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2008年6月30日 (月)

第443回 旅の終りはタッグリーグ(2)

24年目11月

第24回SPZタッグリーグ・マッキー上戸引退シリーズ・成瀬唯引退シリーズ

第5戦は宇都宮大会。何かが起こるSPZの宇都宮。

N白石、かみすわ(3点、時間切れ引き分け)A中森、成瀬(3点)

ノエル白石とA中森がが力のこもった攻防。受けまくって息切れしたA中森、15期生の最古参成瀬にスイッチ。ああこれで終わりかと思われたが、

ー残りよっつ、燃え尽きるまで・・・やる!

成瀬も残り4戦、懸命に耐える。かみすわの攻めを受けきってA中森に再スイッチ。そのまま両チーム決め手を欠きドローとなった。

「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・・川端はん(カミスワの中の人)もかっちりとやってきますなぁ・・・・・」

試合後の成瀬、控室でぶっ倒れた・・・

ローズ○、Wローズ2号(2点、合体パワーボムからのエビ固め 12.57)M千秋、S千春×(0点)

悪役姉妹が思いのほかアグレッシブに攻めたため盛り上がった。しかしセイレーン千春が最後に捕まってしまい終了。初白星は遠い・・・・・

Jメガライト○、M上戸(6点 ベリー・トゥ・バック 19.57)C斉藤、N神威×(4点)

最強外人のメガライトにも臆せずニーリフトを叩き込んでゆくコンバット斉藤。

メガライト様、打撃に手こずったのかいったんマッキーにスイッチ。そこを逃さずジェットスマッシュ!大きく吹っ飛ぶマッキー上戸。
しかしこれでマッキー上戸も本気になった

「アタシは、マッキー上戸だー!!」

組み付いて思い切り抱え上げて、スプラッシュマウンテン、大技の乱れ飛ぶ展開に場内拍手。そしてマッキー上戸、頭を押さえながらなんとかメガライトにタッチ。コンバット斉藤も大ダメージを負ったので、ナイトメア神威にタッチ。

しかしメガライトも気合が入ったのか、出てきたナイトメア神威に

「これで終わりにしてやる!」
戦慄のベリー・トゥ・バック。未体験の衝撃、ナイトメア神威返せず試合終了。

2人が引き揚げてもリング上でダウンしたまま動けないナイトメア神威に場内ざわつく。SPZの宇都宮では何かが起こる。とうぜん担架で運ばれた。

R神威○、REKI(8点、カムイエクウチカウシからのエビ固め  22.35)武藤、Jビーチ×(6点)

「武藤のアホさえつぶせばあとはなんとかなる!コロす気でいくぞう!」

武藤めぐみに一方ならぬ恨みを持つ、ライラ神威が吠える。
「・・・・・・・・」
パートナーのREKIが奮闘し、場外STOで武藤を追い込む。

しかし代わって出てきたJビーチがシャイニングウィザード、試合の行方は混沌としてきた・・が、ライラ神威がなんとかカムイエクウチカウシを決めてJビーチを沈めた。

「ケッ、根性なし外人め、あのあと武藤のアホをリンチしてやるつもりだったのによ」

DFのライラ神威・REKI組、予想外の4連勝。このまま突っ走ってしまうのか?

********************************

第6戦は群馬大会
ローズ○、Wローズ2号(4点、パワーボムからのエビ固め 23.17)N白石×、かみすわ(3点)

ケンドーかみすわ、カナダ遠征でレスリングをきっちり勉強してきており、基礎ができているが、現地ではヒールで鳴らしていただけあってこれはという大技がない。ならばとノエル白石がラッシュをかけるが、相手も世界の一流選手、白熱した攻防の末、

「散リナサイ」
ヒューイットお嬢様のパワーボムで逆転負け。

C斉藤、N神威○(6点、地獄落としからの片エビ固め 20.54)R神威×、REKI(8点)

群馬大会でまず見られないDF同門対決が実現。

「こんなクソ寒い田舎でクソ真面目にDF対決するのもな・・・ん・・・まあ、斉藤くん、適当にこいや、相手してやっから」

ライラ神威がいかにもやる気ない表情で相対する。

ブウンッ!
しかしコンバット斉藤がいつも以上の掌底。恩人でも、いや恩人だからこその攻めか。これでライラ神威も闘志に火がついた。

「おもしれえ、ボッコボコにしてやんよ」

4人が暴れまわるいい勝負となった。最後はなんと23期生のナイトメア神威がパワーボムから地獄落としとつないで大先輩、ライラ神威から3カウント奪取。ライラ組の連勝が止まった。

Jメガライト○、M上戸(8点、フェイスクラッシャーからの片エビ固め 15.35)A中森、成瀬×(3点)

メガライトのパワーにイージス中森なすすべなし。

「よ、よーし、ウチがし、しばいたるから・・・・」

代わって出てきた成瀬ではもっとどうにもならない。果敢に組み付くが、首根っこを捕まえられる。上から押し付けられる圧力。そのまま猫づかみの要領で軽々と持ち上げられ、
「捕らえタ」
フェイスクラッシャー。成瀬顔面を強打。これで悶絶した成瀬、3カウント献上・・・

武藤、Jビーチ○(8点、合体パワーボムからのエビ固め 11.51)M千秋、S千春×(0点)

やる前から結果は見えていた。武藤が鳥取愚連隊悪役姉妹を余裕でさばく。マーメイド千秋のバックドロップを受けた上でシューティンスタープレス、これはセイレーン千春がカットしたが、Jビーチを呼び込んでの合体パワーボムで終了。まさに横綱プロレスであった。

残り2戦の段階で、ライラ組、武藤組、メガライト組が1敗で並んでトップを走る展開。

************************

第7戦は幕張大会、タッグリーグも大詰め。

ローズ、Wローズ2号○(6点、パワースラムからの片エビ固め 15.52)C斉藤×、N神威(6点)

「同じ技でも私が使えばソレはアート!」

ヒューイットお嬢様がバスターローズ。これでコンバット斉藤が動けなくなった。すかさずワイルドローズ2号が出てきてとどめのパワースラム。SPZ王者がヒューイット一家の波状攻撃にやられてしまった。

Jメガライト、M上戸○(10点、フェイスクラッシャーからの片エビ固め 10.47)M千秋×、S千春(0点)

メガライト組、ここへきてのボーナスステージ。まず負けることはない組み合わせ。

「オラーーー」
マッキー上戸もジャーマンを繰り出すなどハッスル。まだ優勝の可能性を残しているので燃えている。対戦相手の悪役姉妹がいかにかき回そうが、岩のようなマッキーの身体には通じない。
「そら、終わりだ!」
同郷の後輩、マーメイド千秋をフェイスクラッシャーで屠った。

「こうなったらスケベ心ってもんが出てくるぜ、明日勝って、賞金で引退パーティーを「よこ川」でやっちゃるぜーーー」

意外とコンビネーションもいい。言葉が通じなくても、お互い気兼ねなく暴れまわっているのが相手チームにとって脅威。

R神威、REKI(9点、時間切れ引き分け)N白石、かみすわ(4点)

「・・・・」
REKIのタックル、ハデに吹っ飛ぶがカミスワ、受け身はしっかり取っている。逆にスリーパーや脇固めで反撃。

「ったく、ちまちました試合しやがって!」

ライラ神威、カミスワののらりくらり戦法にイラついていった。そこに隙が生まれた。

「お客さんが必殺技やれって」
ノエル白石STO,そしてサンドイッチラリアット、もう一発STO,

「白石、てめぇ覚えてろ・・・・」

破壊大王ライラをグロッキーに追い込む。ならばとREKIが出てくるが、ケンドーかみすわがねちねちとした試合運び。試合は長引いたが、

「消えろ」

REKI農鳥、なんとかカウント2.8で返したカミスワだったがもう限界、ノエル白石にタッチするやリング下でうずくまってしまった。

そしてノエル白石とREKIが一騎打ち状態。ヘッドバットで押し込んだが、ここでライラ神威が勝負をつけに出てくる。しかしかなり疲れているのか、ノエル白石にとらえられて、

「んと・・・」

ノエル白石3度目のSTO,ライラも目がうつろだが、続くパワーボム狙いをウラカンラナになんとか切りかえした。

「ワン、トゥ・・・」
カウント3ギリギリでキックアウトするノエル白石。ここでタイムアップのゴングが鳴った。

「・・・・・」
試合が終わるや4人とも大の字。ライラ神威の試合で珍しく賞賛の拍手。しかしライラ組、ここへ来て痛い失点1。優勝の可能性が大きく遠のいた。

「ゼェ、ゼェ・・・・・・・うるせえうるせえうるせえ!優勝なんかどうだっていいんだよオラ、エーあたしがSPZ永久チャンピオンなんだ。60万のはした金なんかなんとも思わねえぜ・・・ハァッ、ハァッ・・・・」

疲れきっていてもコメントを出すライラ神威。レスラーの鑑だ。

武藤○、Jビーチ(10点、ノーザンライトSH 18.29)A中森、成瀬×(3点)

「最後の、メインイベントやな・・・」

SPZ15期生でSPZ選手会長・成瀬唯、コスチュームに着替えてリングシューズを履いて、ファンから寄贈された「黒部峡谷」Tシャツを羽織る。相手は武藤めぐみ、彼女の強さは先輩として、元パートナーとして百も承知している。

「ほな、行こかーーー」

イージス中森のテーマ曲「you give・・・」に乗って入場。場内ものすごい「会長」コール。観客にども、ども、と手を振りながら、リングに上がってトップロープを飛び越えて、右手を上げる。この9年半ずっと続けている彼女なりの流儀。

「青コーナー、大阪府箕面市出身、なるーせー、ゆーいー!!」

対戦相手の武藤めぐみ、さすがに神妙な表情で見ていた。いろいろと面倒を見てくれた先輩。若手の頃、壁を作る性格だったので先輩レスラー達からは「なんだあいつ?」といわれていたが、「いや、根はいいやつやで」と云ってくれた人。

コールのあといつものようにイージス中森が先発を買って出る。成瀬の体調を考えると、若いイージス中森が行けるところまで行くしかない。

「なんかあったら、お願いします」

そして、ゴング。

武藤がイージス中森をじわじわ追い詰める。A中森苦し紛れに成瀬にタッチ。ああこりゃ終わるなという雰囲気。

しかし成瀬も最後の武藤との対決、ジャンピングニー狙いを読んで、背面トペで切り返すなど沸かせる。しかし・・・

「覚悟して」
武藤のノーザンライトスープレックス、これはカットに救われた。ここでJビーチが飛び出してA中森を捕まえて乱闘を仕掛ける。

ー武藤はん、ただでは、やられへんでぇ。

成瀬唯、そのあとも武藤にストレッチプラムを仕掛けるなど大いに健闘したが最後は2度目のノーザンライトスープレックスに力尽きた・・・

試合後の成瀬唯の表情は実にさっぱりとしていた。

「やっぱり武藤選手は凄い。もうおなかいっぱい・・です。明日は最後なんで・・・レスリングを楽しみたいと思います。」

第24回SPZタッグリーグ。残り1戦で、10点でメガライト組みと武藤組が並ぶ展開。優勝争いは横スペのリングへ持ち越された・・・・

2008年6月29日 (日)

第442回 旅の終りはタッグリーグ(1)

24年目11月、SPZの激震は止まらない。15期生の成瀬唯、16期生のマッキー上戸が相次いで引退を表明。

「もう、あかんと思います・・・・」

15期生の成瀬唯、細身の身体で9年7ヶ月の長きにわたり(伊達遥の9年9ヶ月に続く歴代2位)懸命にリングを務めてきたが、全身ガタガタで医者からはストップがかかったらしい。本人は収入がいいので、まだもう少し続けたかったようだが、実家や後援者の中にもそろそろ引き時ではと、第二の人生への転身を勧める人もいたので、決断したらしい。

「すまねえ・・・」

同期の氷室紫月、ラッキー内田が次々に辞めて、マッキー上戸もここ数ヶ月、引き際を真剣に考えていたらしい。ここ数年はずっと後半の試合で戦ってきたので、その分身体の消耗も早かった。

「うっあー」
今野役員と井上霧子は頭を抱えるしかなかった。

11月シリーズはSPZタッグリーグ戦。チーム分けは下記の通り。

武藤めぐみ&Jビーチ(SPZタッグチャンピオン)

ライラ神威&REKI(前SPZタッグ王者)

コンバット斉藤&ナイトメア神威(DFその2)

セイレーン千春&マーメイド千秋(鳥取愚連隊)

イージス中森&成瀬唯(SPZ本隊)

ノエル白石&ケンドーかみすわ(ネオ・ミステリアス)

ジェナ・メガライト&マッキー上戸(ドリームタッグ)

ローズ・ヒューイット&ワイルドローズ2号(GWA代表)

2戦目の盛岡大会からリーグ戦がスタート。

A中森○、成瀬(2点、ジャンピングニーからの片エビ固め 10.0)M千秋、S千春×

タッグリーグに出す価値があるのか、白星配給係ではないかといわれた鳥取愚連隊。やはりイージス中森が手堅い試合運びで2人を叩きのめしてしまった。成瀬唯、カットプレー以外の出番なし。控えてるだけで終わった。

「あっはははは、ま、あんなんウチが出るまでも無いわな・・・はぁ。」

R神威○、REKI(2点、合体パワーボムからのエビ固め 23.57)ローズ×、Wローズ2号

前タッグ王者組がヒューイット一家と激突。しかしREKIがつかまってしまう。懸命にこらえて悪の親玉ライラ神威にタッチ。何とかローズ・ヒューイットを捕まえて合体パワーボムで始末。23分の激闘を制した。

「優勝?考えてねえよ!賞金60万しか出ねえしょぼいリーグ戦なんだぜ!」

メガライト○、M上戸(2点、合体パイルドライバーからの片エビ固め 18.39)N白石×、かみすわ

マッキー上戸はなんと最強外人のメガライトとのコンビで出陣。

「最後にでかいことをやりたい。メガライトとタッグを組む」

「オモシロイ。賞金ハ山分ケダ」

ノエル白石のパートナーとして凱旋帰国したケンドーかみすわ、硬さの残るファイト。線が細いのでメガライトに太刀打ちできない。存在感を残せないままノエル白石にタッチ。

「う・・・ん」
ノエル白石が奮闘したが、メガライトの投げ技攻勢に追い込まれていく。最後は合体パイル2連発でノエル白石が沈んでしまった。

武藤○、Jビーチ(2点、ノーザンライトSH 14.45)C斉藤、N神威×

武藤、今年はタッグベルトを持っているのでパートナーはJビーチとなった。今日はベルトを奪われた因縁の相手コンバット斉藤と対決。しかしコンバット斉藤、負傷欠場明けのためか動きにキレがない。

ー今までは王者としてあなたの攻めを受けていた。でもこれからは、一レスラーとしてあなたを潰す。

復しゅうに燃える武藤にあっという間に追い込まれる。

「ヒャー、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ・・・・」

ならばとナイトメア神威が登場、ライラとの差別化はより狂気度がアップしているところらしい。しかし武藤にかなうはずもなくノーザンで敗北。タッグ王者組みが白星発進。

3戦目は山形大会。

C斉藤○、N神威(2点、デスバレーからの片エビ固め 7.26)M千秋、S千春×(0点)
コンバット斉藤が7分で悪役姉妹を蹴散らした。

R神威、REKI○(4点、STOからの片エビ固め22.11)A中森、成瀬×(2点)

ライラ神威とイージス中森が意外にかみ合った攻防。パワーと技術が真正面からぶつかり合った。先に息が切れたのはイージス中森、こうなっては成瀬が出てくるしかない。

「おら、REKI、やってまえ!相手はポンコツだ」

「ポンコツ云うな!!」

こうなってはDFの思う壺。REKIがあっさりと成瀬を料理した。

Jメガライト、M上戸○(4点、ダイビングプレスからの体固め 14.03)ローズ×、wローズ2号(0点)

メガライト様強い。ヒューイット家の2人を向こうに回して大暴れ。そしてマッキー上戸もドサクサにまぎれて暴れる。

「いっちゃうよ、バカヤロー」
ボロボロになったヒューイットへスプラッシュマウンテン。これはカットに阻まれたが、つづくダイビングプレスでフォール勝ち。

「もう失うものは何もない。横スペまで暴れまくってやるぜぇーーー」

武藤、Jビーチ○(4点、ダブルインパクトからの片エビ固め 15.22)N白石×、かみすわ(0点)

武藤強い、凱旋帰国のかみすわを子供扱い。ならばとノエル白石が前面に出るが、勢いに乗った武藤は止まらない。

「ユダンタイテキー!」
最後はJビーチが登場して、合体技ダブルインパクト!これでN白石を沈めた。

「キャッホー!あたし勝ったのね!」

第4戦は茨城カシマ大会。

C斉藤○、N神威(4点 合体パワーボムからのエビ固め15.34)A中森×、成瀬(2点)

イージス中森、責任感が強いのはいいが、パートナーが実力微妙だからといって出ずっぱりになってしまう。結局コンバット斉藤に捕まってしまってフォール負け・・・

N白石○、かみすわ(2点、裏拳からの片エビ固め 11.22)M千秋、S千春×(0点)

カミスワがうまくつないで、静かな暴君・ノエルが裏拳をズバリ。悪党コンビを手堅くしとめた。

R神威○、REKI(6点、合体パワーボムからのエビ固め 23.29)Jメガライト、M上戸×(4点)

「上戸のクソバカ、最後に外人に魂売りやがって」

悪態をつくライラだが、メガライトにボコボコにされてしまう。マッキーも好フォロー。しかし気を良くしたマッキー上戸、対戦相手のREKIがおもしろいようにやられるのを見てツイ闘いに入れ込んでしまって引きどころを誤るパターンに陥る。深追いしすぎて合体攻撃で逆襲されて上戸さんフォール負け。ライラ神威が吼える。

「やっぱりあいつは単細胞だあ!内田が居ねえと何もできねえ!」

武藤○、Jビーチ(6点、シューティングスタープレス 14.09)ローズ×、Wローズ2号(0点)

まだ勝ち星のないヒューイット一家、ビーチに狙いを定め猛攻を仕掛けるがJビーチも実力者、きっちり受けきって武藤につなぐ。あとは武藤がいつものハイスパートプロレス。
「悪く思わないでね」
久々に決めたシューティンスタープレス。これで3連勝。

第24回SPZタッグリーグ、リーグ戦を3つ消化して全勝はタッグ王者の武藤めぐみ・Jビーチ組と、何をしでかすか分からないライラ神威、REKI組。

***********************

「これを履くのも、あと4日・・・やな。」

成瀬唯、リングシューズの紐を解きながらボソッと。長かった旅の終わりが近づいている。

2008年6月28日 (土)

第441回 24年目10月 逆襲の開始

(24年目9月シリーズ最終戦終了後、23:30 東京都立川市の高級焼き肉店「アグライア」で)

「ほんじゃあ、斉藤ちゃんのSPZ王座奪取を祝って~~」

「乾杯!」

コンバット斉藤(18)のSPZ王座奪取を祝って、悪の軍団「DarkFraction」の3人プラス今野役員、若林記者、井上霧子の6人が祝勝会を開いた。主賓のコンバット斉藤だけが未成年であるため、オレンジジュース。他全員がビールで乾杯という異様な祝勝会。ライラ神威、リング外なので素顔の島宮さんに戻って、笑顔でビールをすすった。

「いやあ、初めて会ったときからこいつは化けると思うとったんだ、ハハハハハ」

「ようやっと武藤さんの一人勝ち時代が終わりましたか。営業的には大きいですよ」

今野役員も安堵。今年に入って武藤めぐみからシングルで3勝。これはもうフロックではない。

しかし当のコンバット斉藤は浮かぬ顔をしていた。右足には分厚いテーピングが施されている。

「どうしたの、斉藤ちゃん」

「やっちゃったかも、しれないです・・・・」

****************************

いっぽうそのころ、横浜戸塚のガード下の焼き鳥屋。

「完敗だわ・・・・」

武藤めぐみ(22)、絆創膏を貼られて痛々しい表情。成瀬唯(24)とやけ酒を飲んでいた。レモンサワーをごきゅごきゅと飲む。

「まあ、まだ次が必ずあっから、そのとき逆さ吊りにしてシバキあげればええねん」

しかし、コンバット斉藤のジェットスマッシュを食らって意識が遠のいた記憶が武藤の脳裏をよぎる。武藤にとって「もらったらやばい技」というのは天下を取ってからはメガライトのベリートゥバックくらいだった。

「・・・・・・・・・・」

「ああもう、飲んで忘れようや、今日わーーー」

その夜二人は前後不覚になるまで飲んだらしい・・・

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続く10月シリーズ、SPZ新王者コンバット斉藤は右足負傷で欠場となった。武藤を蹴ったときに力がへんなふうに入って足を痛めたらしい。

ナイトメア神威も肩の負傷で欠場となって、10月シリーズは日本人選手10名、外国人選手6名というスモールサーキットとなってしまった。

第7戦富山高岡大会、メインイベントはあばしりタッグ戦。王者ハムルシアター、パトリシアルイスに挑むのは、はぐれ狼姉妹・セイレーン千春&マーメイド千秋。前月シリーズ最終戦のさいたまの同一カードでいい勝負だったので、ベルトを賭けての再戦となった。

がー

パトリシアルイスの豪快なラリアット。これでマーメイド千秋は大ダメージ。あとをセイレーン千春に託さざるを得なくなった。ノリノリのパト様、ラリアットをセイレーン千春にかましてハムルシアターを呼び込み、合体パイルドライバーで終了。悪役姉妹今日も負けた。勝負タイム19分46秒。王者組みが防衛に成功。

************************

最終戦は新日本ドーム大会。

薄いカードなのだが営業努力の甲斐あって何とか超満員となった。胸をなでおろす今野役員。

第1試合は成瀬唯対セイレーン千春。団体最古参の成瀬がうまくセイレーンの勢いをかわしながら攻める。脇固めできりきり舞いさせるが、一気に持っていく力がない。しかし長期戦にもつれこみ、セイレーン千春の息が上がってしまった・・・

「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・」

「も、もろうた!」

棒立ちとなったセイレーン千春。タイミングよく成瀬が突き倒して足を取って、逆片エビが入って、ギブアップを奪った。第1試合から27分10秒の激戦。

第2試合はマーメイド千秋対ジーナデュラム。弱さが売りのジーナデュラム。この日はマーメイド千秋に一方的に攻められてフィッシャーマンバスターに敗北。勝負タイム6分5秒。

「ハハハハハハ、弱すぎだよ、お前」

第3試合は実力派外人同士の対戦。パトリシア・ルイス対ハムル・シアター。あばしりタッグの王者同士がシングル対決。どんな展開となるか、序盤は静かな展開、しかし、

がすっ!

