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2009年2月28日 (土)

第625回 31年目9月 マイティ祐希子を潰す会

(前半部分書き下ろし)

「なにいっ?『マイティ祐希子弁当』だとうっ!?」

霧島レイラが週刊ハッスルをめくりながら叫ぶ。

SPZの絶対的エースとして君臨するマイティ祐希子(SPZ27期)、日本人選手ではもはや敵なし。吉田龍子、B市ヶ谷、武藤めぐみ、コンバット斉藤といった過去の大横綱クラス選手にならぶ、いやそれ以上の存在感か。

これに目をつけた横浜のお嬢様プロレス団体、『スーパースターズプロレスリング・ゼット』は、弁当屋とタイアップして9月シリーズの最終戦さいたまドーム大会で数量限定で『マイティ祐希子弁当』(税込み5,000円)を売り出すという暴挙に出た。

内容を一言で言ってしまえば「食通レスラーのマイティ祐希子が全国巡業で美味しいと感じたものをそのまま弁当にしてしまった」もので、リングを模した三段重ねのお重にぎっしりと美味い物が。いや普通の人はそんなに食えません。止める製作サイドも聞かず実質5人前相当の「マイティ祐希子弁当」が発売されてしまう。ちなみに中身は下記の通り。

最上段(東日本編):八戸産ホタテフライ、北海道産ジャガイモとえびのコロッケ、厚岸産カキのグラタン、焼きアスパラガス、北海道産コーンサラダ、焼き牛タン、宇都宮餃子、マグロの照り焼き、いくらごはん、江戸前穴子寿司

二段目(西日本編):阿蘇高原豚とんかつ、松阪牛と筍の煮物、諏訪産ワカサギのフライ、車海老の天ぷら、筑前煮、信濃川上産ローストビーフとレタスのサラダ、たこ焼き、京野菜の漬け物、醒ヶ井の鱒寿司、いよかんゼリー、きんつば

三段目(横浜編):焼きビーフン、シュウマイ、エビチャーハン、かに玉風オムレツ、唐揚げ、えびと青豆の炒め、杏仁豆腐

「試食したマイティ祐希子は1人できれいに平らげ『まあまあイメージ通りですね』とGOサインを出した」が、1人観戦の場合は会場で食べきるのは至難の業、いや身体を壊すだろう、3-4人で観戦で食べるか、お持ち帰りが妥当だろう・・・・と記事には書いてあった。

あきれた霧島レイラ、週刊ハッスルを放り出してため息。ある意味、」写真集発売より性質が悪い。

「そろそろ、アイツにばかりエース顔されるのもね・・・・」

霧島レイラが動き始めた。

***********************

(以下は事前に書き溜めていた部分)

31年目9月

「このままではSPZが腐ってしまう!あたしたちが革命を起こす!」

霧島レイラ(SPZ27期)、藤原和美(SPZ28期)、RIKKA(SPZ29期)の3名が「革命軍」結成を宣言。要するにマイティ祐希子をつぶす会らしい。

「上に行くために、霧島さんとタッグを組みたいと思います」

28期の藤原はいままで本隊サイドで戦っていたが、いまいち伸びないので革命軍に身を投じた。したがって霧島とスカ小のタッグは解散。藤原中江の28期生タッグも解散。SPZマットは風雲急を告げる事態となった。

9月シリーズ初戦鹿児島大会、霧島レイラ、藤原和美、RIKKAの3人が初めて同じコーナーに立った。対戦相手はマイティ祐希子、八島静香、スカ小のSPZ本隊3人。

だがマイティ祐希子強い。革命軍の3人が束になっても敵わない。だんだん革命軍は追い込まれていった。

「おらあっ」

そして疲れたところへ八島のタックル攻め。藤原がマットになぎ倒される。これは恐ろしい。それでも革命軍はチームリーダーの霧島が奮闘。先月までのパートナー、スカ小に裏投げ。しかしスカ小もタイガードライバーでお返し。

これで頭を打ってぐらついた霧島レイラ、マイティ祐希子のニーリフトを食らって終了。勝負タイム21分32秒。革命軍の初戦は苦かった・・・

「まだまだ、アイツを潰すまでやるよ!」

***************************

9月シリーズ最終戦はさいたまドーム大会。話題を呼んだ5000円の「マイティ祐希子弁当」は事前予約がかなりあったこともあり、用意された100食は無事完売した。もっとも団体客が分け合って食べるパターンが多かったらしい・・・・

メインはSPZ戦、SPZ王者マイティ祐希子に挑む、今回の挑戦者は元王者のジェーン・メガライト。マイティ祐希子が正面からやっても必ず勝てるとは言い切れない数少ない選手。

しかし今回はマイティ祐希子が積極的に攻めてジェーンに付け入る隙を与えない。ジェーンも終盤、ベリートゥバックをリング内、続けて場外で放って見せ場は作ったが、最後は受けきったM祐希子がダイビングプレスで勝利。勝負タイム23分53秒。

「誰の挑戦でも受けるわよ!!」

マイティ祐希子、2度目の防衛に成功するとともに、シングルマッチの連勝を11に伸ばした。

2009年2月27日 (金)

第624回 31年目9月時点のプログラムから

31年目9月

横浜のお嬢様プロレス団体・SPZの興行時に無料配布される、プログラムの選手紹介一挙掲載。

悪の狼 マーメイド千秋

本名:川上千秋、2015年1月5日、鳥取県境港市出身。SPZ22期生として2030年5月11日、鹿児島県営公園大会の対コンバット斉藤戦でデビュー。セイレーン千春と姉妹同時デビュー。姉のセイレーン千春とタッグを組んで、小気味いいヒールファイトで会場を沸かせ、あばしりタッグ王座、SPZタッグ王座を戴冠。現在は悪役軍団・PDFに所属し悪の参謀として活躍。得意技はフィッシャーマンバスター。

テーマ曲:SEEK&DESTROY(メタリカ)

狂乱の舞い ナイトメア神威

本名:高瀬真美 2015年7月16日、北海道新得町出身。その身体能力の高さに同郷のライラ神威が目をつけ、SPZ23期生として2031年5月10日、高知県体育館での対成瀬唯戦でデビュー。最近では拘束ベルトをして入場し、解放されるとライラ以上の狂乱ファイトを展開し、対戦相手を恐怖に陥れる。

得意技は地獄落とし。2035年のSPZクライマックスではコンバット斉藤との決戦を制しみごと全勝優勝。SPZ世界王者にも2度輝き、悪役集団PDFの頭目としてますます暴虐の限りをつくす。

テーマ曲:レクイエム、怒りの日(W/A/Mozart)

ゴッドハンド ハリケーン神田

本名:神田友子、2018年1月1日、茨城県土浦市出身。学生時代はキックボクシングで身体を鍛え、SPZ25期生として入門。2033年5月11日、高知県体育館大会での対セイレーン千春戦でデビュー。キックボクシングの経験を生かした打撃は強烈。ライラ神威とタッグを組んであばしりタッグ王者に輝き、同期の八島静香と組んでSPZ世界タッグ王者に輝く。得意技はゴッドハンド(重い裏拳)

テーマ曲:ワルキューレの騎行 (ワーグナー)

女ケンカ番長 八島静香

本名:同じ、2017年11月13日、島根県浜田市出身。実家が漁師で、家業の手伝いをするうちに体力がついた経歴を持つ。中学時代は女番長で警察に補導されることもしばしばだったが、改心してSPZの入門テストを受験。見事合格し2033年5月11日、高知県体育館での対 野村つばさ戦でデビュー。高い身体能力を生かし、トップグループに殴りこみをかけてきて、同期のハリケーン神田と組んでSPZ世界タッグ王者に輝く。得意技はデスバレーボム。

テーマ曲:アルルの女、ファランドール(ビゼー)

爆烈空手道 斉藤彰子

本名:同じ。2019年2月4日、三重県四日市市出身。姉であるコンバット斉藤と同じく子供の頃から空手に打ち込み、姉のあとを追うようにSPZ入り。SPZ26期生として2034年5月10日、長崎アリーナ大会での対八島静香戦でデビュー。

姉譲りの蹴り主体のファイトで会場を沸かせる。コンバット斉藤との姉妹タッグでSPZタッグ王座を戴冠。得意技は飛燕脚、ジェットスマッシュ。

テーマ曲:Give me up (マイケル・フォーチュナティ)

最強のアイドル スカーレット小縞

本名:小縞緑。2018年6月9日、和歌山県和歌山市出身。抜群のルックスに目をつけたSPZにスカウトされ、SPZ26期生として2034年5月10日、長崎アリーナ大会でのハリケーン神田戦でデビュー。

アイドルレスラー扱いながら実家が寿司屋であり、荷物運びや食器洗いの手伝いをしていただけあってナチュラルパワーは相当なものがあり、得意技のラリアットはかなりの威力。同期の斉藤彰子と出世競争を繰り広げ、霧島レイラと組んでSPZタッグ王者に輝く。

テーマ曲:Do you know the Magic?(詩月カオリ)

