、本ッ当に、最後のチャンスや・・・」
15期の成瀬、まだSPZクライマックス本大会に出たことがない。すでにベテランの域に入りかつてのような瞬発力がみられなくなっているのは自覚していた。
しかしイージス中森も3年目、確実に力をつけてきている。終盤スタミナ切れを起こした成瀬を攻め立てる。

「もう逃げられへん!」
成瀬、懸命のストレッチプラムもイージス中森、脱出して、強烈なブレーンバスターで反撃。
「くっ・・・そんなぁ・・・」
成瀬、5期後輩のA中森に痛い敗戦。

F真帆(2点、フォクシードライバーからのエビ固め28.56)C斉藤

フォクシー真帆もあばしりタッグを何度も取っているSPZの中堅選手なのだが、まだSPZクライマックスには一度も出ていない。往年の動きの野性味は影を潜めているが、それでも対戦相手のコンバットをタックルで吹っ飛ばす。
「パワー全開、いくぞーッ!」
フォクシー真帆のパワーボム、そしてフォクシードライバー。何とか2年目のC斉藤を振り切った。勝負タイム29分弱の熱戦。

N白石(2点、ニーリフトからの片エビ固め 12.52)F鏡

ノエル白石は完全にトップグループに入っているので予選通過は確実と見られていた。この日もまったく危なげなくフレイア鏡を追い込んでニーリフトで終了。
シリーズ3戦目、三重大会。

******************************

A中森(4点、ジャンピングニーからの片エビ固め 8.35)野村(0点)

「ノエルさんは確実に突破するから、あとの6人から4勝すれば本大会が見えてきます」

イージス中森、冷静な星勘定。中学時代に数学の授業で居眠りをしなかったに違いない。この日はアイドルレスラーの野村を軽く一蹴。
「あと・・・2勝」

C斉藤(2点、飛燕脚からの片エビ固め 19.51)成瀬(0点)

コンバット斉藤の突きを脇固めで切り返しまくる成瀬。ならばとコンバット斉藤、タックル3連発で成瀬をなぎ倒す。そしてボディスラム。成瀬なかなか攻め手が見出せない苦しい展開。
「はいっ!」
コンバット斉藤、頭突き、膝蹴りと暗黒空手道の荒々しさを見せ付ける厳しい攻め。そして裏拳。これで成瀬の意識が飛んだ。足元がふらついても懸命にファイトする成瀬だったが、
がつん、がつん。
強烈なヘッドバットで追い込まれ、飛燕脚でのされてしまった。成瀬唯、いきなり2連敗。

N白石(4点、パワーボムからのエビ固め 12.55)F真帆(2点)

ノエル白石、危なげなくフォクシー真帆をパワーボムでしとめた。

F鏡(2点、アキレス腱固め 9.05)REKI(2点)
「ぐああああ!」
REKI、あっさりと関節技の達人・フレイア鏡のアキレス腱がために悶絶・・・

**************************

シリーズ第4戦は岐阜大会

C斉藤(4点、飛燕脚からの片エビ固め 13.02)野村(0点)

コンバット斉藤の豪脚がうなる。野村吹っ飛ばされて3連敗・・・

N白石(6点、バックドロップからの片エビ固め 16.24)成瀬(0点)

ノエル白石強い。成瀬の関節攻撃をものともせず勝利。

F真帆(4点、フォクシードライバーからのエビ固め 22.51)REKI(2点)

「もうあきらめろ」
フォクシー真帆、REKIのすばやい動きに苦しんだものの20分過ぎ、ついに捕まえた。パワーボム、そしてフォクシードライバー。これで2勝目を挙げた。

A中森(6点、ジャンピングニーからの片エビ固め 19.45)F鏡(2点)

この試合はやはり壮絶な極めあいとなったが、最後はイージス中森がジャンピングニーを繰り出し、フレイア鏡から3カウント奪取。
「あと1勝・・・」
イージス中森これで3連勝。

**************************

第5戦は滋賀県立スポーツセンター大会。

N白石(8点、パワーボムからのエビ固め 9.23)野村(0点)

ノエル白石磐石の4連勝。野村のトリッキーな動きをまるで問題にせず。

成瀬(2点、ドラゴンスリーパー 14.31)REKI(2点)

「きょう負けたら、完全に、終わってまう・・・」
しかしその気負いがかえってREKIに付け入る隙を与える。REKIのドロップキックなどを立て続けにもらってしまうが、10分過ぎ、攻め疲れを見せたREKIを捕らえて、ドラゴンスリーパーが決まった。たまらずREKIはギブアップ。

A中森(8点、ドラゴンスリーパー 27.56)F真帆(4点)

「勝てば、本大会に出られる・・・」
当確ラインを読みきっていたイージス中森。しかしそれがかえって緊張につながったのか、フォクシー真帆のパワフルな攻撃を受けまくって、パワーボム、フォクシードライバーと追い込まれる。しかし、一瞬の隙を突いてドラゴンスリーパー。これでフォクシーからギブアップを奪った。堂々の4連勝。本大会出場に限りなく近づいた。

F鏡(4点、逆片エビ固め 12.15)C斉藤(4点)
フレイア鏡、勝負どころでえぐい逆片エビでグイグイグイ!

22年目の夏、SPZクライマックス予選会、残り3戦でイージス中森、ノエル白石が8点でトップ。F鏡、F真帆、C斉藤が追う展開。本大会出場の椅子は3つ・・・

2008年3月30日 (日)

SPZ歴代女王イッキ

選手のあとの数字は防衛回数です。

初代 伊達遥    0
2代目 草薙みこと 0
3代目 南利美   0
4代目 伊達遥  10
5代目 草薙みこと 1
6代目 伊達遥   2
7代目 南利美   0
8代目 吉田龍子  1
9代目 伊達遥   1
10代目 永沢舞  0
11代目 吉田龍子 0
12代目 伊達遥  0
13代目 草薙みこと4
14代目 永沢舞  0
15代目 上原今日子0
16代目 伊達遥    0
17代目 吉田龍子 1
18代目 永沢舞  1
19代目 伊達遥  0
20代目 吉田龍子  15
21代目 ハイブリッド南 0
22代目 新咲祐希子 0
23代目 永沢舞  0
24代目 吉田龍子 0
25代目 ハイブリッド南 1
26代目 新咲祐希子 0
27代目 永沢舞   2
28代目 ハイブリッド南 7
29代目 スイレン草薙 0
30代目 吉田龍子  4
31代目 ハイブリッド南 1
32代目 新咲祐希子 0
33代目 スイレン草薙 0
34代目 吉田龍子   1
35代目 ハイブリッド南 1
36代目 新咲祐希子 0
37代目 スイレン草薙 7
38代目 スターライト相羽 0
39代目 ボンバー来島 0
40代目 菊池理宇 1
41代目 スイレン草薙 1
42代目 ボンバー来島 4
43代目 ビューティ市ヶ谷 11
44代目 ナターシャ・ハン 1
45代目 ロイヤル北条 0
46代目 ボンバー来島 0
47代目 ビューティ市ヶ谷 5
48代目 ナターシャ・ハン 1
49代目 ビューティ市ヶ谷 1
50代目 芝田美紀 1
51代目 ロイヤル北条 0
52代目 ビューティ市ヶ谷 1
53代目 ラッキー内田 0
54代目 氷室紫月 1
55代目 ラッキー内田 1
56代目 ビューティ市ヶ谷 3
57代目 ラッキー内田 1
58代目 氷室紫月 1
59代目 マッキー上戸 0
60代目 武藤めぐみ 1
61代目 ジェナ・メガライト 0
62代目 武藤めぐみ (現王者:現段階で5)

累計防衛回数

伊達遥13 草薙みこと5 吉田龍子22 ハイブリッド南 10 永沢舞3
スイレン草薙8 ボンバー来島4 菊池理宇1 ナターシャ・ハン2 芝田美紀1
ビューティ市ヶ谷21 ラッキー内田2 氷室紫月1 武藤めぐみ6

2008年3月29日 (土)

第375回 武藤めぐみV5

22年目5月

新人スカウトで川端鈴菜という少女を入団させた。何でも中学時代から上諏訪温泉の地下ショープロレスでファイトしていたという異色の経歴を持つ選手らしい。カッコいい覆面レスラーをやりたいということだった。とりあえず5月は道場で基礎の動きを練習させた。

5月シリーズ「グレイテストバトル」開幕。九州地方を回るシリーズである。

開幕戦鹿児島大会、第1試合はマーメイド千秋のデビュー戦。対戦相手は1期先輩のコンバット斉藤。
「うりょーっ!」
ここ1ヶ月の練習の成果を発揮し、ボディスラムでコンバット斉藤を投げつける。デビュー戦とはおもえない動きのよさ。

「これで終わりにしてやるよ」
フロントスープレックスまで繰り出す。
が、いかんせんスタミナがない。投げきったのに肩で息をしている。
ここでコンバット斉藤が反撃。
「・・・そろそろだね。」
カカト落とし1発でマーメイド千秋をけり倒した。勝負タイム7分50秒。

強烈な打撃を食らったマーメイド千秋、立ち上がれず、セコンドのイージス中森に背負われて退場。

「・・・・・・」
花道奥で見ていたセイレーン千春は震えていた。
「これが・・・プロのリング・・・・・・」

続く第2試合がセイレーン千春のデビュー戦。相手は野村つばさ。アイドルレスラーだがダテに4年もSPZで揉まれていない。一方的に攻め込まれて、あっさりエルボーでカウント3を奪われた。勝負タイム6分56秒。

「きょうは雑用はいいよ。休んでな。」
ボンバー来島コーチが叩きのめされた二人に声をかける。

「ちく、しょーー」セイレーン千春がうずくまったまま呟く。
「ぜってー、強くなって仕返ししてやる・・・」

2戦目以降は負担を考えてセイレーン千春、マーメイド千秋姉妹はタッグまたは6人タッグでの登場となったが、つかまってしまい負けるパターンが繰り返された。

*****************************

第5戦佐賀大会メインはSPZタッグ選手権。まさか佐賀でタッグタイトルが開催されるとは。王者ラッキー内田・マッキー上戸に対するは元王者の氷室紫月、ノエル白石組。4人が4人とも本来の持ち味を出すいい試合となった。しかし、最後はラッキー内田の技術がズバリ。狙いすましたラッキーキャプチャーがノエル白石に決まる。
「くうっ・・・・・ギブアップ」
勝負タイム26分58秒、王者組が初防衛に成功。

第6戦長崎大会、メインはSPZ選手権、王者武藤に挑むのはラッキー内田。長崎でSPZ戦が組まれるのも異例。ラッキー内田は2日連続のタイトル戦。

「先月タッグで武藤選手から取ったのでチャンスを頂けたのでしょう。武藤選手は強いですけど、隙を狙えば勝機はあります」

第62代SPZ世界王者武藤めぐみ、もう絶対王者の風格が漂っている。長崎のファンは大興奮。

ばしっ!

武藤のエルボー、そしてアームホイップ。しかしラッキー内田も寝かせてしまえばこちらのものとスリーパーで反撃。しかし武藤、ローリングソバット。ドロップキックと猛攻。そしてシャイニングウィザード、ダイビングプレス。ラッキー内田に攻め手を与えない。
ドォオオン!
2発目のダイビングプレスでラッキー内田の動きが止まる。フラフラと起き上がった内田、そこへ武藤が組み付いて・・・

「覚悟して!」
ノーザンライトスープレックス一閃。これでラッキー内田から3カウント奪取。勝負タイム22分4秒、武藤が5度目の防衛に成功。

************************

SPZ世界選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ(22分4秒、ノーザンライトスープレックスホールド)ラッキー内田

第62代王者が5度目の防衛に成功

************************

「10回は防衛する」

武藤めぐみ、本気で長期政権を狙っている。

第7戦山梨カイメッセ大会、メインはあばしりタッグ選手権、王者成瀬唯、フォクシー真帆に対するはアリス・スミルノフ、パトリシアルイスの実力派外人コンビ。王者組みはここのところ14期のフォクシー真帆の動きが落ちてきているので苦しい戦いを強いられた。そのぶん成瀬がローンバトルを強いられた。

「はっ!」

パトリシア・ルイスの掌底に崩れる成瀬、そこを突いて合体パワーボム。これで3カウントが入った。勝負タイム30分7秒、あばしり王座が海外流出。
「真帆は・・・もうダメなのかもしれない」

**************************

最終戦横スペ大会。例年通りの東西対抗戦。所属選手を出身地で東西に分けシングル対決させるイベント。

コンバット斉藤○(三重)(カカト落としからの片エビ固め4.36)セイレーン千春(鳥取)

コンバット斉藤、早々のタックル、掌底、飛燕脚、カカト落としでセイレーン千春を蹴りつぶした。4分36秒の短期間決着。

ノエル白石○(新潟)(バックドロップからの片エビ固め3.12)マーメイド千秋(鳥取)

ものすごく絶望的なマッチメイク。タックル、エルボー、バックドロップと3手でノエル白石が新人のM千秋を圧殺。今回は東軍が強豪ぞろい・・・

武藤○(静岡)(ノーザンライトSH 8.40)A中森(徳島)

武藤がシングルマッチで負けるわけが無い。イージス中森もエルボーでぐらつかせてのストレッチプラムで反撃したが、最後はノーザンで幕。これで東軍3連勝。

R神威○(北海道)(エルボーからの片エビ固め)野村(愛媛)

惨劇は続く。アイドルレスラーの野村が悪の権化ライラにかなうはずがない。それでもエルボーで懸命にぶつかっていく姿に大歓声。最後は裏投げ、トムラウシで足腰たたなくしておいてのエルボー。これで東軍の勝利が決定。

氷室(富山)(パワースラムからの片エビ固め 14.30)M上戸○(鳥取)

西軍が一矢を報いた。マッキー上戸がパワーで氷室を振り切った。

L内田○(東京)(ラッキーキャプチャー 6.30)成瀬(大阪)

「ま、横スペのセミやから、がんばってきますわ。」

しかしラッキー内田強い。あっさり成瀬をラッキーキャプチャーでしとめた。

F真帆(岩手)(脇固め 28.41)F鏡○(長崎)

横スペメインは14期生同士の対決となった。往時の動きはなくなったがそれでも懸命のファイトを見せる両者。試合は長期化したが、最後はフレイア鏡の脇固めがズバリ。

「フフフ、ウフフフ・・・もっと苦しみなさい・・・」

「ダメだっ、ギブアップ」

フォクシー真帆無念のギブアップ。東西対抗は東軍の5勝2敗で幕を閉じた。

2008年3月28日 (金)

第374回 22年目4月 ノエル白石7番勝負

レッスルエンジェルスサバイバー 
プレイ日誌のようなもの
輝くエッセンシャル

22年目4月。
SPZは新人テストを行い、目にとまった双子の少女、川上千秋と川上千春を採用した。

「ライラ神威選手にあこがれました。悪役をやりたいです」

吉田社長は頭を抱えた。
「・・・・・・・・・・・・・・」

こうしてSPZに悪役志望の新人が2人入った。リングネームはセイレーン千春とマーメイド千秋と決定。身体ができていないので4月はに帯同しないで道場での基礎練習。上原コーチがつきっきりで指導した。

4月シリーズ直前、TWWAが新女と提携。メガライトはこれで参戦できなくなった。修行に出ていたREKIも緊急帰国。陣容が薄くなったので、急遽考えた企画が、

「ノエル白石7番勝負」

最近急速に力をつけてきた19期生・N白石にトップどころの選手とシングル7連戦を組ませた。第1戦札幌大会メイン、7番勝負第1戦は対ラッキー内田。

「まあ5勝したらSPZ王座挑戦を考えてもいいよ」
吉田社長がコメント。この日は持ち前のパワーでL内田を攻めたが、ラッキーキャプチャーZで形勢逆転され、ジャーマンで投げられる苦しい展開。ノエル白石、STOで勝負をかけたが2.5で返される。ならばとジャーマンを狙ったが、ラッキー内田絶妙の切り返し。前方回転エビで丸め込んだ。

ワン、トゥ、スリー。勝負タイム20分47秒。
「あ・・・」
「いい試合だったわ、またやりましょう!」
ノエル白石、初戦を飾ることはできなかった。

第2戦、仙台大会のメインは7番勝負第2戦、ノエル白石対フレイア鏡。元SPZタッグ王者のフレイア鏡だが、JRの一員として暴れまわっていた頃の面影はない。この日は久々のシングルメインだったが、ノエル白石に一方的に攻め込まれ、ジャーマンに屈した。勝負タイム14分7秒。

シリーズ第4戦若鯉球場大会、メインはノエル白石対マッキー上戸、7番勝負第3戦。パワーファイター同士のぶつかり合いが展開されたが、
「・・・・・・・・・」
ノエル白石、STO。ハデに押し倒されたマッキー上戸、動きが鈍くなった。すかさずもう一度STO,これで元SPZ王者のマッキー上戸から3カウント奪取。7番勝負も2勝1敗と白星先行。勝負タイム15分9秒。

第5戦九州ドーム大会、メインは7番勝負第4戦、ノエル白石対ローズ・ヒューイット。ヒューイットお嬢様の独特の動きに苦戦したものの、最後はSTOでカウント3奪取。勝負タイム28分40秒。これで3勝1敗。

第6戦なにわパワフルドーム大会、メインは7番勝負第5戦、ノエル白石対SPZ王者武藤めぐみ。SPZ最強の武藤に対しても真正面から向かっていったノエル白石だが、武藤は倍返し。最後は延髄、ノーザンと畳み掛けられてムーンサルト、そして2度目のノーザン。懸命にロープブレイクするなど粘ったノエル白石だったが、2度目のムーンサルトに力尽きた。勝負タイム22分41秒。これで3勝2敗。

第7戦名古屋しゃちほこドーム大会、セミでノエル白石7番勝負第6戦、ノエル白石対ライラ神威。2期先輩の面子にかけて意地でも勝ちたいライラ。しかしノエル白石も自信をつけているのか力任せに攻め込む。
「相手が悪かったな!」
ライラ神威、カムイエクウチカウシ、フェイスクラッシャーでたたみかけるが・・・
「はっ」
ノエル白石ニーリフト。衝撃でライラの身体が浮き上がってしまう。
「ぐが・・・」
もがき苦しむライラ。そのまま押さえ込んで3カウント奪取。7番勝負の勝ち越しを決めた。

名古屋大会メインはSPZタッグ戦。王者武藤めぐみ、成瀬唯組に挑むのはラッキー内田、マッキー上戸。
「武藤選手とはそこそこ相手して、成瀬さんをつぶします!そうすれば必ず勝てます。」
「まー、ウチが狙われるのは当然やな。ウチ実力ないし。でも、ウチはそう簡単には倒れへんで~」
しかし結末は意外に。武藤がイッキの攻めを見せて、ラッキー内田を追い込んだが、ラッキー内田、隙をついてラッキーキャプチャーZ!武藤の身体が弓なりに曲がって・・・
「あああっ・・・」

成瀬のカットはマッキー上戸が阻止。たまらず武藤ギブアップ。
ジューシーペアがタッグ王座奪還。勝負タイム28分48秒。
「・・・私が取られるなんて、思っても見なかった・・・」

**************************

最終戦新日本ドーム大会。
第1試合は野村つばさ対フレイア鏡。14期生のフレイア鏡が第1試合に登場。屈辱的なマッチメイクだが、フレイア鏡は自慢の関節技でいたぶりまくり。

「ふふふふ。ふふふふ、ふふふふ・・・」
最後はSTFががっちり決まった。あぶない表情がオーロラビジョンに大写し。
「痛い、ひい、痛い、ギブアップーー!」
第1試合からフレイア鏡ワールドが展開され場内ウォォォ状態。

第2試合は成瀬唯、イージス中森対ソフィア・リチャーズ、ジーナ・デュラム。イージス中森が堅実な試合運びで外人組みを追い込んで、最後もブレーンバスターでソフィアを仕留めた。勝負タイム9分14秒。

第3試合はコンバット斉藤、REKIの「悪役コンビ」登場。対戦相手はアリス・スミルノフ、パトリシア・ルイスの実力派外人コンビ。熱い闘いが繰り広げられたが、最後は唐突に。
「はっ」
パトリシア・ルイスの裏拳一発でコンバット斉藤が昏倒。15分54秒、外人チームの勝利。

休憩明けの第4試合にジューシーペア登場、タッグ王座も奪還して晴れ晴れとした気分で最終戦を迎えた。対戦相手のローズ・ヒューイット、ワイルドローズ2号の攻めを受けきって反撃、最後はラッキー内田が必殺コブラツイストでローズ・ヒューイットからギブアップを奪った。

セミファイナルはノエル白石7番勝負最終戦、ノエル白石対氷室紫月。タッグパートナー同士の試合は長期化した、氷室が締め技でじわじわとスタミナを奪っていく作戦。そして弱ったノエル白石にパワーボム2連発で決めにかかる。これでグロッキー状態になったノエル白石、最後は根負けして、氷室のギロチンドロップに3カウントを喫した。勝負タイム24分19秒。

メインイベントはSPZ選手権、武藤めぐみ対ライラ神威。他の有力選手がことごとく武藤に敗れたため、ライラにもチャンスが廻ってきた。

「あんなのがタイトル挑戦なんて間違っています」
いつものように凶器入りヘッドバットでペースをつかみにきたライラ、しかし武藤さっとかわしてドロップキック、ローリングソバットといつものハイスパートレスリングを見せる。そのあとは武藤、一方的に攻めて、延髄2連発で動きを止めておいてのサソリ固め。勝負タイム20分41秒、武藤めぐみ完勝。4度目の防衛に成功。

***********************

SPZ世界選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ(20分41秒、サソリ固め)ライラ神威

王者が4度目の防衛に成功

***********************

2008年3月27日 (木)

SPZスター選手列伝 028 ロイヤル北条

SPZスター選手列伝 028

従業員コード:28
「お嬢様特急」 ロイヤル北条

本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。中学時代はフェンシングに熱中し全国大会で入賞する成績を残す。しかし、中学を卒業するや上京しSPZの新人テストを受験。合格しSPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での対 芝田美紀戦でデビュー。同期のビューティ市ヶ谷と組んであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝き、

お嬢様軍団「ジュエルローゼス」の一員としてメインやセミでも存在感を出すようになり、2027年7月にはSPZ世界王者に輝くなどツボにはまった時の実力は素晴らしいものがあった。得意技4はロイヤルスパイク。
2030年1月16日、新潟市民総合体育館でのライラ神威戦で引退。稼動月数106ヶ月、出場試合数(概算)784試合

タイトル歴
第45代SPZ世界王者
第51代SPZ世界王者

第26代SPZ世界タッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)
第33代SPZ世界タッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第6代あばしりタッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)
第8代あばしりタッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第15回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)
第16回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)
第19回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)
第21回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)

写真集1冊

*******************
今野役員コメント
まさにジュエルローゼスの扇の要として存在感を見せていた。JRの4人の中では唯一の正統派で、タッグマッチでは市ヶ谷の暴走をうまくリードしながら試合を作ってゆく仕事師で、市ヶ谷・北条組はSPZの歴史の中でも燦然と輝く名タッグであったと思う。シングルプレーヤーとしても必殺ロイヤルスパイクを武器に堂々の立ち回りを見せ、SPZベルトも巻いた。引退後はSPZにコーチ兼レフェリーとして残り、若手の指導に当たっている。

2008年3月26日 (水)

(番外)児ポ法の適用拡大問題について

「児童買春・児童ポルノ禁止法」規制強化の検討について

まさかとは思いますが、「児ポ法」の法改正で
えらいことになりそうなので、紹介してみたいと思います。
浜岡さんのレッスル社長検索で紹介されてましたが・・・

現状、実写の「児童ポルノ」の製造および販売は禁止。
今回、それに加えて「単純所持」も禁止にしようということが
自民党公明党あたりで検討されております。

先進国G8で、単純所持に対する規制がないのは
日本とロシアだけ。日本は児童ポルノ問題への取り組みが
甘いんじゃあないのか、ということを言われる前に
法改正してしまおうというものです。

児童ポルノがなぜダメかということは、被写体にされた方の
人権問題(結婚や就職がしにくくなりますね)、性犯罪の助長?
という理由でもって、麻薬や拳銃と同様に、社会秩序によくない
影響を与えるからだと思われます。

ここまでは、社会的に存在してはならないと思われる児童ポルノを
覚せい剤や大麻と同じように所持を禁止するというのは
まあいいのではと思われます。まあでも一般人がネット経由で
所持していても(私は持っていませんが)、それをたまたま見た
家族や友人が警察に通報して、罰金払って終了、くらいのものでしょう。