ハムルがあっさりパトリシアをハイキックで撃破、この一発でパトリシアは眠ってしまった。これも6分17秒の短時間決着。その試合が終わると休憩。

休憩明け第4試合、早くも「SPZ永久チャンピオン(自称)」ライラ神威様とREKIが登場。対戦相手はマッキー上戸&野村つばさ。このへんが苦しいマッチメイク。

マッキー上戸、動きがだいぶ落ちているので、いい流れを作れず、あっさり野村つばさにタッチ。そのあとは残酷ショーとなった。

「い、いやあああ・・・」

「オラオラどうした、この三下!」

ライラ神威が殴る蹴る。野村なにもできずマッキーに再タッチ。しかしマッキーも試合の流れを変えられない。

「あーつまんね。REKI、あと頼む」

後始末をREKIに任せたライラ。その足で野村つばさを場外乱闘に引きずり込む。この人は相手を場外に釘付けにする名人でもある。この日も客席になだれ込んでアイドルレスラー野村を痛めつける。

その頃リング上ではREKIがコーナー最上段に上って、

「決める」

農鳥であっさりと3カウント。勝負タイム11分0秒。

セミファイナルはノエル白石対イージス中森。次期SPZ挑戦権のことを考えるとお互い負けられない。しかしイージス中森が燃えていた。SPZ女王戴冠を後輩のコンバット斉藤に先を越されて期するものがあったか、
15分過ぎにすうっと入ったコブラツイストであっけなくギブアップを奪った。これでSPZベルト挑戦に名乗りを上げた。

メインイベントはSPZタッグ戦、王者チーム 武藤めぐみ、ジェニービーチに対するはローズ・ヒューイット、ワイルドローズ2号。即席タッグに対するは鉄の連係。まったく展開の読めないカード。
しかし試合は武藤がひとりで戦って相手二人をズタズタにしてしまう。フィニッシュこそビーチの顔を立てて合体パイルだったが、そこまでは武藤の独壇場。17分45秒をひとりで闘いきった。これで防衛に成功。

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SPZ世界タッグ選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ○、ジェニービーチ(17分45秒、合体パイルドライバーからの片エビ固め)ローズヒューイット、Wローズ2号×

王者組が初防衛に成功

*****************************

試合後、武藤めぐみが珍しくマイクアピール。

「近いうち、必ず、コンバット斉藤を、潰す!」

蹴りつぶされて、久々に怖い武藤めぐみが出てきたのか。今までのような相手の攻勢を受けて立つ王者ではなくなった分、恐ろしい。再戦の日、そのときこそ真の戦いと、そして地獄なのか・・・・

2008年6月27日 (金)

第440回 所沢決闘

最終戦さいたまドーム大会。

「所沢決闘 SPZ世界選手権 チャンピオン 武藤めぐみ 対 チャレンジャー コンバット斉藤」

の大看板が掲げられた。

14:00、コンバット斉藤が会場入り。横浜の寮からライラ神威の運転するパルサーに乗って、決戦の地、さいたまドームへ向かう。

ライラ神威、パルサーのハンドルを握りながら呟く。

「ふっふっふっ、まあ楽しんでこいや。一度目の挑戦だろ。たとえ取れなくてもお客さんは喜んでくれるべ。二度目からはそうも行かんけど」

コンバット斉藤、SPZ女王の座のベルトに挑むのはこれが初めて。4月に七番勝負で武藤めぐみにはじめて勝ったときは、「まぐれ」と会社上層部に判断されて、翌々月の6月のさいたまドームでリマッチのノンタイトル戦が組まれて、そのときは武藤に圧殺された。

しかし8月のSPZクライマックス本割りでジェットスマッシュからのデスバレーでコンバット斉藤が勝ってしまい、しかもそのままSクラを制覇してしまったのだから、いかにSPZ上層部といえども今度ばかりはタイトル戦を組むしかなかった。

(万が一斉藤が勝っちゃったら、DFも位置づけが変わるかもな・・・・)

ライラ神威は車を走らせた。

15時20分、武藤めぐみが会場入り。戸塚の社宅アパートの自宅から、成瀬唯の運転するヴィッツで会場入り。

「ま、武藤はんがどうにかなっても乗せて帰ってやるさかい、きばってやりいや。」

「・・・縁起でもない事言わないでください」

16:15

武藤めぐみ、陽が傾いた西武第二球場の外野を黙々と走りこんで調整。レフト線からライト線までを黙々と往復。そのあと芝生の上で成瀬唯とストレッチ。

ー蹴りさえもらわなければ、勝てる相手。

でも闘いに100%はないと言うことは武藤めぐみ、よくわかっている。あのジェットスマッシュは脅威だ。成瀬も心配な表情。

「しっかりしいや!」

「・・・わかってるわよ」

16:30

コンバット斉藤はさいたまドームのリング上で受け身の練習。普段は試合前の練習をあまりやらないライラ神威もリングに上がってコンバット斉藤を投げる。

「ふっふっふっ、勝ったら立川のグランドパレスで祝勝会しちゃるから、せいぜい頑張れや、まあ負けても上北台の『すしおんど』で残念会してやるから安心しろ」

「・・・クルマはどうするんですか」

「今野のおっさんにでも預けるよ、酒気帯びはまずいからな、一発取り消しだから、ガッハハハハ」

たあいもない話をしながら練習するライラ神威とコンバット斉藤、REKI。

17:30

「開場しまーす」

今野役員が開場を宣する。それまでリングを占拠して調整を行っていたDFの3人はいったん控室に引き揚げる。

客の入りはいつも以上。SPZ絶対王者とSPZクライマックス覇者がぶつかるのだから。当日券もたちまちのうちにはけてしまった。超満員札止め。

17:40

西武第二球場で最後の調整を行っていた武藤めぐみと成瀬唯が、関係者入り口から控室へ戻った。さすがに表情が硬い。

18:25

グッズ売り場でひと稼ぎした今野役員と村越リングアナが関係者通路を歩いて本部席へ陣取る。今野役員はいつものように缶コーヒーでひと息。

「グッズ売れなくなったね・・・」

先月でラッキー内田と氷室が引退した影響は甚大。そのままノートパソコンを立ち上げて、左腕に巻いたオメガの腕時計の秒針を睨む。

18:30

カン、カン、カン、カン、カン・・・・

今野役員がゴングを木槌で5回叩き、リングに上がった村越アナがいつものように本日のカードを読み上げる。メインイベントのところで拍手が。

18:37 そして場内に鳴り響いた、野村つばさのテーマ「微笑みのヴァネッサ」。ドワアアアと沸く。

第1試合は野村つばさ対ジーナ・デュラム。

弱気な性格のジーナのファイトを読んで、先手先手と攻めた野村が9分29秒、ダイビングプレスで勝利。

「みんな、やったよーーーー!!」

そのころコンバット斉藤はジャージ姿のまま、DFの控室で固まっていた。

「おう斉藤さん、ガラにも無く緊張しとんのか」

「い、いや・・・そんなことでは」

無理も無い。ドームのシングルメイン。しかもSPZ王座が目の前にかかっている。初挑戦なので緊張するなというほうがおかしい。

ライラ神威、察したのか、

「ちょっと来い」

関係者駐車場へ連れて行って、パルサーの助手席に押し込んでからクルマを発進させた。

「ちょ、どこへ・・・」

「すぐ、そこだ」

場内に鳴り響いたのは「SEEK&DESTROY」

18:50、第2試合はセイレーン千春&マーメイド千秋の悪の姉妹コンビが出陣。しかし対戦相手はハムル・シアター&パトリシア・ルイスの新あばしりタッグ王者チーム。

やはり実力微妙のセイレーン千春が捕まってしまい劣勢に立たされる。この選手、2年間の海外生活で何をやってきたのかと思うくらい成長していない。妹のマーメイド千秋が懸命にリードしたが、出ずっぱりになってしまったところを合体パイルでやられて終了。勝負タイム18分31秒。

「ちっくしょー、覚えてろよ・・・」

痛々しい表情で引き揚げるマーメイド千秋。

そのころ多摩湖畔の遊歩道。さいたまドームからは車で2分もしない。湖畔の土手の上、ライラ神威がミットを構えた。

「まあ気分転換に蹴ってみろや、軽くな」

19:17、館内に「ミオクルカラ」が流れて、第3試合は、成瀬唯対ワイルドローズ2号。

「いくでぇーーーーー!!」

団体最古参の成瀬が大声援を受けてぶつかっていったが、ワイルドローズ2号のほうがパワーが断然上。最後はSTOに敗れ去った。この試合が終わるころ、10分間の休憩。

パシン、パシン・・・

宵闇の多摩湖畔、コンバット斉藤が蹴りを一心不乱に打ち込む。迷いを断ち切るように。

「まあ、あんたが勝ったらSPZの歴史が変わるかもな。DarkFractionの存在理由は、武藤のアフォをぶっ潰すことだからな。そうなったらDF解散してこんどはお前を狙おうかな・・・ハハハハ。でも、こういう事はなるようにしかならんよ。氷室さんの言葉を借りれば運命だよ。とにかく、マトにむかって思い切り蹴ってこい。結果は気にしなくていい」

ライラ神威が蹴りを受けながら呟く。

「はい!」

ようやくコンバット斉藤の迷いが吹っ切れたようだ。

「おーし、そろそろ後半始まるから、戻るか、乗れや」

ライラ神威がパルサーを発進させた。

19:40 場内に「you give・・・」が流れ、休憩明けの試合には仕事師・イージス中森が登場。対戦相手は久々来日のチョチョカラス2。イージス中森もよく粘ったが、相手は今のメキシコ最強クラスの選手。バックドロップに敗れた。勝負タイム15分50秒。

「まだまだ・・・確実性が無いですね・・・」

がっくりとした表情で引き揚げるイージス中森。

19:55 武藤めぐみがリングコスチュームに着替える。そのあと成瀬唯と組み合ってロックアップの動作確認。

ライラ神威、さいたまドームに戻って急いでリングコスチュームに着替えて自分の試合へ。

20:00

「うっ・・・あう、あうううううん!」

そしてセミファイナル6人タッグ戦、悪趣味なテーマ曲が流れて、DFの面々が登場。ライラ神威、今回は入場時のパフォーマンスを割愛。この時点で常連ファンはアレレと思った。

ライラ神威、REKI,ナイトメア神威。対するはマッキー上戸&Jビーチ&ジェシービートンの混成タッグ。このあたりに現在のSPZのカード編成の苦しさが見て取れる。

「ヒャーハハハハハハ」

試合のほうはライラ神威が冷静に分断作戦を成功させ、Jビーチをカムイエクウチカウシで仕留めた。勝負タイム12分56秒。

コンバット斉藤も迷彩色の空手着を羽織り、リングシューズを履いて戦闘準備完了。セミの最後のほうをモニタで観戦。

「ウァハハハハ、ウィー、アー、DARK FRACTION!!」

ライラ神威がマイクでひと声発してから、花道を手早く引き揚げた。出番を待つコンバット斉藤に一言。

「エンジョイ!!」

ライラ神威、ペットボトルの水を一口飲んで、シャワーも浴びずに黒いジャージに着替えるや、セコンドにつくべく本部席へ向かった。

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20:20 そしてメインイベント、

「立ちはだかる敵は、倒すのみ」

まず場内に響いたのが「LAMENT」ピアノのイントロから悲しげな詩が場内に響く。コンバット斉藤がしっかり前を見据えてリングイン。

「さて、いきましょうか!」

そして次にかかったのが「amethyst」こちらも哀調を帯びた歌だ。武藤めぐみが一歩一歩花道を歩いてリングイン。

SPZ王者武藤めぐみに挑むのは先月のSPZクライマックスで優勝したコンバット斉藤。久々に殺伐とした雰囲気。

京スポ新聞若林記者による認定証の朗読、チャンピオンベルトの返還と続いて、村越リングアナが両者のコールを行った。

「青コーナー、挑戦者、三重県亀山市出身、こんばっとー、さいーとー」

「赤コーナー、静岡県本川根町出身、SPZ世界選手権者、むとー、めぐーみー」

20:29、運命のゴング。裁くレフェリーはロイヤル北条。

「かいせつの吉田さん、この試合どちらが有利でしょうか」

「んー、まあ・・・・そりゃあチャンピオンの武藤ですね。技術やセンスなら比較にならないですよ。コンバット斉藤が勝つとしたら打撃で意識ごともっていくしかないですね。」

「やっ」
武藤いきなり先制のドロップキック2連発。しかしコンバット斉藤も掌底でお返し。

「やっ」
しかし武藤、うまく組み付いてアームホイップで軽快に投げてゆく。この当たりの組み立てのうまさはさすが。

「せいっ」
武藤、早めの仕掛けで、ローリングソバット2連発。この技が決まりだすと武藤は調子がいい。コンバット斉藤、はじめてのSPZタイトルマッチで緊張しているのか、なかなか手数が返せない。焦りの色が出てくるが、

「・・・いかんなぁ、ガンガン行けよ」

リング下からライラ神威がアドバイス。

「しょうブッ」

腹をくくったコンバット斉藤、武藤が間合いをつめてくるところを、不意打ちのジェットスマッシュ!!

「アーッ!!」

大きく吹っ飛ぶ武藤めぐみ。ジェットスマッシュがモロに命中。この一撃に場内沸いた!ひょっとしたらひょっとするのか。

「せいっ」
そしてコンバット斉藤、裏拳。頭にスコーンとはいった。空手経験者だけあってこの選手の裏拳は危険なのだ。もう一発裏拳。こんどは顔面に入った。

「うっわ・・・」

かいせつの吉田龍子も慄然とした表情。いまのはまともに入った。

「ぐっ・・・」
武藤めぐみ、口元から流血。怯んだのを見逃さず、コンバット斉藤がブレンバスター。そのあとのフォール。

ワン、トゥ・・ドドドドドド!!

カウント2で返す武藤めぐみ、

「くっ・・・・よくも・・・」

武藤DDTで反撃、しかしコンバット斉藤すばやく立ち上がって、

ー思いっきり、蹴る・・・・

「ハアアアーッ!」

裂帛の気合いとともに飛燕脚。
バシバシバシィッ!
下段中段上段の蹴り連打3連発。いずれも体重がきっちり乗っている。

武藤めぐみ前のめりに倒れる。これはダメージが大きい。

「押さえろっ!」ライラ神威が叫ぶ。

C斉藤、ひっくり返して片エビで押さえ込む。

「ワン、トゥ・・・」

「武藤はん、返せーーーー!!」

「スリー!!」

ロイヤル北条レフェリーの手がマットを3つ叩く。これで試合は終わった。今野役員がゴングを叩いて、村越リングアナが結果をコール。
「29分50秒、飛燕脚からの片エビ固めで、コンバット斉藤の勝ち」

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

コンバット斉藤(29分50秒、飛燕脚からの片エビ固め)武藤めぐみ

第68代王者が5度目の防衛に失敗、コンバット斉藤が第69代王者となる

*************************

20:59

「勝っ、た・・・・」
21期生のコンバット斉藤、SPZベルトに初挑戦で即戴冠。

「か、かいせつの吉田さん・・・・・・」

実況の伊藤アナウンサー(大日本テレビ)も絶句。

「うーん・・・・・一発を持っている選手は・・・うーん、こういう結果があるんですかね・・・」

REKI,ナイトメア神威、マーメイド千秋がリングに上がってコンバット斉藤に駆け寄る。ライラ神威はなかなかリングに上がれなかった。

「今野さん、タオル貸してよ・・・」

タオルを顔に押し当てるライラ神威。涙が止まらないことにはリングに上がれない。

2008年6月26日 (木)

第439回 ウァハハハハハ

24年目9月
18期生の野村つばさにようやくファンクラブができた。苦節6年、今までの苦労がようやく報われた。

「いったい・・何が起こったの・・・」
ノエル白石、重症になった。やはり負傷を抱えたまま過酷なリーグ戦に出したのは無理があったか。

で、9月シリーズ「SPZ秋爽シリーズ」開幕。日本人選手11名でのサーキットとなったためカードも薄くなってしまった。成瀬唯のような引退間近のポンコツやアイドルレスラー野村つばさがセミやメインに顔を出さざるを得ない状態。しかし最終戦のメインイベントで一大決戦が組まれるので、ファンやマスコミの食いつきも上々であった。

「所沢決闘 武藤めぐみ『SPZ王者』 VS コンバット斉藤『Sクラ覇者』」

5戦目岡山大会、セミファイナルでSPZ選手権の前哨戦が組まれた。ライラ神威、コンバット斉藤対武藤めぐみ、イージス中森。

「クソ天才姫!今シリーズ最終戦のさいたまドームがキサマの最期だ。きょうはその前にズタズタにしてやんぜー!!オルァー」

ライラ神威、DFの首魁という立場だが、今シリーズはコンバット斉藤のサポート役に回る。ライラ神威もその辺は分かっていて、「あたしが会長で、アイツが社長だ。ガッハハハハ」などと記者陣に漏らしている。

試合は盛り上がった。ライラ神威が武藤の攻撃を懸命に受けてコンバット斉藤につなぐ。コンバット斉藤、ジェットスマッシュを武藤に決めたがロープへ逃げられた。

「・・・・・・・・・・」
しかしこれで武藤半失神。場外に逃げたがそこで力尽きた。

「武藤はん、起きて、まだ試合つづいとる」
セコンドの成瀬が介抱するが返事がない。

「いまだつぶせーーーーーーー」
孤立したイージス中森を一気に攻めて合体パワーボムの連発でピンフォール。勝負タイム29分30秒の激戦を制した。

「キェヘヘヘヘ、今日はこのくらいでカンベンしてやるからなさいたまドーム、キサマの最期だ!ウァハハハハハ」
ライラ神威、まるで自分が王座に挑戦するかのような口ぶりでマイク。武藤めぐみは若手に背負われて引き揚げた・・・

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岡山大会メインはあばしりタッグ戦。日本人側に取り返せそうな中堅選手が居ないので、とりあえず外人対決を組んでお茶を濁す。

王者Jビーチ、ジェシービートンに対するはパトリシア・ルイス、ハムル・シアター組。アメリカンプロレスらしいパワーあふれる攻防が続く。

「やあっ!」

大声援を受けたJビーチが奮闘するが、気をよくしすぎたのか引きどころを誤って出ずっぱり状態になってしまい、18分4秒、合体パイルドライバーを食らって終了。GWAの実力派コンビ、パトリシア、ハムル組へ王座移動。

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第7戦新潟大会、メインでSPZタッグ選手権。王者ライラ神威、REKI組に対するは武藤めぐみ、ジェニービーチ組。

要するに選手の頭数が減って挑戦者チームが作れなかったのだ。武藤のパートナー、イージス中森は「基本的に武藤さんとは組むより闘いたいです」で、15期生の成瀬唯は「さすがに今のウチに世界選手権はアレでしょう」と辞退された。

ということで人気外人のJビーチとインスタントチームを組ませるしかなかった。SPZの長い歴史の中でも日本人と外人がタッグを組んでベルトに挑戦なんてのはなかった。

試合は絶対王者の武藤がライラを華麗な飛び技で痛めつける展開。なんとかREKIが農鳥で武藤を引っ込ませたものの、チャンスをもらったJビーチが頑張る。REKIに豪快なフェイスクラッシャー。

「この、クソ外人!!」

ライラ神威が懸命にタイガードライバーで勝負をかけるが、Jビーチも2.9でクリアして武藤につなぐ。

「覚悟して」
武藤めぐみ、延髄斬り2連発。これでREKIから3カウントを奪った。勝負タイム42分25秒、混成タッグがベルトを奪ってしまった。

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SPZ世界タッグ選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ、J・ビーチ(42分25秒、延髄斬りからの片エビ固め)ライラ神威、REKI×

第48代王者が初防衛に失敗。武藤組が第49代王者となる

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試合後のライラ神威、タッグベルトを失ったにもかかわらずサバサバした表情。かたわらではREKIが転がっているというのに。

「あたしはSPZ永久チャンピオンだ!いまさらタッグベルトなんてどーだっていい。で、今日何分やった?そうか、42分か。これで武藤のアフォは明日息切れすんぞ、筋肉疲労は48時間取れねえからなあ、ウァハハハハハ」

そして翌日、さいたまドーム。所沢決闘。

2008年6月25日 (水)

通算3000興行プロデュース達成

本編のリプレイの連載は24年目8月でちょっと止まっていますが、

その元となるWASプレイは32年目8月まで終わりました。

1シリーズ8試合として、

8試合×12ヶ月 =年間96試合。

SPZはバカンスはやらず黙々と年間96試合のスケジュールを黙々と消化する団体ですので。

でもって、96試合×31年で2,976試合。

32年目8月までの5ヶ月で40試合、これで3,016試合。

地震や交通事故などで数試合つぶれたとしても、3,000試合はやっている計算になります。

興行地域を選んで、はこの大きさを考えながら興行会場を選んでカードを組む。この繰り返しなのですがなぜか面白い。SPZはカード編成でオートを使っていないので3000興行全て自分でカードを組んだ(アホですね)ということになります。

3000興行で、1興行平均6試合組んでますから累計18,000試合・・・・わはははははは

忙しい身なので全て観戦できませんが、ひとつひとつ考えて組んだカードですので思い入れがあります。

この興行、カードを盛り上げてくれたSPZ所属レスラーは以下の通りです(敬称略)

この59名の天使たちに感謝の意を表したいと思います。

旗揚げ世代:ミミ吉原、小川ひかる、保科優希、南利美、秋山美姫、沢崎光、伊達遥、ミシェール滝

2期生:草薙みこと、富沢レイ

3期生:上原今日子

4期生:永沢舞

5期生:吉田龍子、渡辺智美

6期生:ハイブリッド南、新咲祐希子

8期生:マイトス香澄、スイレン草薙

9期生:ガイア小早川、スターライト相羽

10期生:ビーナス麗子、ギムレット美月

11期生:菊池理宇、ボンバー来島

12期生:キューティー金井、芝田美紀

13期生:ビューティ市ヶ谷、ロイヤル北条

14期生:フォクシー真帆、フレイア鏡

15期生:成瀬唯

16期生:氷室紫月、ラッキー内田、マッキー上戸

17期生:ライラ神威

18期生:野村つばさ、武藤めぐみ

19期生:ノエル白石

20期生:イージス中森、REKI

21期生:コンバット斉藤

22期生:セイレーン千春、マーメイド千秋、ケンドー・カミスワ

23期生:ナイトメア神威

25期生:八島静香、ハリケーン神田

26期生:斉藤彰子、スカーレット小縞

27期生:マイティ祐希子、霧島レイラ

28期生:藤原和美、中江里奈

29期生:RIKKA

30期生:サキュバス真鍋

31期生:藤島瞳、グリズリー山本

32期生:葛城早苗、早瀬葵

2008年6月24日 (火)

SPZ用語辞典 チーム関節地獄

SPZマットを彩った軍団の解説なんぞを。

チーム関節地獄

SPZ旗揚げ2年目あたりから結成、南利美、ミミ吉原、小川ひかるのユニット。今野社長(当時)が、どうしようもなく弱かった小川ひかるをなんとか後半の試合に出させるために結成したユニット(らしい。)

玄人好みの関節技、グラウンドレスリングを得意とする選手3人のため、対戦相手の面々はねちっこくねちっこくねちっこく攻められるのでついに集中力が切れてしまい、ギブアップに追い込まれるという恐ろしいユニット(のはず。)

小川ひかるが発展途上で弱かったので、いつも相手チームから狙われる事から、試合前半は小川ひかるが「やられ役」として相手チームの攻撃をできる限り受けて(受け切れずにやられてしまうパターンも多かったが)、SPZ初代エースのミミ吉原につないで、ミミさんがうまく試合の流れを変えて、エースの南利美が腕ひしぎかなんかで決めるパターン。

SPZ団体旗揚げ後最初にできたユニットで、「チーム関節地獄」というユニット名は今野社長(当時)がつけて、入場時にはお揃いのパーカーを着て入場するなど、SPZ初期の盛り上げに一役買った。ミミ吉原の力に翳りが出始めてからは、南利美しか実力ある選手がいない状況で、南が仕掛けた関節技がカットされるともう勝てない、という現象が起きるようになったが、それでもミミ吉原や小川ひかるの温厚な性格とあいまって、ファンの支持を集めた名ユニットだった。

5年目の夏にミミ吉原の引退に伴い、発展的解消。草薙みことと合流し、「クールビューティー」路線で売り出すようになった。

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筆者より、やること多すぎてWASリプレイまで手が回りません・・・

1.本業激務(今日も業務上の交際で23時過ぎまで飲んでました)

2.本の執筆(東京~大阪徒歩旅行記、近日出版予定??)