SPZの格闘クイーン マイティ祐希子

本名:子安祐希子 2020年3月3日、山口県宇部市出身。井上霧子にスカウトされ、SPZ27期生として2035年4月17日、釧路アリーナ大会での対 斉藤彰子戦でデビュー。新人離れした動きを見せ、先輩レスラーや外国人選手を次々に撃破し、トップへの階段を駆け上がり、入門から2年でSPZ世界王者のベルトを巻く。

SPZクライマックスも第30回、第31回と2年連続全勝優勝という偉業を成し遂げ、歴代の大エースにと肩を並べるようになった。得意技はムーンサルトプレス、ノーザンライトスープレックスホールド。

テーマ曲:disintegration(Lia)

みなぎるパワー大砲だ 霧島レイラ

本名:霧島聡子 2020年2月4日、岩手県花巻市出身。SPZの新人テストに合格し、SPZ27期生として2035年4月20日、仙台市グランドアリーナ大会での対 スカーレット小縞戦でデビュー。持ち前の馬力を生かしたファイトでトップグループ入りし、2039年5月にはついにジェーンメガライトを破りSPZ世界王者に輝く。得意技はスプラッシュマウンテン、ラリアット。

入場テーマ曲:ゴーストバスターズのテーマ(Ray Parker Jr)

SPZのスター 藤原和美

本名・同じ 2021年1月22日、栃木県小山市出身。中学時代はアマレスと陸上競技で身体を鍛える。SPZにスカウトされ、2036年5月11日、長崎アリーナ大会での 対 斉藤彰子戦でデビュー。

多くの関係者が身体能力の高さで期待しており、明日のエース目指して奮闘中。同期の中江里奈とは激しい出世争いを繰りひろげる一方、あばしりタッグ王者に輝く。得意技はJOサイクロン、ジャーマンスープレックス。

テーマ曲:ライディーン

ブルファイトハリケーン 中江里奈

本名・同じ 2021年1月6日、秋田県本荘市出身。SPZ入門テストに合格し、28期生として2036年5月11日、長崎アリーナ大会での対 霧島レイラ戦でデビュー。パワーには自信があると本人も話しているとおり、力任せのファイトでトップグループ入りをうかがう。同期の藤原和美と組んであばしりタッグ王座を戴冠。得意技はパワーボム、ラリアット。

テーマ曲:sweet passion(栗林みな実)

音速の忍者 RIKKA

本名:非公開、2021年7月18日、山梨県早川町出身、幼少の頃より奈良田の里で忍者としての修行を積み、REKIの紹介でプロレスの道を選び、SPZ29期生として2028年5月16日、高知市立体育館での対 中江里奈戦でデビュー。

忍者ならではの軽快な身のこなしを生かしたファイトで観客の度肝を抜く。得意技は農鳥、フェイスクラッシャー。

テーマ曲:ラ・フォリア(アルカンジェロ・コレルリ)

SPZの小悪魔 サキュバス真鍋

本名:真鍋凛奈、2022年5月20日、福井県敦賀市出身。SPZの新人テストに合格し、SPZ30期生として2038年4月15日の札幌どさんこドーム大会の対イージス中森戦でデビュー。軽快な動きで前座戦線を盛り上げる。得意技はミサイルキック。

テーマ曲:Upside Down(Coo Coo)

最凶熊:グリズリー山本

本名:山本喜久子、2024年2月8日、東京都調布市出身。中学時代は柔道に熱中し、都大会ベスト4の成績を残す。井上霧子にスカウトされ、SPZ31期生として、2039年4月16日、釧路アリーナ大会での対RIKKA戦でデビュー。まだまだファイトスタイルは荒削りだが、素質はいいものを持っており今後の活躍が期待される。得意技はスクラップバスター。

テーマ曲:禿山の一夜(ムソグルスキー)

未来形アイドル 藤島瞳

本名:同じ 2024年2月9日、京都府西京区出身。SPZの新人テストに合格し、2039年4月15日、札幌どさんこドーム大会での対マーメイド千秋戦でデビュー。レスラーとしてはまだまだ発展途上だが、キューティー金井や渡辺智美以上のアイドルレスラーになるべく奮闘中。得意技はネックブリーカードロップ。

テーマ曲:Eternal Wish(佐倉紗織)

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(以下、スタッフさん)

SPZコミッショナー 井上霧子

1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。現在はSPZ取締役として新人選手のスカウトを担当するかたわら、SPZコミッショナーに就任し、SPZベルトの管理を担当。

レフェリー 吉田龍子

1997年11月13日、熊本県八代市出身。2013年4月11日、札幌キターアリーナ大会での富沢レイ戦でデビュー。2022年3月、現役引退。2027年8月、井上霧子のあとをうけて3代目のSPZ社長に就任。バランスシートも読めない社長でSPZの将来をお先真っ暗にすること確実。2033年に大日本テレビアナウンサー森和紀氏と結婚。社長を誰に譲ろうか考えているらしい。担当業務は社長業とテレビ解説だが、時たま前座のレフェリーもつとめる。超辛口のテレビ解説は好評。

レフェリー ロイヤル北条

本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。2030年1月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。現役時代の動き同様キビキビとした動き、かつ厳格なレフェリングは好評。

レフェリー ラッキー内田

本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。SPZ16期生として、2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。2032年8月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。

トレーナー イージス中森

本名:中森登志子 2012年11月29日、徳島県徳島市出身、SPZ新人テストに合格し、20期生として2028年4月16日、京都市体育館でのキューティー金井戦でデビュー。2038年4月、現役引退。その後はSPZに残り、トレーナーとして選手のコンディショニングを担当。代打レフェリーやテレビかいせつも時たま務める。

リングアナウンサー 村越忠幸

1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、営業部長兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。2児のパパで趣味は料理。

リングアナウンサー 阿部幸一

2000年5月28日、新潟県糸魚川市出身、2023年入社、グッズショップ販売を経験した後、2033年からリングアナウンサーに起用される。主に前半戦を担当。趣味はドライブ。

リングドクター 羽山海

1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野元社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとしてビッグマッチを中心に随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2009年2月26日 (木)

第623回 第31回SPZクライマックス(下)

31年目8月 SPZクライマックス最終戦 横スペ大会

「2分8秒、飛びつき腕ひしぎ逆十字でケンドー・カミスワの勝ち」

今シリーズ限りでSPZマット撤退を表明しているケンドー・カミスワ(SPZ22期)は、最終戦では新人の藤島瞳をあっさりと飛びつき腕ひしぎで退けた。

史上もっとも短い引退試合にファンはどよめき。そのあと全選手がリングに上がり、カミスワを胴上げ。3回宙に舞った。そして吉田社長から金一封が贈られた。カミスワコールが鳴り止まないまま休憩となった。

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休憩明け、SPZクライマックス最後の4試合。

藤原(6点、ダイビングプレスからの片エビ固め 22.38)斉藤(8点)

意外にも引き締まった攻防。シード権獲得へ望みを残す藤原が気合のこもった攻め。場外ジャーマンという荒技もやってのける。そしてバックドロップでカウント2.8まで追い込む。

しかし斉藤彰子、たくみに場外へ逃げて追ってきた藤原へ裏拳!そして弱ったところをリングに戻して、起き上がったところを狙ってジェットスマッシュ!!

ワン、トゥ・・・ドドドドドド!!

カウント2.9で返す藤原、起き上がって組み付いてSTO!

バターン。そのまま両者ダウンしたまま起き上がれない。しばらくその状態が続いたが、先に起き上がったのは藤原のほうだった。懸命にコーナー最上段へ上がって、ダイビングプレス。

これでカウント3が入った。

SPZ28期の藤原和美、結局6点で本大会を終えて、現段階で8点以上が3人しか(M祐希子、霧島、斉藤)いないので4位が確定し、シード権ゲット。8点に終った斉藤彰子は3位となり、賞品のスポーツドリンクをもらって引き揚げた。

N神威(4点、地獄落としからの片エビ固め 14.50)H神田(4点)

勝てばシード権を守れるハリケーン神田。ナイトメア神威を殴って蹴って追い込むが、ナイトメア神威も元SPZ王者の意地がある。試合は盛り上がった。最後は地獄落としを連発したナイトメア神威がハリケーン神田から3カウントを奪った。

ハリケーン神田、無念の予選会行き・・・

八島(6点、パワーボムからのエビ固め16.13)中江(2点)

「オラッァァァァァァァ」

25期の八島静香が先輩の意地を見せて中江を押し切りシード権を奪還した。

「くっそーーーーー・・・・」

中江里奈、2点どまり、2年連続の最下位でリーグ戦を終えて引き揚げた。同期の藤原はシード権を得ただけに口惜しさ倍増・・・

そして千秋楽結びの一番、SPZクライマックス、全勝同士の相星決戦!

