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2008年10月31日 (金)

第532回 27年目3月 グッバイSPZ

3月シリーズ「ファイヤーソウルシリーズ」開幕。前半は東北地方を転戦。

第5戦宇都宮大会で注目カード、マイティ祐希子対ローズ・ヒューイットの一騎打ち。

今シリーズ限りで引退のローズヒューイット。新人のマイティ祐希子相手に余裕のファイト。最後はシャイニングウィザードを連発してマイティ祐希子を仕留めた。勝負タイム11分13秒。

「あと2年もすれば恐ろしい存在になるだろうけど、まだまだ一流レスラーとしての動きに欠けている」

第7戦幕張大会メインではあばしりタッグ戦。悪役姉妹タッグに挑むのは外人チーム、ハムルシアター、マリシア・ルイス組。力のこもった好勝負が展開されたが、ハムルシアターのニーリフトがガスガス入り、悪役姉妹は大苦戦を強いられた。

「ハァッ!」
ハムルのハイキックにセイレーン千春悶絶。フラフラと起き上がったところをフライングニールキック。これでカウント3が入った。勝負タイム36分28秒、あばしりベルトまたも海外流出・・・

****************************

最終戦はさいたまドーム大会。

第1試合は霧島レイラ対マリシア・ルイス

昨日の幕張であばしり王者に輝いたマリシア・ルイス。きょうも落ち着いて持ち味である小気味いい打撃で霧島レイラをぶん殴ってゆくが、

「覚悟ッ!」

霧島レイラのラリアットが入った。これがまともに入ってしまった。これでカウント3。外人選手相手に堂々のフォール勝ち。新人の霧島レイラもM祐希子の陰に隠れてはいるが進歩を見せている。

第2試合は若手アイドルレスラー・スカーレット小縞対実力派外人Jビートン。この試合から大日本テレビのカメラが回り始めた。

全国のプロレスファンの皆様こんばんは。今週もSPZプロレス中継の時間がやってまいりました。さて、リング上はちょうどアイドルレスラーのスカーレット小縞があがっております。あーっとビートンのDDT,これはイターイ!!そしてスクラップバスター!!なんとか2.5で返したがスカーレット小縞反撃できるか

「んー、まだ目は死んでいませんね」

アーッとスカーレット小縞うまく組み付いた。そしてパワーボムか?違うパイルドライバー、のーうてんくいうち、これは効いた。ビートンフラフラ、ビートンフラフラ、そしてスカーレット小縞何を持ってくるか、ダブルアームの態勢から、タイガードライバー、タイガードライバー決まった、あーこれでカウント3が入ったーッ!スカーレット小縞鮮やかな逆転勝利!!」

勝負タイム10分41秒。

第3試合はハムルシアター、アネットデュラム対ディスガイズマスク、ミスティアマスクのタッグマッチ。この一戦はダイジェストでの放映となった。

「実況は私、伊藤啓、かいせつはおなじみのSPZの社長、吉田龍子さんです」

「んー、どうも。」

第3試合はハムルシアターが格の違いを見せてハイキックでミスティアマスクを屠った。この試合が終わると休憩。

*************************

休憩後の第4試合シングルマッチ。

次の試合に出場するシンディー・ウォン選手はこの試合が日本で最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします。」

ドオオオオオオ!!

悪役外人バイプレイヤーとして長らくSPZを支えてきた名選手がリングを去る。
対戦相手は26期生の斉藤彰子。出だしこそ掌底で攻めたものの、すぐに形勢逆転される。

ぼこっ!

見た目は痛そうに見えないがものすごく痛いシンディーのステップキック。これで斉藤彰子は動けなくなってしまった。一発やられると動きが止まるのが斉藤の欠点。

「フフフフフ・・・」

シンディ、斉藤彰子をヘッドロックに捕らえると、隠し持っていたフォークで斉藤彰子をメッタ突き。テレビカメラに見せ付けるような残虐シーン!!

「ぐわあーっ!!」

もがき苦しむ斉藤彰子。すかさずフォールして3カウント。最後まで悪役道を貫いたシンディーウォンが10分29秒、凶器攻撃でラストマッチを飾った。

第5試合はタッグマッチ。セイレーン千春マーメイド千秋の悪役姉妹に対するは25期生コンビ、ハリケーン神田&八島静香。あばしりタッグをめぐって何回か対戦しており内容は保証書つき。25期生の二人が上に行くためにはこの悪役姉妹を叩きのめさないといけない。

先にセイレーン千春をつぶしてマーメイド千秋を孤立させる25期生の作戦がズバリ的中。いくら試合巧者のマーメイド千秋といえどこの2人にかわるがわる攻められてはたまったものではない。

「はっ!」

ハリケーン神田のゴッドアンド炸裂。これでカウント3が入った。勝負タイム15分12秒。

「次の試合に出場するローズ・ヒューイット選手はこの試合が日本で最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします。」

最強外人の一角、ローズヒューイットもこれが最後のファイト。市ヶ谷様やロイヤル北条、ラッキー内田、武藤と名勝負を繰り広げ、SPZベルトを巻いた名レスラーも今日で最後。いつものように対戦相手のイージス中森を圧倒。

バッシーン。

結構力のこもったラリアット。腕の振りが凄い。イージス中森も懸命に応戦したが、シャイニングウィザードをモロに食らって3カウントを奪われた。勝負タイム15分36秒。

そして次の試合セミファイナルも最強外人のラストマッチ。

「次の試合に出場するジェナ・メガライト選手はこの試合が日本で最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします。」

「ウォーッ!」

ジェナメガライト、いつものようにコーナーに上がってパワーを誇示。SPZベルトも3度巻いた外人最強クラスの選手。この選手、TWWAマットから撤退するのでこれが最後のSPZマット参戦となる。

対戦相手は新人のマイティ祐希子。前衛的なマッチメイクだ。

―投げが速い。
組み付かれた次の瞬間には投げられている。マイティ祐希子どうすることもできず投げまくられ、最後はバックドロップ、パイルドライバーと畳み掛けられて終了。勝負タイム7分0秒。

「ガッハハハハハハ!グッバイ!SPZ」

育成マッチで玉砕したマイティ祐希子、ダメージが深くセコンドの肩を借りて引揚げた。一方的な敗戦に控室で悔し泣きしたらしい。

*************************

メインのSPZ戦、王者コンバット斉藤に対するはナイトメア神威。本隊エース対PDF首魁の頂上対決。

「UHYAHYAHYHAYHA」

ナイトメア神威、積極的に攻めにかかる。要するにつぶされる前につぶすという仕掛け。パワーボム、タイガードライバー、地獄落としとドトウの攻め。

「UHAAAAAAAA」
ナイトメア神威裏投げ。しかしコンバット斉藤もパワースラムで応戦。しかしここで試合が動いた。

ナイトメア神威凶器攻撃。ぶっとい釘をコンバット斉藤の頭に突きたてる。なりふり構わない手だ。

「ぐわああああ」

滴り落ちる鮮血。さいたまドームは悲鳴と怒号に包まれた。しかしこれでコンバット斉藤がキレた。

「うらあっ!」

コンバット斉藤、気合いとともにものすごい飛燕脚。これはカウント2で返したが、コンバット斉藤容赦しない!!

「はあーっ!」

コンバット斉藤、ジェットスマッシュ!これはまともに入った。崩れ落ちるナイトメア神威、ひっくり返してカバー、そのまま3カウントが入った。勝負タイム29分57秒、王者が2度目の防衛に成功。

**************************

28年目4月
忘れた頃にやってくる手塚オーナーの資金要請。パソコンショップチェーンを買収するらしい。SPZは泣く泣くおよそ30億円を拠出した。

新人スカウトで藤原和美獲得。
新人テストで中江里奈獲得「パワーには自信あるんだ」という積極性を買った。

2008年10月30日 (木)

第531回 27年目2月 ノエル白石引退!

27年目2月
「バイバイ・・・」

19期生の元SPZ王者:ノエル白石が引退を表明。トップを退いてからも怪力で存在感をアピールしてきたが、さすがにもう限界だったようだ。
ということで2月シリーズは「ノエル白石引退シリーズ」として開催。

REKIが右ひざ負傷で欠場。

第2戦島根大会。ノエル白石はセミ前で斉藤彰子と対戦。斉藤の蹴りに血まみれになりながらもパワーで圧倒するノエル白石。最後はSTOで戦闘不能にしておいてドロップキックでとどめ。斉藤彰子からカウント3を奪った。

第3戦鳥取大会ではノエル白石対ハリケーン神田。この試合は盛り上がった。打撃ならハリケーン神田、レスリングならノエル白石、28分20秒の大熱戦の末、ハリケーン神田が2発目のゴッドハンドを叩き込んでカウント3を奪った。

勝ったハリケーン神田のほうが深々と一礼してリングを後にした。

第4戦福井大会でもノエル白石奮戦。25期の八島静香の攻勢を懸命にこらえる。
「えっと・・・」
そしてSTO.これで八島からカウント3奪取。勝負タイム18分0秒。

「はー、疲れました。」
ノエル白石、試合が終わって引き揚げるや、控室の床に座り込んだ。

第5戦金沢大会。ノエル白石の相手はスカーレット小縞。このクラスの相手ならまだまだ安心してみていられる。スカーレット小縞の攻めを受けきったあと、STO.しかし2.9で返すスカーレット小縞。場内は大盛り上がり。

―白石さんとやれるのは今日で最後
パイルドライバー、ジャンピングニーで反撃、しかし・・・

「たあ」
バックドロップで投げられて万事休す。勝負タイム18分19秒、ノエル白石が若手の猛追を振り切った。

「やっと終わった・・・」

第6戦高岡大会、ノエル白石の相手は新人の霧島レイラ。これはもう新人への伝承マッチ。バックドロップでノエル白石が完勝。

第7戦神戸大会。ノエル白石引退カウントダウン2は、20期生のイージス中森と最後のシングル対決。本隊同士なので二人でタッグを組んでSPZタッグ王者に輝いたこともある。しかしノエル白石、連日のシングルマッチで弱っているのか、イージス中森の動きについていけない。なんとかSTOを繰り出したがそこまでで、イージス中森のストレッチプラムにギブアップ負け。勝負タイム20分12秒。

高岡大会セミは注目カード。売り出し中の新人マイティ祐希子が前SPZ王者ナイトメア神威とシングル対決。だがまだまだ相手にはならず、8分24秒、パワーボムに力尽きた。

高岡大会メインはあばしりタッグ戦。王者の悪役姉妹に挑むのは25期生コンビ、ハリケーン神田&八島静香組。前回の対戦では25期生が勝っているが、マーメイド千秋も後輩にやられるわけにはいかんと奮戦。試合は長期化した。

「うりゃっ!」

悪役姉妹の合体パイルが八島を追い詰める。八島たまらずハリケーン神田にタッチ。最後は4人が入り乱れる攻防。

「はーっ!」
セイレーン千春のパワーボム、これはカウント2.8で返した八島だったが、いい流れでタッチを受けて出てきたマーメイド千秋がフィッシャーマンバスター!これで八島は沈んだ。勝負タイム60分0秒の大激戦だった。

**********************

そして最終戦は横スペ大会。
第1試合はミスティアマスク対ノティア・リチャーズ。ミスティアマスクが軽快な動きで翻弄し、最後はブレーンバスターでカウント3.勝負タイム10分29秒。

第2試合はスカーレット小縞対ファントムローズ1号。これがファントムローズ1号の最終戦。ファントムローズ1号が小縞を圧倒して攻め込んでゆく。2度目のネックブリーカーでカウント3奪取。勝負タイム10分21秒。

第3試合は霧島レイラ、斉藤彰子対Jビートン、ディスガイズマスク。外人組みが優位に試合を進め、最後はディスガイズマスクがジャンピングニーで斉藤彰子を沈めた。勝負タイム11分43秒。

休憩後、外人同士のタッグマッチをはさんで、そのあと第5試合。

「次の試合に登場するノエル白石選手はこの試合が最後のファイトとなります、ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」

ノエル白石(SPZ19期)対マイティ祐希子(SPZ27期)。

「はっ」
ノエル白石タックル、そしてボディスラム。やはりパワーでは圧倒的に上を行く。しかしマイティ祐希子も動き回って、ドロップキックを連打。懸命に手数を返してゆく。だがいくらドロップキックを打とうが、ノエル白石の耐久範囲を超えるものではなかった。

「だあっ」

ノエル白石、逆片エビ固めでじわじわと痛めつけてからスクラップバスター。

―これ以上は受けられない。

マイティ祐希子、ここで勝負に出た、アームホイップで転ばせてムーンサルトプレス、カウント2、しかしマイティ祐希子ダイビングプレス、ノエル白石カウント2.5で返す。

ドドドドド。
「そんな・・・」
大技攻勢をことごとく返されたマイティ祐希子に焦りが。

―ノエル、STOだっ!

ーSTOいけーっ!

会場のファンが声援を飛ばす。その声援にこたえて、

「お客さんが必殺技やれって・・・」
STO一発。これでマイティ祐希子は動けなくなって3カウントを喫した。15分45秒。

「勝った・・・帰ろう」

ノエル白石、R北条レフェリーに手を挙げてもらってからいつものようにリングを降りてとことこと引揚げた。

セミファイナルは本隊対PDFの6人タッグマッチ。イージス中森、ハリケーン神田、八島に対するはナイトメア神威、セイレーン千春、マーメイド千秋。15分24秒、セイレーン千春が延髄でH神田をしとめた。

メインイベントはSPZ戦、王者コンバット斉藤に挑むのはローズヒューイット。コンバット斉藤の相性がよくない相手として挑戦者に選ばれた。

―相手は最強外人。でも勝つ!

うまいぐあいに15分過ぎに裏拳がヒット。これでがっくりと動きが落ちた。すかさずもう一度裏拳を叩き込む。カウント2.5で返すヒューイットお嬢様だが完全に目が死んでいた。
「はっ!」
ブレーンバスターで投げつけてそのままのしかかってカウント3奪取。勝負タイム21分35秒。王者が初防衛に成功。

***********************

メイン終了後、ノエル白石の引退セレモニー。

「みんな・・・バイバイ」

涙はなかった、淡々とお別れ。こうしてSPZの歴史を作った個性派レスラーがリングを去った。

ノエル白石(SPZ19期生)

2027年4月20日、釧路アリーナ大会での対 野村つばさ戦でデビュー。2036年2月22日、横浜スペシャルホール大会での対マイティ祐希子戦で引退。稼動月数107ヶ月、出場試合数(概算)776試合

タイトル歴
第64代SPZ世界王者

第66代SPZ世界王者

第37代・39代・42代・46代SPZ世界タッグ王者(パートナーは氷室紫月)

第50代・54代・56代SPZ世界タッグ王者(パートナーはイージス中森)

第42代あばしりタッグ王者(パートナーはマイティ祐希子)

写真集1冊

2008年10月29日 (水)

第530回 コンバット斉藤王座奪還

年末のプロレス大賞、コンバット斉藤が最優秀選手、10月に王座転落したが本隊エースとしての活躍が評価された。マイティ祐希子が最優秀新人。しかしベストバウトは新女で開催された外人同士の対戦に持っていかれた。

27年目1月

「まだまだ私はトップで闘うには力不足です。海外で上諏訪温泉を宣伝してきます~」
ケンドーカミスワがまたTWWAへ旅立った。

新春ロケットシリーズ開幕。前半は四国各地を転戦する地方興行が続く。

2戦目の松山大会で新人のマイティ祐希子がREKI相手にシングルマッチ。ノーザンライトスープレックスを4回も叩き込むなど大健闘を見せたが、

「消えろ」
REKIラリアット。これでマイティ祐希子3カウントを奪われ惜敗。デビュー1年しないうちに中堅選手と互角に渡り合うようになってきた。恐ろしい。

************************

6戦目の奈良大会、メインに組まれたのはあばしりタッグ戦。王者ノエル白石、マイティ祐希子に挑むのはセイレーン千春、マーメイド千秋の悪役姉妹。

「ロートルを潰せ!」
悪役姉妹はノエル白石を狙ってきた。王者チーム、いつのまにかマイティ祐希子が前面に立って奮戦する戦い方になってきた。悪役姉妹相手に一歩も引かない好ファイト。

「こりゃ、次のエースはこのコで決まりだね」

本部籍の吉田社長が呟く。

しかしインサイドワークでは悪役姉妹のほうが上。

マイティ祐希子のダイビングプレスをマーメイド千秋、ヒザ迎撃。これは痛い。モロに入ったか。

「ぐわあああっ!!」

「これで終わりにしてやるよ」
マーメイド千秋、フィッシャーマンバスター。これでマイティ祐希子から3カウント。勝負タイム28分32秒、王座移動。

「・・・ううっ・・・」
腰を抑えて引揚げるマイティ祐希子。けっきょく3ヶ月しかベルトを守れなかった。

**************************

第7戦新潟大会メインイベントはSPZタッグ戦。王者コンバット斉藤、斉藤彰子に対するはナイトメア神威、REKI。先月と同じカード。

―あたしが先発します。

斉藤彰子が先発を買って出て、ナイトメア神威の攻勢を懸命にこらえる。が、守勢に回ったときの脆さは相変わらずである・・・

「あー、ダメだ、彰子代われ」

コンバット斉藤が出てきてナイトメア神威を蹴散らす。翌日のSPZ戦の前哨戦だ。馬力ならナイトメア神威、打撃の鋭さではコンバット斉藤。

「はっ!」

コンバット斉藤、頃合いを見て裏拳。重さのある一撃がヒット。これでふらついたナイトメア神威、あとをREKIに託したが、そのREKIがつかまってしまう。飛燕脚で吹っ飛ばされて起き上がってくるところをジェットスマッシュ。決まったかと思われたがナイトメア神威がカット。

「クーーーッ!」

REKI、最後の力を振り絞ってコーナーに上がり農鳥。コンバット斉藤に一矢報いてからナイトメア神威にタッチ。再びコンバット斉藤とナイトメア神威の局面。

しかし、パワー攻勢に押されたコンバット斉藤が我慢しきれず斉藤彰子にタッチ。姉と違いこの選手には攻めやすいところがある。

「SHYAAAAAAAA!!」
ナイトメア神威、パワーボム一発で斉藤彰子を沈めた。勝負タイム27分0秒。これでPDFがタッグ王座を奪還。

・・・・やはりまだ、今のあたしは・・・・

呆然として引揚げる斉藤彰子。

******************

最終戦は新日本ドーム大会。

第1試合は斉藤彰子対霧島レイラ。

昨日タッグ王座を失った斉藤彰子、恨みをぶつけるかのように打撃でもって追い込んで最後は飛燕脚。8分35秒、霧島レイラに快勝した。

第2試合はJビートン対マリシア・ルイス。ビートンが終始攻めて、14分54秒、フェイスクラッシャーでマリシアを退けた。

第3試合のタッグマッチ。ノエル白石(19期)とスカーレット小縞(26期)が登場。対戦相手はミスティアマスク、ディスガイズマスク組。あのノエル白石が第3試合でネタ外人相手のタッグマッチとは・・・場内のファンはため息。しかもディスガイズマスク相手に苦戦する状況。2年くらい前だったらまったく問題にしない相手だったのに・・・

