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2009年1月 2日 (金)

第577回 外伝SS ライラ神威の「それから」

筆者より、お正月特番ということで、書き下ろしSSをさらします。

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石川町の居酒屋トムラウシ潜入記。

横浜から電車で7分、根岸線石川町駅を出て海方向に歩いて数分、ライラ神威プロデュース居酒屋「トムラウシ」がある。

「ついたぞ・・・ここだ」

SPZファン、中年男性の二人組がこわごわ暖簾をくぐる。入り口には「トムラウシ」と大書きされた看板がががが。SPZで恐怖の大王として君臨したあのライラ神威、どんなものを食わせるのだろうか。入ったら出て来れないかもしれないが・・・

「ご来店ありがとうございます!」

厨房・ホールのスタッフがいっせいに挨拶する。どうやらまともな居酒屋のようだ。壁には手書きのメニューが所狭しと貼られている。

(海鮮炉辺焼き)焼きホタテ 600円 焼きジャガイモ 350円 焼きホッケ 700円 焼きコマイ 650円 焼きサンマ 300円 焼きカレイ 700円 焼きイカ 500円

黒を基調とした落ち着いたインテリアの店内。2人はカウンター席に座った。カウンター内のキッチンでジャガイモを焼いているのが、どことなく見覚えのある若い女性、名札には「島宮」とある。素顔をさらしているのでひと目では気づきにくいが、間違いなくあのライラ神威だ。

(おつまみ)ポテトサラダ 350円 ニシン漬け 350円 ホタテフライ 650円 ホッケの煮付け 700円 ジンギスカン950円 モズク酢250円 しめ鯖 550円 ハムサラダ450円

平日だからか、店内はまばら。それほど繁盛しているというわけではない。食の激戦区横浜だし、料理もそんなのうまいという評判ではない。

(お食事もの)豚丼500円 スープカレー550円 必殺カレー700円 ペペロンチーノ500円 アラビアータ550円 カルボナーラ520円

とりあえずワインを注文する。もちろん十勝産の「トカップ」である。

「あの・・・ライラ神威さんですか?」

客のひとりがおそるおそる問う。

 「まあ、昔は・・そうだったね。今は北海道居酒屋の店員ですよ。」

そう言って島宮さんはジャガイモを炭火で焼き始める。

「年末のマスターズ戦には、出るんですか?」

 「さあ、どうだろうね、カードには入らないと思うけど店の宣伝がてら顔を出すよ。見たとおりお客さんは入ってないからさ」

やはり横浜という場所柄、競合が多く売上は伸び悩んでいるらしい。

お飲み物)生ビール350円 エーデルピルス450円 十勝ワイン(赤・白)300円 北の大空(日本酒・一合)420円 知床岬(日本酒・一合)780円

ふたりで焼きホッケをつつく。チェーン居酒屋のものよりうまい。北海道の味だ。

(ソフトドリンク)コーヒー210円 紅茶210円 トムラウシ水 200円 キリンレモン200円 玉露200円

「焼き物は美味しいですね」

 「まあな。北海道から素材のいいものをヒコーキで運んでるから」

「じゃあ次は、しめ鯖を」

「あ、悪いね。しめ鯖きょうは売り切れ。板前見習いの松本がカゼで休んじゃって。あたしは作れないから。はは。」

現役時代ライラ神威は花道での悪行三昧のたびに心無いファンからしめ鯖を投げつけられたのは有名な話で、本にもそれをネタにしてメニューに加えている。

「じゃあホッケの煮付け」

「あいよ」

そう言って島宮さんは小鍋にホッケのブツ切りと玉ねぎをほうり込んで、だし汁らしき物を入れてから火にかけ始めた。

「東京の人はホッケは焼いて食うもんだけどね。北海道じゃあ安いからさ、煮たりね、刺身にしても食うんだ」

デザート)ヨーグルトパフェ500円 ショコラパルフェ500円 ショコラケーキ400円 北海道バニラアイス300円 抹茶アイス400円

二人はホッケの煮付けをサカナにビールを飲んだ。

「島宮さん、PDF(SPZの悪役集団)はどうですか?」

「まあよくやってんじゃないかな、千秋選手は。ただいまのSPZはマイティ祐希子のワンマンショーだからね。コンバット斉藤ちゃんももうそろそろ潮時だしね。若手でイキのいいのが出てくればいいけどね」

「じゃあ〆になんか食べます、お勧めは?」

 「うーんそうだね、あばしりで練習させられまくったペペロンチーノかな・・・」

島宮さん、引退後しばらくは「喫茶あばしり」でフードビジネスのノウハウを叩き込まれた。経営術よりも「飲食店はうまいもの出してナンボよ」という鈴波店長の教えでスパゲティ類を特訓させられたらしい。

出てきたペペロンチーノ、イタリアンレストランの味には到底及ばなかったが、ライラ神威の心がこもった味だった。

「久々にSPZファンが来たからな、お茶サービスするよ。惚れ玉露。」
ペペロンチーノを食べ終わった二人にサービスでお茶が出てくる。

「おいしいですね。これけっこういい玉露だ。」

「まあ、アイツが送ってきやがるんだ。静岡川根産だってさ。敵にお茶贈られちゃったよ」

壁に飾られた色紙には仇敵、武藤めぐみのサインがががが。

「祝開店、ライラ神威様。武藤めぐみ」

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