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2008年7月31日 (木)

第467回 25年目10月 バトル・カデンツァ

10月シリーズ「秋のバトル・カデンツァ」開幕。
第2戦静岡大会でSPZタッグ戦が組まれた。王者武藤めぐみ、Jビーチに挑むのはローズ・ヒューイット、ワイルドローズ2号のコンビ。

しかし武藤めぐみ強い。17分1秒、あっさりとワイルドロース2号を捕まえてシューティングスタープレスで幕。王座防衛に成功した。

第3戦三重大会メインはあばしりタッグ戦。王者キャシーウォン、ソフィアリチャーズに挑むのはセイレーン千春、マーメイド千秋。

「はっ!」
相手チームをうまく分断して実力微妙のソフィアを捉えて、セイレーン千春の延髄が炸裂。これで3カウント。勝負タイム13分25秒。極悪姉妹コンビがあばしりタッグを奪取。

「よっしゃああ、あばしり獲ったぜーーー」

22期生のマーメイド千秋、苦節3年半、あばしりベルトを手に入れた。

「ふっふっふっ、よくやったぞ」

DF首魁、ライラ神威もご満悦の表情。

************************

最終戦、新日本ドーム大会。セミ前から3大シングルマッチが組まれた。
セミ前はナイトメア神威対ローズ・ヒューイット。例によって暴れ回る狂乱ファイトを見せたナイトメアだったが

「醜いものは、」散りなさい。」
最強外人ローズ・ヒューイットの壁は厚い、シャイニングウィザードを連発で食らって追い込まれる。ナイトメアもパワーボム、地獄落としを繰り出すなど健闘したが、最後はバスターローズに力尽きた。勝負タイム22分57秒。

セミファイナルはコンバット斉藤対メガライト。次期SPZ王座挑戦者決定戦かもしれない。

―まずメガライトさんを倒して、武藤さんのベルトにもう一度挑む!

しかしコンバット斉藤、スープレックスモンスターのメガライトとは相性が悪く、過去1度も勝てていない。それでも積極的にローリングソバットや掌底を当ててゆく。

「せえっ!」
重い裏拳がメガライトをぐらつかせる。そして、
「はあーっ!」
裂帛の気合とともに撃った飛燕脚。これで3カウント奪取、最強外人のメガライトを撃破。勝負タイム12分4秒。
「まだいける。次もきっと・・・」

メインイベントのSPZ戦。王者武藤めぐみに挑むのはノエル白石。過去、武藤を破ってベルトを巻いたこともある実力者だ。今回もスクラップバスターの連発で武藤をあわてさせる。そしてSTO。やはり力だけなら武藤と互角以上だ。

―うっ。これ以上は・・・受けられない。

武藤、懸命にコーナー最上段に登って、秘技・シューティングスタープレス。これでカウント3。30分47秒の激闘を制した。初防衛に成功。

2008年7月30日 (水)

SPZ外伝?ヤング井上霧子(1)

(筆者より)

先ほど白馬から帰って来ました。もうズタズタです。

とりあえず未発表のSSを晒してお茶を濁します。

**************************************

レッスルエンジェルスサバイバー 
プレイ日誌の外伝

「ヤング井上霧子」

横浜戸塚に本拠地自社ビルを構えるお嬢様プロレス団体「SPZ」のスカウト担当役員、井上霧子は時々若手選手から身の振り方について相談を持ちかけられる。

「こんな仕事辞めたいです」「プロレスをやっていく自信がなくなりました」「どうやったら勝てるのかわかならくなりました」「シングルマッチで全然勝てません」「頭から落とされるのが本当に怖いです」「つきあっていた彼氏に振られました」

最後のはともかく、原石を掘り出してきた井上霧子にとっても大成しないまま辞められるのは困るので、まずは親身になって話を聞く。選手間の人間関係が原因の場合は仲裁に入る場合もあるが、リング上のこととなると冷たく言い放つ。

「プロレスっていうのは、技じゃあないのよ。バカヤロウって言って、相手を殴って蹴る、それでいいのよ。だから考えないで暴れなさい」

このお話はSPZの裏番、井上霧子が若かった頃のお話。
1995年4月、井上霧子は中学3年生。川崎市内のお嬢様私立中学でごく普通の中学生だった。しかし、平穏な生活を一変させる出来事が起こった。

「霧子ちゃん、ちょっと割りのいいバイトしてみない?」
井上家と家族ぐるみで付き合いのある近所の知り合いのおねえさん、高橋弘美が声をかけてきた。高橋さんは東京を地盤として活動しているプロレス団体、「関東女子プロレス」のベテラン選手で、井上霧子もよくタダ券をもらって観戦に行っていた。

「来月の定期戦、手伝いしてくれる人がいないのよ。」

「・・・えっ」

断るのも角が立つので、井上霧子は高橋さんに連れられて東京・大森にある関東女子プロレスリングの事務所に出向いた。そこの社長は大変いい加減な性格で、「ルックスはいい、オッケイ!」などと言って採用を即決し、臨時雑用係りとして日給5000円で採用が決まった。14歳の子を働かせるなど労働基準法違反だが、そうは言ってもいられない。プロレス興行は意外と労働集約型の産業。リングの組み立て、控室作り、選手の誘導、会場整理、ポスター貼り・・・・

「ゴールデンウィーク・関東女子スーパーファイト」と称して、関東女子プロレスはGW機関を利用して首都圏各地で5試合興行を打つ。この団体は移動するのが面倒くさいのと宣伝営業が面倒くさいので関東でしか興行しない地域密着型、悪く言えばどローカル団体。

―ま、いいか、買いたかったCDや服もあったし。

井上霧子は深く考えず、雑用係としてサーキットに同行するようになった。高橋さんの車に乗せられて会場へ行ってイスを並べたりリングを組み立てたりという労働に励んだ。だがこれはこれでお祭りの仕掛けができて来るようで楽しかったし、この経験が後年SPZを立ち上げる際に非常に役立ったと本人は述懐している。

(続く・・・のか?)

2008年7月29日 (火)

筆者バカンスのため

レッスルエンジェルスサバイバー没頭中にお越しいただきまことにありがとうございます。

筆者バカンスのため、7月29日・30日の連載は

お休みさせていただきます。大変申し訳ございませんがあしからずご諒承のほど

お願い申し上げます。

白馬岳スカイプラザでおいしいビール飲んできます。

konno

2008年7月28日 (月)

第466回 25年目9月 長崎決戦

25年目9月 九州シリーズ

SPZのマッチメイク委員会。

「コンバット斉藤の次の挑戦者は当然SPZクライマックス優勝者の武藤ちゃんでいいかな」

「でも前回のさいたまのメインも武藤対コンバットでしたよ。SPZ戦はどこか別のハコでやりましょう」

「そうね・・じゃあ長崎でやりますか。」

というわけでシリーズ第5戦長崎大会メインイベント、現在のSPZの看板カード実現!長崎のファンは狂喜した。

「かいせつの吉田さん、どちらが有利ですか?」

「んー、わかりませんね、6月はコンバット選手、先月は武藤が勝ってますからね」

―長引いたら勝てない。とにかく一発一発ぶちこんで動きを止めないと。

―今日負けたら、何のためにリーグ戦で勝ったのか分からなくなる。絶対に勝つ。

コンバット斉藤、打撃を連発して追い込んだが、武藤がシューティングスタープレスで逆転。これでコンバット斉藤の動きが止まった。シャイニングウィザードから延髄と休まず攻める武藤。そして・・

「覚悟して」

この日2度目の延髄はカウント2.8で返したが、続く2発目のムーンサルトに力尽きた。武藤めぐみ王座奪還。勝負タイム19分56秒。

「かいせつの吉田さん、武藤選手まだまだ健在ですね」

「んー、コンバット選手、一気に持っていけませんでしたねえ」

**************************

最終戦さいたまドーム大会。

第1試合はハリケーン神田対セイレーン千春。

やはり新人のハリケーン神田、先輩にはまだまだ歯が立たない。一方的に攻め込まれた挙句、延髄で3カウントを奪われた。勝負タイム6分27秒。

第2試合は八島静香対ジェシービートン。熱戦が展開されたが、ビートンが地力の強さを見せ、DDTで3カウントを奪った。勝負タイム10分33秒。

第3試合はマーメイド千秋対ハムル・シアター。打撃で優位に立ったハムルシアターが11分25秒、ニーリフトでマーメイド千秋を沈めた。この試合が終わると休憩。

休憩明け第4試合に早くも前SPZ王者コンバット斉藤が登場、ナイトメア神威と組んでケンドーカミスワ、野村つばさ組と対戦。だがやはりアイドルレスラー野村は後半の戦いにはついていけない。カミスワが応戦するが、ナイトメアの狂乱ファイトに思わず怯んでしまい、そこへコンバット斉藤登場。

「はっ!」
裏拳で意識もうろうとさせた。最後は苦し紛れに野村へタッチしたところを飛燕脚を叩き込んで終了。勝負タイム23分36秒。

セミファイナルは悪の権化、ライラ神威(&REKI)登場。対戦相手はファントムローズ1号、ワイルドローズ2号。ライラ神威が格下とやるときは元気いっぱい。トムラウシでワイルドローズ2号を撃破。

メインはSPZタッグ戦。武藤めぐみ、ジェニービーチに対するはSPZ本隊のノエル白石、イージス中森。

―まだまだ、負けられない。

武藤めぐみ強い。イージス中森とノエル白石の2人がかわるがわる攻めてもつぶせない。それでもイージス中森、ダブルラリアットで何とか武藤をひるませてJビーチにスイッチさせた。
「いまだ、潰す・・・」

イージス中森がここがチャンスとばかりに攻め込む。代わって出てきたノエルはニーリフトを叩き込んだが、Jビーチもブレンバスターで反撃して武藤につなぐ。

4人が入り乱れる攻防を経て、最後は武藤がイージス中森にムーンサルトを浴びせて防衛に成功。
―武藤めぐみ健在。
57分38秒の激戦を制した武藤めぐみ、Jビーチ組。試合の8割は武藤が出ずっばりだったが勝った。

2008年7月27日 (日)

第465回 25年目9月 それぞれの幕間

25年目9月 それぞれの幕間

「わー、かわいいー、はなこちゃんっていうのー、いま何歳?」

「ろ、6さい・・・・です」

SPZ取締役人事経理担当役員今野和弘(59)は、道場に娘を遊びに連れてきた。今週は母親が北海道へ出張に行っているので、一人で自宅において置くのもかわいそうなので会社に連れてきたのである。普段は強面の八島静香やハリケーン神田も満面の笑みを浮かべた。

「このコ、今野さんの娘さんですかぁ」

道場に集まっていた選手がいっせいに取り囲む。

「・・・まあ、ね。」

 「凄いよね、53で子供作るんだから」

「よ、吉田さん!!」

ハリケーン神田や八島、カミスワといった若手選手が花子と遊んだりしている。

 「リング上がってみる?」

ハリケーン神田が花子に声をかける。

「は、はい」

今野花子、6歳にしてSPZ道場のリングに上がった。どたどたと走り回る。

 「お姉ちゃんたち、この上でいつもケンカしてるの?」

「ううん、ケンカじゃなくて、うーん、悪ものを倒すためにしゅぎょうしてるんだよ」

ハリケーン神田、実に苦しい回答。

 「だーれが悪者だってぇ?神ちゃん」

珍しく道場に顔を出していた最古参のライラ神威が突っ込みを入れる。

 「あーっつライラさんだーー!!うわーーーー」

コーフンの表情を浮かべる花子。

 「SPZのテレビ中継見せたらね、なんだかね、ライラさんが真っ先に見分けついちゃって。そのままライラさんのファンになったみたいで・・・」

「フツフッフ、やっぱり存在感の差ってやつかねえ、トムラウシ水、サイン入りで1本やるよ。」

 「わー、ありがとー。」

*****************************

そのころ元SPZ10期生の八重樫美月(31)は、今日もジ・オブリビオンとして負けブックを黙々と演じていた。上諏訪温泉地下プロレスの試合に出て、対戦相手のカシオペア仮面をグラウンドテクで追い込んだが、やはり三十路に入って体力の衰えは隠せず、10分で息が切れてしまった。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・」

「FINISH!!」

がすっ!!

カシオペア仮面のカシオペアボンバーを食らって倒れ伏す。そのまま3カウントを奪われた。勝負タイム11分7秒、関節技で本気を出せばギブアップを取る事は容易なのだが、それでは盛り上がらないので手加減して負けブックを演じた。

「どうもありがとうございました。ギャラのほうは請求書をお送りいたしますので10月20日払いでブルーライト銀行の口座に振り込んでおいてください」

試合終了後、プロモーターに挨拶した後最終の「あずさ」で帰京の途についた八重樫美月(31)車内でノートパソコンを開いてメールをチェックする。

ーなかなかいい物件が見つかりませんね・・・

フリーレスラー生活ももう6年が経って、ギムレットオフィスの資金もかなりたまってきたので、合間を見て物件視察に行ったがこれはという立地のものがない。東京から近くて収容力がそこそこあって駐車場もあって・・・という物件はなかなかない。

ーま、気長にやりましょう。

メールを見終わった美月、駅で買った缶ビールを開けた。

***************************

「利尻ーーーー、利尻ーーーーー、

 はるかなーーーー、旅路ーーーーーーー

利尻ーーーー、利尻ーーーーーーーーー

北の、最果てぇぇーーーーーーーーー」

(渡辺智美、歌番組で新曲「利尻島」を熱唱。)

2008年7月26日 (土)

第464回 25年目9月時点のプログラムから

25年目9月
入場時に配布されるプログラムから。

悪役ファイター ライラ神威(SPZ永久チャンピオン)

本名:島宮香織。2009年6月16日、北海道新得町出身、SPZ17期生としてスカウトされ、2025年4月21日、釧路アリーナ大会での成瀬唯戦でデビュー。正統派レスラーの多いSPZマットにおいてヒールレスラーとして活躍。入場時には凶器を持ってのパフォーマンスを繰り広げ観客を恐怖のどん底に陥れる。

悪役パフォーマンスに目が行きがちだが、リング上でのパワーファイトもかなりのものをもっており、ボンバー来島の引退試合でスプラッシュマウンテンで投げきってカウント3を奪ったときには観客の度肝を抜いた。REKIと組んであばしりタッグ王座、SPZタッグ王座を戴冠。また2031年にはノエル白石を破りSPZ王座に輝くなど悪の限りをつくす。ついにはREKI,コンバット斉藤らと悪役集団「DarkFraction」を結成。武藤めぐみの首を執拗に付けねらい、リング外でも会社の実権を握るべく吉田龍子と敵対するなど団体を恐怖に陥れる。

SPZ王座戴冠後の初防衛戦で武藤めぐみを破った勢いで「SPZ永久チャンピオン」を自称。得意技はカムイエクウチカウシ(高角度スプラッシュマウンテン)、凶器攻撃。
テーマ曲:COLLECTIVE (KOTOKO)

リングのひまわり 野村つばさ

本名:同じ、2011年3月30日、愛媛県西条市出身。SPZの新人テストに合格し、18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 ライラ神威戦でデビュー。抜群のルックスと軽やかな身のこなしでファンのハートをつかむ。イージス中森と組んであばしりタッグ王者に輝く。得意技はミサイルキック、エルボー。

テーマ曲:ほほえみのヴァネッサ(クレイダーマン)

天才姫 武藤めぐみ

本名:同じ、2010年4月4日、静岡県本川根町出身、天性の運動神経に目をつけた井上霧子にスカウトされ、SPZ18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 フォクシー真帆戦でデビュー。SPZの次代をになうスター候補として期待され、デビュー1年足らずでボンバー来島と組んでSPZタッグ王座を獲得し、2年目にはいきなりSPZクライマックス本大会に出場するなど驚異の出世街道をばく進。

そして2028年にはSPZ世界王座を奪取し、SPZクライマックスで全勝優勝を飾るなど先輩方をごぼう抜きして団体の頂点に輝き、7月にはSPZベルト連続防衛回数15回を達成してあの吉田龍子の持つ記録に並んだ。シングルマッチの連勝は29で止まったが、SPZベルト通算防衛回数24回の記録を樹立するなど、実力では他の追随を許さない状況。

得意技はシューティングスタープレス。
テーマ曲:アメジスト(KOTOKO)

不思議系戦士 ノエル白石

本名:白石直子、2011年11月11日、新潟県糸魚川市出身。中学時代は助っ人で出た柔道大会で5人抜きするという伝説を持つ。SPZにスカウトされ、19期生として2027年4月20日、釧路アリーナ大会での対 野村つばさ戦でデビュー。レスリングの技術はまだまだ発展途上だが、細身の身体からは想像もつかない腕力の強さを持ち、氷室紫月とタッグを組んでSPZ世界タッグ王者に輝く。

シングル戦線でもSPZクライマックスで優勝決定戦まで残るなど実力は急上昇し、SPZのトップグループに割り込んで、2031年には武藤めぐみを破りSPZ世界王者に輝く。得意技はSTO。

テーマ曲:ラジオスターの悲劇(バグルズ)

ザ・クノイチ REKI

本名:大門敬子、2012年8月18日、山梨県早川町出身、幼少の頃より忍者としての修行を積み、対人格闘術の修行のために流派の壁を越えプロレスの道を選び、SPZ20期生として2028年4月16日、京都市体育館での対野村つばさ戦でデビュー。忍者ならではの軽快な身のこなしを生かしたファイトで観客の度肝を抜く。悪役軍団DarkFractionに加入し、ライラ神威のパートナーに起用され、あばしりタッグ、SPZタッグを戴冠。得意技は農鳥(変形ミサイルキック)

テーマ曲:二人の擲弾兵(シューマン)

ザ・仕事師 イージス中森

本名:中森かずさ、2012年11月29日、徳島県徳島市出身、SPZ新人テストに合格し、20期生として2028年4月16日、京都市体育館でのキューティー金井戦でデビュー。練習熱心な性格で、関節技を主体としたキビキビしたファイトを繰り広げ、武藤めぐみと組んでSPZタッグ王者に輝き、トップグループまであと一歩に迫ってきた。得意技はストレッチプラム。

テーマ曲:you give・・・(川田まみ)