「はいな。」
ディスガイズマスクのDDT。これでノエル白石も本気になったのか。
ごす。
ものすごいヘッドバット。これでディスガイズマスク昏倒。これで3カウントが入った。勝負タイム13分38秒。

休憩明け、第4試合はマイティ祐希子(27期)対イージス中森(20期)のシングルマッチ。売り出し中のマイティ祐希子がとうとうトップに近いところの選手とシングル対決するまでポジションを上げてきた。

「はっ」

若いマイティ祐希子の勢いを冷静にさばいてゆくイージス中森、ジャンピングニー2連発で吹っ飛ばして怯ませる。そして3発目のジャンピングニー。これでカウント3。

「打たれ弱い弱点を突きました。現段階ではまあこんなものでしょう」

マイティ祐希子、上位の選手に完敗。勝負タイム12分8秒。

第5試合はハリケーン神田(25期)、八島静香(25期)対シンディーウォン、キャシーウォンのタッグ対決。しかしキャシーウォン強い。ハリケーン神田をハイキックで半失神に追い込んでの裏投げ。八島のカットは間に合わなかった。勝負タイム13分33秒。

セミファイナル、ヒューイット一家3人がドームのリングに登場。これだけで場内沸く。対戦相手はREKI、セイレーン千春、マーメイド千秋のPDF3人。しかしヒューイットお嬢様が元気いっぱい。25歳なのに動きがまったく落ちない。REKIをバスターローズからパワーボムの大技攻勢で沈めた。勝負タイム14分13秒。

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そしてメインイベント、SPZ選手権。王者ナイトメア神威に挑むのは元王者コンバット斉藤。昨年10月にカミスワに破れまさかの転落となって以来の挑戦。

―いつも通りにやれば、結果はついてくる。

試合開始早々にジェットスマッシュ、飛燕脚という恐ろしい攻めを見せたコンバット斉藤。早くもナイトメア神威フラフラ状態。2度目の飛燕脚で追い込んでから、

「はぁぁーっ!」
非力となったナイトメア神威にデスバレー一閃。これでカウント3が入ってしまった。勝負タイム9分49秒、タイトル戦にしてはかなり短い。コンバット斉藤が完勝して王座奪還。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

コンバット斉藤(9分49秒、デスバレーボムからの片エビ固め)ナイトメア神威

第77代王者が初防衛に失敗 コンバット斉藤が第78代王者となる

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2008年10月28日 (火)

第529回 27年目12月夢のマスターズ戦

レッスルエンジェルスサバイバー 
プレイ日誌のようなもの
輝くエッセンシャル

27年目12月 夢のマスターズ戦

12月23日、後楽園プラザ。いつものSPZのリングが中央に置かれていた。
カン、カン、カン、カン、カン・・

「メリー・クリスマス」
リング上で井上霧子が挨拶。

「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2035にお越しいただきましてありがとうございます」

(チケットは破格の2,000えん)

「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私ども実行委員会と致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。違反した人は制裁金徴収の上マスターズ戦出場禁止処分となります」

(場内笑い)

「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係でありまして、このイベントの権限と責任はすべて井上霧子にあります。そこのところもお含み置きください」

(場内失笑)

「それではさっそく第1試合を始めたいと思います。」

第1試合、成瀬唯(15期)VS野村つばさ(18期)

恒例のマスターズ戦、今年はまったりとした立ち上がり。現役を引退してからまだ日の浅い両者が対戦。序盤こそわりとまともなグラウンドレスリングをやってのけたが、西まつやまケーブルテレビレポーターの野村つばさが果敢にもチョップをうってゆくが、成瀬唯(SPZフィーバー大阪店店長)はリング下に隠していたはりせんで反撃。耐える野村、

「これで、とどめやーーーー」

なんと勇敢にも成瀬唯、コーナー最上段からダイビングはりせんを狙ったが野村つばさ、かろうじて飛びのいてかわした、

「ぐわああっ」

着地の際に足首を痛めてしまった成瀬、かなりひねってしまったらしく起き上がれない!ここでレフェリーのイージス中森がゴングを要請。成瀬がレフェリーストップ負けを喫した。

足首を押さえてのた打ち回る成瀬、そこへすかさず待機していたリングドクター羽山海がリングに上がって・・・

「あらー、これは重い、重~い足首損傷かもしれませんねえ、すぐにお手当てしなければ、大変です。ではそこに横になってください、ふふ、リラックスして・・・」

ブ ス ーッ。

「ぐぎゃあーーー」

リングドクター羽山海さんの注射を食らってしまった成瀬唯、涙を浮かべていた。あわれ、そのまま担架に乗せられて退場。勝負タイム7分1秒。

第2試合は吉田龍子(5期)対渡辺智美(5期)の因縁マッチ。同期で仲が良かったはずなのだが、やはり団体エースにして絶対王者の吉田に対して渡辺は万年前座だった扱い、渡辺智美が今宵また復しゅう鬼と化す!

「悲しみの日本海」がかかり、現「売れない演歌歌手」の渡辺智美が入場。

「ウェーハハハハ吉田龍子、ここで会ったが百年目、今日こそ貴様の最期だ!」

「ったく、とっとと終わらせて帰るか・・・」

現SPZの社長、吉田龍子がスーツ姿でリングイン。

「なお、この試合の勝者には喫茶あばしりの協賛によりクッキー1年分が送られます」

よせばいいのにスポンサーまでついてしまった。これは壮絶な死闘が展開されるだろう。運命のゴング。

「てや、てや、てやーーー」
渡辺智美、代名詞のヘッドバット。現役時代はこの技で多くの若手選手を泣かせてきた。しかし吉田龍子は受けきって

「おらよっ」
強烈な蹴りを叩き込んで。そのあと捕まえてダブルアームスープレックスで投げる。腰を押さえてウググと転げまわる渡辺。

「この日のために、会議室で特訓をしてきた・・・」

さすがSPZ社長、ぬかりはない。社長業のかたわら会議室で渡辺抹殺の特訓をつんできたようだ。

「そろそろ死んでもらおうか!」

吉田龍子、渡辺を組みとめて必殺プラズマサンダーボムを狙ったが、そこへ思いもよらぬ援軍が。場内を疾走した一人の女がリングへ上がり、吉田に広報から近づき頭をバットで小突いた。

「ぐわあああっ・・・」

不意をつかれた吉田龍子、頭を押さえて苦悶の表情。

出たライラ神威(SPZ17期)。1月に引退して、いまは喫茶あばしりでフードビジネスの修行中。現役時代ことあるごとに反目していた吉田龍子社長へ復しゅうすべくマスターズ戦へ参戦した・・・・

「渡辺さんよ!」

ニュートラルコーナー前で黒バットを構えるライラ神威。
「ほいさっさー」
渡辺智美、吉田龍子をそこめがけて振った。

ブンッ!
ライラ神威、容赦なく黒バットをフルスイング!腰に命中。吉田はこの一撃でノックアウトされた。起き上がれずゴングが鳴らされた。あわれ吉田社長、担架で運ばれてしまった。

「ウェーハハハハハ、吉田龍子なんてこの程度だ」
ライラ神威、賞品のクッキーを強奪して引き揚げた。勝負タイム5分33秒。

その試合が終わると休憩。渡辺智美はそのままリングに残って3曲歌った。

*************************

休憩後第3試合はSPZのファイティングコンピュータ、ギムレット美月(SPZ10期生)登場、いまは独立し「ギムレットオフィス」を立ち上げ、東京郊外に理想のプロレス会場をつくろうとしており、近日中にいちおう完成するらしい。現役時代のコスチュームのままリングインして屈伸運動。これだけで大歓声が飛んだ。いちおうまだ「現役レスラー」なのである。

対戦相手はギムレットオフィスの得意先、あいちおいでんプロレスからフラッシュ岡崎。試合はギムレット美月がグラウンドレスリングをしかけて岡崎が苦悶の表情で耐えるといった展開。そして10分過ぎにギムレット美月が勝負をかけた。弱った岡崎へトドメの大技、コーナー最上段からのミサイルキックを狙ったが、かわされてしまった。悶え苦しむG美月。そこを押さえ込まれてあえなく3カウントを献上した。勝負タイム11分9秒。

「まだまだ私も修行が足りませんね。今日はどうもありがとうございました」

ギャラの10万円を受け取ったG美月、車に乗り込み会場ををあとにした。

セミファイナルタッグマッチ、井上霧子、ハイブリッド南対エル・オガワ・メンドーサ、上原今日子組。はたして井上霧子、ヤクザキックを繰り出すことはできるのか。ここ数年のイベント興行ではことごとく見切られてかわされているのだが・・・

「霧子さんは控えててください。私が2人を何とかします」

スポーツインストラクター、ハイブリッド南が先発。上原今日子(SPZ営業部長)を殴る蹴るベースで追い込んでゆく。

「iTe cogi!」

謎のメキシコ人レスラー、エル・オガワ・メンドーサが果敢にもパンチを打ってゆくが、ハイブリッド南は軽くあしらって、

「はぁっ」

強烈なミドルキック。痛めている腰に強烈な一撃を食らったエル・オガワ・メンドーサは戦意を喪失し、そのまま花道を逃走してしまった。いったい何しにきたのか。孤立した上原をハイブリッド南が追い込み、

「霧子さん」

ここで井上霧子に見せ場を作ってあげようと考えたのか、上原今日子を羽交い絞めに捕らえた。これなら命中する確率は高い。

「はぁぁーー、ヤクザキック!」

井上霧子が腰を落とし、気合をためてからヤクザキック!しかし寸前で上原今日子がふりほどいて羽交い絞めをだっしゅつ。

「ぬわーーーっ!」

あわれ、ヤクザキックはハイブリッド南に命中。壮絶な同士討ち。老いたりとはいえ井上霧子のヤクザキックの破壊力は恐ろしいものがある。上原今日子、まず井上霧子を場外へ落としてから悶絶しているハイブリッド南にのしかかって3カウント奪取。勝負タイム9分20秒。

メインイベントは6人タッグマッチ、ラッキー内田、マッキー上戸、氷室紫月の16期生3人がそろい踏み。対戦相手は菊池理宇(11期)、フォクシー真帆(14期)、スターライト相羽(9期)の3人。このメンツでは16期生のチームワークが勝り、アキレス腱がための競演などで好連係を見せた。

「そろそろ決め時ですね」

ラッキー内田の指示で3人がかりでスターライト相羽を袋叩き。
「おりゃあああ、太鼓の乱れうち!!」
上からスターライト相羽をボコボコに。そのあとジューシーペアの2人はカットプレイ、F真帆と菊池を場外で組みとめる。
リング上では悶絶したS相羽に向かって、

「これも運命」

氷室紫月、ゆるーいエルボードロップで倒れこんで、そのままS相羽から3カウント奪取。場内は失笑。

「うう・・・首が痛い・・・・」

スターライト相羽、苦悶の表情をうかべつつセコンド陣に背負われて退場。引退しても勝負弱い。リング上では16期生3人が手上げ。観客の声援にこたえる。こうして魔のマスターズ戦は終わった。

2008年10月27日 (月)

第528回 さいたま5大シングルマッチ

27年目12月シリーズ

最終戦さいたまドーム大会。なんと後半戦で豪華な5大シングルマッチが組まれた。

第4試合はノエル白石対マイティ祐希子。8歳年下のマイティ祐希子の攻めを受けるノエル白石。マイティ祐希子も積極的に攻めるのだがノエル白石の打たれ強さは団体でも一二を争う。ドロップキックやローリングソバットとをいくら叩き込もうが、さほど痛がるそぶりも見せず、逆に強烈なスクラップバスターで反撃。

これは効いたのか顔をしかめるマイティ祐希子。

―このままじゃ、もたない、

マイティ祐希子、ノーザンライト、ネックブリーカーで勝負をかけたがカウント2で返される。

「くっ・・・」攻めてのなくなったマイティ祐希子

「・・・もう終わりにするの。」

出た死刑宣告。そして出たバッタンコSTO.

「・・・ぐああああっ!」

全身を強く打って悶絶するマイティ祐希子、そのまま押さえ込んでカウント3が入った。勝負タイム15分27秒。マイティ祐希子が善戦健闘したが、一発逆転されてしまった。

第5試合はイージス中森対キャシー・ウォン。しかしイージス中森、3日前のメガライト戦で首を痛めており精彩を欠くファイト。最後は裏投げで叩きのめされカウント3を奪われた。

セミ前は八島静香対ローズヒューイット。25期の八島が強豪外人にぶつかっていった。
「なめんな!」
ローズヒューイットにデスバレーボムを決めるなど健闘したが、ローズヒューイットも百戦錬磨。バスターローズで流れを変えて、シャイニングウィザードを叩き込んで追い詰める。そして2度目のバスターローズ。これでヒューイットお嬢様の勝利。勝負タイム12分14秒。

セミファイナルはコンバット斉藤対ジェナ・メガライト、本体エースと最強外人の激突。メガライトがベリートゥバックを繰り出せばコンバット斉藤は重たい裏拳2連発。

「うわシバキアイだ!」

場内のファンは息を呑んだ。しかし2発目の裏拳が入ってしまったのか、メガライトの目がうつろだ。足どりもおかしい。

察したコンバット斉藤がデスバレーで叩きつけて勝利。勝負タイム10分23秒。いまのSPZで真正面からメガライトとやって勝てるのは彼女くらいだ。

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そしてメインイベントSPZ戦。王者ケンドー・カミスワに対するはナイトメア神威。10月にカミスワが「まぐれ」で王座奪取してしまったのでヒール軍団PDFトップのナイトメア神威にも戴冠の可能性は充分ある。

「URYYYYYYYYYY」

暴れながら入場するナイトメア神威。

「年末のご旅行は上諏訪温泉でワカサギ釣りはいかがですかー!!」

上諏訪温泉旅館の割引クーポンを配りながら入場するケンドー・カミスワ。SPZ王者になってもやることは変わらない。

(寝技にさえ気をつければ勝てる。力では圧倒的に上だ・・)

ナイトメア神威気合が入っていた。ケンドー・カミスワをちぎっては投げて力の差を見せ付ける。ケンドーカミスワはコンバット斉藤戦と同様に一発逆転狙いなのか、技を受けながらも隙をうかがう。

「YEAAAAAAAAAA!!」
ナイトメア神威、タイガードライバー。ここでカミスワが勝負に出た。飛びつき腕ひしぎ逆十字。決まるか、またも逆転か!歓声が巻き起こる。

「・・・・・・UAAAAAAA」

しかしナイトメア神威、力まかせに暴れて脱出。

「そんなっ・・・」
こうなってはカミスワどうしようもない。あとはナイトメア神威が裏投げでトドメを刺した。勝負タイム19分10秒。23期生のナイトメア神威、デビュー5年足らずでついに団体の頂点へ駆け上がった。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

ナイトメア神威(19分10秒、裏投げからの片エビ固め)ケンドー・カミスワ

第76代王者が初防衛に失敗、N神威が77代王者となる

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2008年10月26日 (日)

第526回 もう、姉さんのお荷物じゃない・・・

27年目12月、「スノーエンジェルシリーズ」開幕。

初戦のどさんこドームでいきなりSPZタッグ戦。チャンピオンチームナイトメア神威、REKI組対挑戦者チームはタッグリーグで優勝したコンバット斉藤、斉藤彰子。

―いまならあたしが殴って蹴れば取れる。

何しろ先月のタッグリーグ公式戦では勝っているのだから。斉藤彰子のレベルがまだまだとはいえ多少はやられにくくなってきている。この日もうまくナイトメア神威の攻めをかいくぐって、コンバット斉藤を呼び込んでダブルドロップキック。

「はっ!」

あとはもうコンバット斉藤の独壇場。あっという間にREKIを飛燕脚で追い込んで

「彰子―!!」
ダブルインパクト発動。先月同様コンバット斉藤がコーナー最上段から飛んだ。REKIは頭から落ちて昏倒。

ワン、トゥ、スリー。
勝負タイム21分36秒。斉藤姉妹がタッグ王座戴冠。

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SPZ世界タッグ選手権

C斉藤○、斉藤彰子(21分36秒、ダブルインパクトからの片エビ固め)N神威、REKI×

第59代王者が2度目の防衛に失敗。斉藤姉妹が60代王者となる

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斉藤彰子が泣いた。
「もう、姉さんの、お荷物じゃない・・・」

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第4戦大阪なにわパワフルドーム大会メインではあばしりタッグ戦。王者ノエル白石、マイティ祐希子組に対するはファントムローズ1号、ワイルドローズ2号。実力派外人なのであなどれない。

試合が始まるやヒューイット一家の連携にノエル白石がつかまってしまう展開。二人がかりの攻撃でズルズル押し込まれるが、耐え切ったノエル白石がマイティ祐希子にタッチ。そしてマイティ祐希子も懸命に応戦。実力派外人相手に一歩も引かない。」

「白石さん!」
ワイルドローズ2号に合体パイルドライバー。これでカウント3が入った。25分59秒、王者組が初防衛に成功。

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「この勢いで、どんどん上に行きます!!」

勢いに乗るマイティ祐希子、翌日の広島大会では第3試合のシングルでハリケーン神田と当たったが、やはりシングルマッチでは打たれ弱さがあり、9分42秒、ゴッドハンドに沈んだ。

第6戦九州ドーム大会。メインは客寄せのためだけに組んだTWWA戦、

王者ジェナ・メガライトに挑むのは20期生のイージス中森。メガライトに勝ったこともある実力者のイージス中森だが、最近は動きが悪くなってきている。案の定それなりに反撃するものの、メガライトのパワーに押されてしまうという典型的なかませ犬状態。パイルドライバーを連続で食らって首を痛めてしまう。これで動けなくなったのかあっさり3カウントを奪われた。

「うう・・・」
セコンドの若手におんぶされながら引揚げるイージス中森。勝負タイム20分53秒。

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第7戦名古屋しゃちほこドーム大会、セミで波乱。新タッグ王者チームの斉藤姉妹がナイトメア神威、セイレーン千春組に敗れる波乱。斉藤彰子が相手チームの攻めをこらえ切れなかった。

しゃちほこドーム大会メインはやはり集客のためだけに組んだGWA選手権、王者ローズ・ヒューイットに対するは20期生のREKI。やはり攻め込まれてしまって最後はバスターローズで敗北。勝負タイム17分6秒。

最終戦さいたまドーム大会。なんと後半戦で豪華な5大シングルマッチが組まれた。

(続きます)

2008年10月25日 (土)

第526回 27年目11月タッグリーグ戦(4)

第6戦、宇都宮大会。
C斉藤○、斉藤彰(10点、デスバレーボムからの片エビ固め15.24)ローズ×、Wローズ2号(2点)

ローズヒューイットとは相性のあまり良くないコンバット斉藤、早いとこ追い詰めてワイルドローズ2号を出させたいところだがそこまでが大変。しかし斉藤彰子が手こずりながらもローズヒューイットにジェットスマッシュ。これがまともに入った。