問題なのは、規制の対象として「準児童ポルノ」を追加するということでしょう。
「被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的な姿態や虐待などを写実
 的に描写したもの」と定義した「準児童ポルノ(アニメ・漫画・ゲームソフト
を含む)」を規制の対象とする!ことです。

まさかレッスルエンジェルスサバイバーの写真集イベント程度が
準児童ポルノに該当するとは思えませんが、銀色のシールの貼ってある
パソコンゲーム(筆者42本所持)、18禁コミック(筆者2冊所持)は
対象になってしまうと思います。

今でも銀色のシールの貼ってあるパソコンゲームは「作中に登場する
人物はすべて18歳以上です」などと記されていますが、ToHeart2の
柚原このみさんは18歳以上には見えないですね。ええ。そういった
2次元キャラの性描写シーンのあるゲーム・漫画の発売、製造、所持禁止・・・

日本は終了しました。

美少女ゲーム産業壊滅やないですか。コンシューマー版程度の表現しか
できんのですか。もう「タカくん・・・ダメだよタカくん」とか「たかあきくんが
したいことだから、それをさせてあげるのが、あたしのしたいこと・・・」とか
「男の子の味がします」という迷ゼリフが見れなくなってしまうのが残念です。
日本が世界に誇る美少女ゲーム文化が児童ポルノの一言でくくられてしまうのは
とてもとても悲しいものです。

先ほど申し上げましたように、児童ポルノが社会的に存在してはならないという
理由は
1.被写体の人権を考えなさい、2.性犯罪を助長しかねない
が主な理由ですが、1.は二次元なのでそもそも被写体は存在せず、2.はその
ゲームソフトや漫画を見たから性犯罪に走るのだという相関関係は低いと思いますよ。

犯罪を犯すかどうかはそんな底の浅いものではありません。過去の人格形成とか
動機とか心理的経済的な要因とかね。プロレスや格闘技を見た人が
すべて暴力犯罪に走りますでしょうか。よって、二次元のゲームソフト、
アニメ、漫画などが、社会的に存在を許されない「児童ポルノ」の枠に
含めることはどう考えてもおかしいと思います。

とはいえ、銀色のシールを貼ったゲームはそれなりの市場規模がありますし、
二次元をすべて準児童ポルノ扱いにして規制してしまうと、メロンブックスが
取り扱いアイテムの7割販売禁止!になり潰れたり、特定の業種業界に
衝撃を与え、それによって生計を立てている人が困るから、経済政策上そこまでは
やらないでしょうとは思いますが(タバコは健康によくないから1箱1000円に
上げろという議論がありますが、それをやったら農家の方や販売者の方に影響が
あるからやれないのです)段階的に規制をかけられる恐れはあります。

(まさかとは思いますが、これからは格差社会が拡大し、恋愛も結婚も出来ない
年収100万円台の若者がバンバン増えて、そういった方々は二次元にますます走り
少子化が加速するでしょう。それを防ぐために政府は二次元への規制を考えて
おるのかもしれませんが)

故に、児童ポルノ法改悪(私は実写の単純所持はまあいいとしても、二次元への拡大は
絶対反対です)に対して意思表示するため、我々は政治への参加を放棄しては
ならないのであります。とりあえず次の選挙から、必ず投票に行きましょう。

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2030年4月

「SPZ創業者 今野氏 児ポ法違反で書類送検」

4月1日、神奈川県戸塚署は、神奈川県横浜市戸塚区、プロレス団体役員、
今野和弘容疑者(55)を、準児童ポルノ所持の疑いで書類送検した。
調べによると、今野氏は、所有するパソコンのうち1台のハードディスクに、
2008年に発売されたアダルトゲーム「トゥハート2 アナザー
デイズ」を保管、所持していた疑い。

容疑者の妻(36)が、同ゲームをこっそりプレイしていた今野容疑者を
目撃し、警察に通報したことで発覚した。調べによると、今野容疑者は
「よっちの胸は捨てられなかった」などと供述している模様で、罰金
20万円を支払い次第、釈放される見通しだが、今野容疑者の勤務する
プロレス団体「SPZ」の吉田龍子社長(32)は、会社イメージへの影響を
考え、今野容疑者を即刻、解雇する模様。

2015年に児ポ法が再改正され、18歳未満と思われる人物の性描写のある
漫画やアニメ、ゲームなども単純所持が禁止され、店頭からは姿を消したが、
規制前に発売された作品を所持・鑑賞する例は後を絶たず、専門家の間では
今回のケースは「見せしめ」ではないかと言われている。

(2030年4月4日 京スポ新聞 社会面記事より)
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第373回「よこ川」裏方3人座談会

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記
輝くエッセンシャル 外伝SS

2030年3月上旬発売の週刊ハッスル 座談会、「裏方の苦労」から。

―SPZもますます好調ですねえ。武藤めぐみが絶対的エースになって、いよいよ絶対王者ロード一直線になるんじゃないですか?

今野和弘(SPZ取締役):わははははは、ようやく武藤めぐみがトップを取って、これで16期生との激突も盛り上がる。儲かりますよ(笑)

井上霧子(SPZ取締役):内田さんは今野さんのお気に入りだから。

吉田龍子(SPZ社長):んー、まあ、プロレスの試合が盛り上がってお客さんが手を叩いてくれるとまあ、嬉しいですね。

―SPZもついに21周年ですか、ここまでさまざまな苦労があったとは思いますが。.

井上:旗揚げの頃は正直しんどかった。それに比べれば今は楽ですよ、ハハハッ。(お通しに手をつけず日本酒を飲んでる)

今野:だってねえ、お金なかったんだから。保科さんなんか写真集8冊出したのは、アイドルレスラーだったこともあるけど、お金がなくて何回もピンチだったからね。

井上:巡業なんてマイクロバスに押し込められて下道5時間とかね。信じられなかったわ。

今野:まあ、5-6年目かな、吉田さんが入ってきてブトウカンに進出できて、いけると思ったのは。あのころのSPZ凄かったからね。吉田さんのおかげで儲けさせてもらいましたよ。

吉田:どうも。まあ伊達さんとか南さん、草薙さんとやるときは死ぬ気でぶつかっていったから。そんなところが受けたのかな。

今野:あのころに比べたら楽させてもらってます。ゴング叩くのと売店立つだけで月収25万だから。ハハハッ。

―SPZも吉田社長になって、これからどんなプロレスを見せてゆくつもりですか?

吉田:ああ、ビールうま(刺身をつまみながらビールを飲む)んー、まあ、やるのは選手だから。あたしたちはクロコ、ワニじゃなくて裏方だよ。

井上:寒っ。

吉田:まあ16期生の3人と武藤めぐみ、あと外人さんたちの激突、これで回していきますよ。あとはノエル白石がトップ争いに割って入ってきそうやね。

今野:あとライラ選手の悪役ですか。

吉田:ライラね・・・頭痛いよ、責任者として。凶器ガンガン使ったりしてタイヘンよ。

井上:でもライラ選手は馬力もあるし、プロレス頭も持ってますから、SPZチャンプ取れると思いますよ。

吉田:ないない絶対ない。(想像するだに恐ろしいのかビールをあおる)

今野:ま、まあやるのは選手だからなるようにしかならんわ。ハハッ。

―SPZは今この3人でフロント陣を回されているようですが、役割分担を教えてください。

今野:吉田さんは社長、やっぱり現役時代すごかったからね。ああいう人がプロレス団体の顔だと何かと助かる。ああ、あの吉田さんですかって。

吉田:ハハハッ、まあ顔ですよ。今野さんがお金の流れ見てくれるから、あたしは社長イスに座ってるだけですよ。

今野:いやいや、選手にびしっと言えるのは吉田さんぐらいでしょう。お客さんの反応を考えろとか、もっと暴れろとか、遠慮するなとか。

井上:で、今野さんが経理とか人事とかの部分。吉田さんが選手のまとめ役かな。あたしは新人のスカウトとかそのへん。旗揚げの頃に比べると役割分担が出来てきたと思います。

―新人スカウトは井上さんがやってらっしゃるんですか。

今野:旗揚げ以来そうですね。あちらこちらに情報網を持っていて、謎の多い人です。

井上:(かなり酔ってる)前の団体にいたときから、地方のプロモーターさんやアマレスに強い学校の人と人脈がありまっからね。

―有望な選手を見分けるコツは難ですか

井上:カンよ。女のカン。

―カン、ですか・・・でも中学を出たばかりの女の子を上京させてレスラーに育てるのは大変でしょう。

今野:まあ、あとは本人の努力ですからね。私生活の面では、18歳まで問題の起きないように寮に押し込んでますから。いま寮長誰だっけ?酔ってて出てこない。誰だっけ?

吉田:中森選手ですよ。

今野:まあ採用した選手は戸塚の自社ビルに押し込んで、先輩選手がプロレスの基礎から教え込みますから。そのへんの育成システムはしっかりしているほうじゃないですか。むしろ旗揚げ直後のころが酷かった。

井上:まあ・・・あの頃はねえ。ミミ吉原選手しかコーチ役がいなかったですから、今野さんも練習見てたり、合間にひかるちゃんに声かけてたりとか(笑)

―奥さん元気ですか?

今野:まあ、去年まで育児に専念していましたけど、この間公認会計士の仕事に復帰しました。夫婦仲?まあまあですな。会社で選手に見とれてたりすると吉田さんから告発されるから。

吉田:今野さん、けっこう特定の選手に肩入れするからね。ジュエルローゼスには冷淡だったのに、16期の内田さんや氷室さんはやたらプッシュしたがるから。

今野:はははは(引きつった表情で焼き物をつつく)

―次期エースと噂されるノエル白石選手はどうですか?

吉田:力はある。握力計の針が振り切れたらしいし(笑)でもね、気迫がない。あいつぶっ殺してやるという気迫がない。たぶんトップは取れないと思うよ。

今野:それがいいんじゃないか。(笑)

井上:ある程度のところまでは行きますよ。そっから先は運ですね。

吉田:運って・・

井上:運不運は人生に付き物です。(相当酔ってる)

―十数人の選手を抱えて人間関係も大変でしょう。

今野:まあ、人を育てるのはどこの会社も大変です。でもまあ吉田さんが社長になってからは選手を公平な目で見ていただいてるんで選手の不満は少ないとは思いますが、あとはベルト手放して落ち込んだ選手には話の聞き役になるとか、その辺のフォローは必要ですね。8年目あたり大変だったんだから。伊達さんや草薙さんが吉田さんにやられて自信なくしましたとか言って・・・

吉田:まあね、ベルトを手放したら選手は落ち込んじゃうからね。私もそうだった。

井上:今はOGのフロント陣がしっかりしてきたから、逆に普通の会社っぽくなってしまってるんですが、この3人がにらみを効かせてればまあ大丈夫じゃないかしら。

―最後に今後の抱負を。

井上:まあSPZがどんどん発展していって、より多くのファンに喜んでもらえるようにしていくことですか。

今野:ゴーイングコンサーン。団体が存続していくことですね。分裂しないように頑張ります(笑)

吉田:まあそんなとこかな。

(2月下旬、戸塚の日本料理店、「よこ川」にて収録)

2008年3月25日 (火)

第372回 上諏訪温泉、出会い

ギムレット美月の「それから(3)」
 上諏訪温泉 出会い

2030年3月中旬の土曜日、八重樫美月は八王子駅から松本行の特急「あずさ」で西へ向かった。ここ2年、彼女はフリーのプロレスラーとして、オファーがあればどこへでも出かける日々を送っていた。今回は長野は上諏訪にある「地下プロレス諏訪」からはじめてオファーがあった。

「地下プロレス・・・うさんくささプンプンですね」

3年前の夏、SPZマットでの戦いについていけなくなり、後進に道を譲ってからは独立団体を掛け持ち参戦し、SPZ時代とさほど変わらぬ収入を得た。高額のギャラ目的で総合格闘技の試合にも出たし、大阪の独立団体で金網デスマッチも戦った。そうしてお金もある程度たまったので、先日ついに八重樫美月の個人事務所「株式会社ギムレットオフィス」を起業し、品川のレンタルオフィスの一角に机ひとつと電話一本を確保した。

登記とかその辺の雑務バタバタは元レスラーの公認会計士・今野ひかるに丸投げした。八重樫美月、いや、株式会社ギムレットオフィス社長は自前のプロレス会場を持つという野望に向かって着々と前進していった。

15時過ぎ、美月はJR上諏訪駅に降り立った。南口を出て事前に用意した地図を見ながら10分ほど諏訪湖方面に歩くと、古びた7階建てのビルと「ニュー川端屋ホテル」の看板が視界に入った。

温泉旅館、外観は年季を感じさせたが、通された新館の和室はよく手入れされていて落ち着く部屋。バルコニーからは諏訪湖が良く見える。
部屋に荷物を置いてから、1階のロビーでこの興行のプロモーター、川端さんと打ち合わせ。

「我々、上諏訪温泉ホテル組合はここ数年、宿泊客の減少に苦しんでおります」

川端さんは40代後半のおっさん。どうやらこの温泉旅館の経営者らしい。

「・・・はい」

「20年代から若い世代の温泉離れが拡大して、いまや上諏訪温泉はアクセスのよさが逆に災いして、中途半端なところにある温泉と見られ、客数が落ち、経営難に陥り廃業する旅館も出ました。そこで我々が考えたのがアトラクションとしての『温泉地下プロレス』です。このような催しはおそらく日本でも初めてですので、客足回復の切り札となると考えました」

「・・・・そうですか」

「昨年の秋から本館の大広間を改装してリングを置き、毎週土曜の夜にプロレス興行の真似事を行っていますが、いかんせん選手が新人ぞろいなので盛り上がりません。ここは是非、八重樫先生のお力をお借りしたいと思いまして・・・・」

「・・・わかりました、で、対戦相手は」

「ウチの娘で、未来のエース候補、SUZUNAです。」

「・・・・・・」

娘にプロレスをやらせて経営難を打開しようとするか。美月はこの経営者の思考に少しあきれた。

「自慢ではありませんが、ウチの娘はスポーツ万能で体育の成績は5でしたので、中学2年の頃から柔道をやらせる一方でプロレスのDVDを見させてムーブを覚えさせました」

「・・・・・・」

そんなドシロウト同然の選手とやってどう相手を光らせたらいいのか。八重樫美月は困惑の表情を浮かべた。

でもって、午後6時、第1試合開始。美月はメインに出るがその前に大広間隅で観戦。

集まった宿泊客と観戦客は70名程度。

「なんですか、このリングは」
地下の大広間に作られたリングは体操マットを何枚か積み重ねて作った代物で、四隅には鉄柱がわりの木材が立てられ、ロープは大工用のトラロープが張られていた。

「ロープワークできないじゃないですか」

「いやあ、川端屋ホテルもこの企画を持って銀行に融資をお願いしたら、案の定断られてしまって。自己資金ではここまでしかできなかったのですよ」

「あきれてものが言えませんね、まあ最善はつくしますが」

前座の試合が3試合あったが、お世辞にもプロのレベルとはいえないものであった。どうやら温泉旅館の従業員が掛け持ちでやっているらしく、大広間に集まった観衆の盛り上がりもいまひとつであった。

「さあ本日のメインイベント、わが上諏訪温泉・地下プロレスのスター、SUZUNA 対 闇の殺し屋、ジ・オブリビオン!」

リングアナ役の川端さんがマイクを握る。
黒いリングコスチュームに着替えたオブリビオン、体操マットを重ねたリングによじ登った。

「赤コーナー、ジ・オブリビオーン!!」

―さっさと終わらせて、帰りますか。

ゴングが鳴った。

しかし試合開始から1分もしないうちにオブリビオンの顔から余裕が消えた。

―この人、できる・・・
対戦相手のSUZUNA、まだ10代半ばと思われるあどけない顔立ちながら、グラウンドレスリングを仕掛けてくる。しかもSPZ時代の古傷である右腕をねらって来た。
オブリビオンも寝技で応戦。ギムレット美月の頃を思い出したかのようなグラウンドレスリング。SUZUNAをヘッドシザースに捕らえる。

「ぐううう・・・っ。」

地味な技だがSPZの道場で新人が真っ先に叩き込まれるムーブなのでなかなか抜けられない。しばらく苦しんだSUZUNAだったが、体勢を入れ替えて、両手を突いて、
その場で倒立。そのままオブリビオンの足の上に着地。これでヘッドシザースが外れる。無我のムーブとして有名となった動きだ。

―技術もけっこう・・・持っていますね

オブリビオン、作戦を転換して長期戦にもちこむ手を使った。相手の若さを見てスタミナ切れに持ち込もうと考えたが、10分が経過してもSUZUNAの集中力は切れなかった。

「ならばこれで・・・」

リング中央で組みとめてダブルアームスープレックスをねらう。あまりパワーがないので、何度かトライして、観客にやるぞやるぞと見せてから投げる。

どさっ。

たたきつけられるSUZUNA。そのまま覆いかぶさってフォール。

ワン、トゥ・・・・

SUZUNA、カウント2でフォールを返した。

―これは出来る。どうやって決めましょうか・・・

息を整えつつ考えあぐねていると、SUZUNAが仕掛けてきた。ヘッドロックに捉えたままリング中央まで移動し、右腕を取って足をフックしてそのまま後方へ倒れこんだ。

バターン。

河津落とし。今では使う人も本当に少なくなったマイナー技だ。

―ほう、渋い技を、って、う、わ!

なんとSUZUNA,河津落としで倒したあとも右腕を離さず、そのまま腕ひしぎ逆十字に移行!

・・・うまい!

古傷である右ひじを極められたオブリビオン。右ひじがピリッときたので無理せずタップ。
カンカンカン・・・

「15分22秒、腕ひしぎ逆十字固めで、SUZUNAの勝ち」

オブリビオン敗北、右ひじを押さえながら引揚げた。しかし顔にはいい試合をしたという安堵感。大広間に詰め掛けた観客も盛り上がった。

「鈴菜ちゃんすごいじゃない!」

「SPZでチャンピオンになった人に勝っちゃった!」
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メイン終了後、撤収も終わり、八重樫美月はホテルの喫茶室で川端父娘とお茶を飲んでいた。

「あんなムーブ、どこで覚えたのですか」

「腕ひしぎは・・・パパが持っていた、90年代の全日本プロレス中継のビデオです。」

「・・・・」

温泉旅館の主人が相当のプロレスファンで、娘がそのビデオを見ていうパターンなのか。道理で昔ながらのプロレスをやるわけだ。美月は合点がいった。

「馬場さんが、98年の最後の試合で使った技です・・・っ。500回以上見たので自然と身につきました」

「鈴菜さん。あなたはここで終わる人じゃないです。もっと大きな舞台でも活躍できる人です」

「・・・そう、ですか?」

「私が元いた会社、SPZは選手育成に定評があります。私が紹介状を書きますから、日本全国、いえ、世界で戦いませんか。あなたにはトップを取れる素質があるかと思います。そうしたらこの旅館にももっとお客さんが来ると思いますが」

「でも、私には・・・ここの地下プロレスがようやく・・・」

「私もスケジュールの許す限り参戦しますし、他のフリー選手に声もかけますので、それは大丈夫だと思います」

「今夜にでもSPZの井上さんにメールを送りますので、近々スカウトの連絡が入ると思います。SPZも18期の武藤さん以来有望な新人がいないのが実態ですので、上に行くチャンスはあると思いますよ、やってみませんか?」

「SPZさんのギャラは、どのくらいなのですかな」

川端さんが横から口を挟む。

「最初のうちは、年収400万くらいですが、2-3年もすれば年収1000万円くらいに上がります。あと入門時に契約金が1500万円支払われるはずです」

この好条件がちらついたのか、鈴菜も覚悟を決めた。

「わかりました。SPZで・・・頑張ってみます・・・っ」

これが後にSPZ世界王者にまで登り詰めた技巧派レスラー、ケンドー・カミスワがSPZ入りするきっかけだった。

2008年3月24日 (月)

SPZスター選手列伝 027 ビューティ市ヶ谷

SPZスター選手列伝 27

従業員コード:27

世界最強の暴走お嬢様 ビューティ市ヶ谷

本名、市ヶ谷美香。2005年9月10日、埼玉県さいたま市出身。中学時代は柔道で鳴らし、数多くのジュニア大会で優勝するが、井上霧子に誘われ突如プロレス転向を宣言。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会でのキューティー金井戦でデビュー。

その高笑いを交えた個性的なファイトスタイルで人気爆発。ロイヤル北条とのコンビであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝く。ナターシャ・ハンやハイサスカラスといった世界の一流選手を破り、AAC,EWAのシングルベルトをも戴冠。そしてSPZ王者にもボンバー来島を破り戴冠し、絶対王者として防衛を重ねる。SPZクライマックスでは第16回~第20回大会で5連覇を果たすなどSPZの女帝として君臨。得意技はビューティボム。

2029年11月29日、横浜スペシャルホール大会でのローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号戦(パートナーはロイヤル北条)で引退。稼動月数104ヶ月、出場試合数(概算)720試合。

タイトル歴
第43代SPZ世界王者
第47代SPZ世界王者
第49代SPZ世界王者
第52代SPZ世界王者
第56代SPZ世界王者
(累計防衛回数 21回:歴代2位)

第26代SPZ世界タッグ王者(パートナーはロイヤル北条)
第33代SPZ世界タッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

第6代あばしりタッグ王者(パートナーはロイヤル北条)
第8代あばしりタッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

EWA世界王者
AAC世界王者

第16回SPZクライマックス優勝
第17回SPZクライマックス優勝
第18回SPZクライマックス優勝
第19回SPZクライマックス優勝
第20回SPZクライマックス優勝

第15回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)
第16回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)
第19回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)
第21回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)

写真集 3冊

今野役員コメント:16年目から20年目頃までのSPZで一時代を築いたとてつもない選手だった。SPZ王座の防衛回数も吉田龍子の22に次ぐ21、SPZクライマックスも5連覇。あの吉田龍子に引けを取らない戦績を残した。タッグ戦線でもロイヤル北条という好パートナーがいて、タッグリーグ優勝の表彰式と引退式を立て続けに行うという離れ業をやってのけた。地方会場でも「ジュエルローゼス」は大うけで、外人選手や来島菊池、16期生を粉砕するなど大いに存在感を残した。引退後は市ヶ谷グループの資産家としてセレブな生活を送るかたわら、ブティックやワインバーを経営しているらしい。

2008年3月23日 (日)

SPZスター選手列伝 026 キューティー金井

SPZスター選手列伝 26

従業員コード:26

アイドルレスラー キューティー金井(SPZ12期)

本名:金井紗也。2005年1月31日、北海道千歳市出身。SPZのDVDを見てアイドルレスラーになろうと決意し、SPZの新人テストを受験し見事合格。2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での対 渡辺智美戦でデビュー。闘志を前面に出すタイプではなく、前座戦線で外人レスラー、先輩レスラーに痛めつけられるキャラで人気は上昇中。時たま出すバックドロップはかなりの威力(らしい)。ギムレット美月と組んであばしりタッグ王座を獲得するなどアイドルレスラーの枠にとどまらない活躍を見せる。

2028年4月27日、新日本ドーム大会での対 野村つばさ戦で引退。稼動月数97ヶ月、出場試合数(概算)704試合。

タイトル歴:
第16代あばしりタッグ王者(パートナーはギムレット美月)

写真集 1冊

今野役員コメント:トロい、弱い、後半の試合に出すのもはばかられる、SPZクライマックスに1回も出られなかったほどの弱さだったが、前座の星として、アイドルレスラーとして十二分に活躍していただいた。若手の頃は絶望的なまでに弱かったが、先輩のギムレット美月と行動を共にするようになってからはそれなりに使える選手になって、そのやられっぷりがファンの間でも評判となった。あばしりタッグ戦線で60分ドローもやってのけるまでに成長した。引退後はタレントとしてそこそこ活躍しているらしい。

2008年3月22日 (土)

SPZスター選手列伝 025 芝田美紀

SPZスター選手列伝 025

従業員コード:25

「スーパーお嬢様」

芝田美紀(SPZ12期)

2004年11月18日、大阪府箕面市出身。天性の運動神経が井上霧子の目に留まり、SPZ12期生として2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での菊池理宇戦でデビュー。運動神経を生かした瞬発力には定評があり、それを生かした延髄斬りの威力は恐ろしいもので、数々の選手をその餌食にしてダイヤモンドキックと呼ばれるに至った。ビューティ市ヶ谷らとお嬢様軍団「ジュエルローゼス」を結成しメインやセミで熱い戦いを繰り広げる。2027年5月にはビューティ市ヶ谷を破りついにSPZ世界王者に輝く。得意技はダイヤモンドキック。

2029年6月26日、さいたまドーム大会での対ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条戦(パートナーはフレイア鏡)で引退。稼動月数111ヶ月、出場試合数(概算)792試合