暗黒の空手家 コンバット斉藤

本名:非公開。2014年3月4日、三重県四日市市出身、中学時代までは空手に打ち込んでいたが、強すぎて対戦を断られるようになり、プロレスに転向。

SPZ21期生として2029年4月21日、釧路アリーナ大会での対イージス中森戦でデビュー。空手の経験を生かした打撃技は強力。DFの一員として暴れ回り、超高速上段蹴りのジェットスマッシュで武藤めぐみを失神KOさせたこともあるデインジャラスファイター。ついには武藤めぐみを破ってSPZ世界王者に輝き、団体のトップスターへのし上がった。

テーマ曲:LAMENT(KOTOKO)

悪の狼 マーメイド千秋

本名:川上千秋、2015年1月5日、鳥取県境港市出身。SPZ22期生として2030年5月11日、鹿児島県営公園大会の対コンバット斉藤戦でデビュー。セイレーン千春と姉妹同時デビュー。姉のセイレーン千春とタッグを組んで、小気味いいヒールファイトで前座戦線を盛り上げる。得意技はフィッシャーマンバスター。

テーマ曲:SEEK&DESTROY(メタリカ)

悪の華 セイレーン千春

本名:川上千秋、2015年1月5日、鳥取県境港市出身。SPZ22期生として2030年5月11日、鹿児島県営公園大会の対野村つばさ戦でデビュー。長らく海外武者修行に出ていたが、2032年に凱旋帰国。妹のマーメイド千秋とタッグを組んで、小気味いいヒールファイトで前座戦線を盛り上げる。得意技は延髄斬り。

テーマ曲:SEEK&DESTROY(メタリカ)

温泉プロレス ケンドー・カミスワ

本名:非公開 生年月日:不明 長野県上諏訪温泉出身。上諏訪温泉の老舗旅館の娘らしい。SPZ22期生として2030年6月9日、沖縄体育館大会での対フォクシー真帆戦でデビュー。上諏訪温泉の効能を伝えるためか、どてらを着て入場し、温泉マーク入りの覆面でファイト。TWWA,ついでGWAで暴れ回り、上諏訪温泉をワールドワイドにするため奮闘。2032年に凱旋帰国、SPZ本隊側のバイプレイヤーとして活躍。得意技は上諏訪温泉極楽絞め。
テーマ曲:木曾節(長野県民謡)

狂乱の舞い ナイトメア神威

本名:高瀬真美 2015年7月16日、北海道新得町出身。その身体能力の高さに同郷のライラ神威が目をつけ、SPZ23期生として2031年5月10日、高知県体育館での対成瀬唯戦でデビュー。最近では拘束ベルトをして入場し、解放されるとライラ以上の狂乱ファイトを展開し、対戦相手を恐怖に陥れる。得意技は地獄落とし。

テーマ曲:レクイエム、怒りの日(W/A/Mozart)

ゴッドハンド ハリケーン神田

本名:神田友子、2018年1月1日、茨城県土浦市出身。学生時代はキックボクシングで身体を鍛え、SPZ25期生として入門。2033年5月11日、高知県体育館大会での対セイレーン千春戦でデビュー。キックボクシングの経験を生かした打撃は強烈。グラウンドレスリングへの対応が今後の課題。得意技はゴッドハンド(重い裏拳)

テーマ曲:ワルキューレの騎行 (ワーグナー)

超新星 八島静香

本名:同じ、2017年11月13日、島根県浜田市出身。実家が漁師で、家業の手伝いをするうちに体力がついた経歴を持つ。中学時代は女番長で警察に補導されることもしばしばだったが、改心してSPZの入門テストを受験。見事合格し2033年5月11日、高知県体育館での対 野村つばさ戦でデビュー。高い身体能力を生かしデスバレーを早々と習得し、外人選手にも何度か勝利を収める。

テーマ曲:アルルの女、ファランドール(ビゼー)

レフェリー 井上霧子

1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。近年は一部スポーツ紙上で酒びたりであることが暴露され、2027年8月に酒気帯びレフェリング事件が発覚し、社長代行の座を退いた。現在はSPZ取締役として主に前座試合のレフェリーを務める。

レフェリー 吉田龍子

1997年11月13日、熊本県八代市出身。2013年4月11日、札幌キターアリーナ大会での富沢レイ戦でデビュー。2022年3月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、ボンバー来島、菊池理宇の後見人として「吉田キラーマシン軍」を結成。第1試合前のMCを勤める。2027年8月、井上霧子のあとをうけて3代目のSPZ社長に就任。バランスシートも読めない社長でSPZの将来をお先真っ暗にすること確実。2033年に大日本テレビアナウンサー森和紀氏と結婚。社長を誰に譲ろうか考えている。時たま後半のレフェリーもつとめる。辛口のテレビ解説は好評。

レフェリー ロイヤル北条
本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。2030年1月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。現役時代の動き同様キビキビとした動き、かつ厳格なレフェリングは好評。

レフェリー ラッキー内田
本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。SPZ16期生として、2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。2032年8月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。

リングアナウンサー 村越忠幸
1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、営業部長兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。2児のパパで趣味は料理。

リングアナウンサー 阿部幸一
2000年5月28日、新潟県糸魚川市出身、2023年入社、グッズショップ販売を経験した後、2033年からリングアナウンサーに起用される。主に前半戦を担当。趣味はドライブ。

リングドクター 羽山海
1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野元社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2008年7月25日 (金)

第463回 66666ヒット記念SS

66666ヒット記念SS ライラ神威の人生相談

9月上旬のある夜、全国のラジオリスナー、ドライバーを驚愕させる出来事が起こった.

AMラジオ「あかつきラジオ」の人気番組、「大友勝彦のかっちゃんワイド」に、ライラ神威がゲスト出演した。

「本日のゲストは、あの横浜のお嬢様プロレス団体、スーパースターズプロレスリング・ゼットの永久チャンピオン、ライラ神威選手です」

パーソナリティ・大友勝彦が特別ゲストのライラ神威を紹介する。

ふっふっふ、もっと褒めなさい」

あの極悪人、ライラ神威がラジオ番組に出演するとはどんなずるい手を使ったのだろうか。しばらくは雑談が続いたのだが、話の内容が先日のSクラの事に及ぶや空気が凍りついた。

 「SPZクライマックスは残念な結果におわりましたが」

あんなの別に関係ねえ、SPZ永久チャンピオンの私があんなリーグ戦に本気出すわけねえだろ。せっかくコンバット斉藤を優勝さしてやろうと思ったのに、勝手にこけやがって武藤のアホが優勝してもうた。それだけさあ」

 「来年は予選会スタートですね」

「文句あんのか、ああ?」

「いえいえ、じゃ、じゃとりあえずここで一曲、渡辺智美のニューシングルで『利尻島』」

険悪な雰囲気を察してここで演歌を1曲流してそのあとCM、その次のコーナーは・・・リスナーからのおはがきを紹介するコーナー・・・・

「続きましては、かっちゃんワイド恒例の人生相談です。今日はライラ神威選手が特別に回答していただけるとあっていつもの10倍のハガキが・・・」

「たりい。なんであたしがそんなのに答えなくちゃならねえんだ」

ライラ神威、用意された缶ビールを飲みながら人生相談に答える。なんてやつだ。

「それでは最初のハガキ、千葉県柏市にお住まいのラジオネーム、みなと男さん33歳会社員からのハガキです。『最近仕事が厳しくて、上司にいじめられて会社へ行くのが億劫になってきました、どうしたらいいでしょうか』さてライラ神威さん」

 「馬鹿かコイツ。気にいらねえやつがいたらぶん殴って血の海に沈めちまえばいいんだ。それができねえヤツは本当は今の状況を受け入れているだけの、ただのマゾなんだよ」

身も蓋もない回答に大友さん凍り付く。

「うっわーーー。つ、次のハガキ行きます。東京都府中市にお住まいのラジオネーム、アゲクのはてさん22歳学生からのハガキです。『就職活動の面接で自己アピールできず上がってしまって、しどろもどろな受け答えしかできないためかいい結果が出ず二次面接に進めません。どうやったら克服できるのでしょうか』 てライラ神威さん、レスラーの立場から適切なアドバイス・・・」

「バカか。面接ごときでオタオタするたあ、そんなんじゃこれから先も見込みないね。でもまあ答えにならねえからこんなんでどーだ。ウイスキーをあおってから面接に行け」

「うっわー。そ、それでは次のハガキ行きます。神奈川県小田原市にお住まいのラジオネーム、リーフさん16歳、あー、これはレンアイ相談ですねぇ、『付き合ってる彼が引っ込み思案で手もつないでくれませんし、優柔不断な性格ですぐ他の女の子に目移りして・・・』」

「略奪しろ、次」

「うわー、一言で片付けましたね。それでは次、東京都日野市にお住まいのラジオネーム、ギガーさん27歳会社員から、『今年の夏初めて北海道へ行くんですけどお勧めの北海道観光コースを教えてください』、さて北海道出身のライラ神威さん」

これのどこが人生相談なんだ?ええおい!なめとんのかこのギガーとかいうやつ。まあ教えといてやる、洞爺湖、支笏湖、阿寒湖、摩周湖、屈斜路湖、あとはトムラウシ温泉だ分かったか、このアホウめが

「今のはわりとまともな回答でしたね、それでは次、埼玉県鴻巣市のラジオネーム、ジャニスさん37歳会社員から、『同期のみんなが課長に出世したのに私はいつまでたっても人事考課が低いので平社員から抜けられません。どうすればいいと思われますか』さてライラ神威さん」

なんてやつだ。人の評価のために仕事やってんのかこいつわ。カムエクの山奥で頭を叩きなおして来い!!楽しくなけりゃぁ辞めちまいな。フッフッフ、次

「はい、エーと次は東京都中野区にお住まいの会社員、ラジオネーム・ゼリーフィッシュさんからのおハガキ、えーと『もう25歳になるのですが年齢イコール彼女いない歴で、なかなか異性に知り合うチャンスがありません、ライラさん誰かSPZの若い選手を紹介してくださ・・・』

バカかこいつ。こういうやつにはエロゲーでも与えとけ!空から降ってくると思ってんのか、ああイラついてきた。今日はこれで終わり、ついでに大友、キサマを血の海に沈めてやる、何であたしをこんな番組に出すんだ!!うぇーははははは!!」

ドカッ、バキッ、ぼぐげしっ!!

「ぐぎゃあーーー」

あっという間にテーブルを叩き割りスタジオを破壊し、止めようとした大友勝彦をイスで殴打した挙句、隠し持っていた栓抜きで一撃。

「ぐふっ!」

大友パーソナリティは気絶した。そのまま高笑いしつつライラ神威のテーマ曲「COLLECTIVE」が流れ、ラジオ番組は終わった。無茶苦茶な内容だったが意外に筋の通った回答で?リスナーからは予想に反して好評だったらしい。

2008年7月24日 (木)

第462回 25年目のSPZクライマックス(下)

25年目8月 SPZクライマックス

リーグ戦5戦を消化し、残り2戦の段階での得点状況は以下の通り

武藤めぐみ 10点

コンバット斉藤 8点

ノエル白石 6点 イージス中森 5点

ナイトメア神威、REKI 4点

ケンドー・カミスワ 3点

ライラ神威 0点

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第7戦は仙台大会。
N神威(6点、地獄落としからの片エビ固め 14.52)R神威(0点)

DFの同門対決。

「ディー・エース・イーレ!ディー・エース・イーレ!!」

モーツアルトの「レクイエム 怒りの日」に乗って、ナイトメア神威がリングへ。

「遊びはもう終わりだー、シンデレラは王子を喰う、溶けた脳髄に、廻ってく、毒ー」

ライラ神威、「COLLECTIVE」が流れる中、スタンロッドを振り回しながらリングへ向かう。

SPZ史上最凶悪対決。悪役ラフファイトのライラ神威、狂乱ファイトのナイトメア。双方の強烈な個性がぶつかりあった。しかし集中力が切れなかったのは若いナイトメア。
「イェアアーー!!」
バックドロップで弱らせての地獄落とし。これで3勝目。

「写真撮るんじゃねえこのクソバカ、クソバカ、チキショウ消えうせろ!!」
まさかのSクラ6連敗、ライラ神威。試合後は報道陣をどなりつける。それがかえって・・・

C斉藤(10点、飛燕脚 14.34)REKI(4点)

スピードならREKI,一発一発の重さならC斉藤。この顔合わせも盛り上がった。DFの同門対決なのでメッタに見られないシングルマッチ。最後はC斉藤が飛燕脚で振り切った。

「無念・・・・・」

REKIも4敗目を喫し、シード権を失った。

N白石(8点、バックドロップからの片エビ固め 24.42)A中森(5点)

SPZ本隊の実力者対決。やはり力押しで攻め立てたノエル白石が優位に試合を進める。イージス中森もコブラツイスト、ストレッチプラムで見せ場は作ったが、けっきょく力負け。

「は・・・」
気の抜けた気合とともにノエル白石がバックドロップ。イージス中森、24分あまりの奮闘むなしく敗れた・・・

武藤(12点、ノーザンライトSH 13.30)Kカミスワ(3点)

「胸を借ります」
ケンドーカミスワ、SPZエースの武藤めぐみにぶつかっていった。グラウンドの攻防なら互角なのだが、アウトレインジでは武藤の時間。エルボーやドロップキックで吹っ飛ばされる。

・・・取りこぼしはできない、確実にしとめる。
武藤めぐみ、ころあいを見て延髄斬り、タイガードライバー、ノーザンの波状攻撃でカミスワをしとめた。武藤めぐみ、これで最終戦の横スペへ全勝でコマを進めた。

1敗で追うコンバット斉藤にも可能性は残っているが、優勝するためには本割りと決定戦で武藤めぐみに2連勝しなくてはならない!

ケンドーカミスワ、4敗目を喫し、来年は予選会からのスタートが決まった。

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最終戦横スペ大会。休憩後の4試合がSクラ公式戦。

A中森(7点、タイガースープレックス 13.04)N神威(6点)

シード権確保のために勝っておきたい両者、ナイトメア神威が力任せのパワーボムで叩きつければイージス中森はコブラツイストで痛めつけてのブレンバスター。お互いの持ち味が良く出た一戦、最後はイージス中森がタイガースープレックスでフォール勝ち。これでイージス中森も7点で4位に食い込み、シード権確保を決めた。

「結果は出せませんでしたが、次につなげる試合ができたと思います」

R神威(2点、トムラウシからの片エビ固め 22.35)Kカミスワ(3点)

ライラ神威、カミスワにまで攻め込まれるシーンが。希代の大悪党のイメージが崩れてゆく。それでもカミスワの決定力不足に付け込んで20分過ぎに反撃開始。バックドロップ、タイガードライバーと攻め込んでフェイスクラッシャー。最後の最後でようやく大技をつなげる本来のプロレスができた。フィニッシュはトムラウシ。

2点に終わったライラ神威、ズカズカと控室へ引き揚げる。

「不本意な結果に終わりましたが」 記者陣の質問に対してひとこと、

「ウッセーバカヤローテメー」
ライラ神威、後ろ姿に哀愁。

N白石(10点、STOからの片エビ固め 14.01)REKI(4点)

シード権は失ったものの勝ってリーグ戦を終えたいREKI、懸命にノエル白石にぶつかってゆく。
「はっ」
しかしノエル白石の身体ごと使ってくるスクラップバスターでREKI,戦意喪失状態に。3回連続でスクラップバスターで叩きつけられて動きがパタッと止まった。こうなってしまっては勝負は見えた。フィニッシュはSTO。ノエル白石堂々の10点、3位確定でリーグ戦を終えた。
そして・・・

ワアアアアア!
これほど盛り上がるSPZクライマックス千秋楽結びの一番は久しぶり。武藤めぐみ対コンバット斉藤。

「すんなり本割りで決めます。ベルトを何とかして取り返したいですから。」

「まずメインで勝たないと次はないので、メインを精一杯戦います」

頂上決戦開始。武藤めぐみ、動き回って打撃を回避するいつもの作戦。ハイスパートレスリングを見せドロップキックを叩き込んでゆく。

バンバンバンバン!!
「オラー斉藤何やっとんじゃーどんどん打撃ぶち込まんかい」
セコンドのライラ神威がエプロンを叩いて督戦するが、武藤めぐみがローリングソバット3連発。焦ったコンバット斉藤、早くも切り札にジェットスマッシュ、だが当たりが浅く、武藤めぐみ、スッと立ち上がってくる。

「そんなっ・・・」

あせったコンバット斉藤、めったに見せないミサイルキックを狙うがこれが自爆。背中から落ちてもがき苦しむコンバット斉藤。

―いまだ!!
武藤シューティングスタープレス。コンバット斉藤、2.8で返したが、足元がふらついていた。

「覚悟して」
武藤めぐみ、ダッシュして、跳ねて、延髄斬り。
前のめりに崩れ落ちるコンバット斉藤、武藤めぐみ、ひっくり返してカバー。

ワン、トゥ、スリー。

武藤(14点、延髄斬りからの片エビ固め、15分くらい)C斉藤(10点)

「ありがとう、普段の力が出せてよかった・・・」
武藤めぐみ。2年ぶり4度目のSPZクライマックス制覇。団体始まって以来、トロフィーを「奪還」し、賞金100万円、副賞のブランドアクセサリーが贈られた。2位は10点でコンバット斉藤とノエル白石が並んだが、規定により直接対決で勝っているコンバット斉藤が準優勝扱いとなり、横浜中華街のお食事券5万円分が贈られた。

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(66666ヒット達成、皆様のご訪問ありがとうございます。次回は66666ヒットを記念して特別SSをお送りいたします。)

2008年7月23日 (水)

第461回 25年目のSPZクライマックス(中)

25年8月 第25回SPZクライマックス

翌日は九州ドーム大会。

N神威(2点、地獄落としからの片エビ固め 15分くらい)Kカミスワ(2点)

「ウガアアアア」
狂乱ファイトのナイトメアとベーシックスタイルのカミスワ、これが微妙にスイングして盛り上がる。カミスワ、中盤からはドロップキックや脇固めでちまちま攻める。ローリングソバットもとりあえず出しておく感じで仕掛ける。そうやってスキをうかがっていたが、

「グフフ♪ツカマエタァ」
バックドロップ2連発。これでカミスワ頭を打った。すかさず地獄落としでとどめ。ナイトメア神威が予選会のとき同様に力押しでカミスワを沈めた。

A中森(2点、ストレッチプラム 16.09)REKI(2点)

開幕2連敗のイージス中森、シード権確保のためにも勝っておきたいところ。さすがに今日は気合いが入っていた。ジャンピングニーで追い込んでストレッチプラム。これでREKIからギブアップを奪った。

C斉藤(6点、ジェットスマッシュからの片エビ固め 28.42)N白石(4点)

「最終戦の横浜で武藤とコンバットが当たりますから、それまで両方とも取りこぼさないことですね」

かいせつの吉田龍子が語る。コンバット斉藤、この日の相手は怪力のノエル白石。組み付かれてのパワーに押されてなかなか殴る蹴るに持ち込めない。

「はっ」
踏み込んでくるノエル白石を急場しのぎの頭突きで応戦。

要するに密着して戦えば打撃の出せないコンバット斉藤などたいしたことはないのだ。懸命に裏拳で手数を返すコンバット斉藤、

―あたしはもう以前の空手家じゃあないんだ!