「ウワアッ」

これで大ダメージを受けたヒューイットお嬢様、あとをワイルドローズに託さざるを得なくなった。コンバット斉藤、あっという間にボコボコにのしてしまい、手負いのローズヒューイットが出てきたところを冷静にデスバレーで沈めた。これで堂々の5連勝。

S千春○、M千秋(7点、ハイキックからの片エビ固め 25.57)キャシー、シンディー×(0点)

悪役姉妹どうしの対決。ここまで白星がなくなんとしても1勝したいウォン姉妹が攻めた。場外パイルドライバー、場外裏投げと容赦のない攻め。
「コノヤロウ!」
マーメイド千秋も場外でキャシーへブレーンバスター。これで弱ったか、マーメイド千秋がフィッシャーマンバスターで追い打ち。

このあとリング上はシンディーとセイレーン千春の一騎打ち状態。この攻防を制したのがセイレーン千春。ハイキックで眠らせた。

八島、H神田○(4点、ゴッドハンドからの片エビ固め 17.44)N神威、REKI×(6点)

―勝つとしたらREKIさんを捕まえるしかない。
25期生がうまく分断作戦に成功し、自軍コーナー付近でREKIを捕まえた。そしてゴッドハンドでトドメ。N神威のカットは間に合わなかった・・・

25期生コンビがチャンピオンチームに勝ってしまった。1差で追っていたN神威組、痛い1敗。優勝争いはこれで斉藤姉妹が俄然有利になった・・・

Kカミスワ、A中森○(6点、ストレッチプラム 28.11)N白石、M祐希子×(5点)

新人のマイティ祐希子がSPZ王者のカミスワと初顔合わせ。さすがにグラウンドテクニックに翻弄される。ならばとノエル白石が出てくるが、衰えは隠しようがなく、かつてのパートナー、イージス中森に投げられまくる。こうしてジリジリと追い込まれてしまう。

ノエル白石もSTOを繰り出すなど健闘したが、終盤ついに動きが止まってしまい、イージス中森のノーザンを食らってマイティ祐希子にタッチ。そして最後はイージス中森のストレッチプラム。これでマイティ祐希子ついにギブアップ。

―ぜぇ、ゼェ、ゼェ・・・・・・・

敗れはしたもののマイティ祐希子、実力者コンビに28分も持ちこたえた。これは将来恐ろしい存在になる。

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第7戦、千葉大会。
ローズ、Wローズ1号(4点、合体パワーボムからのエビ固め 15.25)S千春×、M千秋(7点)

1敗1分けでトップの斉藤姉妹を追う悪役姉妹。今日の相手は難敵ヒューイット一家。試合が始まるやヒューイットお嬢様が猛ラッシュ。なんとかワイルドローズが出てきたところを狙おうとするが、ワイルドローズも引きどころを考えたファイト。最後は合体パワーボムでセイレーン千春が沈み。この瞬間悪役姉妹の優勝の可能性が消えた・・・

N神威、REKI(8点、パワーボムからのエビ固め)N白石、M祐希子×(5点)

マイティ祐希子がノーザンでナイトメア神威を投げきったシーンでは場内沸いた。しかしノエル白石の動きが相当悪い。必然的にマイティ祐希子が相手チームの矢面に立ってしまったが、新蛇抜を食らって動きが止まってしまう。ならばと出てきたノエル白石も農鳥を食らってしまう。細かいタッチワークで懸命に応戦したノエル組だったが、最後はN神威のパワーボムが炸裂。
ドーン。

力任せに叩きつけられたマイティ祐希子、カウント3を聞いた・・・これでチャンピオンチームが1敗を守った。

C斉藤○、斉藤彰(12点、デスバレーボムからの片エビ固め 12.49)キャシー、シンディー×(0点)

負けなければ優勝の斉藤姉妹。今日の相手はここまで全敗のウォン姉妹なのでよほどヘタを打たない限り大丈夫な相手だ。実際にもその通りで、あっさりとデスバレーでシンディーウォンを片付けた。これで優勝が決まった。

「年末の休み、賞金でゆっくりしたいですね」

Kカミスワ○、A中森(8点、合体パワーボムからのエビ固め 24.53)八島、H神田×(4点)

若い25期生チームの猛攻を受けきった関節地獄チーム。逆片エビ固めで反撃開始。最後は合体パワーボムでハリケーン神田を沈めた。

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そして最終戦は横スペ大会。
C斉藤○、斉藤彰(14点、ジェットスマッシュからの片エビ固め 16.53)S千春、M千秋(7点)

すでに優勝を決めている斉藤姉妹。この日は前座の第2試合で悪役姉妹と対戦。途中斉藤彰子が捕まりかけたが、なんとか振り切ってコンバット斉藤にタッチ。マーメイド千秋のグラウンド攻めに手こずったものの、最後は伝家の宝刀ジェットスマッシュで終了。これで堂々の全勝優勝。

八島○、H神田(6点、合体パワーボムからのエビ固め 19.21)ローズ、Wローズ2号(4点)

25期生チームがワイルドローズ2号を捕らえかけるが逃げられてしまう。あとはヒューイットお嬢様が暴れまくって2人を追い詰めたが、なんとかしのぎきった25期生チーム、ワイルドローズ2号をもう一度引きずり出すことに成功。今度はタタキつぶして終了。

キャシー○、シンディー(2点、合体パワーボムからのエビ固め 15.38)N白石×、M祐希子(5点)

「キツかったですけど、いい勉強になりました」
新人のマイティ祐希子、タッグリーグでトップ選手と連日当たって厳しい洗礼を受けた。
この日は1勝を取りにきたウォン姉妹の気迫が勝り。合体パワーボムでノエル白石を退けた。

Kカミスワ○、A中森(10点、上諏訪温泉極楽絞め15.40)N神威、REKI×(8点)

横スペ大会のメインは消化試合となった。それでも4人の持ち味がぶつかり合ういい試合となった。ナイトメア神威が力任せに攻めればREKIが跳ねる。しかしフィニッシュは突然に。

「あ・・・ぐ・・・」

15分過ぎに決まった上諏訪温泉極楽絞め。これであえなくREKIタップ。カミスワ、A中森組が堂々の準優勝。

メイン終了後表彰式、コンバット斉藤、斉藤彰子組に賞状と賞金50万円が贈られた。
「優勝か・・・まだまだもっと上を目指さないと」
優勝したとはいえ斉藤彰子、自分の力でフォールを取った試合はない。おんぶに抱っことまでは言わないがただやられずにつないだだけである。

2008年10月24日 (金)

第525回 27年目11月タッグリーグ戦(3)

27年目11月 SPZタッグリーグ戦(続き)

第4戦は山形大会。

S千春、M千秋○(5点、合体パワーボムからのエビ固め 13.28)八島、H神田×(2点)

悪役姉妹対25期生タッグ。この2人に敗れてあばしり王座から転落している悪役姉妹は猛然と襲い掛かった。分断作戦に成功して、ハリケーン神田を合体パワーボムで退けた。

C斉藤○、斉藤彰(6点、飛燕脚からの片エビ固め 15.26)N白石、M祐希子×(3点)

病院で一夜を明かし、上原部長の運転する車でひとり会場入りしたマイティ祐希子。よりによってきょうの相手は団体最強のコンバット斉藤組だ。さすがにコンバット斉藤には手も足も出なかったが、斉藤彰子が出てくるや強烈なノーザンを連発。この選手飲み込みが早い。

しかし斉藤彰子もなんとか受け切ってコンバット斉藤につなぐ。ひと休みして余力十分のコンバット斉藤、まずノエル白石を殴り倒して、続いてマイティ祐希子に、

「はぁーっ!」
飛燕脚。当然試合はこれで終わった。

―今の蹴り、見えなかった・・・・

マイティ祐希子にトップ選手の洗礼。

N神威○、REKI(4点、ダブルインパクトからの片エビ固め 13.56)キャシー×、シンディ(0点)

チャンピオンチームがウォン姉妹を手堅く下した。最後はダブルインパクトで2勝目。

Kカミスワ、A中森○(2点、ノーザンライトSH 27.03)ローズ、Wローズ2号×(2点)

ヒューイット一家のコンビネーションに苦戦するカミスワ。元々インサイドワークと関節技以外はたいしたことのない選手なので、カットプレーの多いタッグマッチ向きではない。イージス中森が、なんとか格落ちのワイルドローズ2号を捕らえて、ノーザンで決着。27分の激闘を制した。

**********************

第5戦は福島大会。
C斉藤○、斉藤彰(8点、ジェットスマッシュからの片エビ固め26.00)八島×、H神田(2点)

コンバット斉藤お強い。25期生2人をまったく問題にせず。八島も頭突きで反撃するが単発。流れが作れない。最後はハリケーン神田を飛燕脚で戦闘不能に。そして蹴られまくって非力となった八島、ここで斉藤彰子にちょっとだけ顔見世ファイトをさせる。

しかし八島もデスバレーで反撃。危なかったが斉藤も飛燕脚で振り切ってコンバット斉藤にスイッチ。25期生コンビも終盤よく粘ったのだが、八島がジェットスマッシュを食らって万事休す・・・斉藤姉妹これで4連勝。このまま突っ走るか?

N白石○、M祐希子(5点、ジャーマンSH 13.25)ローズ、Wローズ2号(2点)

マイティ祐希子、こんどはトップ外人のローズ・ヒューイットと対峙。新人には酷な相手が続く。しかしノエル白石がワンチャンスをものにした。ワイルドローズ2号を捕らえて、

「・・・は」
伝家の宝刀STO、これで戦意を喪失させてのジャーマン。

「はっ!」
マイティ祐希子懸命にしがみついて逆カット。これであばしり王者チームが2勝目を挙げた。

N神威、REKI○(6点、新蛇抜からのエビ固め 20.04)M千秋×、S千春(5点)

悪役同士の対決。まずセイレーン千春を農鳥で戦闘不能に追い込んでから残ったM千秋を集中攻撃。これでチャンピオンチームが3勝目を挙げた。

Kカミスワ○、A中森(4点、上諏訪温泉極楽絞め14.27)キャシー、シンディー×(0点)

「出たー、上諏訪温泉極楽絞めー」(変形スリーパー)

伊藤アナウンサーが叫ぶ。

抜けられるか、抜けられるかー

イージス中森がすっとキャシーの前に出て通せんぼポーズ。粘ったシンディーだがついにタップ。
「あーっと、シンディーウォン、上諏訪温泉に沈んだーー!」
伊藤アナウンサーが迷台詞。これでカミスワ組も2勝目。

リーグ戦4試合を消化してトップは4連勝の斉藤姉妹、1ゲーム差で6点のPDF軍(N神威&REKI)が続く・・・

2008年10月23日 (木)

第524回 27年目11月タッグリーグ戦(2)

第3戦は秋田大会

S千春、M千秋(3点、時間切れ引き分け)N白石、M祐希子(3点)

この試合、リーグ戦のベストバウト。
「オラアきょうの相手はポンコツさんと新人だ。さっさとぶっ殺して酒飲みに行こうぜ」

場内どっと沸く。秋田は地酒の美味しいところだ。

「・・・・」

ノエル白石はいつも通りのマイペース。この選手、ダメージが一定以上に達しないと苦しい表情を見せないのだ。試合の前半はノエル白石がのっそりとした動きでペースを作った。

しかしマーメイド千秋が昨日の勝利に気を良くしており、ノエル白石を寄せ付けない。代わって出てきたM祐希子には、

「カマーン、新人!」
パイルドライバーで半失神に追い込む。これで流れは完全に悪役姉妹。しかしノエル白石もムッとしたのか、反撃に転じる。

ドーン。

セイレーン千春にバッタンコSTO。しかしセイレーン千春も起き上がるや、

「あんたはもうロートルなんだよ」
ノエル白石へ延髄斬り、そしてフェイスクラッシャー。これでノエル白石、あとは新人のM祐希子に託さざるを得なくなった。

「この技にすべてをかける!」
マイティ祐希子ノーザン。たまらずマーメイド千秋、場外に逃げる。追いかけるマイティ祐希子、しかしこれはワナだった。

「くらえっ」

セイレーン千春組み付いて場外バックドロップ、これでがくりと力が抜ける。マーメイド千秋、そのまま場外で猛攻。フェイスクラッシャー、ステップキック。フィッシャーマンバスター

「アーーット、祐希子が殺されるーーー!」
場内ヒートアップ。実況の伊藤アナが迷台詞。

「新人のくせにリーグ戦だー?そんな身の程知らずはこうしてやる、こうしてやる、こうしてやるっ!」

がすっ、どかっ、ごげすっ。

完全に動かなくなったマイティ祐希子へ殴る蹴るの暴行を加えるマーメイド千秋。会場に飛び交うどよめきと罵声。ノエル白石が救援に駆けつける。

「やめて・・・」

ぼぐんっ!
背後からグーで思いっきり殴った。

「カンカンカン!」

ここで30分時間切れのゴング。
えええええ?
そのあとしばらく乱闘が続いたが、ノエル白石が悪役姉妹2人に殴り倒されてしまってセコンド総出で止めに入った。

「チッ」
渋々引き揚げる悪役姉妹。

ゆーきーこ!ゆーきーこ!ゆーきーこ!ゆーきーこ!

秋田でものすごい祐希子コールがはじめて起こった。マーメイド千秋に場外でボコボコにされて起き上がれないマイティ祐希子。場外でフィッシャーマンバスターをもらって頭に強いダメージを受けたようだ。

「アホですね。バックドロップで投げたあとさっさとリング内に戻して適当な技で決めればよかったのに、熱くなりすぎて暴走しちゃいましたね、普通の試合ならともかくこれはリーグ戦ですよ。1点の重みを分かっていませんね」

吉田社長が手厳しい解説。

数分後、なんとか意識が戻ったマイティ祐希子だが歩けない。セコンドの霧島レイラがおんぶして控室に運んだ。ものすごい拍手。

「ううっ・・・力が・・入らない」

控室でマグロのように横たわるマイティ祐希子。殴られ蹴られててけっこう痛々しい。

・・・もっと、もっと、強くなる・・・

結局このあと大事を取って、上原巡業部長の運転する車で病院へ運ばれた。そのまま病室で一夜を明かした。病院のベッドの上で一言。

「きりたんぽ、食べたかった・・・・」

なんという選手だ。入門以来はじめての秋田遠征を楽しみにしていたらしい・・・

八島○、H神田(2点、合体パイルからの片エビ固め 18.24)キャシー、シンディー×(0点)

ざわめきが残るまま、セミ前の試合が始まった。シンディー、キャシーの連係に苦しんだが、ハリケーン神田のゴッドハンドがキャシーを戦闘不能に追い込んだ。シンディー孤立。

「やっちまえ!」

二人がかりでボコボコ。最後は合体パイルで終了。25期生コンビがこれで初白星。

N神威○、REKI(2点、裏投げからの片エビ固め 15.51)ローズ、Wローズ2号(2点)

「UAAAAAAAAAAAA」

N神威がいつも通りの狂乱ファイト。ヒューイットお嬢様はなんとか受けられてもワイルドローズ2号は厳しい。あっさり地獄落とし→裏投げのコンボを食らって終了。チャンピオンチームが初日を出した。

C斉藤○、斉藤彰(4点、裏投げからの片エビ固め18.31)Kカミスワ、A中森×(0点)

―殴り倒してやる!

コンバット斉藤、ゴングが鳴るやいなやカミスワへ掌底の嵐。先月この選手に腕をやられてSPZベルトを手放した因縁がある。

「があっ」
口の中をきったか、カミスワ、マスク越しに出血。のっけから激しい展開。しかしこの流血でカミスワ、ひるんだのかコンバット斉藤の攻めが続く。たまらずイージス中森にタッチ。
しかしイージス中森も打撃の猛攻を食らってしまう。

「くっ、なら・・・」

細かいタッチワークでコンバット斉藤に応対するカミスワとA中森。しかし今日のC斉藤は怖い。裏投げまで繰り出してイージス中森を一気に沈めた。
リーグ戦2戦を消化して、斉藤姉妹だけが2連勝。このまま突っ走るか。

2008年10月22日 (水)

第523回 27年目11月タッグリーグ戦(1)

27年目11月
25期生の八島静香にファンクラブ結成。姉さん番長っぷりがたまらないというファン多数。

22期生で新SPZ王者のケンドー・カミスワにいまさらながらファンクラブ結成。SPZ王者に一発でなってしまったのでファンが急増した。

恒例のSPZタッグリーグ。出場チームは下記の通り。

ナイトメア神威&REKI(SPZタッグ王者)

セイレーン千春&マーメイド千秋(悪役姉妹)

コンバット斉藤&斉藤彰子(斉藤姉妹)

ケンドーカミスワ&イージス中森(ネオ関節地獄)

ハリケーン神田&八島静香(25期生コンビ)

ノエル白石&マイティ祐希子(あばしりタッグ王者)

ローズヒューイット&ワイルドローズ2号(GWA代表)

キャシーウォン&シンディーウォン(TWWA代表)

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2戦目の岩手大会からリーグ戦開始。
N白石○、M祐希子(2点、合体パワーボムからのエビ固め22.12)八島、H神田×

先月のあばしりタッグ戦と同一カードがリーグ戦の初戦となった。「祐希子をつぶせ!」タグマッチでは弱いほうを狙えというのはSPZが始まって以来のセオリーである。しかし弱いほうがきっちり受けてパートナーにつなげばいいのである。で、強いほうのノエル白石が奮戦したが、八島のデスバレーを食らって悶絶。

「この技にすべてをかける!」
マイティ祐希子、場外でノーザンライト、ネックブリーカーの猛攻を仕掛けるが、八島も受けきる。のっけから試合は長引いた。新人と最古参の頑張りに場内は大歓声。

「・・・祐希子さん」

「・・・はいっ!」

終盤、八島がうずくまっているのを見たN白石がマイティ祐希子を呼び込み、合体パワーボム。

ドォーン。

ノエル白石がパワーボムの態勢のまま全体重を乗っけて覆いかぶさる。そしてマイティ祐希子は八島に抱きついて逆カット。これでカウント3が入ってしまった。

八島組、先月のあばしり戦に続いての敗北。ノエル白石のうまさとしぶとさにしてやられた・・・

ローズ○、Wローズ2号(2点、バスターローズからの片エビ固め13.22)キャシー×、シンディー
ヒューイットお嬢様が激勝。外人対決をバスターローズで制した。

C斉藤○、斉藤彰(2点、ダブルインパクトからの片エビ固め13.58)N神威、REKI×

「優勝する気でやります。賞金ばかになりませんし」

SPZベルトを失ったコンバット斉藤、リラックスした表情でコメント。で、きょうの相手は優勝候補本命のチャンピオンチーム。しかしコンバット斉藤も賞金への執念か、相手チームの2人を向こうに回して大奮闘。REKIのスピードにうまくカウンターで打撃をあわせてゆく。こうなるとREKI苦しい。

「彰子―!」

「はいっ」

なんとダブルインパクト。コンバット斉藤がコーナーから飛んでダイビングラリアット。元カラテファイターとは思えない動き。本気でこの女、優勝賞金50万円を狙っている!