タイトル歴

第50代SPZ世界王者(防衛回数1回)

第27代SPZ世界タッグ王者(パートナーはフレイア鏡)

第31代SPZ世界タッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

今野役員コメント、まあ、リングの華という表現がぴったりくる名選手だった。ビューティ市ヶ谷と芝田とロイヤル北条、フレイア鏡の4人で「ジュエルローゼス」というユニットを組ませたがどの会場でも大ウケであった。市ヶ谷に劣らぬ個性の持ち主で、延髄斬りを「ダイヤモンドキック」と言ってしまうあたりが只者ではなかった。シングルプレーヤーとしてもかなりの実力を持ち、SPZ女王の座にも一度だけ輝いた。引退後はアメリカに移住して社交界デビューを果たしたらしい。

2008年3月21日 (金)

第371回 21年目3月 ファイヤーソウルシリーズ

21年目3月。
SPZは将来を見越して、REKIを海外遠征に出した。

3月シリーズ「ファイヤーソウルシリーズ」開始。東北地区を巡業したあと、北関東へ。
第5戦宇都宮大会、メインはあばしりタッグ選手権。王者成瀬唯、フォクシー真帆に挑むのは、人気上昇中の外人、「サーファーガール」ジェニー・ビーチ&「ネタ外人」ソフィア・リチャーズ。

「Let‘s Go!」

ジェニー・ビーチはビーチボールを持って入場。差後に客席に投げ入れる。試合が始まっても体格を生かした直線的なファイトで王者組を追い込む、が、パートナーが最弱外人のソフィア・リチャーズでは押し込めない。試合は長期化した。

「ぐうううう」
ストレッチプラムで痛めつけられ、そのあと合体パイルを食らって力尽きた。勝負タイム45分57秒、王者組が防衛に成功。

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第7戦幕張大会、メインは氷室紫月、ノエル白石のSPZタッグ王者、挑むのは武藤めぐみ、成瀬唯組。
15期生の成瀬唯、「他に人がいないから」という理由だけで武藤のパートナーを務めている。しかし武藤があまりにも強いのでSPZタッグへの挑戦のチャンスが転がり込んできた。

「・・・まあ、がんばりますわ。」

氷室紫月はもうこうなっては成瀬唯をねらうしかない。

―武藤さんが本気を出してくる前に、成瀬さんをつぶす。

しかし成瀬もうまく立ち回って武藤にタッチ。そのあと武藤と氷室がシングルマッチのようなシビアな攻防。武藤の跳び技が冴える。しかし氷室もステップキックで振り切ってノエル白石にタッチ。

ここでノエル白石が仕掛けた。

「もう終わりにするの」

バッターン。

力任せのSTO炸裂。これで武藤、たまらず成瀬にスイッチ。案の定成瀬がノエル白石のバックドロップ、ジャーマンを食らって大ピンチに。

ジャーマンは何とか武藤がカット。そして成瀬がアキレス腱固めで懸命の反撃。ノエル白石、これで足をやられたのか動きががくんと落ちた。そこを突いてはうように武藤にタッチ。

ドオオオオ!
あとは休んで回復した武藤がノエル白石を一気に攻め込む、シューティングスタープレスを決めて3カウント。

「48分59秒、シューティングスタープレスからの片エビ固めで、武藤めぐみ、成瀬唯組の勝ち」

「・・・・負け、たの・・・?」

「・・・これも・・運命。」

「・・・これで、タッグベルトも獲った」

「・・・セェ、ゼェ、ゼェ・・・はーしんどかったぁ~」

15期生の成瀬唯、実力は微妙だが、粘って粘って、SPZタッグベルトを巻いた。

*************************

3月シリーズ最終戦はさいたまドーム大会。

セミ前のタッグマッチは前SPZタッグ王者、氷室紫月、ノエル白石が登場。対戦相手はローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号。個々の力で上回る氷室組が優位に立ち。最後はダイビングプレスで飛んだ氷室がローズ・ヒューイットを下した。

さいたまドームのセミはライラ神威対ジェナ・メガライト。勝てばSPZベルト挑戦の目も出てくるライラがハッスルしたが、メガライトの投げ技のキレはすさまじい。苦戦を余儀なくされたが、

「ブッコワレロー」

ライラのカムイエクウチカウシ炸裂。これで動きの落ちたメガライト。形勢逆転、すかさずタイガードライバー、ミサイルキックとつないで3カウント奪取。勝負タイム10分15秒。

メインイベントのSPZ選手権は王者 武藤めぐみ 対 挑戦者マッキー上戸。

久々のSPZ王座挑戦に意気込む上戸だった。
「パワーファイトの真髄見せてやるぜ!」

しかし武藤、隙がない。マッキー上戸の力まかせの攻めを受けきってローリングソバットで反撃。そしてダイビングプレス。
「やっ!」
バックドロップまで食らってマッキー上戸、グロッキー状態に。
「覚悟して!」
トドメはノーザンライトスープレックスホールド。勢いよく投げてマッキー上戸から3カウント奪取。21分30秒、これで3度目の防衛に成功。当分武藤めぐみの時代は続くのか・・・

2008年3月20日 (木)

第370回 武藤めぐみの時代

21年目2月

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SPZは13期生も引退し、所属選手は13名となった。そんな状況の中、2月シリーズ「バトルウインターシリーズ」が開幕。

メインには連日「ヒューイット一家」ローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号、ワイルドローズ2号がトリオを組んでSPZ選手と対戦。各会場大いに盛り上がった。

第6戦福井大会で波乱。タッグ王者チームの氷室、ノエル白石が武藤めぐみ、イージス中森の即席コンビに敗れてしまう。武藤の猛攻を氷室がこらえ切れなかった。

福井大会のメインはあばしりタッグ選手権。王者組の成瀬唯、フォクシー真帆に挑むのはファントムローズ1号、ワイルドローズ2号のメイド隊。一進一退の攻防が長く続いたが、連係ではやはり1号&2号に分がある。しかし終盤、成瀬が仕掛けた。

「足もろたー!」
ワイルドローズ2号をアキレス腱固めに捕らえる。もだえ苦しむ2号。

「NO!」
ファントムローズ1号がカットに入ったが、これが狙い目。成瀬に蹴りをかましてアキレス腱固めをカットしたファントムローズ1号へフォクシー真帆がものすごい勢いでタックル。これで1号を場外へ吹っ飛ばした。リング上に孤立する2号。この隙を突いて2人がかりで合体パイル。これで2号を仕留めた。勝負タイム48分17秒の激戦の末、王者組が防衛に成功。

第7戦神戸大会。メインはSPZタッグ選手権。王者氷室紫月、ノエル白石組に挑むのは元王者のジューシーペア。SPZのタッグ戦線はここ数年ジューシーペアを軸に廻ってきた。しかし今日は氷室の動きがいい。グラウンドの攻防でラッキー内田と互角に渡り合い、マッキー上戸をきりきり舞いさせる。この流れにじれたマッキー上戸が仕掛けた。

「バーカーヤーロー!!」
ヘッドバットでぐらつかせてのスプラッシュマウンテン。これで大ダメージを負った氷室、さすがにあとをノエルに託さざるを得なくなった。しかしノエル白石もラッキー内田をパワーで圧倒。STO,パワーボムとたたみかけて3カウント奪取。

「やっと終わった・・・の?」

ジューシーペア相手に堂々のフォール勝ち。これでノエル白石は完全にトップグループに割って入った。勝負タイム27分53秒、王者組が初防衛に成功。

****************************

最終戦は本拠地に戻って横スペ大会。

第1試合は「6時半のアイドルレスラー」野村つばさ対ワイルドローズ2号。パワーに勝るワイルドローズ2号が猛然と攻める。10分15秒、DDTで野村つばさ沈む。

第2試合は若手対ベテランのタッグマッチ。REKI,コンバット斉藤の「悪役タッグ」に、「あばしり王者」フォクシー真帆、成瀬唯が対戦。

「新蛇抜!(しんじゃぬけ)」
なにやらREKIが呟いてからけっこうなスピードでフランケンシュタイナーを決める。この選手もだんだん引き出しが多くなってきた。しかしREKIの攻撃には重さがなく、フォクシー真帆の身体にはさほど通用しない。決め切れぬままパートナーのコンバット斉藤がつかまってしまい、

「もうあきらめろ」
パワーボム炸裂。14分0秒、試合は終わった。

第3試合はフレイア鏡対イージス中森。長らく身をおいていたジュエルローゼスが解散して一匹狼となったフレイア鏡。2年目ながら堅実なファイトで後半の試合に起用されることも多くなってきたイージス中森。この試合はイージス中森が懸命に食らいついていって好勝負となった。関節の取り合いでも負けていない。

「ならば殴り倒すだけですわ」
ジャンピングニー2連発。これでイージス中森の動きがガクッと落ちた。それでもストレッチプラム、ノーザンで反撃するあたりはただの若手ではない。スクラップバスターを不恰好ながら繰り出してカウント2.8まで追い込む。焦ったフレイア鏡、なりふり構わずSTF、ストレッチプラムと攻め立てるがロープに近い。

「く・・この!」
フレイア鏡、勝負をかけたハイキックは水面蹴りで切り返された。

―こんなはずでは。
起き上がったときにはイージス中森が突進してきた。ジャンピングニーのお返し。これでフレイア鏡、3カウントを奪われた。

―鏡さんに、勝った!!!

勝負タイム26分13秒、実力が落ちたとはいえ、元SPZタッグ王者からの1勝は大きな自信になっただろう。

その試合が終わると休憩。外人同士のタッグマッチが2試合続く。まずローズヒューイット&ファントムローズ1号が登場。EWAのアリス・スミルノフ&デイジー・クライ相手にヒューイットお嬢様が大暴れ。最後は15分18秒、バスターローズでデイジーを沈めた。

第5試合はシンディー・ウォン、パトリシア・ルイス対ジェニー・ビーチ、ソフィア・リチャーズのタッグ戦。この試合はビーチ組が善玉で、シンディー組が悪役と分担が出来ていたので盛り上がった。ネタ外人のソフィアも奮闘。最後はジェニービーチがシンディー・ウォンをラリアットで仕留めた。

このあと3大シングルマッチ。セミ前はノエル白石対ライラ神威。お互いトップグループ手前の選手、SPZ王座へ挑戦するためには負けられない一戦。いや、もっともライラ神威は勝敗を度外視して暴れているだけだが。

「泣き叫びなー!!」
ライラの豪快なカムイエクウチカウシがノエルをまっさかさまに落とす。そしてバックドロップ、フェイスクラッシャーと波状攻撃。
しかしノエルも、

「っと・・・」
ジャーマン。そしてパワーボム。ノエル白石これで逆転勝利。
「ライラ選手は真正面から行き過ぎましたね。力勝負ならノエル白石選手のほうが上なんですから、もっと悪いことをして揺さぶらないと」

解説の吉田社長がコメント。

セミファイナルは氷室紫月対マッキー上戸のシングルマッチ。

パワーで押すマッキー上戸、関節技絞め技で抵抗する氷室。最後はマッキー上戸が強引なジャーマンでぶん投げて終了。次期SPZ挑戦権をほぼ手中にした。

メインイベントはSPZ選手権、王者武藤めぐみに挑むのはラッキー内田。先月氷室がダメだったから内田でも当てましょうかと言うマッチメイク。今の力関係では武藤が有利だが、関節技が決まればどう転ぶか分からない。

しかしやってみたら武藤の一方的ペース。ガンガン攻めていってラッキー内田に付け入る隙を与えない。最後のほうになってラッキー内田も逆片エビで反撃したがそれまでで、武藤があっさりとムーンサルトでトドメを刺した。勝負タイム24分55秒。王者が2度目の防衛に成功。武藤めぐみを追う16期生の3人にはかなりの差がついてしまったか。22年目に入るSPZマット、当分武藤めぐみの天下は続きそうである。

「長期政権、行くかもなあ・・・武藤めぐみ。」

かいせつの吉田龍子がボソッと呟く。

2008年3月19日 (水)

第369回 ロイヤル北条 引退試合

21年目 1月

ロイヤル北条引退シリーズ

そしてシリーズ最終戦、新潟市民総合体育館での興行。引退試合が地方の体育館で行われるのはおそらくSPZ始まって以来のことである。
体育館には「ロイヤル北条 最終試合」の大看板が。
お隣の富山県から「ロイヤル北条後援会」の大応援団が観光バス3台に分乗してやってきた。チケットの売れ行きも順調であっさりと当日券もはけてしまった。超満員札止め。

午後5時試合開始。首都圏からの観戦組もいると思われたので、試合開始時間はいつもより早め。

第1試合はジェニー・ビーチ対野村つばさ(18期生)。実力微妙の野村つばさ、7分24秒、あっさりとジェニーのブレーンバスターに3カウントを奪われた。

第2試合はタッグマッチ。REKI(20期),コンバット斉藤(21期)がタッグを組んでパトリシア・ルイス、ソフィア・リチャーズと対戦。

「はっ!」
「闇の空手家」コンバット斉藤がものすごい重さのキック。パトリシア・ルイス吹っ飛ぶ。そこへREKIの農鳥が命中。

しかしソフィア・リチャーズが懸命にアキレス腱固めで応戦して流れを引き戻して、なんとかダメージの回復したパトリシアにスイッチ。最後はパトリシアがタイガードライバーを連発してREKIを振り切った。勝負タイム15分48秒。

第3試合はマッキー上戸(16期)対フレイア鏡(14期)。今シリーズ相棒のいないマッキー上戸はマッチメイクでも冷遇されっぱなし。この日も前半の試合に登場。その恨みをぶつけるかのような猛攻。フレイア鏡、ストレッチプラムで見せ場は作ったものの、最後はパワースラムに屈した。勝負タイム14分51秒。

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休憩後、いよいよロイヤル北条の引退試合。
対戦相手は・・・

「ヒャーアハハハハハハ!あの高慢ちき女をぶっ殺してやるぜえ!」
ガトリング砲を乱射しながらライラ神威が花道を入場。場内はちょっとしたパニック状態に。

そしてー
「次の試合に登場するロイヤル北条選手はこの試合が最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします!」

元SPZ王者。ロイヤル北条が最後のリングに向かう。場内、ものすごい北条コール。泣いている女性ファンもいた。同期の市ヶ谷の陰に隠れた感はあるが、シングルでもかなりの実力者。SPZベルトも2度巻いている。

「最後の相手の希望はありますか?」

「そうですね。そこそこの相手ときれいにやって辞めるよりはみっともなく潰されて終わりたいですね」

ということで壊し屋、ライラ神威がラストファイトの相手となった。来島さんの引退試合のときのぶち壊し方は半端ではなかった。

リング上でにらみ合う二人。裁くレフェリーは上原今日子。

「北条さんよ。保険証と入院道具の準備は済んだか?」

「・・・ふん。あなたのような小悪党は返り討ちにします」

カンッ。

「ウァハハハハハハハ!」
ライラ神威いきなり凶器入りヘッドバット。そのあとボディスラム3連発。引退試合だからと言って相手にいいところを出させようなどという発想はみじんもない。

「はいっ!」
それでもタックルで反撃するR北条、しかしライラ神威、意外にもサソリ固めでゆっくりいたぶって、ロイヤル北条の動きを止めてからタイガードライバー。

おいこまれたR北条、
「これで終わらせる!」
ロイヤル北条。すばやく組み付いての最後のロイヤルスパイク。ライラの頭をマットにグサリとつきたてる!

ワン、トゥ・・・・・

しかしライラ神威、カウント2でフォールを返して、立ち上がってロイヤル北条を担ぎ上げる。この人はパワーもそこそこある。

「死ねやーーー」

トムラウシ(変形のデスバレーボム)炸裂。ロイヤル北条頭からマットへ。
ワン、トゥ、スリー。
ロイヤル北条返せず試合終了。

「11分15秒、トムラウシからの片エビ固めでライラ神威の勝ち」

だが試合が終わってからがライラ神威の本番。ピクリとも動かないロイヤル北条にストンピングの嵐。そしてチェーンを取り出し、ひゅんひゅんと振り回してから鞭のように打ち据える。

「ヒャーハハハハハハハハ!血の海に沈めぇぇぇぇぇぇぇ」

「いかんやめさせろもう試合は終わってる」

吉田社長、菊池コーチがリングへ。若手選手も上がり、リング上は大混乱の修羅場と化した。救出に入ろうとしたコンバット斉藤や野村つばさを蹴り倒して暴れるライラ。またしてもメモリアルをぶちこわすライラ神威。

カンカンカンカンカンカン!
今野役員が懸命にゴングを乱打するが何の効果もない。

「ええ加減にせえよ」
吉田龍子、久々のラリアットを放つが、ライラ神威、かわして、スタンロッド攻撃!

ばちばちばちばちっ!

「ひああああああっ!」
吉田龍子には学習機能というものがないようだ。あっさり失神。

「ヤクザキイーック!」
井上霧子、背後からライラに接近し、年齢を感じさせないヤクザキックをぶち込む。頭を押さえて片ヒザをつくライラ神威。そこへ羽山リングドクターが現れて、

ブスーッ。
鮮やかな注射一閃。おそらく中には巨象をも眠らせる麻酔が入ってるのであろう。これでライラ神威は失神した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

失神者が折り重なる戦場のようなリング上、ようやくフレイア鏡に介抱されたロイヤル北条が起き上がって一礼。そのあと花道を引き揚げた。館内ものすごい拍手。

「で、どうしましょう。この失神者の山・・・」
結局15分の臨時休憩を取って、スタッフ総出でもって、担架でうごけない者を医務室へピストン輸送した。

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ざわついた雰囲気のままセミファイナル。武藤めぐみ(18期)、フォクシー真帆(14期)、イージス中森(20期)対ローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号、ワイルドローズ2号の6人タッグマッチ。

この組み合わせではやはりヒューイット側の連係が勝り、合体パワーボムでイージス中森が12分8秒、沈んだ。

メインイベントはSPZタッグ戦。王者メガライト、デイジー組に挑むのは氷室紫月、ノエル白石組。ラッキー内田が負傷欠場したため挑戦権がころがりこんできた。前年11月のタッグリーグでは勝っているので挑戦者組にもベルト奪取の可能性は十分。試合はベテランのデイジー・クライが捕まってしまう展開。なんとかニーリフトで氷室をダウンさせてメガライトにタッチしたが、デイジーは場外でのびてしまった。

孤立したメガライトをかわるがわる攻め立て、最後はスタミナの尽きたメガライトに氷室がサソリ固め。根負けしたメガライトはギブアップ。30分50秒、これでSPZにタッグ王座が戻ってきた。

メイン終了後、ロイヤル北条の引退式。ジャージに着替えたロイヤル北条がリングに上がり、花束贈呈のあと10カウントゴング。

「諸君!これでさよならだっ!」

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ロイヤル北条(SPZ13期生)

2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。2030年1月16日、新潟市民総合体育館でのライラ神威戦で引退。稼動月数106ヶ月、出場試合数(概算)784試合

タイトル歴

第45代SPZ世界王者

第51代SPZ世界王者

第26代SPZ世界タッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第33代SPZ世界タッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第6代あばしりタッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第8代あばしりタッグ王者(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第15回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第16回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第19回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)

第21回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはビューティ市ヶ谷)

写真集 1冊

2008年3月18日 (火)

第368回 21年目12月 夢のマスターズ戦「お前、内田だろ!」

21年目12月 夢のマスターズ戦

休憩明け第4試合、シングルマッチ。SPZ10期生にしてSPZから撤退したもののいまだ現役のギムレット美月がマスターズ戦に登場。対戦相手はフリーのレスラー、ミラクルひばり。

「お笑いぞろいの中、やっぱ1試合くらいはまともな試合をやんなくちゃって井上さんが考えたんスカねえ」

両者、10分ほどまともなレスリングベースの攻防を繰り広げた後、ミラクルひばりのミラクルキックをかわしたギムレット美月がスッとアキレス腱固めを決めてギブアップ勝ちを収めた。場内に轟く会長コール。

「はい、どうもです。」

ギムレット美月、主催者の井上霧子から5万円を受け取るや車に乗り込み、家路についた。

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そしてセミファイナルのタッグマッチ。ハイブリッド南(6期生)、エル・オガワ・メンドーサ対ビーナス麗子(10期生)、富沢レイ(2期生)。マスターズ戦の常連4選手によるタッグマッチ。例によって富沢レイは試合開始前と休憩時間の物販で自作の同人誌(1000円)を売りさばいて小金を稼いだらしい。

「あだだだだだだ・・・・」
富沢レイのアイアンクロー、そしてゲンコツで頭をぐりぐりの攻撃に日本語で悲鳴を漏らすメンドーサ。場内は失笑に包まれた。

5分ほどメンドーサが相手チームの攻勢を受けてハイブリッドにタッチ。現在は故郷の高知でスポーツインストラクターをやっているハイブリッド南がいい動き。

「・・・はーっ!!」

「あ、いたっ・・・・」
富沢レイをダブルアームスープレックスで投げきった。たたきつけられて腰を打ってしまった富沢レイ起き上がれない、そこへハイブリッド南がアンクルホールド。ビーナス麗子がカットに入る前に、あっさりとギブアップを奪った。勝負タイム7分27秒。

「まあ、やっぱりハイブリッド南選手はうまいッスよね」

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そしてメインイベント、

吉田龍子、リングドクター羽山海、助っ人X 対 井上霧子、喫茶あばしり店長鈴波かすり、助っ人Y 

という無茶苦茶な6人タッグマッチ。マスターズ戦とか言うもののSPZのOGは吉田龍子のみ。そして双方の助っ人X、助っ人Yとは誰なのか。

リングドクター羽山海は勤務先の病院からナースを2人同伴で入場してきたから場内どよめき。そしてあばしり店長鈴波さんはやはり部下のメイド服のウエイトレスさん2人を同伴して入場してきたから場内爆笑。

「お茶でもいかがですか~」
パティシェ服の鈴波店長、リング上そっちのけでリングサイドの観客に紙コップを配りダージリンティーを注ぐ。ついでにクッキーも配りだしてお茶会を始めてしまう。戦いなどやる気は無いようである。

ー井上さん相手にどう試合すりゃいいんだ・・・

そのあと吉田龍子が入場、いつものようにジャージ姿。やる気のなさそうな表情で花道を歩き、まるで近所のコンビニに行くような感じでリングに入った。

一方の井上霧子はやる気満々。パンツスーツ姿で観客に手を振りながら入場。

助っ人X助っ人Yはまだ入場しない。ギリギリまでサプライズで取っておくつもりなのか。

カンッ!

ゴングが鳴るや井上霧子がマイクアピール。

「ヘイ、吉田龍子ヘボ社長!きょうはアンタのために特別に、あたしの友達を紹介しよう!カマン!ブリザード!」

「赤コーナー、ブリザード網走入場!」

ビュウウウウウウ・・・ヒュウウウウ・・・ヒョオオオオオオ・・・・

吹雪の効果音が流れるや、赤コーナー側花道から白とブルーを基調にしたマスクをかぶった謎の覆面レスラーが現れた。リングコスチュームは白と薄い紫。黒く長い髪、スタイルのいい身体、どこかで見たことがある。

「フハハハハハ!北海道直送で呼び寄せたまだ見ぬ強豪の覆面レスラー!ブリザードあばしりッ!」

井上霧子が勝ち誇った表情で叫ぶ。

「これも・・運命・・・」

ドワハハハハハ!!

自ら正体をバラしてしまったブリザード網走、吉田龍子と相対。そして組み合う。まさに夢の対決。マスターズ戦で現役選手とOG選手の絡みはやらないという不文律を破った。しかし現役バリバリの16期生のエース格選手と引退後8年の吉田龍子では勝負にならない。しかも吉田龍子は社長業と飲酒に忙しく、トレーニングもせずブッツケ本番でマスターズ戦に臨んだらしい。グラウンドの攻防でも吉田龍子ついていけない。

「いけっ!網走!必殺オホーツクスリーパーだ!」

井上霧子がコーナーからマイクでがなりたてて指示する。

「これも・・・運命・・・」

氷室、いやブリザード網走、からみついて変形のスリーパーに捉える。左腕で絞めて右腕で吉田の頭を前に圧迫する。恐ろしい威力のオホーツクスリーパー。

「こ、こりゃ、ギブアップしたほうがええで!吉田はん、死んでまうで!!」

成瀬唯レフェリーがギブアップを勧告する。早くも試合が終わってしまうのか。

「うげっ、バ、バカにすんなぁ・・・」

吉田龍子社長、スリーパーでギブアップしてたまるかとやせ我慢。やせ我慢。しかしこらえきれず落ちてしまった。

「・・・ぐふっ!」

どえええええええ!!