3.資格取得の勉強(販売士1級)

4.夏山登山(今年の夏は南アルプス、あと会社の先輩に頼まれて富士山のガイドをやる予定)

5.野球観戦(湘南シーレックス)鈴木尚典選手が引退の危機を迎えています・・・・

2008年6月23日 (月)

第438回 全てを賭けて走り出せ(8)

24年目8月 SPZクライマックス

ここまでのあらすじ

横浜のお嬢様プロレス団体「SPZ」恒例の真夏の祭典SPZクライマックス。なんと新鋭、21期のコンバット斉藤が5勝1敗でトップで横スペに戻ってくる展開。2敗で武藤めぐみノエル白石イージス中森が追う展開。

横スペ大会、休憩前の試合で元SPZ王者、氷室紫月(16期)の最終試合が行われた。氷室は22期のマーメイド千秋をスクラップバスターで退け、有終の美を飾った。

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そして休憩時間。誰も席を立とうとしない。休憩明けの試合は最終試合がもうひとつある。

まず場内に「LAMENT」が流れ、コンバット斉藤が入場。勝てばSPZクライマックス優勝・・・とあって表情は神妙な面持ち。ライラ神威とREKIがセコンドについた。

そして、本部席からマッキー上戸がマイク。

「次の試合に出る、ラッキー内田、これで最後!」

そして鳴り響く「I should be so lucky 」ラッキー内田がゆっくりと入場。

ドワアアアアアアアア!!

場内ハイテンションマックス。引退試合がSPZクライマックス優勝争いにかかわる試合というのははじめてである。

―今日で最後。

―勝つ、勝つ、勝つ!!

「青コーナー、三重県亀山市出身、コンバットー、さいとー」

「赤コーナー、東京都多摩市出身、らっきー、うちーだー」

青い紙テープが乱舞乱舞乱舞。小川ひかるの引退試合のときより多い量のテープ、青い雪崩にリングは埋まった。

「・・・ったく、えれえ人気だぜあいつは」

DFの首魁・ライラ神威までテープを片付けるのを手伝う。かなりの時間を要した。

裁くレフェリーはロイヤル北条。形式的なチェックをした後、本部席にゴング要請のサインを送った。

「ファイッ!!」

今野役員が木槌でゴングを叩いた。両者がまずリング上でにらみ合う。しばらくその状態が続いたあと、コンバット斉藤がいきなり仕掛けてきた。思い切りのいい踏み込みで間合いをつめて、

「はっ!」

コンバット斉藤掌底、もう一発。もう一発。もう一発、的確に掌がラッキー内田の顔面をとらえる。

ラッキー内田サンドバッグ状態だ。場内悲鳴。

「ぐぐぐぐ・・・・」

ラッキー内田なんとか組み止めてスリーパー。しかしうまく外して、コンバット斉藤、もう一度離れてから、掌底を叩き込む。とことん打撃でぶん殴りにきている。関節技を向こうが出してくる前に壊してしまえという戦法か。

ラッキー内田がバッタリと崩れ落ちたところをフォール。カウント1で返す内田。

コンバット斉藤タックル、そして引きずり起こして組み付いて、豪快なパワースラム、ラッキー内田2で返す。

「おらガンガン行け!!一気につぶせ!!」

セコンドのライラ神威が指示。

コンバット斉藤、休まず攻めてドロップキック、内田2.5で返す。

「ハ ア ー ッ!!」

コンバット斉藤、裂帛の気合とともに飛燕脚、下段中段上段のものすごい蹴り連打。

前のめりにばったり倒れるラッキー内田。

「内田ぁあああああ!」

マッキー上戸も泣きそうな表情で絶叫!!

コンバット斉藤がカバー。

ワン、トゥ、ドドドドドド・・・

ラッキー内田2.8で返したものの様子がおかしい、眼がうつろだ。

コンバット斉藤、ラッキー内田を引きずり起こしてロープに振った、帰ってくるところをキャッチして、

バァンッ!

この試合2度目のパワースラム。

ワン、トゥ、

「内田、かえせええええええ」

スリー!!

ロイヤル北条レフェリーの手がマットを3つ叩く、そして本部席にゴング要請。今野役員がゴングを叩き、村越リングアナはテーマ曲「LAMENT」の音楽ファイルを起動してから、アナウンス。

「・・・・8分21秒、パワースラムからの片エビ固めで、コンバット斉藤の勝ち」

横浜スペシャルホールは惜別の大歓声に包まれた。ここでも青い紙テープが乱れ飛んだ。

C斉藤(12点、パワースラムからの片エビ固め 8.21)L内田(0点)

「勝っ、た・・・・」

コンバット斉藤、涙で視界がぼやけた。入団4年目でSPZクライマックス初制覇。予選会勝ち上がりでのSクラ制覇は団体始まって以来のことである。

「ようし、よくやったっ。」

DFの同志・ライラ神威とREKIが駆け寄って抱きつく。

ラッキー内田、起き上がって、コンバット斉藤に近づいて握手。

「ありがとう、本気で来てくれて、・・・・そして、優勝おめでとう」

 「内田、さん・・・」

DFの3人が肩を組んで引き揚げた後、ラッキー内田、四方にお辞儀して花道を引き揚げた。

「・・さあ、シャワーでも浴びますか。」

まだざわめきが収まらない横浜スペシャルホール。セミ前が始まった。

REKI(8点、ラリアットからの片エビ固め 29.34)A中森(8点)

消化試合だがREKIにはシード権確保がかかっているのでものすごい気迫。農鳥であと一歩まで追い込んだが、イージス中森、ノーザン、スクラップバスターで体勢を立て直しドラゴンスリーパーで勝負をかける。

「・・・・ぐううっ」
しかしREKI、なんとか耐え切った。

REKI、ふらつきながらコーナーに登って2度目の農鳥、しかしA中森2.8で返す。しかしREKI,ここで奥の手ラリアット!右腕を思いっきりたたきつけた。

これで3カウント奪取。29分余の激闘を制した。

R神威(8点、フェイスクラッシャーからの片エビ固め 12.57)M上戸(2点)

横スペのセミファイナルに極悪人にしてSPZ永久チャンピオンのライラ神威が登場。

ライラ神威、優勝はできなかったものの(そんなもの元々度外視している)大本命の武藤めぐみを倒すなど後輩のコンバット斉藤の援護射撃をしてご機嫌。

「さあ、さくっとあのアホを倒して焼き肉でも食いにいくかあ」

終始マッキーを圧倒し、最後は狂った笑いをあげながらフェイスクラッシャー。これで3カウントを奪った。

ライラ神威、3連敗のあとの4連勝。シード権確保を決めた。

マッキー上戸まさかの2点という結果。昨年は優勝決定戦まで進出したのに・・・
「今のアタシは、こんなもんか・・・」

武藤(10点、ムーンサルトプレスからの体固め 12.32)N白石(8点)

「やってしまったことはやってしまったこと。チャンピオンとして、メインで恥ずかしくない試合をします。」

一縷の望みがついえた武藤めぐみ、鬱憤を晴らすかのようにノエル白石を攻め立てる。

「ノエル、STOだー」

会場の野次に、

「お客さんが必殺技やれって・・・」

ノエル白石STO,ハデにたたきつけられる武藤、しかしすぐ立ち上がる。イラついた武藤思わず叫んでしまう。

「余計なこといわないで!」

どわははは。

武藤めぐみ、ボディスラムで転ばせてシューティングスタープレス、ムーンサルトプレスの空爆2連発でノエル白石を片付けた。

この結果SPZクライマックス優勝は12点でコンバット斉藤。トロフィーを緊張の面持ちで受け取った。SPZの歴代選手の中でもこのトロフィーはM吉原沢崎光南利美伊達遥草薙みこと吉田龍子S草薙B来島B市ヶ谷武藤めぐみの10名しか抱いたことがない。SPZ王者より獲るのが難しい栄冠である。そのあと賞状と金一封、副賞としてブランド腕時計が贈られた。

「まだまだ、もっと上を目指します!」

武藤めぐみ、4連覇の夢はついえたが10点で準優勝。横浜中華街のお食事券が贈られた。
「この仕返しは、必ずしてみせるわ・・・」

3位はライラ神威N白石イージス中森REKIの4名が8点で並んだので、副賞のスポーツドリンクは6缶ずつ分配された。

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SPZクライマックス表彰式終了後、引退式が二人分。

「運命の歯車が止まるの・・・」

氷室紫月にものすごい拍手が送られた。涼しい顔してスリーパーで相手を失神させる芸当をやってのけるのがたまらないというファンが多数いたのだ。馬力もけっこうありSPZ王者にも輝いた。

「皆さんの暖かいご声援忘れませんっ・・・」

今野役員がやたらとプッシュしていたラッキー内田。人気と実力を兼ね備えてSPZ王者にも輝いた名選手がリングを去る。

引退後は二人とも団体に残って後進の指導に当たる。が、人気レスラー2人が来月からいなくなることを考えた今野役員、頭が痛くなった。

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氷室紫月

SPZ16期生

2024年4月21日、仙台アリーナ大会での対 マイトス香澄戦でデビュー。2032年8月20日、横浜スペシャルホール大会での対 マーメイド千秋戦で引退、稼動月数101ヶ月、出場試合数(推定)712試合

タイトル歴

第54代・58代SPZ世界王者(通算防衛回数2回)

第34代SPZ世界タッグ王者(パートナーは武藤めぐみ)

第37代・39代・42代・46代SPZ世界タッグ王者(パートナーはノエル白石)

第14代・17代あばしりタッグ王者(パートナーはビーナス麗子)

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ラッキー内田

SPZ16期生

2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での対 成瀬唯戦でデビュー。2032年8月20日、横浜スペシャルホール大会での対 コンバット斉藤戦で引退 稼動月数100ヶ月、出場試合数(推定)688試合

タイトル歴

第53代・55代・57代SPZ世界王者(通算防衛回数2回)

第30代・32代・36代・41代・43代・47代SPZ世界タッグ王者

(パートナーはマッキー上戸)

第13代・15代・18代あばしりタッグ王者(パートナーはスターライト相羽)

第20代あばしりタッグ王者(パートナーはマッキー上戸)

2008年6月22日 (日)

第437回 全てを賭けて走り出せ(7)

24年目8月 SPZクライマックス&氷室紫月・ラッキー内田最終シリーズ

そして最終戦、2032年8月20日、横浜スペシャルホール大会。

「氷 室 紫 月 最 終 試 合」
「ラッキー内 田 最 終 試 合」

大看板が2枚掲げられた。会場入り口前の特設テントでは引退する両選手のグッズ「50%OFF叩き売りセール」が始まった。人気と実力を兼ね備えた氷室とL内田、全国48箇所のSPZフィーバーの在庫も過去最大級で、全国から集められたグッズが二人ぶんあるのだからグッズ販売部門の担当者は大わらわだった。それでもなんとか開場前に見事完売。

「はー、レジ打つのも疲れました。もう。」

今野役員もぐったりとした表情。そして午後4時に開場。チケットは前売り段階で完売していたので当然超満員札止め。チケットが入手困難なのを見越して、大阪や名古屋で観戦して氷室のファイトの見納めをしたファンも多かったらしい。

カン、カン、カン、カン、カン・・・・

午後5時、場内が暗転され、村越リングアナが本日のカードを読み上げる。パンフレットに印字されたのは下記内容のカード。全8試合とボリュームある興行。休憩前と休憩後に最終試合が配置された。

1.野村つばさ     30分1本 ジーナ・デュラム

2.ジェニー・ビーチ  30分1本 ハムル・シアター

3.ナイトメア神威  タッグ・マッチ パトリシア・ルイス

  セイレーン千春   30分1本   ジェシー・ビートン

4.氷室紫月      30分1本  マーメイド千秋

              休 憩

     SPZクライマックス公式リーグ戦

5.ラッキー内田    30分1本  コンバット斉藤

6.イージス中森    30分1本  REKI

7.マッキー上戸    30分1本  ライラ神威

8.武藤めぐみ     30分1本 ノエル白石

そのあと場内オーロラビジョンに流れたのはSPZクライマックスの得点経過。10点のコンバット斉藤を8点で武藤めぐみ。ノエル白石、イージス中森が追う展開ですという説明調のVTRが流れた。引退する2人は公式リーグ期間中ということもあって、恒例の「おもしろビデオ」の上映はなく、引退することだけが軽く触れられただけであった。

第1試合は野村つばさ(18期)対ジーナ・デュラム。

裁くレフェリーはロイヤル北条。チーフ格だが8試合あるのでオープニングを裁く役が回ってきた。

弱気外人ジーナがねばってフロントスープレックスを繰り出す。場内割れんばかりのジーナコール。しかし、横スペのオープニングを任された野村つばさもハッスル。エルボーを叩き込む。ばったり倒れこむジーナ。押さえ込む野村つばさ、

ワン、トゥ、・・・・・・・

ジーナカウント2.9で返す!

「ヤーッ!!」

しかし野村つばさ、もう一発エルボーを叩き込んで3カウント奪取。勝負タイム12分34秒。

続く第2試合はジェニー・ビーチ対ハムル・シアター。実力派外人同士のシングル対決。ジェニービーチはいつものようにビーチボールを持って入場。リングイン直前で客席に投げ入れるパフォーマンスを見せた。裁くレフェリーは井上霧子。

アメリカンスタイルをベースとした大味なプロレスで攻めてゆくジェニー。打撃とシャープなレスリングでじっくり攻めるハムル。横スペの大観衆は両者の攻防に見入った。

しかし10分過ぎ、ハムルの裏拳がクリーンヒット。これでJビーチの動きが落ちた。ざわつく場内。

「クッ・・・奥の手!」
Jビーチ、どたどたと走って、ジャンプしてフライングニールキック炸裂。これでハムルをしとめた。

「ヨコハマ、ショーナン、134号、最高!」

ビーチのマイクアピール。これで館内がどっと沸いた。勝負タイム12分32秒、

続く第3試合はナイトメア神威(23期)、セイレーン千春(22期)のヒールコンビがパトリシアルイス、ジェシービートンの外人コンビと対戦。裁くレフェリーは菊池理宇。

ナイトメア神威がいつも以上の狂乱ファイトで暴れ回り、客席を沸かせたが、外人も懸命にこらえてパートナーのセイレーン千春が出てくるのを待つ。

予想通り、団体最弱のセイレーンが出てくるや、つかまってしまいあっさりビートンのエルボーに敗北。勝負タイム8分43秒。あっさりと終わった。本部席の吉田社長があまりのふがいなさに顔を覆う。

そしてー

村越リングアナが定型文を読み上げる。

「次の試合に登場する氷室紫月選手はこの試合が最後のファイトとなります、ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」

ドオオオオオ!

まず「SEEK AND DESTROY」が場内に轟き、マーメイド千秋がつかつかと花道を歩いて入場。大先輩の引退試合の相手を務めるとあって、さすがに神妙な面持ちだ。

そのあとドゥーリーズの「ウォンテッド」がかかり、氷室紫月がいつも通りのポーカーフェースで花道に姿を現した。黒いロングガウンを着込んでいる。

SPZ16期生、人気と実力を兼ね備えた氷室紫月が最後のリングへ向かう。階段を上がってリングイン。

「青コーナー、鳥取県米子市出身、マーメイドー、ちあーきー!」

「赤コーナー、富山県立山町出身、ひむろー、しづーくー!」

大量の紫の紙テープが乱舞。セコンドの野村つばさ、スタッフ総出でテープを片付ける間、淡々と氷室、黒いガウンを脱いで臨戦態勢に入る。

カンッ。

午後5時51分、氷室紫月の最後のファイトがはじまった。

試合はマーメイド千秋が切れ味鋭い投げ技で氷室を追い込んだが、10分経過のアナウンスとともに氷室がいきなり仕掛けた。

「これでおしまい」

氷室紫月、ドラゴンスリーパーでマーメイド千秋をぐったりとさせる。完全に入ったら相手を失神させることもあるデインジャラスな絞め技。

「・・・・うぐ・・・・・・」

マーメイド千秋、意地でギブアップだけはしなかったが、目は死んでいた。なんとかロープに逃れたものの、直後のスクラップバスターで3カウントを聞いた。

「13分7秒、スクラップバスターからの片エビ固めで、氷室紫月の勝ち。」

村越リングアナが試合結果をコール。

「私の、勝ち・・・」

氷室紫月、現役最後の試合を白星で飾った。

ドワアアアア。DFを除く後半の試合に出る選手がリングに上がって、氷室を胴上げ。そのあと吉田社長から花束の贈呈。

横スペはものすごい氷室コールに包まれた。

そして休憩時間。誰も席を立とうとしない。休憩明けの試合は最終試合がもうひとつある。

(続く)

2008年6月21日 (土)

第436回 全てを賭けて走り出せ(6)

24年目8月

第24回SPZクライマックス・氷室紫月、ラッキー内田引退シリーズ。

ここまでのあらすじ

SPZが世界に誇る真夏の祭典・第24回SPZクライマックス、リーグ戦5戦を終えて、4連覇を目指した大本命の武藤めぐみ(21)がまさかの2敗、優勝が絶望的になった。21期生のコンバット斉藤(18)がなんと5連勝でトップを走る予想外の展開。1敗がいなくなったため、第7戦名古屋大会で勝つか引き分ければ、最終戦の横浜を待たずして優勝が決まる。しかし、名古屋大会の相手はDFの首魁、ライラ神威。自らを育ててくれたDFの先輩に恩返しができるか。

第7戦名古屋大会。今シリーズ限りで引退する氷室紫月は第1試合に登場し、海外出戻りのセイレーン千春を一方的に攻めて、5分1秒、サソリ固めであっさりとギブアップを奪った。

「あと、ひとつ・・・」

今シリーズの氷室はSクラ開催の余波で連日第1試合で若手や外人相手のシングルマッチが組まれたが、いつも通り黙々とファイト。そして最終戦の横スペ向かう。

A中森(8点、ノーザンライトSH 14.32)L内田(0点)

時代の流れは残酷、イージス中森がグラウンドでもよく攻めて、最後はノーザンライトで完勝。2敗を守ったイージス中森、シード権を確保するとともに、優勝戦線に首の皮一枚踏みとどまった。

敗れたラッキー内田、力の翳りは隠しようがなく、ここまで0点。最終戦横スペの相手はコンバット斉藤である。

「あしたで、ラッキー内田は終わる・・・」

N白石(8点 裏拳からの片エビ固め 25.28)M上戸(2点)

パワーファイター同士の対決。両者が力のこもったいい勝負。

「・・・・・ううっ」

ブレーンバスターの打ち合い。荒い息遣い。正面からのぶつかり合いが繰り広げられた。しかし戦いが長引くにつれマッキー上戸の息が乱れていった。やはり長期戦のシングルマッチとなると古傷を多く抱えるマッキー上戸がどうしても不利か。

「はっ」

そこを狙ってノエル白石STO.

マッキー上戸、一発目は返した。

「・・・は」

ノエル白石、間髪いれずに二度目のSTO。マッキー上戸が派手にたたきつけられる。

マッキー上戸、二発目も2.9、ギリギリで返した。

「クソーーッ!!」

マッキー上戸、バックドロップ、スプラッシュマウンテンで懸命の反撃、しかしスプラッシュマウンテンのあとのフォールはロープにあまりにも近い。マッキー上戸ふらつく、スタミナは大丈夫か、

「・・・は」

ノエル白石、裏拳でぶん殴って、マッキー上戸をダウンさせる。

そのまま上に乗って強引に3カウント奪取。勝負タイム25分28秒の大消耗戦。場内ものすごい拍手。これでノエル白石も2敗をキープ。シード権を守った。

セミ前終了後、いよいよ優勝のかかった大一番。名古屋しゃちほこドームの熱狂はピークに達した。まず「LAMENT」に乗ってコンバット斉藤が入場。さすがに表情が硬い。

ー勝てば、Sクラ、優勝・・・

そのあと「COLLECTIVE」がかかり、DarkFractionの首魁、ライラ神威が入場。にっくき武藤めぐみの優勝可能性を消すにはここで負けてしまったほうが良いのだが、自らもシード権がかかっているだけに(予選会で来年シングル7連戦はきつい)悩ましいところ。

ライラ神威、リングインするや村越リングアナからマイクを奪ってアピール。

R神威(6点、コブラツイスト 15.06 )C斉藤(10点)

「おう、コンバットさんよ、よくここまで全勝できやがった、DFの先輩としてほめてやる。だが、SPZクライマックスはアタシもまだ優勝してねえ。アタシから3カウントを取って優勝しろクソヤロウ!」

珍しく正論を吐いてライラが襲い掛かっていった。

コンバット斉藤、自らを育ててくれた恩人相手のファイト、勝てば優勝、さすがに固くなっていた。なかなか有効打が繰り出せない。ライラ神威のほうがいつも通りのラフファイトを展開。試合はライラ神威ペースで進んだ。

「んー、いかんですね。さすがに100万円がちらついてきたんでしょう、蹴りに腰が入っていませんね」

かいせつの吉田龍子(SPZ社長)も手厳しいコメント。

しかし、13分過ぎ、コンバット斉藤の掌底が連続ヒット。ライラ神威がぐらついた。ここでコンバット斉藤がいきなり仕掛けた。

「一気に決める!」

コンバット斉藤の必殺上段キック、ジェットスマッシュ炸裂。

「ぐ・・・っ」

派手に吹っ飛ぶライラ神威、すかさずカバーするコンバット斉藤。

ワン、トゥ・・・ドドドドドド!!