「うが・・・っ」
いかにREKIでも頭からまっさかさまに落とされては3カウントを聞くしかなかった・・・

S千春、M千秋○(2点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め 26.26)Kカミスワ、A中森×

ケンドーカミスワ、本来は外でファイトする傍ら上諏訪温泉の広告塔を務めていたのだが、先月ワンマッチ参戦してSPZベルトを奪取してしまったので、「まさか団体の看板がタッグリーグに出ないわけには行かないよねえ」と吉田社長に言われたので、引き続き継続参戦となった。2期先輩でファイトスタイルの似ているイージス中森と組んでタッグリーグ参戦。

「上諏訪温泉マーチ」が流れる中、ケンドー・カミスワが「諏訪名産かりん飴」をばらまきながら入場。初戦の相手は悪役姉妹コンビだ。久しぶりのタッグにも両者、プロなのでそつなくすばやいタッチワークで的を絞らせない。またも試合は長期化した。

―一撃で眠らすしかないっ。

マーメイド千秋、意を決してA中森に組み付くと、気合をこめてフィッシャーマンバスター。A中森は頭からマットへ。

フォールに入るやいなやセイレーン千春が猛ダッシュで赤コーナーに控えるカミスワを殴りつけて場外へ落とす。

―ワン、トゥ、スリー。
ロイヤル北条レフェリーがマットを3つ叩いた。これで悪役姉妹コンビが白星発進。

(続きます)

2008年10月21日 (火)

ある女の一日

SPZ社長吉田龍子の1日
9時25分 戸塚のSPZ本社に出社。
9時30分 本社朝礼。
そのあと今野役員の持ちこんだ決裁書類数十枚を内容も見ないでハンコを押す。済んだら社長室でスポーツ新聞全紙とプロレス雑誌に目を通す。
11時30分、チケット取扱い各社へお礼の電話。
12時01分、昼食。本社ビル二階の喫茶店あばしりでカルボナーラ。
13時10分。本社会議室で11月シリーズのカード編成会議。内容の半分はバカ話。16時30分、興行用ポスターの最終確認立ち会い。
17時10分、次期シリーズ主要カードのプレスリリース。
18時03分、退勤。マイカーのセルシオを運転して帰宅。

(本日筆者黒部山奥修行で24時までに更新できないため携帯からの更新、上越新幹線のなかから打ってます)

2008年10月20日 (月)

第522回 ケンドー・カミスワ まさかのSPZ王座奪取

「さあー、コンバット斉藤の打撃の前にケンドーカミスワなすすべなし。さあ試合時間は20分を経過。かいせつの吉田さん、ここまでは一方的な展開ですね」

 「んー、まあ、そうですけど、なんか、カミスワ選手のやられっぷりがアレなんですよね・・・」

「さあ、コンバット斉藤、瀕死の状態のカミスワを組みとめた。なにを持ってくるか。あ、あれ、これは、カミスワが逆に切り返して、あ、あ、これは腕ひしぎ、腕ひしぎッ」

 「んー、ねらってましたね」

「吉田さん、きまり具合はどうですか?」

 「んー、あーーー、ダメだ。」

「えっ?あ、いまコンバット斉藤、タップした模様です、レフェリーがいま試合終了のサインを送った、あーーーーなんということだーーー」

 「んー、一発大逆転でしたね、これだから関節技使いは・・・・」

「コンバット斉藤、V10ならずっ!!伏兵のケンドー・カミスワ。まさかのSPZ王座奪取です!ワンマッチ参戦、最初のSPZ王座挑戦でいきなりSPZベルトをかっさらっていきました!!」

 「んー、関節技使いは、最後の最後まで気を抜いちゃダメなんですよ。私も若い頃いやというほどハイブリッド南にヤラレましたから、」

「というと、前半のアレはわざとやられていたと」

 「んー、カミスワ選手、前半わざと締まらないファイトをして油断させたところでワンチャンスに賭けましたね。でもこんな古典的な手に引っかかる斉藤もどうかと思いますけどね・・・・」

吉田龍子社長頭を抱える。V10のかかった試合、エースがこんなコロッと負けてしまうとは・・・・

「ああいま起き上がったコンバット斉藤呆然。右腕は押さえていますがあとはさほどダメージを受けていません。いま呆然とした表情でリングを降りました」

 「んー、ああいう負け方は後々までこたえるんですよ、まだやれるのに負けちゃったんだぞみたいな」

リング上では京スポ新聞若林副編集長がカミスワにベルトを渡す。

「ども、どもっ!!」

カミスワ、ベルトを受け取ると一礼して、右手を振って観衆の声援ともどよめきともつかぬものに応えた後、さっさと花道を引き揚げた。

「いやー、かいせつの吉田さん、カミスワ選手がやってくれましたねえ」

 「んー・・・・・、まあ、フロックかもしれませんが、運も実力のうちですよ。しかしね、一度の挑戦で女王になっちゃうっていうのはね、ハハハハ。普通は何度も何度も挑んでちゅうものでしょう。それを・・・あああもう・・・」

「そろそろ放送時間のほうがなくなってきました、実況は私、伊藤啓、解説はSPZ社長の吉田龍子さんでしたそれではこのへんで、また来週」

「んー、どうも。」

謎の覆面レスラー、ケンドー・カミスワまさかのSPZ王座奪取。長いこと海外でやっていたので国内のファンも「誰それ?」という選手がSPZ女王の座についてしまった。翌日の京スポは一面で「大波乱 女王交代劇」という見出し。

翌日はあばしりで取材されまくり。カミスワ、東京での所用が終わったら再び海外に出るつもりだったが、王者のうちは国内で試合に出ないといけなくなった。当然11月シリーズも出場が決まった。

 「んっと・・・・、まあ、勝てたのはまぐれです。でも良かったです」

マスク越しでも緊張していたものの、丁寧に記者の質問に答えるカミスワ。

「最後の腕ひしぎはきれいに決まりましたねえ」

 「子供の頃から・・・プロレスのDVDやビデオを・・・見てましたから・・・」

「実家は温泉旅館なんですか」

 「ええ、これで宿泊のお客さんが増えてニュー川端屋ホテルも改築費用が出そうです。」

海外マットでこの選手「私のパワーは上諏訪温泉からもらっています」「上諏訪温泉は何にでも効く不思議なパワーがあります」などと宣伝しまくっており、上諏訪温泉を目指す外人観光客が徐々に増えているらしい。実家が経営している「ニュー川端屋ホテル」には大広間にこの選手のパネルが飾られるようになったらしいい。

ひとしきり上諏訪温泉のPRをした後、カミスワ、真剣な口ぶりで

「でも、私をこの世界に引き込んだ美月さんには感謝しないといけないですね。」

元々は温泉地下プロレスで闘っていたのだが、ギムレット美月にその素質を見込まれSPZに紹介されたのである。

2008年10月19日 (日)

第521回 一振りにかけた女

27年目10月

最終戦新日本ドーム大会。メインが意外な顔合わせなのでチケットはあっさり完売した。

第1試合は霧島レイラ(SPZ27期)対ワイルドローズ2号。

新人の霧島レイラ、同期であるマイティ祐希子のあばしりタッグ奪取に刺激を受けたのか、持ち前のパワフルファイトで応戦していったが、ワイルドローズ2号のラリアットを3発食らって意識が飛んで、最後はエルボーに散った。勝負タイム10分36秒。

第2試合はスカーレット小縞(26期)対マイティ祐希子(27期)。小縞も気合いの入り方が違っていた。あの武藤めぐみが先輩方をごぼう抜きしてきたときのジューシーペアやライラ神威のように真っ向勝負。

しかしマイティ祐希子もあばしり奪取で自信をつけたのか、ローリングソバットで攻め立てる。しかし、
「本日の特別サービスでーす!」

スカーレット小縞、営業スマイルでいいつつやることは残酷。豪快なラリアット一閃。マイティ祐希子、この一撃で沈んでしまった。勝負タイム7分12秒。

休憩前第3試合はハリケーン神田(25期)対REKI(20期)。ハリケーン神田もゴッドハンドを繰り出し健闘。

「消えろ」

REKIが決め技の農鳥(高角度ミサイルキック)。しかしH神田、なんとかカウント2.9で返し、一瞬REKIがうろたえたところを、

がすっ!
掌底がまともに入った。崩れ落ちるREKI、のしかかるハリケーン神田。勝負タイム18分20秒、25期生のH神田がSPZタッグ王者のREKIを下した。

その試合が終わると休憩。

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休憩明けの第4試合は外人同士のタッグマッチ。ローズヒューイット、ファントムローズ1号対ハムルシアター、ジェシービートン。ファントムローズ1号がつかまったがなんとか振り切ってヒューイット様にタッチ。

「散りなさい」
ヒューイットお嬢様のハイキックからバスターローズの波状攻撃でJビートンが沈んだ。勝負タイム16分25秒。

セミファイナルはSPZ本隊対PDF(パーフェクト・ダーク・フラクション)の6人タッグ対決。

ノエル白石(19期)、イージス中森(20期)、八島静香(25期)対ナイトメア神威(23期)、セイレーン千春(22期)、マーメイド千秋(22期)。6人が入り乱れる攻防が続く。しかし最古参のノエル白石の動きがかなり悪い。PDFの攻めにつかまってしまう。

それでも悪役姉妹の猛攻を受けてムッとしたのか、

「もう終わりにするの」

死の宣告からのSTOでピンチ脱出。イージス中森につなぐ。

「イヤアッ」
イージス中森、ノーザンライトスープレックス、そして奥の手タイガースープレックス。これでセイレーン千春を沈めた。勝負タイム19分31秒。本隊の勝利にドームは沸いた。

*****************************

そしてメインイベント

「♪上諏訪温泉、上諏訪温泉、上諏訪温泉

  新宿からスーパーあずさで2時間、山と湖のに囲まれた湯の街

  上諏訪温泉 上諏訪温泉 上諏訪温泉、

  温泉でゆったりのんびりリフレーッシュ!ビバ上諏訪温泉!」

覆面レスラー、ケンドー・カミスワ(22期)が新テーマ曲「上諏訪温泉マーチ」がかかる中、上諏訪温泉の割引クーポン券をばら撒きながら入場。ここ最近は上諏訪温泉をワールドワイドにするため海外マットで活躍していて、たまたまビザの書き換えで日本に一時帰国するスケジュールだったため、ドーム大会1試合限定での参戦となった。

海外で修行していくうちにカミスワはそこそこ実力をつけ、世界の強豪選手ともそれなりに渡り合う事ができるようになり、KAMISUWA温泉の名を世界に知らしめ、秋葉原ほどではないが、アメリカ人観光客が上諏訪温泉に押し寄せるようになった。おかげで実家の温泉旅館も経営が好転してきたようだ。で、ドーム大会ではいきなりメインでコンバット斉藤の持つSPZ王座に挑戦という大抜擢。C斉藤の防衛ロードがあまりにも長く続いたので、とりあえず当ててみたマッチメイク。だがコンバット斉藤は関節技の防御がへたくそなのでひょっとしたらひょっとするかもしれない。

ー♪そうさ きっと この世は ほんの一瞬 どうせ一人 最期の日も・・・

「LAMENT」がかかる中、コンバット斉藤が決然とした表情で入場。何しろこの試合にSPZ王者防衛V10がかかっている。長いSPZの歴史でもV10を達成したレスラーは伊達遥・吉田龍子・ビューティ市ヶ谷・武藤めぐみの4人しかいない。今宵ついに偉大な先人と肩を並べることになるのか!

・・・手の内は読めない。だけど自分のプロレスをするだけ。

認定証の読み上げ、チャンピオンベルトの返還とお決まりのセレモニーが粛々と続いた後、リングアナのコールを経て

午後8時33分、ゴング。

「はっ」

試合が始まるやコンバット斉藤の掌底攻め。そしてヘッドバット。カミスワに付け入る隙を与えない。

「うぐっ・・・・・・」

ニーリフトでマットに這いつくばり、のたうち苦しむカミスワ。いきなり挑戦者に抜擢された割にはいまひとつ動きがピリッとしない。グラウンドに持ち込もうとするが、そのつど打撃をもらってしまって悶えるという展開。そのあともコンバット斉藤が一方的に攻める展開が続き、あーこのまま押し切って終わりだなと誰もが思ったが、

「はっ」
ケンドーカミスワ、22分過ぎにいきなりからみついて、飛びつき腕ひしぎ逆十字!最初からワンチャンスに賭けてこの技を狙っていたようだ。

「うわああああ・・・っ」

コンバット斉藤もがく、コンバット斉藤もがく。腕ひしぎで絞り上げるカミスワ。決まるか、決まるか、ロープは遠い。痛みに耐えかね、コンバット斉藤はギブアップしてしまった。勝負タイム24分13秒、王座移動。コンバット斉藤、10回目の防衛に失敗。

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SPZ世界選手権試合(60分1本勝負)

ケンドー・カミスワ(24分13秒、飛びつき腕ひしぎ逆十字固め)コンバット斉藤

第75代王者が10度目の防衛に失敗、K・カミスワが76代王者となる

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えええええええええええええええええええええええ!!

場内どよめき。初挑戦でSPZベルトをかっさらっていったケンドーカミスワ。まぐれかもしれないが偉業である。

「か、かいせつの吉田さん・・・・」

伊藤アナウンサー(大日本テレビ)もびっくり仰天。

「んー、カミスワ選手、前半わざと締まらないファイトをして油断させたところでワンチャンスに賭けましたね。でもこんな古典的な手に引っかかる斉藤もどうかと思いますけどね」

吉田龍子社長、頭を抱えながらコメント。

「ども、どもっ!」

まるでカラオケ大会の賞品をもらったかのように、ベルトを持って一礼してそのまま引き揚げるケンドー・カミスワ。まさかの戴冠劇に場内あ然。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

コンバット斉藤も呆然。右腕が激しく痛むがそれ以外は全然ダメージを受けていない。まだやれるのに負けたのだ。

2008年10月18日 (土)

第520回 27年目10月シリーズ 彗星の輝き

27年目10月
「バトルオータムシリーズ」開幕。沖縄で1試合やった後SPZ一行は東海地方を転戦。

第4戦三重大会ではSPZタッグ戦。

ナイトメア神威、REKI対ローズ・ヒューイット、ファントムローズ1号。やはりひとり格落ちのファントムローズ1号がつかまってしまい、28分30秒、ナイトメア神威の地獄落としに沈んだ。王者組が初防衛に成功。

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SPZ世界タッグ選手権試合(60分1本勝負)

ナイトメア神威○、REKI(28分30秒、地獄落としからの片エビ固め)ローズ、Pローズ1号×

王者組が初防衛に成功。

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新人のマイティ祐希子、先シリーズで1期先輩の斉藤彰子をシングルで破ったことで会社もこいつぁ只者ではないと判断し、前座から休憩前あたりの試合順にランクアップ。そして第6戦の浜松大会では、最古参のノエル白石とタッグを組んで、八島静香、ハリケーン神田の持つあばしりタッグベルトに挑戦。破格の扱い。

―デビュー半年でタイトルマッチ?ふざけるな!
叩き上げの八島とH神田は当然怒った。マイティ祐希子が出てくるや集中砲火を浴びせる。

「ぐっ・・・」

マイティ祐希子、懸命にドロップキックで反撃するも
「そんな技、キカネエよ。」

またしてもボコボコ劇場。たまらずノエル白石が出てきた。動きはともかく馬力は健在。強烈なへッドバットでたじろがす。そしてM祐希子を呼び込んでサンドイッチラリアット、合体パイル。
しかし八島にも意地があった。

「おうらあ!」

強烈タックルでマイティ祐希子を転倒させる。受け身を取り損ねたのかがくっと動きが止まり、M祐希子、たまらずN白石にタッチ。

ここでノエル白石が決めにかかった。
「もう、終わりにするの」

死の宣告のあと、
バッタンコSTO,そしてパワーボム。問答無用の力攻めで八島をたたきのめしてしまった。勝負タイム39分53秒。

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あばしりタッグ選手権(60分1本)

N白石○、M祐希子(39分53秒、パワーボムからのエビ固め)H神田、八島静香×

王者組が初防衛に失敗、N白石組が新王者となる

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マイティ祐希子、デビュー半年でのベルト奪取はおそらく最短記録。あわてたのはフロント陣。マイティ祐希子の教育のために組んだ試合でまさかベルトが移動しようとは・・・・

「あの子はものが違うよ。スーパースターになれる。」

吉田社長が断言。

10月シリーズ最終戦は新日本ドーム大会。SPZ王者、コンバット斉藤はV10を賭けてドームのメインに上がる。対戦相手は初挑戦、22期生、ケンドー・カミスワ。

2008年10月17日 (金)

第519回 27年目9月 ジェットスマッシュ3発

27年目9月

イージス中森が負傷欠場、SPZクライマックスの連戦で首を痛めたらしい。
9月シリーズ「ウルトラソウルシリーズ」初戦の長崎大会でSPZタッグ王座決定戦。TWWAが提携を破棄されたためメガライト、シンディーウォンの持っていた王座は剥奪された。元王者のナイトメア神威、REKIがコンバット斉藤、斉藤彰子と闘い、勝ったほうが新王者となる。

「彰子、多分勝つのは厳しいと思うが、タイトルマッチの雰囲気を感じてきて」

5分過ぎ斉藤彰子が出てくるや狙われた。

「雑魚が出てきた、やっちまえ」

セコンドのマーメイド千秋が適切な指示。

―くっ、なんとかつながなくちゃ・・・

懸命に斉藤彰子こらえて、コンバット斉藤にスイッチ。

―倒す。
コンバット斉藤、29連勝を止められた相手に怒りの飛燕脚。吹っ飛んだナイトメア神威、しばらくREKIに託さざるを得なくなった。しかしREKIも最近動きが落ちてきている。

「さらば・・・」

それでも農鳥で反撃していい流れでナイトメアにタッチ。ナイトメア神威、農鳥でふらつくC斉藤に地獄落とし。これでコンバット斉藤もあとは斉藤彰子に託さざるを得なくなった。しかし斉藤も一度捕まっておりダメージは深い。この時点で実質的に勝敗の行方は見えた。

「イヤハハハハハ」
ナイトメア神威、あっさり斉藤彰子をパワーボムで投げ捨てて3カウント奪取。勝負タイム28分47秒、ナイトメア神威・REKI組みがタッグ王者に返り咲いた。

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そのあとサーキットは九州各地を転戦。メインはコンバット斉藤率いるSPZ本隊とナイトメア神威率いるPDFが抗争を繰り広げた。

第6戦別府ビーコンホール大会ではあばしりタッグ戦。王者セイレーン千春マーメイド千秋に挑むのは25期生の八島静香・ハリケーン神田組。個々の力では25期生が追い抜きかけているが、悪役姉妹には長年培ってきた連携がある。互角の攻防で試合は長期化した。しかし試合終盤40分過ぎ、スタミナの尽きたM千秋がエプロン下でうずくまってしまう。

「今だーっ!」

ハリケーン神田がおそいかかる。セイレーン千春を捕らえて
ブーン!
重たい裏拳「ゴッドハンド」炸裂。これでセイレーン千春を沈めてあばしりタッグ王者になった。勝負タイム42分25秒。