お遊びファイトでそこまでやるか。場内のファンは吉田龍子の身体を張ったファイトにあ然。

これで青コーナー側に立っているのは羽山リングドクターのみとなった。しかしここで羽山女医が助っ人Xを召喚。

「えーっと、それでは助っ人を呼びます~。ゾディアック内田!」

えええええええええええええええええ!!

突如流れるホラー映画音楽!

囚人服に身を包み、頭に「いせたん」デパートの紙袋を被った謎のレスラーが現れた。のっそりとセカンドロープをくぐる。ゾディアック内田リングイン。体型からしてこちらも正体バレバレであった。

「呆れてものも言えませんね。パートナーながら情けないっス」

かいせつのマッキー上戸も口あんぐり。

「はっ!」
ブリザードがチョップを打つが、ゾディアック内田、うんともすんともいわない。そのあと試合が動き出す。セコンドについていたノエル白石が、

「んしょ・・・っと」

ゾディアック内田が被っていた頭の紙袋を取る。ラッキー内田、下にもう一枚黒いマスクをしていたが、ここから惨劇が始まった。

「UYAAAAAAAAAAAAA!!」

頭の紙袋が外れるや凶暴化して奇怪な絶叫を上げてブリザードに殴りかかる。中の人はラッキー内田であることはバレバレなのだが、大振りのスレッジハンマーを連発でもらってしまったブリザードはたまらず場外にエスケープ。

「うう、これも、運命・・・・」
そのまま場外でのびてしまった。

代わって出てきた井上霧子がゾディアック内田と相対。

「ヤクザキック!」

いきなり必殺のヤクザキックを放ったが、よく見ていたゾディアック内田。蹴りをもらう前にサッと転がって水面蹴りで井上霧子の軸足を払ってすっ転ばせる。このあたり微妙にラッキー内田のテクニックが入っている。

「うわっ、ちょ、え、うわーーーーーっ!!」

ゾディアック内田、そのまま上にのしかかって首しめ!2時間ドラマの悪役のように井上霧子の首を絞める!

「うおおおおっ!」

たちまち井上霧子が苦悶の表情を浮かべる。今年のマスターズ戦は前衛的だ。

「危ないから、井上さん死んでまう!・・って、アーーッ!!」

はりせんで止めに入った成瀬レフェリーをゾディアック内田、右フックでぶん殴って吹っ飛ばす。連続殺人鬼が内田さんに宿った。凍りつく場内。

成瀬レフェリー、ニュートラルコーナーに叩きつけられ、これ以上は試合にならないと判断して本部席にゴングを要請した。

「もうあかん、反則負けや~」

カンカンカンカン・・・・

「4分26秒、レフェリー暴行により、井上霧子、ブリザード網走、鈴波店長組の勝ち」

なおもゾディアック内田が成瀬レフェリーの上に乗ってタコ殴り。こんどは選手会長がやられてしまうのか。しかしここで試合を見ていた解説のマッキー上戸が乱入。

「おい、お前、内田だろ!しょっぱい芝居はええ加減にしたらどうや!」

ドワハハハハハ・・・

「UGAAAAAAAAAAA」

普段のタッグパートナーだろうが容赦なし。ゾディアック内田、いきなりマッキー上戸に蹴りを入れて倒すと、セコンドのN白石が差し出したぶっといロープでマッキー上戸を絞首刑。トップロープを支点にしてマッキー上戸の首を・・・

「う、内田、てめえ・・・ぐふっ!」

マッキー上戸、泡を吹いて失神。こんなことが許されていいのか。来年以降のジューシーペアの連携が非常に心配だ。

リング上では首しめをくらった井上霧子、ぶん殴られた成瀬レフェリーがピクリとも動かない。まさに連続殺人鬼だ。ゾディアック内田、まだ暴れたりないのかうなり声をあげながら北側客席になだれ込んで観客を恐怖と笑いに陥れる。

カンカンカンカンカン!
手伝いのコンバット斉藤がゴングを乱打するが何の効果もない。

「そ、そうだ、紙袋だ!」
セコンドのイージス中森が先ほど外された「いせたんデパート」の紙袋をスポッとかぶせるや、さっきまでの暴れっぷりが嘘のようにゾディアック内田が沈静化した。どうやらそういうギミックらしい。

「ハイハイ~、試合終わったから帰りますよ~」

そのまま鈴波店長に誘導されてゾディアック内田が引揚げた。リング上では3人(マッキー上戸、成瀬唯、井上霧子)が気絶したまま転がっていた。羽山女医の指示で担架が出動、3往復。セコンド陣大わらわ。

ようやく息を吹き返した吉田龍子がリングに上がって締めの挨拶。

「ハァ、ハァ・・今回グダグダでホントすいません。こんどはもうちょっとマシな企画を考えます。それから、今日はどうもお越しいただき、ありがとございました!来年もSPZをよろしくお願いいたします」

うして恐怖のマスターズ戦は終わった。

2008年3月17日 (月)

第367回 21年目12月 夢のマスターズ戦

(本編連載と前後しましたが、21年目12月年末に行われました夢のマスターズ戦の模様を2回にわたりお送りいたします《念のため申し上げておきますがリプレイではありません。完全妄想作話です》)

21年目12月
夢のマスターズ戦

「今年もやってまいりました。年末だから何をやってもいいと考えるSPZの恥知らずたちによる、マスターズ戦と称する動けない元レスラーのおねえさん達のお遊びプロレス。」

なんと今回はDVD発売のためにフリーのアナウンサーまで用意した。かいせつはSPZ現役選手の16期生のマッキー上戸。

「師走12月30日、ここ後楽園プラザで、今夜また惨劇が繰り広げられるのか、井上霧子主催イベント、マスターズバトル2029、まもなくゴングです」

「ウチらから見たらしょっぱいイベントなんスけどね、現役の頃を知ってるお客さんが手を叩いてくれていますからね。そういうところは認めてあげないと」

「きょうは井上さんがアッと驚く隠し玉を投入したそうで」

「・・・同期として恥ずかしいッス。面白そうだからって企画に乗っちゃう人が」

カードは前6試合、誰が出てくるかは試合までのお楽しみ。

****************************

第1試合は上原今日子(元3期生)VS伊達遥(元1期生)。現役時代はSPZのトップ戦線を沸かせたがいまや2人ともSPZのフロント兼レフェリー。
裁くレフェリーはイージス中森。

「さあゴングが鳴りました。夢のマスターズ戦第1試合はSPZのかつての黄金カード上原今日子対伊達遥。両者がっちり組み合った。、アーッと伊達遥ボディスラム。上原を投げきった。あーもう一度ボディスラム!現役時代を思わせるような速攻勝負~」

しかし伊達遥、調子に乗ってボディスラムを3連発したところで疲れてしまった。追撃できずにがくりと片ひざを突く。

「もう無理っぽい・・・」

「かわいそうだけど、これで終わりっ!」

上原今日子、伊達を首投げで転がすとコーナー最上段に登った。しかし久々に登ったので少し手間取った。

「くらえっ!ダイビングショルダ・・・・・」

「勝機、見逃すわけには行かない」

ムクッと起き上がった伊達、コーナー上の上原を捕らえるや、デッドリードライブで投げ落とす。

「ウァアアアアアア」

上原今日子、シリーズ中は宣伝カーの運転に忙しくて受けの練習まではしておらず、たたきつけられてもがき苦しむ。一方の伊達は巡業中こっそりトレーニングしていたらしく、

「・・・はい、終わり。」
伊達遥、そこそこ綺麗なフォームで毒針エルボードロップ。深夜まで昔の外人悪役レスラーの動画を見てラーニングしたらしい。これでカウント3が入った。

「勝った・・・・」
勝負タイム3分57秒、伊達遥が2年前の雪辱を果たした。

******************************

第2試合は菊池理宇(11期)対カミカゼ・アイバのシングルマッチ。メキシコやヨーロッパマットで暴れまわった軍国少女レスラーが2度目のリバイバル。「出征兵士を送る歌」に乗ってリングイン。

「大日本帝国ッ、バンザイッ!!」

2000人のファンは爆笑。
5分ほどまともなレスリングを繰り広げたが、菊池がスタミナが尽きたのか丸め込み攻勢で勝負に出た。首固め、逆さ押さえ込み、ラ・マヒストラル。しかしアイバもカウント2でことごとく返す。
「ハァ、ハァ・・・」

「アーッと、菊池、早くも息が上がったか?動きが止まったーー」

「シングルマッチっスからね。ごまかしキカナイんすよ。菊池さん練習してたのは見てるんスけど、いざ取っ組み合うと5分で息切れしちゃいますからね」

菊池の動きが止まったのを見て、カミカゼ相羽、コーナーに登って決め台詞。

「大日本帝国!バンザイッ!」

カミカゼ特攻たいあたり。しかし菊池大きく右に飛びのいてかわした。ふらついていたのも演技だったか。

「うがががが・・・・無念であります」
カミカゼ相羽、大破。覆いかぶさる菊池。

ワン、トゥ・・・ドドドドドドド!!
しかしアイバ返した。現役時代は根性なしであっさり負けてたのに粘る。

「・・・なかなかやりますね、相羽さん。こうなったら特訓の成果を見せるしかないです」
アイバを場外に落として、立ち上がってくるのを待って、距離をとった。ロープに走る。助走をつけて、

「当たって砕けろ~!!」

菊池、現役時代も出さなかったトペスイシーダ。アイバに頭から突っ込んで体当たり。そのまま2人場外マットの上にバッタリ。アイバちゃんは鉄柵で体を打ったのか動けない。しかし菊池も捨て身のトペでどこか打ってしまったのか、起き上がれない。けっきょくそのまま両リンの引き分けとなった。勝負タイム8分22秒。セコンドの肩を借りて引揚げる両者に大きな拍手が送られた。

続く第3試合、「渡辺智美制裁 3対1ハンディキャップマッチ」として行われるというナレーションが入った。

「SPZを引退したあと、身の程もわきまえず歌って踊れるマルチタレントを自称し、営業活動と称してSPZのドーム興行の休憩時間でヘタクソな歌を披露するというやりたい放題の5期生渡辺智美、同期で現社長の吉田龍子がついに渡辺抹殺を決意し、3人の刺客を送り込み、今夜公開制裁を行うらしい・・・」

「どーもー!一流タレント、渡辺でぇす!」
今年も紅白には出られなかった渡辺智美、自らのデビューシングル『悲しみの日本海』でリングイン。

そして青コーナー側花道から吉田龍子がさしむけた刺客3人!
「おっ・・・おっさん!!」

「サンライズ」が流れる中、SPZ人事経理担当取締役にして小川ひかるの旦那、今野役員55歳、そしてSPZの機関紙と化している京スポ新聞のベテラン記者、若林太郎49歳、そして大日本テレビの名物アナウンサー、世界のかずのりこと森和紀アナウンサー(30代)が見参。

リングに上がるや今野役員がマイクアピール。
「渡辺・・・さん。アンタには恨みはないが、吉田龍子に1万円で買収されただ。い、生きて年を越せると。お、思うなよ」

ドワハハハハハ。続いて若林記者がマイクを取った。

「渡辺さん、明日の一面ホショーするよ。アンタの担架姿で」

アハハハハハハハ

「皆さんこんばんは世界のかずのりでございます。大日本テレビは年末年始今年も暴走暴走大暴走いたします。大晦日の夜は紅白なんか目じゃないスペシャル時代劇「1946日本本土決戦」、そして元旦は「アイドル同士のびっくり創作料理対決」と見逃せない特番。そして2日3日はおなじみ国民的イベントとなりました駅伝競走。世界に輝く大日本テレビ、他の追随を許さない・・・」

「アンタ、長いよ」
若林記者が新聞紙はりせんで森さんを一撃。そしてゴング。
3人がジリジリとにじり寄る。まず仕掛けてきたのは若林記者。

「受けてみろ、プロレス記者歴27年の技を!」
若林記者、いきなり渡辺に組み付いてローリングクレイドル。このおっさん本気だ。なんてうらやましい・・・いや恐ろしい攻撃だ。この日のために社員食堂で部下の若手記者相手に特訓を積んできたらしい。渡辺を5回転。

ワン、トゥ・・・
しかし渡辺智美、なんとかカウント2で返す。

「クッ・・・目が・・・回るっ」
「ワハハハハハハ、ローリングクレイドルの効果でおまえは三半規管がやられしばらくまともに動けない、さあとどめだ」

若林記者、渡辺の右足を持ってスピニング・トーホールド!」
1回、2回・・回りながら渡辺の足を決めてゆく。

「痛い!いたーーい!」
しかし渡辺智美、悲鳴をあげながらも開いていた左足で、若林記者の急所を蹴った!

「あ、あおおおお・・・・・」
きわどいところを蹴られた若林記者悶絶。のた打ち回る。場内大ブーイング。明日の一面が恐ろしい。若林記者、そのまま立ち上がれず、女医さんの羽山リングアナが出動。担架で運ばれた。

代わって今野役員、危ない表情で何かを取り出した。
「ふふふふふふふ・・・」
スーツの内ポケットに隠し持っていたフォークで、渡辺智美のディスコスーツの袖を切り裂こうとする!

「きゃー、やめて!この服高かったのよ!3万円もしたんだからっ!!」

どわははははは・・・

今野役員の腹をぶん殴ってたじろがせると、
「必殺ビーンタ!」
ものすごいはり手。
「痛い痛い痛い痛いーーーーー」
今野役員、のた打ち回る。渡辺智美、なんと今野役員の内ポケットを探り財布を奪い取った。まさにおやじ狩りマッチとなった。
「ちょ、それはやめてーーーー」

「・・・見苦しい」
そのあと今野役員を踏みつけフォール。カウント3奪取。しかし、ここでいままで見守っていた森アナが動いた。

「照明オフ」
場内の照明が消えた。どうやら配電盤に配下のADを配置しておいたらしい。
「な、何?」
5秒後、照明が再点灯。渡辺智美の両手には手錠がかけられていた。

「し、しまった・・・」

「刑事ドラマのディレクターから借りてきた。」
そして森アナウンサーの手にはビール瓶がセコンドから手渡された。

「死ね、渡辺~!!」

ビール瓶が渡辺の頭に振り下ろされる。場内悲鳴とどよめき!

がす!
粉々に砕け散るビール瓶。当然これはドラマ用小道具の飴細工。

「ウォーーーーーッ!!」

渡辺智美、ビール瓶攻撃を受け切るや、叫び声を挙げてなんと手錠を引きちぎった。
一気に間合いをつめて組み付いて、

がすっ!
頭突き一閃。現役時代もこの頭で若手選手を泣かせてたのは有名な話だ。
そのまま片エビで押さえ込んだ。ワン、トゥ、スリー。イージス中森レフェリーがマットを3つ叩いた。渡辺智美がおやじ3人を撃破してしまった。

哀れ、担架で運ばれた今野役員と森アナウンサー。制裁マッチのつもりがおやじ狩りマッチとなってしまった。スピーカーから聞き覚えのある、吉田社長の声が響く。

「渡辺!これで勝ったと思うなよ!」

5期生同士の抗争は来年以降へ続くのか・・・・

「コメントのしようがないっスね。素人のおっさん3人を当てて惑わそうとしたんでしょうか」

かいせつのマッキー上戸も呆れ顔。

2008年3月16日 (日)

第366回 21年目1月 ロイヤル北条引退シリーズ

21年目1月

「私としては、まだ続けたかったのですが、体力的にもう・・・」

SPZ13期生でジュエルローゼスの副将・ロイヤル北条が引退を表明。

そしてSPZにある意味激震が走った。旗揚げ以来21年、団体運営が軌道に乗ってからは黒字経営を続け内部留保しまくりの会社だったのだが、

忘れた頃にSPZの手塚オーナーの資金要請。

「おう今ちゃん、今度オレさあ、宇宙旅行の会社を立ち上げようと思ってさあ、でもリスキイな事業だからお金集まんなくて、79億ほど出してもらえないかなあ、悪いね」

SPZは儲かっている会社とはいえども、IT企業の子会社の悲しさ。総資産158億の50%を拠出するハメになった。

成瀬唯、ラッキー内田が負傷欠場。

1月シリーズ「新春ロケットシリーズ」初戦は東京水道橋・新日本ドーム大会。セミ前からは3大シングルマッチ。

セミ前はロイヤル北条対フレイア鏡。ジュエルローゼスの最後の同門対決。

―ドームのリングも、今日が最後・・・
ロイヤル北条、いつもながらの瞬発力を生かしたショルダータックル。フレイア鏡、ハデに吹っ飛ぶ。フレイア鏡も関節を取りにいくが、長いこと組んでいるせいか捕らえきれない。
「はっ!」
ロイヤル北条、裏投げ2連発からのタイガードライバー。しかしフレイア鏡、意地で返して・・・

「潔く散りなさい!」

フレイア鏡、逆襲のストレッチプラム。
「う、ぐっ・・・ギブアップ。」

ロイヤル北条はたまらずギブアップ。勝負タイム14分2秒

「明日でSPZのジュエルローゼスは解散ですわ!いままで応援ありがとうございました!」
試合後はフレイア鏡のマイクアピールのあとがっちり握手。

ドームのセミは最強外人対決。ジェナ・メガライト対ローズ・ヒューイット戦。メガライトがフロントスープレックスを連発してからのラリアットでヒューイットお嬢様を仕留めた。

1月5日ドーム大会、メインはSPZ選手権。王者武藤めぐみに挑むのは16期生で元王者の氷室紫月。

「負けちゃダメ・・・・」
いつものように内に闘志を秘めて花道を淡々と歩く氷室。

「必ず勝つ。勝ち続けてSPZの歴史に名前を残す。」
武藤めぐみ、王者の風格を漂わせながら入場。ここ数ヶ月でさらに力を伸ばしているので、氷室など失神攻撃にだけ気をつければ勝てる相手である。

試合が始まり、だんだん武藤がラッシュをかけてゆく。スクラップバスター2連発で氷室の動きを止め、

「覚悟して」
延髄斬り一閃。これで氷室にダメージを与えてから組み付いて、ノーザンで投げつけた。前の延髄で頭を打っていた氷室はフォールを返せなかった。21分53秒、武藤めぐみの完勝と言っていい内容。

翌日、飛行機で高知へ飛んで、高知県総合体育館での試合。ロイヤル北条はフレイア鏡と最後のJRタッグを組んで、マッキー上戸、フォクシー真帆組と対決。しかしこの日はパートナーのフレイア鏡が大ハッスル。掌底でフォクシー真帆から3カウントを奪った。

「本日を持ちましてジュエルローゼスは解散いたします。わたくしフレイア鏡は一匹狼に戻ります」

かつてはSPZの最大派閥だったジュエルローゼスはここで終わった・・・

第3戦愛媛大会。ロイヤル北条はセミファイナルで武藤めぐみとシングル対決。

「まあ、武藤選手の胸を借りますよ」
はっきり言って勝敗は見えていた。日の出の勢いの武藤に対して全身ボロボロのロイヤル北条。それでも武藤のダイビングプレスをかわすなど懸命に抵抗、ショルダータックルで吹っ飛ばす。そして、

「くらえっ!」
ロイヤル北条の代名詞、ロイヤルスパイク炸裂。これで武藤は本気になった。ボディスラムで転がして、コーナーに登ってシューティングスタープレス。これで試合は終わった。13分49秒、SPZ王者にも全力でぶつかっていったロイヤル北条。

第4戦徳島大会。これから4日間はロイヤル北条、若手中堅選手相手の伝承マッチが続く。まずは新人のコンバット斉藤と対決。

「行くぞっ!」
シャイニングウィザードで弱らせてロイヤルスパイク、そしてバックドロップ。わずか6分23秒、あっけなくコンバット斉藤を退けた。

第5戦高松大会。ロイヤル北条は20期生のイージス中森と対戦。序盤こそイージス中森のねちっこいレスリングに手を焼いたが、

「これで終わらせる!」
相変わらずの破壊力のロイヤルスパイク。これで試合の流れをつかんだR北条、フィニッシュはカカト落としだった。勝負タイム16分46秒。

第6戦岡山大会。ロイヤル北条の対戦相手は20期生のREKI。

「はっ!」
試合開始早々、REKIの掌底が鼻に入って流血。しかし血を滴らせながらR北条が力のこもったファイト。
REKIも、
「消えろ」
高角度ミサイルキックの「農鳥」を決める。しかし、REKIがフランケンシュタイナーか何かを狙ってきたところを落ち着いてパワーボムに切り返し、3カウント奪取。

「このくらいの相手にはまだ負けません」
勝負タイム11分38秒。

第7戦奈良大会、ロイヤル北条は第1試合で18期生の野村つばさと対戦。しかし対戦相手の野村はアイドルレスラー、あっさりとロイヤルスパイクを2連発で決めて終了。勝負タイムわずか4分20秒。

「あとひとつ、ですね。」

そしてシリーズ最終戦、新潟市民総合体育館での興行。引退試合が地方の体育館で行われるのはおそらくSPZ始まって以来。
「ロイヤル北条 最終試合」の大看板が。

ロイヤル北条、最後の相手は、あの極悪人、ライラ神威。

2008年3月15日 (土)

第365回 21年目12月スノーエンジェルシリーズ

21年目12月
「スノーエンジェルシリーズ」開幕。年末なのでドームクラスの興行を乱発する勝負どころのシリーズ。

2戦目の札幌どさんこドーム大会。メインに組まれたのはTWWA選手権試合、王者ジェナ・メガライトに対するはまだまだ元気な13期生ロイヤル北条。SPZサイドはノエル白石を推したのだが、TWWAサイドが「下り坂の選手」を要望した。

「誰が相手だろうが、ぶっ潰す!」
そして試合が始まるや起こったのは惨劇。ロイヤル北条がただ殴られ投げられるだけ。ラリアット2連発で動きが完全に止まった。ベリー・トゥ・バックを1度は切り返し、ロイヤルスパイクを繰り出し、意地は見せたロイヤル北条だが、

「死ねーーーー」

身体ごとぶつかってくるネックブリーカードロップ。ロイヤル北条はこれで3カウントを奪われた。勝負タイム21分42秒。

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第4戦大阪なにわパワフルドーム大会、第1試合でコンバット斉藤がソフィアリチャーズをキックで下す快挙。新人も着実に力をつけてきている。

大阪大会では迫力あるタイマン勝負が受けるので、セミメインはシングルマッチ2連発。セミはラッキー内田対ノエル白石。なんとノエルがSTOを乱発してラッキー内田に勝ってしまった。本人は何をやらかしたのかまったく分かってない様子だったが。勝負タイム12分1秒、これでノエル白石もSPZのトップグループに割って入ったか。

「えっと・・・」

大阪大会メインはマッキー上戸対ライラ神威のシングルマッチ。まさに喧嘩上等マッチである。しかしパワーではM上戸が何枚も上手。真正面から当たってしまってはどうにもならず、ジャーマンとバックドロップを連続で食らってアウト。これで決定的ダメージを負ったライラ、フィニッシュはスプラッシュマウンテンだった。

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第6戦福岡九州ドーム大会メインはあばしりタッグ戦。王者野村つばさ、イージス中森組に対するは、元王者組のフォクシー真帆、成瀬唯組。
試合終盤、成瀬とイージス中森が一騎打ち状態。

「この技で眠ってください!」
イージス中森がストレッチプラムで勝負をかけた。しかしなんとかフォクシー真帆がリングインして殴ってカット。これでよろめいたイージス中森、こんどは成瀬がストレッチプラムのお返し。

「いけない!」
野村つばさがカットに入るが、フォクシー真帆がパンチで逆カット。これで抜けられなくなったイージス中森、無念のギブアップ。勝負タイム27分6秒、成瀬組があばしり王者に返り咲いた。

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そして最終戦はさいたまドーム大会。
「ん・・まあ、今年最後の興行なので、頑張っていきましょう。寒くなってきたのでアップは念入りに行ってください。」
吉田社長が選手に訓示。

第1試合はコンバット斉藤対ソフィア・リチャーズ。新人対ネタ外人の激突。
「この一撃にすべてをかける!」

コンバット斉藤の上段蹴りが襲うが、ソフィア、カウント2.9でクリアして、

「痛いじゃないのーーーッ!」
怒りのボディスラム3連発。これで強引にカウント3を奪った。

「その程度で私に勝とうなんて甘いわね」

勝負タイム13分36秒。のっけから気迫のこもった攻防にファンは拍手。

第2試合はタッグマッチ。野村つばさ、イージス中森対ファントムローズ1号、ワイルドローズ2号。今シリーズはヒューイットお嬢様は本国でのスケジュールがいっぱいなため参戦できなかったが、メイド隊2人がその穴を埋める大活躍。この日もイージス中森を合体攻撃で翻弄し、最後はラリアットで14分8秒、3カウント奪取。

第3試合は成瀬唯、フォクシー真帆対シンディー・ウォン、パトリシア・ルイスのタッグマッチ。あばしり王者に返り咲いた成瀬が生き生きと攻めるが、対戦相手のふたりも相当な強力外人。だんだん押し込まれていって、最後はパトリシアのカカト落としがフォクシーに命中。これで3カウント。勝負タイム18分36秒。その試合が終わると休憩。

休憩明けにはライラ神威登場。REKIと組んでフレイア鏡、ロイヤル北条の旧ジュエルローゼス(の残党)と対戦。ロイヤル北条、フレイア鏡は長年培った連携でライラを追い込んだが、最後はライラ神威の瞬発力が勝り、トムラウシでフレイア鏡を下した。勝負タイム19分52秒。

このあと3大シングルマッチが組まれた。
セミ前はマッキー上戸対ノエル白石。
しかし真正面からの激突ならマッキーが有利、先手先手と攻めたマッキー上戸が12分56秒、あっさりとジャーマンでノエル白石を下した。

セミファイナルはラッキー内田対氷室紫月。SPZクライマックス以来の対戦。前回の対戦ではコブラツイストでL内田が勝っている。その借りを返すべく氷室が積極的に攻めた。
がすっ!
意外に力のこもったステップキックがラッキー内田の頭を直撃。のたうち回る内田。そこを押さえ込んで3カウント奪取。今回は氷室の勝ち。勝負タイム14分58秒。

メインイベントはSPZ選手権、王者ジェナ・メガライトに挑むは前王者の武藤めぐみ。
―なんとしてもベルトを取り返す。
武藤、一気の攻めを見せてシューティングスタープレスであっさり3カウント奪取。先々月の雪辱を果たしてSPZベルトを取り返した。勝負タイム16分29秒。

2008年3月14日 (金)

第364回 市ヶ谷様 ファイナル・バトル

21年目11月シリーズ「SPZタッグリーグ戦」

最終戦、横スペ大会。

「ビューティ市ヶ谷 最終試合」

の大看板が。

第1試合はコンバット斉藤(21期)対ソフィア・リチャーズのシングルマッチ。やはり新人のC斉藤、外人相手に苦戦は免れず、最後はソフィアのローリングソバットに3カウントを喫した。勝負タイム13分16秒。

第2試合はフォクシー真帆(14期)対野村つばさ(18期)フォクシーがパワーで一方的に攻め込んで、最後は豪快なパワーボムで3カウント奪取。勝負タイム9分18秒。その試合が終わると休憩。

そして、休憩明け第3試合。後半戦開始を告げるゴングが3回鳴らされたあと、場内にアナウンスが流れた。

「次の試合に登場するビューティ市ヶ谷選手はこの試合が最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層の声援をお願いいたします!」

ドオオオオオ!