しかしライラもカウント2で返して、

「おんどれの動きなんて分かっとるんじゃボケー」

立ち上がって組み付いて、バックドロップで反撃。頭を打ったコンバット斉藤。

ライラ神威、すかさずコブラツイストで締め上げる。いつものように絞り上げながら見得を切ろうとしたとき、

「・・ギブアップ」

コンバット斉藤がギブアップしてしまった。

(・・・えっ、おい・・・)

仕掛けたライラ神威も意外の表情。つなぎの痛め技で仕掛けたつもりが決まってしまった。ライラ神威、試合後のパフォーマンスもそこそこに引き揚げた。

「・・・ちっ、これであのアフォに優勝の目が残っちまったじゃねえか」

ライラ神威、シード権確保のためには負けられない状況。それでもコンバット斉藤ががつがつ攻めてきたら負けてもいいかなと思っていた、しかし・・・

ここまで快進撃を続けていたコンバット斉藤がついに止まった。まだ優勝争いは単独トップだが、コロリと負けてしまっただけに、明日の最終戦へ向けて暗雲が漂った。

試合後の控室、ライラ神威がコンバット斉藤を叱りつけた。

「・・ったく、何やっとんだ。明日はコロす気でやれ、いいな!!内田さんを気遣って受けてやろうとか思うんじゃねえぞ!!」

武藤(8点、ムーンサルトプレスからの体固め 9.45)REKI(6点)

優勝の望みをつないだ武藤めぐみ、ムーンサルトでREKIを一蹴。

これで優勝争いは1敗のコンバット斉藤を2敗の武藤めぐみ、ノエル白石、イージス中森が追う展開となった。

そして最終戦、横浜スペシャルホール大会。

「氷 室 紫 月 最 終 試 合」
「ラッキー内 田 最 終 試 合」

会場入口に大看板が2枚掲げられた。

(続きます)

2008年6月20日 (金)

第435回 全てを賭けて走り出せ(5)

24年目8月、第24回SPZクライマックス・氷室紫月引退シリーズ、ラッキー内田引退シリーズ

第24回SPZクライマックスは予想外の展開。大本命の武藤めぐみがまさかの2敗。トップを走るコンバット斉藤とは2差がついてしまった!

全勝(4勝0敗)コンバット斉藤

   3勝1敗 イージス中森、REKI

  2勝2敗 武藤めぐみ、ノエル白石

************************

第6戦福岡九州ドーム大会。

ドワアアアアア!!

第1試合開始前から場内はえらい盛り上がり。そして氷室紫月の入場テーマ曲、ドゥーリーズの「ウォンテッド」がかかるや爆発した。

今シリーズ限りで引退の氷室は第1試合でナイトメア神威(24期)と対戦。ナイトメアの力まかせのラフファイトを懸命に受けきって、最後は相手がバックドロップに来るところを冷静に上から押しつぶして3カウント奪取。勝負タイム17分44秒。

「あと、2つ・・・」

***************************

さてリーグ戦は続く。

C斉藤(10点、飛燕脚からの片エビ固め12.10)A中森(6点)

全勝のコンバット斉藤と1敗のイージス中森が対戦。先々月の予選会ではコンバット斉藤が勝っているカード。

勝てば優勝へ大きく前進するC斉藤、焦るそぶりはなかった。

殴る、蹴る、右、左・・・

まるで新人選手のように的確に打撃をヒットさせてゆくコンバット斉藤。大振りせずコンパクトに打撃を当ててゆく。こういう戦法だとイージス中森は苦しい。そしてある程度動きを止めてから大振りの打撃で決めにかかる。

「せえい!」

コンバット斉藤、ものすごい裏拳。当たり所が悪ければ入院ものである。イージス中森の目から火花が飛んだ。そしてブレーンバスターでつなぐ。なんとか2.5で返したイージス中森だったが目は死んでいた。

「せぇい!」
イージス中森がフラフラと起き上がってくる、ところを飛燕脚。ものすごい蹴り連打。イージス中森前のめりにダウン。これはまともに入ってしまったか。

コンバット斉藤、ひっくり返してカバー。

ワン、トゥ、スリー。

上原レフェリーの手がマットを3つ叩く。これで3カウントが入った。

「ここまで来ると空手のトーナメントを思い出します。そういう時どうしたっけなと考えたらああいう動きになりました」

コンバット斉藤、土壇場でも自分を見失わない集中力。5連勝で優勝が見えてきた。残る相手はR神威とL内田。このままいくのか?

R神威(4点、トムラウシからの片エビ固め 11.38)L内田(0点)

九州ドーム大会セミ前にラッキー内田登場。

場内ものすごい内田コール。だがライラ神威、奇声を発して人気ナンバーワンレスラーに襲いかかっていった

「いまさらあんなヘボに負けるわけねえだろ」

その言葉通りに正面から闘ったライラ神威、一方的に攻め込んでトムラウシで快勝。ラッキー内田5連敗・・・

N白石(6点、パワーボムからのエビ固め 14.55)REKI(6点)

福岡大会のセミファイナルはノエル白石が登場。ここまで1敗のクノイチレスラー・REKIと相対。

「・・・・・・」

飛び回ったREKIだったが、つかまるともうどうにもならない。なんとか農鳥を撃ち込んだがそれまでで、

「・・・つかまえた・・・」

ズドーン。パワーボムで終了。REKIもこれで2敗目。これで1敗がいなくなった!

武藤(6点、DDTからの片エビ固め 15.54)M上戸(2点)

もはや女王のプライドはズタズタ。コンバット斉藤に続いてライラ神威にも負けてしまった。優勝の可能性はほぼ消えてしまった。それでもSPZ王者として恥ずかしくない戦いを福岡のファンに見せるしかない。

今日の相手、パワーは油断のならないマッキー上戸。昨年の公式戦ではマッキーが勝っている。だがあれから1年、マッキー上戸の力はかなり落ちた。

「はっ」

武藤めぐみ、DDTを2連発。これで弱らせて、サソリ固めをはさんでもう一発DDT、これでマッキー上戸を手堅くしとめた。

これで全勝のコンバット斉藤を2敗で武藤、REKI,N白石、A中森の4人が追う展開だが、残り2戦で2ゲーム差というのはかなり絶望的な状況。次の名古屋大会でコンバット斉藤がライラ神威に勝つか引き分けでコンバット斉藤の優勝が決まる・・・

***************************

「そ、そうですね・・・頑張ります」

コンバット斉藤、Sクラ制覇まであと一歩、名古屋大会で師(親分?)であるライラ神威を倒して一気に栄冠をつかむのか。

「参ったよなあ」

ライラ神威、まだ2勝3敗の4点でのこり2戦、シード権確保のためにはこれ以上負けられないのだ。勝敗は度外視しているが、来年予選会に出なければならないのもベテラン選手にとってはしんどい。

その夜、DFの3人でとんこつラーメンを食べに出かけた。

「斉藤さんよ」

ライラ神威がC斉藤に声をかける。覆面を脱いでいるので外見では誰だかわからない。

 「・・・はい」

「まあ、明日の名古屋、気張って来いや、なんでも受けてやるから。結果はなるようにしかならんよ。せいぜい蹴りまくってあたしを眠らせろ」

「・・・はい・・・・」

自らを育ててくれたDFの恩人に引導を渡さないといけないのか、コンバット斉藤の心中は複雑なものがあった。

(第24回SPZクライマックス、いよいよ大詰め)

2008年6月19日 (木)

第434回 全てを賭けて走り出せ(4)

第24回SPZクライマックス(ラッキー内田引退シリーズ、氷室紫月引退シリーズ)

前回までのあらすじ

横浜のお嬢様プロレス団体「SPZ」が、毎年8月にシングルのリーグ戦「SPZクライマックス」を開催する。24回目の開催となる今回は、団体エースの武藤めぐみの4連覇間違いなしという下馬評だったが、リーグ戦2戦目の仙台大会でコンバット斉藤(21期)に不覚を喫してしまう波乱の展開。

そしてリーグ戦3試合を消化した大阪大会終了時点で3連勝とトップを走っているのは、悪の軍団DF(DarkFraction)核弾頭のREKIと、旗手のコンバット斉藤という予想外の展開。DFの首魁、ライラ神威(17期)は自身は3連敗にもかかわらずご機嫌。「わしが育てたコンバット斉藤、わしが育てたREKI・・・ふっふっふっ」

第5戦は広島若鯉球場大会。選手は午前中の新幹線で会場入り。

今シリーズ限りで氷室紫月は第1試合でワイルドローズ1号と対戦。いつもどおりの落ち着いたファイトを見せてじわじわと対戦相手を追い込む。しかし最後に逆転。パワースラムを食って動きが鈍った氷室、トドメのニーリフトで3カウントを喫してしまった。

勝負タイム15分32秒。

「あと、3つ・・・」

氷室紫月、負けてもいつものように淡々とした表情で引き揚げた。

さてリーグ戦。夏の夜空に轟きわたる歓声が選手の胸を焦がす。

*****************************

そしてSPZクライマックス公式戦。

C斉藤(8点 飛燕脚からの片エビ固め 13.40)REKI(6点)

今シリーズ全勝同士の対戦。DFの同門対決。予選会ではREKIが勝っている。

―蹴って蹴って蹴りまくる、それしか私の勝つ道はない。
コンバット斉藤が迷いを捨てたいいファイト。ニーリフトで吹っ飛ばす。

「はあああああ・・・」

空手の経験を生かした裏拳。他の選手のそれとは年季が違う。当たり所が悪かったら入院ものだ。

しかしREKIも終盤、農鳥2連発から新蛇抜で猛チャージ。コンバット斉藤をピンチに陥れる。しかしコンバット斉藤、ブレンバスターで体勢を立て直すと、

「せえい!」

起き上がってくるREKIへ飛燕脚。これでカウント3奪取。

「よし・・・勝った・・・」

コンバット斉藤まさかの4連勝で単独トップに立った。残る相手はA中森L内田R神威、ひょっとしたらひょっとするのか?

「かいせつの吉田さん、コンバット斉藤がこれで4連勝ですね・・・」

「んー、でもまだ分かりませんよ。一発はあるんだけど、若手特有の粗さがありますからね。いまのところ長所が出ているだけですから」

A中森(6点、ストレッチプラム 14.59)M上戸(2点)

ここまで1勝のマッキー上戸。今日の相手は試合巧者イージス中森。やりづらい相手だ。この日も隙のない試合運びにズルズルと。

「んー、いかんですね。」

悪いときのマッキー上戸の試合内容。ノーザン2発で腰をやられて、トドメはストレッチプラム。

「ウグググ・・ギブアップ」

イージス中森も3勝1敗といい流れ。明日のコンバット斉藤との直接対決にかける。

N白石(4点、ニーリフトからの片エビ固め 11.33)L内田(0点)

広島大会セミファイナル。

場内ものすごい内田コール。人気ではSPZの中でも一、二を争う人だけに、対戦相手のノエル白石が攻め込むごとに悲鳴とブーイングが。

「は・・・」

ノエル白石、エルボーの打ち合いを制して得意のSTO,

ラッキー内田、何とか2.8で返したが、足ががくがくしている。続けてノエル白石にニーリフトを叩き込まれて、試合は終わった。

「あと、3つですね・・・」

今シリーズ限りで引退のラッキー内田、まだ0点、これが現実なのか。

R神威(2点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 10.41)武藤(4点)

広島大会メインで組まれた、光と闇の頂上決戦。ここまで0点でゼッ不調のライラ神威だが、相手がにっくき武藤めぐみとあって燃えていた。

「さあてとあのクソ生意気な自称天才を始末してやるか・・・」

しかし武藤めぐみも1敗を死守しなければならない。

「あなたのような小悪党なんかにやられはしません」

これ以上星を落とせない武藤、ムーンサルトを早めに仕掛けるなど積極的な攻め。しかしライラ神威、一発逆転を狙っていた。

「あたしは、アンタにさえ勝てればいいんだああアアア!」

ライラ神威、カムイエクウチカウシ炸裂。この技は強烈。アイヌ語で「熊も転げ落ちるほどの山」を意味するこの技、みごとに転げ落とされた武藤。懸命に流れを引き戻そうとするが、ライラ神威が武藤の動きが鈍ったのを見透かしたようにサソリ固めでじわじわと攻められる。

「くっ」

ダイビングプレスはかわされジャンピングニーは背面トペでつぶされる。攻めがことごとく読まれて返される。どうしたんだ武藤めぐみ!!ざわつく広島若鯉球場。

「アフォか、お前の動きなんざ見切っとるんじゃボケエエエ」

ライラ神威、逆襲を仕掛けて、フィッシャーマンバスターで叩き落した。武藤めぐみ頭からマットに落ちた。

「うわっ!」

カバーするライラ神威、

ワン、トゥ、スリー。

3カウントが入ってしまった。

えええええええええええええええ!!

広島の夜空を揺るがすえええええええええ。

「あひゃひゃひゃひゃひゃ!何が天才姫だ!SPZクライマックス、武藤のアフォだけには優勝させねえ!ヒャーハハハハハ」

ライラ神威、よほど嬉しかったのだろう、ガトリング砲を乱射しながら引き揚げた。

ライラ神威、DF控室に戻ってREKI,コンバット斉藤とハイタッチ。

「暑ぃ、・・・でもとってやったぜ、援護射撃ってヤツかな、斉藤ちゃん、優勝したら賞金でメシ喰いに行こうぜウァハハハハ」

「・・・そ、そうですね・・・」

コンバット斉藤、師匠のライラ神威が身体を張って大本命武藤めぐみに2敗目を与えた。これは明日のイージス中森戦、なんとしても勝たなくてはならない。

*****************************

第24回SPZクライマックス、ここまでの星とりは以下の通り

全勝(4勝0敗:8点)コンバット斉藤

3勝1敗  (6点)イージス中森、REKI

2勝2敗 (4点)武藤めぐみ、ノエル白石

シード権争い(7点以上または4位以上)も苛烈な予感

1勝3敗 (2点):ライラ神威、マッキー上戸

0勝4敗(0点):ラッキー内田

  

2008年6月18日 (水)

第433回 全てを賭けて走り出せ(3)

24年目8月

SPZ CLIMAX 24 ・ LUCKY UCHIDA & SIZUKU HIMURO FINAL BATTLE

第24回SPZクライマックス。リーグ戦2戦目の仙台大会で4連覇を狙う武藤めぐみ(18期)が悪の軍団DF(DarkFraction)の旗手、コンバット斉藤にまさかの敗北。これで優勝争いは分からなくなった。リーグ戦2戦を終えて2連勝はコンバット斉藤、REKI、イージス中森という異色の展開。どうなるSPZクライマックス。

シリーズ第4戦、大阪なにわパワフルドーム大会。

オープニングマッチにいきなり氷室紫月(16期)登場。SPZクライマックス本大会に出られなかったので、前座の第1試合にまわされた。本人は気にも留めない様子で入場。

ドワアアアアアア!

「氷室!氷室!氷室!氷室!」

大阪のファンは大興奮。元SPZ王者、失神大王氷室紫月、SPZが世界に誇る強さとルックスを兼ね備えた選手(24年の歴史の中でもなかなかいない)。残されたファイトはあと5戦しかない。富山から北陸新幹線で「氷室紫月後援会」の面々が大挙して応援に来た。

氷室紫月は第1試合でジェシー・ビートンをステップキックであっさり撃破。勝負タイム9分37秒。このクラスの相手ならまだまだ強い。

「あと4つ・・・」

そして休憩後はSPZクライマックス公式リーグ戦、大阪でも熱闘が繰り広げられた。

REKI(6点、農鳥からの片エビ固め 13.24)L内田(0点)

まず場内に「二人の擲弾兵」(シューマン作曲)のヴァイオリンソロがかかり、REKIが花道を全力疾走して入場。SPZクライマックス初出場でここまで2戦2勝。師であるライラ神威にも勝ってしまった。

ドワアアアアア!

「I Shold be so luvky」がかかるや場内はものすごい歓声に包まれた。人気ならSPZナンバーワン。クールビューティー、氷の彗星、元SPZ世界王者ラッキー内田が入場。

一昨日の仙台大会で、ライラ神威を撃破して勢いに乗るREKI、ラッキー内田には予選会でも勝っているので優位に試合を進める。

今シリーズ限りで引退のラッキー内田、グラウンドに引きずり込もうとするがREKIもそのあたりはよく分かっていて、スピードで勝負してくる。こうなるとラッキー内田は苦しい。

13分過ぎ、フェイスクラッシャーでマットにたたきつけられたラッキー内田、REKIがすばやくコーナーに登った。出るぞ出るぞ、ざわめく館内。

「消えろ」

REKI、ものすごい跳躍力を生かして農鳥が炸裂。いったん視界から消えて頭上から急降下で降ってくるのだから受けづらいミサイルキックなのだ。

「・・うわぁっ!」

そのままREKIが片エビでがっちり押さえ込む。これでカウント3が入った。
ラッキー内田敗北。REKIこれで3連勝。シード権獲得(7点以上または4位以内)が見えてきた。いや、優勝争いの先頭に立っているのだから凄い事。

「・・・・・・・・・・・・・・はー・・・・・・・・」

ラッキー内田、悔しそうな表情で引き上げた。

C斉藤(6点、ジェットスマッシュからの片エビ固め11.52)M上戸(2点)

一昨日の仙台大会で、優勝候補の大本命武藤めぐみを倒したコンバット斉藤だがこれからが大変。残る相手はM上戸L内田R神威A中森REKI。コンバット斉藤が確実に勝てる相手はいない。

しかも過去データでは「予選会を勝ちあがって出場した選手で、Sクラで優勝した選手はいない」(今大会のコンバット斉藤は予選会3位通過)というのもある。かいせつの吉田龍子(SPZ代表取締役社長)も指摘。

「んー、まあ優勝を意識したらだめですよ。一試合一試合きっちり闘わないといかんですね、でも大事に行き過ぎてもいけません、難しいところです」

コンバット斉藤、この日は16期生のマッキー上戸と対戦。直近の対戦では勝っているが、馬力も実績もある選手なので油断はならない。

「せいッ」

空手の経験を生かした打撃で優勢に進めるも、10分過ぎにマッキー上戸のスプラッシュマウンテンを食らって危ないシーン。それでもなんとかフォールを返して、

「一気に決める!」

ズバッと決まったジェットスマッシュ。ものすごい蹴りがマッキー上戸の頭にヒット。これでカウント3が入った。コンバット斉藤もこれで3連勝。絶好調スタートだ。

「ハァ、ハァ・・・・」

荒い息をつきながら引き上げるコンバット斉藤、次の試合に出るライラ神威が一声。

「調子いいじゃん、明日も蹴りまくれよ」

N白石(2点、回転エビ固め 18.50)R神威(0点)

大阪大会セミファイナルでは元SPZ王者同士の対戦が組まれた。

実力者ながら連敗スタートの両者。DFの首魁でSPZ永久チャンピオン(自称)のライラ神威は「別に優勝しようなんて思ってねえよ」と言っていたが、配下(射程)?のコンバットとREKIがともに3連勝スタートとあって内心は複雑なものがあった。

「・・は・・」

ノエル白石、間の抜けた気合いとともに、ニーリフトがグサグサと。ライラ神威の動きがこれで止まる。

しかしライラ神威も

「ブッコワレローーーーー」

得意のカムイエクウチカウシで意地を見せる。しかしノエル白石、カウント2で返す。

「オラァ、くたばれ、のうとりッ」

ライラ神威、珍しくコーナー最上段から飛んでめったに見せないミサイルキック、

ワン、トゥ、ドドドドドド・・・

カウント2.8まで追い込むが、

「もう、終わりにするの・・・」

ノエル白石ここで切り札のSTO,カウント2.9で返すライラ神威。

「あー、UZEEEEEE、さっさと氏ねやオラアアアアア」

怒ったライラ神威、強引に2度目のカムイエクウチカウシを仕掛けるが、ノエル白石、うまくローリングクラッチホールドに切り返してそのまま3カウント。

終わった後ライラ神威は暴れまくった(例によってセコンド陣を巻き込んでの乱闘、大阪のファンは沸いた)が後の祭り。優勝候補の大穴として名を連ねていたライラ神威まさかの3連敗。

「・・・・キツいね。」

ライラ神威、控室に戻って覆面を脱いで、一人の北海道人に戻って水を飲んでひと声。世代的にはL内田氷室の1期下の17期、デビュー7年を過ぎて動きがそろそろおかしくなってくるころ。タッグマッチではどうとでもなるが(配下の2人が強いので)、シングルマッチではどうしても粗がでてきてしまう。結果が出ないのもそのへんに理由があるのか、

ともかくこれでシード権確保のためにはこれ以上負けられなくなった。しかもまだ武藤めぐみやC斉藤といった強豪との対戦を残しているのでかなり、イや絶望的に厳しい。

「フフン、なるようにしかならんよ」

ライラ神威、荷物をまとめると、DFの若手選手を誘ってふく刺しを食いに夜の街へ出た。

武藤(4点、延髄斬りからの片エビ固め 13.21)A中森(4点)

一昨日の仙台大会でコンバット斉藤にまさかの敗北を喫した武藤めぐみだが、ショックの色は残っていなかった。

「まあ、相手あってのプロレスですから思い通りの結果にならないときもあります。」

この日の相手はじわじわと攻めてくるタイプのイージス中森。まだこの選手に負けたことはない。グラウンドの攻防でもきっちり応戦。時間経過に合わせて立ち技を混ぜてゆく教科書どおりの展開。

そしてローリングソバット3連発。そしてDDT,イージス中森もストレッチプラムで抵抗したがすぐにクラッチをきられ脱出されてしまう。そしてイージス中森の息が切れてきたのを見計らって、

「はっ」

鋭い延髄斬りがヒット。これでカウント3が入った。

第24回SPZクライマックス、リーグ戦3戦を消化して優勝争いは下記の状態。DFの若手二人がリーグ戦を引っ張る。翌日の広島大会でこの両者がシード権確保一番乗り、そして優勝争いを賭けて激突する・・

3勝0敗(6点):REKI、コンバット斉藤

2勝1敗(4点):武藤めぐみ、イージス中森

2008年6月17日 (火)

第432回 全てを賭けて走り出せ(2)

24年目8月 

第24回SPZクライマックス、ラッキー内田&氷室紫月引退シリーズ(続き)

第3戦仙台市グランドアリーナ大会。

今シリーズ限りで引退の氷室紫月は第1試合で、18期の野村つばさを10分51秒、ドラゴンスリーパーで屠った。

M上戸(2点 ジャーマンSH 12.29)L内田(0点)

Sクラでしか実現しない、最後のジューシーペア直接対決。

「手加減はしねえぜ、プロレスなんてもうこりごりだと思わせてやる」

「・・・望むところよ」

カンッ。今野役員が複雑な表情でゴングを叩いた。

「おらあああああ」
泣きそうな表情でマッキー上戸がヘッドバット、ボディスラム。あと一週間でラッキー内田というプロレスラーはいなくなってしまう。
「ほっ」

ラッキー内田、懸命にタックルを打っていくが、岩のような身体のマッキー上戸には効かない。

「くらえっ!」
マッキー上戸、ブレーンバスターの連発で弱らせてダイビングプレス。ラッキー内田はだんだん追い込まれていった。

「アーーーーッ!」
絶叫とともに決まったジャーマン。これで試合は終わった。

試合後、マッキー上戸がマイクをつかんで絶叫。
「バカヤロー!!」
そのままマッキー上戸は花道を走り去った。

こうしてジューシーペアの直接対決は終わった。

REKI(4点、農鳥からの片エビ固め 14.36)R神威(0点)

DFの同門対決。しかしライラ神威、動きにいつものキレがない。REKIのほうがローリングソバットをずばずば決めて優勢。しかしライラ、カムイエクウチカウシで反撃。REKIも農鳥でお返し。互いの必殺技をぶつけ合う。

REKIジャンピングニー。ライラ2.8で返す。ライラ裏投げ、REKIカウント2.5で返す。

ライラ神威、掌底で追い撃ちをかけるが、REKIカウント2.9で返す。

「消えろ」
REKI,この日2度目の農鳥。ライラ神威からこれで3カウントを奪ってしまった。REKIがライラに勝ったのはこれが初めて。場内爆発。

SPZ永久チャンピオンのライラ神威、20期生相手にまさかの2連敗スタート。

A中森(4点、ドラゴンスリーパー29.16)N白石(0点)

2連敗は避けたいノエル白石は持ち前の馬力で攻めるが、イージス中森も要所要所で反撃してペースを握らせない。試合は長引いた。ブレーンバスターのしのぎ合いでは場内沸いた。しかし25分過ぎ、ノエルのスクラップバスターで中森の動きが止まってしまった。

「・・・は・・・」

ノエル白石、そこへがつんがつんヘッドバットの乱打。まさに暴虐の姫君。これはたまらない。

「あ・・うっ・・・」

リング上をよろよろと歩くA中森、しかし勝負を捨てずノーザンで反撃。そしてドラゴンスリーパー。

「・・・あー」

間の抜けた声でノエル白石、昇天。危険を察知したR北条レフェリーが試合を止めた。29分16秒の大激戦に仙台のファンは拍手。

C斉藤(4点、デスバレーボムからの片エビ固め25.05)武藤(2点)

「この顔ぶれなら全勝して当たり前です」相変わらず強気の武藤めぐみ。

(どの相手も評価の差が300近くあるのだから負けるはずがない。)

この日は一発のあるコンバット斉藤だが、終始余裕の試合運び。

―ジェットスマッシュさえ食らわなければ、勝てる。

ダイビングプレスの連発で動きを止めてバックドロップできれいに投げる、まさに流れるような試合運び。

―最後まで諦めない!ジェットスマッシュさえ決めれば・・・

コンバット斉藤、終盤にようやくジェットスマッシュをたたきこむ!