M祐希子(14点、ムーンサルトプレスからの体固め 15.33)霧島(12点)

勝ったほうがSPZクライマックス優勝なのだが、マイティ祐希子いつも通りの自然体で攻める。6月7月とこのカード連勝しているのだから、霧島のパワーは驚異なのだが、まあなんとかなる相手だ。

「・・・コノヤロウッ!!」

霧島レイラもよく粘り、頭突き連打でM祐希子に嫌な顔をさせたのだが、M祐希子が場外バックドロップで突破口を開き、そのまま大技連打で仕上げにかかる。ネックブリーカーでつないで、

「いっくよーーー!!」
華麗なムーンサルトプレス。これで3カウント奪取。2年連続で全勝優勝を決めた。

マイティ祐希子には賞金100万円と副賞のブランド腕時計が贈られ、準優勝の霧島レイラには横浜中華街のお食事券5万円分が贈られた。3位は斉藤彰子、4位には八島静香と藤原和美が入りシード権を確保。

「くっそー・・・・どうすりゃアイツに勝てるんだ?」

霧島レイラ、控室で頭を抱える。

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表彰式のあとケンドー・カミスワの退職セレモニー。

「どうも、ありがとうございました!」

カミスワ、深々と頭を下げて10カウントを聞いた。

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ケンドー・カミスワ

SPZ22期生

2030年6月9日、沖縄体育館大会での対フォクシー真帆戦でデビュー。2039年8月20日、横浜スペシャルホール大会での藤島瞳戦でSPZ退職。稼動月数111ヶ月、出場試合数(概算)784試合。

タイトル歴

第76代SPZ世界王者

第57代あばしりタッグ王者(パートナーはRIKKA)

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2009年2月25日 (水)

第622回 2分8秒の最終試合

31年目8月

シリーズ第7戦はケンドー・カミスワの地元、長野県は諏訪市清水町体育センター。Sクラの公式戦がこんな1000人規模の小会場でやること自体異例。しかしカミスワのラスト2なので地元凱旋となった。SPZの諏訪での興行も20数年ぶり。当然チケットは前売り段階で即完売。

大歓声の中、カミスワが休憩前第4試合に登場。普段は上諏訪温泉地下プロレスの常連ファンも、地元の星を見ようと駆けつけた。

「フフン、人気あるねえ、地元のスターさんよぉ」

対戦相手は同期のマーメイド千秋。いまだ悪の組織PDFのリーダーだ。

ゴングがなってからしばらく若手時代を思い出した地味な攻防が続く。10分過ぎにカミスワが上諏訪温泉極楽締め(変形ドラゴンスリーパー)を仕掛けた。しかしM千秋、これは読んでいたのでロープへ逃げる。しかしローリングソバットをはさんでもう一度上諏訪温泉極楽絞め!これもM千秋ロープへ逃げる。しかしマーメイド千秋、息が上がってしまった。ボディスラムやステップキックで反撃するが後が続かない。

「FINISH!」
ケンドーカミスワ、組み付いてすばやくM千秋のバックに回り、
ジャーマンで投げきった。

バアアアン!!
ワン、トゥ、スリー。
ラッキー内田レフェリーがマットを3つ叩く。これでカミスワのフォール勝ち。勝負タイム16分21秒、ものすごい歓声と拍手に包まれた。

―これで、私のSPZは、終わった・・・

あしたの最終戦は横スペでも最終試合が組まれているが、同期との戦いを制したカミスワ、フラフラとした足取りながら満足げな表情で、控室に戻った。

休憩後、SPZクライマックス佳境の4試合。小さな会場なのでライブ感がすごい。

藤原(4点、ダイビングプレスからの片エビ固め 14.15)N神威(2点)

ナイトメア神威が狂乱ファイト。諏訪のファンを恐怖に陥れる。対戦相手の藤原を一方的に痛めつけたが、藤原は諦めなかった。必殺のJOサイクロンを2連発。しかしナイトメア神威沈まない。ならばとダイビングプレス2連発!これで元SPZ王者のナイトメア神威から3カウントを奪った。

「勝った・・・」

藤原和美、予選会で負けた相手に堂々のリベンジ。

霧島(12点、ラリアットからの片エビ固め 11.52)中江(2点)

霧島レイラ6連勝、目標どおり星を落とさないまま横スペ最終戦へなだれ込む・・・中江は5敗目を喫し、来年の予選会スタートが決定。

斉藤(8点、ジェットスマッシュからの片エビ固め 22.54)八島(4点)

引き分け以上でシード権奪取の斉藤彰子、果敢に攻めていったが序盤にラリアットを食らって悶え苦しむ。そのあと試合は膠着状態になったが、斉藤彰子が仕掛けた。
「一気に決める」
姉譲りの豪脚ジェットスマッシュ!八島なんとか2.8で返したものの、続く飛燕脚で終了。斉藤彰子がシード権を奪取した。

M祐希子(12点、バックドロップからの片エビ固め 10.52)H神田(4点)

マイティ祐希子完勝。ハリケーン神田を一方的に攻めて、バックドロップ2連発で片付けた。これで、優勝の行方は最終戦横スペメインのマイティ祐希子対霧島レイラの直接対決にゆだねられる事となった。

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そして最終戦、横スペ大会。
「ケンドー・カミスワ最終試合」 

の大看板が掲出された。

第1試合はサキュバス真鍋対アニービーチ。夏らしくビーチボールを持って入場したアニーが会場の注目を集める。試合のほうもアニーが一気に攻めて、7分48秒、フェイスクラッシャーであっさりと勝利。

続く第2試合はスカーレット小縞対ワイルドローズ1号。

残念ながらSクラに出られなかったスカ小、その恨みを晴らすかのような攻めを見せて、ワイルドローズ1号へラリアットをブーン。しかしワイルドローズ1号もカウント2.9で返す粘りを見せる。

「これでも、食らえーーーー」

スカ小、逆片エビでぐいぐいぐい。大きく海老ぞるワイルドローズ。ついにギブアップ。勝負タイム14分41秒。

第3試合は6人タッグマッチ、マーメイド千秋、RIKKA,グリズリー山本対キャシーウォン、ブルックウォン、マリシアルイス。

しかし外人組みが連係に勝り、RIKKAを捕まえて集中砲火、ブルックとキャシーのサンドイッチラリアットで3カウント奪取。

そして、

「次の試合に登場するケンドー・カミスワ選手はこの試合がSPZで最後のファイトとなります、ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」

「上諏訪温泉マーチ」が流れ、元SPZチャンプ、温泉マークの覆面レスラー、ケンドー・カミスワが入場。場内は大歓声に包まれた。あのコンバット斉藤の快進撃を止めた試合はファンの記憶に残っている。

対戦相手は新人の藤島瞳。最後に新人相手に伝承マッチが組まれた。どうみてもカミスワに最終戦を飾らせるマッチメイクである。

カンッ

カミスワが組み付いて、差し手争いを制してサッとスリーパー
「うぐぐぐぐ・・・」

苦しむ藤島瞳、やはり技術の差がありすぎる。

「・・・これで、最後」

カミスワ、いったんスリーパーを解いて、そのあとあっという間に飛びつき腕ひしぎ逆十字へ移行!!

「うあああああああああ!!」

藤島瞳の腕が伸びきってしまった。たまらずギブアップ。

「2分8秒、飛びつき腕ひしぎ逆十字でケンドー・カミスワの勝ち」

史上もっとも短い引退試合にファンはどよめき。そのあと全選手がリングに上がり、カミスワを胴上げ。3回宙に舞った。そして吉田社長から金一封が贈られた。カミスワコールが鳴り止まないまま休憩となった。

「まあ、今日はこんな感じでしょう」

カミスワは淡々とコメント。しばらく休養した後、地元の上諏訪温泉地下プロレスでもうしばらく第二のレスラー生活を送るようである。

(次回、いよいよSクラ最後の4試合)

2009年2月24日 (火)

第621回 第31回SPZクライマックス(中)

31年目8月 SPZクライマックス(中篇)

第4戦はなにわパワフルドーム大会。

今シリーズ限りで引退のケンドーカミスワは休憩前でスカ小とシングルマッチで対戦。

「うーりゃーーーーっ」

Sクラに出られなかったスカ小が気合いの入った攻めを見せて、最後はパイルドライバーからのアームホイップでカミスワから3カウントを奪取。勝負タイム15分9秒。

そして休憩後はSPZクライマックスリーグ戦。

藤原(2点、バックドロップからの片エビ固め 22.56)H神田(4点)

「行きますっ!必殺技」

藤原和美、必殺JOサイクロン!難易度の高いこの技を完全にマスターした。(SPZマットでこの技を使うのは永沢舞以来)受け身のあまりうまくないH神田はこれで戦意喪失状態。

藤原和美、休まずせめて、STOで追い込んでからバックドロップ!22分の熱戦を制した藤原が初日を出した。

「やった・・・Sクラ初勝利・・・・」

斉藤(2点、飛燕脚からの片エビ固め 14.39)中江(2点)

斉藤彰子、格下にはめっぽう強い。中江の攻撃をきっちり受けきってから飛燕脚で終了。これで斉藤も初日を出した。

霧島(6点、ローリングソバットからの片エビ固め 27.57)八島(2点)

パワーファイターの両者、力押しの消耗戦を制したのは霧島レイラ。八島の打たれ強さに手こずったものの、ローリングソバット2連発で突破口を開き、

「くらえっ」
裏投げ2連発。これで八島をフラフラにしておいてエルボー。しかし八島2.9で返す。粘る八島へ霧島レイラ、3度目のローリングソバット。これで27分の激闘に終止符を打った。