「プロレスも・・・悪くないな・・・」

ハリケーン神田と八島静香の25期コンビが、初めてあばしりベルトを巻いた。

************************

最終戦はさいたまドーム大会。
第1試合は新人の霧島レイラ対ミスティアマスク。ミスティアのトリッキーな動きに対応し切れなかった霧島、強烈なタックルで吹っとばすが後が続かない。それでも強引にDDTを決めて勝利。勝負タイム8分0秒。

第2試合はスカーレット小縞対ジェシービートン。
「おりゃあっ」
スカーレット小縞、かわいい顔してけっこう力はある。ラリアットからDDTとつないで難敵ビートンをしとめた、勝負タイム10分18秒。

外人同士のタッグマッチ(ハムルシアターがワイルドローズ2号を殴り倒した)のあと休憩。

休憩明けは斉藤彰子が登場、対戦相手は新人のマイティ祐希子。

―新人に、負けてられない。
惜しくもSPZタッグ王座どりに失敗した斉藤彰子、新人相手に掌底を連発してペースを握る。しかしマイティ祐希子もローリングソバットで反撃。しかし斉藤も裏拳。がくりと崩れるマイティ祐希子。しかしこの選手諦めなかった。

「はぁぁーっ!」

身体ごとぶつかるネックブリーカー。
バァンッ。
倒れる斉藤、そのまま押さえ込むM祐希子。

ワン、トゥ、スリー!
デビュー半年のマイティ祐希子が1年先輩の斉藤に勝ってしまった。勝負タイム10分11秒。

―くっ、なんてことだ・・・
斉藤彰子、受け身が上達していないこともあるが、後輩相手にまさかの敗戦。まあそれだけマイティ祐希子が底知れぬ素質ということか。勝負タイム10分11秒。

セミファイナルは6人タッグ、ノエル白石、八島静香、ハリケーン神田対REKI,セイレーン千春、マーメイド千秋。バタバタした試合となったが、最後はマーメイド千秋がフィッシャーマンバスターで八島を沈め、あばしりタッグを奪取された恨みを晴らした。

****************************

そしてメインイベントSPZ戦。王者コンバット斉藤に挑むのはもちろん先月のSPZクライマックスで斉藤の連勝を止めた女、ナイトメア神威。

―先月の負けを悔やんでも仕方がない。ベルトは守る。
序盤は静かな立ち上がり。タックルの打ち合い。コンバット斉藤が掌底でペースを握ろうとする。

―ひとつひとつ当てていくしかないんだ。

コンバット斉藤はやめの仕掛け。ジェットスマッシュを10分経過の段階で2発も放った。吹っ飛んだナイトメア神威、焦ったのか態勢を立て直すと早くもパワーボムへ。
しかしコンバット斉藤、カウント2で返して飛燕脚。ナイトメア神威2.8で返す。

「アーッ!」
ナイトメア神威、雄たけびを上げて最後の勝負に出た。タイガードライバー、ネックブリーカー、地獄落としの波状攻撃しかしなんとかしのぎきったコンバット斉藤、

―これで決める。
コンバット斉藤、この日3度目のジェットスマッシュ。これはまともに入ってしまい、ナイトメア神威、続くフォールを返せなかった。勝負タイム19分11秒、短めだがエキサイティングな試合だった・・・これで王者が9度目の防衛に成功。

2008年10月16日 (木)

本編の今後の展開予定とか

もっとも応援していたプロ野球選手:鈴木尚典さんの引退で書く気力がうせているので

きょうも連載はお休みさせていただきます。

今後の展開ですが、

27期生:マイティ祐希子、霧島レイラ

光の女王、マイティ祐希子、数年後には恐ろしい存在になります。

同期のM祐希子を追いかける霧島レイラ。パワーはいいものを持っていますが、

何回やっても何回やってもマイティ祐希子が倒せないという状態になります。

28期生:藤原和美、中江里奈。

中江は久々にボーイッシュな女子レスラーっぽい風貌の子が入ってきました。

「HAU!」

藤原和美は投げ技のときの掛け声がいいです。

29期生はRIKKA。くのいち2世です。

30期生であのサキュバス真鍋。(笑)

こんなメンツがこれからのSPZを盛り上げる予定・・・です。

2008年10月15日 (水)

本日更新休みます。

鈴木尚典選手(横浜ベイスターズ)引退。

戦力外通告を受け、他球団移籍か引退かの岐路に立たされていましたが、

「横浜以外でプレーするの自分が想像できなかった」

ということで引退・・・・・・・・・

予想はしてたこととはいえ、いざスポーツニュースに出てくると胸が痛みます。

従いまして、本日と明日のWAS没頭中の更新はお休みさせていただきます。

大変申し訳ございません。

2008年10月14日 (火)

第518回 27年目9月時点のプログラムから

27年目9月時点のプログラムから

不思議系戦士 ノエル白石

本名:白石直子、2011年11月11日、新潟県糸魚川市出身。中学時代は助っ人で出た柔道大会で5人抜きするという伝説を持つ。SPZにスカウトされ、19期生として2027年4月20日、釧路アリーナ大会での対 野村つばさ戦でデビュー。レスリングの技術はまだまだ発展途上だが、細身の身体からは想像もつかない腕力の強さを持ち、氷室紫月とタッグを組んでSPZ世界タッグ王者に輝く。シングル戦線でもSPZクライマックスで優勝決定戦まで残るなど実力は急上昇し、SPZのトップグループに割り込んで、2031年には武藤めぐみを破りSPZ世界王者に輝く。得意技はSTO。

テーマ曲:ラジオスターの悲劇(バグルズ)

ザ・クノイチ REKI

本名:大門敬子、2012年8月18日、山梨県早川町出身、幼少の頃より忍者としての修行を積み、対人格闘術の修行のために流派の壁を越えプロレスの道を選び、SPZ20期生として2028年4月16日、京都市体育館での対野村つばさ戦でデビュー。忍者ならではの軽快な身のこなしを生かしたファイトで観客の度肝を抜く。ライラ神威のパートナーに起用され、あばしりタッグ、SPZタッグを戴冠。ライラ引退後はナイトメア神威のパートナーとなり、PDFの重鎮として活躍。得意技は農鳥(変形ミサイルキック)

テーマ曲:二人の擲弾兵(シューマン)

ザ・仕事師 イージス中森

本名:中森かずさ、2012年11月29日、徳島県徳島市出身、SPZ新人テストに合格し、20期生として2028年4月16日、京都市体育館でのキューティー金井戦でデビュー。練習熱心な性格で、関節技を主体としたキビキビしたファイトを繰り広げ、武藤めぐみと組んでSPZタッグ王者に輝き、トップグループまであと一歩に迫ってきた。得意技はストレッチプラム。

テーマ曲:you give・・・(川田まみ)

暗黒の空手家 コンバット斉藤

本名:非公開。2014年3月4日、三重県四日市市出身、中学時代までは空手に打ち込んでいたが、強すぎて対戦を断られるようになり、プロレスに転向。SPZ21期生として2029年4月21日、釧路アリーナ大会での対イージス中森戦でデビュー。空手の経験を生かした打撃技は強力。超高速上段蹴りのジェットスマッシュで武藤めぐみを失神KOさせたこともあるデインジャラスファイター。ついには武藤めぐみを破ってSPZ世界王者に輝く。武藤引退後はDFを脱退して本隊エースとなり、シングルマッチで29連勝をマークするなど不動のエースとして君臨。得意技のジェットスマッシュは驚異。

テーマ曲:LAMENT(KOTOKO)

悪の狼 マーメイド千秋

本名:川上千秋、2015年1月5日、鳥取県境港市出身。SPZ22期生として2030年5月11日、鹿児島県営公園大会の対コンバット斉藤戦でデビュー。セイレーン千春と姉妹同時デビュー。姉のセイレーン千春とタッグを組んで、小気味いいヒールファイトで会場を沸かせ、あばしりタッグ王座を戴冠。現在は悪役軍団・PDFに所属し悪の参謀として活躍。得意技はフィッシャーマンバスター。

テーマ曲:SEEK&DESTROY(メタリカ)

悪の華 セイレーン千春

本名:川上千秋、2015年1月5日、鳥取県境港市出身。SPZ22期生として2030年5月11日、鹿児島県営公園大会の対野村つばさ戦でデビュー。長らく海外武者修行に出ていたが、2032年に凱旋帰国。妹のマーメイド千秋とタッグを組んで、小気味いいヒールファイトを展開し、あばしりタッグ王者に輝く。PDFの一員。得意技は延髄斬り。

テーマ曲:SEEK&DESTROY(メタリカ)

温泉プロレス ケンドー・かみすわ

本名:非公開 生年月日:不明 長野県上諏訪温泉出身。上諏訪温泉の老舗旅館の娘らしい。SPZ22期生として2030年6月9日、沖縄体育館大会での対フォクシー真帆戦でデビュー。上諏訪温泉の効能を伝えるためか、どてらを着て入場し、温泉マーク入りの覆面でファイト。TWWA,ついでGWAで暴れ回り、上諏訪温泉をワールドワイドにするため奮闘。2032年に凱旋帰国、SPZ本隊側のバイプレイヤーとして活躍。得意技は上諏訪温泉極楽絞め。現在はGWAに遠征中。

テーマ曲:上諏訪温泉マーチ

狂乱の舞い ナイトメア神威

本名:高瀬真美 2015年7月16日、北海道新得町出身。その身体能力の高さに同郷のライラ神威が目をつけ、SPZ23期生として2031年5月10日、高知県体育館での対成瀬唯戦でデビュー。最近では拘束ベルトをして入場し、解放されるとライラ以上の狂乱ファイトを展開し、対戦相手を恐怖に陥れる。得意技は地獄落とし。2035年のSPZクライマックスではコンバット斉藤との決戦を制しみごと全勝優勝。悪役集団PDFの頭目としてますます暴虐の限りをつくす。

テーマ曲:レクイエム、怒りの日(W/A/Mozart)

ゴッドハンド ハリケーン神田

本名:神田友子、2018年1月1日、茨城県土浦市出身。学生時代はキックボクシングで身体を鍛え、SPZ25期生として入門。2033年5月11日、高知県体育館大会での対セイレーン千春戦でデビュー。キックボクシングの経験を生かした打撃は強烈。ライラ神威とタッグを組んであばしりタッグ王者に輝く。得意技はゴッドハンド(重い裏拳)

テーマ曲:ワルキューレの騎行 (ワーグナー)

女ケンカ番長 八島静香

本名:同じ、2017年11月13日、島根県浜田市出身。実家が漁師で、家業の手伝いをするうちに体力がついた経歴を持つ。中学時代は女番長で警察に補導されることもしばしばだったが、改心してSPZの入門テストを受験。見事合格し2033年5月11日、高知県体育館での対 野村つばさ戦でデビュー。高い身体能力を生かしデスバレーを早々と習得し、外人選手にも何度か勝利を収める。2035年にはSPZクライマックス初出場を果たすなど今後が楽しみな逸材。

テーマ曲:アルルの女、ファランドール(ビゼー)

爆裂空手道 斉藤彰子

本名:同じ。2019年2月4日、三重県四日市市出身。姉であるコンバット斉藤と同じく子供の頃から空手に打ち込み、姉のあとを追うようにSPZ入り。SPZ26期生として2034年5月10日、長崎アリーナ大会での対八島静香戦でデビュー。姉譲りの蹴り主体のファイトで会場を沸かせる。コンバット斉藤との姉妹タッグでSPZタッグ王座取りを目指す。得意技は飛燕脚、ジェットスマッシュ。

入場テーマ曲:Give me up (マイケル・フォーチュナティ)

最強のアイドル スカーレット小縞

本名:小縞緑。2018年6月9日、和歌山県和歌山市出身。抜群のルックスに目をつけたSPZにスカウトされ、SPZ26期生として2034年5月10日、長崎アリーナ大会でのハリケーン神田戦でデビュー。アイドルレスラー扱いながら実家が寿司屋であり、荷物運びや食器洗いの手伝いをしていただけあってナチュラルパワーは相当なものがあり、得意技のラリアットはかなりの威力。同期の斉藤彰子と出世競争だ。

入場テーマ曲:Do you know the Magic?(詩月カオリ)

彗星の輝きを持つ少女 マイティ祐希子

本名:子安祐希子 2020年3月3日、山口県宇部市出身。井上霧子にスカウトされ、SPZ27期生として2035年4月17日、釧路アリーナ大会での対 斉藤彰子戦でデビュー。新人離れした動きを見せ、先輩レスラーや外国人選手を次々に撃破しており今後が楽しみな逸材。得意技はノーザンライトスープレックスホールド。

入場テーマ曲:disintegration(Lia)

未来のエース候補:霧島レイラ

本名:霧島聡子 2020年2月4日、岩手県花巻市出身。SPZの新人テストに合格し、SPZ27期生として2035年4月20日、仙台市グランドアリーナ大会での対 スカーレット小縞戦でデビュー。持ち前の馬力を生かしたファイトで前座戦線を沸かせる。得意技はラリアット。

入場テーマ曲:ゴーストバスターズのテーマ(Ray Parker Jr)

レフェリー 井上霧子

1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。近年は一部スポーツ紙上で酒びたりであることが暴露され、2027年8月に酒気帯びレフェリング事件が発覚し、社長代行の座を退いた。現在はSPZ取締役として主に前座試合のレフェリーを務める。

レフェリー 吉田龍子

1997年11月13日、熊本県八代市出身。2013年4月11日、札幌キターアリーナ大会での富沢レイ戦でデビュー。2022年3月、現役引退。引退後はSPZコーチとして若手の育成に当たる一方、ボンバー来島、菊池理宇の後見人として「吉田キラーマシン軍」を結成。第1試合前のMCを勤める。2027年8月、井上霧子のあとをうけて3代目のSPZ社長に就任。バランスシートも読めない社長でSPZの将来をお先真っ暗にすること確実。2033年に大日本テレビアナウンサー森和紀氏と結婚。社長を誰に譲ろうか考えている。時たま後半のレフェリーもつとめる。辛口のテレビ解説は好評。

レフェリー ロイヤル北条

本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。2030年1月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。現役時代の動き同様キビキビとした動き、かつ厳格なレフェリングは好評。

レフェリー ラッキー内田

本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。SPZ16期生として、2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。2032年8月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。

リングアナウンサー 村越忠幸

1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、営業部長兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。2児のパパで趣味は料理。

リングアナウンサー 阿部幸一

2000年5月28日、新潟県糸魚川市出身、2023年入社、グッズショップ販売を経験した後、2033年からリングアナウンサーに起用される。主に前半戦を担当。趣味はドライブ。

リングドクター 羽山海

1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野元社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2008年10月13日 (月)

第517回 横浜狂乱

第7戦仙台大会、SPZクライマックスも佳境。優勝争いもシード権争いも苛烈。

A中森(3点、時間切れ引き分け)N白石(5点)

既にピークを過ぎた選手同士の闘い。怪力のノエル白石、レスリングテクニックのイージス中森。試合は長期化したが、中盤でやはりN白石息切れ。そこをつけ込んでボディスラム、ブレーンバスター、スクラップバスターと攻め続けるイージス中森。

「・・・うう・・・」

そしてジャンピングニーでノエル白石の動きが止まった。

・・・ダメ・・・動けない・・・

しかしそれでも渾身のSTO2連発で反撃するノエル白石。懸命に粘って時間切れ引き分けに持ち込んだ。

・・・疲れた・・・

ノエル白石、足を引きずりながら花道を引き揚げた。控室でぶっ倒れるや、ぼそりと一言。

「もう、辞めたい・・・」

―くっ・・・勝てなかった・・・いけると思ってたのに。

イージス中森、あと1戦残して3点。シード権確保が絶望的になった。ノエル白石の打たれ強さを甘く見ていたか。

N神威(12点、裏投げからの片エビ固め 12.42)S千春(0点)

ナイトメア神威、落ち着いてセイレーン千春を裁いて6連勝。最終戦に優勝をかけてコンバット斉藤と対決。
セイレーン千春6連敗。これでSPZクライマックス通算13連敗。他に例のない不名誉な記録か。

REKI(8点、農鳥からの片エビ固め 11.56)M千秋(4点)

シード権奪取のためにはもう負けられないマーメイド千秋。あと1点取ればシード権確保のREKI、

PDFの同門ながら激しいファイトが展開された。しかしこういうとき決め技を持っている選手は強い。農鳥で急降下爆撃。これで予選会通過を決めた。

C斉藤(12点、飛燕脚からの片エビ固め 10.14)八島(4点)

25期生の八島静香、SPZエースのコンバット斉藤と初のタイマン勝負。

―とうとうここまで来た、やってやる。
しかしコンバット斉藤も連勝記録と優勝争いのためには負けられない。

「はっ」
ニーリフトで八島の動きを止める。
「ぐうっ」
腹を押さえてうずくまるC斉藤。起き上がったところへ

ジェットスマッシュ!
なんとかロープに逃れた八島だったが、立て続けに飛燕脚をもらって万事休す。

コンバット斉藤、これでシングルマッチの連勝を29に伸ばし武藤めぐみの持つ記録に並んだ。一流どころの選手とは圧倒的実力差があるわけではないが、一撃で眠らせる必殺技を持ってるので結果的に勝ってしまう。SPZクライマックス優勝と30連勝の新記録を最終戦の横スペにかける。

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さて最終戦は横スペ大会。

シード権争いは苛烈。7点以上取ればシード権決定。7点以上の選手が3人以下の場合は4位の選手にシード権が与えられる。コンバット斉藤、ナイトメア神威、REKIの3人はすでにシード権確保を決めているので、ボーダーライン上の選手は以下の3人。

5点 ノエル白石(最終戦の相手はREKI)
4点 マーメイド千秋(最終戦の相手はセイレーン千春)
    八島静香(最終戦の相手はイージス中森)

3点 イージス中森(最終戦の相手は八島静香)

REKI(10点、新蛇抜からのエビ固め 15.03)N白石(5点)

勝てばシード権奪還のノエル白石、しかしきょうの相手はここまで8点で既にシード権確保しているREKI。楽な相手ではない。そういうシビアな一番でもいつも通りのんびりファイト。REKI、いつも通りの飛び技を交えたスピーディなファイト。

「ふっ」

REKI、すばやく絡み付いての新蛇抜(しんじゃぬけ・・・変形フランケンシュタイナー)。ノエル白石、足をばたつかせたが肩が上がらない。これでカウント3が入った。これで5点どまりとなったノエル白石、シード権が絶望的になった・・・

REKI堂々の10点で3位入賞。賞品のスポーツドリンク1ケースをもらって引き揚げた。

A中森(5点、ストレッチプラム 12.34)八島(4点)

前の試合でN白石が負けたため、勝てば4位が確定しシード権奪取となる八島、積極的に攻めたのだが、相手ははぐらかしのうまいイージス中森。そして動きが止まったところをストレッチプラムに捕らえられてしまう。懸命にこらえた八島だったが・・・

S千春(2点、ハイキックからの片エビ固め 14.07)M千秋(4点)

前の前の試合でノエル白石が負け、前の試合で八島が敗れたためシード権奪取の可能性が出てきたマーメイド千秋。この日の相手はここまで0点のセイレーン千春。予選会に続いての姉妹対決だ。

セイレーン千春の攻めを受けきったマーメイド千秋、ブレーンバスター3連発で反撃開始。このまま押し切るかと思われたが

―2年続けて、全敗は・・・したくない・・・っ

セイレーン千春、懸命の反撃、延髄斬り、そしてハイキック。
がこっ!
妹を蹴り倒して3カウント奪取。

「くっ・・・」
勝ちを計算していたマーメイド千秋、姉相手にまさかの敗戦。これで予選会行きが決まった。
これで4位争いはノエル白石とイージス中森の2名が5点で並び、直接対決でも引き分けているため両者にシード権が与えられた。

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そして千秋楽結びの一番。6連勝の両者が相星決戦。勝った方が優勝。

コンバット斉藤 対 ナイトメア神威
「うらぁぁぁぁぁ」
ナイトメア神威いきなりヘッドバットを連発して主導権を握る。コンバット斉藤スリーパーで反撃。これで態勢を立て直してタックル。ナイトメア神威もスリーパーで反撃。そしてドロップキック。

―おおお、互角に戦っている。

場内異様な雰囲気。

ナイトメア神威、ボディスラムで投げる。コンバット斉藤やっと掌底を出してきた。連打連打で怯んだところをヘッドバット。しかしここで、

―ウァァァァァ!
ナイトメア神威、早くも勝負に出たのか、いきなりのパワーボム。コンバット斉藤カウント2で返す。ナイトメア神威、続けてタイガードライバーを狙ったがリバースで返された。ナイトメア神威の攻勢は続く、地獄落とし、バックドロップ、裏投げ、立て続けの猛攻に場内に響く悲鳴!