「うわ・・っ」

大きく吹っ飛ぶ武藤、そこをついてコンバット斉藤、パワースラム、飛燕脚でラッシュ。しかし武藤、飛びつき腕ひしぎをえんえん仕掛けて流れを取り戻すと、

「覚悟して」
武藤、秘技タイガースープレックス、誰もがこれで試合は終わった、でもコンバット斉藤もよくやった・・・と思ったが、

ワン、トゥ・・ドドドドドド!!

コンバット斉藤、カウント3ギリギリで肩を上げた。

武藤めぐみ、R北条レフェリーに3つ入ったでしょうと確認、イヤ入ってませんと指を2本さすロイヤル北条、

「うあああああああっ!!」

コンバット斉藤、その隙を突いて武藤に組み付き、担ぎ上げた。めったに見せないデスバレーボム。頭から落ちた武藤、反応が一瞬遅れた。

ワン、トゥ、スリー。
どわあああああああああああああ!

その瞬間仙台市グランドアリーナが爆発した。(評価差400をひっくり返してしまったコンバット斉藤)

「いやいやいやいや、かいせつの井上さん、コンバット斉藤選手が勝ってしまいましたね」

大日本テレビ森アナウンサーが愕然。かいせつの井上霧子もあ然。あの武藤めぐみがここで取りこぼしてしまった・・・

「うっわー・・・・」

「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・」
25分5秒の激闘を制したコンバット斉藤、険しい表情で控室へ戻りぶっ倒れた。4月に続いてSPZ最強の武藤撃破。まさに武藤キラーだ。

敗れた武藤めぐみは頭を抱えた。
―油断したつもりはなかった・・でも向こうは諦めなかった・・・

第24回SPZクライマックス、イージス中森、コンバット斉藤、REKIが2連勝と上場のスタートを切った。若い力がこのまま突っ走るのか?(続く)

2008年6月16日 (月)

第431回 全てを賭けて走り出せ(1)

24年目8月

恒例のSPZクライマックス。出場者は以下の8名。例年通り8月3日の午後8時から、閉店後の横浜戸塚のメイド喫茶「あばしり」で、出場選手の記者会見が行われた。窓側に白いクロスが掛けられたテーブル。そしてアンティーク家具のイスが8つ。その前に記者スペース、カメラマン席が設けられた。例年の事なのであばしりサイドも慣れてきている。

「あとは、飲み物と軽食の用意ね~」

喫茶あばしり店長、鈴波かすりが店員に指示する。そして午後8時が近づき、記者さんたちが大挙して押し寄せてきた。

■「新・最強戦士」武藤めぐみ(21)SPZ世界王者

6年連続6度目の出場 第21回・22回・23回大会優勝 京スポ予想:本命
「まあ、やるだけだわ」

普通にやれば全員に勝てるだろう。4連覇の公算は高い。間違いなく優勝候補の筆頭、大本命。しかし直近1年間でもマッキー上戸、ノエル白石、ライラ神威、コンバット斉藤に1敗ずつを喫しており、100パーセントではない。

■「炎の闘志」マッキー上戸(22)

7年連続7度目の出場 

「全員ぶっ潰してやるぜおらああー」

16期生、昨年は本割で武藤めぐみを破り、優勝決定戦まで食い込んだ。力は衰えているが、得意技のスプラッシュマウンテンが決まればまだまだ上位でも通用する。

■「ネイチャーガール」ノエル白石(20)

4年連続4度目の出場 京スポ予想:対抗

「リーグ戦?・・よく、わからない・・・」

番狂わせで優勝をかっさらうとしたらこの人か。得意のSTOは威力満点な上に、切り返される事が少ない。昨年9月に武藤に勝った波乱を再現できるか。だが無邪気に「あばしり」のケーキを食っているノエル白石。どこまで自然体なんだか。

■「何をしでかすかわからない」ライラ神威(22)SPZ永久チャンピオン《自称》

5年連続5度目の出場 京スポ予想:大穴

「キエーヘヘヘヘヘヘヘッ!なにもかもぶっ壊してやる」

この人に至っては何も言うことはないだろう。勝敗度外視の反則ファイトでリーグ戦をかき回す。勝ち点を取りに行くタイプではないので、優勝の可能性は低い。が、優勝するためにはこの選手から取りこぼすわけには行かない。ある意味キーパーソン。

ここまでの4人がシード権組で、後の4人が6月の予選会の勝ち上がり組。予選会かいきなり優勝を狙うのは厳しいだろうが、シード権争いのこともあるので(7点以上または4位以内)活躍が期待される。

■「必殺仕事人」イージス中森(19)

3年連続3度目の出場 予選会1位通過

「一つでも多く白星を重ねます」

20期生のイージス中森、そろそろSクラ本大会でも存在感を示したいところだ。武藤のような派手さはないが、堅実なプロレスで上位をうかがう。

■「クノイチマスター」REKI(19)

初出場 予選会2位通過

「・・・・・・・」

山梨県奈良田の忍者、REKIがとうとう予選会を勝ち上がった。ライラ神威のタッグパートナーの座もしっかり板につき、SPZタッグベルトを奪取するなど実力をつけてきた。今年こそ農鳥は羽ばたくか!

■「ジェットスマッシュ」コンバット斉藤(18)

2年連続2度目の出場 予選会3位通過

「蹴って蹴って蹴りまくります」

出場メンツの中で最年少のコンバット斉藤。初出場した昨年は全敗に終わっただけにその悔しさを晴らせるか。4月に武藤めぐみをKOしたジェットスマッシュが決まればシード権獲得も充分ある。

■「氷の彗星」ラッキー内田(23)

7年連続7度目の出場 予選会4位通過

「えー、私、ラッキー内田は今シリーズ限りで引退します。応援していただいた皆様ありがとうございました」

ラッキー内田がついに引退を表明。SPZクライマックスが最後の闘いとなる。優勝は厳しいが、持ち前のテクニックで有終の美を飾れるか。

優勝者には例年通り賞金100万円、副賞としてブランド腕時計が贈られる。準優勝の選手には横浜中華街のお食事券5万円分。3位の選手にはスポーツドリンク24缶が贈られる。

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そして16期生の氷室紫月も「体力の限界」を理由に引退を表明。SPZの誇るかわいい系人気レスラー2人が同時に引退、今野役員は頭を抱え込むしかなかった。

第1戦釧路大会は前夜祭。

ジューシーペア(ラッキー内田&マッキー上戸)がメインイベントで最後の出陣。対戦相手は氷室紫月、野村つばさ組。

「ふっ!」
マッキー上戸のジャーマン狙いをうまーく回転エビ固めに切り返す氷室。このあたりのうまさはさすがだ。

ラッキー内田とも熱のこもったグラウンドの攻防を展開。しかし氷室のパートナーがアイドルレスラーの野村というのが微妙。SPZはいよいよ人材不足になってきた。
氷室が前面に立ってジューシーペアと向かい合うが・・・

「そらあっ!」
マッキー上戸のバックドロップ2連発。これで頭を打ってしまった氷室の動きが止まった。

「手加減しねえぜ、食らえ!」
容赦のないジャーマンで氷室をしとめた。こうしてジューシーペア最後のタッグは終わった。勝負タイム17分39秒。

マッキー上戸が吼える。

「ジューシーペア、最強ダァーッ!ワッハハ炉端焼きでも食いにいくかー!!」

肩を組んで二人引き揚げた。こうしてSPZ史上に残る名タッグが、釧路で、最後の戦いを終えた。

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でもって、翌日の第2戦、札幌どさんこドーム大会からはSPZクライマックスリーグ戦。

SPZクライマックスに出られなかった氷室紫月、前座の第1試合に登場。
「はぁぁっ!」
最後の札幌ということで気合いが入ったのか、三下外人ジーナ・デュラムを6分34秒、サソリ固めで撃破。

―ありがとう。

リング上でお辞儀をして氷室紫月、引き揚げた。

そしてSPZクライマックス、ド派手な入場式の後から地獄のリーグ戦が始まった。

オープニングマッチはREKI対マッキー上戸から。

REKI(2点、新蛇抜 13.08)M上戸

―まだ、アタシはここにいるぞ・・・

マッキー上戸、懸命にREKIを捕まえようとするが、スピードではREKIのほうが断然上。ドロップキックやローリングソバットで劣勢に立たされる。

―くそっ、どうすれば・・・
それでも何とかヘッドバットの連発でREKIがよろめいたところを捕まえてスプラッシュマウンテン。これで両者大ダメージ、しかし・・・

「決める」
REKIの農鳥、高角度ミサイルキックがおそいかかる。
カウント2.9で返すマッキー上戸。4期後輩の初出場選手には負けられない!

「ウオオオオオ!」

しかしREKI,立て続けに新蛇抜(しんじゃぬけ・変形フランケンシュタイナー)を決めて3カウント奪取。初出場の初戦を白星で飾った。

A中森(2点 ドラゴンスリーパー 19.33)R神威

悪の権化VS仕事師。しかし17期生でDFの首魁・ライラ神威も最近は動きが落ちてきている。じりじりとイージス中森が優位に立ち、ライラに付け入る隙を与えない。ライラのタイガードライバー狙いはうまくリバースにつぶされた。

最後はドラゴンスリーパーでライラからギブアップを奪った。

「ケッ 優勝なんかはなッから狙ってねえよ」強がるライラ神威。

C斉藤(2点、飛燕脚からの片エビ固め14.05)N白石

「はっ」
ノエル白石、先シリーズで右足首を負傷していたがリーグ戦には強行参戦。初戦の相手は難敵、21期のコンバット斉藤。試合が始まるやコンバット斉藤の打撃に手こずるN白石。飛燕脚が面白いように決まってゆく。蹴り乱打、棒立ちのノエル白石。ざわつくドーム。

「はぁぁっ!」
この日4度目の飛燕脚で吹っ飛ばされた。これで決着。ノエル白石、事実上のKO負け。

「よっし、ひとつ勝った・・」

コンバット斉藤、ようやくSPZクライマックスで1勝を挙げた。前SPZ王者のノエル白石から勝ったのは大きい・・・

武藤(2点、ノーザンライトSH 6.07)L内田

「まあ、胸を借りますよ」

ラッキー内田、笑いながらメインのリングに向かったが、結果は残酷、ノーザンとムーンサルトを交互に決められるひっどい内容。わずか6分7秒で武藤の前に散った。札幌のファンは唖然。あのラッキー内田が試合を作れない。

「・・・これが・・・現実です・・よぅ」

控室でがっくりうなだれるラッキー内田。第24回SPZクライマックス、リーグ戦初戦を終えて、REKI、A中森、C斉藤、武藤の4名が白星発進。(続く)

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筆者より、本日このリプレイ日記が6万ヒットを達成いたしました。つたなく他愛ないリプレイ日記にお越しいただきましてまことにありがとうございます。基本的にはゲーム上で起こった事をそのままふくらませて書いてますので、単調な部分もあるかとは存じますが、まあこれからもやれる範囲で頑張っていきますので、ご声援のほどお願いいたします。2008年6月16日、k.konno

2008年6月15日 (日)

入場SS06 disintegration

2035年6月

SPZも旗揚げ27年目に入り、日本屈指のプロレス団体として日本全国にその名を轟かせていた。それでも地方興行のときに不入りが予想されると、この団体は前時代的な手を使う。

「ちょっとひとっ走りいってくるよ」

街宣車を走らせる。ワゴン車の上部に選手のイラストが描かれた代物で、運転するのは上原今日子(39)、SPZ3期生、現役を離れてもう15年経っているが会社の重鎮、巡業部長として辣腕を振るっている。

今野役員(60)が助手席でマイクを握ってしゃべり係。

「島根の皆様こんにちわ、本日午後6時30分よりくにびきアリーナにて、SPZプロレスの興行を行います、チケットにはまだ若干の余裕がございます、今シリーズの目玉は最強外人ジェナメガライト、対する日本人陣営は・・・」

日本全国の地方都市でワゴン車を走らせる上原今日子、現役時代から運転は上手だった。そして興行が始まれば進行、選手へのアドバイス、渉外雑務なんでもやる頼もしい存在である。

「ゼェッ、ゼェッ、ゼェッ・・・・・」

第2試合で新人のマイティ祐希子が外人選手にボコボコにされて引き揚げてきた。控室手前の廊下にへたり込んでしまった。

「上原さん、痛いよ・・・思ってたより・・きつい」

まだシングルでは勝ち星のないマイティ祐希子。弱気にもなる。上原今日子が駆け寄ってフォローする。

「安心しろ、新人のうちはみんなこうだ。祐希子は素質があるから、そのうちドームのメインでシングルやれるよ」

「そうです、か・・・?」

半信半疑のマイティ祐希子。

「いままでに何人も新人を見てきたけど、あなたは何となく2,3年したら上でブレイクしそうな気がする、だからね、あたしが現役の頃使ってた出ばやし、祐希子にゆずるよ」

「えっ」

「今野さんには言っとくから、あしたからそのテーマ曲で上がりな、いつか・・・SPZベルトを巻いて、Sクラで優勝して、みんなの心をつかむスーパースターに、祐希子、あんたはきっとなれる。」

上原今日子、データの入ったオーディオプレーヤーを差し出した。

***********************

その翌日鳥取大会、マイティ祐希子は今日も第1試合で外人と当たるカードが組まれた。

場内に流れるテーマ曲、

「Forever Has Gone (永遠は過ぎ去った)」

「today is infinity (そして、今日から無限の道が広がる)」

「it's time to move on・・・・・・(さあ、動き出す時が来た!)」

昔を知る少しのファンはどよめいた。元SPZ王者上原今日子のテーマ曲「disintegration」が15年ぶりにSPZの興行でかかった。

「ホラ、行って来い、未来のスター候補!」

上原今日子がマイティ祐希子に声をかける。

「はい!」

マイティ祐希子が花道に姿を現した。またここでどよめき。会社側のこの選手にかける期待が大きいという事を理解したファンも多かった。

「Forever Has Gone」

2008年6月14日 (土)

第430回 もう、終わりにしましょう.

24年目7月 サマースターナイツシリーズ

でもって、第7戦幕張大会。メインはSPZタッグ選手権。王者ジューシーペアに対するは悪役軍団DarkFraction、ライラ神威、REKI組。

「さっさとベルト渡して休んでろコノヤロウ」

ライラが猛然と襲い掛かっていく。ラッキー内田の動きがかなり悪く、ライラ神威の反則混じりのラフファイトにただやられるだけ。幕張が残虐ショーと化した。

「おらおらおらおら!どうした!人気ナンバーワンもざまあねえなキェヘヘヘヘ」

ラッキー内田の顔面にパンチを入れるライラ神威。そして首絞め。カウント5直前で離してまた首絞め。幕張コンベンションホールは怒号に包まれた。

「ううっ。しばらくお願い・・・」

ずたずたにされたラッキー内田、パートナーのマッキー上戸につなぐのがやっと。そのまま場外でぶっ倒れてしまった。

「てめぇこのやろう!!」

マッキーがローンバトルを強いられるが、こんどはDFは二人がかりの攻め。何とかスプラッシュマウンテンで反撃するが単発に終わる。徐々にあせりの色を浮かべるマッキー上戸。

―ここはなんとしても耐えねえと、REKIが出てくれば・・・

しかしREKIもかなり力をつけている。かつてのような実力微妙ではない。

「・・・決める」
疾風のように間合いをつめて、マッキー上戸にタイミングよくSTO,カットに入るべきラッキー内田は場外でのびている!!

「ワン、トゥ、スリー」

これで3カウントが入った。勝負タイム20分13秒。王座移動。悪の軍団へタッグベルトが渡ってしまった。

*************************

SPZタッグ選手権(60分1本勝負)

ライラ神威、○REKI(20分13秒、STOからの片エビ固め)ラッキー内田×、マッキー上戸

第47代王者が初防衛に失敗 ライラ神威、REKI組が第48代王者となる

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「キェーヘヘヘヘヘ!ラッキー内田なんかたいした事ねえぜおらあっ、8月SPZクライマックス、ぶっ潰してやる。よーく覚えとけ、SPZ永久チャンピオンはこのライラ神威なんだよオラアッ」

悪役が勝ってメインが終わるバッドエンド。幕張のファンはブーイングで応えた。

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その夜、SPZご一行は巡業を終えて横浜戸塚に戻ってきた。第2自社ビル合宿所前で解散。通いの選手が社宅へ戻ってゆく。が、ラッキー内田とマッキー上戸は深夜の道場で言い争いをしていた。

 「もう、終わりにしましょう。ジューシーペアは」

「何に言ってんだよ!!」

 「・・・そろそろ、この辺が、潮時だと思うの・・・」

「おまえなあ!!」

ラッキー内田、泣きそうな表情で限界を切り出す。帰りのバスできょうの試合の映像を見て、メインを張れなくなったと判断した。

 「分かって、とはいえないけど・・・私達はレスラー。進退の判断は自分で決めなくちゃいけない、あなただって・・・」

「るせえな!勝手にしろっ!!」

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翌日の最終戦は新日本ドーム大会。メインのカードが弱かったが、営業努力の甲斐あって超満員の観客で埋まった。

第1試合はセイレーン千春対ジェシービートン。一昨日の宇都宮大会に続いての対戦。スタミナに難のあるセイレーン千春、やはりビートンのエルボーに散った。実に前座らしい一戦。勝負タイム9分39秒。

第2試合はジェニービーチ対ワイルドローズ2号。実力派対個性派の外人対決は盛り上がった。最後はJビーチがミサイルキックでカウント3奪取。勝負タイム11分5秒。

第3試合はイージス中森登場。団体最古参の成瀬唯と組んでハムル・シアター、パトリシア・ルイスの実力派外人コンビと対戦。この試合から大日本テレビのカメラが入った。

「いくでぇー」
成瀬、逆片エビ固めでパトリシアを絞り上げるがさっと引っ込んでA中森につなぐ。このあたりの引きどころはきちんとわきまえている。

「んー、成瀬選手、後輩の中森選手をうまく使ってますね。若い選手はなかなかこれができないんですよ」

しかし試合後半、再度、成瀬が出てくるや外人チームが猛ラッシュ。やはり弱いレスラーは狙われる。

「ううう・・・」
ハイキックでフラフラになりながらも成瀬唯、DDTで手数を返していい流れでイージス中森につなぐ。

「お前の負けだ!」
パトリシアルイスもハッスルして裏拳をイージス中森に叩き込むが、これで闘志に火がついたのか、

「せぇぇい!」
イージス中森、ブリッジの効いたノーザンで投げきって終了。勝負タイム14分22秒。

「はぁ、はぁ・・・あーしんどかった・・・」

成瀬唯の頑張りに場内ものすごい拍手。シングルマッチなら厳しいが、タッグマッチではインサイドワークがものを言う。きっちり自軍に勝利を引き寄せた。
その試合が終わると休憩。

**************************

休憩開けの試合に早くもジューシーペア登場。昨日タッグベルトを失ったばかり。対戦相手のREKI,ナイトメア神威に向かっていくがどうにも迫力がない。ラッキー内田も動きにいまひとつキレがなく、ナイトメア神威に攻め込まれる。さらにはマッキー上戸もブレーンバスターの打ち合いでナイトメアに負ける始末。

しかし中盤になってマッキー上戸がエンジンをかけなおしてきた。REKIに頭を使ってヘッドバット乱打。試合は盛り上がった。DFもREKIがうまく若いナイトメアをリード。しかしライラ神威のような「毒」がない。