「最終戦まで、1点も落とせませんよ」

3連勝、荒い息の霧島レイラ。このまま千秋楽の横スペまでついていってくれれば営業的には絶好の展開だ。

M祐希子(6点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 9.16)N神威(0点)

大阪大会メインはM祐希子が完勝。元SPZ王者のナイトメア神威をまったく寄せ付けなかった。

「さあ、食べまくりに行くわよーーー」

3連勝、涼しい顔のマイティ祐希子。このあと中森コーチと夜の街へ食い倒れに出た。

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第5戦は名古屋しゃちほこドーム大会。

今シリーズ限りで引退のケンドーカミスワは休憩前第3試合で30期のサキュバス真鍋と対戦。軽くひねって、最後は飛びつき腕ひしぎでギブアップ勝ち。勝負タイム11分5秒。

そしてSPZクライマックス公式リーグ戦。

斉藤(4点、STOからの片エビ固め 22.30)H神田(4点)

この試合は盛り上がった。

打撃屋の両者が壮絶な打ちあいを展開。

「やるな・・・・・」

「神田さんも・・・・・っ」

裏拳とゴッドハンドが交錯。攻め合いしのぎ合う神の手と爆裂空手道、凄い試合。しかし斉藤彰子が殴り合いを制し、H神田がたじろいだところへSTO。

「ぐううっ・・・・」

全身を強く打ったハリケーン神田、無念の3カウントを聞いた・・・

N神威(2点、地獄落としからの片エビ固め 14.14)中江(2点)

ナイトメア神威の狂乱ファイト健在。5期下の中江の勢いをやすやすと止めて、地獄落とし2発で幕。ようやく初日を出した。

霧島(8点、ローリングソバットからの片エビ固め 11.47)藤原(2点)

霧島レイラなんとか4連勝。藤原がJOサイクロン2連発という凄い攻めを見せてきて勝ちを狙ってきたが、霧島なんとか返して、

「このやろうっ!!」

やられたらやり返す怖い霧島レイラが、スプラッシュマウンテン2連発でお返し。しかし藤原が2.9で返す!垂直落下2連発でとっくに記憶が飛んでるはずなのに!
ドドドドドドドド

「いい根性してるよ・・・」
霧島レイラ、とどめのローリングソバット。これで3カウント奪取。11分47秒の試合だったが、内容はエキサイティング。このリーグ戦のベストバウトの呼び声が。

M祐希子(8点、ニーリフトからの片エビ固め12.47)八島(2点)

マイティ祐希子完勝。難攻不落の八島をコツコツと攻めていってだんだん大技を混ぜるオーソドックスなやり方。これで危なげなく4連勝。

リーグ戦は残り3戦、シード権争いは苛烈。4点で斉藤、H神田、2点で藤原中江N神威八島。

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シリーズ第6戦は一気に北海道へ飛んでのどさんこドーム大会。

ケンドーカミスワは第4試合で新人のグリズリー山本と対戦。グリズリー山本の突進をひらりとかわして、寝技に持ち込んで鮮やかな飛びつき腕ひしぎ。9分0秒、ギブアップを奪った。

そして休憩後、リーグ戦はいよいよ後半。

斉藤(6点、飛燕脚からの片エビ固め 10.49)N神威(2点)

なんと斉藤彰子の蹴りが入ってしまったのか、ナイトメア神威の動きがおかしい。懸命に頭突きを打って挽回しようとするが足がついていかない。そこへ斉藤彰子の飛燕脚。これで3カウントが入ってしまった。敗れたナイトメア神威4敗となりシード権が遠のく・・・

八島(4点、パワーボムからのエビ固め12.26)藤原(2点)

八島静香勝利。藤原がエンジンをかけ出す前にパワーで圧倒して終了。藤原も4敗目、シード権が厳しくなった。

霧島(10点、ラリアットからの片エビ固め 16.59)H神田(4点)

「横スペまで、あと2つ・・・」
優勝争いを最終戦まで持たせるためにも負けられない。ハリケーン神田の掌底に手こずったものの、最後はきっちり今シリーズ多用している豪腕ラリアットで3カウントを奪い5連勝。

M祐希子(10点、バックドロップからの片エビ固め 13.17)中江(2点)

中江、SPZ王者・M祐希子の牙城を崩せず敗北。4敗目を喫しシード権が厳しくなった・・・

第31回SPZクライマックス、残り2戦の段階でマイティ祐希子と霧島レイラが10点でトップを並走。シード権争いは6点で斉藤彰子、4点で八島、H神田と続く。

(次回、ケンドーカミスワ、SPZラストマッチ)

2009年2月23日 (月)

第620回 第31回SPZクライマックス(上)

31年目8月 恒例のSPZクライマックス。例年通り喫茶あばしりで記者会見が行われた。

■「SPZの超エース」マイティ祐希子(19)

4年連続4度目の出場 前回優勝
「ワクワクしてきました。目標はもちろん優勝です。賞金でフランス料理を食べに行きます(笑)」

■「ゴッドハンドの女」ハリケーン神田(21)

4年連続4度目の出場
「全員叩き潰すつもりで闘う」

■「みなぎるパワー 大砲だ」霧島レイラ(19)

3年連続3度目の出場
「今年こそ優勝を狙う」

以下は予選会勝ちあがり組。

■「狂乱の舞」ナイトメア神威(23)

7年連続7度目の出場 第27回大会優勝 予選会1位通過
(頭から麻袋をかぶされているので無言)

■「爆裂空手道」斉藤彰子(20)

3年連続3度目の出場 予選会2位通過 
「出るからには、全力を出し切ります」

■「ケンカ番長」八島静香(21)

5年連続5度目の出場 
「応援、夜露死苦」

■「未来のエース候補」藤原和美(18)

初出場 予選会4位通過
「初めてですが、頑張ります!」

■「新型重戦車」中江里奈(18)

2年連続2度目の出場 予選会5位通過
「1点でも多く勝ち点を取って、去年より上を目指します」

しかし盛り上がりは低い。記者さんたちの間ではどうせマイティ祐希子が優勝するんだろという下馬評。勝負になるとすれば霧島レイラだが、霧島はM祐希子相手に相性がよくない。客入りを心配したSPZサイドはテレビCMを投入して宣伝に努めざるを得なかった。

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「そろそろ・・・潮時・・・かと思いましてっ」

22期生のケンドー・カミスワが引退・・・というか、SPZマット撤退を表明。テクニシャンでSPZ女王の戴冠歴もあった名選手なのだが、さすがに後半の試合に出るのが怖くなってきたとのこと。今後は実家の温泉旅館の手伝いに専念するかたわら、上諏訪温泉地下プロレスの試合に出場するとのこと。

2戦目の九州ドーム大会からリーグ戦がスタート。

H神田(2点、ゴッドハンドからの片エビ固め 23.59)中江

第31回SPZクライマックスのオープニングマッチは、神の手を持つ女、ハリケーン神田と、ど根性ファイター中江里奈で幕を開けた。どうせ今年もM祐希子が優勝するんだろうというのが大方のファンの見方で、優勝争いよりシード権争いのほうが面白そうだという声も聞こえてきた。

「くらえっ」

中江里奈がラリアット2連発。しかしH神田は冷静に受けていた。攻め疲れを待ってから、
「終わりだ」

あわれ中江里奈、神の手によって昇天・・・・

八島(2点、デスバレーからの片エビ固め 18.01)N神威

予選会では八島が勝っているカードの再戦。ナイトメア神威、ズルズルと攻め込まれる悪いパターン。八島のような耐久力のある選手にはどうしても分が悪い。凶器攻撃で活路をひらこうとするが、それは八島の怒りに油を注ぐ結果となった。

「てめえええ!」

このあと一気にケンカマッチの様相。ナイトメア神威、怒りで冷静さを失った八島へパワーボム、ニールキックで追い込んだが、八島もここでデスバレーを繰り出し3カウントを奪った。

霧島(2点、ラリアットからの片エビ固め 15.40)斉藤

「横スペで祐希子と当たるまでは絶対に負けられませんね」

霧島レイラ、気合いのこもった表情でリングへ向かう。マイティ祐希子は100パーセント全勝で来るだろう。そのためには自分も横スペまで星を落とせない。斉藤彰子の打撃に苦しんだものの、

「覚悟ッ」

みごとなDDTで斉藤の頭をグサリこれで試合の流れが変わった。追い込まれるともろいのが斉藤彰子の斉藤彰子たるところ。ジェットスマッシュは繰り出したが腰が入っていないので意識を刈り取るに至らない。

「終わりッ」
ラリアット炸裂。これでカウント3。霧島レイラ、無難に白星発進。

M祐希子(2点、バックドロップからの片エビ固め 14.53)藤原

「勝つつもりでやりますッ」
初出場の藤原和美、意気込みだけはあったのだが、M祐希子にいいようにあしらわれてしまって・・・館内一方的なペースにため息。

「これは今年も優勝はM祐希子選手ですねえ」

かいせつのイージス中森が断言。しかし藤原粘りを見せて、M祐希子のダイビングプレスを転がってかわして自爆させる。ならばとM祐希子、パワーボム、バックドロップと力押し。この人は本当に器用だ。
「これで、どうだっ」
2度目のバックドロップ、これで藤原の意識が飛んだ。なお2.9で返した藤原だったが、立て続けに3度目のバックドロップ。これで試合は終わった。藤原を完全に叩きのめして白星発進。