組み付いてくるノエルをコブラツイストに切り返す。4年余りのレスラー生活でここまで技術を身につけた。彼女の研究熱心さがうかがえる、
「・・うう・・・」
ノエル白石の身体が離れた。いまだ。

「ジェットスマッシュ!」

どかーん、はい終了。

―ゼェ、ゼェ、ゼェエ・・・

なんとか勝てたコンバット斉藤、控室に戻ってくるなりコンバット斉藤、ぶっ倒れた。
ー一歩間違ったら、持ってかれた・・・

武藤(6点、延髄斬りからの片エビ固め 12.41)R神威(0点)

光と闇の頂上決戦が九州ドームで組まれた。

「氏ねや武藤!」
レフェリーチェックのスキをついて急襲していったライラ神威だったが、武藤も倍返し。去年この選手に負けて優勝戦線から後退したのだ。Sクラ奪還のためにも2年続けての取りこぼしは許されない。

「あなたなんかに、あなたなんかに!負けるもんですか!!」

武藤一気の攻め、早い時点でムーンサルトを繰り出す。そして延髄斬り。武藤めぐみ3連勝。ライラ神威、開幕から3連敗、さすがに動きが落ちてきたのか・・・

3戦目を終えた時点で武藤めぐみとコンバット斉藤の二人が3連勝でトップ。翌日は大阪なにわパワフルドーム大会。

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A中森(3点、時間切れ引き分け)Kカミスワ(3点)

両者とも理詰めのレスリングを得意とするだけあってねちっこい技の応酬。いっときも目が離せないいい勝負となった。脇固めでみっちり右腕を集中攻撃してゆくカミスワ。しかしイージス中森も裏拳で追い打ち。闘いは長期化した。
あっという間に30分が経過、両者譲らずドロー。

「ハー、ハー、ハーッ・・・」

「・・・なかなか、やりますね。」

REKI(4点、新蛇抜からのエビ固め 11.48)R神威(0点)

DFの同門対決。しかし17期生、ライラ神威の動きがそうとう悪い。REKIのスピードについていけないのだ。

「クソッタレガーーーーーー」

なんとかカムイエクウチカウシで反撃したが2.5で返され、逆に農鳥の直撃弾を食らって棒立ちになったところへ新蛇抜(しんじゃぬけ・変形フランケンシュタイナー)で丸め込まれて敗北。DF総帥、ライラ神威4連敗・・・

「チキショウ消えうせろ!」

記者陣に悪態をつくライラ神威。それがかえって痛々しい

N神威(4点、パワーボムからのエビ固め 24.11)C斉藤(6点)

またまたDFの直接対決。奇声を発しながら襲い掛かっていったナイトメアだが、

「スキだらけです。」
掌底でボコボコ。しかしナイトメア神威打たれ強い。何事もなかったかのように頭突きで反撃。

―きいてないはずはない、必ず足に来る、それまで・・っ

ナイトメア神威の力任せの攻撃に懸命に耐える、そしてー

「一気に決める!」
ジェットスマッシュ!ナイトメアの動きがさすがにこれで止まった。

「ハァーッ!!」
トドメの飛燕脚。しかしなお2.8で返すナイトメア

―しぶとい・・・
コンバット斉藤、急場しのぎにローリングソバットをたたきこむ。しかしこれも2.9で返すナイトメア。

―くう、まるで、まるで・・・
学生時代に見たゾンビ系ホラー映画がコンバット脳裏をよぎる。

攻め疲れてしまったコンバット斉藤、そこへ狂ったようにナイトメア神威が攻めかかる!

「ファーハハハハ!」
ナイトメア神威、地獄落としを挟んでの渾身のパワーボム。
ワン、トゥ、スリー。

SPZ王者が3カウントを奪われた。
「負けてしまった・・・」
コンバット斉藤、この1敗が尾を引かなければいいのだが・・・

武藤(8点、DDTからの片エビ固め 14.57)N白石(4点)

目の前で最大の敵・コンバット斉藤が敗れるのを見た武藤、単独トップに立つべくノエル白石を攻め立てる。ノエルのパワーさっぽうに苦しんだものの、ノーザンで形勢逆転。すかさずムーンサルトを叩き込む。これはなんとか2.8で返したノエル白石だったが、トドメのDDTに沈んだ・・・

「あと3試合ですか。しっかりやります。」

単独トップに立った武藤めぐみ、俄然有利に・・・

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シリーズ6戦目は一気に北海道へ飛んでどさんこドーム大会。

A中森(5点、ノーザンライトSH 15.33)R神威(0点)

「もうリーグ戦なんてどうでもいい。気にくわねえやつらをぶっコロスだけさあ」

この日の相手は実力者、イージス中森、終盤にストレッチプラムにつかまってしまう。ライラ神威、カムイエクウチカウシで反撃。しかしイージス中森もノーザンでお返し。ライラ神威泥沼5連敗、長い事守ってきたシード権も失った・・・

「シード権?知るかそんなの!!そんなん気にしてプロレスやってねえよ!」

ライラ神威、ウサ晴らしに行くのか、ススキノの街へ消えていった・・・・

N白石(6点、STOからの片エビ固め 12.13)N神威(4点)

おとといコンバット斉藤を破る殊勲の星を挙げたナイトメア神威。しかしパワーならノエル白石のほうがまだまだ上。ナイトメア神威の狂乱ファイトもノエルのマイペースぶりに空回り。

「えっと・・・・」

バックドロップで動きを止められてしまう。そして修羅場をかいくぐってきた経験ではノエル白石が断然上。最後はきっちりSTOで3勝目を挙げた。

C斉藤(8点、飛燕脚からの片エビ固め 10.55)Kカミスワ(3点)

「これで今日の札幌、明日の仙台負けられなくなりましたね」
なんとか1ゲーム差で武藤に食らいつかないといけない。この日はカミスワを打撃でさくさく攻め立てる。

―川端さんはまだ大きいのを持っていないから大丈夫だ。大丈夫。
コンバット斉藤飛燕脚であっさり3カウント奪取。

武藤(10点、サソリ固め 10.41)REKI(4点)
武藤めぐみエンジン全開、サソリ固めでREKIをあっさり始末。

第25回SPZクライマックス、武藤めぐみが10点で首位を走り、1敗でコンバット斉藤が追う展開・・・(続く)

2008年7月22日 (火)

第460回 25年目のSPZクライマックス(上)

24年目8月
恒例のSPZクライマックス。出場者は以下の8名。

■「新・最強戦士」武藤めぐみ(22)

7年連続7度目の出場 

第21回・22回・23回大会優勝 京スポ予想:本命
「まあ、やるだけだわ」

■「ネイチャーガール」ノエル白石(21)5年連続5度目の出場 

京スポ予想 大穴
「リーグ戦?・・よく、わからない・・・」

■「何をしでかすかわからない」ライラ神威(23)

6年連続6度目の出場 
「キエーヘヘヘヘヘヘヘッ!なにもかもぶっ壊してやる」

■「必殺仕事人」イージス中森(20)

4年連続4度目の出場 
「一つでも多く白星を重ねます」

■「クノイチマスター」REKI(20)

2年連続2度目の出場 
「・・・・・・・」

■「ジェットスマッシュ」コンバット斉藤(19)

3年連続3度目の出場 SPZ世界王者 第24回大会優勝
「チャンピオンとして恥ずかしくない試合をしたいです」

■「温泉プロレス」ケンドー・カミスワ(不明)

予選会1位通過
「夏のリゾートはぜひ上諏訪温泉へおこしください」

■「狂乱の舞」ナイトメア神威(17)

予選会2位通過
(頭から麻袋をかぶされているので無言、かわってライラ神威がひとこと)

「ダークフラクション、どうせ優勝はコンバット斉藤だからうちら3人は武藤に身体的、精神的にダメージを与えたる。ナイトメア神威、コイツはヤバイで・・・」

2戦目、名古屋大会から地獄のリーグ戦がスタート。

Kカミスワ(2点、ジャーマンSH 27.28)REKI

20期生のREKIが鋭いアームホイップでバーン、バーンとカミスワを投げつけリングを鳴らす。そうしてかく乱しておいて、

「ふっ!」
中盤からDDTとかで大技を混ぜてくる。このあたりは長年のDFのバイプレイヤーとして培った試合運びのうまさ。ならばとカミスワは腕ひしぎを狙うがそれはREKIも分かっていてロープ際で闘うクレバーさ。REKI,新蛇抜で勝負をかけるが2度目は読まれてパワーボム。頭脳派同士の裏のかきあいが続いた。

REKIの農鳥をカウント2.8でクリアしたカミスワ、ここで勝負に出てジャーマン。アメリカ仕込みだけあってけっこうブリッジの形もいい。27分の激戦を制したカミスワ、SPZクライマックス初勝利を挙げた。

N白石(2点、STOからの片エビ固め 18.35)R神威

「優勝なんて狙ってねえよ。武藤のアフォをつぶすだけさあ!」

悪の権化、ライラ神威、初戦は馬鹿力のノエル白石と対戦。真正面からの力のこもった消耗戦。しかしライラがミサイルキックを自爆。STOで勝負をかけるN白石。カウント2で返してトムラウシで反撃するライラ。しかしノエル白石がこの日2度目のSTO、これでライラ神威をしとめた。

C斉藤(2点、飛燕脚からの片エビ固め 14.51)A中森

テクニックならイージス中森だが、コンバット斉藤の打撃は一発一発が重い。コブラツイストでスタミナを奪うなど試合内容も進歩。最後はふらつくイージス中森へ飛燕脚。イージス中森に快勝し白星発進。

武藤(2点、シューティングスタープレスからの片エビ固め13.34)N神威

SPZクライマックスを再奪還した選手はいない。
SPZ24年の歴史でも一度真夏の覇者を追われた者はその後ズルズルとポジションを下げて行くだけ。しかし武藤めぐみ、そのジンクスに真っ向から立ち向かう。
ナイトメア神威の狂乱ファイトに手こずったものの、攻め疲れが見えてきてからは一気に反撃に転じる。ローリングソバットの連発でペースをつかみ最後はシューティンスタープレス。まさに横綱プロレス。

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翌日は広島若鯉球場大会。
REKI(2点、新蛇抜からのエビ固め 11.04)N神威(0点)
DFの同門対決。今シリーズのナイトメア神威、身体をベルトで拘束されて、セイレーン千春、マーメイド千秋に引っ張られて入場。試合開始直前に拘束ベルトが解かれるという無茶苦茶なギミック。「こうしないと危険」らしい、

しかし昨日負けて奮起したREKI,ころあいを見て新蛇抜で丸め込んで勝利。敗れたナイトメア神威、3カウントを取られたのにも気づかずなお暴れまわっていた・・・

N白石(4点、STOからの片エビ固め 16.35)Kカミスワ(2点)

例によって温泉まんじゅうをばら撒きながら入場したケンドーカミスワ。しかし試合が始まるやノエルが猛攻。タックルにやすやすと弾き飛ばされる。そしてエルボー。静かな暴君ノエル白石が本領発揮。最後はニーリフトの連打でカミスワが棒立ちになったところへSTO,教科書どおりの勝ち方。

C斉藤(4点、飛燕脚からの片エビ固め 6.39)R神威(0点)

「こんなクソ暑い屋外の球場で試合するのもな、まあテキトウにこいや・・・」

ライラ神威は精彩を欠くファイト。
コンバット斉藤イッキの攻め、飛燕脚の連発でライラ神威にフォール勝ち。勝負タイムわずか6分39秒。ライラ神威ほとんど技を出さず一方的に敗れた。無気力試合なのか、コンバット斉藤が強いのか。

武藤(4点、DDTからの片エビ固め)A中森(0点)

広島大会のメイン、武藤が地力の強さを見せつけ、ダイビングプレスでダメージを与えてフィニッシュはDDT。夏の王座奪還へ2連勝といいスタート。

2008年7月21日 (月)

第459回 終わりなき抗争

25年目7月

「サマースターナイツシリーズ」開幕。またTWWAを新女に引き抜き返された。

初戦の青森大会、第3試合で波乱が。23期生のナイトメア神威が地獄落としでSPZ本隊ナンバー2のノエル白石に勝ってしまった。

メインイベントはSPZ本隊VSダークフラクションの6人タッグ。武藤めぐみ、イージス中森、ケンドーカミスワ 対 コンバット斉藤、ライラ神威、REKI。6人とも翌月のSPZクライマックス出場予定の実力者ぞろいなので沸いた。
REKIが軽快な動き。イージス中森へジャンピングニー、そしてフェイスクラッシャー。しかし本隊も代わって出てきたカミスワが脇固めでうまく流れを変える。

「キェヘヘヘヘヘ」
団体最古参選手だが何をしでかすか分からない危険な女・ライラ神威が相変わらずの狂乱ファイト、しかし武藤めぐみが出てくるや押されだすが、

「ブッコワレローー」
ライラ神威、カムイエクウチカウシ!このあたりから試合が動いてきた。ふらついた武藤、コンバット斉藤へシューティングスタープレス。6人が入り乱れる混戦となった。

「決める」
最後はREKIの農鳥がヒットし、イージス中森から3カウントを奪った。勝負タイム19分50秒。試合後はライラ神威、無茶苦茶なマイクアピール。

ええおい!武藤のアフォ!千葉大会、お前の最期だ。来月SPZクライマックスになんか出させねえぜ!あと吉田龍子!この新婚ボケ!(場内沸く)さっさと社長辞めろ!SPZの社長はジーナ・デュラムにでも譲って、てめぇはさっさと休んでろこのヤロー!」

「あ・の・野郎・・・」

テレビ解説・吉田龍子の額に怒りの四つ角マークが。当然このあとセコンド陣を巻き込んだ大乱闘となった。

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第4戦茨城大会、第1試合で新人の八島がジェシービートンをあと一歩まで追い込んだが最期はスタミナ切れを起こしてエルボーに敗れてしまった。

カシマ大会セミファイナル、このカードから大日本テレビのカメラが回りだした。武藤めぐみ、野村つばさ対ライラ神威、ナイトメア神威。

執拗に武藤の首を狙うライラ。この日もカムイエクウチカウシを決めて大ダメージを与える。勝敗度外視で武藤をいたぶるライラ。しかし武藤もきっちりお返し。双方大ダメージ。しかしここで武藤のパートナー、野村つばさがタイミングよくコーナー最上段からダイブ。DF総帥のライラを圧殺してカウント3。勝負タイム20分20秒。

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第7戦千葉大会。セミファイナルはノエル白石、イージス中森対コンバット斉藤、ナイトメア神威。
「ほっ!」
コンバット斉藤、SPZ王者になってから闘い方の幅が広がり、裏投げ2連発でイージス中森を沈めた。勝負タイム29分45秒の激戦。

メインイベントはSPZタッグ戦、王者武藤めぐみ、Jビーチに挑むのはライラ神威、REKI組。

「あたしのレスラー生活で最大の誤算は武藤めぐみの存在だった。あれさえ居なければSPZを制圧できたのに。だから私は武藤めぐみだけは潰す」

試合前のインタビュー、ライラ神威は上記のコメント。ほとんど言いがかりだ。

試合はいつもどおりライラ神威のラフファイト。しかし武藤受けきってエルボーで反撃し、ライラを鼻から流血させる。ならばとREKIにタッチするが武藤のハイスパートレスリングについてゆけず、何もできぬままライラにタッチ。最後は武藤めぐみ、延髄斬りを連発してライラ神を沈めてベルト防衛に成功。勝負タイム23分38秒。

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最終戦は新日本ドーム大会
第1試合は八島静香対ハリケーン神田の新人対決。打撃で優勢に試合を進めたハリケーン神田がエルボーで3カウントを奪った。

第2試合は野村つばさ対ワイルドローズ2号。野村つばさの飛び技とワイルドローズ2号のパワーがぶつかり合う意外と好勝負。最後はダイビングプレスを決めた野村が15分51秒の激戦を制した。

第3試合はセイレーン千春、マーメイド千秋が登場。対戦相手はJビーチ、ジェシービートン。悪役姉妹と常連外人の対戦これも盛り上がった。最後はマーメイド千秋のジャンピングニーがビートンを仕留めた。勝負タイム14分48秒。

休憩明けはローズ・ヒューイット登場。対戦相手はパトリシア・ルイス。力関係からいってヒューイットお嬢様の楽勝。8分11秒、ラリアットで決着。

セミファイナルはSPZ本隊VSダークフラクションの定番対決、武藤めぐみ、イージス中森、ケンドーカミスワ対ライラ神威、ナイトメア神威、REKI。

「URAA」

ライラ神威、昨日武藤に延髄斬りでのされた恨みをこめたヘッドバット。しかし武藤もノーザンでお返し。そのあと試合は6人が入り乱れるバトル。しかし最後は武藤がナイトメア神威を捕まえてシューティングスタープレス。13分15秒、これで3カウントが入った。

メインイベントはSPZ戦、新王者コンバット斉藤、初防衛戦の相手は19期生の元SPZ王者ノエル白石。しかし今シリーズのノエル白石はナイトメア神威にシングルとタッグで一度ずつフォール負けするなど不調。この日もC斉藤の打撃に押される。ノエル白石、追い込まれてからようやくSTOを放つがこれはコンバット斉藤があえて受けた感じ。コンバット斉藤飛燕脚。

しかしノエル白石もカウント2.5で返して2回目のSTO,そしてノエル白石大逆襲、ジャーマンでカウント2.8まで追いこんだがー

「はーっ!」
コンバット斉藤、ここでジェットスマッシュ。高速顔面蹴りを食らってノエル白石吹っ飛ぶ。これでカウント3が入った。勝負タイム29分39秒、コンバット斉藤が初防衛に成功。

試合後、コンバット斉藤がマイクアピール。本人はそんなのとは無縁なのだが、来月へのあおりのために会社からやれと指示された。

「ハァ、ハァ・・・ファンの皆さんのおかげで勝てました。来月、SPZクライマックスがあるんですけど、SPZチャンピオンとして、当然、優勝しますッ」

しかしここで武藤めぐみが乱入。

「これ以上、SPZをDFの天下にはさせません。SPZクライマックス、全員つぶして!!優勝して!!賞金でラスベガスに遊びに行きます!!」

ワハハハハハ

さすがに年季の入った選手はマイクが巧い。しかしSPZで一番マイクが巧いのはこの選手だ。もはや誰なのかは説明するまでもないだろう。

「お茶畑!!誰がてめえなんかに100万円やるもんかよ。どんな手を使ってでも血の海に沈めてやんよ、ウァハハハハ、ええおい、チェーンソーとガトリング砲とどっちがいい?んー?」

「ふざけないで、イモ畑!!」

にらみ合う両者、険悪な雰囲気。しかしここでREKIもめったにやらないマイク。会場をどよめかせる。

「奈良田の里のために・・・賞金は私が頂く」

ウォオオオオオ!!