「・・・・くっ・・・・」

コンバット斉藤ジェットスマッシュ!しかしナイトメア神威ダメージの蓄積がないのでカウント2で返す。

ナイトメア神威、地獄落とし(変形デスバレー)、なんとかロープに逃れたコンバット斉藤だったが、続けて裏投げをもう一発もらってしまう。しかしこれもロープへ逃れた。

「ウァーッ!」
コンバット斉藤、逆転をかけた飛燕脚、しかしこれも2.5で返したナイトメア神威、

「ケケケケケケ」
この試合2度目のパワーボム。コンバット斉藤は返せなかった・・・

N神威(14点、パワーボムからのエビ固め18.28)C斉藤(12点)

―ライラさんでもできなかった、Sクラ制覇・・・

ナイトメア神威、内心はものすごく嬉しかったのだが、おくびにも出さずトロフィーを蹴り倒し、賞状をビリビリ引き裂いてそのあとセイレーン千春と横スペの客席になだれ込むパフォーマンス。このあたり師であるライラ神威の教えを引き継いでいる。

「くっ・・・油断したわけではない・・が・・」

得意の打撃攻勢に持ち込めなかったコンバット斉藤、シングルマッチの連勝記録は29で止まり、武藤めぐみの記録を抜き去ることはできなかった。

優勝したナイトメア神威には賞状と金一封、副賞としてブランド腕時計が贈られた。準優勝のコンバット斉藤には横浜中華街のお食事券5万円分、3位のREKIにはスポーツドリンク1ケースが贈られた。

2008年10月12日 (日)

第516回 27年目8月 コンバット斉藤28連勝

4戦目は福岡九州ドーム大会。
N白石(4点、バックドロップからの片エビ固め 10.16)八島(4点)

ここまで2連勝と好調の八島。きょうの相手は元SPZ王者のノエル白石。しかし開始早々にSTOを食らってしまい動きが止まってしまう。あとはもうノエル白石のペース。ゆったりとしたペースだが、ズルズル攻め込まれてしまって・・・

REKI(2点、農鳥からの片エビ固め 17.30)S千春(0点)

まだ白星のない両者の対戦。セイレーン千春も初白星を得るべく懸命の攻め。前半は優位に試合を進めたがREKIも百戦錬磨。新蛇抜で形勢逆転。そして、
「決める」
農鳥、炸裂。一瞬視界から消えるので受けづらいのだ。これでREKIが初白星。

N神威(6点、パワーボムからのエビ固め 17.54)M千秋(2点)

前年はマーメイド千秋が勝っているこのカード、日ごろは同じコーナーで戦っているだけに弱点が見えているのか。しかしナイトメア神威も最終戦でC斉藤とやるまでは負けられない。試合は盛り上がった。なんとか地獄落としからパワーボムにつないでナイトメア神威が振り切った。これで3連勝。

C斉藤(6点、パワーボムからのエビ固め 12.32)A中森(0点)

まだ白星のないイージス中森、しかしきょうの相手は団体エースのコンバット斉藤、やはり手も足も出ず、最後はパワーボムに屈した。

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そして第5戦は名古屋しゃちほこドーム。
REKI(4点、STOからの片エビ固め 14.30)八島(4点)
初出場の八島がいい動き、ヘッドバットを連発するなどREKI相手に一歩もひかない。しかしREKIの動きについていけなくなり、新蛇抜2連発で動きが止まってしまう。
「決める」
REKIのSTO、これで2勝目を挙げた。

A中森(2点、ストレッチプラム 11.32)S千春(0点)

まだ勝ち星のない両者の対戦。しかし実力差は歴然、イージス中森がじわじわと攻めて、最後はストレッチプラムで勝利。セイレーン千春4連敗、あっけなく予選会行きが決まった。

N神威(8点、サソリ固め 15.32)N白石(4点)

優勝候補の対抗馬、ナイトメア神威、きょうは元SPZ王者のノエル白石と対戦。しかしノエル白石の動きもかなり落ちており、きょうも中盤以降は一方的な展開。
「YEAAAAAA!」
奇声を上げながらのサソリ固めにノエル白石あえなくギブアップ・・・

C斉藤(8点、ミサイルキックからの片エビ固め 7.55)M千秋(2点)

コンバット斉藤まったく危なげない。飛燕脚で追い込んでのミサイルキック。わずか8分足らずでマーメイド千秋を退けた。シングルマッチの連勝も27に伸ばした。

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第6戦、一気に北海道へ飛んでのどさんこドーム大会。
REKI(6点、STOからの片エビ固め 16.24)A中森(2点)

20期生同士の対戦、中盤飛び技を連発して優位に立ったREKI、そのまま攻め込み新蛇抜2連発からSTOで3勝目を挙げた。イージス中森、4敗目を喫し予選会行きが決定的になった。

M千秋(4点、延髄斬りからの片エビ固め 13.33)N白石(4点)

シード権のためにはこれ以上負けられないマーメイド千秋。元SPZ王者のノエル白石に懸命にぶつかってゆく。ラフ殺法を交えながら2勝目を狙う。場外STOを食らうなど危ないシーンもあったが、フィッシャーマンバスターから延髄斬りとつないで勝利。予選会で敗れた借りを返した。

N神威(10点、パワーボムからのエビ固め12.0)八島(4点)

ナイトメア神威の狂乱ファイトに八島なすすべなし、反撃しても単発。ナイトメア神威がパワーボムで完勝。

C斉藤(10点、ジェットスマッシュからの片エビ固め 7.44)S千春(0点)

コンバット斉藤、格下のセイレーン千春をまったく問題にせずジェットスマッシュで退けた。これで優勝争いはコンバット斉藤とナイトメア神威の2人に絞られた。

2008年10月11日 (土)

第515回 27年目8月 コンバット斉藤25連勝

27年目8月
恒例のSPZクライマックス。

■「必殺仕事人」イージス中森(22)

6年連続6度目の出場 
「一つでも多く白星を重ねます」

■「クノイチマスター」REKI(22)

4年連続4度目の出場  
「・・・・・・・・・・・・・」

■「ジェットスマッシュ」コンバット斉藤(21)

5年連続5度目の出場  第24回・第26回大会優勝
「やるだけです。全員倒して優勝します」

■「狂乱の舞」ナイトメア神威(19)

3年連続3度目の出場
(頭から麻袋をかぶされているので無言)

以下は予選会勝ち上がり組。

■「ネイチャーガール」ノエル白石(23)

7年連続7度目の出場 予選会1位通過
「んっと・・・頑張る・・・」

■「ケンカ番長」八島静香(17)

初出場 予選会2位通過
「応援、夜露死苦」

■「悪役姉妹」マーメイド千秋(20)

2年連続2度目の出場 予選会3位通過
「全員病院送りだあ!」

■「悪役姉妹の姉」セイレーン千春(20)

2年連続2度目の出場 予選会4位通過
「あんたらアタシが全敗すると思ってんだろ。」

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2戦目のなにわパワフルドーム大会から地獄のリーグ戦がスタート。

八島(2点、パワーボムからのエビ固め 20.37)S千春

初出場の八島、出るからにはシード権、いや最低でも1勝しておきたいところ。この日の相手は予選会で負けている先輩・セイレーン千春との一戦。

「死ねや」
セイレーン千春、延髄斬りで痛めつけるが、八島動ぜずタックルを連発して攻め込んでゆく。しかしセイレーン千春にも意地がある。

「顔の形を変えてやる!!」
フェイスクラッシャーがズバリ、そしてハイキック。これで八島の動きを止めるが、

「うあああーっ!」
意識を保っていた八島、豪快なパワーボムでたたきつけ。これでSPZクライマックス初白星を挙げた。

「Sクラ初出場なんだ。こっちだって、気合はいってらあ!」

M千秋(2点、フィッシャーマンバスターからの片エビ固め30.0)A中森

昨年あと一歩のところでシード権を逃したマーメイド千秋。今年は確実に点を取っておきたいところだったが、やはりイージス中森の独特の仕事人レスリングのペースに引きずり込まれてしまう。それでもフィッシャーマンバスターで形勢逆転に成功。

しかしイージス中森も裏拳で懸命の抵抗。。大阪大会のセミ前は盛り上がった。

「この技で眠ってください」

イージス中森のストレッチプラムはロープに近い。あれほど計算高い選手がポジショニングを誤るとは。やはりあせっているのか。

2度目の裏拳をなんとか2.9で返したマーメイド千秋、場外戦に連れ出して、フィッシャーマンバスターを2連発するなりふり構わない攻撃を見せる。そしてリングに引きずりあげて4度目のフィッシャーマンバスター。マーメイド千秋が時間切れ寸前なのだが、どうにか初戦を白星で飾った。

「うう・・・」
頭から4回も落とされたイージス中森、起き上がれずタンカで運ばれた。あとに響かなければいいのだが。

N神威(2点、地獄落としからの片エビ固め 13.04)REKI

SPZで実力ナンバー2のナイトメア神威、SPZ女王・コンバット斉藤の快進撃を止められるとしたら彼女しかいない。最終戦の横スペで当たるまでは負けられない。この日はタッグパートナーのREKIをじわじわと攻め、最後は地獄落としで仕留めた。

C斉藤(2点、ジェットスマッシュからの片エビ固め 11.02)N白石

コンバット斉藤、連覇へ向けて最初の対戦相手はノエル白石。過去の人なのでまあC斉藤が押し切って勝つだろうというのが大方のファンの予想。現実にもその通りで、

「せいっ」
裏拳2連発、これでノエル白石の動きが止まった。目の焦点が合ってない。
「はーっ!」
最後は伝家の宝刀ジェットスマッシュ。顔面に強烈な蹴りを食らったノエル白石、起き上がることができなかった・・・

コンバット斉藤、これでシングルマッチの連勝を24に伸ばした。全勝優勝すればあの武藤めぐみの記録29連勝を超える・・・

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第3戦若鯉球場大会。
N白石(2点、STOからの片エビ固め 16.46)S千春(0点)

「終わったら、お好み焼き・・・」

予選会ではさくっと勝っているノエル白石、試合のことより早く終わらせてお好み焼きを食べに行きたいらしい。いつものようにのんびりとしたファイト。

「ブザマな姿さらしなっ」
セイレーン千春も延髄斬りを繰り出すなど健闘したが、これでN白石がムッとしたのか、

「・・えっと」
はい必殺バッタンコ。終了。

八島(4点、ブレーンバスターからの片エビ固め 14.04)M千秋(2点)

予選会では不覚を取っているマーメイド千秋、同じ相手に2連敗はできんと開始早々ドロップキックを連発するなど厳しい攻め。

しかし八島も相当うたれ強くなっておりちょっとやそっとでは動きを止めることができない。耐え切ってデスバレーで反撃。そしてブレーンバスター。衝撃が思いのほか強かったのか、これで3カウントが入ってしまった。呆然とするマーメイド千秋。

「今日は地元(隣の島根県)からバスで応援団来てるんで・・・負けられなかった」

N神威(4点、ネックブリーカードロップからの片エビ固め 13.55)A中森(0点)

ナイトメア神威がいつもの狂乱ファイトを見せてイージス中森を沈めた。

C斉藤(4点、飛燕脚からの片エビ固め 9.33)REKI(0点)

コンバット斉藤、危なげないファイト。打撃で追い込んで最後も飛燕脚。REKIを問題にせず2勝目。シングルマッチの連勝も25に伸ばし、武藤めぐみの持つ記録まであと4とした。

第27回SPZクライマックス、公式リーグ戦2戦を消化してトップはコンバット斉藤、ナイトメア神威、そして八島静香。

2008年10月10日 (金)

SPZスター選手列伝 037 野村つばさ

SPZスター選手列伝 37

従業員コード:037

リングのひまわり 野村つばさ

本名:同じ、2011年3月30日、愛媛県西条市出身。SPZの新人テストに合格し、18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 ライラ神威戦でデビュー。抜群のルックスと軽やかな身のこなしでファンのハートをつかむ。イージス中森と組んであばしりタッグ王者に輝く。得意技はミサイルキック、エルボー。

2035年6月22日、さいたまドーム大会での対マイティ祐希子戦で引退。

稼動月数108ヶ月、出場試合数(推定)784試合

タイトル歴:第30代あばしりタッグ王者(パートナーはイージス中森)

写真集 1冊

今野役員コメント:保科優希、渡辺智美、キューティー金井の系譜を継ぐアイドルレスラー。前後の世代に強豪選手が多かったためタイトル戦線にもほとんど絡めず、SPZクライマックスにも出場は叶わなかったが、きっちり第1試合で、ネタ外人相手の楽しい試合、そして若手の壁として小気味いいファイトを展開していただき、興行の暖め役として欠かせない存在だった。引退後は郷里の四国へ帰り、ケーブルテレビ局のレポーターとして第二の人生を送っているらしい。

2008年10月 9日 (木)

SPZスター選手列伝 036 ライラ神威(下)

(SPZスター選手列伝 ライラ神威 裏話)

・狂乱ファイトが強調されるが、ひとたびマスクを脱げばSPZでも数少ない常識人で、どうやったら観客を盛り上げることができるかを常時考えている知性派でプロレス頭の持ち主。

・若手時代、ギムレット美月に「自分の売り出し方を考えなさい」と口すっぱく言われた影響がよく出ているらしい。(しかしギムレット美月本人は「私の戦い方が反面教師になってしまったのでしょうか」と述懐している)

・DFを結成してからはリーダーとして悪の軍団を統率し、地方会場東京会場を問わず怨敵・武藤めぐみの首を付けねらう。面倒見がいいので配下の選手からの信頼は厚かった。

・意外と若手選手の面倒見はよく、練習を見てやることもしばしばだが、クラッチの切り方とか絞め技のポイントのずらし方と言った技術的なことはラッキー内田に任せて、「自分の価値はなんなのか考えろ」「お客さんがおおっと思うことは何か考えろ」と若い選手に自ら考えさせるように仕向けるアドバイスを送っていた。

・若手では強烈な打撃技をもつハリケーン神田に期待していて、常々「神ちゃん」と呼んでおり、DFにしばしば勧誘したがH神田は応じなかった。あばしりタッグを取ったのは「軍団抜きにしてあいつにタイトル戦の雰囲気を教えてやりたい」と裏で動いていたらしい。

・1期上のラッキー内田とは飲み友達。現役時代はリング上で血の抗争を繰り広げていたが、リングを降りてしまえば知性派同士で気が合うのか、よく焼き鳥を喰いに行っていたらしい。

・SPZクライマックス前に武藤めぐみ抹殺のために南アルプスで高地合宿を行い、後輩のコンバット斉藤にウルトラハードな特訓を課したが、自らは「ベテランだから」と山中を散歩していただけだった。もっともこれは武藤めぐみに心理的圧迫感を与えるのが目的だったらしい。

・SPZの吉田社長とは抗争を繰り広げていたが、裏で今野役員を介し、入念な打ち合わせを行っていた。今野役員からは「エログロ系以外なら何してもいいよ」と言われていたらしい。吉田社長はもっぱらやられ役だったが、「まあしょうがねえよな」といった感覚でライラ神威にひどい目に合わされる哀れな社長役を演じていた。

・ちなみにスタンロッドやガトリング砲といった凶器は会社の経費で購入しており、選手生活の後半は凶器がワゴン車1台分になってしまったらしい。

・選手生活の晩年になっても黙々と開場前にトレーニングを行い、選手生命を10年近くまで伸ばし、1期生・伊達遥の持っていた稼動月数の記録を抜いた。ボロボロになっても現役を続けられたのは悪の軍団DFの首魁でタッグマッチでの登場が多かったことも挙げられるが、後輩選手や関係者の信頼が厚く、仕事がしやすかったことがもっとも大きい。

・永年勤続表彰のときはマスコミ各社から記念品が続々と贈呈されたが、ファンの前だったので「記念品は要らんから現金持ってこい、現金」という名台詞を残す。

・引退後は稼いだ金を元手に居酒屋を開く計画とのことだが、そのためにはまず、料理の腕と飲食店経営ノウハウを学ばなければならないと考え、「喫茶あばしり」で鈴波店長のもと、修行している。

今野役員コメント:もうこんな選手はSPZに当分出てこないであろう。悪役パフォーマンスは自分を売り出すために考えた末の行動。それに武藤めぐみへのジェラシーが多少入っていた。固定ファンはそのあたりをわかっていて、いつしか勝っても負けても大声援が飛ぶようになった。
実力では武藤に及ばないことはわかっていて、それではどうするかと考えで実行したらああいうスタイルになってしまったらしい。武藤めぐみが光のスターなら、ライラ神威は闇のスター。息の長い選手で、後輩の武藤めぐみ引退のあとなお半年以上現役を続けてから引退。

常にお客様の視点に立って考えることのできたある意味優等生で知能犯。SPZで頭のいい選手の系譜は1期生の小川ひかる、そのスピリッツが10期生のギムレット美月に引き継がれ、そこから17期生のライラ神威に引き継がれた。ライラ神威が若い世代に残したものは何か、それはこれからおいおい明らかになることだろう。引退後は居酒屋を開く計画らしいがまず修行から始めるあたりが彼女らしい。

2008年10月 8日 (水)

SPZスター選手列伝 036 ライラ神威(上)