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第3戦広島若鯉球場大会。引退カウントダウン6のケンドーカミスワ、この日は休憩前第4試合でRIKKAとシングル対戦。RIKKAの飛び技を懸命に受け続けるカミスワ。こらえてこらえて、最後はタイミングよくエルボー。15分39秒、RIKKAを退けた。

休憩後はリーグ戦4試合。

中江(2点、バックドロップからの片エビ固め 29.53)藤原(0点)

予選会では藤原が勝っているカードの再戦。しかし昨日M祐希子に玉砕させられた影響か、藤原の動きにキレがない。そして中江が頭を狙ってくるヘッドバット攻め。試合は中江のペースで進んだ。

「うりゃああああ」

ラリアット一閃。藤原頭からマットへ。中江、引きずり起こしてラリアットもう一発。そしてDDT。頭部に的確にダメージを与える。けっこう理にかなった攻めを見せる。藤原もふらつきながら懸命に応戦したのだが、パワーボムを食らってしまった。これは2.9で返したのだが、立て続けにバックドロップを食らってしまって終了。

「はぁ。はぁ・・・・藤原さんはパートナーなんですけど、Sクラですから。1点でも多く取らないと・・・」

29分の激闘を制した中江、荒い息をつきながらコメント。

H神田(4点、掌底からの片エビ固め 23.50)八島(2点)

25期生同士の対戦。日ごろはタッグを組んでいる両者だが、リーグ戦では真剣勝負。八島がH神田の打撃を受け切ってからタックル、エルボーで反撃。そしてパワーボム。これはなんとか2.8で返したH神田、ゴッドハンド、掌底で最後のラッシュをかけた。そしてカウンターの掌底で八島がついに倒れた。これは入ってしまったか。そのままカバーしてH神田が3カウント奪取。

霧島(4点、ラリアットからの片エビ固め 10.47)N神威(0点)

霧島レイラ、きょうの相手は狂乱戦士ナイトメア神威。しかし臆することなく頭突きの連打連打で先制し、そのあとも一方的に押し切ってラリアットであっさり2勝目を挙げた。元SPZ王者のナイトメア神威を10分少々で片付けてしまった!

M祐希子(4点、バックドロップからの片エビ固め 14.10)斉藤(0点)

場内ものすごい斉藤コール。蹴りが入って大金星を期待しているのか。しかし姉のコンバットと違って斉藤彰子、格上にはからきし弱いのである。だからSPZ王座に1回も挑戦させてもらえない。この日もいいところなくズルズルズルといってしまって・・・

第31回SPZクライマックス。リーグ戦2試合を終えてハリケーン神田、霧島レイラ、マイティ祐希子の3人が2連勝。

(続きます)

2009年2月22日 (日)

第619回 31年目7月 サマースターナイツシリーズ(下)

31年目7月シリーズ

最終戦は新日本ドーム大会。30周年の盛り上がり、いい感じで続いてきており、また営業努力の甲斐あって、この日も超満員札止めとなった。

オープニングマッチはサキュバス真鍋(SPZ30期)対ミスティアマスク。入社2年目でだんだん要領を覚えてきたサキュバス真鍋、観客の声援に手を振りながらリングへ。

前座らしいベーシックな攻防めの後は飛び技の応酬で沸かせた。

「いっくよーーーー!!」
サキュバス真鍋、得意のミサイルキック2連発。これで3カウント奪取。オープニングマッチを飾った。

サキュバス真鍋のテーマ曲「Upside Down」が流れる中、コーナーに上がってガッツポーズするS真鍋。この選手、ようやくネタ外人クラスにはボツボツ勝てるようになってきた。

続く第2試合は外人同士のタッグ戦。アニービーチ、マリシアルイスに対するはブルックウォン、キャシーウォンが激突。

ウォン一族がお決まりのラフファイトを見せて、二人がかりの殴るけるでアニーを追い込む。アニーが懸命にエルボーで反撃。場内は盛り上がった、が、
「FINISH!」
キャシーウォンがブレーンバスター。これで3カウントが入った。勝負タイム12分49秒。

第3試合は最古参選手、ケンドーカミスワ(SPZ22期)登場。RIKKA(29期)と組んでディスガイズマスク、ワイルドローズ1号と対戦。

やはりカミスワのマット捌きのうまさが光り、外人チームに付け入る隙を与えない。最後はRIKKAを呼び込んで合体パイル。15分50秒の試合を作った上で、ディスガイズからフォール勝ち。

その試合が終わると休憩。

ワアアアアアア!!

休憩明けの試合に新人がふたり登場という斬新なカード。スカーレット小縞(26期)、藤島瞳(31期)対マーメイド千秋(22期)、グリズリー山本(31期)。やはり東都ではひねりを利かせたカードを組まないとマニア受けがよくない。

「おりゃあああ」

グリズリー山本、ヘッドバットをスカ小に打っていくが、スカーレット小縞、あまり痛いそぶりも見せず、得意のラリアットで反撃してG山本をなぎ倒す。やはりアイドルレスラーに見えても馬力はいい物を持っている。さすがは寿司屋の娘。一方のグリズリー山本もパワーはあるのだが、まだまだプロとしてのスピードに難がある状態。

スカーレット小縞、いい流れをつくって藤島にタッチ。藤島瞳もこの流れに乗ってグリズリー山本をいためつけてからスカ小に再スイッチ。

「そろそろ本気で行きます!」

スカ小のシャイニングウィザードが入り、グリズリー山本から3カウントを奪った。勝負タイム10分6秒。

セミファイナルは実力者6人による6人タッグマッチ。

ナイトメア神威(23期)、藤原和美(28期)、中江里奈(28期)対時ハリケーン神田(25期)、八島静香(25期)、斉藤彰子(26期)。

来月のSPZクライマックスの前哨戦だ。次々にタッチを受けて選手が登場し、惜しげもなく大技が乱れ飛ぶ展開にファンは酔いしれた。しかし最後は藤原中江の合体技、ダブルインパクトが出て、斉藤彰子を沈めた。勝負タイム16分57秒。

そしてメインイベントはSPZ世界戦、

王者マイティ祐希子に挑むのは霧島レイラ。先月のさいたまと同一カードだがいまのSPZで正面からM祐希子とやって勝つ可能性があるのは霧島しかいないという苦しい苦しいカード編成。

―追い込まれたらまず勝てない。積極的に仕掛ける。

しかし祐希子もうまく間合いを取ってドロップキック。よろめいたところを組み付いてアームホイップ連発。霧島に攻撃の糸口を与えない。そして優位に立ってダイビングプレス!弱ってきたところを逆片エビ固め。まさにやりたい放題。

霧島レイラただやられるだけ。一方的な展開となってしまった。マイティ祐希子、攻撃の手を緩めずラリアット、そして2度目のダイビングプレス。いくら霧島の耐久力があるといっても攻めなければ勝てるわけがない。

「これで、どうだっ」
ムーンサルトこそ自爆してしまい、逆襲のスプラッシュマウンテンを食らってしまったものの、M祐希子態勢を立て直してバックドロップそしてニーリフトとつないで終了。勝負タイム27分1秒。王者が初防衛に成功した。

「んー、こりゃ来月のSクラもやる前から結果は見えてますね」

解説の吉田社長もため息の出るほどの強さ。

2009年2月21日 (土)

第618回 31年目7月 サマースターナイツシリーズ(上)

31年目7月
サマースターナイツシリーズ開幕。

5戦目の宇都宮大会メインはあばしりタッグ選手権。認定証を京スポ若林記者が読み上げ、懸賞の告知アナウンスまで入る。

「このカードには、コーヒーとケーキの喫茶あばしり、アラビアータの喫茶あばしり、カルボナーラの喫茶あばしり、ペペロンチーノの喫茶あばしりより、懸賞があります」

王者キャシーウォン、ブルックウォンに挑むのはRIKKA、マーメイド千秋組。

3年目、若手のRIKAはニュートラルな立ち位置。悪役であるマーメイド千秋と即席コンビを組んであばしり挑戦。しかし、チームワークではさすがにウォン一族のほうが何枚も上。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

連係攻撃にRIKKAがつかまってしまう。マーメイド千秋が奮戦するが、腰が悪いのか少し動いただけでタッチ。終盤はRIKKAがキャシーの裏拳を食らってフラフラ状態。ああこりゃ終わりダナという雰囲気が充満したが、ボディスラムでキャシーを転ばせたRIKKA,なんとかコーナー最上段に登って

「農鳥」

農鳥(急降下ミサイルキック)が飛んだ。大先輩REKIの跳躍と遜色ない。キャシー、急降下爆撃をモロに食らってしまい無念の3カウントを聞いた。勝負タイム39分41秒。即席チームがあばしり王座を奪取。

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あばしりタッグ選手権(60分1本勝負)