休憩明け、バッハの「トッカータとフーガ」が流れる中、まずロイヤル北条が、その数歩後に市ヶ谷様が。とどろきわたる歓声。

「赤コーナー、富山県氷見市出身、ろいやるー、ほうーじょー!!」

「赤コーナー、埼玉県さいたま市出身、びゅーてぃー、いちーがやー!!」

リングは白い紙テープに埋まった。

対戦相手はローズ・ヒューイット&ファントムローズ1号。このチーム、タッグリーグはここまで2点と不本意な成績なので死に物狂いでぶつかってくる。ローズ・ヒューイットは場外で鉄柱攻撃まで市ヶ谷にしかけてきた。ファントムローズ1号も絶妙のフォローを見せる。ちょくちょく出てくるがすぐに引っ込むのだ。

ージュエルローゼスも、実質今日が最後・・・・

ロイヤル北条はナーバスになっているのか、ちょっと硬さが残るファイト。市ヶ谷も懸命の応戦を見せるが、きょうはローズ・ヒューイットの意地が勝った。市ヶ谷を場外で殴り倒してからロイヤル北条をしとめにかかった。

最後はローズ・ヒューイットがリング中央でロイヤル北条をストレッチプラムに捉える。

「・・・させませんわ!」

しかし、ファントムローズ1号がカットに入ろうとする市ヶ谷にしがみついて放さない!

―勝って、このタッグを締めくくりたい・・・

かなりの間、こらえたロイヤル北条だったがついにギブアップの意思表示。この瞬間、ビューティ市ヶ谷のレスラー生活は終わった。

ローズ○、Fローズ1号(4点、ストレッチプラム 28.39)B市ヶ谷、R北条×(12点)

「28分39秒、ストレッチプラムでローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号組の勝ち」

「・・・すまない」

「まあ、これも勝負ですわ」

敗れた市ヶ谷、北条組はリング上で一礼して引揚げた。タッグリーグで優勝を決めたあと最終戦で負けるのも2度目だ。

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メガライト、デイジー(8点、合体パワーボムからのエビ固め 13.3)R神威×、REKI(2点)

終盤ライラが外人組の猛攻につかまってしまってジエンド。2点に終わったライラ神威組はパートナーであるREKIの非力さが露呈してしまって、守勢に陥ったときの挽回が効かないのだ。

武藤○、成瀬(9点、ジャンピングニーからの片エビ固め 18.0)F鏡×、A中森(2点)

セミファイナルは武藤がフレイア鏡を激戦の末、下した。武藤組は2敗1分けの9点でリーグ戦を終えた。

L内田○、M上戸(10点、逆片エビ固め 9.32)氷室、N白石×(9点)

横スペ大会のメインはジューシーぺア対ミステリアスコンビ。好勝負が予想されたが、9分頃にL内田が仕掛けた逆片エビにノエル白石がいきなり痛がりだしギブアップの意思表示。場内ええええの声。やはりリーグ戦の最後で腰に来てしまったのか。

ジューシーペア、勝ち点10でリーグ戦を終え、準優勝となって賞品の「ももかん」を手にして引き揚げた。

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メインイベント終了後、リーグ戦の表彰式。12点でリーグ戦優勝の市ヶ谷様とロイヤル北条がリングに上がり、吉田社長から金一封と副賞の「超高級ワイン」が贈られた。

「私ってどうしてこんなに完璧なのかしら!オーホホホホホホホ!」

「この優勝に気を抜くことなく、努力してゆきます」

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そのあといったん優勝した2人が花道を引き揚げて、こんどはビューティ市ヶ谷の引退セレモニー。同じ選手がリーグ戦優勝の表彰式と引退式を立て続けにやるというのはSPZ始まって以来はじめてのことである。

テンカウントゴングのあと市ヶ谷がファンに挨拶。

「美しい薔薇も散るときがまいりますわ。みなさん、ごきげんよう~!」

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ビューティ市ヶ谷(SPZ13期生)

2021年4月21日、釧路アリーナ大会でのキューティー金井戦でデビュー。2029年11月29日、横浜スペシャルホール大会でのローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号戦(パートナーはロイヤル北条)で引退。

稼動月数104ヶ月、出場試合数(概算)720試合

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タイトル歴

第43代SPZ世界王者

第47代SPZ世界王者

第49代SPZ世界王者

第52代SPZ世界王者

第56代SPZ世界王者

(累計防衛回数 21回:歴代2位)

第26代SPZ世界タッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

第33代SPZ世界タッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

第6代あばしりタッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

第8代あばしりタッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

EWA世界王者

AAC世界王者

第16回SPZクライマックス優勝

第17回SPZクライマックス優勝

第18回SPZクライマックス優勝

第19回SPZクライマックス優勝

第20回SPZクライマックス優勝

(SPZクライマックス 優勝回数5回 歴代2位)

第15回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)

第16回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)

第19回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)

第21回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはロイヤル北条)

(SPZタッグリーグ優勝回数4回 歴代1位タイ)

写真集 3冊

2008年3月13日 (木)

第363回 市ヶ谷様ラストラン(中編)

21年目11月 SPZタッグリーグ戦(続き)

第5戦は福島大会。

B市ヶ谷○、R北条(8点、ハイキックからの片エビ固め 15.25)R神威×、REKI(2点)

「このヘボロートルがああっ!」

「あなたみたいな小悪党なんか顔じゃありませんわ」

お嬢様コンビと極悪人が最後の激突。しかしキャリアの浅いREKIがこの戦いについていけなくなり、ライラ神威がローンバトルを強いられて、最後はライラ神威とビューティ市ヶ谷のタイマン状態。しかし市ヶ谷もこうなったら強い。

がすっ!
市ヶ谷の隠しムーブ、豪脚ハイキック命中。一度はカウント2.8で返したライラだったが。間髪いれずに

がすっ!
2連発でハイキックをもらって万事休す。最後の対決で市ヶ谷が悪党を完璧に叩きのめした。JRコンビこれでドトウの4連勝。

メガライト、デイジー○(4点、裏拳からの片エビ固め 11.30)F鏡、A中森×(2点)

メガライト組が2勝目を挙げた。即席タッグを一蹴。

氷室、N白石○(5点、スクラップバスターからの片エビ固め 15.38)ローズ、Fローズ1号×(2点)

氷室がバスターローズを食らってしまってからグダグダした展開が続いたが、ノエル白石がきっちりフォロー。これでネタ外人ファントムローズの引き出しに成功。こうなっては試合は終わったも同然・・・

武藤○、成瀬(5点、ノーザンライトSH)L内田、M上戸×(4点)

―あたしが2人分闘わなきゃ。

武藤がジューシーペアの2人を向こうに回して奮戦。しかしラッキー内田のあとにマッキー上戸と闘うのはきつい。だんだん武藤の息は上がっていった。

「成瀬さん、しばらくお願い・・・っ」

武藤が苦し紛れに成瀬にタッチ。これでマッキーがにやりと笑った。

「決めるなら今しかない!!」

マッキー上戸、成瀬を高々と抱え上げてスプラッシュマウンテン。これでわけがわからなくなった成瀬、転げるように自軍コーナーまで戻って武藤に再びスイッチ。そのままリング下でのびてしまった。

―もう、逃げ場もない!

これが幸いしたのか、武藤が覚悟を決めたファイト。マッキー上戸をムーンサルト、ノーザンの波状攻撃で仕留めた。

「くっ・・馬鹿な・・・」

ジューシーペアまさかの2敗目、連覇に黄信号が灯った。

******************************

第6戦は宇都宮大会。

B市ヶ谷○、R北条(10点、デスバレーボムからの片エビ固め 13.39)メガライト、デイジー×(4点)

市ヶ谷様引退カウントダウン3は強豪外人のメガライト、デイジー組。楽な相手ではない。

「まあ、なるようにしかなりませんわよ、私のような『セレブ』はいまさら賞金なぞ欲しいとは思いませんし、オホホホ

市ヶ谷様、このリーグ戦は過去3回制していて、優勝賞金60万円が「はした金」(彼女以外はそうは思わないだろうが)と知っているから笑顔でコメント。しかしそれでも試合が始まれば鬼と化す。

「ひれ伏しなさいっ!」
パワーでは圧倒的に上のメガライトにビューティボム!そして出てきたデイジーにはデスバレー!これで破竹の5連勝。さすがに市ヶ谷様、勝負どころを押さえている。

武藤○、成瀬(7点、ノーザンライトSH 13.52)ローズ、Fローズ1号×(2点)

分断作戦に成功した武藤組。最後はファントムローズ1号を引っ張り出してあっさりと料理。1敗1分けでお嬢様コンビをきっちり追う。

氷室○、N白石(7点、パイルドライバーからの片エビ固め 12.23)R神威、REKI×(2点)

「ブッコワレローー!!」

すでに優勝の望みのないライラ神威は好き勝手に暴れる。しかしノエル白石も持ち前のパワーで反撃。

「風船ふわふわ・・・」
STO炸裂、これで全身を強く打ったライラ神威、たまらずREKIにタッチ。こうなっては勝負あり。氷室が極め技で痛めつけてからのパイルドライバー2連発。REKIから3カウント奪取。ミステリアスコンビも1敗1分けで追走。

L内田、M上戸○(6点、パワースラムからの片エビ固め 15.12)F鏡、A中森×(2点)

あとのないジューシーペア、勝てないまでも引き分けに持ち込んで援護射撃をしたいフレイア。しかしフレイアがラッキー内田の拷問コブラに捕まって大ダメージ。これで孤立したイージス中森をマッキーがうまくしとめた。

「可能性はゼロに近いですが、残り二つ頑張ります」

2敗のジューシーペア、市ヶ谷組が2連敗してやっと並ぶという苦しい状況。

**************************
第7戦は幕張コンベンション大会。タッグリーグも大詰め。

メガライト○、デイジー(6点、ラリアットからの片エビ固め 12.31)ローズ、Fローズ1号(2点)

外人チーム同士の対決はメガライト組に凱歌。

氷室、N白石○(9点、STOからの片エビ固め 15.42)F鏡、A中森(2点)

ノエル白石とフレイア鏡が力のこもった殴り合い。ヘッドバットでよろめくフレイア鏡。最後はノエルがきっちりと格落ちのイージス中森をSTOで料理して1敗1分けをキープ。

B市ヶ谷○、R北条(12点、合体パワーボム 14.20)武藤×、成瀬(7点)

幕張大会セミファイナル。勝てば優勝の市ヶ谷・R北条組。しかしビューティ市ヶ谷様も過酷なリーグ戦で疲れていた。おまけに今日の相手は天才王者の武藤めぐみ。

「・・・しんどい相手ですわね。」

「要は成瀬さんをつぶせばいい話でしょう」

ロイヤル北条がそういって成瀬を攻め込むが、成瀬もそのあたりは心得ていて、懸命にこらえて武藤につなぐ。場内沸く。

ロイヤル北条も懸命に応戦。13期生の絆というものがある。市ヶ谷が好き勝手暴れて、ロイヤル北条が試合を作る。これがここ数年のパターン。

―市ヶ谷さんと組めるのは今日と明日だけなんだ!

格上の武藤相手でもあきらめず、ロイヤルスパイク、そしてバックドロップ!そしてー

「市ヶ谷・・・さん!!」

最高のタッグパートナーを招き入れて、合体パワーボム炸裂。叩きつけると同時にR北条はコーナーにもたれる成瀬をぶん殴って場外に落とす。市ヶ谷がカバー。

ワン、トゥ、ドドドドドド・・・

カウント2.9で返す武藤めぐみ、しかし、

「もう一回!」

ロイヤル北条が叫ぶ!
市ヶ谷がパワーボムで武藤を担ぎ上げる。ロイヤル北条は頭をつかんで威力を倍加!

ドーン!!

ワン、トゥ、スリー!!

今度は武藤めぐみ、返せず試合は終わった。

13期生コンビ、ジュエルローゼス、ビューティ市ヶ谷&ロイヤル北条、破竹の6連勝でタッグリーグ優勝!

L内田○、M上戸(8点、サンドイッチラリアット 15.56)R神威×、REKI(2点)

消化試合となったメインイベント。それでもジューシーペアが熱い戦いを見せて、最後はライラを合体パイル、サンドイッチラリアットで完全に沈黙させた。

*****************************

第21回SPZタッグリーグ戦、最終戦の横スペを待たずして、最古参13期生コンビのビューティ市ヶ谷&ロイヤル北条が優勝してしまった。二人とも最盛期の力はないのだが、コンビネーションの良さ、長いことタッグを組んできた無形の力、そしてロイヤル北条が異様に気合が入っていての6連勝。他の優勝候補が星をつぶしあう中、リーグ戦を勝ち抜いてしまった。

「恥ずかしくないのか。引退する選手に優勝させてしまって」(吉田龍子社長)

「カーッ、賞金がなぁ・・・・バカにならねえんだよ」(マッキー上戸)

「やはりプロレスは何が起こるかわかりませんね」(ラッキー内田)

「これも、運命・・・」

「明日はヒューイットさんですか。思い切りレスリングを楽しみましょうか」(ロイヤル北条)

「そうですわね・・・」(残り1試合、さすがにブルーが入った市ヶ谷様)

2008年3月12日 (水)

第362回 市ヶ谷様ラストラン(前編)

21年目11月
「さすがの私もとうとう限界のようですわ・・・」

ビューティ市ヶ谷(13期)が引退を表明。ここ数年お嬢様軍団「ジュエルローゼス」のリーダー、SPZの顔として頑張ってきたが、やはり体力的な限界にぶち当たったようだ。

「引退試合はしなくてけっこうですわ、例年通りタッグリーグを闘って終わります」

初戦青森大会、ビューティ市ヶ谷はセミファイナルに出場、ロイヤル北条、フレイア鏡と最後のお嬢様軍団トリオを組んで、タッグリーグで当たらない若手・中堅のフォクシー真帆、野村つばさ、コンバット斉藤と対戦。このメンツ相手なら楽勝で、市ヶ谷あっさりとデスバレーでフォクシーを仕留めた。

2戦目の盛岡からタッグリーグ戦スタート。今年の参戦チームは下記の通り。

ジェナ・メガライト、デイジー・クライ(SPZタッグ王者)

ラッキー内田、マッキー上戸(第18・20回大会優勝)

ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条(第15・16・19回優勝)

武藤めぐみ、成瀬唯

氷室紫月、ノエル白石(元SPZタッグ王者)

ライラ神威、REKI

フレイア鏡、イージス中森

ローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号(GWA代表)

8チーム中4チームがSPZタッグのベルトを巻いたことがあるという豪華版である。

R神威○、REKI(2点、トムラウシからの片エビ固め 15.43)F鏡×、A中森

リーグ戦最初の試合。ライラ神威が暴れまわってフレイア鏡を場外戦でたたきつぶして、リングに戻してのトムラウシでトドメ。リーグ戦初戦を白星で飾った。

「優勝?できるわけねえだろう!それより武藤のアホを血の海に沈めてやるそれだけだ!」

メガライト、デイジー○(2点、合体パワーボムからのエビ固め 12.52)武藤、成瀬×

メガライトがベリートゥバックで武藤をブン投げれば武藤はシューティングスタープレスでお返し。しかし最後はやはりといっては何だが、ひとり格落ちの成瀬が捕まってしまってジエンド。

B市ヶ谷、R北条○(2点、背面トペからの体固め 19.58)氷室×、N白石

ジュエルローゼスVSミステリアスコンビの激突。市ヶ谷と氷室はこれが最後の対戦。力のこもった攻防を見せた。しかしこの日は市ヶ谷のパートナー、ロイヤル北条が大ハッスル。氷室をロイヤルスパイク2連発でふらつかせて、最後は返し技の背面トペで3カウントを奪った。

L内田、M上戸○(2点、サンドイッチラリアットからの片エビ固め 13.44)ローズ、Fローズ1号×

ヒューイットお嬢様はいい勝負をするのだが、ファントムローズ1号が出てきたとたんにジューシーペアがイッキの攻め。さすがに勝負どころを心得ている。

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シリーズ3戦は秋田大会。

F鏡、A中森○(2点、ストレッチプラム 17.19)ローズ×、Fローズ1号(0点)

秋田大会で大波乱。デビュー2年めのイージス中森がGWA最強のローズ・ヒューイットからストレッチプラムでギブアップを奪う大金星。フレイア鏡も前半懸命に試合を作り、最後はうまくファントムローズ1号を逆カット。

武藤○、成瀬(2点、ムーンサルトプレスからの体固め 15.05)R神威、REKI×(2点)

武藤強い。ライラREKIの二人をたたきのめす。REKIも農鳥を繰り出すなど健闘したが・・・・

「けっ、使えねえパートナーだ。」

リング上でやられてしまって大の字のREKIを尻目にスタスタと引揚げたライラ神威であった。

氷室、N白石○(2点、STOからの片エビ固め 15.38)メガライト、デイジー×(2点)

前日お嬢様コンビに負けた氷室組が猛攻。スリーパーでデイジーを失神寸前に追い込み、最後はノエルのSTOで終了。

B市ヶ谷○、R北条(4点、シューティングスタープレスからの体固め 26.10)L内田×、M上戸(2点)

SPZのメイン戦線で数え切れないほどぶつかったジューシーペアと市ヶ谷様が秋田で最後の激突。

「覚悟なさイッ!!」

市ヶ谷様、ラッキー内田は力ずくで攻め込むことができたが、代わって出てきたマッキー上戸に力ずくで投げられまくってしまう。しかしロイヤル北条も懸命に体勢を立て直し、なんとかもう一度ラッキー内田を引きずり出すことに成功。ここで市ヶ谷様、勝負に出て、ビューティボム炸裂。

これはマッキー上戸がカットしたが、ロイヤル北条が即座に場外乱闘を仕掛ける。続いて市ヶ谷様が繰り出したのは、
シューティングスタープレス!

ワン、トゥ、スリー。

これでラッキー内田から3カウント奪取。磐石と思われたジューシーペアに土をつけて2連勝。幸先のいい出だし。

「おーほほほほほほ!ジューシーペアも形無しですわね!」

最後の対決は市ヶ谷様の勝ち逃げで終わった。

「北条さんが・・・気合入ってましたね・・・」

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シリーズ4戦目は山形大会。

ローズ○、Fローズ1号(2点、バスターローズからの片エビ固め 15.52)R神威、REKI×(2点)

昨日イージス中森にまさかのギブアップ負けを喫したローズ・ヒューイット。さすがに気合がはいったのか、ライラのラフファイトををまったく寄せ付けない。最後はREKIを伝家の宝刀バスターローズでほふった。

B市ヶ谷○、R北条(6点、デスバレーボムからの片エビ固め 27.25)F鏡、A中森×(2点)
今シリーズの危ないお嬢様・フレイア鏡はパートナーがいないので若手のイージス中森と即席タッグを

組んで参戦。チャンスをもらったイージス中森が大先輩を相手にしても気後れしないファイト。そしてフレイア鏡も市ヶ谷との最後の対決、全力で向かって行くが市ヶ谷に場外でのフィッシャーマンバスターを食らって悶絶。あとは孤立したイージス中森を手堅くしとめて終了。それでも27分にわたる熱闘が展開された。

「あとは頼みましたわよ。」

試合後、B市ヶ谷、R北条、F鏡の3人はがっちり握手。

氷室、N白石(3点、時間切れ引き分け)武藤、成瀬(3点)

「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・」(相手チームの猛追を何とか振り切って息も絶え絶えの成瀬唯)
「えっ・・・・終わり・・・なの?」(誰も負けてないのに終了のゴングが鳴ってきょとんとしているノエル白石)
「これも、運命・・・」(この人はいつも通り)
「・・・くっ」(勝てた試合をドローにして納得行かない表情の武藤めぐみ)

L内田、M上戸○(4点、ジャーマンSH 12.51)メガライト、デイジー×(2点)

ジューシーペア激勝。SPZタッグ王者をうまいこと分断して退けた。最後はマッキー上戸がジャーマンでキックの怖いおねえさんをしとめた。

「ひとつ負けてますから、もうこれ以上は負けられません」

「市ヶ谷さん北条さんは絶対後半疲れてくるからチャンスはあると思うぜ」

第21回SPZタッグリーグ戦、3戦を消化して優勝争いは市ヶ谷組が6点でトップ、ジューシーペアが4点で追う展開となった・・・

(長くなるので続きます)

2008年3月11日 (火)

第361回 21年目10月シリーズ

21年目10月
秋のダイヤモンドシリーズ開幕。

3戦目の三重サンシャインアリーナ大会でSPZ世界タッグ戦が組まれた。王者氷室、ノエル白石に挑むのはジェナ・メガライト、デイジークライの一戦。しかしメガライトのスープレックス攻勢に氷室が大苦戦。

「う・・・ん」

氷室、足元がもうおぼつかない状況、そこへデイジー・クライがつかつかと歩み寄り
がすっ!

