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2009年1月 6日 (火)

新春特別外伝SS イージス中森の彼氏(下)

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昨日に引き続き外伝「イージス中森の彼氏」をお送りいたします。

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そして一週間後、10日目、川崎大会結びの一番。

「西方、関脇、鳥ノ詩ーーーー」

「東方、横綱、砂漠乃雪ーーー!!」

9連勝同士の対戦。勝った方が優勝へ大きく近づく大一番。

両雄、仕切りながら徐々に闘志を高めてゆく。

「制限時間いっぱい、用意してください」

土俵奉行が指示。そしてぶつかる。

「鳥さん、前に出て!」

中森が花道奥から声援を送る。

はっけよい!

ぶつかる。鳥ノ詩、当たった後すぐに前に出る。全身を躍動させながら前に出る。休まずがばがばと寄る。轟きわたる歓声。あっというまに砂漠乃雪を、土俵際まで追い詰めた。

―いける。いけるぞ!

鳥ノ詩、とどめの右のど輪を繰り出そうとしたが、読んでいた砂漠乃雪、顎を引いてノド輪を顔で受けて体勢が崩れるのを防ぐ。そして右腕はしっかりと上手を引いて、

「うぉあああああーーー」

砂漠乃雪、渾身の右上手投げ。これで逆転。鳥ノ詩、派手に土俵外に叩きつけられた。
「ただいまの決まり手は、上手投げで砂漠乃雪の勝ち」

「はー、勝てなかった・・・・」

打ち出し後、大田区にある鳥ノ詩の自宅マンション。NSAは部屋制度が存在しないので、地方巡業以外は選手は自宅からの通いなのである。

NSAの新鋭力士・鳥ノ詩(本名:鳥海和也)の彼女がSPZの看板レスラー、イージス中森(本名:中森登志子)

「でもお客さんは沸いてましたよ」

「はー、でもなあ、砂漠関は残り5つ多分取りこぼさないだろうし、大関取りがなあ・・・・」

「切り替えて次のチャンス狙いなさいよ。人生いいことばかりじゃないよ、ほら、お肉煮えてきたよ」

大一番敗戦の残念会を二人で行っている。二人で鍋パーティー。イージス中森、勝手知ったる表情で冷蔵庫から缶ビールを取り出し、二つのグラスに注ぐ。

「じゃ、カンパイ・・・」

「いいの、中森さん?・・・クルマでしょ?」

「・・・・泊まって・・・いきますからっ」

「・・・・はい。」

二人は3年前にスポーツ番組の対談で知り合い、意気投合して交際を続けている。お互い真面目で仕事熱心な性格のアスリート同士なので、打ち解けるのも早かった。

二人で黙々とビールを飲みながら牛肉の鍋をつつく。

「鳥さん、私・・・いまの仕事、多分辞めると思う」

 「・・・そうか」

「投げられるたびに腰が痛くなってきた。多分ダメだと思います」

 「ボルタレンは・・・」

「飲んでるけど効かなくなってきた。量を増やすと胃がおかしくなっちゃう」

 「そっか・・・・でも、ベルトまだ持ってるでしょう」

「そこなんだよねえ」

イージス中森のほうが一つ年上で、年の差はないが、イージス中森はプロレスデビューが早くて15歳からレスラー生活を続け、もう10年になるので全身ボロボロの状態。

「まあ、今日明日の話じゃないから。お互い頑張りましょう」

 「そうだね」

夕食後、イージス中森が後片付けをする間、鳥ノ詩が録画しておいたスポーツニュースで自分の取り組みをチェック。

何回も見る。なぜ負けたのか。どこが悪かったのか、負けた試合は10回は見る。イージス中森がやってることを真似して、その効果も実際に出てきている。

 「ここかなぁ、追い詰めたまでは良かったんだけど、のど輪出そうとするところ読まれちゃってたかなぁ」

「そうですね。目があわててないですね、この選手」

イージス中森もコマ送りを見る。

「あの場面、そのまま身体を預けて突っ込んでいったほうが負けない確率はあったんじゃないでしょうか」

 「うん、オレもそう思った、・・・・・勝ちたかったな・・・」

「頑張れー、また次があるんだから」

 「はい。分かりました」

そう言って鳥ノ詩、コマ送りを止めた。

そのあと二人、たわいもない話をしたりして過ごし、日付が変わるころ、どちらともなく視線がぶつかり、

「・・・・・・・」

「鳥さん・・・・・」

唇を合わせた。

(以下数ページ省略)
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翌日、NSAは藤沢での興行。

「東方、関脇、鳥ノ詩!」

ドワアアアアア

「西方、前頭2枚目、源氏丸」

昨日善戦したが横綱に惜敗した鳥ノ詩、優勝争いから後退したので気落ちしていなければいいが・・・・よりによってきょうの対戦相手は巨漢力士、源氏丸である。

―オレは諦めない。いつか、頂点に立つことを・・・

「はっけよい!」

鳥ノ詩、セオリーどおり回りこんで横から攻める。頭をつけてのはず押しで相手の上体を起こす。みごとな速攻、たまらず源氏丸は土俵を割った。

―見ていてくれ、登志子さん。

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