しかしナイトメア神威、ジューシーペア相手のプロレスに疲れてしまって後半はリング下でうずくまってREKIの闘いを見てるだけ状態になってしまった。

「いかんですね。相手はジューシーペアなのに集中力切れちゃってますね。」

かいせつの吉田龍子(SPZ社長)が手厳しいコメント。

こうなるとジューシーペアが俄然有利に。
何とかローンバトルをしのいだREKI,ナイトメア神威につなぐもナイトメア本来の動きではなくなっていた。

「ウオオオーーーーッ!!」

あっさりマッキー上戸のフェイスクラッシャーに3カウントを奪われた。ジューシーペア、19分27秒の熱闘を制し、昨日の鬱憤を晴らした。

試合終了後、ラッキー内田が四方に頭を下げて、リストバンドを客席に投げ入れた。あまりこういうことをしない常連ファンはこの時点でアレッと思った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

吉田社長も複雑な表情。この日の開場前、面談をしたばかりだった。

セミファイナルは6人タッグマッチ。

氷室紫月、ノエル白石、野村つばさの3人がDFのライラ神威、コンバット斉藤、マーメイド千秋と激突。DFの悪の連係にノエル白石が敢然と立ち向かう。力押し戦法でコンバット斉藤が大苦戦。ライラ神威も昨日のタイトルマッチ激闘の後で力が入らないのか、押し込まれる。
しかし野村つばさが出てくるやDFがつぶしにかかる。ライラ神威がコーナーで叫ぶ。

「カスが出てきた、やってまえ」
しかし野村つばさ懸命に応戦して氷室につなぐ。最後は混戦の中ノエル白石対マーメイド千秋の局面。

「もう、終わりにするの・・・」

ノエル白石、恐ろしい決め台詞を吐いてから、必殺ムーブのSTO炸裂。一度目はライラがカットしたが2度目は氷室が逆カット。16分10秒、ノエル組みが激闘を制した。

メインのSPZ選手権、武藤めぐみの今回の挑戦者はトップ外人のローズ・ヒューイット。TWWAを新女に持ってかれたためもうこの人しかいなかった。だが試合は武藤が一方的に攻めてしまう展開。延髄斬りからムーンサルトでヒューイットお嬢様を寄せ付けない。バスターローズを一発あえて受ける余裕も見せた。最後はノーザンでびしっと決めて終了。勝負タイム18分44秒、武藤めぐみ4度目の防衛に成功。通産防衛記録も20の大台に乗せた。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ(18分44秒、ノーザンライトスープレックスホールド)ローズ・ヒューイット

第67代王者が4度目の防衛に成功

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(参考SPZ世界選手権 通算防衛回数 24年目7月時点)

(1)吉田龍子 22

(2)ビューティ市ヶ谷 21

(3)武藤めぐみ 19(現役)

(4)伊達遥   13

(5)ハイブリッド南 10

終了後、武藤めぐみが珍しくマイクアピール。

「応援ありがとうございます。おかげ様でベルトを守る事ができました。来月、SPZクライマックス、全部勝って4連覇します。」

しかし、そのときオーロラビジョンにライラ神威が大写しになった。ざわめく場内

「アホウが!お前なんかに賞金100万円なんかやらんぞボケ!いいかあ、SPZクライマックス、ことしはタダで済むと思うな(以下罵詈雑言につきカットされた)」

そして24年目8月、今年も真夏の祭典SPZクライマックスが始まる・・・・・

2008年6月13日 (金)

第429回 宇都宮バトル

24年目7月

サマースターナイツシリーズ開幕。青森を皮切りに東北各所を南下してゆく。
第4戦山形大会メインはあばしりタッグ戦。王者Jビーチ、ジェシービートン組に挑むのはSPZ正規軍から野村つばさ(18期)、成瀬唯(15期)組。SPZも人がいるようでいない。4人が4人とも実力微妙なのだが、それなりに試合は盛り上がった。

―ウチも最後に、もうひと花咲かす!
成瀬唯、外人相手に懸命にぶつかっていったが、Jビーチにつかまってしまい最後はミサイルキックで終了。勝負タイム20分59秒、王者組が2度目の防衛に成功。

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あばしりタッグ選手権(60分1本勝負)

○ジェニー・ビーチ、ジェシー・ビートン(20分59秒、ミサイルキックからの片エビ固め)野村つばさ、成瀬唯×

王者組が2度目の防衛に成功

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第6戦宇都宮大会。(全試合リプレイ)

SPZの宇都宮では以外に好勝負が生まれる。試合後の餃子を楽しみにしているのか。

前日福島県いわきで試合を行ったSPZご一行は12時ごろ専用サロンバス「NEWあおりんご号」で会場入り。近くの店で各自昼を済ましたあと、練習。コンバット斉藤、ナイトメア神威ら若手選手はリングでスパーリング中心の練習。年季の入った選手は軽めの調整。

「ふっ、ふっ・・・」

ラッキー内田はデジタルオーディオプレイヤーで音楽を聴きながら会場の外をランニングして汗を流す。人気選手のラッキー内田だが、もう動きは全盛期からかなり落ちてきており、引退を真剣に考えているが、まだタッグベルトを巻いているので頑張っている。

「開場しまーす」

17時30分、開場。待ちかねたファンがわらわらと入ってくる。選手はいったん控室に下がる。本部席には機材番の村越リングアナがたたずむ。BGMは村越さんお気に入りのディスコ音楽。

グッズ売り場では長蛇の列。地方の体育館なので長テーブルにシャツやサイン入り団扇やマグカップを並べただけだが、武藤めぐみTシャツ、ラッキー内田Tシャツがものすごい売れ行き。

「はいはーい、並んでください!」

吉田社長今野役員井上霧子ロイヤル北条の4人が営業スタッフとともに売りまくる売りまくる。全国48箇所にグッズショップを展開するSPZだが、会場売りもバカにならない。

「トムラウシ水下さい!」

「ライラ神威プロデュース」の「トムラウシ水」(500mlペット1000円)もかなり売れる。売上額の半分はDFの軍資金になるらしい。アーッという間に試合開始の6時半。

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第1試合はセイレーン千春対ジェシー・ビートン。

22期生のセイレーン千春だが、2年の海外遠征で学んできたのはパフォーマンスだけ、妹の千秋にも遅れを取っている。この日はあばしり王者のビートン相手にラフ殺法を織り交ぜつつ健闘したが、最後はビートンのエルボーであっけなく3カウントを奪われた。勝負タイム8分15秒。

「ウツノミヤ、サイコー! ギョーザ、サイコー!」

試合終了後、ビートンが本部席前でマイクアピール。どっと場内は沸いた。外人レスラーの間でもUTSUNOMIYAは評判になっているらしい。

第2試合はパトリシア・ルイス対ジェニービーチ。実力派外人同士のシングルマッチ。Jビーチは夏の興行らしく、ビーチボールを持って入場。リングイン前に客席に投げ入れるパフォーマンス。これでお客さんがどぉっと沸く。試合が始まっても実力派外人同士が熱い戦いを繰り広げる。

「決める!」

「仕事師」パトリシアの裏拳でビーチががくっとひざをつく。しかしビーチも意地を見せてフライングニールキック2連発。豪快な大技に宇都宮のファンは沸いた。これで3カウント。勝負タイム11分55秒。

第3試合で早くも世界最強ユニット・ヒューイット一家が登場。

ローズヒューイット、ワイルドローズ2号。対するはイージス中森(20期)、野村つばさ(18期)。この試合、実力者のイージス中森が、グラウンドレスリング主体でうまく立ち回ってヒューイット一家に付け入る隙を与えない。しかしヒューイット一家も絶妙のタッチワークで応戦。試合は長期化した。

「くっ・・・しぶとい」

ローンバトルで闘ってきたイージス中森、とうとう根負けして24分頃、実力微妙の野村つばさにタッチ。ここを見逃す外人組ではない。

「散れっ」

ローズヒューイット、あっさりシャイニングウィザードを叩き込んで勝利。

それでも25分51秒の激戦に沸いた。叩きのめされた野村つばさに肩を貸して引き揚げるイージス中森にも暖かい拍手が送られた。

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ここで休憩。グッズ売り場には人だかり。今野役員が売りさばく。ここまでの3試合が盛り上がったためいつもより売れた。

15分の休憩終了とともに今野役員が本部席へ取って返してゴングを3回叩く。そして場内に流れる「ラジオスターの悲劇」。

第4試合はミステリアスガール、前SPZ王者ノエル白石(19期)登場。対戦相手は実力派外人のハムル・シアター。いい組み合わせのシングルマッチ。

ハムルシアターもハイキック、DDTを繰り出し、ノエル白石のSTOを一度はカウント2.9で返すなど大いに健闘したが、

「もう、終わりにするの・・・」

ウアアアアアアア!!

場内この一言でどっと沸く。よっしゃあいくぞおらあ、とかシネコノヤロウより怖い一言。直後のSTOで終了。勝負タイム14分52秒の熱戦。敗れたハムルはしばらく起き上がれず、JビーチとJビートンに抱えられて退場。

セミファイナル。「アメジスト」が館内に流れ、SPZの女王・絶対王者の18期生、武藤めぐみが登場、今日は団体最古参の成瀬唯(15期)とコンビを組んで登場。対戦相手はDarkFractionのREKIとナイトメア神威。

「ウルァアアアアアア」

ナイトメア神威、REKIからタッチを受けたとたん暴れだす。先輩のライラ神威は凶悪極悪がテーマなのだが、ナイトメア神威はマジデヤバイ凶暴性をアピールしかし武藤には太刀打ちできない。それでもボディスラムでたたきつけていった。

「隠れてないで出てこんかいポンコツ!」

メインに出るセコンドのライラ神威が成瀬を挑発。

「いてこましたる!」

成瀬唯、きっちり脇固めで痛めつけて武藤につなぐ。

「覚悟して」
最後は武藤めぐみがノーザンでREKIをきっちり撃破。勝負タイム15分41秒。

「あっはははは。ま、当然かな」

武藤めぐみと成瀬唯が勝ち名乗りを受けて引き揚げる。そしてメイン。

まず、「Double Harmonize Shock!」がかかり、お揃いのTシャツを着たジューシーペアの2人(ラッキー内田&マッキー上戸)が入場。そのあと「ウォンテッド」がかかり、氷室紫月が入場。真夏なのに黒いガウンをきっちり着込んでリングイン。人気選手3人の入場に場内の興奮はピークに。

そのあと、ヒールの3人が入場。

『うわああああ、あっ、うっ、あううううううん!』

悪趣味なおっさんの断末魔のイントロから「COLLECTIVE」がかかり、

「お気をつけ下さいお気をつけ下さいお気を付けください」

「キェーーーーーーーーーー」

村越リングアナが決まり文句を連呼し、ライラ神威が奇声を発しながらスタンロッドを振り回しながら入場。どよめく宇都宮のファン。もうSPZの風物詩だ。そのあと「DF」の黒い旗を持ったコンバット斉藤がぶんぶんと旗を振り回しながら入場。しんがりはマーメイド千秋。

メインイベント、ライラ神威が登場、暗黒空手ファイターのコンバット斉藤とマーメイド千秋を引き連れている。まずマイクアピール。

「おうおうおう、宇都宮のくされSPZファンども、来月SPZクライマックスあるんけどなぁ、うちらDark Fractionは優勝なんか考えとらん。あの高慢ちきの自称天才武藤めぐみをたたきつぶして連覇を止めさすんじゃあ、その前に今日はロートル3人をぶっ壊してやるぅぅ」

ライラ神威、しゃべりが終わるやいきなり襲い掛かって氷室紫月に鉄製の凶器一撃。

「・・・・ううっ」思わぬ急襲に氷室紫月は倒れてのたうち回る。1期先輩でもまるで容赦なし。これだからライラ神威は・・・

ブーイングと怒号が飛び交う中ゴング。しかし対戦相手のラッキー内田マッキー上戸氷室紫月も細かいタッチワークで的を絞らせない。このあたりは16期生の絆なのか。

「はっ!」
ラッキー内田、見事なノーザンでコンバット斉藤を投げつける。このあたりから試合が動き出した。

「シュッ!せいっ!」

勝負どころと感じたコンバット斉藤、コンバット斉藤、ニーリフトで内田を悶絶させ、氷室が出てきたところでライラ神威にスイッチ。その足でマッキー上戸を殴って場外乱闘を仕掛ける。マーメイド千秋は場外で悶絶したL内田を足止め。みごとなDFの連携。ああ氷室さんが孤立してしまった。こりゃ決まるなという会場の空気。

「ヒャーハハハハハハハ、トムラウシッ!」

ライラ神威、トムラウシで担いで落として氷室から3カウント。勝負タイム18分9秒。少々バタバタした展開だが、これでメインイベントは終わった。

「うう・・・」

セコンドにつかまりながら退場するラッキー内田と氷室、「けっ覚えてろ」などと言いながら退場するマッキー上戸。

「ヒャーハハハハハ、ジューシーペア、そんなに弱くてよくチャンピオンとか言ってられるな、明日幕張、血みどろパーティーだ、エーオラエー!」

最後はライラ神威がマイクで締めた。怒号が飛び交う中DFの3人が引き上げ、宇都宮大会は終わった。

2008年6月12日 (木)

第428回 24年目6月 さいたま決戦

24年目6月シリーズ、最終戦はさいたまドーム大会。

第1試合はジーナ・デュラム対ソフィア・リチャーズのネタ外人対決。

大声援を味方につけて優勢に試合を進めたジーナだったが、
「覚悟しなさいッ!」
ソフィアリチャーズが逆転の脇固め。
「ひいいっ・・・」
関節を極められたジーナさん、たまらずギブアップ。勝負タイム12分10秒、第1試合なのに場内悲鳴に包まれる。
「フン!こんな試合、勝って当然よ」

第2試合は野村つばさ(18期)対ワイルドローズ2号。アイドルレスラーの登場に沸いたが、ワイルドローズ2号の力強い攻めに防戦一方となり、最後はパワースラムに力尽きた。勝負タイム10分26秒。

第3試合のタッグマッチ。セイレーン千春、マーメイド千秋(22期)VSジェニービーチ、ジェシービートン。

姉と一緒にタッグを組んだマーメイド千秋がハッスルして、意外にえぐいバックドロップでジェニー・ビーチを退けた。勝負タイム9分4秒。その試合が終わると休憩。

休憩あけの第4試合はイージス中森(20期)と成瀬唯(15期)がタッグを組んでハムル・シアター、パトリシアルイスの実力派外人コンビと対戦。

―このシリーズはハードなシングルマッチが続いた・・・
予選会で疲れたのか、イージス中森、肩肘張らず外人相手にのびのびしたファイト。それがかえってよかった。

「成瀬さん!」
合体パイルでパトリシアから3カウント。勝負タイム11分24秒。

セミ前は6人タッグマッチ、SPZの極悪集団:ライラ神威(17期)、REKI(20期),ナイトメア神威(23期)のDF(ディフェンダーじゃないよ、ダークフラクションだよ)登場。いつものようにおっさんの絶叫つきの悪趣味な入場シーン、そしてライラ様はスタンロッドを振り回しながら入場。そしてコーナー最上段からグッズショップで売っているトムラウシ水(1000円)を水噴きパフォーマンス。

対戦相手は強豪外人チーム:ジェナメガライト、シンディー・ウォン、キャシー・ウォン。

この試合は盛り上がった。DFの好連係、メガライトのパワー。しかし最後はライラ神威が分断作戦に成功しキャシーを裏投げでしとめた。勝負タイム12分33秒。

「キェキェキェ、吉田龍子のアホウ、外人なんかとやらせやがって、8月のSクラでDFからは3人出るからなあ、そんときゃSPZをぶっ壊してやるぜエーーーー」

セミファイナルは武藤めぐみ(18期)対コンバット斉藤(21期)。

4月のコンバット斉藤七番勝負ではコンバット斉藤が勝っているカード。あのときはコンバット斉藤がジェットスマッシュがモロに入って失神という番狂わせを味わっているので武藤が積極的に攻める。コンバット斉藤はハードな予選会の直後とあって動きがいまひとつ。掌底も余裕で受けられてしまう。そして勝負どころと見るやローリングソバット2連発。やはりこの選手同じ相手には連敗しない。

「覚悟して」
ムーンサルト2連発からのシューティングスタープレスで圧殺。勝負タイム16分36秒、コンバット斉藤に完勝。

メインはSPZタッグ選手権、王者の氷室紫月(16期)、ノエル白石(19期)に挑むのはジューシーペア。
―もう一度タッグ王者を取る!
マッキー上戸が鬼神の攻め、ジャーマンでノエル白石から3カウントを奪った。勝負タイム22分32秒。

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SPZ世界タッグ選手権

ラッキー内田、○マッキー上戸(ジャーマンSH 22分32秒)ノエル白石×、氷室紫月

ジューシーペアが第47代王者となる

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2008年6月11日 (水)

引き裂かれた聖地

本日の「レッスルエンジェルスサバイバー リプレイ」は休載いたします。あしからずご了承ください。(バイオレンスな文章を書く気になれないので)

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私は秋葉原にはよく行きます。
惨劇のあった歩行者天国の行われている中央通り左側、秋葉原のソフマップ、メッセサンオー、メロンブックス等、その筋の方々にはたまらない品揃えを誇るショップの数々。店頭の看板にはかわいい女の子のイラスト看板が立ち並ぶ、夢と欲望の殿堂ストリートであります。いい悪いは別にして、世界的にもこんな無茶苦茶なショップの立ち並ぶ街はあまりないでしょう。私もErogameやその派生商品(KOTOKOさんや佐倉紗織さんのCDとか、いろいろ)を手に入れるためによく足を運んでいます。

まあ一般的にも、電気街の流れを汲む電気屋さんの数々、パソコンショップ、パーツショップなど、パソコン好きの方々にとっては見ていて飽きない商業集積地であります。

その秋葉原で、7人もの人命が奪われ、10名の方々が重軽傷を負うという痛ましい事件が起こってしまいました。

何でこのような無差別殺人が起こってしまったのか。現時点で新聞やテレビの報道を聞いた限りでは、派遣社員として働いていた容疑者が、不安定な立場に置かれていて、作業着が見つからなかった事で解雇されると思い込み、自暴自棄になり、(この辺の心理がよく分からないのですが)自分をこんな境遇に置く社会への恨みを晴らそうと、日曜日の買い物客で賑わう秋葉原でのテロに近い無差別殺人を決行。秋葉原を舞台に選んだのは歩行者天国で人通りが多い、以前行ってて土地カンがある、そしてなにより世界的に知名度のある場所なのでセンセーショナルに取り上げられるだろうという自己顕示欲かと思われます。

容疑者が警察で発した言葉「世の中が嫌になった、生活に疲れた」これは20代30代の年収300万前後の勤め人なら、程度の差こそあれ、誰しも一度は思うことだと思います。正規雇用で長時間労働をするか、不安定な非正規雇用に身をおくかの選択を迫られているのが現状です。休みが潰れたとか、夜遅くまで働かされて、月の残業時間が80時間を越えるとコノヤロウと思うのですが、このような社会体制を選択しているのは我々有権者であるというのも事実であります。

他人よりうまい物を食べたい、他人よりカッコイイ服を着たい、きれいな彼女と一緒にベイシティのホテルに泊まりたい、といった欲望を源泉としている競争社会の行き着く先が、勝者と敗者を二極分化させてしまう世の中であります。人を倒して自分が生きる。それが人間社会の定法ではなかったかー(ノホホンと仕事をしていたら、そのポジションを奪われてしまいます。野球選手なら引退できますが、会社員は生活がかかっています)これは真理であります。こういう世の中を変えるには投票行動で意思表示するしかありません。だが、2005年の衆院選挙で与党が圧勝したように、大衆の大半はこの競争社会の体制を支持しているのもまた事実であります。

そのような苛烈な競争社会の中でどう意識を砕かれずに生きていくか。重い課題だとは思いますが、何でもいいので楽しめる場所を自分の中で持っておく、精神衛生を自分でコントロールするといったことが必要ではないかと思います。昼間会社で上司に叱責されても、交渉相手に心無い言葉を吐かれたとしても、これをやれば気が晴れる・・・といった何かを持っておきたいものです。私にとっては、それは登山旅行とゲーム、スポーツ観戦、カラオケ・・といったところであります。

また、働く事が人生の全てではありません。私は現時点で会社員ですが、今の会社がいつ潰れるかも分かりませんし、お前はもう要らないよと戦力外通告を受けるかも分かりません。そうなったらそれはそれで運命です。それから次を探せば良いだけの話です。もっとも、それまでのつなぎの生活費として1年分くらいのたくわえを持っておかなければなりませんが・・・

とはいえ無関係の他人に危害を及ぼす卑劣な行為は許される事では断じてありません。日本には「ひと様」という表現があります、ひと様の前で恥ずかしくない服装をする、ひと様の前で歌うのだから練習する・・・他人を尊重するという意味合いの言葉です。私が旅先でアクシデントがあったとき、見ず知らずの人に助けてもらった、励ましの言葉をかけてもらったことも少なくありません。ひと様を大事にする、尊重するといったことは人間として当然の事だと考えます。

最後に、亡くなられた7人の方に心から哀悼の意を表します。合掌。

2008年6月10日 (火)

休載のお知らせ

8日午後に起こった、秋葉原無差別通り魔事件で亡くなられた7名の方に心から哀悼の意を表します。

なお、本日と明日の「レッスルエンジェルスサバイバー・リプレイ」連載は休載いたします。

2008年6月 9日 (月)

第427回 24年目6月 運命が回り出す音(後編)

24年目6月 SPZクライマックス予選会(続き)

第5戦、滋賀大会。
M千秋(2点、ステップキックからの片エビ固め 13.32)成瀬(0点)

最古参レスラー、15期生成瀬唯がマーメイド千秋にも屈した。
「そんな・・・」

SPZクライマックス本大会出場は厳しいのは分かっていた。でもひとつも勝てないとは・・・

REKI(8点、STOからの片エビ固め)N神威(0点)

「消えろ」

REKIの必殺ムーブ、農鳥が命中。しかしナイトメアは2.9で返した。しかし動じる様子もなくつづけざまにSTOを決めて決着。

氷室(8点、スリーパーホールド 18.31)C斉藤(6点)

コンバット斉藤、いよいよ上位選手との対戦。氷室のねちっこい責めに苦しむが、ニーリフト、裏拳でダメージを与えていく、

が、18分過ぎに氷室がスッとスリーパーで捕らえた。

「ウッ・・・・」

失神。
「うわ、危険だ、離せ氷室、試合終了だ!」
危険と判断したロイヤル北条レフェリーが試合を止めた。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

コンバット斉藤3勝2敗、星勘定が苦しくなった。まだラッキー内田、イージス中森といった強敵との対戦を残している。

「おう、斉藤さんよ」

「あと2つ、締まって行けよう。3人でSクラに出て武藤めぐみをぶっ殺してやろうぜ」

「はい・・・」

A中森(10点、ノーザンライトSH 12.27)L内田(6点)

イージス中森、当たり前のようにラッキー内田を沈めた。フィニッシュはみごとなノーザン。イージス中森これで5連勝、本大会出場を決めた。

「これくらい当然です。気を抜かず残り二つも勝ちに行きます」

10点 A中森(当確)