初出場のケンドー・カミスワもマイクを取ってアピール。

「全国のプロレスファンの皆様こんばんわ。今年も暑い夏がやってまいりました。夏といえば海水浴に登山にビールにプロレス観戦ですが、夏バテの身体を休めるには温泉が最適です。温泉といえば上諏訪です。諏訪湖のほとり上諏訪温泉、腰痛に効く上諏訪温泉、ストレスノイローゼに効く上諏訪温泉、遊び疲れに効く上諏訪温泉、万病に効く上諏訪温泉、お風呂上りに温泉卓球、新宿からスーパーあずさでたったの2時間8分・・・・」

「アンタ!長いよ!」

上諏訪温泉の宣伝を続けるカミスワからマイクをうばい取ったイージス中森選手会長もアピール。

「SPZクライマックス、私もそろそろ結果を出したいと思います。」

そして今年もSPZクライマックスが始まる・・・

2008年7月20日 (日)

第458回 25年目6月 武藤めぐみVSコンバット斉藤

最終戦はさいたまドーム大会。

第1試合は八島静香対Jビーチ。

きのうSPZタッグを防衛して気をよくしているJビーチ、新人の八島を躍動感あふれる攻撃で攻め立てる。八島もデスバレーを連発で繰り出すなど盛り上がったが、最後はJビーチがバックドロップ、ジャンピングニーと波状攻撃で幕。勝負タイム8分1秒。

「いい試合だったよ!」
Jビーチが手を振りながら退場。

続く第2試合は悪役姉妹コンビ・セイレーン千春、マーメイド千秋が登場。野村つばさ、ハリケーン神田組と対戦。マーメイド千秋がうまく分断に成功し、最後は新人の神田をアキレス腱がためで葬った。勝負タイム11分31秒。

第3試合はシンディーウォン対ワイルドローズ2号。ラフファイトでペースをつかんだシンディーが凶器攻撃で3カウント。勝負タイム9分48秒、その試合が終わると休憩。

セミ前第4試合は最強外人対決、メガライト対キャシーウォン。投げまくったメガライトが9分38秒、キャプチュードで始末した。

セミファイナルは6人タッグ、ノエル白石イージス中森ケンドーカミスワのSPZ本隊にライラ神威REKIナイトメア神威のダークフラクションが激突。6人の個性がぶつかり合う好勝負となった、ライラ神威、動きは落ちているのだがN白石へ凶器攻撃をやって流れを引き寄せるなどズルさ爆発。

リーグ戦を制したナイトメア神威が奮戦、ノエル白石に合体パワーボムを仕掛けるなどいい動きだったが、最後はイージス中森の関節地獄に捕まってしまい、ストレッチプラムに無念のギブアップ。勝負タイム24分15秒の激戦。

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そしてメインはSPZ選手権。王者武藤めぐみに挑むのはコンバット斉藤。SPZの頂上決戦といえた。

過去1年間の対戦成績はコンバット斉藤の2勝1敗。いきなりの掌底で武藤を鼻から流血させる。それでも掌底で殴り続けるコンバット斉藤、しかし武藤もエルボー、ローリングソバットで反撃。

―総合力ではこっちがまだ上、打撃をもらう前に何でもいいから攻めないと!

武藤、早い段階からダイビングプレス。しかしコンバット斉藤も裏拳2連発。
「ウアーッ」
武藤、バックドロップで投げてダイビングプレス、そしてノーザン、2.5で返す斉藤、

武藤ここでジャンピングニー。しかしロープに近い

武藤シューティングスタープレス、誰もがああこれで終わったと思ったが、コンバット斉藤カウント2.9で返す。

武藤、休まず攻める、トドメのノーザンライトスープレックス。しかしコンバット斉藤、カウント2.9で返す。

ドドドドドド。

「そ、そんな・・・」

一瞬たじろぐ武藤、コンバット斉藤、最後の勝負に出た。

「この一撃にすべてをかけるっ!!」

アーーーーーー!!会場のファンは悲鳴。

ズバッと決まったジェットスマッシュ。顔面にヒット。吹っ飛ぶ武藤、

ワン、トゥ・・・スリー!!

「27分47秒、ジェットスマッシュからの片エビ固めでコンバット斉藤の勝ち」

ウワアアアアア!
もうこの結果も不思議ではなくなってきた。やっぱり一発を持っている選手は強い。コンバット斉藤がSPZ王座を奪還した。

2008年7月19日 (土)

第457回 25年目6月 予選会リーグ戦(下)

25年目6月 SPZクライマックス出場権をかけた予選会リーグ戦、若手中堅選手7名がリーグ戦を闘い、上位2名が本大会に出場できる。

第5戦、福井大会。
野村(4点、ミサイルキックからの片エビ固め 7.41)八島(0点)

デビュー2シリーズ目の八島静香、ハードなシングルマッチの連戦に疲れが隠せない。野村つばさが大先輩の貫禄を見せて、ミサイルキックで軽く一蹴。

Kカミスワ(8点、ローリングソバットからの片エビ固め 17.02)M千秋(6点)

全勝同士の対決。お互い負けられない。気合のこもった攻防が続く。マーメイド千秋がフィッシャーマンバスターを繰り出せば、カミスワは上諏訪温泉極楽絞め。最後はカウント2.8の応酬。勝ったのはカミスワ。ローリングソバットでマーメイド千秋を振り切って4勝目、これで本大会出場へ大きく前進。

N神威(8点 ブレーンバスターからの片エビ固め 9.43)S千春(4点)

キャリアでは1期先輩のセイレーン千春、ただし海外で2年近く遊んでいたブランクがある。パワーなら完全に上を行くナイトメア神威。セイレーン千春を押し切って4連勝。

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第6戦は石川・金沢大会。

野村(6点、ミサイルキックからの片エビ固め 6.24)H神田(0点)

けっきょく野村つばさは6点でリーグ戦終了。この日はハリケーン神田をさくっと沈めた。

Kカミスワ(10点、上諏訪温泉極楽絞め 6.50)S千春(4点)

ケンドーカミスワ、ついに恐ろしい本性を出してきたか。上諏訪温泉極楽絞めでセイレーン千春を落とした・・・最後のリング上はちょっとした騒ぎになった。

N神威(10点、地獄落としからの片エビ固め 9.35)M千秋(6点)

ナイトメア神威、去年の予選会では負けた相手、マーメイド千秋にきっちりお返し。この結果最終戦を待たずして予選通過者2名―ケンドーカミスワ、ナイトメア神威、が確定。

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第7戦は富山大会。

八島(2点、デスバレーボムからの片エビ固め 10.49)H神田(0点)

やはりリーグ戦を全敗で迎えた新人の2人、シングルではこれが初対決。この2ヶ月学んだものを懸命にぶつける両者、

―先手必勝、殴って弱らせる!
積極的にジャンピングニー、ドロップキックで仕掛けた八島が優位に立ち、最後はラリアット、不恰好だが右腕をたたきつけた。これは2.8で返したH神田、ステップキックで反撃するがそこまでで、デスバレーで3カウント奪取。

M千秋(8点 ネックブリーカーからの片エビ固め12.11)S千春(4点)

はじめての姉妹対決が組まれた。しかし実力はSPZで3年もまれたマーメイド千秋のほうが何枚も上。逆片エビ、アキレス腱固めでいたぶっておいて、ネックブリーカーでフォール勝ち。

「うれしかねえよ。本大会、出れんから。」

N神威(12点、パワーボムからのエビ固め 17.02)Kカミスワ(10点)

既に本大会出場を決めている両者の対戦。しかしトップ戦線に食い込むためにも目の前の相手はきっちり勝っておきたい所。いつものようにスリーパーを軸にじわじわと攻めるカミスワ。じれたナイトメア神威がタイガードライバー、ブレーンバスターで反撃。しかしカミスワも執拗に逆エビを仕掛けるがロープに近い。

「ウェーーー!!」

ライラ神威、うなり声とともに繰り出す地獄落とし。しかしカミスワも返してジャーマンで反撃。熱のこもった勝負、しかし最後は、

「URAAAAAAAAAA」
力のこもったパワーボム。これでケンドーカミスワを沈めた。これで全勝で予選会を通過、本大会へ殴り込みをかける。

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富山大会メインはSPZタッグ戦。王者武藤めぐみ、Jビーチに挑むのは、キャシー・ウォン、シンディー・ウォンの悪の女帝ウォン一族。富山でタッグ戦が組まれるのも稀なのでファンは沸いた。試合は武藤めぐみが大暴れ、キャシーウォンのキック攻撃に手を焼いたが、シンディーが出てくるやシューティングスタープレスを決めてきっちり勝利。19分0秒、初防衛に成功。

2008年7月18日 (金)

第456回 25年目6月 予選会リーグ戦(上)

25年目6月 

恒例のSPZクライマックス予選会。
出場選手は以下の7名。

・野村つばさ(18期)
・セイレーン千春、マーメイド千秋、ケンドーカミスワ(22期)
・ナイトメア神威(23期)
・ハリケーン神田、八島静香(25期)

上位2名が本大会に出場できる。今年は選手の頭数がすくないので、新人の2人にも予選会出場のチャンスが与えられた。

1戦目山口大会。

M千秋(2点、ヘッドバットからの片エビ固め9.01)八島

あっという間に新人の八島を追い込んだマーメイド千秋。アキレス腱固めでいたぶる余裕も。
「うりょーっ!」
がすっ!
最後は格の差を見せ付けるようにヘッドバットでなぎ倒して3カウント奪取。

N神威(2点、地獄落としからの片エビ固め 8.43)H神田
「イェーヘヘヘヘヘ!!」
狂ったように暴れまわるナイトメア神威。最後はきっちり地獄落としで3カウント。

Kカミスワ(2点、ドロップキックからの片エビ固め 28.15)野村

22期生のケンドーカミスワ、海外生活が長かったのでまだ固定ファンがついていない。しかし実力はかなりの腕前。18期生のアイドルレスラー野村をグラウンドで圧倒。懸命に耐える野村つばさ。しかし野村もダイビングプレス、ミサイルキックで見せ場は作る。しかし最後は野村つばさ、スタミナが尽きてしまいローリングソバットからのドロップキック2連発にフォール負け・・・。28分の熱闘に場内拍手。

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2戦目は島根大会。
S千春(2点、ニーリフトからの片エビ固め 10.47)八島(0点)

ようやく後輩が入ってきていたぶる制裁的プロレスが可能になったセイレーン千春。笑いながら掌底を連発して行く。そしてニーリフト。新人の八島手も足も出ぬまま敗戦かと思われたが、意地を見せて、デスバレーでぐらつかせる。しかし耐えたセイレーン千春が2度目のニーリフトで悶絶させて終わり。

M千秋(4点、バックドロップからの片エビ固め 5.56)H神田(0点)

ハリケーン神田なにもできず。危険な角度のバックドロップ2発に沈没。

N神威(4点、背面トペからの体固め 10.30)野村(0点)

ナイトメア神威も危なげなくアイドルレスラー野村を下して2連勝。

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第3戦は鳥取大会。

S千春(4点、スクラップバスターからの片エビ固め8.49)H神田(0点)

「なんで地元で前座第1試合なんだよ!」

悪態をつくセイレーン千春。新人のハリケーン神田を痛めつけて鬱憤を晴らす。最後はスクラップバスターで軽々と叩きつけて終了。

M千秋(6点、延髄斬りからの片エビ固め 13.02)野村(0点)

今年の予選会は上位2名しか出られないので狭き門。初出場を目指すマーメイド千秋、手堅く勝っておきたい所。しかし野村もまだまだ元気。元気いっぱいの弾丸エルボーでたじろがす。しかしマーメイド千秋、野村の動きを良く見てミサイルキックを自爆させる。そして・・・

「くらええええい!!」
延髄斬りヒット。これで野村つばさの戦意を絶った・・

Kカミスワ(4点、飛びつき腕ひしぎ逆十字 9.28)八島(0点)

温泉マークの入った覆面レスラー、ケンドーカミスワが新人相手に余裕のファイトを見せ、腕ひしぎで完勝。

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第4戦は兵庫大会。

野村(2点、ミサイルキックからの片エビ固め 10.59)S千春(4点)

アイドルレスラー野村つばさが元気はつらつ。ミサイルキックをかっこよく決めてセイレーン千春を破った。場内大歓声。

Kカミスワ(6点、上諏訪温泉極楽絞め 6.55)H神田(0点)

出た出た。上諏訪温泉極楽絞め。この技をマスターするためには上諏訪温泉に1日8時間漬かりながら練習しなければならないらしい。上諏訪温泉に漬かる事によって身体のキレを限界以上まで高めるらしい。(本人談)

「・・・うがっ・・・・」

ハリケーン神田たまらずギブアップ。まさに恐ろしい技。

N神威(6点、凶器攻撃からの片エビ固め 8.44)八島(0点)

ナイトメア神威、新人の八島にたいしてもまるで容赦なし。凶器攻撃で痛めつける。そして場外バックドロップ。

「ぐぎゃあああああああ」

最後も栓抜きで頭を一撃してからの3カウント。なんてことをするんだナイトメア神威。井上レフェリーは見て見ぬふりをしていた・・

第4戦終了時点で本大会出場の2つの椅子をマーメイド千秋、ナイトメア神威、Kカミスワの3人が争う展開。(続きます)

2008年7月17日 (木)

第455回 あるベテラン選手の試合前

(ついにこの連載も455回まで来ました。鉄道ファンにとっては455というのは思い入れの深い数字です。次は485を目指して頑張りたいと思います konno)

ということで今日はストックではなく書き下ろし。

(こういうことを刷るから本編がちっとも前へ進まないのですが)

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25年目5月

SPZは今日も巡業、今日は香川県の体育館での興行。

リング上ではラッキー内田コーチが新人の二人を指導していた。

「はいはいすぐ立つ!本番だと間があくとだれちゃいますよ!!」

先日デビュー戦を終えたばかりの八島静香とハリケーン神田のふたりが内田コーチにしごかれていた。ひたすら受け身の練習。ボディスラムで投げられる練習。

そんな若い選手を会場隅から見つめる一人のベテランがいた。

ナイトメア神威やマーメイド千秋といった他の若手選手はリング外で黙々とバーベルを上げていたが、一人だけ体育館の隅をのんびり散歩している女性がいた。茶髪でサングラス姿、Tシャツとジャージで体育館の隅を黙々と歩いている。

SPZ最古参選手、島宮香織23歳、リングネームはライラ神威。デビューしてからまる8年が経過し、もう全身ガタがきていて、リングドクターや後援者からも引退を勧められていたが、本人はまだしばらく辞める気はないようだ。練習も若い選手と同じメニューをこなす事はできず、開場前の練習も歩行運動かジョギング程度。

ライラ神威、リングの方へ歩を進めて、内田に声をかける。

「お疲れッス、内田さん、今日試合はねたら焼き鳥喰いに行きませんか」

「・・・島宮さんのおごりでなら」

「・・・・・・・ハハハハ」

ライラ神威、そのあと内田コーチととりとめのない雑談。

「ところでどう、今年の新人は」

「どうでしょうね、まあこのコたちが活躍してくれないとウチの団体傾くから」

「ハハハハハ、まあそうやな」

八島静香のほうがスタミナ切れを起こしてへばっている。ラッキー内田は八島の練習の相手をすることにして、神田には筋力トレーニングを命じた。

ライラ神威、ヒマだったので、そのままリングで新人の練習を見た。ハリケーン神田の腹筋運動で足を押さえる。

 「神ちゃん、あんた、いい体してんな」

新人だがもう体幹ができている、このコは出世しそうだとライラ神威は感じた。

「・・・自分は、キックボクシングやってましたから」

 「・・・ほう、それで、どうしてプロレスを始めたの?」

「・・・あまりいい動機ではないかもしれませんが、か、稼げるって、聞いて」

「SPZの中堅レスラーは年収1000万円」という事を数年前ギムレット美月が著書で暴露したのは有名な話だ。

 「いい動機だよ。あたしを現役に縛り付けてるのもそれさ。」

「・・・そうなんですか」

 「身体はボロボロなんだけどさ、やっとここまで自分の価値を作ったからさ、もうちょっと踏ん張って、形を残して・・・ね」

ライラ神威、調子がついてきたのか、神田と一緒にタオルの引っ張り合いをして汗を流す。

 「ありていな言い方だけど、このリングにはいろんなものが埋まってる。いまは苦しい事のほうが多いけどよ、そのうち、掘り出せるようになるべさ」

「はい!」

ーライラ神威さんは、テレビで見るのとじっさいに話をするのとでは大違いだ。DFのリーダーだけのことはある。

ハリケーン神田はそう感じた。

 「だから、実力ついたら、DFに勧誘してやるよ、はははは」

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やがて開場、若手選手は雑用に駆り出されたが、ライラ神威は最古参なのでそんな事はしなくていい立場。内田コーチと控室でのんびり焼き肉談義。関内のどこそこがうまいとかそういう話をしながら試合開始を待つ。