ものすごい裏拳がヒット。崩れ落ちる氷室。これで3カウントが入ってしまった。SPZタッグベルトが海外流出してしまった。

第6戦和歌山大会。新人のコンバット斉藤がシングル初勝利。最弱ネタ外人のソフィア・リチャーズをけり倒した。

第7戦長野大会ではあばしりタッグ戦が組まれた、王者ファントムローズ1号、ワイルドローズ2号に挑むのはイージス中森(20期)、野村つばさ(18期)の若手混成タッグ。両名ともにタイトル挑戦はこれがはじめて。インスタントチームであのメイド隊を相手にするのは厳しいと思われたが、

「あたしのとっておき見せてあげる!」

野村つばさ、ジャンプしてネックブリーカードロップ。これでファントムローズ1号から3カウント奪取。

「やったーっ!」

SPZ18期、野村つばさ、アイドルレスラー扱いでここまで3年半、前座戦線で頑張ってきた努力が報われた。

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あばしりタッグ選手権(60分1本勝負)

イージス中森、○野村つばさ(20分くらい、ネックブリーカードロップからの片エビ固め)ファントムローズ1号×、ワイルドローズ2号

王者組が初防衛に失敗、イージス中森、野村組が新王者となる

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最終戦は新日本ドーム大会。

第1試合はコンバット斉藤対シンディー・ウォン。やはり実力派外人の相手となると新人の斉藤には二が重く、8分58秒、逆片エビ固めにギブアップ。

第2試合は野村つばさ、イージス中森対ジェニー・ビーチ、ワイルドローズ2号。昨日あばしりタッグを取って意気上がる二人が奮闘したが、さすがにジェニー・ビーチもTWWAの実力派外人、簡単には主導権を握らせてもらえない。粘ったものの13分31秒、合体パイルドライバーの前にA中森が力尽きた。

第3試合は成瀬唯、フォクシー真帆対ソフィア・リチャーズ、パトリシア・ルイスのタッグマッチ。この試合は盛り上がった。パトリシア・ルイスのハイキックが成瀬をたじろがす。しかし最後は合体パイルドライバーを決めた成瀬が3カウント奪取。

休憩後の第4試合はライラ神威、REKI対アリス・スミルノフ、デイジー・クライのタッグマッチ。ライラ神威が例のごとく暴れ回り、デイジーをトムラウシで屠った。

セミ前はラッキー内田、マッキー上戸のジューシーペア登場。対戦相手はビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条のジュエルローゼス。SPZタッグの元王者同士がドームのセミ前で激突。しかし市ヶ谷様にもはや往年の力はなかった。じわじわと攻め込まれていって、

「落-ちーろー!」

マッキー上戸のスプラッシュマウンテン炸裂。24分59秒、ジューシーペアの勝利。

「くっ・・・・」

市ヶ谷様のピンフォール負けも珍しくなくなってきた・・・

セミファイナルはタッグ前王者の氷室紫月、ノエル白石登場。ローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号と対戦。ノエル白石が安定した戦いを見せ、最後はファントムローズ1号をSTOで仕留めた。

メインイベントはSPZ戦、王者武藤めぐみに挑むのはジェナ・メガライト。SPZクライマックスでは武藤、全勝優勝してしまったので強豪外人をあてるしかないというマッチメイク。しかし今回のメガライトは気合が入っていた。武藤をフロントスープレックスでぽいぽい投げてゆく。

武藤もシューティングスタープレス、DDTでメガライトを追い込んだが、フィニッシュは突然に
「食らえ!そして潰れろ!」

ものすごい勢いでベリー・トゥ・バックで投げつけられた。武藤失神。これで3カウントが入った。勝負タイム20分6秒、王座移動。武藤はセコンドの若手に背負われて退場。ダメージが深くコメントも出せず。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

ジェナ・メガライト(20分6秒、ベリ・ートゥ・バック)武藤めぐみ

第60代王者が2度目の防衛に失敗、メガライトが61代王者となる。

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「あーあ、ベルト流出しちったよ」

吉田社長が淡々とした表情で話す。至宝流出で大問題なのだが、井上霧子も落ち着いていた。

「まあ、今回はメガライト選手のジャーマンを受けられなかった武藤のミスですから、近いうちに奪還してくれるでしょう」

21年目11月、SPZに激震が走った。

「さすがの私もとうとう限界のようですわ・・・」

ビューティ市ヶ谷(SPZ13期)が引退を表明。

2008年3月10日 (月)

第360回 21年目9月シリーズ

21年目9月

調子に乗るSPZは武藤めぐみファースト写真集「IEYAMA」を発売。SPZ世界王者で、そのうえSPZクライマックスを全勝優勝し、SPZの新エースとなった武藤めぐみがまさかの写真集発売、ファンや業界関係者は驚愕した。

そしてマッキー上戸、ビューティ市ヶ谷が過酷なリーグ戦で古傷を痛めて負傷欠場。ラッキー内田も先月ムリを押してのSPZクライマックス参戦がたたって負傷欠場。したがって9月シリーズ「バトルオータム2029」は若手中堅選手主体のカード編成となった・・・

九州地区各所を転戦するシリーズでは氷室とノエル白石ともうひとりがトリオを組んで外人組を迎え打つカード編成が続いた。

4戦目の鹿児島大会で空位になっていたあばしりタッグ選手権の王座決定戦が組まれた。元王者の成瀬唯、フォクシー真帆組に対するはファントムローズ1号、ワイルドローズ2号の最強メイド隊。この試合は白熱した。お互い好連係を見せて決定的チャンスを作らせない。試合は長引いた。しかし最後はサンドイッチラリアットを見せたメイド隊が成瀬を仕留めた。勝負タイム51分37秒。

最終戦はさいたまドーム大会。
第1試合は野村つばさ(18期)対コンバット斉藤(21期)。

新人のコンバット斉藤、まだまだシングルマッチでは試合を作ることができない。きょうも野村つばさの空中戦の餌食に。最後はジャンピングニーで3カウントを奪われた。

第2試合はイージス中森(20期)対シンディ・ウォン。そこそこの実力者外人のシンディがミサイルキックを連発して粘るイージス中森を仕留めた。勝負タイム14分54秒。

第3試合はフォクシー真帆(14期)、成瀬唯(15期)対ジェニー・ビーチ、パトリシア・ルイスのカード。4人が4人とも個性派でそこそこの実力を持っているので沸いた。最後は誰が誰からとってもおかしくない状態になった。

「はっ!」

パトリシア・ルイスのカカト落としがフォクシーに決まる。しかしこれは成瀬がカット。そしてようやく成瀬がジェニー・ビーチを捕らえて、

「いてこましたる!」
延髄斬り、これでカウント3が入り、30分の熱戦を制した。

後半に入りライラ神威(17期)とREKI(20期)登場、対戦相手はアリス・スミルノフとソフィア・リチャーズ。

「キャーハハハハハハハハハハ、泣き叫びなアアアアア」

この試合、ライラ神威が暴れまくる。疑惑のヘッドバットで痛めつけ場外フェイスクラッシャーまでやってのける。しかしこれでアリスが怒った。強烈なバックドロップで反撃。頭を打ってしまったライラ神威、ひとまずREKIにタッチ。

このあとREKIとソフィアの攻防。

「せっかく後半の試合に出たのよ!おとなしくやられるもんですかっ!」

しかしソフィアがうまく立ち回ってアリスにタッチ。しかしREKIが格上のアリスを、

「参る・・・・農鳥」

農鳥(高角度ミサイルキック)で仕留めてしまった。勝負タイム13分3秒。

試合後ライラ神威のマイクアピール。

「いいかあ、くされSPZファンども、くされSPZファンども!武藤めぐみのアホが何を勘違いしたのかシラネエが今度みじゅぎの写真集を出すらしいんだがなあ、間違っても買うんじゃねえぞ!(場内笑い)ラッキー内田も氷室紫月も写真集なんか出してねえのに、武藤のアホ、自分がアイドルかなんかと勘違いしてんだ。あのクソバカ、11月、タッグリーグで制裁してやるぅぅぅ!」

セミファイナルはジュエルローゼス登場。かつては4人の大所帯だったJRも今シリーズに参戦しているのはロイヤル北条(13期)、フレイア鏡(16期)の2名。対戦相手はファントムローズ1号、ワイルドローズ2号のあばしり王者メイド隊。

しかしロイヤル北条もかなり力が落ちていて、以前なら問題にしなかったはずのこのクラスの相手にも手こずってしまう。それでもなんとかファントムローズ1号をパワースラムで退けた。勝負タイム18分20秒。

メインイベントはSPZ世界タッグ戦。王者氷室紫月(16期)・ノエル白石(19期)組に対するはローズ・ヒューイット、デイジー・クライ組。しかしデイジーも23歳、全盛期の蹴りの威力がなくなってきていて、あっさりつかまってしまい、氷室のダイビングプレスにあえなく3カウントを聞いた。勝負タイム19分45秒。

2008年3月 9日 (日)

第359回 21年目9月時点のプログラムから

21年目9月時点のSPZのプログラム・選手紹介から。

世界最強の暴走お嬢様 ビューティ市ヶ谷

本名、市ヶ谷美香。2005年9月10日、埼玉県さいたま市出身。中学時代は柔道で鳴らし、数多くのジュニア大会で優勝するが、井上霧子に誘われ突如プロレス転向を宣言。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会でのキューティー金井戦でデビュー。

その高笑いを交えた個性的なファイトスタイルで人気爆発。ロイヤル北条とのコンビであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝く。ナターシャ・ハンやハイサスカラスといった世界の一流選手を破り、AAC,EWAのシングルベルトをも戴冠。そしてSPZ王者にもボンバー来島を破り戴冠し、絶対王者として防衛を重ねる。SPZクライマックスでは第16回~第20回大会で5連覇を果たすなどSPZの女帝として君臨。得意技はビューティボム。

テーマ曲:トッカータとフーガ BWV565(J・S・バッハ)

お嬢様特急 ロイヤル北条

本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。中学時代はフェンシングに熱中し全国大会で入賞する成績を残す。しかし、中学を卒業するや上京しSPZの新人テストを受験。合格しSPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。キビキビとした動きで出世街道を突っ走り、同期のビューティ市ヶ谷と組んであばしりタッグ王者、SPZタッグ王者に輝き、お嬢様軍団「ジュエルローゼス」の一員としてメインやセミでも存在感を出している。

2027年7月にはSPZ世界王者に輝くなどツボにはまった時の実力は健在。得意技はロイヤルスパイク。

テーマ曲:Jive into The Night(グリーン・オリーブス)

妖しのお嬢様 フレイア鏡

本名:鏡春江。2006年12月13日、長崎県佐世保市出身。井上霧子にスカウトされ、SPZ第14期生として入団し、2022年4月16日、札幌どさんこドームでのビューティ市ヶ谷戦でデビュー。持ち前の運動センスを生かし、関節技を主体としたファイトを見せる。

最近ではビューティ市ヶ谷率いるお嬢様軍団「ジュエルローゼス」の一員としてメインやセミでも奮闘し、芝田美紀と組んでSPZタッグ王者にも輝く。鬼気迫る表情で得意技のストレッチプラムを繰り出すシーンがたまらないというファン多数。

テーマ曲:リライト・マイ・ファイヤー(ダン・ハートマン)

野生少女 フォクシー真帆

本名:平津戸真帆。2006年8月18日、岩手県田野畑村出身。SPZの新人テストに合格し、14期生として入団。2022年4月16日、札幌どさんこドーム大会でのロイヤル北条線でデビュー。岩手県の山奥で育ったことをネタにして吉田プロデューサーが「野生少女」というギミックを考え出し、その個性的なキャラで売り出し中。成瀬唯と組んであばしりタッグ王座を獲得するなど若手中堅選手の壁として活躍。得意技はパワーボム、ヘッドバット。

テーマ曲:ウイリアムテル序曲(ロッシーニ)

ナニワファイター 成瀬 唯

本名・同じ。2007年11月2日、大阪府豊中市出身。新人テストに合格し、SPZ15期生として2023年4月21日、釧路アリーナでのフォクシー真帆戦でデビュー。身軽な動きを生かしたプロレスで会場を盛り上げる。大阪出身らしく気合のこもったファイトで多くの固定ファンを持つ。最近ではフォクシー真帆と組んであばしりタッグ王座を獲得するなどSPZに欠かせない存在として活躍。得意技はミサイルキック、ストレッチプラム。

テーマ曲:ミオクルカラ(C.G mix

運命戦士 氷室紫月

本名・同じ 2008年11月27日、富山県高岡市出身。中学時代からアマレスで身体を鍛え、これに目をつけた井上霧子がスカウト。SPZ16期生として2024年4月21日、仙台アリーナ大会でのマイトス香澄戦でデビュー。レスリングセンス、そしてここぞというときの絞め技の威力はかなりのもので、SPZ王者にも2度輝く。得意技はドラゴンスリーパー。

テーマ曲:ウォンテッド(ザ・ドゥーリーズ)

ラッキーキャプチャー ラッキー内田

本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。中学時代からアマレスで頭角を現し、SPZ16期生としてスカウトされる。2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。同期の氷室とは出世競争を繰り広げ、スターライト相羽とのコンビであばしりタッグ王座も戴冠。相羽引退後はマッキー上戸との同期コンビでジューシーペアを結成し、あばしりタッグ王座、SPZ世界タッグを戴冠。

シングル戦線でもそつのない試合運びと勝負どころで繰り出す関節技で活躍し、SPZ世界王者に輝く。得意技はラッキーキャプチャー、ラッキーキャプチャーZ。

テーマ曲:ラッキー・ラブ(カイリー・ミノーグ)

Double Harmonize Shock!(I‘ve sound:ジューシーペア登場時限定)

炎の戦士 マッキー上戸

本名:上戸真紀 2009年3月8日、鳥取県倉吉市出身。SPZ16期生としてスカウトされ、2024年7月16日、青森武闘館大会での氷室紫月戦でデビュー。同期の氷室、ラッキー内田らと出世競争を繰り広げる。パワーに任せて突っ走るファイトで人気も上昇。ラッキー内田とジューシーペアを結成し、あばしりタッグ王座、SPZタッグ王座に輝く。ツボにはまったときのパワーは計り知れないものを持っており、トップ戦線に食い込みSPZ王座に輝く。得意技はスプラッシュマウンテン。

テーマ曲:Cheer up full throttle!(某ゲームサントラ)

悪役ファイター ライラ神威

本名:島宮香織。2009年6月16日、北海道新得町出身、SPZ17期生としてスカウトされ、2025年4月21日、釧路アリーナ大会での成瀬唯戦でデビュー。正統派レスラーの多いSPZマットにおいてただひとりのヒールレスラーとして活躍。入場時には凶器を持ってのパフォーマンスを繰り広げ観客を恐怖のどん底に陥れる。

悪役パフォーマンスに目が行きがちだが、リング上でのパワーファイトもかなりのものをもっており、ボンバー来島の引退試合でスプラッシュマウンテンで投げきってカウント3を奪ったときには観客の度肝を抜いた。REKIと組んであばしりタッグ王座を戴冠。

得意技はカムイエクウチカウシ(高角度スプラッシュマウンテン)、凶器攻撃。

テーマ曲:COLLECTIVE (KOTOKO)

リングのひまわり 野村つばさ

本名:同じ、、2011年3月30日、愛媛県西条市出身。SPZの新人テストに合格し、18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 ライラ神威戦でデビュー。まだまだレスリングは発展途上だが、抜群のルックスと軽やかな身のこなしでファンのハートをつかむ。得意技はミサイルキック、エルボー。

テーマ曲:ほほえみのヴァネッサ(クレイダーマン)

天才姫 武藤めぐみ

本名:同じ、2010年4月4日、静岡県本川根町出身、天性の運動神経に目をつけた井上霧子にスカウトされ、SPZ18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 フォクシー真帆戦でデビュー。SPZの次代をになうスター候補として期待され、デビュー1年足らずでボンバー来島と組んでSPZタッグ王座を獲得し、2年目にはいきなりSPZクライマックス本大会に出場するなど驚異の出世街道をばく進。そして2028年にはSPZ世界王座を奪取し、SPZクライマックスで全勝優勝を飾るなど先輩方をごぼう抜きして団体の頂点に輝く。得意技はシューティングスタープレス。

テーマ曲:アメジスト(KOTOKO)

不思議系戦士 ノエル白石

本名:白石直子、2011年11月11日、新潟県糸魚川市出身。中学時代は助っ人で出た柔道大会で5人抜きするという伝説を持つ。SPZにスカウトされ、19期生として2027年4月20日、釧路アリーナ大会での対 野村つばさ戦でデビュー。レスリングの技術はまだまだ発展途上だが、細身の身体からは想像もつかない腕力の強さを持ち、氷室紫月とミステリアスタッグを組んでSPZ世界タッグ王者に輝く。シングル戦線でもSPZクライマックスへの出場を果たすなど実力は急上昇中。得意技はSTO。

テーマ曲:ラジオスターの悲劇(バグルズ)

ザ・クノイチ REKI

本名:大門敬子、2012年8月18日、山梨県早川町出身、幼少の頃より忍者としての修行を積み、対人格闘術の修行のために流派の壁を越えプロレスの道を選び、SPZ20期生として2028年4月16日、京都市体育館での対野村つばさ戦でデビュー。忍者ならではの軽快な身のこなしを生かしたファイトで観客の度肝を抜く。ライラ神威のパートナーに起用され、あばしりタッグを戴冠。得意技は農鳥(変形ミサイルキック)

テーマ曲:二人の擲弾兵(シューマン)

ヤングライオネス イージス中森

本名:中森登志子、2012年11月29日、徳島県徳島市出身、SPZ新人テストに合格し、20期生として2028年4月16日、京都市体育館でのキューティー金井戦でデビュー。練習熱心な性格で、関節技を主体としたキビキビしたファイトで前半戦を盛り上げる。得意技はストレッチプラム。

テーマ曲:you give・・・(川田まみ)

暗黒の空手家 コンバット斉藤

本名:非公開。2014年3月4日、三重県四日市市出身、中学時代までは空手に打ち込んでいたが、強すぎて対戦を断られるようになり、プロレスに転向。SPZ21期生として2029年4月21日、釧路アリーナ大会での対イージス中森戦でデビュー。空手の経験を生かした打撃技は強力。

テーマ曲:LAMENT(KOTOKO)

レフェリー 井上霧子

1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。近年は一部スポーツ紙上で酒びたりであることが暴露され、2027年8月に酒気帯びレフェリング事件が発覚し、社長代行の座を退いた。現在は主に前座試合のレフェリーを務める。

レフェリー 伊達遥

1993年10月23日、宮崎県都城市出身。SPZの一期生として旗揚げ直後から参加し、2009年6月20日

根室市

体育館、アリシア・サンチェス戦でデビュー。SPZ草創期から団体を支え続け、SPZ初代王者として団体エースとして活躍。2019年2月、現役引退。井上霧子の推薦でレフェリーに転向。井上霧子がフロント業に駆り出される中、伊達が実際のチーフレフェリー格となりつつある。

レフェリー 上原今日子

1995年12月31日、沖縄県那覇市出身。SPZ3期生として2011年5月11日、青森スポツァルト黒石大会の保科優希戦でデビュー。2020年4月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、その人柄か、リングアナウンサー、代打レフェリー、雑用、物販スタッフなんでもやる人になってしまった。現在は主に後半戦のレフェリングを担当。

レフェリー 吉田龍子

1997年11月13日、熊本県八代市出身。2013年4月11日、札幌キターアリーナ大会での富沢レイ戦でデビュー。2022年3月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、ボンバー来島、菊池理宇の後見人として「吉田キラーマシン軍」を結成。第1試合前のMCを勤める。2027年8月、井上霧子のあとをうけて3代目のSPZ社長に就任。バランスシートも読めない社長でSPZの将来をお先真っ暗にすること確実。社長業のかたわら前座のレフェリーも時たまつとめる。

リングアナウンサー 村越忠幸

1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、営業社員兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。2児のパパで趣味は料理。

リングドクター 羽山海

1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野前社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2008年3月 8日 (土)

第358回 ライラ神威の憂鬱

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21年目8月 SPZクライマックス

前回までのあらすじ

横浜のお嬢様プロレス団体「スーパースターズ・プロレスリング・ゼット」(略称SPZ)は、毎年8月に所属選手によるリーグ戦を行う。第16回から20回まで5連覇を成し遂げている「史上最凶のお嬢様」ビューティ市ヶ谷、あの吉田龍子に並ぶ6年連続優勝へ執念を燃やしたが、リーグ戦5戦目で氷室紫月に破れ痛恨の2敗目。トップを走る武藤めぐみの状態がいいだけに市ヶ谷の優勝は絶望的となった・・・

第7戦は仙台大会。

M上戸(10点、DDTからの片エビ固め 17.48)B市ヶ谷(6点)

昨日29分の激闘の末氷室に敗れてしまった市ヶ谷、集中力が切れてしまったのか、マッキー上戸に主導権を握られてしまう苦しい展開。それでも6連覇へのわずかな可能性をしんぢてビューティボム、久しぶりにミサイルキック、ムーンサルトまで繰り出して反撃。しかしそれをしのぎきったマッキーもジャーマン、ダイビングプレスで反撃。

「く・・この!」

市ヶ谷最後の力を振り絞ってパイルドライバー。しかしマッキー上戸カウント2.9で返す。

―そんな!?

「うらあっ!」
マッキー上戸ここでDDT,市ヶ谷の脳天をマットにグサリ。

ワン、トゥ、スリー。
ビューティ市ヶ谷3敗目。6連覇の夢はここでついえた。

いつもなら負けてもツカツカと引き揚げるビューティ市ヶ谷、リング上で深々とお辞儀をして引き揚げた。己の限界を感じたのだろうか・・・

L内田(6点、ラッキーキャプチャーZ 23.41)R北条(0点)

なんとかして初白星を挙げたいロイヤル北条。ラッキー内田の攻めをかいくぐって懸命に反撃し、ロイヤルスパイク(変形DDT)を決める。、しかしラッキー内田もカウント2.9で返す。そしてラッキーキャプチャーZが決まる!かなり耐えたR北条だったがついにギブアップ。ラッキー内田、なんとか勝ち点を6に伸ばし、シード権確保に望みをつないだ。

「何とか勝てました。明日は上戸さんの援護射撃をしたいと思います」

R神威(6点、裏投げからの片エビ固め 14.0)氷室(4点)

負けたほうがシード権争いから脱落となる一戦。しかし先手を取ったのはライラ。凶器入りヘッドバットでダメージを与えてゆく。そして氷室の絞め技を警戒したのか、ロープを背にして闘う用心深さ。氷室のドラゴンスリーパーも決定打にならない。ライラ、バックドロップ2発で優位に立つ。

「死ねや、氷室、このパーニングがぁ!」

そして裏投げ。これで氷室から3カウントを奪った。

武藤(12点、ノーザンライトSH 12.02)N白石(4点)

試合中武藤のローリングソバットを鼻で受けたノエル白石が流血というアクシデント。

「あれ・・・・」

これで動揺したのかノエルの動きが落ち、武藤のノーザンにフォール負け。武藤堂々の6連勝。これでリーグ戦は全勝の武藤めぐみを1敗でマッキー上戸が追う展開。

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SPZクライマックス最終戦は本拠地へ戻って横スペ(横浜スペシャルホール)大会。

第1試合はデイジー・クライ対パトリシア・ルイス。実力派外人同士の対決。なんとパトリシアがタイガードライバーで常連外人のデイジーを撃破、勝負タイム9分26秒。

第2試合はフレイア鏡対ソフィア・リチャーズ。

横浜初登場のソフィア・リチャーズ。ルックスはいいので声援が集まる。しかしフレイア鏡がSPZクライマックスに出られなかった恨みを晴らすかのような猛攻を見せてDDT,これで3カウント奪取。勝負タイム11分22秒。

第3試合は6人タッグマッチ、フォクシー真帆、成瀬唯、野村つばさ対REKI,イージス中森、コンバット斉藤。中堅選手3人と若手3人が熱い戦いを繰り広げた。最後はフォクシー真帆のパワーボム狙いをウラカンラナで切り返したREKIが3カウント奪取。その試合が終わると休憩。

休憩後は第21回SPZクライマックス最後の4試合が行われた。

R神威(8点、裏投げからの片エビ固め 14.18)B市ヶ谷(6点)

市ヶ谷様、前日のショックを引きずることなく鋭いニーリフトでライラ神威を痛めつけてゆく。しかし今の市ヶ谷様にはかつてのような一気に持っていく力がないのでライラにも攻め込まれる始末。横スペのファンは落日の光景に唖然としながらも市ヶ谷に声援を送る。

ー市ヶ谷!市ヶ谷!市ヶ谷!市ヶ谷!

ーこんな感じで声援を受けるのも、久しぶりですわね・・・

「覚悟なさいッ!」

市ヶ谷コールで奮起したビューティ市ヶ谷、代名詞のビューティボム!しかしカウント2で返すライラ。

「もう、アンタの時代じゃあないんだよ」

ライラ神威、落ち着いてフェイスクラッシャー、そして裏投げで反撃、カウント2.8で返す市ヶ谷、場内悲鳴悲鳴悲鳴!

「ざまあねえな」

ライラ神威、トドメの裏投げ。これで市ヶ谷からカウント3奪取。

カンカンカンカン・・・

「キェーヘヘヘヘ、さっさと引退しろこのタコ」

ライラ神威、勝ち名乗りを受けた後も、倒れている市ヶ谷にストンピングを乱打する悪逆非道。

がすっ、どかっ、げしっ!