SPZスター選手列伝 36
従業員コード:035

悪役ファイター ライラ神威

本名:島宮香織。2009年6月16日、北海道新得町出身、SPZ17期生としてスカウトされ、2025年4月21日、釧路アリーナ大会での成瀬唯戦でデビュー。正統派レスラーの多いSPZマットにおいてヒールレスラーとして活躍。入場時には凶器を持ってのパフォーマンスを繰り広げ観客を恐怖のどん底に陥れる。

悪役パフォーマンスに目が行きがちだが、リング上でのパワーファイトもかなりのものをもっており、ボンバー来島の引退試合でスプラッシュマウンテンで投げきってカウント3を奪ったときには観客の度肝を抜いた。REKIと組んであばしりタッグ王座、SPZタッグ王座を戴冠。また2031年にはノエル白石を破りSPZ王座に輝くなど悪の限りをつくす。得意技はカムイエクウチカウシ(高角度スプラッシュマウンテン)、凶器攻撃。

2034年1月20日、新日本ドーム大会でのハリケーン神田戦で引退。稼動月数118ヶ月(歴代1位)、出場試合数(推定)824試合。

タイトル歴

SPZ永久チャンピオン(自称)

第64代 SPZ世界王者(防衛回数1回)

第45代 SPZ世界タッグ王者(パートナーはREKI)

第48代 SPZ世界タッグ王者(パートナーはREKI)

第53代 SPZ世界タッグ王者(パートナーはREKI)

第26代 あばしりタッグ王者(パートナーはREKI)

第28代あばしりタッグ王者(パートナーはREKI)

第38代あばしりタッグ王者(パートナーはハリケーン神田)

(悪行の数々)

・入門2年目の2035年11月にSPZタッグリーグ戦に4期先輩のロイヤル北条と組んで参戦したが、R北条の入場テーマ曲(jive into the night)で入場することを拒み、自身の入場テーマ曲(COLLECTIVE)をかけるよう強要。団体サイドは2曲合体での入場を提案したがこれはR北条が拒否したので、結局今野役員裁定で無関係の音楽「熱き星たちよ」で入場となったが、さらにコール順にまで文句をつける。このときの大甘裁定がのちのちライラ神威を増長させたと思われる。(熱き星たちよ事件)

・さらにこのシリーズ、公式リーグ戦であのナターシャ・ハンの額を鉄製の凶器で突くという暴挙に出て、所属選手がはじめて凶器攻撃に手を染める。このときも会社からのおとがめ、処分は特に無く、このときの大甘裁定が(略)

ちなみにこの試合は合体パワーボムでR神威・R北条組が勝ったが、怒ったファンからしめ鯖を退場時に顔面に投げつけられる。が、まったく意に介せずぶちまけられたしめ鯖を食べてしまったという伝説を残す。以来投げつける目的でしめ鯖を持参するファンが増え、後に公式ホームページに「しめ鯖持ち込み厳禁」という珍告知が出ることになる。(しめ鯖事件)

・翌年2月、パワーを見込まれて7期先輩の選手会長ギムレット美月と組んであばしりタッグに初挑戦する。試合は力の衰えが顕著なG美月が捕まって敗北するが、試合後大先輩のギムレット美月に向かって「ケッ使えねえヘボロートルが」という暴言を吐いて、倒れているG美月にストンピングをかますという暴挙を働く。(ロートル発言事件)

・このあたりから凶器を持っての入場が定番行事となり、鉄パイプ、チェーンソー、スタンロッド、たいまつ、大鎌、包丁、ガトリング砲(当然実弾は入ってないが)などを携えて観客をあおりながら入場。特にスタンロッドは猛威をふるい、止めに入った伊達遥レフェリーを感電させ病院送りにしてしまった。「子供の教育によくない」と団体にクレームが寄せられたためか、選手生活の晩年は黒バットを使っていた。

・その名を轟かせたのがボンバー来島の引退試合で、試合前にリング上で爆竹を爆発させてB来島を怯ませ、そのまま猛攻を加えてスプラッシュマウンテンで勝利し、感動の引退試合ブックの斜め上を行く。そのあとリング上は大乱闘となり、吉田龍子社長を激怒させる。プッツンした吉田社長はリングに上がるがスタンロッド攻撃で感電させられる。(引退試合ぶっ壊し事件)

・抗争していたJRの市ヶ谷やR北条をロートル、ヘボと罵倒するが、市ヶ谷に「イモ畑の住人」と切り返され逆上する。(イモ畑発言事件)

・後輩の武藤めぐみに追い抜かれたのが気に障ったのか、武藤めぐみの首を付けねらうため悪役集団「Dark Fraction」を結成し、集団で武藤めぐみを袋叩きにしようとするが初期の頃は返り討ちにあった。(DarkFraction結成事件)

・ライラ神威の矛先は武藤めぐみを売り出そうとする吉田龍子、井上霧子、今野役員らSPZフロント陣にも及び、吉田龍子はスタンロッドでしばしば感電死寸前に追いやられており、井上霧子も危ない目にあっており、京スポ新聞の若林記者が井上霧子をかばってスタンロッド攻撃を受けたシーンでは会場が凍りついた。(京スポ記者感電暴行事件)

・ノエル白石を破り、SPZベルトを奪取したが「こんなもん別に欲しくねえや」と叫び、ベルトを爆竹で破壊。(ベルト爆破事件)そのあとプッツンした吉田龍子を倒し、止めに入った井上霧子も襲おうとするが、若林記者が身を挺してかばい前述の京スポ記者感電暴行事件を引き起こす。さらに止めに入った武藤めぐみにいたってはロープにはりつけにしたうえチェーンソーで殺害を試みるが羽山リングドクターの麻酔攻撃で失敗。(武藤めぐみ惨殺未遂事件)

・この3つの事件には団体に苦情やら抗議が殺到し、SPZ取締役会は出場停止などの処分も検討したが、今野役員が「ま、いいんじゃないの」などと擁護したため、厳重注意処分で落ち着いた。

・上記の悪行三昧に激怒したSPZ吉田社長は初防衛戦の相手に武藤めぐみを指名したが、このときは正面から戦って武藤に勝ってしまう。そして試合後「もうこんなベルトは必要ねえ」と叫び、自ら「SPZ永久チャンピオン」と名乗る。そしてベルトをチェーンソーで真っ二つに引き裂くと言う暴挙に出る。(ベルト真っ二つ事件:しかしそのベルトはフロントが試合中にすり替えた模造品だった)

・このとき当然吉田社長はプッツンしてリングインしたがあっさり倒されてしまい、ライラ神威がナイフを突き立て殺害しようとするが、すんでのところで大日本テレビ森アナウンサーがゴルフクラブでライラ神威を殴打し気絶させるというファインプレイもあり難を逃れる。(吉田社長殺害未遂事件)

・血の抗争を繰り広げていた武藤めぐみの引退試合の相手に名乗りを上げて、試合前にナイフを投げて武藤を殺害しようとしたがかわされて失敗。そのまま襲いかかっていったが、腰痛を抱えていたこともあり武藤めぐみに敗北。(第2次武藤めぐみ惨殺未遂事件)

・意外にも郷土を愛する心を持っているのか、自己顕示欲が強いだけなのか、キラームーブの変形デスバレーボムには地元である新得町の山「トムラウシ」と名付け、リーサルムーブのスプラッシュマウンテンは近くの日高山脈の山から「カムイエクウチカウシ」という名をつける。

・グッズ販売で地元のミネラルウォーター「トムラウシ連峰の水」の500mlペットボトルを「ライラ神威プロデュース」と称して、1本1,000円で会場販売すると言う暴挙に出るが、一部のライラファンは来場記念に買っていたらしく売れ行きがよかったらしい。この売れ具合を見ていた吉田社長は「水商売だね」とあきれ果てていた。ミネラルウォーターの原価は100円を切っていたので900円の利益はDFの運営軍資金になっていたらしい。(ウォータービジネス事件)

・ラジオの人生相談に一度だけ出演したことがあったが、無茶苦茶な回答をしまくったあげく最後には「彼女がいなくて寂しいので誰かSPZの若い選手を紹介してください」という理不尽な質問に激怒し、番組パーソナリティを殴り倒して番組を強制終了させる。(ラジオ番組殴打事件)

・吉田龍子の結婚記者会見に乱入し、花束を渡すふりをして、花束に仕込んだ小型爆弾を爆発させSPZ会議室を大混乱に陥れ、吉田龍子を殴り倒して病院送りにしたあげく、SPZ本社会議室を破壊。SPZ本社会議室は団体にお金が無かった時期に作られており、会議室の壁は安普請だったので容易に破壊できた。(SPZ本社会議室破壊事件)

・選手生活の晩年に「あばしりタッグ王座」を後輩のハリケーン神田と組んで奪取するが「なんで永久チャンプのあたしがこんな喫茶店ベルトなんだフザケンナ吉田」と言いがかりをつけ(もっともこの指摘にも一理ある、SPZ王座戴冠経験者があばしりベルトに挑戦するのはスターライト相羽とこの選手しかいない。それだけフロントから嫌われていたと言う事か)あばしりベルトをネットオークションで売却したあげく(ベルト売却事件)ダンボール製ベルトで入場という暴挙をはたらく。(ダンボールベルト事件)

・体力の限界を感じ、引退を決意し、選手会興行の場でファンに引退を報告したが、そのときもバトルロイヤル優勝者のコンバット斉藤を黒バットで殴り倒すという暴挙を働く(黒バットフルスイング事件)

・自らの引退試合では後進のハリケーン神田に惜敗したため大きな混乱は起こらなかったが、やはり引退セレモニーで吉田龍子社長に握手するふりをして殴り倒すという暴挙に出て「じゃあ、あばよ、腐れSPZファンども」と捨てゼリフを残して退場。最後の最後まで悪役道を貫く。(第n次吉田社長殴打事件)

列伝、続きます・・・・

2008年10月 7日 (火)

SPZスター選手列伝 035 武藤めぐみ

SPZスター選手列伝 35

従業員コード:036

「天才姫」武藤めぐみ

本名:同じ、2010年4月4日、静岡県本川根町出身、天性の運動神経に目をつけた井上霧子にスカウトされ、SPZ18期生として2026年7月7日、青森武闘館大会での対 フォクシー真帆戦でデビュー。

SPZの次代をになうスター候補として期待され、デビュー1年足らずでボンバー来島と組んでSPZタッグ王座を獲得し、2年目にはいきなりSPZクライマックス本大会に出場するなど驚異の出世街道をばく進。

そして2028年にはSPZ世界王座を奪取し、SPZクライマックスで全勝優勝を飾るなど先輩方をごぼう抜きして団体の頂点に輝き、7月にはSPZベルト連続防衛回数15回を達成してあの吉田龍子の持つ記録に並ぶ。シングルマッチの連勝は29で止まったが、SPZベルト通算防衛回数27回の記録を樹立するなど、実力では他の追随を許さなかった。

得意技はシューティングスタープレス。

ベテランの域に入り、ライラ神威率いるDFと抗争を繰り広げ、コンバット斉藤に連敗を喫して引退を決意。2034年7月23日、新日本ドーム大会での対 ライラ神威戦で引退。稼動月数97ヶ月、出場試合数(推定)688試合。

タイトル歴
第60代SPZ世界王者

第62代SPZ世界王者

第67代SPZ世界王者

第70代SPZ世界王者

第72代SPZ世界王者

通算防衛回数27回(歴代1位)

第29代SPZ世界タッグ王者(パートナー時はボンバー来島)

第34代SPZ世界タッグ王者(パートナーは氷室紫月)

第40代SPZ世界タッグ王者(パートナーは成瀬唯)

第49代SPZ世界タッグ王者(パートナーはJ・ビーチ)

第52代SPZ世界タッグ王者(パートナーはJ・ビーチ)

第21回SPZクライマックス優勝

第22回SPZクライマックス優勝

第23回SPZクライマックス優勝

第25回SPZクライマックス優勝

第22回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはイージス中森)

第23回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは成瀬唯)

第24回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはJ・ビーチ)

写真集 1冊

今野役員コメント:華々しいタイトル歴がその栄光を物語っている。全盛期は手がつけられない強さで、DFが束になってかかっても太刀打ちできないなんて事もあった。シングルマッチ29連勝というすさまじい記録を持ち、速攻勝負で10分も経つと相手はグロッキー状態で大勢が見えたという展開も多い、リング上を縦横無尽に駆け回るファイターで、市ヶ谷らのJR世代に引導を渡し、16期生を脇役に追いやり、あのライラ神威の狂乱ファイトにも一歩も引かない気の強さもあった。

選手生活の後半になり動きが落ち、DFのヒットマン・コンバット斉藤相手にしばしば競り負けるようになったがそれまでは圧倒的な強さを誇り、まさに不動の団体エースとしてSPZに君臨した。

引退後は株式会社SPZに在籍したまま郷里の静岡へ帰り、SPZフィーバー静岡店店長として、抜群の知名度を生かしグッズやチケットを売りさばいている。

2008年10月 6日 (月)

第514回 コンバット斉藤23連勝

27年目7月

7月シリーズ「サマースターナイツシリーズ」開幕。マーメイド千秋はわき腹負傷のため欠場。

姉妹タッグで売り出そうと考えていたコンバット斉藤と斉藤彰子だが、斉藤彰子、キャリア3年目に入ろうとするが飛躍の兆しを見せない。第3戦の山形大会でコンバット斉藤と組んでローズヒューイット、ファントムローズ1号とあたったが、あえなくヒューイット一家の連携にヤラレて、最後はファントムローズ1号のネックブリーカーに3カウントを献上。

タッグマッチでは弱いほうが狙われるが、しのいでつなぐ事ができていない。4戦目の茨城では姉のコンバット斉藤が奮闘し、ナイトメア神威、セイレーン千春組相手に勝利。

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第7戦幕張大会。斉藤彰子は第3試合に登場、ワイルドローズ2号と対戦。ラリアットで動きが止まってしまったが、ジェットスマッシュを放つなど大健闘、カウント2.8まで追い込んだが、最後はワイルドローズ2号のコブラツイストにギブアップ。

「ダメだアイツ、あんな技にギブアップするか?現代プロレスで」

吉田社長は手厳しいコメント。

幕張大会メインでは客寄せのためのシングルマッチが組まれた。コンバット斉藤対ハムル・シアターのノンタイトル戦。しかしコンバット斉藤、強豪外人ハムルを寄せ付けず、ニーリフトで追い込んで、

「ハァーッ!!」

ズバッと決まったジェットスマッシュ。これで完勝。シングルマッチの連勝を22に伸ばした。

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最終戦は新日本ドーム大会。

第1試合はマイティ祐希子対スカーレット小縞。新人のマイティ祐希子、力はつけてきていて地方でのネタ外人戦では勝ったりしているのだが、まだまだ先輩相手には分が悪い。この日も息切れしたところをエルボーを食らって終了。勝負タイム8分14秒。

第2試合は霧島レイラ対斉藤彰子。開始早々の掌底連発を食らって「わけがわからなくなった」霧島レイラ、一方的に攻め込まれて飛燕脚にフォール負け。勝負タイム7分58秒。

第3試合はセイレーン千春対シンディー・ウォン。互角の攻防が続いたが、最後はシンディーがフェイスクラッシャーで沈めた。勝負タイム18分0秒。

外人同士のタッグ戦をはさんで、第5試合は八島静香、H神田、Jビーチの3人がヒューイット一家(ローズ・ヒューイット、ワイルドローズ2号、ファントムローズ1号)と対戦。ヒューイット一家の連携が勝り」、10分30秒、八島がヒューイットお嬢様のラリアットに沈んだ。

セミファイナルは本隊 VS PDFのタッグマッチ。ノエル白石、イージス中森対ナイトメア神威、REKI。元SPZタッグ王者同士の対戦なので場内は沸いた。4人が4人とも持ち味を出す力押しの消耗戦となったが、最後はノエル白石がつかまってしまい、ナイトメア神威の地獄落としに散った。勝負タイム30分0秒の激闘。

メインイベントはSPZ選手権。王者コンバット斉藤に挑むのは、強豪外人キャシーウォン。ようやくチャンスが回ってきたキャシー、うすら笑いを浮かべながらリングイン。

「立ちはだかる敵は倒すのみ。」

SPZの大エース、コンバット斉藤がリングへ向かう。決してプロレスのうまい選手ではないが、打撃の破壊力で連勝街道を驀進。

この日も掌底をばきばき打ち込むが、キャシーも落ち着いてエルボーで手数を返す。リング下では姉のシンディーが声援を送る。

しかし10分過ぎ、コンバット斉藤がタックルの連打、ブレンバスターで突破口を開く。そのあと逆エビで延々痛めつけたあと裏拳。最近この選手も試合運びがうまくなってきた。

「はいっ」
2発目のブレンバスターでカウント2.8まで追い込んでから、コーナーに登って

「せいっ」
重爆ミサイルキック。これで3カウントを奪取。勝負タイム36分45秒、やや長引いたがコンバット斉藤がきっちり勝った。これで8度目の防衛に成功。シングルマッチの連勝も23に伸ばした。

2008年10月 5日 (日)

第513回 野村つばさ最終試合 野村つばさVSマイティ祐希子

27年目(AD2035年)6月

そして最終戦さいたまドーム大会、休憩明けの第4試合。

「次の試合に出場する野村つばさ選手はこの試合が最後のファイトとなります、ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」

「ほほえみのヴァネッサ」がかかる中、野村つばさがリングイン。対戦相手は9期下の新人、マイティ祐希子。

「はっ!」

マイティ祐希子のタックルに受け身を取る。懸命にやられながらも攻め疲れを待つ。

―新人はスタミナがないっ、耐えれば・・勝てる

野村つばさ、エルボーで反撃、マイティ祐希子もローリングソバットで応戦。そして10分頃、野村つばさが勝負に出た。すばやくアームホイップで転ばせて、コーナーに登り、

「これで、最後!!」

客席にアピールしてから、飛んだ。

「やーっ!!」
ダイビングプレス命中。ああ終わったかというため息と歓声。でも新人にしてはよくやった・・・と誰もが思ったが

ワン、トゥ・・・・
しかしマイティ祐希子2.9で返した。懸命に起き上がって組み付く!

ドドドドドドド!

「はぁぁー、いっくよー!!」

マイティ祐希子ローリングソバット、これはカウント2で返した野村、しかしマイティ祐希子アームホイップをはさんでもう一発ローリングソバット、野村つばさカウント2.8で返す。

―最後は、勝って、終わる・・・っ
野村つばさジャンピングニー、これはまともに入った。あーあ終わりかというファンのため息、しかし、

ワン、トゥ・・ドドドドドド!!