__________

8点 氷室 REKI

6点 L内田、C斉藤

残るイス3つを、4人で争うイスとりゲーム。16期生の2人、DFの若手2人、脱落するのは誰か・・・・

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第6戦は和歌山大会。

M千秋(4点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 13.35)N神威(0点)

ナイトメア神威、初白星が遠い・・・

しかしDFの首魁ライラ神威の評価は高い。

「いや、でもアイツはいい試合してるよ。ああいうのが将来大成するんだ。壁突き抜けてね、がはははは」

REKI(10点、農鳥からの片エビ固め 10.05)成瀬(0点)

REKIが5勝目。手堅くファイトして成瀬を追い込み、そしてコーナーにすばやく登った。出るぞ出るぞといった感じで場内ざわつく。

「農鳥」

一瞬視界から消えて、真上からREKIが急降下で蹴ってくる。

「うわあーっ」

これで大先輩の成瀬をしとめた。これで10点をかき集め、REKIも本大会出場を確実にした。

ー決まった・・・

デビュー5年目にしてSクラ初出場を決めたREKI,さすがに感慨深い表情で勝ち名乗りを受けた。忍者上がりでお世辞にもレスリングのうまい選手ではなかったが、抜群の跳躍力を生かしたムーブで存在感を出し。必殺技の農鳥でついに一流選手の仲間入りを果たした。

「フッフッフッ、これで2人目。今年こそあのクソバカを本大会でヌッ殺してやる・・・」

試合を花道奥で見ていたDFの首魁・ライラ神威が花道でニヤリ。目をかけてきた後輩のタッグパートナーが本大会出場を決めてうれしかったのだろう。

A中森(12点、ドラゴンスリーパー 15.17)氷室(8点)

すでに本大会出場を決めているイージス中森6連勝。落ち着いて氷室を攻めて、最後はドラゴンスリーパーで処刑。なんとあの失神大王氷室からギブアップといわせた。

「前にも言いましたが、本大会で活躍するためにも予選会は全部勝ちます。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

16期生の氷室、本大会出場を決めることはできなかった。明日のラッキー内田戦に予選会突破をかける。

C斉藤(8点、パワースラムからの片エビ固め 12.06)L内田(6点)

2敗同士の対戦。コンバット斉藤は翌日にイージス中森戦を残しているだけにぜひとも今日勝っておきたいところ。本人もその辺は分かっていて猛然と攻める。ニーリフトをがすがす叩き込んでラッキー内田をマットに這わせる。

「うっ・・・」

蹴られ続けたラッキー内田、だんだん追い込まれていった。

ーきつ、いな・・・

ラッキー内田、逆転を狙ってラッキーキャプチャーZを仕掛けたが、コンバット斉藤は懸命にロープへ逃げた。そして裏拳で揺さぶってから、

「せえええい」

パワースラムで元SPZ王者のL内田を沈めた。

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予選会リーグ戦、残るイスは2つ。

(出場決定)イージス中森12点、REKI10点

コンバット斉藤 8点(残る相手:イージス中森)

氷室紫月 8点(残る相手:ラッキー内田)

ラッキー内田 6点(残る相手:氷室紫月)

数字の上では16期のラッキー内田が6点と不利だが、まだ氷室との直接対決を残しているので可能性は残している。なお、同点で並んだ場合は大会規定により直接対決の勝者が上位とみなされる。ここらへんがどう作用するか。

ー身体ははっきり言ってボロボロ。でもそれは氷室さんも一緒だと思う。明日はなんとしても、勝つ・・・

ラッキー内田正念場。しかし氷室紫月も8年連続本大会出場の偉業(吉田龍子に並ぶ記録)がかかっているので負けられない・・・

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第7戦は長野大会。
N神威(2点、地獄落としからの片エビ固め 13.02)成瀬(0点)

けっきょく成瀬唯は全敗でリーグ戦を終えた。デビュー2年目のナイトメア神威にも敗れてしまった・・・

「あかんかった・・・」

REKI(12点、新蛇抜からのエビ固め8.57)M千秋(4点)

ここまでなかなかシングルでは芽が出なかったREKIがようやくSPZクライマックス本大会出場。この日は格下のマーメイド千秋を軽くさばいて12点、有終の美を飾った。

C斉藤(10点、飛燕脚からの片エビ固め 17.36)A中森(12点)

勝って本大会出場を決めたいコンバット斉藤、全勝で本大会出場したいイージス中森。意地とプライドがぶつかり合う好勝負となった。

「ホアァァー!」

最後は飛燕脚が命中。これで3カウントを奪ったコンバット斉藤、2敗でリーグ戦を終え本大会出場を決めた。

「はぁ、はぁ・・・・これで、本大会に行ける・・・」

なにしろシングルで武藤めぐみをKOしたコンバット斉藤のことだ、蹴りがヒットすれば大物食いもできるから大いに期待できる。

「ふっふっふっ、これで3人・・・」

DFの首魁・ライラ神威がほくそ笑む。シード権を持っているライラ神威とあわせて3人がSクラ本大会に出る。もうかつてのジュエルローゼス並みの力を持つ派閥になってきた。3人が力を合わせて武藤包囲網を敷けばプレッシャーを与えられるだろう。

L内田(8点、ラッキーキャプチャーZ 17.16)氷室(8点)

勝ったほうが予選会突破というシビアな16期生対決。かつてはSPZ選手権を争ったこともある両者が本大会出場最後の1枠をかけて争う。先に仕掛けたのはラッキー内田。シャイニングウィザード2連発で優位に立つ。この選手ほんとに器用だ。

「これで決まり」

氷室ドラゴンスリーパー、

しかし焦って仕掛けたためかラッキー内田がうまくロープへ逃れた。そして、

「これで、決める・・・っ」

ラッキー内田の代名詞、ラッキーキャプチャーZ。耐えた氷室だったが、ついにギブアップ。この瞬間、氷室紫月の8年連続本大会出場の夢はついえた。

「これも、運命・・・」

それでも表情一つ変えず引き揚げる氷室紫月。

この結果、予選会1位通過イージス中森、2位通過REKI、3位通過コンバット斉藤、4位通過ラッキー内田が決まった。

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山梨大会のメインイベントはSPZ選手権、王者武藤めぐみに対するは前王者ノエル白石。しかし今回は武藤が一方的に攻めてそのままノーザンで終わってしまうという展開。勝負タイムも17分44秒と短め。王者が3度目の防衛に成功。これで吉田龍子のもつ通算防衛回数記録22まで「あと3」とした。

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SPZ世界選手権

武藤めぐみ(17分44秒、ノーザンライトSH)ノエル白石

第67代王者が3度目の防衛に成功

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2008年6月 8日 (日)

第426回 24年目6月 運命が回り出す音(前編)

24年目 6月

恒例のSPZクライマックス予選会。出場選手は以下の8名.。

ラッキー内田、氷室紫月、イージス中森(前回本大会4点)

コンバット斉藤(前回本大会0点)

REKI(20期)

成瀬唯(15期)

ナイトメア神威(23期)

マーメイド千秋(22期)

リーグ戦の得点上位4名が本大会に出場できる。さて第1戦の沖縄大会。

REKI(2点、農鳥からの片エビ固め 12.37)C斉藤

REKIが白星スタート。実力では追い越されたコンバット斉藤を農鳥で振り切った。

「斉藤ちゃん」控室でライラ神威が一言。

「むとめに勝って、本大会に出れないなんてアホだぞ。残り全部勝つつもりでやれや」

A中森(2点、タイガーSH 11.36)成瀬

イージス中森も危なげなく白星発進。

「本大会は出て当たり前です。予選会は全部勝ちます」

氷室(2点、ダイビングプレスからの体固め 12.51)N神威

ナイトメア神威、氷室をあと一歩のところまで追い込んだが最後はドラゴンスリーパーで気が遠くなったところをダイビングプレスに敗れた・・・

L内田(2点、STOからの片エビ固め 13.0)M千秋

―この私が、予選会・・・
しかも格下のマーメイド千秋にバックドロップを食らうなど追い込まれてしまう。

「アーッ!」
普段は見せない奥の手STOまで繰り出してようやく白星ゲット。

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2戦目は静岡大会。

C斉藤(2点、パワースラムからの片エビ固め 10.44)成瀬(0点)

コンバット斉藤が初日を出した。団体最古参の成瀬唯をまったく寄せ付けず白星。

A中森(4点、ドラゴンスリーパー 9.26)N神威(0点)

「はぁぁぁぁぁぁ・・・」
ブレーンバスターの打ち合いを制したのはイージス中森。ここから一気に攻めてドラゴンスリーパーで2勝目。

氷室(4点、サソリ固め、10.43)M千秋(0点)

「運命を感じる・・・」
氷室紫月、マーメイド千秋の挑戦を余裕で退けた。さすが元SPZ王者。

REKI(4点、アームホイップからの片エビ固め 13.55)L内田(2点)

序盤から攻め込むREKI,ラッキー内田は攻め手が返せない。スリーパーで反撃するが単発。逆に場外で新蛇抜2連発を浴びてしまう。最後はなんとアームホイップでカウント3を許してしまうという恥ずかしい負け方。

「・・・・・くっ」

ガラガラと崩れ落ちるラッキー内田のプライド。その夜はマッキー上戸と居酒屋で泣きながら飲みまくったらしい。

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第3戦は三重大会。

C斉藤(4点、裏拳からの片エビ固め 7.10)N神威(0点)

地元凱旋で燃えるコンバット斉藤が7分でナイトメア神威を片付けた。

A中森(6点、ノーザンライトSH 8.47)M千秋(0点)

イージス中森3連勝。格下相手には強いこの人。

REKI(6点、新蛇抜からのエビ固め 12.0)氷室(4点)

2連勝同士の対決。

―今日勝てば、本大会が見えてくる・・・
奈良田の里の面々はさぞ喜ぶことだろう。

―いかんいかん、雑念は捨てて目先の一試合に集中しなければ・・・

REKIのスピードに氷室がついていけない。あっという間に劣勢に追い込まれる。最後は新蛇抜(変形フランケンシュタイナー)で幕。

「・・・・よし・・・」

L内田(4点、ラッキーキャプチャーZ 13.19)成瀬(0点)

先月の東西対抗のときと同じカード。ラッキー内田がSTOを見せるなど懸命のファイト。最後は伝家の宝刀ラッキーキャプチャーZで2勝目。

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第4戦は岐阜大会。
C斉藤(6点、裏拳からの片エビ固め 7.58)M千秋(2点)
コンバット斉藤の打撃が冴える。これで3勝目。

A中森(8点、タイガーSH,15.49)REKI(6点)

全勝同士の対戦はイージス中森がタイガースープレックスで振り切った。
「予選会は全勝します。そのくらいやらないと本大会では活躍できません」

氷室(6点、ステップキックからの片エビ固め 13.44)成瀬(0点)
「ウチも、弱なったな・・・」
成瀬唯、シューズの紐を結びながらひとりごと。この日も氷室の猛攻にただやられるだけ。

L内田(6点、STOからの片エビ固め 14.56)N神威(0点)

「・・・高瀬(ナイトメア神威の本名)」
試合前、ライラ神威がナイトメア神威にアドバイスする。

「今日おまえが勝てばラッキー内田は精神的にボロボロや、つぶして来い・・・」
ナイトメア神威、地獄落としなどであと一歩まで追い込んだがー

「行きます」
ラッキー内田がこのシリーズ多用しているSTOに散った。

「勝つには勝ちましたけど・・・納得いきません」
デビュー2年目のナイトメア神威にカウント2.8まで追い込まれたのだ。

ー動けなくなっているのは分かる。でもSクラには出たい。

予選会リーグ戦、4戦まで消化して、4つのイスをA中森、氷室、L内田、REKI,C斉藤の5人で争う展開。まさにサバイバルレース。16期生で女王戴冠経験もあるSPZの顔、氷室紫月とラッキー内田、若手の猛追を振り切ってSくら出場権を守れるのだろうか・・・

(続きます)

2008年6月 7日 (土)

第425回 24年目5月 武藤めぐみ×ジェナ・メガライト ほか

24年目5月
ライラ神威が負傷欠場。

5月シリーズ「ハイパーバトル」開幕。九州各地を回る。

第3戦別府ビーコンホール大会メイン。ハムル・シアター離脱に伴い、空位となっていたあばしりタッグ王者決定戦。

SPZのはぐれ狼コンビ、セイレーン千春、マーメイド千秋対ジェニー・ビーチ、ジェシー・ビートン。

だがセイレーン千春の技量は新人並み。いったいアメリカで何を学んできたのかという状態。最後はビートンにフロントスープレックスで投げつけられて終了。勝負タイム11分25秒。

「ダメだあいつ。」
吉田龍子社長が厳しい判断。メインイベントの仕事すら果たしていない。

第4戦熊本アクエリアンドーム大会、メインに組まれたのはSPZ選手権、王者武藤めぐみに挑むのは最強外人ジェナ・メガライト。熊本で女王のタイトル戦が組まれるのもひさしぶりである。しかし武藤が猛攻。メガライト防戦一方。

「覚悟して」

最後はムーンサルトで16分29秒、あっさり武藤が2度目の防衛に成功。累計防衛回数は18となり、歴代トップの吉田龍子へあと4となった。

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第7戦山梨大会。メインに組まれたのはSPZタッグ戦。王者氷室紫月、ノエル白石組に挑むのは武藤めぐみ、成瀬唯組。

「あたしが2人分闘います。成瀬さんはコーナーで見ててください」

「・・・はいはい。」

だがやはりいくら武藤めぐみでも氷室ノエルの2人を相手にするのは無理があった。弱ったところをやむを得ず成瀬にタッチ。あーあという声が場内からちらほら。そこへノエル白石がSTO、ニーリフトと仕掛けて終了。勝負タイム30分27秒。王者組が1回目の防衛に成功。

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最終戦は横スペ大会、恒例の東西対抗戦。

N神威(北海道)○(10分16秒、タイガードライバーからのエビ固め)M千秋(鳥取)

22期生のM千秋と23期生のN神威が熱い闘い。試合を制したのはナイトメア神威が繰り出したタイガードライバーだった。なお22期生のセイレーン千春は「誰とやっても負けそうだから」という理由で第1試合で外人と混じって6人タッグにまわされた。

C斉藤(三重)―○A中森(徳島)

先月時間切れドローに終わった七番勝負最終戦の再戦。イージス中森がコブラツイストでギブアップを奪った。勝負タイム23分29秒の激戦。打撃で押していただけにコンバット斉藤は愕然とした表情で引き揚げた。これで1勝1敗のタイ。

REKI(山梨)○―野村(愛媛)

東軍ボーナスステージ。あっさりとREKIがアイドルレスラーをSTOでしとめた。勝負タイム6分36秒。

N白石(新潟)○-M上戸(鳥取)

年長組が登場。マッキー上戸、ズルズルと攻め込まれてバックドロップに敗北。勝負タイム12分30秒。これで東軍が王手。

武藤(静岡)○―氷室(富山)

武藤めぐみ、あいかわらずお強い。氷室を軽く一蹴。勝負タイム11分19秒。これで東軍が4勝目を挙げて勝ち確定。

L内田(東京)○ー成瀬(大阪)

―シングルで横スペメインだ。ガンバろか・・

団体最古参の成瀬唯がイレこみながらラッキー内田へ襲い掛かる。ラッキー内田の動きも相当落ちているので、成瀬にも勝機がまったくないわけではない。しかし、

「はっ」
ラッキー内田のDDT炸裂。これで成瀬の動きが落ちた。
「行きます」
フランケンシュタイナー、ラッキーキャプチャー、シャイニングウィザードとつないで成瀬から3カウント奪取。勝負タイム19分25秒、そこそこいい試合だった。

この結果、東西対抗は5勝1敗で東軍が勝利、賞金60万円を手に入れた。

2008年6月 6日 (金)

第424回 大事件、それから

24年目(AD2032年)4月、SPZで磐石の女帝となっていた武藤めぐみが、21期のコンバット斉藤に不覚を取ってしまった。ジェットスマッシュを食らってしまって昏倒。

が つ。

武藤めぐみ、頭に直撃弾を食らって失神。そのまま3カウントを聞いた。勝負タイム15分40秒。

(評価差450をひっくり返したコンバット斉藤、この記録は過去最高です)

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!

名古屋のファンは絶句

「か、かいせつの吉田さん・・・・」

「うっわー・・・・・入っちゃいましたねえ」

あの天才姫・SPZ王者武藤めぐみがダークフラクションのナンバー3に敗れるとは。ノンタイトル戦だったからよかったもののこの試合にもしベルトがかかっていたらと思うと・・

敗れた武藤、気がついても何が起こったのか理解していない様子。そのまま担架で運ばれた。どよめきと悲鳴が交錯。恥ずかしさと屈辱に顔を覆う武藤。

「気にすんな、打撃が入っちゃうのはよくあることだ」

けっきょく武藤めぐみは大事を取って、吉田社長の運転する車で名古屋市内の病院に運ばれ、そのまま一夜を明かす破目になった。

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「・・・・・・・・・・・・・」
ざわめきが収まらないまままま始まった名古屋大会メインイベントはSPZタッグ戦。王者ライラ神威、REKIに挑むのは元王者ノエル白石、氷室紫月組。

しかしライラ神威が反則、ラフファイトで場内をあおってもセミで起きた戦慄失神劇の余波でお客さんがついていかない。こういうときに実力を発揮するのが氷室、じわじわと攻めてREKIをストレッチプラムで痛めつけてゆく。

あーもう、リアクションわりーなあ・・・

いくら氷室を殴ろうが蹴ろうが、客席からの反応は乏しい。セミで武藤めぐみの失神シーンがみんなの目に焼きついてしまっているのだ。

それでもライラ神威、渾身の力でノエル白石を担ぎ上げてカムイエクウシカウチ。カウント2で返すノエル白石。しかしこれでノエルも本気になってSTOで反撃。全身を強打したライラ。これで後をREKIに託さざるを得なくなった。

REKIとN白石の局面、ノエル白石がREKIにもSTOを仕掛けて追い込んで、
「えっと・・・」
パワーボム炸裂。これで3カウント、ノエル白石・氷室組が30分22秒の激闘を制し、タッグ王者に返り咲いた。

「ケッ覚えてろ」

タッグ王座を失ったライラ神威。倒れ伏すパートナーのREKIには目もくれずスタスタと引き揚げた。

そして、控室で覆面を脱いでボソッとひとこと。

「きょうはコンバット斉藤に負けたよ。セミでお客さんはおなかいっぱいになってましたね」

弟子(舎弟?)の予想外の活躍に苦笑い。

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SPZ世界タッグ選手権(60分1本勝負)

○ノエル白石、氷室紫月(30分22秒、パワーボムからのエビ固め)ライラ神威、REKI×

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翌日は東京に戻って、最終戦新日本ドーム大会。

武藤めぐみ、名古屋市内の病院に一泊したあと朝一で精密検査を受けたが異常は見当たらなかったので、名古屋近くできしめんをかき込んだ後、昼過ぎの「のぞみ(グリーン車)」で東京へ向かった。

「ま、無事でなによりやな。昨日の事は犬にかまれたと思うしかないで、気持ち切り替えていこか」

付き添いの成瀬唯が言葉をかけるが、武藤めぐみ(サングラスと野球帽で変装していた)は窓外を眺めていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

新人の頃、ボンバー来島と組んで出たタッグリーグでデイジー・クライに蹴りつぶされて失神に追い込まれた。あれから5年あまり、練習をかさね、プロレスの技術も上達し、不動のトップ選手となり女王、女帝と呼ばれるに至ったが、まず勝てると思っていた後輩相手に同じ負け方をしてしまった・・・・

よりによって最終戦新日本ドーム大会では武藤めぐみ、メインでSPZ戦が組まれている。そして相手はよりによって・・・

東京駅で「のぞみ」を降りた二人。何気なく見た駅の売店では、入荷したばかりの京スポ新聞が並べられていて、一面トップに自分の名前があった。

「むとめ 失神KO」

きのうの悪夢を思い出したのか、武藤めぐみの顔がこわばった。 

「・・・・・今日、出たくないな・・・」

 「武藤はん・・・」

武藤めぐみ、反対側の階段からコンコースに駆け下りた。

「武藤はん、ちょっと、お茶でも飲もうか」

東京駅構内にあるフルーツパーラーに武藤をつれこんだ成瀬唯、パインジュースを2人分注文してから、

「読みイや」

成瀬唯が今さっき買った、京スポ新聞を武藤の前に差し出す。

「えっ・・・」

「武藤はん、いいから読みイや。目を背けてもなんの解決にもならんで。若林さんなら悪くは書いとらんから」

先輩に云われては仕方がない。武藤めぐみ、震える手で京スポ新聞を手にとり、記事に目を通した。大写真はジェットスマッシュを食らった瞬間の写真が載っている。

(「ええええええええ!」名古屋で大事件が起こった。SPZ最強王者、武藤めぐみ(21)まさかの失神KO負け。名古屋しゃちほこドーム大会、セミファイナルで行われた、対コンバット斉藤(18)戦で、ジェットスマッシュをまともに食らって失神するというアクシデント。格下のコンバット斉藤にフォール負けを喫した。試合後も起き上がれなかった武藤は担架で運ばれ、大事をとって名古屋市内の病院に直行。吉田龍子社長(34)は「たまたま蹴りが入っちゃっただけ。あれはアクシデントだよ」と武藤をかばったが、24時間後に迫ったSPZタイトル戦、防衛に黄信号が灯った。

「あひゃひゃひゃひゃ!武藤のアホウが、日ごろの行いが悪いからこうなるんだ。別に無理して出てこなくてもいいんだぜ、そのまま病院で休んでろ。ドームはあたしの不戦勝だウァハハハハハ」きょう新日本ドームでSPZ女王の座を争う、悪の軍団ダークフラクションの首領・ライラ神威(22)が早くも勝利宣言。舎弟が前日深手を負わせて、首領が当日トドメを刺す腹づもりなのか。

しかし、歴史を紐解くまでもなく、悪は必ず滅びる。きょう新日本ドーム、われらがヒロイン、武藤めぐみは必ず不死鳥のようにリングに現れて、他人の不幸をあざ笑う人間の風上にも置けない悪の権化・ライラ神威に正義の鉄槌をガツンと下すであろう。ファンもそれを信じている。(若林太郎)

「ぷっ」

武藤めぐみ、ベタな書きっぷりに思わず笑ってしまった。

「がんばろうや、あんたならあんなやつ、チョチョいのチョイやろ」

「・・・はい。」

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そして新日本ドーム大会。

セミファイナルで「コンバット斉藤7番勝負最終戦」。これまで3勝3敗の五分なのでなんとしても勝っておきたいところだが、最終戦の相手はテクニシャンタイプの実力者、20期生イージス中森。あまり分の良くない相手だ。

案の定試合はイージス中森が優勢、コブラツイストでじわじわと攻める。しかし懸命に耐えるコンバット斉藤。そのまま時間が過ぎて30分タイムアップ。

「はぁ・・・はぁ・・・」

これでコンバット斉藤7番勝負は3勝3敗1分け、勝率5割となった。勝ち越しこそできなかったが、武藤めぐみに勝ったのは今後を考えると非常に大きい。

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メインはSPZ戦、王者武藤めぐみに挑むのは元王者でDFの首魁・ライラ神威。前回、昨年12月の対戦(さいたまドーム)ではライラ神威が勝っているので気の抜けない相手。

「青コーナー、SPZ永久チャンピオン、らいらー、かむーいー」

「赤コーナー、静岡県本川根町出身、SPZ世界選手権者、むとー、めぐーみー!!」

ドワアアアアアア

「おい、武藤めぐみのクソバカ、この氏にぞこないが、一生病院から出られないように、トドメさしてやるぜ、キェーーーーーー」

舎弟のコンバット斉藤が出会い頭とはいえ武藤に勝っているのに、ボスのライラ神威が負けるわけには行かない。無茶苦茶言ってから武藤に襲い掛かるライラ神威。

しかし今回は武藤めぐみの気合の入り方が違っていた。
前日の名古屋でコンバット斉藤に失神に追い込まれ、病院で一夜を明かし、今日新幹線で上京。王者のプライドはズタズタであった。そして難敵、ライラ神威と相対。

ー昨日は昨日。目の前の相手を倒すだけ!!

