第485回 光と闇の最終決戦
26年目7月
7月シリーズ最終戦は新日本ドーム大会、会場入り口には
「武藤めぐみ最終試合」
の大看板が。
場内はさすがにしんみりとした雰囲気。吉田龍子のように気魄で勝つタイプではなく、涼しい顔して速攻で相手をたたきのめす勝ち方のできる名レスラーが今日最後のリング。
第1試合開始前に恒例の「おもしろビデオ」の上映。過去の名シーン(といっても勝ちまくってる映像をつないだだけ)がオーロラビジョンに流される。
「SPZベルト防衛回数27回というのは歴代1位の大記録。すごい!驚異だ!アンビリーバボー、まさに孤高の天才姫という戦績だった。しかし最近は大技を食らったときに反撃できずそのままズルズルと押されるいう試合が多くなり、納得のいくプロレスができなくなったので引退を決意した・・・」
今野役員のナレーション、もうこの選手の場合功績を褒めちぎるしかない!
今回はまともなビデオとなるかと思われたが、最後にドンデン返しが。
ザーーッ
映像をジャックしたのは当然この選手。
「キェキェキェキェ、おーう自称天才武藤めぐみさんよう、引退するんだってなあ、おめでとう!だがなあ、DarkFractionは知ってのとおりあんたを抹殺するための組織だ。だから、引退するんだからモウ営業的な心配はいらねえだろう。今日こそはキサマをSATSUGAIしてやるぜウェハハハハハ、さあ7・23新日本ドーム、血みどろパーティーの始まりだ、神田川を血で染めてやるぜウェーハハハハハ」
ライラ神威が物騒ながなりでビデオの最後をジャック。ファンはやっぱりなと驚きあきれた。そのあと村越リングアナがカードを読み上げる。
「メインイベント、シングルマッチ60分1本勝負、武藤めぐみVSライラ神威」
ドワーーーーーー
このカードが発表されるや大歓声が。武藤めぐみ、果たして生きてプロレス界から足を洗えるのか。
18時30分、第1試合開始。
第1試合はスカーレット小縞対野村つばさ。
新人対アイドルレスラーの対戦。スカーレット小縞もラリアットをぶんぶん叩き込んで野村をあわてさせたが、最後はスタミナが尽きたところを野村が勢いよくダッシュ、タックルでぶっ倒して3カウント奪取。勝負タイム11分11秒。
第2試合は若手コンビ登場、ハリケーン神田、八島静香の25期生コンビがハムル・シアター、パトリシア・ルイス組と対戦。よく粘った若手コンビだったが、ハムルのニーリフトに八島が悶絶してしまいそのまま3カウントが入った。勝負タイム13分2秒。
第3試合は悪役姉妹、セイレーン千春マーメイド千秋組が登場。相手は最強外人メガライト&最弱外人ソフィアリチャーズ。マニア垂涎のカードといえた。
「覚悟しなさイッ!」
悪役姉妹にボコられながら懸命に脇固めで応戦するソフィアに大声援が飛ぶ。そして耐え切ってメガライトにタッチ。普段はヒールのメガライトにも声援が飛ぶ。しかしメガライト、頑張りすぎて引きどころを誤り、悪役姉妹の合体パワーボムにグロッキー。ここで再びソフィアにタッチせざるを得なくなった。今度はソフィア、つかまってしまい、
「ウワアアアアー」
セイレーン千春のパワーボムに失神。勝負タイム17分39秒。その試合が終わると休憩。しかし今回は席を立つ人があまりいない。メインイベントで見られるのは感動か、残虐ショーか。ファンのイマジネイションは限りなく高まった。
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セミ前はコンバット斉藤とREKI登場、実力派外人・シンディーウォン、キャシーウォンと対戦。ウォン姉妹のインサイドワークにすこし手こずったコンバット斉藤だったが、ローリングソバットで形勢打開。REKIもすばやい動きでナイスサポート。
最後はうまく分断に成功して、コンバット斉藤がシンディーをブレーンバスターでしとめた。勝負タイム23分11秒の熱闘に場内は拍手。
セミはノエル白石、イージス中森の本隊コンビにローズヒューイット、ジェシービートンが激突するカード。
「・・・は」
昨日ヒューイットお嬢様にSPZ選手権で惜敗したN白石がスクラップバスター連打で追い込んでゆく。これで大ダメージを食らったヒューイットお嬢様、後をビートンに託さざるを得なくなった。
「た」
最後はノエル白石のニーリフトがJビートンをしとめて終了。勝負タイム14分52秒。本隊チームが手堅く勝利。
そして・・・メインイベント。
「次の試合に出場する武藤めぐみ選手はこの試合が最後のファイトとなります ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」
ドワアアアアアア!!