ビューティ市ヶ谷、リーグ戦の結果は6点、優勝どころか勝ち越しすら出来ず、シード権も失ってしまった。1年前は軽くひねっていたライラ神威のような小悪党に叩きのめされるという屈辱。

このあと例によって若手選手やセコンド陣が入り込んでの大乱闘。リング上は収拾のつかない修羅場と化した。どうにかフレイア鏡が倒れている市ヶ谷を救出して、乱闘がおさまった。

「ヒャーハハハハハハ!」

「物を投げないでください物を投げないでください、物を投げないでください」

ライラ神威、リーグ戦で8点を確保して初めて市ヶ谷様を撃破し、シード権を取った。内心は嬉しかったのだろうが、花道ではおくびにも出さず、REKIと肩を組みながら観客をあおり続け、紙コップや弁当箱、しめ鯖を投げられ続けた。

「うわー、きつかった」
控室のドアを開けて倒れこみ、ひとりの北海道人に戻り水を飲む。コンバット斉藤がライラ神威の身体にこびりついたしめ鯖を取る。

「しかしなんであたしに投げられるのはしめ鯖なんだろうね」

「以前顔面にぶちまけられたのをおいしそうに食べたシーンがテレビに映っちゃったからですよ」

その頃リング上ではセミ前の試合が激闘となっていた。

M上戸(12点、パワースラムからの片エビ固め17.17)N白石(4点)

「くらえええええい!」

マッキー上戸、最後は息切れした後輩のノエル白石を圧倒し、最後はパワースラムできっちりカウント3を奪取。メインの結果によっては優勝決定戦もあるのでそのまま着替えず控室で待機。

「頼むよ、ラッキー内田さん・・・」

氷室(6点、ダイビングプレスからの片エビ固め 12.16)R北条(0点)

いまのところ8点以上を取った選手がまだ3人しかいないため、ひょっとしたら6点の選手は繰り上げシード権を得られるかもしれない。そう考えた氷室は猛攻。ロイヤル北条に隙のない攻めを見せて、ダイビングプレス2連発で勝利。有終の美を飾った。

「自分のレスリングに自信がなくなりました・・・」

ロイヤル北条、まさかの全敗でリーグ戦を終えた。

そして千秋楽メイン。

武藤(14点、スクラップバスターからの片エビ固め 13.46)L内田(6点)

―全勝で優勝を決める!

―ここはなんとしても勝って、上戸さんの援護をする!

しかし今シリーズ膝を痛めて本調子でないL内田は苦しいファイト。武藤のハイスパート攻撃にだんだんついていけなくなって、ローリングソバットで吹っ飛んで起き上がろうとしたところへシャイニングウィザードが激突。

「つ、強い・・・」
これでラッキー内田の意識が飛んでしまった。武藤めぐみ、なお容赦せずダウンしたところを上からムーンサルト。

「ラッキー、返せえ!」
薄れる意識の中、かすかにマッキーの声が聞こえる。残った力を振り絞ってラッキー内田、肩を上げる。しかし続けざまのスクラップバスターで叩きつけられ、無念の3カウントを聞いた。

けっきょく優勝候補の一角に名を連ねていたラッキー内田は6点でリーグ戦を終えた。氷室ともども4位に食い込んだのでシード権は確保したが、ファンの期待を裏切ってしまった。

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武藤めぐみ、SPZクライマックス初優勝。

「ありがとう、普段の力が出せてよかった」

武藤には賞状と賞金100万円、副賞としてブランド物のカジュアルアウターが贈られた。

準優勝は12点のマッキー上戸。予選会3位からよくここまで食い込んだ。賞状と横浜中華街のお食事券5万円分が贈られた。

「後輩に優勝さらわれちまった。だが、あたしは諦めねえ。もっとトレーニングして強くなって武藤めぐみをもう一度叩きのめしてやる」

3位はライラ神威。このメンツでよく3位に食い込んだものである。危険人物なので表彰式には呼ばれず、賞品のスポーツドリンク1ケースは後日自宅へ配送となった。控室のモニター越しに、優勝トロフィーを抱く武藤を見ながら唇をかみ締めた。

「正面からやったんじゃあ、いまの武藤めぐみに勝つのは厳しい・・・、どうすりゃいいんだ。」

(ほおづえを突いて考え込むライラ神威。しかし、彼女の悪だくみが後年、SPZに大きなうねりを巻き起こすのである・・・)

2008年3月 7日 (金)

第357回 21年目8月SPZクライマックス中篇

21年目(AD2029年)8月 SPZクライマックス中篇

翌日は九州ドーム大会。

B市ヶ谷(4点、ビューティボムからのエビ固め16.37)N白石(2点)

大会場ではおそらくシングル初対決。市ヶ谷様が自分のペースで技を積み重ねて戦い、ノエル白石を痛めつけてゆく。裏拳、DDT、パイルドライバーとじっくり攻めていって、終盤にデスバレー、これでノエルをフラフラにする。

「マットにひれ伏しなさい!」

最後はビューティボム。市ヶ谷の完勝といっていい内容だった。

「まだまだあんなコムスメには負けませんことよ、オッホホホホホホ」

ビューティ市ヶ谷、まだ6連覇を諦めてはいない。残る相手はジューシーペアの2人、氷室、ライラ。楽に勝たせてくれる相手はいない・・・・・

R神威(4点、カムイエクウチカウシからのエビ固め15.35)R北条(0点)

「ヒャ、ヒャ、ヒャ、泣き叫びなああああ」

ロイヤル北条への声援がすごい。ライラは完全なヒール。ロイヤル北条も声援に乗せられてロイヤルスパイクを決める。が、ここで一気にもっていけないところがいまのロイヤル北条。

ライラが場外戦で大暴れ。裏投げ2連発。

「あの・・・中でやって・・・」

伊達レフェリーがなんとか引き戻す。

「わあってるよ!」

最後は必殺のカムイエクウシカウチ。これで2勝目をゲット。ロイヤル北条まさかの3連敗。

L内田(2点、コブラツイスト 15.38)氷室(2点)

16期生の同期対決。

―もうこれ以上は負けられない!

試合前に痛み止めの注射を3本打ったラッキー内田、氷室に猛然と襲いかかっていった。ひざの痛みを感じさせないドロップキック。先手必勝で攻めまくるラッキー内田、とにかく気迫が凄かった。最後は絞り上げる拷問コブラツイスト。

「マイッタしなさい!」

首がへんな方向へ曲がってゆく。氷室たまらずギブアップ。ラッキー内田ようやく初白星。

武藤(6点、延髄斬りからの片エビ固め 15.36)M上戸(4点)

2連勝同士の対決。去年マッキー上戸戦で連勝街道を止められた因縁を持つ武藤、今年もパワフルな猛攻を食らってしまうが、今年の武藤は耐久力が違う。ブレーンバスターで投げられても直後にバックドロップでお返し。そしてシューティングスタープレス、ムーンサルトプレスでマッキーを戦闘不能に追い込んで、フィニッシュは延髄斬り!

「つ、強い!」

「こりゃ優勝は武藤だよ」

福岡のファンはため息。
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第5戦は名古屋しゃちほこドーム大会。

N白石(4点、バックドロップからの片エビ固め 14.23)R神威(4点)

予選会ではライラが勝っているこのカード、しかしノエル白石も噂にたがわぬ実力急上昇振りを見せ、スクラップバスター3連発で優位に立つ。そのまま押し切り、最後は痛烈なバックドロップでカウント3.これでノエルも2勝目を挙げた。

M上戸(6点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 10.05)R北条(0点)

―何とかして勝ちたい・・・
今日負けるとシード権を失ってしまうロイヤル北条、しかしマッキー上戸も早い段階でジャーマンを繰り出すなど猛攻。そのままズルズルともっていかれ、フィッシャーマンバスターに力尽きた。これはもう落日なのか。マッキー上戸1敗を堅持。

B市ヶ谷(6点、パイルドライバーからの片エビ固め 15.52)L内田(2点)

6連覇のためにはもう負けられないビューティ市ヶ谷。すでに2敗を喫してあとがないラッキー内田。

「アーッ!」

ビューティ市ヶ谷力のこもったラリアット。しかしラッキー内田もスリーパーで反撃。そのあと大技を積み重ねて勝利を狙う市ヶ谷、デスバレー2発を返したラッキー内田だったがもはや目がうつろ。続くパイルドライバーは返せなかった。これで市ヶ谷様も1敗をキープ。

武藤(8点、タイガーSH 13.21)氷室(2点)

―正面きって闘ったらきつい。落とすしかない。

しかし武藤も氷室がそういう攻め方をしてくることは百も承知なのでストレッチプラムをあっさり脱出。逆片エビもすぐに脱出。そしてー

「覚悟して」
タイガースープレックス。これで3カウント。武藤堂々の4連勝。

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第6戦は札幌どさんこドーム大会。

M上戸(8点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 13.59)R神威(4点)

予選会でライラに負けているマッキー上戸は雪辱を果たすべくうなり声を上げてライラにおそいかかる。ライラの凶器入り頭突きにも動じず、

「これがヘッドバットだ!」
ものすごいヘッドバット。

「うがががが・・・・」

頭を押さえて転げまわるライラ。そこを突いてフェイスクラッシャー2連発。マッキーが優位に立つ。
最後はスプラッシュマウンテンの応酬を制したマッキー上戸が勝利。シード権確保を決めて、1敗でトップの武藤を追走してゆく。

氷室(4点、ステップキックからの片エビ固め 29.10)B市ヶ谷(6点)

1敗を死守して6連覇への望みをつなぎたい市ヶ谷、すでに3敗しており負けたらシード権を失ってしまう氷室、白熱した攻防が展開されたが、長期戦に引きずり込んでサソリ固めや逆片エビでコツコツ攻めた氷室が優位に立つ。

B市ヶ谷、ビューティボムで懸命に反撃するが、最後は氷室のステップキック。市ヶ谷様痛すぎる2敗目。これで6連覇は絶望的となった。

「くっ・・・・・・・・・・・」

L内田(4点、ラッキーキャプチャー 17.17)N白石(4点)

シード権(7点以上または4位以内)をめぐる争いも熾烈。今シリーズ絶不調のラッキー内田だが、新鋭のノエル白石をズバリとラッキーキャプチャーで仕留めるあたりはさすが。遅ればせながらエンジンがかかってきた。

武藤(10点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 13.05)R北条(0点)

武藤、去年のSPZクライマックスで足元をすくわれ痛い星を落としたR北条との再戦。あれから1年、両者の力の差は開く一方。R北条を問題にせず5連勝。優勝へ大きく近づいた。

第21回SPZクライマックス。武藤めぐみが全勝、1敗で追うのはマッキー上戸。2敗で市ヶ谷様。武藤の残る相手はノエル白石とラッキー内田。いよいよ武藤めぐみが悲願のSPZクライマックス初優勝が見えてきたのか。

2008年3月 6日 (木)

第356回 21年目8月SPZクライマックス 天才VS悪党

21年目8月、恒例の地獄リーグ戦、SPZクライマックスの季節。8月3日の夜9時、閉店後のメイド喫茶「あばしり」を借り切って参加選手の記者会見が行われた。

■「史上最凶のお嬢様」ビューティ市ヶ谷(23)

7年連続7回目の出場 第16回・第17回・第18回・第19回・第20回大会優勝 京スポ予想:大穴

「オーッホッホッホ!全員このわたくしにひざまづくのです!」

■「スーパーお嬢様」ロイヤル北条(23)

7年連続7回目の出場 

「自分のレスリングを信じて白星を積み重ねたいです」

■「氷の彗星」ラッキー内田(20)

4年連続4度目の出場 京スポ予測:対抗
「私が求めるものは優勝、ただひとつ!」

■「ザ・運命」氷室紫月(20)

5年連続5回目の出場 

「運命の歯車が回り始めた・・・」

■「新・最強戦士 SPZ世界王者」武藤めぐみ(18)

3年連続3度目の出場  京スポ予想:本命
「まあ、やるだけだわ」

ここまでが前回大会でシード権確保組、以下は予選会勝ちあがり組。

■「何をしでかすかわからない」ライラ神威(19)

2年連続2度目の出場 予選会1位通過

「キエーヘヘヘヘヘヘヘッ!なにもかもぶっ壊してやる!!」

(この選手、危険人物なので記者会見には呼ばれずビデオメッセージが投影された)

■「ネイチャーガール」ノエル白石(17)

初出場 予選会2位通過
「リーグ戦?・・よく、わからない・・・」

■「炎の闘志」マッキー上戸(20)

4年連続4度目の出場 前SPZ世界王者 予選会3位通過
「ぺしゃんこにしてやるぜ!」

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この8名でシングルマッチのリーグ戦を行い、(勝ち2点、時間切れ引き分け1点、負け0点)もっとも勝ち点の多かった選手が優勝となり賞金100万円が授与される。

今年の見どころはビューティ市ヶ谷様の奇跡の6連覇があるかどうか。6連覇はあの吉田龍子に並ぶ快挙だが、さすがの市ヶ谷様も、かなり全盛時から力は衰えているのでさすがにムリだろう・・・というのが大方の見方であった。

2戦目のなにわパワフルドーム大会からリーグ戦開始。

N白石(2点、バックドロップからの片エビ固め 20.10)R北条

13期生のR北条と19期生のノエル。ともにパワーファイトを得意とする選手。しかし最近急速に力をつけてきているN白石が優勢。R北条、ロイヤルスパイクやシャイニングウィザード、カカト落としで反撃するも及ばず、

「風船♪」
強烈な裏拳で吹っ飛ばされ、そのあとバックドロップを2発食らって力尽きた。

M上戸(2点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め20.43)氷室

リーグ戦しょっぱなから「ミス・へラクレス対失神女王」の好カードが組まれた。マッキー上戸はとにかく投げようとする、氷室はグラウンドでじわじわ攻めようとする。しかし、先に切り札を出したのはマッキー上戸。
「決めるなら今しかない!」
スプラッシュマウンテン炸裂。垂直落下した氷室、大ダメージ。しかし氷室も諦めずスリーパー攻め。しかし最後はマッキー上戸がフィッシャーマンバスターを決めて勝利。

R神威(2点、トムラウシからの片エビ固め 13.50)L内田

ラッキー内田の右ひざには分厚いサポーターが。先シリーズのタッグ選手権での負傷が完治していない。しかしSPZクライマックスの優勝候補の一角に名を連ねている以上欠場できないので強行参戦。前夜祭の初戦、京都大会は休んだ。

「やるしかないわね・・・」

よりによってこの日は何をやってくるかわからないライラ神威。まだヒザをかばいながらのファイトでで精彩を欠く。信じられないことに格下のライラにズルズルと攻め込まれてしまい、たいした反撃もできないまま、トムラウシ(変形デスバレー)に敗北。黒星スタートとなってしまった。そして試合が終わってからもライラ神威の暴走がががが!

「キェーヘヘヘヘ!何がSPZのスーパーヒロインだぁ?今野の好みじゃねえかそんなん!」

内部事情を暴露したあげく、スタンロッドを取り出して、うずくまったままのラッキー内田を一撃。

ばちばちばちぃっ!

当然このあとは若手セコンド関係者が入り乱れての大乱闘になった。

「ライラ!ええかげんにせえよ!ここはSクラだぞ!」

テレビかいせつをしていた吉田龍子社長がリングに上がり、ライラをどなりつける。神聖なリーグ戦SPZクライマックスで試合後に乱闘行為というのは吉田社長の価値観からしたら許せるものではなかった。

「そんなの関係ねぇ!」

ばちばちばちっ。

「はああ・・・っ」

吉田龍子社長もスタンロッド攻撃を食らってダウン。しかしそのとき背後から、

「ヤ ク ザ キ ッ ク !」

井上霧子が強烈な蹴りをたたきこんだ。吹っ飛ぶライラ神威、井上霧子、もう40代のはずなのになんなのこの蹴りの破壊力。大阪のファンはやんやの歓声。

「ちっ、覚えてろオバハン!」

悪態をつきながら花道を引き揚げるライラ神威。花道に投げ込まれる紙コップ弁当箱しめ鯖。

「物を投げないでください物を投げないでください」

リング上では何人もの若手選手、そして吉田社長が折り重なって倒れていた・・・・

「スタンロッド?あんまりラッキー内田の動きが悪いんで電気治療してやったんだありがたく思え!」(試合後まったく反省の色のないライラ神威、明日の広島で武藤めぐみが正義の鉄槌をふりおろすしかない)

「最低のファイトをしてしまったわ・・・」(ラッキー内田、黒星発進。格下に負けるようでは優勝は厳しい・・・)

武藤(2点、シューティングスタープレスからの片エビ固め19.42)B市ヶ谷

ライラ神威の大暴れでざわついた雰囲気のままメインが始まった。吉田龍子に並ぶSPZクライマックス6連覇を狙うB市ヶ谷、いきなりSPZチャンプの武藤と対戦。

「えー、解説の今野さん、この試合のポイントは」

吉田龍子がスタンロッドを食らって失神してしまったため、急遽解説を務めることになった今野役員。

「市ヶ谷選手の気迫に期待したいですね、6連覇を狙ってると思いますので」

しかし武藤も天才、市ヶ谷に付け入る隙を与えず猛攻。ならばと市ヶ谷様もビューティボム、裏拳で勝負をかけるが後が続かず、スタミナ切れを起こしたところへシューティングスタープラスを食らって3カウントを喫した。

「そんな、このわたくしが・・・・・・・」
ビューティ市ヶ谷黒星発進、6連覇に黄色信号が点灯。

「チャンピオンは私なので、全勝します。」

武藤めぐみ、まず第一の難関突破。初戦から見ごたえのある熱戦が4試合。大阪のファンは満足してドームを後にした。

***************************

翌日は広島若鯉球場での興行。

B市ヶ谷(2点、ニーリフトからの片エビ固め 13.07)R北条(0点)

ジュエルローゼスの同門対決にして13期生の最古参同期対決。場外パイルドライバーというなりふり構わない攻撃を見せた市ヶ谷様、そのままR北条を押し切ってリーグ戦初白星。

「ま、まあ去年のようなこともありますからね、勝てる試合は拾いますわよ」

(去年も市ヶ谷様、2敗したが武藤めぐみが4連勝のあと、失速したので逆転優勝した)

氷室(2点、ステップキックからの片エビ固め 25.22)N白石(2点)

実力赤マル急上昇中のノエル白石と元SPZ王者の氷室が対決。普段はタッグを組んでいる両者だがまったく容赦はない。執拗な逆片エビ固めで優位に立った氷室が押し込む。試合中盤は力のこもるブレーンバスターの打ち合い。広島のファンは沸いた。

追い込まれたノエル白石、STO2連発で反撃するがそこまでで、最後はサソリ固め、スリーパーでフラフラになってしまった。直後のステップキックで3カウントを奪われ敗北。氷室が先輩の意地を見せた。

M上戸(4点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 16.14)L内田(0点)

―今日負けたらリーグ戦が終わってしまう。
初戦まさかの敗北を喫したラッキー内田、この日の相手も難敵マッキー上戸。タッグを組んでいるだけにこわさは十二分に分かっている。

しかしこの日もラッキー内田、精彩を欠くファイト。ヒザがかなり悪いようだ。懸命に抵抗するが、手負いで勝てるほどマッキー上戸は甘くない。スプラッシュマウンテンにカウント3を喫した。

「・・・・・・・甘くない、ですね・・・」
ラッキー内田これで開幕2連敗。優勝は絶望的となった。

武藤(4点、タイガーSH 17.34)R神威(2点)

広島大会のメインは天才対悪党。

「オルァアアアアアア、死ね、武藤ォォォォ」

奇襲を仕掛けたライラ。いきなり凶器入りヘッドバット2連発。しかし武藤動じずドロップキックで反撃。このあとはライラのパワーファイトと武藤の鋭い攻撃の応酬、しかし武藤が・・・
「覚悟して」
ムーンサルトプレス。なんとか2.5で返したライラ神威、カムイエクウチカウシで反撃。カウント2で返す武藤、試合は白熱した。やはりライラ神威、後輩の武藤めぐみがSPZ王者になって穏やかならぬ心境なのか。

―このクソバカ、調子に乗せるわけにはいかないい・・・

しかし引き出しの多さなら武藤、サソリ固めで弱らせて置いての新技タイガースープレックス。ライラ神威、腕のフックが解けずカウント3を聞いた。

武藤めぐみこれで何とか2勝目を挙げた。
「まあ、苦しかったけど、あんな小悪党、顔じゃありません。」

第21回SPZクライマックス、リーグ戦2戦を終えてマッキー上戸と武藤めぐみが4点でトップ。(続きます)

2008年3月 5日 (水)

第355回 21年目7月 武藤めぐみ×ジェナ・メガライト

21年目7月

シリーズ第7戦、幕張大会メインはSPZタッグ戦、

王者ジューシーペア(ラッキー内田&マッキー上戸)に挑むのは氷室紫月、ノエル白石のミステリアスコンビ。連係やタッグチームでの完成度ではジューシーペアのほうが上だが、ノエル白石も先シリーズ、マッキー上戸をシングルで破るなど進境著しいので油断ならない。氷室もこのチャンスにタッグ王座獲りを狙ってきて、試合は白熱した。

「ぐっ・・・」
氷室のチョークスレスレのスリーパーにマッキー上戸たじろぐ。しかしこれでマッキーが切れた。

スプラッシュマウンテン!

ハデにたたきつけられる氷室、しかし続くフォールはノエル白石がカット。このあたりから4人が入り乱れる乱戦。その中、冷静に氷室がラッキー内田を突き飛ばしてリング下に転落させ、その隙をついてマッキー上戸を肩車。

「ノエルさん!」

「・・・はい」

ダブルインパクト発動。不恰好ながらダイビングラリアットを食らって吹っ飛ぶマッキー上戸。カバーをノエルに指示し、氷室は場外から戻ろうとするラッキー内田を逆カット。
ワン、トゥ、スリー。

「42分33秒、ダブルインパクトからの片エビ固めで氷室紫月、ノエル白石組の勝ち」
「やっと・・・終わったの・・・?」
王座移動、氷室紫月、ノエル白石組がタッグ王者に輝いた。

*************************

最終戦は新日本ドーム大会。
セミ前はノエル白石、氷室紫月のタッグ新王者がローズヒューイット、ファントムローズ1号をあっさり下した。氷室のドラゴンスリーパーにファントムローズ1号悶絶。

セミファイナルはジュエルローゼスの3人(ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条、フレイア鏡)にジューシーペア、成瀬唯が6人タッグで激突。市ヶ谷様もまだまだ元気、マッキー上戸にラリアットを叩き込んでゆく。

「いてこましたる!」

ドームのセミに抜擢された成瀬もこのメンツの中で懸命にファイト。市ヶ谷にエルボーを叩き込む。これで市ヶ谷の動きが落ちて、あとをうけたジューシーペアの猛攻にさらされて、最後はダブルラリアットで3カウントを奪われてしまった。勝負タイム20分59秒。

***************************

メインはSPZ選手権、新王者武藤めぐみの対戦相手は「最強外人」ジェナ・メガライト。来月がSPZクライマックスなのでとりあえず強豪外人を当てておこうというマッチメイク。

メガライトさんはパワーはある。つかまらないようにしないと・・・

「さて、いきましょうか!」

その通りに四角いリングをうまく走り回って戦う武藤も天才。メガライトを追い込んでゆく。ベリートゥバックを食らってヒヤリとしたが、体勢を立て直してノーザンライトで投げきって、ジェナ・メガライトから3カウントを奪った。勝負タイム20分42秒。武藤が初防衛に成功。

「クッ、覚えてろ・・・」

メガライトが花道を引揚げた後、武藤めぐみがマイクアピール。来月行われるリーグ戦へ意気込みを口にした。

「次期シリーズ、SPZクライマックス、全部勝って優勝します。」

そこへ現れたビューティ市ヶ谷。前回まで5連覇しているツワモノである。エプロンサイドでマイクアピール。

「オーッホッホッホッホ!SPZクライマックスは私が優勝するものと決まっていますわ!」

しかし氷室紫月も本部席前にすっと現れてマイクを取った。昨年は優勝決定戦まで進出しながら市ヶ谷の壁に屈している。

「SPZクライマックス・・・優勝賞金は私のもの・・・これは運命・・・・」

マッキー上戸まで現れてアピール。

「体力勝負のリーグ戦はパワーファイターが有利だ。今年こそあたしが優勝するッ!」

新日本ドーム、にらみ合う元現前SPZ王者4人。そこへバックスクリーンをライラ神威がジャック。スピーカーから大音響でがなる。ドームの放送室かどこかを占拠してバックスクリーンでの映写を強要しているのか。

「おうおうおう、アフォかお前ら。リーグ戦の勝ち負け?んなのなんてどうでもいい。賞金?あんなはした金興味ねえよ。それから武藤めぐみ!お前だけには優勝させねえ!お前気にいらねえんだよ!他のやつらもタダですむと思うな!8月、楽しい血みどろパーティーだコノヤロー!!」

場内どよめき。ライラ神威ならやりかねない。しかし最後は武藤めぐみが締めた。

「誰が相手でも勝ちます。私はチャンピオンですから!」

2008年3月 4日 (火)

第354回 21年目7月 夏の山形大会

21年目7月
「サマースターナイツシリーズ」開幕。

「あばしりベルトは返上だ、SPZベルトを狙う」

ライラ神威、REKI組があばしりタッグ王座を返上。極悪大王ライラ神威がいよいよトップ獲りなのか?