マーメイド千秋、RIKKA○(39分41秒、農鳥からの片エビ固め)キャシーウォン×、ブルックウォン

59代王者が防衛に失敗、M千秋・RIKKA組が60代王者となる

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第7戦幕張大会、メインはSPZタッグ選手権。

順調に8回の防衛を重ねている王者霧島レイラ&スカ小に挑む今回の挑戦者は25期生コンビ、八島静香&ハリケーン神田。

内容は保証書つきだが、霧島のパワーがぬきんでているので、挑戦者チームは不利。なんとかスカ小が出てきたところを捕まえたいのだが、スカ小もその辺は分かっており、深追いしないであくまでつなぎ役としてファイト。

「い、痛いつつつ・・・」
八島のヘッドバットを食らってよろめくスカ小。しかし組み付いてきたところをサッとスリーパーに切り返して反撃。このあたりはうまい。

「霧島さんっ」

で、無理せずある程度戦ったら霧島にタッチ。引きどころがうまい。若い選手はこれがなかなかできないのだ。

・・・やっぱり難しくても霧島をつぶすしかないのか・・・

ハリケーン神田が掌底を放つ。ぐらりとよろめく霧島。さすがにこれは当たり所が悪かったか、そのままうずくまってしまった。

「ほいさっさーーーー」

そこへスカ小が出てきてH神田へラリアットの援護射撃。これはモロに入ったか。

ワン、トゥ・・・ドドドドドド

2.9で返すH神田、起き上がって
「かかったなっ」
H神田ゴッドハンド!!スカーレット小縞に命中!!

「うう・・・」
スカ小これで戦闘不能になった。頭がぼうっとかすむ中、霧島にタッチしたものの場外へ落ちてしまう。霧島レイラ孤立。これは王者組大ピンチ

「そろそろけりをつけようか」
八島がデスバレー、ブレンバスターと攻めるが2.8で返した霧島、スプラッシュマウンテンで反撃。カウント2で返す八島
「それなら二人がかりだっ!」
ハリケーン神田を迎え入れて、ダブルインパクト!これはなんとかロープに逃れた霧島レイラだったが、しかし挑戦者組、攻撃の手を緩めず

「おもしれえ、意識ごともって行ってやるぜ」

続けて合体パワーボム。意識が朦朧とする中、なんとか2.9で返した霧島だったが

「とどめだーーーーー」

ハリケーン神田がとどめのパワーボムをはなった。たたきつけられる霧島、さすがにここまで畳み掛けられては返せなかった。

ワン、トゥ、スリー

王座移動。勝負タイム59分の激戦の末、25期生コンビが王座を奪還した。しばらく4人とも起き上がれずマットに倒れていた・・・

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SPZ世界タッグ選手権(60分1本勝負)

ハリケーン神田○、八島静香(59分51秒、パワーボムからのエビ固め)霧島レイラ×、スカーレット小縞

王者組が9度目の防衛に失敗。H神田・八島組が第71代王者となる

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「アーーーきつかったーーー」

八島静香、ベルトを持って控室にたどり着くなりぶっ倒れた。

「ウウ・・・クソッ・・・・」

霧島レイラ、シングル王座に続いてタッグ王座も手放してしまった・・・・・・

2009年2月20日 (金)

第617回 31年目6月 SPZクライマックス予選会(下)

31年目6月シリーズ SPZクライマックス出場権をかけた予選会も大詰め。

第7戦、富山高岡大会。

藤原(6点、コブラツイスト 16.20)RIKKA(0点)

「参ったしろ~~っ」
藤原のコブラツイストがリング中央で決まる。RIKKA抜けられず、懸命にこらえたもののついにギブアップ。藤原が星を3勝3敗に戻した。最終戦のスカ小との直接対決に予選会突破をかける。

S小縞(6点、ラリアットからの片エビ固め 7.51)M千秋(0点)

スカ小も豪快なラリアットで快勝し、3勝3敗の五分に戻した。最古参のマーメイド千秋、ああ6連敗・・・

N神威(10点、パワーボムからのエビ固め 15.46)中江(6点)

既に本大会出場を決めているナイトメア神威の狂乱ファイトに中江、手も足も出ずパワーボムに敗退。中江里奈、あと1勝が遠く、3勝3敗の五分になってしまった。

斉藤(12点、フロントスープレックスからの片エビ固め 27.22)八島(8点)

既に本大会出場を決めている両者の対戦。斉藤彰子、先輩相手になると気後れする悪癖があるのだが、この日は蹴りが的確にヒット。

ならばと八島もタックルを仕掛けてくるが、斉藤彰子もこらえて飛燕脚。そしてスプラッシュマウンテン、2.9で返した八島だったが、既に目は死んでいた。斉藤彰子落ち着いてフロントスープレックスでトドメ。27分の激戦を制した。

「あと1つ、ここまで来たら全部勝って1位通過します!」

この結果本大会出場権の残る2枠は、最終戦の中江VS八島、藤原対スカ小の対戦によって決まることになった。

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最終戦はさいたまドーム大会。

RIKKA(2点、延髄斬りからの片エビ固め12.08)M千秋(0点)

6連敗同士の対戦。もう動きに全盛期のキレがないマーメイド千秋。伸び盛りのRIKKA。マーメイド千秋も苦しんだが、フィッシャーマンバスターで反撃。

「終わりィィィィー」
サソリ固めを繰り出すがRIKKA,こらえてロープブレイク、そして、延髄斬りで反撃

「ぐわあっ」

これで3カウントが入り、RIKKAが予選会で1勝を挙げた。29期のRIKKA,予選会は1勝に終わったが、来年以降に期待の持てる勝利。

藤原(8点、JOサイクロン 14.10)S小縞(6点)

勝ったほうが予選会突破を決める一戦。しかしスカ小は負けたらその時点で予選会突破がなくなる(中江が6点に終わっても、中江との直接対決でスカーレット小縞は負けているので、中江が優先される)ので、早めの仕掛け。

「おりゃーーーーー」

ラリアット、パイルドライバー、体型に似合わず豪快な攻め。しかし藤原もカウント2で返してバックドロップで反撃。いい勝負となった。しかし2発目のバックドロップでスカ小の動きが止まってしまった。

「今がチャンス!」

出た出た必殺JOサイクロン。この一発でS小縞は昇天。この結果、藤原和美と中江里奈の本大会出場が決まり、あわれ、スカ小は3年連続で次点、涙をのんだ・・・・

八島(10点、パワーボムからのエビ固め)中江(6点)

「はー、残ったーーーー」

前の試合で藤原が勝ったため、予選会突破が決まった中江里奈。気持ちを切り替えて八島に当たっていったが、八島の打たれ強さに攻め手が見つからない。それでもノーザン2発で八島を追い込んだが、

「オラアアアア」
最後は八島がパワーボムで振り切った。

N神威(12点、パワーボムからのエビ固め16.03)斉藤彰(12点)

予選会最後の1試合は力押しの消耗戦となった。斉藤の蹴りをかいくぐってN神威、地獄落としからパワーボムとたたみかけて勝利。

この結果予選会リーグ戦は、1位通過ナイトメア神威2位通過斉藤彰子3位通過八島静香、4位通過藤原和美、5位通過中江里奈となった・・・

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さいたまドーム大会のメインはSPZ選手権、王者霧島レイラに挑む挑戦者は元SPZ王者で団体エースのマイティ祐希子。

どうみても挑戦者が有利だろうという空気が充満する中、試合が始まった。マイティ祐希子のスピードは霧島にプロレスをさせなかった。走ってタックル、アームホイップ。こつこつと霧島のスタミナを奪っていって、息が切れたのを見計らってニーリフト。

「うーん・・・」
かいせつのイージス中森が指摘する。

「いくらパワーがあっても捕まえないと厳しいですよね・・・」

それでも霧島レイラ、強引にスプラッシュマウンテンを放ってM祐希子をあわてさせる。

「これでどうだ!」

M祐希子、これ以上付き合うのは危険と判断し、バックドロップ、ニーリフト、ダイビングプレスの波状攻撃で勝利。28分21秒の熱闘を制し、SPZ王者に返り咲いた。

2009年2月19日 (木)

第616回 31年目6月 SPZクライマックス予選会(中)

31年目6月シリーズ(続き)

「にゃはは♪、勝ったーっ!」

第4戦兵庫大会で、30期生サキュバス真鍋がようやくシングル初勝利。新人の藤島瞳を痛めつけて、最後は10分58秒、ドロップキックから押さえ込んでフォール勝ち。

斉藤彰(6点、飛燕脚からの片エビ固め 8.36)RIKKA(0点)

格下にはやたら強い斉藤彰子。殴って蹴って飛燕脚でおしまい。完勝である。

N神威(6点、裏投げからの片エビ固め 7.38)M千秋(0点)

PDFの同門対決、ナイトメア神威が一方的に攻めて圧勝。

中江(4点、パワーボムからのエビ固め 14.13)S小縞(0点)

中江里奈が積極的に攻めて優位に立ち、パワーボムでたたきつけて幕。スカ小、どうしたんだ3連敗いまだ白星なし・・・

「そんな・・・・っ」

八島(6点、エルボーからの片エビ固め 13.44)藤原(2点)

