第625回 31年目9月 マイティ祐希子を潰す会
(前半部分書き下ろし)
「なにいっ?『マイティ祐希子弁当』だとうっ!?」
霧島レイラが週刊ハッスルをめくりながら叫ぶ。
SPZの絶対的エースとして君臨するマイティ祐希子(SPZ27期)、日本人選手ではもはや敵なし。吉田龍子、B市ヶ谷、武藤めぐみ、コンバット斉藤といった過去の大横綱クラス選手にならぶ、いやそれ以上の存在感か。
これに目をつけた横浜のお嬢様プロレス団体、『スーパースターズプロレスリング・ゼット』は、弁当屋とタイアップして9月シリーズの最終戦さいたまドーム大会で数量限定で『マイティ祐希子弁当』(税込み5,000円)を売り出すという暴挙に出た。
内容を一言で言ってしまえば「食通レスラーのマイティ祐希子が全国巡業で美味しいと感じたものをそのまま弁当にしてしまった」もので、リングを模した三段重ねのお重にぎっしりと美味い物が。いや普通の人はそんなに食えません。止める製作サイドも聞かず実質5人前相当の「マイティ祐希子弁当」が発売されてしまう。ちなみに中身は下記の通り。
最上段(東日本編):八戸産ホタテフライ、北海道産ジャガイモとえびのコロッケ、厚岸産カキのグラタン、焼きアスパラガス、北海道産コーンサラダ、焼き牛タン、宇都宮餃子、マグロの照り焼き、いくらごはん、江戸前穴子寿司
二段目(西日本編):阿蘇高原豚とんかつ、松阪牛と筍の煮物、諏訪産ワカサギのフライ、車海老の天ぷら、筑前煮、信濃川上産ローストビーフとレタスのサラダ、たこ焼き、京野菜の漬け物、醒ヶ井の鱒寿司、いよかんゼリー、きんつば
三段目(横浜編):焼きビーフン、シュウマイ、エビチャーハン、かに玉風オムレツ、唐揚げ、えびと青豆の炒め、杏仁豆腐
「試食したマイティ祐希子は1人できれいに平らげ『まあまあイメージ通りですね』とGOサインを出した」が、1人観戦の場合は会場で食べきるのは至難の業、いや身体を壊すだろう、3-4人で観戦で食べるか、お持ち帰りが妥当だろう・・・・と記事には書いてあった。
あきれた霧島レイラ、週刊ハッスルを放り出してため息。ある意味、」写真集発売より性質が悪い。
「そろそろ、アイツにばかりエース顔されるのもね・・・・」
霧島レイラが動き始めた。
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(以下は事前に書き溜めていた部分)
31年目9月
「このままではSPZが腐ってしまう!あたしたちが革命を起こす!」
霧島レイラ(SPZ27期)、藤原和美(SPZ28期)、RIKKA(SPZ29期)の3名が「革命軍」結成を宣言。要するにマイティ祐希子をつぶす会らしい。
「上に行くために、霧島さんとタッグを組みたいと思います」
28期の藤原はいままで本隊サイドで戦っていたが、いまいち伸びないので革命軍に身を投じた。したがって霧島とスカ小のタッグは解散。藤原中江の28期生タッグも解散。SPZマットは風雲急を告げる事態となった。
9月シリーズ初戦鹿児島大会、霧島レイラ、藤原和美、RIKKAの3人が初めて同じコーナーに立った。対戦相手はマイティ祐希子、八島静香、スカ小のSPZ本隊3人。
だがマイティ祐希子強い。革命軍の3人が束になっても敵わない。だんだん革命軍は追い込まれていった。
「おらあっ」
そして疲れたところへ八島のタックル攻め。藤原がマットになぎ倒される。これは恐ろしい。それでも革命軍はチームリーダーの霧島が奮闘。先月までのパートナー、スカ小に裏投げ。しかしスカ小もタイガードライバーでお返し。
これで頭を打ってぐらついた霧島レイラ、マイティ祐希子のニーリフトを食らって終了。勝負タイム21分32秒。革命軍の初戦は苦かった・・・
「まだまだ、アイツを潰すまでやるよ!」
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9月シリーズ最終戦はさいたまドーム大会。話題を呼んだ5000円の「マイティ祐希子弁当」は事前予約がかなりあったこともあり、用意された100食は無事完売した。もっとも団体客が分け合って食べるパターンが多かったらしい・・・・
メインはSPZ戦、SPZ王者マイティ祐希子に挑む、今回の挑戦者は元王者のジェーン・メガライト。マイティ祐希子が正面からやっても必ず勝てるとは言い切れない数少ない選手。
しかし今回はマイティ祐希子が積極的に攻めてジェーンに付け入る隙を与えない。ジェーンも終盤、ベリートゥバックをリング内、続けて場外で放って見せ場は作ったが、最後は受けきったM祐希子がダイビングプレスで勝利。勝負タイム23分53秒。
「誰の挑戦でも受けるわよ!!」
マイティ祐希子、2度目の防衛に成功するとともに、シングルマッチの連勝を11に伸ばした。
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