武藤めぐみ、早い段階でローリングソバットを仕掛け主導権を握る。しかしライラもヘッドバットで反撃。頭を狙う事で心理的にもダメージを与える。

しかし武藤、15分過ぎに優位に立ちダイビングプレス。これでライラ神威の動きが止まった。

「覚悟して」
ムーンサルトは2.5で返したライラ神威、ブレーンバスターで反撃して、

「ブッコワレロー」

カムイエクウチカウシ発動、しかし武藤、カウント2.5で返して、飛びつき腕ひしぎで反撃!!

クッ・・・腕が・・・

何とかロープに逃れたライラだったが、続くノーザンライトスープレックスを返せなかった。22分59秒、王者が初防衛に成功。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ(22分59秒、ノーザンライトスープレックスホールド)ライラ神威

第67代王者が初防衛に成功

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「勝った・・・・・」

なんとか極悪人を下した武藤めぐみ、荒い息をつきながら勝ち名乗りを受け、疲れきった表情で引き揚げた。

2008年6月 5日 (木)

第423回 名古屋で大事件発生

24年目4月

有望な新人が見当たりません・・・

あちらこちらに情報網を持っているスカウト担当役員井上霧子の力をもってしても、有能な新人が見当たらない。吉田社長はしかたがないので一昨年海外団体に無期限修行に出した22期生セイレーン千春を呼び戻して再入団させた。

が、道場で基本動作をやらせてみて吉田龍子の顔がこわばった。

―まるで、成長していない・・・

SPZで2年もまれたマーメイド千秋との差は明らかだ。海外団体を渡り歩くうちにパフォーマンスに溺れ、あまり技を磨こうとはしていなかったらしい。

4月シリーズ「旗揚げ23周年大創業祭」はドーム級の会場を回るので、「コンバット斉藤7番勝負」を特別企画として行った。武藤めぐみ、ノエル白石に次ぐスター候補は20期生のイージス中森、21期生のコンバット斉藤がいるが、今回は打撃に見るべきものがあるコンバット斉藤の七番勝負を組んだ。

「ぐわあああ・・」

初戦札幌どさんこドーム大会メイン。最強外人の元SPZ王者ジェナ・メガライトに投げまくられて動けなくなったところへ逆片エビ固め。コンバット斉藤これで悶絶。七番勝負は黒星スタート。

第2戦仙台大会、メインはコンバット斉藤対マッキー上戸。この勝負はデスバレー2発でコンバット斉藤が勝って七番勝負初勝利。

「まだいける・・・次もきっと・・」

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第4戦大阪なにわパワフルドーム大会、メインでコンバット斉藤対ローズ・ヒューイット。

実力トップクラスの外人なのだがコンバット斉藤が攻める。しかしローズ・ヒューイットもバスターローズで反撃。

「そんな?」
コンバット斉藤が勝負をかけた飛燕脚は2.8で返されて動きが止まった。

「散りなさいッ」

ヒューイットお嬢様にバックドロップ、シャイニングウィザード、ハイキックと畳み込まれてカウント3.あと一歩のところで競り負けた。

コンバット斉藤、SPZ外人トップ相手からは勝てなかった。まだまだ試合運びには粗さが残る。

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第5戦広島若鯉球場、メインに組まれたのはコンバット斉藤対ラッキー内田。一方的に攻めたコンバット斉藤がパワースラム2連発で激勝。

―私の力は・・・ここまで・・・

16期生のラッキー内田、たったの14分で5期下のコンバット斉藤に敗れてしまった。これでコンバット斉藤、7番勝負は2勝2敗。ピークを過ぎたとはいえSPZベルト戴冠経験のあるジューシーペアの2人を撃破したのだから悪くはない。

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第6戦九州ドーム。対戦相手は16期生の氷室紫月。

先月の埼玉ドームではあっさり屈してしまった相手だが、意外に早く訪れたリベンジの機会、コンバット斉藤、向かっていったがレスリングセンスでは氷室のほうが何枚も上。逆片エビ固めでじわじわと攻められる。こういう展開だとコンバット斉藤は苦しい。

しかしコンバット斉藤、体勢を立て直して裏拳で反撃。勝負は分からなくなったが、

「これでトドメ」

必殺のドラゴンスリーパーで氷室ギブアップ勝ち。先輩の貫禄を見せた。勝負タイム32分32秒の激闘だった。コンバット斉藤、これで七番勝負は2勝3敗となった。

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第7戦は名古屋しゃちほこドーム大会。セミファイナルで組まれたのがコンバット斉藤七番勝負、対武藤めぐみ。

「はっ!」

コンバット斉藤、団体最強の武藤にも臆することなく掌底をがすがす打ち込んでいって鼻から流血させる。

―あーもう厄介な後輩だわ。明日タイトルマッチなのに・・・

武藤めぐみ、だんだんイラついてきた。そこを突いてコンバット斉藤、ヘッドバット、裏拳と攻め立てる。ざわつき始めるドーム。もしかしてもしかすると・・・

―この一撃にすべてをかける!

ジェットスマッシュ!

コンバット斉藤の必殺右ハイがうなりをあげた!!

がつ。

武藤めぐみ、頭に直撃弾を食らって失神。そのまま3カウントを聞いた。勝負タイム15分40秒。

(評価差450をひっくり返したコンバット斉藤)

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!

名古屋のファンは絶句。信じられない光景を見たといった感じ。

「か、かいせつの吉田さん・・・・」

「うっわー・・・・・入っちゃいましたねえ」

あの天才姫・SPZ王者武藤めぐみが悪役軍団ダークフラクションのナンバー3に敗れるとは。この試合にもしベルトがかかっていたらと思うと・・

敗れた武藤、気がついても何が起こったのか理解していない様子。危険と判断した吉田社長の指示で、そのまま担架で運ばれた。

ウワアアアアアアア

どよめきと悲鳴が交錯。恥ずかしさと屈辱に顔を覆う武藤。

「気にすんな、打撃が入っちゃうのはよくあることだ」

メイン終了後、武藤めぐみは大事を取って吉田社長の運転する車で名古屋市内の病院に運ばれ、そのまま一夜を明かす破目になった

2008年6月 4日 (水)

第422回 もう、誰にも負けたくありません

23年目(AD2032年)3月

3月シリーズ「ファイヤーソウルシリーズ」開幕。

第5戦宇都宮大会であばしりタッグ王者組、ジェニー・ビーチ、ハムルシアター組が防衛に成功、ファントムローズ1号、ワイルドローズ2号を破った。

第7戦幕張大会、メインはSPZタッグ戦。王者メガライト、Jビーチ組に対するはライラ神威、REKI組。

メガライトのパワーに手こずったものの、格落ちのJビーチが出てくるや、悪役コンビは総攻撃。タッグマッチでは弱いほうを狙えというのは鉄則。

「ハハハハ・・・泣き叫びな」

カムイエクウチカウシ!
多くの強敵を屠ってきた大技が決まり、この一発でビーチは沈んでしまった。ライラ神威、REKI組がSPZタッグ王者に輝いた。

「獲った・・・」
REKI,山梨県奈良田から出てきて4年、ようやくタッグの頂点に輝いた。実力微妙だが鍛錬を重ね、リーダーのライラ神威をフォローして栄冠をつかんだ。

「ひゃははははははは、これで2冠王だぜ、SPZなんかもう終わりだな」

ライラ神威、SPZ世界永久チャンピオン(自称)と合わせてタッグ王座も奪取した。

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SPZ世界タッグ選手権

○ライラ神威、REKI(20分くらい、カムイエクウチカウシからのエビ固め)Jメガライト、J・ビーチ×

第44代王者が初防衛に失敗 ライラ神威&REKI組が第45代王者となる。

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最終戦はさいたまドーム大会。

第1試合は成瀬唯対野村つばさ。

団体最古参となった15期生の成瀬唯、対するは18期生のアイドルレスラー、野村つばさ。実力微妙の両者が第1試合で対戦。

動きのすばやさは野村だが、成瀬にはベテランのテクニックがある。この日もすきあらば脇固めを決めて悲鳴をあげさせまくる。
「いやぁあああー」
成瀬のドラゴンスリーパー、野村つばさの意識が漂白されていく。だが野村はなんとかこらえきって外す。しかし、

「いてこましたるっ!」

アキレス腱固めがリング中央で決まる。もがく野村つばさ、だがその前のドラゴンスリーパーで意識が朦朧としている。第1試合から盛り上がった。けっきょく野村つばさ、こらえたもののギブアップの言葉を吐いた。勝負タイム25分19秒の激闘。

「ハァ、ハァ・・・なかなか、えー、動きやったで」

第2試合は外人同士のタッグ戦。あばしり王者のジェニー・ビーチ、ハムルシアターが登場。キャシー・ウォン&ジェシービートンと対戦。最後はハムルのハイキックで終了。勝負タイム13分55秒。

第3試合はREKI,ナイトメア神威、マーメイド千秋のDarkFraction悪役3人が登場。

そしてヒューイット一家と6人タッグで対戦。だがヒューイット一家の結束は固い。ローズヒューイットがダメージを与えて1号2号がつなぐ。見事なチームワークに場内は拍手。

しかし今回はSPZタッグ王者になって好調のREKIが分断に成功し、ファントムローズ1号を捕らえて農鳥。これで3カウント奪取。

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休憩明けの第4試合にジューシーペア(ラッキー内田&マッキー上戸)登場。対戦相手はジェナ・メガライト&シンディーウォン。一時ほどの勢いはないジューシーペアだが、それでもチームワークと試合運びはまだまだトップ戦線でも通用する。

この日も分断作戦を成功させ、マッキー上戸がシンディーウォンをフィッシャーマンバスターで料理した。

ここから3大シングルマッチ。SPZがビッグマッチで3大シングルマッチを多用するのは大相撲のこれより三役の影響か。

まずはイージス中森対ライラ神威。しかし大技をガンガン仕掛けて優位に立ったライラ神威が猛攻。トムラウシ、裏投げ、トムラウシと畳み掛けて終了。勝負タイム15分40秒。

「ヒャーハハハハハハハア、中森なんてたいした事ねぇよオラ!」

さいたまドーム大会、セミファイナルはコンバット斉藤(21期)対氷室紫月(16期)。マッキー上戸を破って上昇基調のコンバット斉藤だが、元SPZ王者の氷室が一方的にこの試合は攻めた。コンバット斉藤、反撃できぬままあっさりパワーボムで敗北。氷室越えはならなかった。

そしてメインはSPZ選手権、王者ノエル白石に挑むのは最強の挑戦者武藤めぐみ。

―半年間、回り道をした。今日は絶対に獲る。

昨年9月にノエル白石にまさかの敗北を喫してからSPZ女王の座はライラへメガライトへ戦国時代になってしまった。

―私のほうが強い。手順を間違えなければ、必ず勝てる。

手数で勝った武藤、バックドロップ2連発で追い込んで、

「覚悟して」
ノーザンライトで3カウント。これで王座奪還。勝負タイム26分56秒。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ(26分56秒、ノーザンライトスープレックスホールド)ノエル白石

第66代王者が初防衛に失敗。武藤めぐみが第67代王者となる

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「もう、誰にも負けたくありません。向かってくる人は全員、排除します」

王座に返り咲いた武藤めぐみは力強い表情でインタビューに答えた。

こうして団体最強の選手にSPZベルトが戻って、めでたしめでたしでSPZは24年目を迎え、井上霧子吉田龍子はほっと一安心したのであるが、来月、思わぬ伏兵が武藤めぐみに屈辱を与えるのである・・・・

2008年6月 3日 (火)

第421回 23年目1・2月 ライラ神威×メガライト

23年目1月
「新春ロケットシリーズ」開幕。おとそ気分の中開催される興行なので、あまり営業努力しなくともお客サマが入るシリーズなのだが、若林(旧姓井上、しばらく表記は旧姓のままで行きます)霧子の表情は暗かった。

「早いとこあのクソバカからベルトを手放させないと我々の身が持たないばかりか、会社のイメージダウンにつながりかねません・・・」

ライラ神威のスタンロッド攻撃で吉田社長と井上霧子は生死の境をさまよったのだから当然、この選手の邪知暴虐を止めなければならない。

ということで新春一発目の新日本ドームでSPZ選手権、極悪王者のライラ神威に挑むのは最強外人ジェナ・メガライト。どうみてもベルトを手放させるためのマッチメイク。しかしここでライラ神威が試合前にやってくれた

「あ、赤コーナー、SPZ永久チャンピオン、らいらー、かむいーーー!!」

どわああああああああっ!!

「む、村越さん・・・」

村越リングアナが上記のコール。後でわかったことだがライラ神威に「永久チャンピオンとコールしろ」と半ば脅されていたらしい。なんてやつだ。

ざわめきの中試合開始。

「ORAAAAA」

メガライト、いきなりのキャプチュードで主導権を握る。ライラも反撃するがパワーならメガライトが断然上。

「ファファファ・・・コレデドウダ!」
最後は投げまくり攻勢で非力となったライラに強烈なパイルドライバーを決めてカウント3.メガライトが久々にSPZ王者に返り咲いた。勝負タイム16分47秒。

「ウァハハハハ」

立会人の若林記者からベルトを渡されて高笑いのメガライトさん。井上霧子吉田社長その他の面々は胸をなでおろした。王座流出なのに・・・

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

ジェナ・メガライト(16分47秒、パイルドライバーからのエビ固め)ライラ神威

第64代王者が2度目の防衛に失敗、メガライトが65代王者となる

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あたしはもう永久チャンピオンなんだよ!!試合の結果にかかわらずあたしがSPZのチャンピオンなんだ分かったかヴォケ」

試合後ライラ神威は無茶苦茶言っております。永久チャンピオンって・・・このあとライラ神威は引退するまで「SPZ永久チャンピオン」の称号でコールされることになる・・・

第5戦岡山大会メインはあばしりタッグ戦。王者ハムルシアター、ジェニービーチに挑むのは若手悪役コンビ、ナイトメア神威&マーメイド千秋。しかし強豪外人の壁厚く、最後はハムル・シアターのラリアットがナイトメアにヒットして終了。王者組が初防衛に成功。勝負タイム22分26秒。

第8戦新潟大会メインで久々開催のSPZタッグ選手権。王者ジューシーペアに対するは元王者のノエル白石、氷室紫月組。16期生の力はかなり落ちてきているので、王者組の防衛は厳しいと見られていた。

「・・・・風船、ふわふわ・・・」
ノエル白石大暴れ。STOからニーリフト。しかしラッキー内田も一発逆転を狙っていた。

「ラッキーキャプチャー!」
必殺ラッキーキャプチャーZが発動。これでノエル白石からギブアップを奪って試合終了。勝負タイム25分7秒、王者組が初防衛に成功。

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SPZ世界タッグ選手権

○ラッキー内田、マッキー上戸(25分7秒、ラッキーキャプチャーZ)ノエル白石×、氷室紫月

第44代王者が初防衛に成功

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23年目2月
「グレイテストバトルシリーズ」開幕。ライラ神威、REKI、成瀬唯が負傷欠場。

第4戦神戸大会で外人選手同士のあばしりタッグ戦。ジェニービーチ、ハムル・シアター対シンディー・ウォン、キャシー・ウォン。王者組が意地を見せて合体パワーボムでキャシーを沈めた。勝負タイム21分46秒。

第7戦福井大会ではSPZタッグ戦が組まれた。今回の挑戦者は最強外人J・メガライト&J・ビーチ。SPZタッグリーグでの健闘を評価されて挑戦が決まった。

しかしSPZ王者のメガライト強い。ラッキー内田を一方的に投げまくる。代わったマッキー上戸がローンバトル。メガライトのエルボーがモロにヒット。赤コーナー側に目をやるが、ラッキー内田はリング下でぐったりしている。

何とか耐え切ってラッキー内田にタッチしたが、ラッキー内田もふらふらの状態。キャプチュード2連発に散ってしまった。勝負タイム24分46秒、ジューシーペア防衛に失敗。メガライトがSPZのシングルタッグの2冠王に輝いた。ジェニービーチもあばしりタッグとSPZタッグの2冠王。

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SPZ世界タッグ選手権

○J・メガライト、J・ビーチ(24分46秒、キャプチュード)ラッキー内田×、マッキー上戸

第43代王者が2度目の防衛に失敗、メガライト組が第44代王者となる。

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そして最終戦、横スペ大会。

セミ前はコンバット斉藤(21期)対マッキー上戸(16期)。打撃ならコンバット斉藤、パワーとレスリングセンスならマッキー上戸。しかし最近のコンバット斉藤はあのライラ神威の指導?を受けてメキメキと実力を伸ばしている。

「一気に決める!」
コンバット斉藤の必殺ジェットスマッシュがうなりをあげる。これはなんとか2.5で返したマッキー上戸だったが続くブレーンバスターに力尽きた。

「よし。・・・勝った」
SPZに世代交代の波が。21期生のコンバット斉藤が元SPZ王者のマッキー上戸に勝ってしまった。場内ええええの声。

セミファイナルは武藤めぐみ(18期)対ラッキー内田(16期)。元SPZ王者同士の対戦。次期SPZ挑戦権のことを考えると武藤は負けられない。しかしラッキー内田、全盛期から動きがだいぶ落ちており10分42秒、ムーンサルトに敗北。

そしてメインイベントはSPZ選手権。新王者ジェナ・メガライトに挑むのは19期生で元王者のノエル白石。11月に転落してから再チャレンジのチャンスが訪れた。

「ファファファファ・・・コレデドウダ!!」

しかしメガライト強い。持ち前のパワーでノエル白石を寄せ付けない。ノエル白石、ペースがつかめずそのままズルズルと攻め込まれる悪いときのパターン。
「ソレェ」
バックドロップで後頭部を打ったノエル白石、これで動きが止まった。その次のキャプチュードはなんとか2.8で返したが敗色濃厚なパターン。

しかし、ノエル白石、相手のお株を奪うジャーマンで反撃。
「うぐあっ」
カウント2で返したが、頭を打ってしまったか、もがき苦しむメガライト。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

すかさずノエル白石、逆片エビ固めに捕らえて絞り上げる。頭を打ったメガライト、腕を突っ張ってこらえることができず、グイグイグイと絞られ、

―ギブアップ。
勝負タイム27分15秒、ノエル白石が王座奪還を果たした。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

ノエル白石(27分15秒、逆片エビ固め)ジェナ・メガライト

第65代王者が初防衛に失敗、ノエル白石が第66代王者となる

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2008年6月 2日 (月)

SPZスター選手列伝 030 フォクシー真帆

SPZスター選手列伝 30

従業員コード:030

「野生少女」 フォクシー真帆

本名:平津戸真帆。2006年8月18日、岩手県田野畑村出身。SPZの新人テストに合格し、14期生として入団。2022年4月16日、札幌どさんこドーム大会でのロイヤル北条戦でデビュー。岩手県の山奥で育ったことをネタにして吉田プロデューサーが「野生少女」というギミックを考え出し、その個性的なキャラで売り出す。

成瀬唯と組んであばしりタッグ王座を獲得するなど若手中堅選手の壁として活躍。得意技はパワーボム、ヘッドバット。

2031年10月22日、新日本ドーム大会での成瀬唯戦で引退。稼動月数115ヶ月、出場試合数(概算)816試合

タイトル歴
第22代・第24代・第27代・第31代あばしりタッグ王者(パートナーは成瀬唯)

写真集 1冊

今野役員コメント:野生少女というギミックで、SPZの前座戦線を大いに盛り上げていただいた。成瀬唯との「野人関西タッグ」は互いの弱点を補完する名タッグで、あばしりタイトル戦線の常連として長く活躍していただいた。

パワーは現役終盤まで衰えず、入門8年目でSPZクライマックス出場というスロー出世の記録も作った。タッグマッチで上位の選手と混ざってもその強烈な個性で存在感を保っていた名選手。引退後は郷里の岩手に帰り、実家の農業を手伝っているらしい。

2008年6月 1日 (日)

SPZスター選手列伝 029 フレイア鏡

SPZスター選手列伝 29

従業員コード:029

「妖しのお嬢様」フレイア鏡

本名:鏡春江。2006年12月13日、長崎県佐世保市出身。井上霧子にスカウトされ、SPZ第14期生として入団し、2022年4月16日、札幌どさんこドームでのビューティ市ヶ谷戦でデビュー。持ち前の運動センスを生かし、関節技を主体としたファイトを見せる。ビューティ市ヶ谷率いるお嬢様軍団「ジュエルローゼス」の一員としてメインやセミでも奮闘し、芝田美紀と組んでSPZタッグ王者にも輝く。市ヶ谷、北条引退後は一匹狼として前座戦線を盛り上げる。鬼気迫る表情で得意技のストレッチプラムを繰り出すシーンがたまらないというファン多数。

2031年9月29日、さいたまドームでの成瀬唯戦で引退。稼動月数114ヶ月、出場試合数(概算)808試合

タイトル歴

第27代SPZタッグ王者(パートナーは芝田美紀)

第33代あばしりタッグ王者 (パートナーはREKI)

写真集 1冊

今野役員コメント:SPZで一時代を築いたお嬢様軍団「ジュエルローゼス」の核弾頭として、存分に力を発揮していただいた。関節技でいたぶる一見地味めなファイトスタイルなのだが、この人は危ない表情で仕掛けるのでファンの反応も凄かった。JRでタッグマッチに出るときには、試合の流れを変える役回りで貴重な存在だったと思う。引退後は抜群の知名度を生かしてファッションモデルとして活躍しているらしい。

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