「きょう、何試合目だっけ」

「メインイベント、武藤さんと6人タッグ」

「やれやれ、ゴマ化しのきかねえ相手だなあ」

DF側控室、最古参のライラ神威は一番奥でお気に入りのディレクターチェアにもたれ、のんびりとモニタで前座の試合を見ていたが、セミ前が始まる頃ようやく動き出した。リングコスチュームに着替え、ヘアスタイルを手早く整える。

そのあと控室を出て、控室前の廊下でストレッチ、そのあと黙々とスクワットで身体を動かす。さすがに試合前30分ころからは気合いを高める。

ーきょうも、リングが、私を待っている。

仕上げに砂袋の重りを担いで、のっしのっしと歩行運動。動けなくなってもここ数年試合前に続けている仕上げの調整。

ーそろそろセミが終わるかな。

ライラ神威、控室へ取って返し、グラサンを外して、試合用マスクに付け替える。ついでに鉄製の凶器をシューズの中に入れておく。地方興行だが流れ次第では使うかもしれない。

「さあ、いこーか」

今日のタッグパートナーはコンバット斉藤とマーメイド千秋。控室前の廊下で最後の打ち合わせ。

「まあ適当にやろうか。先発はいちおう千秋で。相手は武藤めぐみだから作戦立てても無駄、出たとこ勝負で行こう、斉藤、やられんなよ!」

「はい!」

セミが終わり、ライラ神威のテーマ「COLLECTIVE」が流れる。もう1年前くらいからDFの実質的エースはコンバット斉藤なのだが、先輩の顔を立てて入場テーマはライラ神威の曲を使用している。

「はい、島宮さん」

今日の得物は鉄パイプ。内田コーチが手渡した。入場時に凶器を振り回すパフォーマンスも仕事のうちである。

「サンキュ、さくっと終わらせて焼き鳥喰いに行くゾ!」

「・・・はいはい。」

そして、花道入り口のドアが開くやいなや、ライラ神威の顔を全開にして、

「ウァハハハハハーーーーー」

ライラ神威、狂乱の表情で鉄パイプを器用に振り回して入場。客席を徘徊して恐怖に陥れる」

ー試合前と表情が全然違う、やっぱりこの人は凄い・・・

先導するジャージ姿のハリケーン神田、レスラーの凄さに胸を打たれた。

2008年7月16日 (水)

第454回 ハリケーン神田・八島静香デビュー!

25年目5月

5月シリーズ「バトルカデンツァ2033」開幕。

「神田さん、八島さん、今度のシリーズでデビューなので、巡業には同行してください」

選手会長イージス中森が新人2人に声をかける。採用後1ヶ月間は道場でみっちり基礎と受け身を教わったのではじめて巡業に出る。

シリーズ第1戦高知大会、いきなりデビュー戦。プログラムに二人の名前のハンコが押された。

第1試合はセイレーン千春(22期)対ハリケーン神田(新人)。ハリケーン神田というリングネームは吉田社長がテキトウに考えた。チョップを打っていくが、セイレーン千春、余裕で受けてみせる。

「ぐうううう」

セイレーン千春、スリーパーで弱らせておいてのドロップキック。これで3カウントが入った。勝負タイム10分55秒。

第2試合は八島静香デビュー戦、対戦相手は野村つばさ(18期)。力任せの八島の動きを見切って、着実にネックブリーカーでダメージを与える。
「・・くっ!」
なんと八島、新人なのにデスバレーを見せる。これには館内どよめいた。

これで本気になった野村つばさ、転ばせるやいなやダイビングプレス。これで3カウントを奪った。勝負タイム10分46秒。

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第3戦愛媛大会、第1試合は八島静香対ソフィア・リチャーズ。新人相手にやる気満々のソフィア。

「格の違いってものを見せてあげるわ!」

脇固めで悲鳴をあげさせまくるが、このいたぶり攻めに八島がキレた。

「なめるなーーー!!」

デスバレー2発。なんとこれでソフィアを破ってシングル初勝利。デビュー3戦目だから快挙といっていいだろう。

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第5戦岡山大会、メインで組まれたのはSPZ選手権。王者武藤めぐみに対するは前SPZ王者で最強外人ジェナ・メガライト。しかし試合が始まるや一方的な武藤ペース。メガライト、調子でも悪いのか得意の投げがなかなか繰り出せない。最後は武藤が延髄斬り、これで3カウントが入ってしまった。

19分25秒、あっけなく武藤が4度目の防衛に成功。

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第6戦奈良大会、第1試合でハリケーン神田対ソフィアリチャーズ。シングル初勝利を挙げた八島に追いつくべく神田がラッシュをかけたが、待っていたのはソフィアの脇固め。これが極まってしまった。

「・・・あだだだ。ギブ・・アップ。」

「ふん、新人にそうそう負けてたまるもんですか」

しかし続く第2試合、八島静香がデスバレーでミスティアマスクも食ってしまう活躍。1シリーズ目から外人2人からフォールを奪うとは・・・

第7戦新潟大会、第2試合でハリケーン神田も待望のシングル初勝利。ステップキックを叩き込んでミスティアマスクを破った。今年の新人は筋がよさそうだ。

新潟大会、メインイベントはSPZタッグ戦。王者コンバット斉藤、ナイトメア神威組に対するは元王者の武藤めぐみ、Jビーチ組。

しかし今シリーズの武藤めぐみは状態がいい。しかもSPZタイトル戦を済ませてしまっているのでのびのびと闘う。コンバット斉藤、ナイトメア神威の2人がかわるがわる闘っても余裕で応対する。

「URAAAAAA」

焦ったナイトメア神威がパワーボムを叩き込む。が、武藤ここでJビーチにタッチ。Jビーチ、きっちりここで存在感を見せ、フェイスクラッシャー2連発でナイトメア神威を沈めてしまった。勝負タイム24分1秒、武藤めぐみ2冠王・・・

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シリーズ最終戦は横スペ大会。
第1試合でハリケーン神田、またもソフィアリチャーズに敗れる。関節技を決めてくるソフィアにはどうしても後手に回ってしまう。

外人同士の6人タッグをはさんで、今年も開催SPZ東西対抗戦。こういうときにしか見られないカードが。

N神威(北海道)○―八島(島根)

前日タッグ王座を失って失意のナイトメア神威、きょうは新人の八島と対決。

「うあああああ・・・」
ナイトメア神威、フォーク攻撃でいたぶっておいてのパワーボム。これには場内引いた。新人相手にそこまでやるか!

ドドドドド!
これを2.9で返した八島も凄い。しかし善戦むなしく続くエルボーに沈んだ。東軍がまず1勝。

Kかみすわ(長野)○-S千春(鳥取)

実力微妙のセイレーン千春、案の定カミスワにじわじわと攻め込まれてしまう。最後は10分3秒、上諏訪温泉極楽絞めに昇天・・・これで東軍が2連勝

REKI(山梨)○-M千秋(鳥取)

DF同士の対決が実現。しかしREKIがペースを握り、あっさりと農鳥でカウント3.これで東軍3連勝。

N白石(新潟)―○C斉藤(三重)

三重県出身のコンバット斉藤、西日本出身の選手が少ないため今年は西軍での出陣となった。強敵、ノエル白石との一騎打ちだったが、一方的に打撃を集中させて飛燕脚で勝ってしまった。西軍が1勝を返す。ノエル白石、SPZ王座挑戦が遠のく敗北だった・・・

武藤(静岡)○-A中森(徳島)

普段は本隊として同じコーナーに立つことも多い武藤とイージス中森。A中森のねちねちとした攻めに手こずったものの最後は15分12秒、タイガードライバーで終了。これで東軍が4勝目を挙げ勝利を決めた。

R神威(北海道)○―野村(愛媛)

アイドルレスラー野村つばさが横スペのメインに登場。しかしやはりライラ様の相手は荷が重かった。トムラウシ2発であっけなく散った・・・勝負タイム9分30秒。この結果東西対抗は5勝1敗で東軍の勝利、賞金60万円が贈られた。

2008年7月15日 (火)

第453回、吉田龍子の結婚

25年目(2033年)5月、SPZを揺るがす?一大ニュースが流れた。

SPZ代表取締役社長・吉田龍子(35)が結婚。お相手はやはり・・・大日本テレビアナウンサー、森さん。もともと吉田社長のテレビかいせつと森さんの実況は息が合っていて「夫婦漫才」と言われるくらいだった。一昨年の12月、ライラ神威に襲われた際にゴルフクラブで森さんが応戦した事でフラグが立って、真剣な交際に発展して行って・・・ということらしい。

5月上旬の水曜日、京スポ新聞が独占スクープしたものだからえらい騒ぎになった。マスコミ陣が殺到し、SPZ本社ロビーがパニックになりかけたので急遽会議室に机をならべて結婚記者会見が開かれた。

「べ、別に驚く事じゃあないでしょう」

いやでも12年前は女子プロ界最強で戦いの化身とか神とかと呼ばれた人ですから。事情を知らない一般マスコミからどうやって出会ったのかどうやって攻略したのかという質問がががが。いちいち説明するのもめんどくさいので今野役員が代わって「実はかくかくしかじか・・・」と応対。

「SPZの社長業はどうされるのですか」

「・・・・・当分やりますよ。酒代のために」

吉田龍子がぼそりと答えた。もともと実務はほとんどやっていないし、巡業に同行して選手の悩みを聞く事とテレビ解説。あとはSPZの看板・広告塔としての役目くらいである。巡業以外の時期にはSPZ本社には週に1-2回しか顔を出さないので結婚しても充分やっていける。

「挙式の予定はいつですか?」

「6月某日、横浜のベイサイドホテルバンケットルーム」

ブスッと答える当たりが吉田らしい。なおも馴れ初めを根掘り葉掘り聞いてくる記者陣、

「告白はどちらからされたんですか?」「初デートはどこだったんですか?」「プロポーズはどちらからされたんですか」「初めてホテルに泊まったのは・・・」

「どうしてこんな事聞くんだろうね」

吉田社長がぼそりと今野役員に愚痴る。今野役員がボソッと返事。

「まあ、助けを呼んでおいたから大丈夫でしょう」

なおも続く記者陣の質問にたじたじとなる吉田社長、そこへいきなり乱入者が現れた。

「おう、クソ社長!結婚するんだってな!おまでとん!!」

SPZ最古参選手にしてDFの首魁・ライラ神威(23)が記者会見に乱入。用意のいい事に花束まで持ってきて、吉田社長に手渡す。

「・・・・・?」

警戒しながらも花束を受け取る吉田社長、しかし次の瞬間、花束が爆発した!

ちゅどーん!!

花束の中に小型爆薬を仕込んでいたらしい。記者会見場が閃光に包まれる。ライラ神威がテーブルを蹴り壊し、吉田龍子に殴る蹴るの暴行。あとはもう記者会見どころではなく大混乱となった。

「ええおイ吉田龍子、当然ことぶき退社で社長は辞めるんだろうな、そしたらあたしがSPZの社長だ!SPZマットを真っ黒に染めてやんよ、そしたら武藤めぐみのアフォは毎日第1試合だ」

「こんなのがいるから辞められないんだ・・・ぐふっ!」

ウァハハハハと会議室を破壊するライラ神威、逃げ惑う記者陣。急遽、道場から若手選手が何名か呼ばれ、大乱闘の末ライラ神威を追い出した。あわれ吉田社長は担架で運ばれてしまい、記者会見は終わった。

2008年7月14日 (月)

SPZスター選手列伝 034 マッキー上戸

SPZスター選手列伝 34

従業員コード 034

炎の戦士 マッキー上戸

本名:上戸真紀 2009年3月8日、鳥取県倉吉市出身。SPZ16期生としてスカウトされ、2024年7月16日、青森武闘館大会での氷室紫月戦でデビュー。同期の氷室、ラッキー内田らと出世競争を繰り広げる。パワーに任せて突っ走るファイトで人気も上昇。

ラッキー内田とジューシーペアを結成し、あばしりタッグ王座、SPZタッグ王座に輝く。ツボにはまったときのパワーは計り知れないものを持っており、トップ戦線に食い込みSPZ王座に輝く。最近でも武藤めぐみのシングル連勝記録を止めた実績を持つ。得意技はスプラッシュマウンテン。

2032年11月22日、横浜スペシャルホールでの対武藤めぐみ、ジェニービーチ戦(パートナーはジェナ・メガライト)で引退。稼動月数101ヶ月、出場試合数(推定)720試合

タイトル歴
第59代SPZ世界王者

第30代・32代・36代・41代・43代・47代SPZ世界タッグ王者(パートナーはラッキー内田)

第20代あばしりタッグ王者(パートナーはラッキー内田)

今野役員コメント:パワーファイターで、ラッキー内田とのジューシーペアは団体最強タッグとの呼び声が高かった。ファイトスタイルが全然違うので、対戦相手が対応するのに苦しむらしい。マッキー上戸と大味なプロレスをやった後いきなりラッキー内田とグラウンドレスリングはやりにくいという声が多かった。ジューシーペアはラッキー内田が流れを作ってから上戸につないで、上戸が問答無用の大技攻勢で決めるというパターンが多かった。

シングルマッチでもツボにはまれば誰もとめられない力を持っており、武藤めぐみの連勝記録を止めた一戦は多くのファンの記憶に残っている。SPZ世界王者にも1回輝いているし、SPZクライマックス優勝決定戦に進出するなシングルマッチでも実績を残した。盟友の氷室、ラッキー内田引退後はさすがに気落ちしたのか、精彩を欠くファイトとなってしまい、3ヵ月後に引退となった。引退後は貯めた資金を元手に大阪でフードビジネスを始めるらしい。

2008年7月13日 (日)

SPZスター選手列伝 034 ラッキー内田

SPZスター選手列伝 33

従業員コード:033

「ラッキーキャプチャー」 ラッキー内田

本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。中学時代からアマレスで頭角を現し、SPZ16期生としてスカウトされる。2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。同期の氷室とは出世競争を繰り広げ、スターライト相羽とのコンビであばしりタッグ王座も戴冠。

相羽引退後はマッキー上戸との同期コンビでジューシーペアを結成し、あばしりタッグ王座、SPZ世界タッグを戴冠。シングル戦線でもそつのない試合運びと勝負どころで繰り出す関節技で活躍し、SPZ世界王者に輝く。得意技はラッキーキャプチャー、ラッキーキャプチャーZ。
2032年8月20日、横浜スペシャルホール大会でのコンバット斉藤戦で引退 稼動月数100ヶ月、出場試合数(推定)688試合

タイトル歴

第53代・55代・57代SPZ世界王者(通算防衛回数2回)

第30代・32代・36代・41代・43代・47代SPZ世界タッグ王者(パートナーはマッキー上戸)

第13代・15代・18代あばしりタッグ王者(パートナーはスターライト相羽)

第20代あばしりタッグ王者(パートナーはマッキー上戸)

今野役員コメント:SPZの看板、スター選手として大活躍していただいた。レスリングセンスはかなりいいものを持っていて、どんな相手とでもそこそこの試合を作る名人だった。で、頃合いを見計らってラッキーキャプチャーかなんかで勝負をかけるスタイルで、シングルマッチの勝率も高かった。

JRとの世代闘争、メガライトをはじめとする強豪外人との戦い、晩年にはDFとの抗争で、本隊の看板という事もあって狙われたが、きっちり相手の技を受けきっていた。頭脳派らしく、移動中のサロンバスの中では成瀬唯や井上さん、私を相手によく麻雀をして、手堅い打ち筋で賞品のお菓子やジュースをせしめる事が多かった。引退後はSPZにコーチとして残り、後輩の指導にあたっている。

2008年7月12日 (土)

SPZスター選手列伝 032氷室紫月

SPZスター選手列伝 32

従業員コード:032

運命戦士 氷室紫月

本名・同じ 2008年11月27日、富山県高岡市出身。中学時代からアマレスで身体を鍛え、これに目をつけた井上霧子がスカウト。SPZ16期生として2024年4月21日、仙台アリーナ大会でのマイトス香澄戦でデビュー。

レスリングセンス、そしてここぞというときの絞め技の威力はかなりのものでスリーパーで相手を落とすこともしばしば。団体トップレスラーの一員となりSPZ王者にも2度輝く。またタッグ戦線でもノエル白石と「ネイチャーガールズ」を結成しSPZタッグ王者に輝く。得意技はドラゴンスリーパー。

2032年8月20日、横浜スペシャルホール大会でのマーメイド千秋戦で引退、稼動月数101ヶ月、出場試合数(推定)712試合

今野役員コメント:リング内外でも物静かな人で、ベテランの域に入ってからは会場隅でひとりで黙々と調整する姿をよく見かけた。ファイトスタイルも地味なタイプだが、ノエル白石とのタッグではさすがに自分が引っ張らなければと意識していたのか、指示を飛ばすシーンがよく見られた。

だが怒らせたら怖いのはSPZ髄一で、いきなり絞め技で落として終了というリングドクター泣かせの試合をやってのけることもしばしばであった。似たようなファイトスタイルのラッキー内田とのシングルマッチでは名勝負を連発し、SPZ世界王者にも輝いた。試合後の記者会見では勝っても負けても「運命」で逃げてしまう要領の良い人だった。引退後はSPZにコーチとして残り、後輩の指導にあたっている。

タイトル歴

第54代・58代SPZ世界王者(通算防衛回数2回)

第34代SPZ世界タッグ王者(パートナーは武藤めぐみ)

第37代・39代・42代・46代SPZ世界タッグ王者(パートナーはノエル白石)