マイティ祐希子2.9で返す!なんと言う根性。引退試合だから花を持たせようと言う考えはさらさらない。

ドドドドドド!
しかし野村つばさもここが勝負どころと見て、組み付いて

バァンッ!
ブレーンバスターでマイティ祐希子を投げきった。そのまま押さえ込んでカウント3奪取。

「13分54秒、ブレーンバスターからの片エビ固めで野村つばさの勝ち」

野村つばさ、かなり疲れたのかしばらく起き上がれなかった。そしてフラフラと起き上がり、マイティ祐希子と握手してから、リング上で一礼してから引き揚げた。

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さいたまドーム大会メインはあばしりタッグ戦。王者セイレーン千春、マーメイド千秋に対するはファントムローズ1号、ワイルドローズ2号。

SPZ戦は王者のコンバット斉藤が負傷欠場、タッグベルトは外人に持ってかれたのであばしりタッグを最終戦のメインに持ってくるしかなかった。

「やっと二人で暴れることができたぜ!!」
シビアなシングルマッチの連戦だった予選会リーグでフラストレーションがたまっていた悪役姉妹、うっぷんを晴らすかのように荒々しいファイト。

「ブザマな姿さらすがいい!!」
マーメイド千秋、フィッシャーマンバスター炸裂。これで2度目の防衛に成功した。勝負タイム13分50秒。

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メイン終了後、野村つばさの引退セレモニー。

「あたし、あたし、今日で、ふぇーん!!」

野村つばさ大泣き。華々しい活躍こそ無かったが、SPZの前座戦線を支えた個性派レスラーがマットを去った・・・

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野村つばさ(SPZ18期)

2026年7月7日、青森武闘館大会での対 ライラ神威戦でデビュー。2035年6月22日、さいたまドーム大会での対マイティ祐希子戦で引退。稼動月数108ヶ月、出場試合数(推定)784試合

タイトル歴:

第30代あばしりタッグ王者(パートナーはイージス中森)

写真集 1冊

2008年10月 4日 (土)

第512回 27年目6月 予選会リーグ戦(下)

27年目4月

第4戦は神戸大会
S千春(6点、延髄斬りからの片エビ固め23.13)八島(4点)

技のキレならセイレーン千春、馬力なら八島。予選会の好カードがここで組まれた。しかし試合の主導権を握っていたのはセイレーン千春。八島のパワーをかいくぐって痛打を浴びせる。
「ゼェ、ゼェ・・」
「ハイハイ終わり」
延髄斬り炸裂。これでセイレーン千春3連勝。八島静香、23分の奮闘むなしく2敗目・・・

M千秋(4点、バックドロップからの片エビ固め 6.45)斉藤彰(2点)

昨日の鳥取でノエル白石に4分で敗れた斉藤彰子、この日も実力者・マーメイド千秋にいいように攻め込まれ、6分で敗北。この選手、攻め込まれるともろい。

N白石(6点、バックドロップからの片エビ固め 10.20)S小縞(0点)

昨日同様一方的に攻めたノエル白石、途中スカーレット小縞のヘッドバットが鼻に入って流血するアクシデントはあったものの、バックドロップでS小縞を退けた。

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第5戦は福井大会、予選会リーグ戦も後半に入った
S小縞(2点、スリーパーホールド 10.59)斉藤彰(2点)

26期生どうしの対戦。強豪との対戦が続いて自分を見失っている斉藤彰子、何も考えず頭突きとラリアット、ドロップキックを連発するS小縞、手数に勝ってそのまま押し切り、スリーパーホールドでギブアップを奪った。

「ウ・・・ゲホッ、ゲホッ・・・」

繋ぎ技のスリーパーでマイッタしてしまった斉藤彰子、ここで痛すぎる4敗目を喫した・・・

M千秋(6点、バックドロップからの片エビ固め 14.01)H神田(2点)

終始押したマーメイド千秋、落ち着いてバックドロップで3カウント奪取。3勝目を挙げた。

N白石(8点、STOからの片エビ固め 13.14)S千春(6点)

全勝同士の対戦。しかしノエル白石がいつもどおりのゆったりファイト。そして頃合いを見てSTOでバッタンコ。ハイ終了。これぞノエルクオリティ。4連勝で予選会通過を決めた。

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第6戦は金沢大会。過酷な予選会も佳境に。
八島(6点、エルボーからの片エビ固め 9.31)斉藤彰(2点)

「この一撃にすべてをかける」
斉藤彰子、ジェットスマッシュを繰り出したが当たりが浅い。それでもリーグ戦最後を勝って終ろうとニーリフト、裏拳で八島をあと一歩まで追い込んだが、八島怒りのデスバレー。この一発で動きが止まった斉藤、続くエルボーに撃沈。

「ふー、危なかった・・・
八島、3勝目を挙げて予選会通過へぐっと近づいた。

M千秋(8点、STF 12.03)S千春(6点)

10ヶ月ぶりに実現した姉妹対決。勝ったほうが予選会通過が決まる。しかし実力はマーメイド千秋のほうが上、有利に試合を運びフィニッシュはSTF。マーメイド千秋も予選会突破を決めた。

N白石(10点、STOからの片エビ固め 7.02)H神田(2点)

ノエル白石、わずか7分で圧勝。これでハリケーン神田の予選会落ち、そして3勝を挙げている八島静香とセイレーン千春の予選会突破が決まった。

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そしてシリーズ第7戦は富山大会。予選会の結果は決まったが各人が熱いファイトを展開。
八島(8点、ジャンピングニーからの片エビ固め 10.13)S小縞(2点)

ガシイッ!
スカーレット小縞がラリアットを連発。しかし、

「効かねぇなあ」
八島静香余裕で受けきってしまう。この先の攻め手が見つからない小縞、それでもめげずにラリアットを4発叩き込んだが効果なく、八島のニーアタックに沈んだ。

H神田(4点、ゴッドハンドからの片エビ固め 18.15)S千春(6点)

予選会突破はならなかったハリケーン神田、同期の八島は8点を挙げて予選会を通過したのに・・・それでも懸命にセイレーン千春を攻め込んでゆく。手数に勝ったハリケーン神田、ゴッドハンド2連発でセイレーン千春を沈めた。ハリケーン神田、後輩の斉藤彰子に負けた一戦が響いて予選落ち・・・

N白石(12点、STOからの片エビ固め16.19)M千秋(8点)

ここまで全勝できていたノエル白石、さすがに疲れてしまったのかマーメイド千秋にズルズルと攻め込まれてしまうが、伝家の宝刀STOで形勢逆転、
「もう、終わりにするの・・・」
そして2度目のSTO,これで堂々の6連勝、予選会1位通過を決めた。

予選会2位通過は八島静香、3位通過マーメイド千秋、4位通過セイレーン千春となった。
そして最終戦さいたまドーム大会、野村つばさ引退興行・・・

2008年10月 3日 (金)

第511回 27年目6月 予選会リーグ戦(上)

27年目6月
「もう、ヘトヘトだよ~」

18期生の野村つばさが引退を表明。同期の武藤が引退してからも1年余り、前座戦線を引っ張ってきたが体力的な限界はいかんともしがたかった・・・

恒例のSPZクライマックス予選会。出場選手は下記の7人。

ノエル白石(前回本大会6点)

マーメイド千秋(前回本大会6点)

セイレーン千春(前回本大会0点)

ハリケーン神田(25期)

八島静香(25期)

斉藤彰子(26期)

スカーレット小縞(26期)

総当りリーグ戦を行い、上位4名が本大会に出場できる。
開幕戦山口大会、、第1試合で新人同士のシングルマッチ。霧島レイラVSマイティ祐希子。

「覚悟」

ものすごい頭突きを決めた霧島レイラ、これでマイティ祐希子から3カウントを奪い、うれしいシングル初勝利を挙げた。

さて予選会リーグ戦。

八島(2点、パワーボムからのエビ固め 12.12)H神田

25期生同士の対戦。あとの星勘定を考えると勝っておきたいところ。
「なめんな!」
八島静香、豪快なパワーボム。これでハリケーン神田を沈黙させた。
―これで格下に取りこぼさなければSPZクライマックスに出られる・・・

S千春(2点、延髄斬りからの片エビ固め15.53)斉藤彰

「諦めるなよ。3つ取られるまで」

今シリーズ姉のC斉藤が負傷欠場。電話で上記の指示を受けたが、試練のシングルマッチが続く。斉藤彰子、掌底をばきばき打っていったが、セイレーン千春のスクラップバスターに動きを止められてしまう。
「くっ・・・」

「おらよ、これが蹴りだ」

セイレーン千春延髄斬り、これで3カウントを奪取。

「ははは、弱すぎだよお前」

勝負タイム15分53秒、善戦健闘したが、得点争いのリーグ戦では負けは0点である・・・

M千秋(2点、バックドロップからの片エビ固め 12.19)S小縞

「ヒャハハハハハハ」
マーメイド千秋、STFでスカーレット小縞をじわじわとなぶり殺し。そしてバックドロップ。アイドルレスラーをこれで退けた。

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第2戦島根くにびき大会。第1試合で大波乱が。
「マットに沈めーーー」

新人の霧島レイラがなんとDDTでズンと野村の首をマットへ。霧島レイラ、けっこう力はある。野村つばさ、これで首を痛めたのか、新人相手にカウント3を許してしまった。霧島レイラ、デビュー3ヶ月目で先輩相手から1勝をあげた。

「やった・・・・これからガンガン勝ち進むぜ!」

「うう・・・痛い、首が痛いよ・・・っ」

さて予選会リーグ戦。

斉藤彰(2点、飛燕脚からの片エビ固め)H神田(0点)
「せっ!」
斉藤彰子の掌底でハリケーン神田流血。けっこうおびただしい出血だ。斉藤、大チャンス到来

「この一撃にすべてをかける!」
斉藤彰子、繰り出した技はジェットスマッシュ!

ウォォォォォォォ!
姉のコンバット斉藤から伝授されたのか、ここ島根で初披露!

「がは・・・」
大きく吹っ飛ぶH神田。続くフォールこそカウント2.8で返したが、表情は狼狽していた。

―なんて蹴りだ・・・
「ウォーッ!!」
裂帛の気合いとともに続く飛燕脚。蹴り連打を食らって昏倒するハリケーン神田。のしかかる斉藤彰子、

ワン、トゥ、スリー。

ワアアアアアッ!!

斉藤彰子が先輩越えを果たした。

「・・・まさか斉藤がジェットスマッシュを覚えてるとは思いもよらなかった、油断しました。どちらが先輩だか分かりませんね」

ハリケーン神田2連敗。ここから巻き返しはあるのか。

S千春(4点、延髄斬りからの片エビ固め 12.27 )S小縞(0点)

同期の斉藤彰子の1勝に触発された小縞、果敢にヘッドバットを打っていったが、攻めづかれたところを逆襲されて・・・

N白石(2点、STOからの片エビ固め 13.11)八島(2点)

久しぶりに予選会のマットに上がったノエル白石、しかしファイトスタイルはいつもの春風駘蕩。八島の気迫を正面から受け止める。そして頃合いを見て強烈なスクラップバスター。これはこれで伝統芸能だ。

が す 。
ノエル白石の強烈ヘッドバットが八島をたじろがす。

「えっと・・・」
そして決まった伝家の宝刀STO,アナウンサーが「出たー、殺人バッタンコー!」と叫ぶ。ノエル白石危なげなく後輩の挑戦を退けた。

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第3戦鳥取大会、リーグ戦は続く。

H神田(2点、ゴッドハンドからの片エビ固め 12.28)S小縞(0点)

もうこれ以上は負けられないハリケーン神田。懸命に勝ち星を取りにいく。
「これでも食らえ!」
スカーレット小縞の元気いっぱいのラリアットにあわてたが、
「くらえっ」
ゴッドハンド炸裂。1度目は返したが2度目で完全ノックアウト。

八島(4点、ドロップキックからの片エビ固め 14.29)M千秋(2点)

前半はマーメイド千秋のペースだったが、後半、八島もデスバレー、パワーボムを繰り出すなど逆襲に転じた。パワーボムが効いたのか、マーメイド千秋の動きが止まってしまい、タックル、ドロップキックとしゃにむに攻めた八島が3カウントを奪ってしまった。

N白石(4点、ニーリフトからの片エビ固め 4.31)斉藤彰(2点)

冒頭の重いタックル2連発で斉藤彰子が怯み、ノエル白石、そこへ一気のSTO,これで決定的ダメージを追った斉藤にニーリフト。これで終わってしまった。5分もたなかった斉藤彰子、一方的な敗戦。控室で涙を流した・・・

2008年10月 2日 (木)

入場テーマ曲SS7 「Red Fraction」

入場テーマ曲SS

吉田龍子:「Red Fraction」(MELL)
ゼエッ、ゼエッ、ゼエッ・・・
2020年(SPZ12年目)8月、真夏の祭典SPZクライマックス。

吉田龍子は控室奥でぜいぜいと荒い息をついていた。今年のSクラは優勝争いが混戦となり、5連覇を狙った吉田龍子だがリーグ戦でスイレン草薙に1敗を喫してしまい、最終戦横スペ大会メインで組まれたハイブリッド南との公式リーグ戦最終戦でなんとか勝って得点を12点とし、ハイブリッド南・スイレン草薙との同率決定戦に持ち込んだ。

そして優勝決定戦第1戦、メインに続きハイブリッド南の関節技攻勢を耐えてシューティングスタープレスでトドメを刺したが、優勝するためにはなおもう1試合闘わねばならない。

ただでさえものすごい集中力を要する宿敵・ハイブリッド南との闘いを2試合、計51分闘って、吉田龍子ズタズタの状態。このあとさらにスイレン草薙との闘いが控えている。しかも相手のスイレンはセミファイナルで菊池に楽勝してさほど疲れていない。

「勘弁してくれよ・・・」

控え室の床に毛布を敷いて寝そべる吉田龍子。リング上ではボンバー来島と菊池理宇が客席へのカラーボール投げを行って場を持たせている。

「龍子さん、ここまできたら技や体力じゃないですよ。魂で勝つしかないですよ」

セコンドの同期、渡辺智美が励ます。

「魂、ねえ・・・」

 「それに龍子さん9人斬りやったことあるでしょう。」

「4年前の話だよ。それにあの時は素人が3人混じってた。」

そうこうしている間にインターバルは終わり、優勝決定戦第2試合が始まる。

 「あー、家に帰って風呂入って寝たい~。Sクラなんて、もうこりごりだ、2度と出たくない」

さすがの吉田もかなりまいっているようだ。
そこへお忍び観戦に来ていた今野前社長と小川ひかるが現れた。

「あ、社長、小川さん・・・・」

吉田は起き上がって挨拶する。

「吉田さん、もうここまで来たら勝っても負けても吉田さんの伝説は残る。好き勝手に暴れてきた方が良いと思うよ」

「吉田さんはまだ本当の力を出していないと思います。いい試合をしようなんて思わないで、やりたいファイトを思い切りやれば結果はついてくると思いますよ」

小川ひかるも助言する。
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午後8時31分、いよいよ優勝決定戦第2試合が始まる。青コーナー側からスイレン草薙が入場したあと、吉田龍子のテーマ「Red Fraction」がかかる。

「♪I have a big gun 、 I took it from my Lord・・・」

攻撃的サウンドが会場に響く。吉田龍子、まだ控室奥でイスに座っていたが、この地震のテーマ曲を聞くや表情が一変した。

「さあ、いこうか。」

「♪Light up the fire、Right on the power 、
Weapon、I have it all」

吉田龍子、決然とした表情で最終決戦のリングへ向かった。

2008年10月 1日 (水)

ギムレット美月の「それから」(4)

(頭が痛いので本日は事前に作っていた完全妄想作話をコピペしてお茶を濁します)

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ギムレット美月の「それから」(4)

東京品川にある株式会社ギムレットオフィス。10坪くらいのスペースに社長の机とイスとパソコン、そしてロッカー、来客用のソファー一式とティーセットがあるだけのオフィス。
2035年(SPZ27年目)5月のある水曜日、社長の八重樫美月32歳は社長イスに座りながらインターネットで遊んでいた。参戦オファーは向こう1週間ないので社長イスに座っているしかない。

「ああ・・・ふ・・・・」
昼下がり、お茶を飲みせんべいを食べながらぼうっと過ごしていると、ルルルルと電話が鳴った。

ーはいはい、電話ですね。
ギムレット美月、お茶でせんべいを流し込んでから受話器を取った。
「お電話ありがとうございます、株式会社ギムレットオフィスです」

相手は知り合いの不動産屋、山下開発だった。
「あ・・・・はい・・・そうですか、それでは明日、10時に現地にお伺いいたします」

その翌日、ギムレット美月は東京調布の家電店跡の物件を視察した。
国道沿いのロードサイド、しかも駐車場台数もそこそこあり、駅からも歩いていける・・・ねらい目かもしれませんね。

山下開発さんに入り口の鍵を開けてもらって中に入る。
「撤退した家電店なので中はこんな感じなのですが」

300坪くらいの店内には、殺風景なレジカウンターや伝票入れに使っていたであろうレターケースが転がっていて、フロアにはゴンドラやフック什器が撤去されず散乱している状態。壁には「安値宣言、どこよりも安い ファイヤー」などと大書かれた看板が。

―広さはまずまず。天井の高さもある。
元家電量販店なのでトイレも完備していて、売り場の奥には事務所もあった。スチール机とロッカーが無造作に置かれ、壁には「売上必達 火の玉となれ」などというスローガンが貼られている。

「この物件は2年前まで家電量販店ローカルチェーン、ソラシド社の調布つつじヶ丘店でした。ご多分にもれず昨今の家電業界の競争は熾烈で、業界首位のタナカ電気が出店したことによりあっさり赤字転落し撤退に追い込まれそれ以来廃墟になっております」

事務所の奥には休憩室があり、冷蔵庫やソファーが撤去されずに残っていた、ここにも「笑顔でクロージング 社員全員ノルマ必達 ファイト無き者は去れ」などと横断幕が。どうもこの家電店は精神主義が大好きだったらしい。

―休憩室は控室に転用できそうですね。

そのあと細かい条件面の説明を受ける。この物件を所有していた家電量販店チェーンは経営が苦しく、現金が欲しいため売却を検討しているらしく、破格の値段で売りにだされた。ギムレットオフィスにとっては大変な買い物だったが、頭の良い八重樫社長32歳は、この物件をプロレス会場に改装すれば集客が見込めることを判断し、物件取得を判断した。

売買契約の締結など、書類関係のチェックはまあ餅は餅屋ということでSPZ時代の先輩で公認会計士、今野ひかるを同席させて対応した。かくしてギムレット美月は今まで稼いだ資産のかなりの部分を使ったものの、プロレス会場用の自社物件を手に入れた。

―でも、完全な居抜きですから。内装とかそのへんに、またお金をかけないといけませんね。まずはこのガラクタを片付けないと。

引渡し日の1週間後、八重樫美月は品川の10坪のオフィスを引き払い、調布に取得した元家電店の事務所に本社を移転した。ここで改装の陣頭指揮を取る方が効率がいい。

転がっていたスチール製机のひとつをありがたくいただいて、愛用のノートパソコンを載せる。引き出しを開けるとA4にして1枚の檄文が。前に使っていた人が入れっぱなしにしておいたのだろう。

「やればできる やらねばならぬ 目標必達 」

―まるで今の私のためにあるような言葉ですね。

ギムレット美月、稼ぐためにもうしばらくはリングで身体を張らないといけない。知り合いのプロレス団体経営者に本社移転の挨拶と営業の電話を掛けまくるため、受話器に向かった。
「いつもお世話になっております、ギムレットオフィスの八重樫と申します・・・」

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