「若手とやるときは、頭を狙うんだ、そうすりゃ動きが鈍くなってペースを握れる」

ヘッドバットヘッドバットでまず藤原の動きを止めてからタックル攻勢。女番長が理にかなった攻めを見せる。藤原もJOサイクロン、バックドロップを繰り出すなど健闘したが最後は八島がパワーボム、エルボーとたたみかけて締めた。

斉藤、N神威、八島静香が3連勝。

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第5戦福井大会で新人のグリズリー山本が早くもシングル初勝利。サキュバス真鍋をチョップで倒して3カウントを奪う快挙。

さて予選会リーグはいよいよ後半へ。

N神威(8点、地獄落としからの片エビ固め 9.38)RIKKA(0点)

ナイトメア神威、全盛期は過ぎているもののさすがの狂乱ラフファイト。RIKKAなど問題にもしない。最後は得意の地獄落とし(変形デスバレー)がズバリ。

「UOOOOOOOOOOOOOOO」

堂々の4連勝で予選会通過一番のりを決めた。

中江(6点、パワーボムからのエビ固め 13.34)M千秋(0点)

中江里奈、一発狙ってきたM千秋のフィッシャーマンバスターを食らってヒヤリとしたものの、なんとかこらえて反撃。ノーザンで形勢逆転し、最後は豪快なパワーボムで3カウントを奪った。これで1敗をキープ。

S小縞(2点、ラリアットからの片エビ固め 15.22)八島(6点)

「勝ったーーーッ!!」
スカーレット小縞、シャイニングウィザードでぐらつかせておいてのラリアットでようやくリーグ戦初勝利。

「うう・・・・」
破れた八島、ラリアットで頭を打ってしまったのか朦朧とした状態で引き揚げた。

斉藤彰(8点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め 14.14)藤原(2点)

勝てば予選会通過の斉藤彰子、格下相手だとプレッシャーがないのか打撃がバキバキ入る・・・この日も掌底で相手を血祭りに上げる。しかし藤原も懸命に反撃、

しかし・・・突進してくる藤原の前に出されたのは斉藤彰子の右足だった。

ドカッ

出た出たついに、必殺ジェットスマッシュ!

しかし藤原も朦朧とした状態でJOサイクロンでお返し、しかし
「うらあああああ」
斉藤彰子、奥の手のスプラッシュマウンテン。これで藤原を沈め予選通過を決めた。

「ハァ、ハァ・・・内容はよくなかったんですけど、なんとか本大会を決められてよかったです」

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第6戦石川大会。残る出場枠は3.一つ一つの試合が実に重い。

S小縞(4点、ジャンピングニーからの片エビ固め 10.20)RIKKA(0点)

八島に勝って予選会通過に望みを残したスカ小、きょうの相手は3年目のRIKKAなのでいきなり頭突き頭突きで主導権を握る。そしてDDT。頭への一点集中攻撃がうまい。RIKKAも農鳥で反撃したが、及ばなかった・・・

藤原(4点、ネックブリーカーからの片エビ固め 13.15)M千秋(0点)

藤原和美、対戦相手M千秋の老獪なラフファイトに苦しんだものの、なんとか勝利。2勝目を挙げて本大会出場の望みをつないだ。

「残り二つ、絶対に勝ちますッ!!」

また同期の中江だけ本大会出場というわけには行かない。

斉藤彰(10点、飛燕脚からの片エビ固め 11.53)中江(6点)

斉藤彰子蹴りつぶし街道一直線。本大会が決まってもいつも通りのハードな攻め。飛燕脚を2回までは耐えた中江だったが、3発目でついに力尽きた・・・・

八島(8点、延髄斬りからの片エビ固め 15.15)N神威(8点)

きのうスカ小に敗れて奮起した八島さん、パワフルな攻めを見せてN神威を追い込み、
「なめんなああああああ!!」
ジャンプしての延髄斬り。これで3カウント。八島も4勝目を挙げ、予選会突破を決めた。これで残るイスは2つ。中江(6点)、藤原(4点)、スカ小(4点)が争う展開。

2009年2月18日 (水)

第615回 31年目6月 SPZクライマックス予選会(上)

31年目6月
恒例のSPZクライマックス予選会。今年の出場者は以下の通り

ナイトメア神威(前回本大会6点)

斉藤彰子(前回本大会5点)

八島静香(前回本大会4点)

中江里奈(前回本大会0点)

スカーレット小縞(26期)

藤原和美(28期)

マーメイド千秋(22期)

RIKKA(29期)

総当りリーグ戦の上位5人が本大会に出場できる。

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初戦山口大会メインで、SPZタッグ選手権が行われた。今回の挑戦者は若手が抜擢され前あばしり王者の藤原和美、中江里奈組。

「小縞さんを狙おうよ」
タッグマッチでは弱いほうを狙えというのは鉄則である。しかし、スカ小もその辺は分かっていて、中江の猛攻を食らいながらもうまーく受けきって霧島レイラにタッチ。

「ぐわあっ」
単純なタックルでもこの選手がやると迫力満点。さすがSPZチャンプ。藤原中江の2人をたちまちのうちに追い込む。ならばと中江も得意のパワーボムを放つが霧島はあっさりカウント1でクリア。

「そろそろ終わりかーー」

出てきた藤原にスプラッシュマウンテン炸裂。これは中江がカットしたが、そのあとスカ小が出てきて中江を場外乱闘に引きすり込む。アーこりゃ決まるなという雰囲気の中、霧島がブレーンバスターで藤原を叩きつけて試合をクローズ。勝負タイム27分24秒、強い王者組。8度目の防衛に成功。

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翌日の島根大会から予選会がスタート。

中江(2点、水平チョップからの片エビ固め 18.37)RIKKA

RIKKAも農鳥2発を決めるなど健闘したが、受けきった中江がチョップ一撃、倒れたRIKKAを押さえ込んで3カウント。白星スタート。

八島(2点、エルボーからの片エビ固め 11.55)M千秋

「予選会?全勝してやるよ」

何でいまさらこんなのに出なくてはならんのだという八島さん、力強い攻め。団体最古参のM千秋を押し込んで、最後は強烈なエルボーでぶっ飛ばして3カウント。地元凱旋を完勝で飾った。

斉藤彰(2点、STOからの片エビ固め 10.51)S小縞

昨年一昨年と2年連続で本大会出場を次点で逃しているスカ小。SPZ世界タッグ王者が出られないというのは恥ずかしいので果敢に攻めたが、アーッという間に斉藤の掌底で流血。これで動きが鈍った。

あとは斉藤さんの打撃のオンパレード。裏拳、飛燕脚。あわれスカ小、ボコボコにされてしまった・・・

N神威(2点、地獄落としからの片エビ固め 13.18)藤原

会社からは次期エースとして期待されながらもなかなか芽が出ず、本大会出場も同期の中江に先を越されてしまった藤原和美。でもデビュー4年目、そろそろ勝負に出たいところ。
「行きますっ・・・」
得意のJOサイクロンを繰り出したが、ナイトメア神威には通じない。ムクット起き上がって平然とした顔で襲い掛かってくる。

「き、きかない、なぜ?・・・・」
やせ我慢を見抜けない藤原も藤原なのだが、そのあとはN神威に主導権を握られる展開。

「UOOOOOOOOO」
ナイトメア神威、豪快なパワーボム、これはなんとかロープに逃れたが立て続けに地獄落としを食らって万事休す・・・・

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第3戦は鳥取大会

八島(4点、パワーボムからのエビ固め 12.12)RIKKA(0点)

八島が力押しでRIKKAを圧倒して下した。

斉藤彰(4点、飛燕脚からの片エビ固め 14.30)M千秋(0点)

斉藤彰子が蹴って蹴って蹴りまくって。

N神威(4点、パワーボムからのエビ固め 10.22)S小縞(0点)

ナイトメア神威の炸裂狂乱殺法、スカ小、手も足も出ず。それでもタッグ王者なのか・・・・

藤原(2点、バックドロップからの片エビ固め 15.53)中江(2点)

28期生同士の対戦、ふだんはタッグを組んでいるがこのときばかりは真剣勝負。
―中江さんに勝たなきゃ、本大会に出られない!!
果敢に攻めていく藤原だが、一発の重さなら中江が上。それでも懸命に手数を繰り出す藤原、場外ジャーマン2連発という無茶苦茶な攻めを見せて中江をグロッキーに追い込みバックドロップで幕。

第31回SPZクライマックス出場権をかけた予選会、2連勝スタートは八島静香、斉藤彰子、ナイトメア神威の3人・・・

(続きます)

2009年2月17日 (火)

第614回 31年目5月 東西対抗戦

31年目5月シリーズ(続き)

「まだ、実感が沸かないスね・・・」

頬を緩ませながら京スポ新聞の取材を受けるSPZシングル・タッグの2冠王、SPZ27期・霧島レイラ。デビューから4年余り、ようやく彼女もSPZ女王の座に輝いた。

「でも、」

インタビューの後半、改まった表情で霧島レイラが切り出す。

「自分の中では、祐希子選手に勝って防衛して、本当のチャンピオンだと考えてますから。」

今回の戴冠はジェーンとの力勝負を制しただけ。祐希子にはまだ勝っていない。

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移動日を置いて翌々日、新潟大会。メインはSPZタッグ戦、