第14代・17代あばしりタッグ王者(パートナーはビーナス麗子)

2008年7月11日 (金)

第452回 25年目4月 武藤めぐみ×キャシー・ウォン

25年目4月
SPZは新人2人を獲得。新人テストで八島静香、新人スカウトで神田友子を獲得した。八島は中学時代レディースで暴れていたらしいが改心し、プロレスの門をたたいたという変り種。神田はボクシングの経験があり、稼げるという理由でプロレスに転向した。とりあえず2人とも4月は横浜の道場に閉じ込めて練習に専念させた。

「うわー、GWAを新女にもってかれたー!!」

しかも4月シリーズは大きめの会場を回るシリーズ、満員にするために考え出した企画が、
「ケンドー・カミスワ 熱闘5番勝負」

第2戦札幌どさんこドーム大会。メインでコンバット斉藤対ケンドー・カミスワ。メインがこんなカードでは満員にするのがやっと。ケンドー・カミスワ、ドロップキックを連発しよく粘ったが、だんだんコンバット斉藤の打撃がヒットして行って、最後は飛燕脚でフォール負け。勝負タイム30分15秒。なかなかいい勝負となった。

第4戦大阪浪花パワフルドーム大会。やはり満員にするのがやっと。武藤に続くスター選手が育っていない現状に今野役員は頭を抱えた。

セミはケンドーカミスワ5番勝負の第2戦。SPZ王者の武藤めぐみと対戦。やはりまだまだ相手にならない。余裕綽々といった感じで武藤が攻め立てる。武藤に腕ひしぎ逆十字をしかけ、ムーンサルトを一度は返すなど健闘したカミスワだったが最後は12分16秒、延髄斬りに沈んだ。

大阪大会メインはあばしりタッグ王者決定戦、ミス・マスカレード引退に伴い空位となっていたあばしりベルト、キャシーウォンがなんと最弱外人のソフィア・リチャーズをパートナーにセイレーン千春・マーメイド千秋の悪役姉妹と対戦。

「・・あらら?起きられます?」
キャシーウォンの独り舞台。16分48秒、出ずっぱりで暴れまくり、最後はセイレーン千春をキャプチュードで沈めた。

第5戦、広島若鯉球場大会。メインはケンドー・カミスワ熱闘5番勝負第3戦、対ノエル白石戦。しかしノエルのパワーファイトにカミスワ、ついていけず22分22秒、ニーリフトに敗退。

第6戦九州ドーム大会。メインに組まれたのはケンドーカミスワ熱闘5番勝負第4戦 対キャシー・ウォン。最終戦で武藤の持つSPZ王座への挑戦が決まっているキャシー、ここは負けられない。掌底、ハイキックと荒々しい攻撃をガスガス打ち込んでゆく、そしてパイルドライバー。
あせったカミスワ、飛びつき腕ひしぎで反撃するもロープにあまりにも近い。逆に2発目のハイキックをもらって3カウントを奪われて終了。勝負タイム19分37秒。

第7戦名古屋しゃちほこドーム大会。セミファイナルに組まれたのはケンドーカミスワ熱闘5番勝負最終戦、対チョチョカラス2.よく粘ったカミスワだったが、最後はチョチョカラス2のフランケンシュタイナーに力尽きた。勝負タイム19分15秒。結局カミスワの五番勝負は全敗に終わった・・・

名古屋大会メインはSPZ選手権。王者ノエル白石、イージス中森組に挑むのはDFのコンバット斉藤、ナイトメア神威組。ナイトメア神威は初のタイトル挑戦。

しかしコンバット斉藤の裏拳がうなる!ノエル白石をボコボコにしてしまう。あわれ、ノエルは赤コーナー下でうずくまる、孤立したA中森へジェットスマッシュ。カウント2で返すA中森、諦めずコブラツイストで反撃、そしてノーザン。

「決めさせてもらいます」

ストレッチプラムはナイトメア神威がカット。そしてー

「はぁぁーっ!」
コンバット斉藤、勝負をかけた飛燕脚がヒット。39分8秒、DFへ王座移動となった。

**********************

最終戦新日本ドーム、メインイベントはSPZ選手権、王者武藤めぐみ防衛戦の相手は強豪ヒール外人、キャシーウォン。
「さて、いきましょうか!」

勝てばSPZ王座防衛記録をあの吉田龍子を抜いて単独トップの23となる武藤、積極的に攻める。キャシーは一発で持ってゆく大技がない分、やりやすい。終始余裕を持ってファイト。
「はっ!」

1度目のムーンサルトは2.5で返されたが、立て続けにシューティングスタープレスを決めて勝利。勝負タイム24分16秒。これで3度目(通算23度目)の防衛に成功。素晴らしい偉業が達成された。

「これからも、身体の続く限り闘っていきます!」

武藤めぐみは力強くコメント。まだまだこの選手が女帝として君臨するのか・・・

2008年7月10日 (木)

WAS引退のメカニズム

こんばんわ、レッスルエンジェルスサバイバー没頭中筆者のkonnoです。

WASの仕様で、所属選手の引退は避けられないようになっていますが、

どういう基準を満たしたら引退してしまうのか、推定したところ

(やりこんでいる人なら当たり前の事ともいますが)

1.デビュー7年を経過し、選手が22歳になると(短命タイプは21歳、長寿タイプは23歳)選手の能力減衰が始まり、評価の値が下がってゆく

2.評価の値が下がり続け、「最も高かったときの評価×0.8」を下回ると、引退。

(ピーク評価1500の選手が1200を割ると引退)

(ピーク評価1200の選手が960を割ると引退)

(ピーク評価1000の選手が800を割ると引退)

なお、資質の高い選手ほどレベルダウンのスピードが速く、9年もたず引退というケースが多いです。SPZでも9年もったのが長寿タイプの伊達遥を別にするとG美月、小川、成瀬という微妙な連中でした。

引退を回避できないにしても、可能な限り先延ばしにする方法は、以下のような方法が考えられます。

A.22歳を過ぎたら、出場試合数を減らす

(いわゆる22歳23歳の1次減衰期では、練習で能力の維持が可能なので、最終戦の新日本ドーム大会だけに出場させる・・・という手で能力減衰を抑えることが可能ですが、これはファンのことを考えるとやりにくいです。負傷しているのならともかく、地方のファンが見られなくなってしまうというのもおかしいですし、何より奇数でサーキットせねばならないので、その選手が出場する開場では誰かしら休ませなければなりません)

B.できるだけ多くの技を習得し、評価値をかさ上げしておく。

鉄柱攻撃でもなんでも、技を一つ覚えれば評価値プラス10ですので、22歳になる前になるべく多くの技を覚えさせておき、評価値を上げておくと

1000→800切ると引退、20レベルダウンまで許容

1100→880切ると引退 22レベルダウンまで許容

あまり効果がないですが、1・2ヶ月くらいは先延ばしできるのではと思います

C.カード的配慮して、タッグマッチを多く組む

一見この手は効果的に思えますが、22歳を過ぎると試合でいくら勝とうが試合で得られる経験値はゼロになりますので、勝ち試合を多くしたところで引退時期を遅くすることはできません。しかし、タッグマッチや6人タッグマッチを多く組む事で、負傷する確率を下げて、稼動させることにより、「休暇」「入院」で練習経験値が入らない事態を回避できるので、ちょっとだけ有効です。

D.特訓させて練習経験値を多く獲得させる

これは特訓枠が1ヶ月1人しかいないので、若手に特訓枠を与えられないデメリットのほうが大きいですので、現実的ではありません

E:兼任コーチは絶対にやらない

 兼任コーチを引き受けてしまうと、一気に8-10のレベルダウンが起こり、評価ががくんと下がります。兼任コーチを引き受けることで、その選手にかかっていたコーチ補正がなくなるようです。

A-Eの手を使おうが、24歳の8月頃までもてば(稼動9年5ヶ月)御の字です。標準寿命タイプで10年もたせる手はないのでしょうか)

F.ベルトを持っている選手は評価がどうなろうが、ベルトを持っているうちは引退しない

これWASの仕様です。こういう仕様になっています。気づいたときは笑いました。しかし、ベルトを持たせ続けるのも至難の技です。

■ベルトは6ヶ月間防衛戦を行わないと剥奪されてしまう

■あまりにも弱い相手と防衛戦を行うと、王者が自らベルトを返上してしまう

この2つをクリアしつつベルトをどう持ち続けるか。シングルのベルトは、減衰期に入った選手は攻めこまれやすくなり、勝てる確率も下がりますのでベルトを保持し続けるのが難しいのですが、

「タッグベルトで、これから伸び盛りの若手とタッグを組ませれば、当該選手の能力減衰をパートナーの成長でカバーできるため、うまく対戦相手を調整すれば、ベルトを比較的長く持ち続けることができる」

SPZでは2本目のタッグベルト(あばしりタッグ)を引退延期ツールとして使っています。この手がうまくいけば「夢のデビュー10周年」が可能です。パートナーに強力な必殺技を持たせておけば、下り坂の選手が捕まってしまう前に勝ち、ベルトを守れる確率が高いです。

いずれにせよ特定の選手を10年持たせるのは困難な状況ですが、最後に脳内補完でできる掟破りの方法を。(WASの転生システムを都合のいいように利用)

「24歳8ヶ月で引退した成瀬唯、しかし彼女は3年かかって身体を治して、28歳の4月に奇跡の復活を飾った。復帰直後は実戦カンがつかめずなかなか勝てなかったが30歳になって感覚を取り戻した・・・」

だれかこの手を使って、37歳まで現役続行させてみたいですね。

2008年7月 9日 (水)

SPZスター選手列伝 031 成瀬唯

SPZスター選手列伝 31

従業員コード:031

ナニワファイター 成瀬 唯

本名・同じ。2007年11月2日、大阪府豊中市出身。新人テストに合格し、SPZ15期生として2023年4月21日、釧路アリーナでのフォクシー真帆戦でデビュー。身軽な動きを生かしたプロレスで会場を盛り上げる。大阪出身らしく気合のこもったファイトで多くの固定ファンを持つ。フォクシー真帆と組んであばしりタッグ王座を獲得するなどSPZに欠かせない存在として活躍。得意技はミサイルキック、ストレッチプラム。

2032年11月22日、横浜スペシャルホールでの対ローズ・ヒューイット、ワイルドローズ2号戦(パートナーはイージス中森)で引退。稼動月数116ヶ月、出場試合数(概算)824試合

タイトル歴

第40代SPZ世界タッグ王者(パートナーは武藤めぐみ)

第22代・24代・27代・31代あばしりタッグ王者(パートナーはフォクシー真帆)

写真集1冊

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今野役員コメント:関西の方らしい人情味あふれる名選手だった。身軽な動きを生かしてのシャープなレスリングを得意としていたが、やられているときの耐える姿、前座の試合で若手の壁となって軽くひねる姿など、何をやらせても絵になる名選手だった。

武藤めぐみが強すぎるので、地方興行のタッグマッチで薄めるのにはうってつけで、外人やDFに捕まっても懸命に武藤めぐみにつなぐファイトスタイルが受けた。

あばしりタッグ王座に4度も輝いており、それなりの実力はあったのだが、SPZクライマックス本大会には一度も出られず、ことごとく予選会で涙を呑んだ悲運の人だがまあ。プロモーターからすれば前座にもメインにも使えるユーティリティープレイヤーで重宝した。

明るい面倒見のいい性格で、第4代選手会長として選手のまとめ役となり、武藤めぐみの相談相手としても得がたい存在だった。引退後はSPZフィーバー大阪店の店長としてグッズ販売をしている。

2008年7月 8日 (火)

第451回 SPZ本隊VSDarkFraction5対5対抗戦

24年目3月シリーズ最終戦さいたまドーム大会

SPZ本隊 VS DarkFraction 5対5全面対抗戦

(本隊)野村つばさ・武藤めぐみ・ノエル白石・ケンドーカミスワ・X

(DF)ライラ神威・REKI・コンバット斉藤・マーメイド千秋・ナイトメア神威

休憩明けはSPZ本隊VS DF 5対5シングルマッチが組まれた。メインイベントで武藤めぐみとコンバット斉藤がSPZベルトを賭けて対戦することは決まっているが、あとは選手が登場してはじめてカードが分かるという趣向。なお、本隊側はイージス中森欠場により4人目は「X」とされた。でも第3試合までの登場レスラーの消去法で、ああ、あの選手だなとファンは分かってしまった。

なお、勝利チームには京スポ新聞社の協賛でもって賞金30万円が贈られることとなった。

先鋒戦 野村つばさ VS マーメイド千秋

SPZのアイドルレスラー野村が本隊の先鋒。マーメイド千秋のシビアな責めに苦しんだが、
「必殺技いっくよー!!」
野村つばさダイビングプレス。これで3カウント奪取。まずは本隊が1勝を挙げた。

次鋒戦 ケンドー・カミスワ VS ナイトメア神威

覆面レスラー同士の対決。狂乱の戦士ナイトメア神威に対するは温泉ファイター、ケンドーカミスワ。

カミスワはいつものように温泉まんじゅうをばら撒きながら入場。しかし試合が始まるやオーソドックスなプロレスを展開するカミスワ。地下プロレスで鍛えていただけあって実力は若手の域を超えている。

「オルァアアア」
ナイトメア神威、タイガードライバーで弱らせてからのバックドロップ。これ以上受けられないと判断したカミスワ、ジャーマンを放つがナイトメア神威、カウント2で返す。

しかしケンドーカミスワ、ここで勝負に出た。
「上諏訪温泉、極楽絞め!」
変形ドラゴンスリーパーがここで決まった。懸命に耐えたナイトメア神威だったが、ついにギブアップ。SPZ本隊が2連勝、早くも王手をかけた。勝負タイム18分35秒。

中堅戦 ジェニー・ビーチ VS REKI

本隊チームの助っ人は陽気なアメリカン、ジェニー・ビーチだった。武藤めぐみのタッグパートナーを務めていた関係で、本隊の助っ人に借り出された。

「イッツ、ショウ、ターム」
Jビーチがフライングニールキック、シャイニングウィザードと怒涛の攻め。やはりこの選手、調子に乗せると怖い。

「オウ、イエー!!」
止めを刺すべくミサイルキックを狙ったが、REKIはよく見ていた。
スッと回り込まれて叩き落とされ、自爆。
「AAAUUUU」
もがき苦しむJビーチ、起き上がるのを見て、

「新蛇抜」
REKIの変形フランケンシュタイナーが炸裂。これで3カウント。DFが1勝を返した。勝負タイム11分14秒。

セミファイナル副将戦 ノエル白石 VS ライラ神威

「おう、パーニングさんよぉ、今日はキサマをたたきのめしてやるぜオラーーー」

ライラ神威、いつものようにスタンロッドを振り回しながら入場し会場を恐怖に陥れる。そしてコールのあといきなりノエル白石に殴りかかる。しかしノエル白石も地力ではかなりの腕を持っているので、涼しい顔をして受ける。

両者懸命のファイト。しかしライラ神威、動きが全盛期から少し落ちており、繰り出す技が単発で波状攻撃が出せない。

「・・・は・・・」
ノエル白石がスクラップバスターからバックドロップと確実にダメージを与える。
「うーん・・・」
妙な掛け声とともにこの日2発目のバックドロップがライラ神威の戦意を絶った。勝負タイム15分33秒。これで本隊の団体戦勝利が確定。

メインイベント大将戦 SPZ選手権 武藤めぐみ VS コンバット斉藤

「さて、いきましょうか」
武藤めぐみ、この試合にSPZ王座通算防衛記録・最多タイの22達成がかかる。しかし相手は直近のシングルで2連敗しているコンバット斉藤。

―実力はまだまだあたしが上。打撃をいっぱいもらわなければ大丈夫!

そう考えた武藤めぐみ、ロープワークを駆使してタックル、アームホイップ、ドロップキックと動き回ってコンバット斉藤を崩してゆく。

「はいっ!」
しかしコンバット斉藤も掌底をばきばき当ててゆく。

「んー、武藤選手考えて闘ってますね。打撃もらわないように動き回ってますから、あれならそうそう当たりませんよ」

吉田龍子が感心した口ぶりで解説。

「はっ」
武藤めぐみ、走りこんでのスクラップバスター、寝かせたところを逆片エビでじわじわ痛めつける。焦ったコンバット斉藤、ここで切り札を出してきた。

「勝負ッ!」
出たー
ジェットスマッシュ!
コンバット斉藤ふらつく武藤を捕らえて、パワースラム。カウント2で返す武藤。

武藤、ボディスラムでコンバット斉藤を転ばせてダイビングプレス。カウント2で返す斉藤。ここで両者大の字。斉藤コールと武藤コールがあい半ば。

先に立ち上がった、コンバット斉藤飛燕脚、蹴り連打を食らって吹っ飛ぶ武藤、コンバット斉藤すかさずカバー、場内悲鳴。しかし武藤2.5で返す。ドドドドドドッド。

―同じ相手に、3つ続けて、負けられない!