定型のアナウンスが流れた後、まずライラ神威(17期)が「Collective」に乗って入場。今回は武器を持たずそのまま身体ひとつで入場。パフォーマンスなしでどよめく館内。スタスタと花道を進み、そのままリングへ上がる。
実はライラ神威、長年の酷使で腰をかなり痛めていた。今シリーズも巡業帯同はできず、最終戦ドーム大会のみの限定出場。試合開始前にリングドクター羽山海に痛み止め注射を3本打ってもらって武藤めぐみを血の海に沈めるべく名乗りを上げた。
よくよく考えれば先輩が後輩の引退試合の相手を務めるというのもあまり例がない。いや、この2人はもはや先輩後輩を超越した間柄か。
「・・・・・・・・・・・・・・」
ライラ神威、黒いロングガウンを着たまま青コーナー側に立って、武藤の入場を待つ。
ここ数年、本隊のエースが武藤めぐみなら闇のエースはR神威、SPZの最大派閥DFの総帥。まさに光と闇の最終決戦。
そして「アメジスト」がかかる。
武藤めぐみ、最後のリングへ向かう。花道を例によって淡々と歩き、リングへの階段を登る。そして村越リングアナのコール。
「青コーナー、北海道新得町出身、らいらー、かむーいー!」
「赤コーナー、静岡県本川根町出身、むとー、めぐーみー!」
「レフェリー、ろいやるほーじょー」
赤い紙テープが乱舞乱舞乱舞。セコンド陣総出で紙テープを片付ける。
しかしここでライラ神威が仕掛けた。コスチュームに隠し持っていたナイフをつかむや武藤めがけて投げつけた!
―殺る気、なの?
武藤めぐみ、なんとか身をそらせてかわす。そのままナイフは場外へ。
「オラ、氏ねや自称天才、このカスがぁー!」
ライラ神威、試合開始のゴングを待たず殴りかかっていった。しかし武藤めぐみ、突進をかわしてアームホイップ、そしてスリーパー。今日の武藤は冷静だ。
「はっ」
武藤めぐみ、そのあとキレイなフォームでドロップキックを連発。そしてスリーパー。
「うぐぐぐ・・・・」
ライラ神威、なんとかしのいでロープエスケープ。しかし武藤めぐみ、休まず攻める。エルボーの連打。動けないなりにコツコツとライラ神威を切り崩しにかかる。
しかしライラにも意地がある。1期後輩で武藤めぐみが入ってきて天才とか驚異の新人とか言われて、ねたみ、そねみ、くやしさはいかばかりか。
「アンタはヨー、入門してきたときから気に入らなかったんだ!」
凶器いりヘッドバット、正面から受けた武藤、額から流血。しかし臆せず武藤、勢いよくジャンプするや延髄斬り。
「うぐあっ・・・」
ライラ神威、うずくまってしまう。何とか態勢をたてなおそうと場外にエスケープしたが武藤めぐみ、追ってきてライラに組み付くや
「せええい!!」
なんと場外でノーザンライトスープレックス!
「うが・・・・」
ライラ神威の腰に電気が走った。
「コノヤロウ!!!」
ライラ神威、立ち上がるや怒りに任せて本部席の机を投げつけたが、武藤めぐみ、しっかりと両腕をクロスしてガード。こんどは場外マットを引っぺがしたあと、もう一回ライラ神威に組み付いて、
「てやああっ」
2発目の場外ノーザンライトスープレックス2連発。マットがないのでライラ神威にとっては痛恨の一撃。なんという非情な攻め。
「うがががが・・・」
これで腰を打って、ライラ神威動けなくなった。
このまま置き去りにしてもリングアウト勝ちだが、フォール決着狙いの武藤、きちんとライラ神威をリング内に戻して、起き上がってくるのを待つ。
「お、おまえなん、かに・・・」
ライラがフラフラと起き上がるのを待って
「覚悟して」
武藤めぐみ、2発目の延髄斬り。これがライラ神威の意識を持っていった。前のめりに崩れ落ちるライラ神威。すかさず武藤めぐみ上に乗って片エビでフォールの態勢。
ワン、トゥ、スリー。
ドオオオオオ!
3カウントが入るや赤い紙テープが投げ込まれる投げ込まれる投げ込まれる。
「19分18秒、延髄斬りからの片エビ固めで、武藤めぐみの勝ち」
「ウ・・・・・・クソ・・・」
敗れたライラ神威、コンバット斉藤とREKIに抱えられながらリングを後にした。
「ハァ、ハァ・・・まあ気合はいりました。ライラさんの場合負けたら何されるか分かりませんからね、ハハッ」
武藤めぐみいったん花道へ下がって笑顔でコメント、そのあとジャージに着替えて引退式。
「えーと、あたしは今日でリングを降ります、ありがとうございました。」
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武藤めぐみ(SPZ18期)
2026年7月7日、青森武闘館大会での対 フォクシー真帆戦でデビュー。2034年7月23日、新日本ドーム大会での対 ライラ神威戦で引退。稼動月数97ヶ月、出場試合数(推定)688試合。
タイトル歴
第60代SPZ世界王者
第62代SPZ世界王者
第67代SPZ世界王者
第70代SPZ世界王者
第72代SPZ世界王者
通算防衛回数27回(歴代1位)
第29代SPZ世界タッグ王者(パートナー時はボンバー来島)
第34代SPZ世界タッグ王者(パートナーは氷室紫月)
第40代SPZ世界タッグ王者(パートナーは成瀬唯)
第49代SPZ世界タッグ王者(パートナーはJ・ビーチ)
第52代SPZ世界タッグ王者(パートナーはJ・ビーチ)
第21回SPZクライマックス優勝
第22回SPZクライマックス優勝
第23回SPZクライマックス優勝
第25回SPZクライマックス優勝
第22回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはイージス中森)
第23回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは成瀬唯)
第24回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはJ・ビーチ)
写真集 1冊
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(筆者より:ようやくこの連載も485回まで来ました。485ですよ485。鉄道ファンにとってはたまらない数字です。いったい何回まで続くのか、筆者にも見当がつきませんが、34期のフローラ小川まで書ききってやめるか、それとも50年をひとつのめどにするか、検討中です。帰宅時間が遅くなったことで、以前の様にPS2に向かう時間が減りました。)
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