*************************
7月シリーズ第3戦は山形大会。SPZ選手・関係者ご一行は前日の宿泊地、盛岡からバスで移動し、昼過ぎに山形入り。

まず軽く身体を動かし、そのあとスパーリングで調整。16時からは外国人選手がリングを使うので所属選手は客席隅でストレッチ。

「はい、1階指定席2枚ですね。1万円になります。ありがとうございます。」

会場入り口ロビーでは井上霧子が当日券の手売り。今野役員と上原今日子は宣伝カーでひとっ走り。アーッというまに当日券は売り切れた。

そして17時半、開場。きょうも超満員である。引き続き今野役員と井上霧子は売店で「増収」に励んだ。今シリーズからは新商品が投入された。

武藤めぐみ 「SPZチャンピオン戴冠記念Tシャツ」(3,000円)

ラッキー内田デザイン 「ラッキーマグカップ」(1,000円)

渡辺智美ニューシングル「北斗星1号」(1,000円)

ライラ神威セレクト 「北海道トムラウシ連峰の水」 (500ml入り 1,000円)

最後のはどう考えてもぼったくりだが、ごく一部のライラ神威ファンは喜んで買ってしまったらしい。

18時半、試合開始。

第1試合はイージス中森(20期)対新外国人のソフィア・リチャーズ。

アメリカ出身のお嬢様レスラーというふれこみだが、「人を殴れると聞いてプロレスデビューした」という経歴からしてネタ外人である。この日も2年目のイージス中森に軽くひねられてしまった。

第2試合は野村つばさ(18期)対コンバット斉藤(21期)。

新人のコンバット斉藤は「空手選手権で対戦相手に大怪我を負わせてしまい、試合や大会に出られなくなって空手の道を諦めプロレスに転向した不遇の戦士」というギミック。だから空手着の色も迷彩。この日は野村のすばやい動きに翻弄されて、打撃をヒットさせることが出来ず、7分55秒、アームホイップにフォール負け。

休憩前第3試合は成瀬唯(15期)対久々来日のパトリシア・ルイス。

「さーあ、うちの実力を見せたるわ~」

すきあらば脇固めを狙ってくるSPZ選手会長・成瀬唯、そうはさせじと殴るパトリシア。この試合は意外と盛り上がった。けっきょく両者ゆずらず30分ドローとなった。地方大会での30分時間切れにざわつく場内。

「ゼェ、ゼェ・・・あー、勝てんかった・・・」

荒い息をつきながら引き揚げる成瀬に大歓声が送られた。このあと休憩。

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「ヒャーハハハハハハハ!」

休憩後第4試合、ライラ神威&REKIの極悪コンビ登場。ライラ神威は例によってフレイルを振り回しながら入場。

対戦相手は中堅外人チームのジェニー・ビーチ&ファントムローズ1号。ライラ神威が例によって暴れまくる。実力微妙の外人チームはたじたじ。

「あー、つまんね、あと頼むわ」

ライラ神威はファントムローズ1号を場外乱闘に連れ込んで、殴り倒して

「おら、どけぇ!」

観客を立たせて、パイプイスをつかんで、倒れているファントムローズに次々に投げつけて投げつけてイスの下敷きにしてしまうという暴挙。

その頃リング上ではREKIがタイガードライバーでジェニーを仕留めた。悪のクノイチレスラー、REKIも着実に力をつけてきている。そして試合後はライラ神威のマイクアピール。

「おうおうおう、山形のくされSPZファンども、山形のくされSPZファンどもよ、お前ら武藤や内田なんかにキャーキャー言ってんじゃねえよ!来月のSPZクライマックス、真の地獄を見せてやるから見てろコノヤロウ。じゃあ、あばよ、これでも食らえ!」

ばしゃーっ!

「トムラウシ連峰の水」をぶん撒きながら退場するライラ神威だった。

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セミファイナルは6人タッグマッチ、ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条、フレイア鏡のジュエルローゼスが登場、一気に場内のボルテージが上がる。対戦相手は武藤めぐみ、氷室紫月、ノエル白石の3人。豪華な顔合わせ、そして内容も保証書つきの6人タッグ。山形のファンは沸きに沸いた。

―あんたなんか、まだチャンピオンの顔じゃない!

JRの実力者・ロイヤル北条がイレ込んで新SPZチャンプの武藤に頭突きをかます。しかしここで武藤が奮起。

「これがフィニッシュよ!」

市ヶ谷をシューティングスタープレスで追い込む。しかし市ヶ谷も最後の力をふりしぼってビューティボム。このあと6人が入り乱れる6人タッグらしいぐだぐだバトルが展開。全員がフラフラになりながらも自軍の勝利のため、懸命のファイトを見せる。

最後は、

「コノーッ!」
ロイヤル北条、意地のカカト落としが武藤の視界をブラックアウトさせ、

「鏡さん!」
「はい。」

フレイア鏡がDDTでトドメ。これで武藤めぐみから3カウントを奪って試合終了。ジュエルローゼスの武藤へのジェラシーが爆発した。勝負タイム26分25秒。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

JR3人の連係プレイに沈んでしまった武藤めぐみ、若手に両脇を抱えられながら引揚げた。場内大盛り上がり。

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メインイベントも6人タッグ。ラッキー内田、マッキー上戸、フォクシー真帆対ジェナ・メガライト、ローズ・ヒューイット、シンディー・ウォン。

―セミがかなりいい試合だったからやりづらいわね。

SPZの人気ナンバーワン選手・ラッキー内田が外人勢と相対する。

先発はフォクシー真帆とシンディーウオン。ちょっと手合わせしたあと早くもメガライト登場。いきなりのベリー・トゥ・バックでフォクシーを戦闘不能に追い込み2対3の状態を作り上げる。なんてクレバーな外人組。

こうなるといくらジューシーペアでも厳しいと思いきや、ジューシーペアもいつもどおりのコンビプレーで盛り返し、フィニッシュは突然に。

「ア、アウチ・・・」

ラッキー内田のコブラツイストが入ってしまい、わき腹でも痛めたのか、ローズ・ヒューイットがギブアップしてしまった。勝負タイム18分40秒。

場内最初はえええええの声だったが、すぐにラッキー内田への賞賛に変わった。

メインが終わったのが21時過ぎ、関係者がリングを撤収する中、選手は一足早くサロンバスに乗り込み、宿舎である山形市内のシティホテルへ。そのあと気の合う選手同士で連れ立って食事へ。明日は福島で試合なので、日付が変わる前にはみんな宿舎に帰って翌日に備える。

2008年3月 3日 (月)

第353回 武藤めぐみ、頂点へ

21年目6月 芝田美紀引退シリーズ

最終戦はさいたまドーム大会。
セミファイナルはJR4人によるタッグマッチ。B市ヶ谷、R北条対芝田美紀、フレイア鏡組。

「次の試合に出場する芝田美紀選手はこの試合が最後のファイトとなります、ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」

ドドドドドド!

まず花道をフレイア鏡、芝田美紀が入場。

そして対戦相手のビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条が入場。

試合はロイヤル北条がフレイア鏡の攻勢を正面から受けたこともあって長引いた。芝田もこれで最後なので市ヶ谷相手に掌底をばしばし打ち込んで行くが、

「・・・・・・・・・・・」

ビューティ市ヶ谷、万感の思いをこめて芝田にDDT、そしてパイルドライバー3連発。芝田これは返せなかった。

「19分14秒、パイルドライバーからの片エビ固めで、ビューティ市ヶ谷ロイヤル北条組の勝ち」

試合後、ジュエルローゼスの4人で手上げ。館内はものすごい拍手に包まれた。もうこの4人が揃うことはない。

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メインイベントはSPZ選手権。チャンピオンマッキー上戸対チャレンジャー武藤めぐみ。

マッキー上戸、今シリーズは絶不調。予選会リーグ戦で格下のノエル白石やライラ神威にまでシングルで負けるような状況。いつものようにパワーで攻めきれず、予選会も3位の滑り込み通過という情けなさ。

「まあ、やるしかねえよ。ハハハッ」

やはりマッキー上戸、自分のプロレスを崩しかけてる状況、武藤のすばやい動きについていけない。武藤めぐみも今回は獲れると感じたのか、自信満々のファイト。

ー獲れる、獲れるわ。
しかしマッキー上戸もヘッドバットで反撃。

「ターッ!」
武藤チョップ乱打、そしてボディスラム、ローリングソバット。マッキー上戸を確実に追い込んでゆく。

しかしマッキー上戸もDDT,フェイスクラッシャーと大技を繰り出し反撃。
「せっ!」
武藤DDTのお返し、そして逆片エビで痛めつける。何とかロープに逃げた上戸だったが意識は朦朧としていた。

「これでフィニッシュよ!」
武藤、すばやくコーナーに駆け上がってシューティングスタープレス。
「ワン、トゥ、スリー!」
上原レフェリーの手がマットを3つ叩く。
「25分21秒、シューティングスタープレスからの体固めで武藤めぐみの勝ち」

―勝った・・・・・

天才といわれながら、トップへの最後の壁をなかなか突き破れずにいた18期生の武藤めぐみ、チャンスをものにして第60代SPZ世界王者となった。

轟きわたる歓声。武藤めぐみの腰にSPZベルトが巻かれる。花道億でノエル白石は静かに見ていたが、1期上のライラ神威の心中は穏やかならぬものがあった。

ーやっぱアイツ気にいらねえ。どんな手を使ってでも潰す。

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そのあと、芝田美紀の引退式。私服姿に着替えた芝田がリングに上がって関係者各位から花束だの記念品だのを受け取るセレモニー。そして10カウントゴング。

「ほーっほっほっほっほ!ワタクシは伝説として皆さんの心に残りますわ!」

こうしてSPZを支えた名選手がまたひとりリングを去った。

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芝田美紀(SPZ12期)

2020年4月17日札幌キターアリーナ大会での菊池理宇戦でデビュー。2029年6月26日、さいたまドーム大会での対ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条戦(パートナーはフレイア鏡)で引退。稼動月数111ヶ月、出場試合数(概算)792試合

タイトル歴

第50代SPZ世界王者(防衛回数1回)

第27代SPZ世界タッグ王者(パートナーはフレイア鏡)

第31代SPZ世界タッグ王者(パートナーはロイヤル北条)

2008年3月 2日 (日)

第352回 ライラ神威7連勝

シリーズ第5戦は石川大会。

F真帆(2点、ニーリフトからの片エビ固め 10.42)REKI(0点)

荒々しい攻めを見せたフォクシー真帆がREKIを沈めてリーグ戦初勝利。
敗戦後1時間ほどしてネットの速報を知った長老からまた激励?の電話が。
「大門、いやREKIよ、これで5連敗ではないか、奈良田の里の誇りを見せろクドクドクドクドクドクドクドクド」

成瀬(2点、DDTからの片エビ固め 19.22)A中森(0点)

成瀬がイージス中森を何とか振り切って、遅ればせながらリーグ戦初白星を挙げた。

R神威(10点、カムイエクウチカウシからのエビ固め 15.41)N白石(8点)

予選会リーグ戦、3つの枠をめぐる争いはM上戸、ライラ神威、フレイア鏡、ノエル白石の4人に絞られた。そして4連勝同士のノエル白石とライラの直接対決。試合巧者のライラが優勢に展開。ノエル白石のSTO,ニーリフトをもらってぐらついたものの、
「相手が悪かったな!」
必殺カムイエクウチカウシ発動。これでノエルを眠らせた。

M上戸(10点、ジャーマンSH 13.44)F鏡(8点)

ーこの一戦に賭ける。
フレイア鏡、SPZ王者のマッキー上戸に本気で一発狙ってきた。スキあらば関節を狙ってくる。しかしマッキーも王者の意地、ジャーマンで戦闘力を奪う。2発目で確実に眠らせて3カウントを奪う。まさに横綱プロレス。

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第6戦、高岡テクニカルドーム大会。

F真帆(4点、ニーリフトからの片エビ固め 11.22)A中森(0点)

イージス中森、先輩方の厚い壁にはじき返され、6連敗。

REKI(2点、ローリングソバットからの片エビ固め 12.14)成瀬(2点)

「せっ」
REKIの急角度ミサイルキック、農鳥が成瀬の顔面を捕らえる。
成瀬パイルドライバー、REKIカウント2.9、ギリギリで返す。
REKIお返しのパイルドライバー、そして2度目の農鳥。成瀬2.8で返す。
そして、REKI,トドメのローリングソバット。これで成瀬から3カウントを奪った。

「・・・・・勝った・・・」
REKI、5期先輩の成瀬にシングル初勝利。老師からの電話はかかってこなかった。あとでわかった話だが長老連全員で祝い酒を飲んでいたらしい。

R神威(12点、トムラウシからの片エビ固め 13.34)F鏡(8点)

予選会突破のためには負けられないフレイア鏡、勝って予選会突破を確定したいライラ神威、試合は白熱した。それでもトムラウシを決めたライラ神威が勝利。SPZクライマックス本大会進出を決めた。

N白石(10点、STOからの片エビ固め 24.52)M上戸(10点)

意外にもノエルがマッキー上戸のパワーファイトに対応し、スクラップバスターやショルダータックルで手数を返してゆく。中盤ド迫力の頭突きの攻防は沸いた。よろめきながらも頭突きを返しあう両者にものすごい拍手が。

「石頭の決闘・・・」

「あんなプロレス、私には出来ないわ」

氷室紫月とラッキー内田があきれつつリング上の攻防を見やる。

ごす。

なんと頭突きの打ち合いを制したのはノエル白石。大きく吹っ飛ぶマッキー上戸。そこをのがさずSTO。

どん。

大外刈りの要領で押し倒す。

ワン、トゥ、スリー。

どええええええええ?
SPZ王者のマッキー上戸が19期のノエル白石に破れる波乱。勝負タイム24分52秒。もしこの試合にベルトがかかっていたら・・・・

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シリーズ第7戦は神戸大会。
REKI(4点、農鳥からの片エビ固め 12.48)A中森(0点)

20期の同期対決。お互い先輩の厚い壁に阻まれ本大会出場はならなかった両者だがキビキビとしたいい試合を展開。

―全敗だけは、したくない!

イージス中森、渾身のストレッチプラム。しかしREKIもギブアップしない。成瀬を破って自信がついてきているのか。そしてパイルドライバーで逆襲、すかさずコーナー最上段に上がり、

「農鳥」

高角度ミサイルキック一撃。これでイージス中森を沈めた。

F真帆(5点、時間切れ引き分け)成瀬(3点)

タッグパートナー同士の対戦。両者とも中堅どころの悲しさ、SPZクライマックス初出場の夢は今年も叶わなかった。このシングルマッチ、いままでも前座で組まれた際30分ドローになることが多かったのだが、今回も両者相譲らず時間切れドローとなった。フォクシー真帆は5点(5位)、成瀬は3点(7位)でリーグ戦を終えた。

N白石(12点、STOからの片エビ固め)F鏡(8点)

「ふー」
フレイア鏡、本大会出場の望みをつなぐにはノエル白石に勝たなくてはならない。

しかしノエル白石も昨日SPZ王者のマッキー上戸を破って自分のやってきたプロレスは間違っていないことを確信したのか、堂々とフレイアを攻めてゆく。ならばとフレイアも関節地獄に持ち込もうとするが、ノエルも頭はいいのかロープ近くで闘いリスク回避をきちんとやる。そしてエルボーの乱打で着実にダメージを与え、満を持してのSTO。

「私の・・・勝ち・・・なの・・」
この瞬間、8点に終わったフレイア鏡の予選会敗退が決定、マッキー上戸、ノエル白石の予選会通過が決定。

R神威(14点、背面トペからの体固め 12.18)M上戸(10点)

翌日にSPZ防衛戦(VS武藤めぐみ)を控えたマッキー上戸、小悪党なんぞには負けられないところ。しかしライラもまだSPZ王座には挑戦したことがないので一発狙ってくる。

「きぇへへへへへへ、死ねー、上戸!」

フェイスクラッシャーで弱らせておいて、レフェリーの死角をついて、シューズから鉄製の棒を取り出して凶器攻撃!マッキーの額をメッタ突き!
BOOOOOOOOOOOOO!

これで大ダメージを負ったマッキー上戸、
「うがああああ!」
鮮血を振りまきながら、強引にライラをロープに振るも、簡単に背面トペに切り返され、そのまま押しつぶされてまさかの3カウントを許した。

えええええええええええええええ!
BOOOOOOOOOOOOOO!
騒然とする館内。汚い手を使いながらも全勝で予選会通過を決めた1位ライラは笑いながら引き揚げた。これでまたSPZクライマックスが荒れる・・・

「物を投げないでください物を投げないでください」
投げ込まれるしめ鯖スライス。直撃してもライラまったく意に介せず。

「うう・・・」

血にまみれながらマットに倒れ伏すマッキー上戸、SPZ王者でありながら格下相手に2連敗。翌日のSPZタイトル戦に暗雲が漂った・・・

2008年3月 1日 (土)

第351回 21年目6月 SPZクライマックス予選会

21年目6月

「ウルトラソウルシリーズ」開幕。恒例のSPZクライマックス予選会。以下の8名がリーグ戦を行い、勝ち2点、引き分け1点、負け0点として、得点上位3名が本大会に出場できる。

マッキー上戸(16期:前回本大会6点)
ライラ神威(17期:前回本大会2点)
フレイア鏡(14期:前回本大会0点)
フォクシー真帆(14期)
成瀬唯(15期)
ノエル白石(19期)
REKI(20期)
イージス中森(20期)

SPZ王者のM上戸や極悪人のR神威も予選会スタートなので、若手中堅選手にとっては狭き門となった。

そして、
「ヒロインはいちばん輝いているときに引退するものですわ・・」

SPZ最古参、12期の芝田美紀が引退を表明。引退後はアメリカに移住して社交界デビューを果たすらしい。

*************************

さて予選会リーグ戦、第1戦山口周南大会。

N白石(2点、STOからの片エビ固め )F真帆

すっかり中堅どころとして定着したフォクシー真帆と伸び盛りのノエルの対決。去年はフォクシーが勝っているがこの1年で両者の力関係は逆転した。
「えっと・・・」
ノエル白石STOを乱発。これでフォクシーを沈めた。今のノエルなら本大会出場権を得る3位までにに食い込む実力はある。

F鏡(2点、アキレス腱固め 22.09)成瀬

「今年が最後のチャンスや」

成瀬唯、そう言ってリングに向った。デビューしてもう6年になるのにSPZクライマックスには出たことがない。気がつけば後輩のライラや武藤にまで先を越された・・しかしその気負いがスキになってしまった。

「あああああ!」
フレイア鏡、一瞬のアキレス腱固め。ものすごい痛みが成瀬を襲う。

「・・・あかん。降参や」

成瀬、22分の奮戦むなしく黒星発進。

R神威(2点、バックドロップからの片エビ固め 9.29)A中森

17期で極悪大王のライラ、20期で期待の新鋭イージス中森のおそらくシングル初対決。
「あー、たりぃ」
ライラ神威、終始余裕を見せ手イージス中森を撃破。

M上戸(2点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 5.31)REKI

「アー、今日からシングル8連戦か・・・」
SPZ王者が予選会リーグ戦に出る。去年の本大会の成績が6点だったのでこんな目にあう。でも今日の相手は格下のREKI。
「とっとと終わらせて帰るか・・」
有言実行、REKIをわずか5分で退けた。

山口大会メインはジュエルローゼスの3人が登場、B市ヶ谷、R北条、芝田美紀に対するはメガライト、ローズヒューイット、ファントムローズ1号の強力外人トリオ。ジュエルローゼスも長年の連携で外人組といい勝負を展開したが、メガライトが怖い。ましてJRの市ヶ谷様も往年の力はなく、ファントムローズ1号にまで攻め込まれる始末。最後は芝田がメガライトとファントムローズ1号のダブルインパクトを食らってついに力尽きた。勝負タイム36分26秒。

メインの試合後、外人組にたたきのめされてリングに横たわるJRの3人。ひとつの時代の終わりを象徴していた。

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第2戦島根大会。予選会リーグは続く。

N白石(4点、STOからの片エビ固め 7.37)成瀬(0点)

―今日負けたら、うちの夏が、終わってまう・・・
成瀬、本大会進出のデッドラインは3敗と見ていた。マッキー上戸にはまず勝てないと見ていたのでここはなんとしても負けられない。
しかしノエルの強烈なSTOを早々と3発食らってジエンド。

・・・あー、ウチはヘボやな・・・

F鏡(4点、ジャンピングニーからの片エビ固め 14.57)A中森(0点)

―きょうは計算できるわね。

フレイア鏡、余裕を持って闘い、イージス中森を脇固めで悲鳴を上げさせまくる。そしてイージス中森が非力になったところを強烈なジャンピングニーで仕留めた。

R神威(4点、トムラウシからの片エビ固め 4.36)REKI(0点)

タッグパートナー同士の対決。
「まあ、テキトウにこいや」
ライラ神威、余裕の表情で入場。
しかし試合が始まるや、ライラ神威がヘッドバットヘッドバット裏投げトムラウシの猛攻。これでカウント3を奪った。

「弱すぎだ、話にならねえ!」
ライラ、若いタッグパートナーにSPZの厳しさを教え込んだ。

M上戸(4点、ジャーマンSH 11.37)F真帆(0点)

「手加減はしねえぜ」
マッキー上戸、フォクシー真帆をまったく問題にせず真正面からたたきつぶした。まさに横綱プロレス。

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第3戦鳥取大会。大舞台を目指すものたちのリーグ戦は続く。

N白石(6点、STOからの片エビ固め 8.14)A中森(0点)

ノエル白石3連勝。この日は後輩のイージスを粉砕。

F鏡(6点、STF 6.33)REKI(0点)

REKIいいところなくフレイア鏡の関節攻勢の前に沈む。

「大門、いやREKIよ、なんと言うざまだ、負けてばかりではないか、キサマそれでも奈良田の里の忍びか。恥を知れ!」

長老から日々かかってくる激励?の電話もREKI、ただ沈黙するばかりであった。

R神威(6点、エルボーからの片エビ固め 14.12)F真帆(0点)

ライラ神威も危なげなくフォクシーを沈めた。これでライラも3連勝。

M上戸(6点、ジャーマンSH 8.12)成瀬(0点)

「あー、シングルの連戦はつかれるぜぇ・・・」
SPZ王者のマッキー上戸、この日は成瀬を軽く一蹴。
「絶対本大会で優勝してやる。」

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第4戦は福井大会。
N白石(8点、バックドロップからの片エビ固め 4.20)REKI(0点)

「大門、いやREKIよ、キサマ分かっているのか、われら奈良田の里の忍びはそれはそれは奈良時代から続く日本最古で由緒ある忍びなのだぞ、なのにキサマの今日の負け方は何だ、5分足らずで負けるとは忍びの風上にも置けん、クドクドクドクドクドクド」

日々かかってくる長老からの激励?の電話に返す言葉もないREKI。

F鏡(8点、脇固め 26.03)F真帆(0点)

14期生の同期対決。フォクシーの力技に手こずるフレイア。関節地獄に引きずり込もうにも殴られて手数を返されてしまう、だが、25分過ぎ、勝負は一瞬で決まった。脇固めが入ってしまった。フォクシーたまらずタップ。フレイア鏡もこれで4連勝。

R神威(8点、トムラウシからの片エビ固め 10.58)成瀬(0点)

「いてこましたる!」
成瀬、懸命にグラウンドの展開に持ち込んでペースを握ろうとするが、ライラ神威のトムラウシの前に涙をのんだ・・・

M上戸(8点、片エビ固め 7.15)A中森(0点)

「ちょっとトイレいってくる」
今野役員がゴングをたたいた後、村越リングアナに伝えて後用足しに出た、戻ってくる頃試合は終わっていた。

福井大会メインはB市ヶ谷、R北条、芝田のJRトリオがラッキー内田、氷室紫月、武藤めぐみの3人を迎え撃つ。しかしっ芝田がハイスパートの闘いについていけなくなり、最後は武藤のノーザンライトに敗れ去った。勝負タイム20分29秒。

予選会リーグ戦、3つのイスをめぐる争い、第4戦を終えた時点でライラ神威、フレイア鏡、ノエル白石、マッキー上戸の4人が4連勝。まったく譲らない。

(長くなるので続きます)

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