そう考えた武藤、砕けそうな意識を手繰り寄せて、コンバット斉藤に組み付いてボディスラム。そしてコーナー最上段に登る。

「まけるもんかーーーー!!」
武藤ここで秘技・シューティングスタープレス。カウント2.8で返すコンバット斉藤。場内ドドドドドドド。

「ウアーーーーーッ」

先に立ち上がった武藤めぐみ、まったく容赦せず連発でシューティングスタープレス。これでカウント3が入った。

45分40秒の死闘。王者が2度目の防衛に成功。

ー勝った、けど・・・・

武藤めぐみ、勝つには勝ったがやっと、なんとか勝ったという様相。ひたひたと忍び寄る時代の流れを感じていた。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

武藤めぐみ(45分40秒、シューティングスタープレスからの体固め)コンバット斉藤

第70代王者が2度目の防衛に成功

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2008年7月 7日 (月)

第450回 24年目3月シリーズ

24年目3月

3月シリーズ「ファイヤーソウルシリーズ」開幕。イージス中森が負傷欠場。東北各地で熱い戦いが繰り広げられた。メインでは連日SPZ本隊とDFのタッグ対決が組まれ、ファンを恐怖の渦にたたきこんだ。

第6戦宇都宮大会、メインで組まれたのはあばしりタッグ戦。王者パトリシア・ルイス、ハムル・シアターに対するはキャシーウォン、ミス・マスカレード組。
「ミナサーン、オウエンシテネー」

手を振りながら入場するミス・マスカレード。とらえどころのない選手だが今回タイトル戦に抜擢された。

「ちょいや!」
軽快な動きを見せてパトリシアルイスにミサイルキック、ハムルシアターにはジャンピングニー。なかなか動きがいい。ファンも沸いた。

「ヤアッ!」
最後は焦ったパトリシアがラリアットを大振りしたところをうまくかわしたキャシーウォン、バランスを崩したところを逆にラリアットを叩き込んで3カウント奪取。勝負タイム27分24秒。この結果キャシーウォン、ミス・マスカレード組があばしり王者に輝いた。

「What is・・ABASHIRI?」

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最終戦はさいたまドーム大会。後半の試合でどえらい企画が組まれた。

第1試合はセイレーン千春対パトリシア・ルイス。実力者パトリシアが掌底をどばどば叩き込む。セイレーン千春棒立ち。

「はっ!」

セイレーン千春が弱ったところをラリアットをぶち込んで終了。勝負タイム14分48秒。

第2試合はキャシー・ウォン対ハムル・シアター。実力者外人同士の対戦。キャシーウォンのラフファイトに場内ブーイング。

ねばるハムルに止めを刺したのはなんとキャシーの凶器攻撃。鉄製の凶器でノドを突かれもがき苦しむハムルを押さえ込んで3カウント。勝負タイム8分59秒。

第3試合は外人同士の6人タッグ戦。ローズ・ヒューイット、ワイルドローズ2号、ソフィア・リチャーズ 対チョチョカラス2、ミス・マスカレード、ミスティアマスク。6人中4人が覆面レスラーという顔合わせ。

「われこそは美の亡霊!」
ワイルドローズ2号がなんと実力派外人のチョチョカラス2を豪快にSTOでぶっ倒してカウント3を奪った、埼玉ドームはあ然。勝負タイム12分16秒。

休憩明けは

SPZ本隊VS DF 5対5シングルマッチ

が組まれた。SPZ本隊と悪の軍団DarkFractionがついに全面シングル対抗戦で激突。メインイベントで武藤めぐみとコンバット斉藤がSPZベルトを賭けて対戦することは決まっているが、、あとは選手が登場してはじめてカードが分かるという趣向。なお、本隊側はイージス中森負傷欠場により4人目は「X」とされた。でも第3試合までの登場レスラーの消去法であ、あの選手だなとファンは分かってしまった。(続きます)

2008年7月 6日 (日)

第449回 24年目2月 ジーナ・デュラム最終試合

24年目2月、「バトルマンダラ2033」開幕。

第3戦三重サンシャインアリーナ大会、メインにはSPZタッグ戦。

2冠王の武藤めぐみ、Jビーチ組に対するはSPZ本隊連合軍のノエル白石(19期)、イージス中森(20期)組。この顔合わせだとキーパーソンになるのはJビーチ。武藤につなぐことができるか、それともその前に沈んでしまうのか。

「ノエルさんと本格的にタッグを組んだことはありませんが、仕事ですからベルトを獲りにいきます」

イージス中森も武藤相手に力負けしなくなってきた。武藤のハイスパートレスリングについていった上で関節で極めていく。そしてストレッチプラムで絞り上げる。

「うわああっ!」
ここはJビーチがカットに入った。このあと4人が入り乱れての攻防、タッグマッチ終盤によくあるケース。

「・・・うっ!」
武藤が腕を気にしているところへ、ノエル白石が襲い掛かってきて、ヘッドバット、STOの猛攻。全身を強く打ってしまった武藤めぐみ、

ワン、トゥ、スリー。

あっさりフォール負け。勝負タイム23分23秒、タッグベルトが移動してしまった。

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2月シリーズ最終戦は本拠地へ戻っての横スペ大会。

第1試合からワイルドローズ2号対ハムルシアターの実力派外人対決が組まれた。

この試合はハムルシアターが裏拳で殴り倒して3カウント。勝負タイム13分0秒。

第2試合にもうノエル白石登場、きょうはケンドー・カミスワと組んでJビーチ、ジェシービートンとタッグで対戦。

「・・・は・・・」

ノエル白石、いつものように間が抜けてるけど力強いファイト。Jビーチをボコボコにしたところでカミスワ登場。エルボーであっさり3カウント奪取。勝負タイム11分58秒。

そしてー
「次の試合に出場するジーナ・デュラム選手はこの試合が最後のファイトとなります。ファンの皆様、より一層のご声援をお願いいたします」

場内爆発、横スペが揺れた。外人レスラーの中で人気ナンバーワン。弱気な性格だが健気にファイトするのがたまらんというファン多数。ネタ外人ジーナ・デュラム24歳。3月いっぱいでレスラーを引退するので今回が最後の来日となった。

対戦相手はやはりネタ外人のソフィア・リチャーズ。どう考えてもヤラレ役というマッチメイクだ。

「最後だからってったって、花なんか持たせないわよっ」

カサにかかって攻めるソフィアの攻撃を懸命にかいくぐってフロントスープレックス、アームホイップ。

「アウ・・・ッ!」
最弱レスラーのソフィア、たかがアームホイップで腰を打ってしまい3カウントを奪われた。

あっけない結末に館内は拍子抜けしたが、
「私・・勝てましたー!」

この笑顔がオーロラビジョンに大写しになるとものすごい拍手。
「10分49秒、アームホイップからの片エビ固めでジーナ・デュラム選手の勝ち」

後半の試合に出る選手、ノエル白石、カミスワらが現れてジーナ・デュラムを3回胴上げ。吉田龍子社長から記念品と金一封が贈られた。満場のジーナコール。多くのファンに愛されたフランス人アイドルレスラーがリングを去った。そのあと休憩。

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第4試合はセイレーン千春、マーメイド千秋の悪役姉妹が登場、対戦相手はイージス中森、野村つばさ組。

「これで終わりにしてやるよ、喰らえ!」
マーメイド千秋のフィッシャーマンバスターがイージス中森をたじろがす。しかし代わって出てきたセイレーン千春が捕まってしまう。野村つばさにもミサイルキックを浴びて追い込まれるが、なんとかカウント2で返してマーメイド千秋にスイッチ。

「おるぁああああ!」
最後はアイドルレスラー野村をマーメイド千春がバックドロップでほふった。勝負タイム14分10秒。

セミファイナル、ダークフラクションの危険なやつら3人が登場。ライラ神威をもっと危なくした感じの壊れた戦士ナイトメア神威、冷酷なクノイチREKI,そしてデインジャラスなキックの鬼、元SPZ王者コンバット斉藤。この3人が並ぶだけで凄みがががが。

しかし対戦相手もいまのSPZの最強外人ベスト3が勢ぞろい。ジェーン・メガライト様、ローズ・ヒューイット様、キャシーウォン。豪華版のカードである。

「散れッ」

ヒューイットお嬢様が奮闘。DFの3人がかき回そうともSTOやら裏拳やらで着実にダメージを与えてゆく。コンバット斉藤にもステップキックで痛打。

DFの3人が弱ったところでメガライトが出てきたが
「この一撃にすべてをかける!」
コンバット斉藤、ジェットスマッシュ!!大きく吹っ飛ぶメガライト。続くデスバレーでカウント2.8まで追い込むがここで最強外人がキレた。

「ツブレロ。UAAAAAAA」

メガライト、ベリートゥバック。コンバット斉藤の落ち方がヤバイ。

ドゴオオオオオン!
コンバット斉藤、カウント2.8で返したが目がうつろだ。首が据わっていない。

「キャシー、トドメダ」
代わって出てきたキャシーウォン、ダメージの深いコンバット斉藤に裏拳2連発。

ワン、トゥ、スリー。

コンバット斉藤を沈めた。16分51秒の激戦に場内拍手。

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メインイベントはSPZ選手権。王者武藤めぐみ(18期)に対するはライラ神威(17期)。横スペで光と闇の頂上対決が組まれた。

「ぐえっへっへっ・・・おまえを血の海に沈めてやる」

SPZ永久チャンピオン(自称)のライラ神威、既に実力は下降線をたどっているが、昨年夏のSPZクライマックス公式戦のシングル対決ではライラが勝っているので油断のならない防衛戦だ。

「あなたのような小悪党にタイトルマッチで負けるわけにはいかない。」

武藤めぐみ、休まず一気に攻める。散々投げまくってサソリ固め、ジャンピングニーと痛め技で追い込む。こうなるとライラ神威苦しい。

「覚悟して」
ノーザンライトは2.9で返したライラ神威、カムイエクウチカウシで反撃し意地を見せたが単発。武藤がさっさとムーンサルトでトドメをさして21分50秒。初防衛に成功。

これでSPZベルトの通算防衛回数を21とし、B市ヶ谷と並んで歴代2位タイとなった。

2008年7月 5日 (土)

第448回 24年目1月武藤めぐみ王座奪還

年末恒例のプロレス大賞、最優秀選手は武藤めぐみ、シングルのベストバウトは武藤めぐみ対メガライトのシングルマッチ。タッグのベストバウトはどこかの地方会場で組んだ武藤、イージス中森対メガライト、キャシーウォン組の一戦が選ばれた。

年が明けて、24年目(2033年)1月。

ライラ神威、ナイトメア神威、野村つばさが負傷欠場。野村はシングルマッチが多くなってきているので負担が大きくなってきている。

忘れた頃にやってくる手塚オーナーの資金要請。どこかのカレー屋さんチェーンを買収したいからといって27億円ばかり拠出させられた。

1月シリーズ「新春ロケットシリーズ」開幕、初戦は1月5日、新日本ドームから。

第1試合はセイレーン千春対ジーナ・デュラム。

で戻り22期生のセイレーン千春がジーナを場外でいたぶる。ものすごいジーナコール。

「私だって、私だってぇー!」
ジーナ・デュラム、フロントスープレックスで反撃。しかしセイレーン千春も反撃に転じ、

「うらあっ!」
延髄斬りさくれつ。12分36秒、ジーナをしとめた。

第2試合はミスティアマスク 対ワイルドローズ2号。実力で上回るワイルドローズ2号が圧倒し、ニーリフトで終了。勝負タイム6分24秒。

第3試合、キャシーウォンがミス・マスカレードとタッグを組んで、Jビーチ&ジェシー・ビートンと対決。キャシーウォンがビートンを打撃ラッシュでしとめた。勝負タイム11分57秒。前半戦に1人しか所属選手が出ていないところに今のSPZの窮状が見て取れる。

休憩明け第4試合、REKI,マーメイド千秋対パトリシアルイス、ハムル・シアター。さすがにREKIがうまく立ち回って外人二人を追い詰める。

「ブザマな姿さらすがいい!」
マーメイド千秋も力をつけてきていて、フィッシャーマンバスターでパトリシアを始末した。勝負タイム11分52秒。

試合後マーメイド千秋はあばしり王座どりをアピール。

「今シリーズ、、あばしりタッグはもらった!」

第5試合、セミ前はイージス中森対ケンドー・カミスワのシングルマッチ。

「さてかいせつの吉田さん、ケンドーカミスワ選手は上諏訪温泉出身ということ以外経歴不明のレスラーなんですが、字rつ力はどんなもんなんでしょうか」

「んー、まあ、新人のころはラッキー内田さんに練習を見てもらいましたから基礎はしっかりできています。だが海外で何を学んできたか・・・しかし今日の相手は中森選手ですから難しいとおもいますよ」

「てぇっ!」

イージス中森がじわじわと攻める。カミスワもジャーマンで反撃するなどそこそこ健闘したが、最後はガス欠を起こしたところをスクラップバスターに敗北。勝負タイム22分13秒。

「んー、まあ中森選手に20分もったからそこそこ実力はあると思います。ただ上に上がるためにはもうすこし強烈な売り物が欲しいですね」

セミファイナルはコンバット斉藤対ノエル白石。元SPZ王者と前SPZ王者がぶつかる。

「んー、コンバット斉藤選手はですね、勝とうと思ったら負けるんですよ。」

「ほー、どういうことですか」

「コンバット選手の恐ろしさは、空手の経験を生かした打撃ですからね。殴る蹴るならあの伊達遥さんより上なんですから、自信を持って殴って蹴ればいいのに、攻めあぐむと投げ技やらなにやらいろんな手を使ってしまいますから。そこに隙ができ・・、え、あ」

かいせつの吉田龍子が話しているうちにコンバット斉藤、必殺の上段蹴り、ジェットスマッシュ炸裂。一発でノエル白石KO。コンバット斉藤、そのまま覆いかぶさってフォール、カウント3.16分16秒の激闘を制した。

ノエル白石ピクリとも動かない。羽山リングドクターがリングに駆け上がって応急処置。そのままタンカで運ばれた。

「うっわー。あの蹴りは恐怖ですよ。」

メインイベントはSPZ戦、王者メガライトに挑むのは武藤めぐみ。

「んー、武藤ちゃん、メガライトへの対応は分かってますから勝っちゃうでしょう。動き回ればメガライトはそのうち疲れてきますから、つかまって投げ技を連発で食らわなければいいんですよ」

その通りで、15分4秒、タイガードライバーであっさり3カウントを奪ってベルト奪還。武藤めぐみが70代王者に返り咲いた。

***********************

SPZ世界選手権試合(60分1本勝負)

武藤めぐみ(15分4秒、タイガードライバーからのエビ固め)J・メガライト

69代王者が初防衛に失敗。武藤めぐみが70代王者となる。

**********************

6戦目の佐賀大会、セミでイージス中森がメガライトにシングルで勝ってしまった。ドラゴンスリーパーで最強外人からギブアップを奪った。

第7戦長崎大会、メインはあばしりタッグ戦。王者パトリシア・ルイス、ハムルシアター組に対するはタッグリーグ0点の悪役姉妹、セイレーン千春&マーメイド千秋。

悪役姉妹コンビ、マーメイド千秋はSPZで3年近くもまれておりそれなりの技術と実力を持ったレスラーに成長したのだが、セイレーン千春は2年海外に行ってキャリアを棒に振ったので攻められやすいところがある。そしてハムル・シアターの打撃がうなる。マーメイド千秋、我慢しきれずニーリフトに悶絶。勝負タイム20分33秒、王者組みが2度目の防衛に成功。

最終戦山梨大会、メインはSPZタッグ戦。王者武藤めぐみ、Jビーチに挑むのは、最強外人メガライト&キャシーウォン。SPZシングルのベルトを失ったメガライトが武藤に恨みをぶつけるかのように襲い掛かるが、武藤、冷静に対応してメガライトのパワーを寄せ付けない。
キャシーウォンもねちっこい攻撃で武藤をやや苦しめたが、最後はJビーチが出てきて、シャイニングウィザードでキャシーをしとめて終了。勝負タイム26分33秒、王者組が3度目の防衛に成功。このチーム、長期政権の予感が。

2008年7月 4日 (金)

第447回 24年目12月 選手会興行・会長ランブル

24年目12月
SPZ選手会主催興行

引退選手が相次いでしまい、24年目(2032年)年末の時点でSPZ所属選手は11名と薄い陣容になってしまい、なおかつそのうち6人(ライラ神威、REKI.ナイトメア神威、コンバット斉藤、マーメイド千秋、セイレーン千春)がDarkFractionのメンバーまたは準構成員の「悪い子」なので、首魁のライラ神威が「あんな仲良しこよしのイベントに出たかねえよ」などと言って、選手会興行への参加を拒否。

正規軍は5名しかおらず、しかも18期の野村つばさは右足負傷で次期シリーズの出場も微妙な情勢。したがって選手会興行の開催すら危ぶまれたが、イージス中森(20期)新選手会長の尽力でなんとか、12月29日にタイタン有明でイベントを開催した。チケットは破格の2000円。

「ここでイベントがやれなかったら、SPZはあいつらに制圧された事になってしまいます」

第1アトラクション トークショー

引退したばかりの成瀬唯が武藤めぐみと2人でリングに上がり、スクリーンに写された欠くレスラーの秘蔵ショットを元に軽妙なトークを展開。それなりに盛り上がった。

第2アトラクション アームレスリング大会「ウルトラSPZクライマックス」
参加者は以下4名。
ノエル白石(SPZ19期)
ラッキー内田(SPZ16期・OG)
若林太郎(京スポ新聞記者)
今野和弘(SPZ人事経理担当取締役)

1回戦でまずノエル白石がラッキー内田を瞬殺。やはり力はある。

1回戦第2試合では、SPZ関係者のおじさん2人が1分近くの熱闘を展開。しかし長年記事を書き続けて腕力では上回る若林記者が競り勝った。

大きく息をつく若林記者。しかしダメージが残っていたのか決勝戦ではノエル白石にあえなく瞬殺。

「勝ったの、ふーん。」

優勝したノエル白石には、喫茶あばしりの「マドレーヌ詰め合わせ」が贈られた。

第3アトラクション ラッキーナンバー抽選会

恒例の企画、チケットに印刷された番号と、武藤めぐみが引いた番号が一致したら選手が提供した豪華景品がもらえる企画。武藤めぐみはヒザのサポーターを提供。妙に盛り上がった。イージス中森はMP3プレーヤーを提供、ノエル白石は移動中に読んだと思われる文庫本を提供。頭数が足りないのでスタッフもなにかしら提供。井上霧子が高級ワインを提供したのには場内どよめき。

セミファイナル 普通のシングルマッチ 武藤めぐみ 対 ケンドーカミスワ。

さすがに武藤めぐみ、お笑いプロレスはやりかねたのか、セミでカミスワとの一騎打ちが組まれた。カミスワが温泉旅館の割引券や諏訪湖ワカサギ釣りの入漁券などをばら撒いて入場。試合のほうはカミスワがグラウンドで懸命に応戦したものの、10分経過とともに武藤めぐみが攻勢に転じ、最後はカミスワのスタミナがなくなったのを見て、武藤が普段見せない雪崩式ブレンバスターでカミスワに快勝。

メインイベント 会長ランブル 時間無制限1本勝負

SPZの歴代選手会長が賞金10万円を賭けてバトルロイヤル形式で闘う一戦。

まず花道を入場してきたのはエル・オガワ・メンドーサ。中の人が初代選手会長というのは公然の秘密。中の人はもう39歳になるはずだが、本業でストレスをためていて堂々と人を殴れることからお笑い興行の常連となっている。いつものように銀色の覆面を被り、黒いTシャツに黒いスラックスで入場。コーナーで物騒な言葉をメキシコ語で吐く。

「Matar!Matar!(死んでしまえっ)」

そのあと「赤い破片」がかかり、泣く子も黙るSPZ代表取締役社長、吉田龍子(第2代選手会長)がリングイン。社長だがギャラは低く抑えられているため、酒代には苦労しているらしい。こちらも青いジャージ姿。場内ものすごい歓声。

そして「oblivion」がかかり、SPZ10期生で現在は別の名前でインディー団体を転戦しているテクニカルレスラー、ギムレット美月(第3代選手会長)が入場。場内ドワアアの大歓声。

「まいどーーー」

11月に現役を引退したばかりの成瀬唯(第4代選手会長)が入場。一線を退いたのでTシャツにジーンズの私服姿で登場。

そのあと「you give・・・」がかかり、SPZ20期生、現在の第5代選手会長、イージス中森が入場。選手層の少ない中、選手会興行の実現に奔走した。こうして5人の会長がリング内に集結。ものすごい会長コールに包まれた。

裁くレフェリーはラッキー内田。試合開始のゴングが鳴るや、

「うわああああああ」
OG4人がイージス中森を袋叩き。いっせいにイージス中森へ殴る蹴るの暴行を加える、なんて現金なOG4人衆、イージス中森がダウンしたところを蹴る蹴る蹴る。おそらく事前に話ができていたのだろう。たちまちイージス中森は戦闘不能に陥った。そこへ4人がいっせいに覆いかぶさってフォール。まさにバトルロイヤルは強い選手を最初につぶせというセオリーどおり。

「イージス中森退場」

「うう・・・そんな・・・・」
新会長のイージス中森、手痛い洗礼を浴びて、担架で運ばれて退場。

かくてリング上は引退した選手OG4人の醜い?争いの場となった。

「iTe cogi!」
果敢にも吉田龍子へパンチを放っていったメンドーサだったが、吉田龍子、平然と受けきって、

「クラえっ、遊びじゃないんだ!!」
絡みついてスモールパッケージ。メンドーサがもう年齢的に動けないのを読みきって丸め込む。あっけなく3カウントが入った。

「エル・オガワ・メンドーサ退場」

「さあ次はどいつだ?」

起き上がった吉田龍子、しかし待っていたの成瀬唯のはりせん!ダンボールに薄い鉄板を貼り付けた手製のハリせんでぶったたく。

ばしん、ばしん、ばしーん!

「てめぇこの野郎・・・」

吉田社長、10万円への執念か、懸命に起き上がったが、待っていたのは意外な選手の乱入。成瀬唯が召喚した。

「カマーン しずおか仮面M!」
場内爆笑。お茶の葉をかたどった緑色の覆面にみかん色のジャージを着た、武藤めぐみによく似た選手がコーナー最上段から吉田社長へミサイルキック。その後組み付いてブレーンバスターで投げる。

「ぐわあっ・・・」

しずおか仮面Mの鋭い投げ技に吉田龍子悶絶。すかさず成瀬が覆いかぶさって3カウント奪取。

「吉田龍子退場」

しかしここでラッキー内田が厳格なレフェリング。武藤めぐみによく似たしずおか仮面を「会長ランブルに出る資格ないでしょう」として退場を命じた。渋々引き揚げるしずおか仮面。

そして、リング上はギムレット美月と成瀬唯の一騎打ち。しばらくは時間調整をかねたグラウンドレスリングの攻防をやってのけたが、10分もしないうちにギムレット美月の息が上がってしまった。

「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・・」
引退したとはいえ11月までSPZで現役を張っていた成瀬のほうが余力を残していた。ギムレット美月、もう立っているのがやっと。

「これで終わりや!トドメはひとおもいでハリセンで刺してやるけえ・・・・え?」

「ミラクルマジック」

その瞬間、タイタン有明の照明が落ちた。場内真っ暗。ギムレット美月、この隙に乗じて隠し持っていたパウダーを投げつけ、成瀬唯を粉まみれにさせる。ここで照明が復旧。そしてギムレット美月の手には巨大な金だらいが装備されていた。このあたり、インディー団体を転戦して覚えたムーブ。

がん、がん、がん、がん!!

ギムレット美月、金だらいで成瀬を殴打、間の抜けた金属音が響く。場内大笑い。

「勝率300%上方修正」
ギムレット美月、悶絶する成瀬に組み付いてDDT一閃。スピードのないDDTだが痛めた頭を攻撃したので効果的。そのまま押さえ込んで3カウント奪取。

「成瀬唯 退場、従いまして10分42秒、DDTからの体固めでギムレット美月の勝ち」

ギムレット美月、会長ランブルを見事勝ち抜いて賞金の10万円を手に入れて、意気揚々と引き揚げた。これで選手会興行はなんとか終わった。

締めの挨拶は武藤めぐみ。

「きょうは、来ていただいてありがとうございます。来年は悪の軍団、DFをカイメツさせますので、応援宜しくお願いいたします。それでは皆様、良いお年を」

2008年7月 3日 (木)

第446回 24年目12月 スノーエンジェルシリーズ

SPZは15期生・16期生が引退し、選手数は11名となった。
「来年の春までは今のメンツでいくしかないね。」
吉田社長がぼそりと。

12月シリーズ、スノーエンジェルシリーズはドーム級の会場を回る豪華シリーズ。今野役員は営業面が気が気でならなかった。

初戦・札幌どさんこドーム大会メイン。メインに組まれたのはTWWA選手権。王者Jメガライトに対するは20期生のDF核弾頭・REKI。

持ち前のスピードでかき回すREKIだが、時間がたつにつれメガライトがパワーで盛り返してくる。REKI,いいフォームのローリングソバットを連発してゆくが岩のようなメガライトの身体には通じない。

しかしここでREKIが仕掛けた。

「農鳥」

急角度ミサイルキック。そして裏拳、新蛇抜でカウント2.9まで追い込む、が、
「ゲキチン、シロー!!」
戦慄のベリートゥバック。メガライトにはこれがあった。これでREKI沈んでしまった。勝負タイム22分54秒。札幌のメイン、うまくブックどおりに試合が成立した。

第6戦九州ドーム大会メインはGWA選手権。王者ローズ・ヒューイットに対するはタイトル初挑戦のケンドー・カミスワ。

カミスワもしぶとく粘ったのだが、余裕綽々でヒューイットが攻め続け、22分51秒、カミスワがスタミナ切れを起こして動けなくなったところをギロチンドロップ。これでヒューイット様が防衛に成功。

第6戦大阪大会はSPZタッグ戦。王者武藤めぐみ、Jビーチ組に対するは挑戦者ライラ神威、REKI組。先月のタッグリーグ公式戦では勝っているので勢いに乗って攻めたライラだが、意外な好連係につかまってしまう。ライラ神威がJビーチの延髄を浴びてふらついてるところへ、合体パワーボム炸裂。これで3カウント。王者組が2度目の防衛に成功。

第7戦しゃちほこドーム大会では、会場を埋めるためにメインで武藤めぐみ対ノエル白石のシングルマッチを組んだ。だが武藤めぐみ強い。ノエル白石を追い詰めて最後はムーンサルト。これで3カウント奪取。

************************

最終戦さいたまドーム大会メインはSPZ選手権、新王者コンバット斉藤、初防衛戦の相手は最強外人、ジェナ・メガライト。のっけから厳しい相手が防衛戦だ。SPZ王座、タイトルを取るのは難しいが防衛はもっと難しい。コンバット斉藤が神妙な面持ちで入場。

「ふっ!、ふっ!」
掌底を打っていくコンバット斉藤

「無駄だー。そんな攻撃は、キカン。」

捕まえられてフロントスープレックスでブン投げられる。
そしてバックドロップ、フェイスクラッシャーと大技攻勢、コンバット斉藤、カウント2.5まで追い込まれる。

コンバット斉藤、なんとか裏拳で抵抗すするが

「これで終わりだー」
戦慄のベリー・トゥ・バック。まっさかさまにコンバット斉藤がマットへ。

ワン、トゥ・・・ドドドドド!
カウント3ギリギリで肩を上げたコンバット斉藤だったがもはや目が死んでいた。

「捕らえタ」
走りこんでのネックブリーカードロップ。このクラスの選手が使うとダメージも計り知れない。これで3カウントが入った。勝負タイム22分14秒。SPZベルトまたも海外流出。

**********************

SPZ世界選手権(60分1本勝負)

ジェナ・メガライト(22分14秒、ネックブリーカードロップからの片エビ固め)コンバット斉藤

第68代王者が初防衛に失敗、メガライトが69代王者となる

**********************

2008年7月 2日 (水)

第445回 旅の終りはタッグリーグ(4)

24年目11月

SPZタッグリーグ戦&成瀬唯引退シリーズ&マッキー上戸引退シリーズ

最終戦横スペ大会。セミ前で成瀬唯(SPZ15期)のレスラー生活が終わった。最後はパートナーのイージス中森がヒューイット一家の連携に捕まり、ワイルドローズ2号のSTOにフォール負け。ダメージが深かった成瀬はカットにはいれず、フラフラとリングインしたところをローズヒューイットに突き倒されて、そのまま試合終了のゴングを聞いた・・・

―終わった・・・
成瀬唯、しばらく横スペの天井を見上げていた。

R神威○、REKI(11点、トムラウシからの片エビ固め 9.31)M千秋、S千春×(0点)

横スペのセミにDFの首魁・ライラ神威登場。いつものようにスタンロッドを振り回しながら入場。REKIはライラ神威が長い時間をかけてリングインするや、花道を忍者走りして入場。

わずかながら優勝の可能性を残すライラ神威組、今日の相手は悪役姉妹なのでライラが手堅く戦って、わずか9分でトムラウシで勝利。この試合REKIはまったく出番なし。悪役姉妹コンビ、1点も取れずリーグ戦を終えた・・・

そしてメインイベント。マッキー上戸&メガライト 対 武藤めぐみ&Jビーチ。勝ったほうが優勝。もし引き分けた場合はライラ神威組を交えた3チームで優勝決定戦。でもメガライトやM上戸のファイトスタイルからいって30分以内にケリがつかないことは考えにくい)

「次の試合に出場するマッキー上戸選手は、この試合が最後のファイトとなります、ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」

「cheer up full throttole」がかかる中、マッキー上戸が最後のリングへ向かう。
そしてゴング。勝ったほうがタッグリーグ優勝。マッキー上戸、中堅外人のJビーチとはいい勝負を展開するのだが武藤が出て来たらどうにもならない。

「ムトウは私がつぶす」
メガライトが奮戦するも武藤めぐみの牙城は崩せない。ズルズルと攻め込まれてマッキー上戸に再タッチ。

「これで!」
武藤めぐみ、散々苦しめられた先輩の息の根を止めるべくムーンサルト、バックドロップ。何とかかウント2.5で返すマッキー上戸。

「くらえーー」
マッキー上戸、武藤にヘッドバット。けっきょくそれが最後の技となった。体勢を立て直すべくメガライトにタッチしたが、武藤ここで勝負に出て。ボディスラムで転ばせての、

「悪く思わないでね」
シューティングスタープレス!これで最強外人メガライトから3カウント奪取。マッキー上戸のカットはJビーチに阻まれ、もみ合ったまま試合終了のゴングを聞いた。

武藤、Jビーチ(12点、シューティングスタープレスからの体固め 14.06)メガライト×、M上戸(10点)

この結果、タッグリーグは武藤めぐみ&Jビーチ組が優勝。ライラ組には敗れたものの、武藤めぐみが大車輪の活躍を見せて、順当に勝ち点を集めた。

「嬉しいけど、優勝はただ勝ち進んだ結果かな」

「あたしは、永遠に無敵デース!」

優勝した武藤めぐみ・Jビーチ組には賞状と金一封、副賞として「レザーコート」が贈られた。準優勝は11点のライラ、REKI組で、副賞の「もも缶詰め合わせ」が後日届けられた。

メイン終了後、二人の引退式。まず成瀬唯から。シングル戦線では振るわなかったが、武藤めぐみのパートナーとしてSPZタッグ王者に輝くなど名バイプレイヤーとして活躍した。
「ほんまアリガト~!おおきに~!おおきに~!!」

成瀬唯

SPZ15期生
2023年4月21日、釧路アリーナでのフォクシー真帆戦でデビュー。2032年11月22日、横浜スペシャルホールでの対ローズ・ヒューイット、ワイルドローズ2号戦(パートナーはイージス中森)で引退。稼動月数116ヶ月、出場試合数(概算)824試合

タイトル歴

第40代SPZ世界タッグ王者(パートナーは武藤めぐみ)

第22代・24代・27代・31代あばしりタッグ王者(パートナーはフォクシー真帆)

写真集1冊

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そして、マッキー上戸。馬力にものを言わせたファイトでSPZ王者にも輝いた。ラッキー内田と組んでのジューシーペアはSPZ史上に残る名タッグ。

「楽しくやらせてもらったよ!あばよッ!」

ふたりとも、笑顔で引き揚げた。

マッキー上戸

SPZ16期生

2024年7月16日、青森武闘館大会での氷室紫月戦でデビュー、2032年11月22日、横浜スペシャルホールでの対武藤めぐみ、ジェニービーチ戦(パートナーはジェナ・メガライト)で引退。稼動月数101ヶ月、出場試合数(推定)720試合

タイトル歴

第59代SPZ世界王者

第30代・32代・36代・41代・43代・47代SPZ世界タッグ王者(パートナーはラッキー内田)

第20代あばしりタッグ王者(パートナーはラッキー内田)

これでSPZの選手数は11名となった。

「来年の春までは今のメンツでいくしかないね。」

吉田社長がぼそりと呟く。

2008年7月 1日 (火)

第444回 旅の終りはタッグリーグ(3)

最終戦は本拠地へ戻っての横スペ大会。

「成瀬唯 最終試合」

「マッキー上戸最終試合」

大看板が2枚掲げられた。

第1試合はジェシー・ビートン対ソフィア・リチャーズのシングルマッチ。強気っ娘最弱レスラー、ソフィアの登場に会場沸く。ジーナ・デュラムと並んで「恋人にしたいレスラー1・2」を争う選手である。
「ホウリャ!」
試合はビートンのフロントスープレックスで10分35秒、まあまあ粘ったもののソフィア敗北。

第2試合は外人覆面レスラー同士の対決。ミス・マスカレード対ミスティアマスク。ミスティアマスク、弱さを遺憾なく発揮し最後はマスカレードのDDTに屈した。勝負タイム8分18秒。

第3試合は野村つばさ対パトリシア・ルイス。第3試合になってようやく自団体の選手が登場するところがいまのSPZの苦境を物語っている。試合のほうはアイドルレスラー野村がパトリシアの容赦ない攻めにやられるだけ。ラリアットで派手に吹っ飛ばされる。
「いやぁぁーーーっ!」

場内ブーイング。パトリシアルイス、力の差を見せ付けるかのように軽々とかついでハイアングルのボディスラム。
バァンッ。
ひときわ大きな音が響く。これでカウント3が入った。勝負タイム10分26秒。その試合が終わると休憩。

C斉藤○、N神威(8点、飛燕脚からの片エビ固め 18.57)N白石×、かみすわ(4点)

いつものようにてくてく歩いてのっそり入場するN白石。上諏訪温泉のどてらを着て入場する覆面レスラー・ケンドーカミスワ。最終戦ということで温泉まんじゅうをリングサイドの観客にばら撒いてからリングイン。カナダではバカ受けしたパフォーマンス。

ケンドーカミスワ、SPZ王者のコンバット斉藤にも臆せず向かっていって、ドロップキックを連発したが、馬力に勝るC斉藤が裏拳。
「うううう・・・」
ケンドーカミスワ、ふらつきながらN白石にタッチ。しかしN白石もコンバット斉藤の猛攻に捕まってしまった。
「せぇぇい!」
飛燕脚が決まってばったり倒れるN白石、これでフォール負けを喫した。

SPZ世界王者のコンバット斉藤、結局タッグリーグ戦は8点に終わった。
「8点ですか・・・甘くないですね」

そしてセミ前の試合
「次の試合に登場する成瀬唯選手はこの試合が最後のファイトとなります、ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします!」

「さーて、行きますか」

最後の「ミオクルカラ」が流れる中、成瀬唯が入場、ども、どもと手を振りながら。明るい表情で最後のリングへ向かう。そしてトップロープを飛び越えてリングインして右手を上げる。

「赤コーナー、徳島県徳島市出身、いーじすー、なかーもりー、大阪府箕面市出身、なるせー、ゆいーっ!!」

コール順も今日だけは逆だ。格上のA中森が先にコールされる。

対戦相手は強豪外人ローズヒューイット&ワイルドローズ2号。
成瀬、力及ばないながらも懸命のファイト。パワーボム狙いをウラカンラナで切り返す、イージス中森も奮闘したが鉄の連係を崩せず成瀬にタッチ、たちまちヒューイットの猛攻を食らってしまう。
「もう逃げられへん!」
成瀬、最後のストレッチプラムがヒューイットに決まる、しかしワイルドローズ2号がカット。
「くう・・・っ」

成瀬懸命に応戦、パワーボムをもう一度ウラカンラナで切り返す、しかしヒューイットSTO、
「ウアーッ」
カウント2で返した成瀬、懸命に手を伸ばしてイージス中森にタッチ。
しかしイージス中森もフラフラの状態、
「WOOOOOOOO!!」
ワイルドローズ2号が勝負に出てSTO,全身を強く打ったイージス中森、3カウントを聞いてしまった。成瀬、最後はカットに入る力が残っていなかった・・・

ローズ、Wローズ2号○(8点、STOからの片エビ固め 28.47)A中森×、成瀬(3点)
28分47秒の激闘を終えた両チームぐったり。館内ものすごい成瀬コール。
―終わった・・・
成瀬唯、しばらく横スペの天井を見上げていた。

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