「2日間だけの2冠王なんて笑い話だから、勝って帰りましょう、ね!」

先輩のスカーレット小縞のほうが緊張気味。

先月引き分けに終わったカード、霧島レイラ、スカ小VS八島静香、ハリケーン神田。

「オラオラーーーー」

SPZ王座を取って2冠王となった霧島レイラが気持ちよく攻めてゆく。25期生コンビはスカ小を狙おうとするが、スカ小もその辺は分かっていて、やられながらもうまく逃げて霧島にスイッチ。

「小縞さん!」

「はいーーー」

最後は見事な連携。サンドイッチラリアットが決まり、八島から3カウント奪取。勝負タイム30分30秒。これで王者組が7度目の防衛に成功。このコンビもなかなか負けない。霧島のパワーはいうに及ばず、スカーレット小縞も外見からは想像もつかないパワーを持っているのだから厄介だ。

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最終戦は横スペ大会。恒例の東西対抗戦だが、負傷欠場者が大勢出ているので5対5での実施となった。

中江○(秋田)(STOからのエビ固め 4.09)×S真鍋(福井)

まずは東軍が1勝。中江が2年目のサキュバス真鍋をパワーボム、そしてSTOで一蹴した。勝負タイムわずか4分。

藤原×(栃木)(ムーンサルトプレスからの片エビ固め 8.48)○M祐希子(山口)

28期生の藤原和美、団体最強のマイティ祐希子にぶつかっていったが、壁は厚く、一方的に攻め込まれてムーンサルトで敗北。それでもJOサイクロンの反撃を決めたところでは沸いた。これで1勝1敗のイーブン。

霧島○(岩手)(ラリアットからの片エビ固め 12.54)×斉藤(三重)

晴れてSPZ世界王者になった霧島レイラ、最初のシングルマッチの相手は斉藤彰子。若手の頃は苦手にしていた対戦相手だが、チャンピオンである以上負けられない。

DDTで形勢をととのえると一気の攻め、最後は相手が弱りきったところへ狙いすましたラリアット!これで2勝目を挙げた東軍が王手をかけた。

H神田○(茨城)(パワーボムからのエビ固め 15.47)×S小縞(和歌山)

シングルマッチでは実力微妙なスカ小。しかしこの日は賞金への執念か、ハリケーン神田をタイガードライバー、パイルドライバーで追い込む。

しかしハリケーン神田も冷静にパワーボム2連発で反撃、カウント3を奪った。これで東軍の勝利が確定。

N神威○(北海道)(地獄落としからの片エビ固め19.08)×八島(島根)

「ぐわああああああっ」

鉄製の凶器の突きを頭に食らった八島静香、悶えて転げまわる。ナイトメア神威はケケケケと狂乱の笑み。

メインイベントはゴツゴツした熱戦の末、卑劣な凶器攻撃で試合のペースをつかんだナイトメア神威、パワーボムから地獄落としとつないで25期生の八島に勝利。場内ブーイング。

この結果東西対抗は4勝1敗で東軍の勝利となった。

2009年2月16日 (月)

第613回 31年5月 奈良で起こった大事件

31年目5月 シリーズ(続き)

岡山大会の翌日は奈良大会。

前夜を岡山市内のホテルに泊まったSPZ選手関係者ご一行は2台のバスに分乗し、12時頃会場入り。奈良市内で昼食を済ませたあと、各選手が体育館の内外で軽く調整。5時半の開場まで身体を動かす。昼前に設営されたリングではサキュバス真鍋やRIKKA、藤原、中江といった若手選手がスパーリング。

午後6時30分試合開始。奈良での興行は8ヶ月に1度の割合でしかないのでぎっしり埋まった。

第1試合は外人同士の対戦。ミスティアマスク対ノティア・リチャーズ。ノティアも脇固めを軸に応戦したが、ミスティアマスクが軽快な動きを披露。最後はローリングソバットで3カウント奪取。勝負タイム9分43秒。

第2試合はサキュバス真鍋対ディスガイズマスク。2年目のサキュバス真鍋、まだまだ打たれ弱く、この日も防戦一方。最後もディスガイズのDDTにやられてしまった。勝負タイム7分21秒。

締まらないシングルマッチが2試合続いたが、続く第3試合からは一気にプロレスラーらしい選手が登場。

藤原和美、中江里奈 対 斉藤彰子、スカーレット小縞。28期生VS26期生のタッグ対決。昨日まさかのあばしり転落を喫した藤原和美、ハイキックを食らった後遺症なのか、動きにキレがない。

―パートナーが調子悪いぶんはカバーする!

中江里奈が前面に立って奮闘。斉藤彰子の打撃にも怯まず攻めてゆく。

「ぐぐぐ・・・・」
「うあーーー」

ブレーンバスターのせめぎあいで場内拍手。けっきょく斉藤が中江を投げきった。これで背中をしたたかに打ってしまった中江、斉藤の蹴り連打を食らってしまう。しかし代わって出てきた藤原もパートナーの気合いに触発されたのか、斉藤彰子をバックドロップで投げるなど奮戦。代わって出てきたスカ小にはJOサイクロン。

このあと試合は4人が入り乱れるお約束のパターン。

「これでも食らえーーー」

スカ小、パイルドライバー、ジャンピングニーで追い込んだが中江をとらえきれない。息切れして斉藤彰子にタッチ。しかし、

「終わりぃぃぃぃ」
中江里奈、力任せに斉藤を抱えると、
ドオオオオオン!!
パワーボム炸裂。これで3カウント奪取。勝負タイム26分32秒の熱戦は28期生コンビが制した。

その試合が終わると休憩。休憩前がかなりいい試合だったせいか、席を立つファンも少なかった。

休憩明けの第4試合は団体最強のマイティ祐希子が登場。RIKKAと組んで、ナイトメア神威、マリシアルイス組と対戦。ナイトメア神威はパートナーのM千秋が負傷欠場中なのでタッグで出る場合は外人と組むほかない。

しかしインスタントチームでマイティ祐希子にかなうはずがない。ナイトメア神威の狂乱ファイトを受けきったマイティ祐希子がバックドロップ、ムーンサルトで一気の攻め。たまらず出てきたマリシアにはタイガースープレックス。これは2.9で返したマリシアだったが、立て続けにニーリフトを食らって万事休す。

勝負タイム14分49秒。祐希子・RIKKA組が快勝。

セミファイナルは25期生コンビが登場。八島静香&ハリケーン神田対キャシーウォン、ブルックウォン。昨日あばしり王座に返り咲いて意気揚々のキャシーがいい動きを見せたが、八島の受けの凄さは半端じゃない。生半可な攻撃なら受けきってしまう。

「そろそろ行くぞっ!」

そして神の手を持つ女、ハリケーン神田登場。いきなりゴッドハンドでブルックを戦闘不能に追いやる。なんてやつだと場内どよめき。

残ったキャシーが奮戦したが、やはりH神田に押し込まれゴッドハンドを食らってしまう。相手2人がボロボロになった時点で八島さんが満を持して再登場。

「おらああああっ」
八島静香、パワーボムでキャシーから3カウントを奪った。勝負タイム20分35秒の熱闘を制した。

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メインイベントはSPZ世界戦。奈良で行われるのは極めて珍しい。王者ジェーンに挑むのは27期生の霧島レイラ。

霧島レイラがチョップを打てばジェーンもチョップでお返し。そしてタックル、ボディスラムでペースを握る。

しかし霧島も頭突き、ローリングソバット、頭突きで応戦。頭突きで転倒させるやギロチン2連発。そして引きずり起こしてネックブリーカー。組み立てがうまい。

ジェーンも負けじとタックル。しかし霧島もジャンピングニー、ローリングソバット。馬力にものを言わせて攻め立てる。

追い込まれたジェーン、いきなりバックに回って必殺のベリートゥバック!

「・・・・しまった」

なんとか2で返した霧島だったが、頭を打ったかこれで動きが止まった。ニーリフト、フェイスクラッシャー、キャプチュードと畳み掛けられてしまう。

「うぉおおおおお」

しかし、霧島レイラも諦めず、ラリアット。吹っ飛んだジェーン。すかさずフォール、これはカウント2.8で返されたが、

霧島レイラ、切り札のスプラッシュマウンテンを狙う、1度目は回転エビに切り返されたが、2度目のトライで決めた!垂直落下。
ワン、トゥ、、ドドドドドドド・・・・・

ジェーン、カウント2.9で返す。同じ相手に連敗はできないという意地があったか、しかし。

「アーーーーーーーッ」

霧島レイラ、雄たけびとともに、もう一度ジェーンを担ぎ上げて、垂直落下!

スプラッシュマウンテン連発!こうなってはジェーン返せず、無念の3カウントを聞いた。
勝負タイム27分48秒。霧島レイラが第89代SPZ王者に輝いた。

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SPZ世界選手権(60分1本勝負)

霧島レイラ(27分48秒、スプラッシュマウンテンからのエビ固め)ジェーン・メガライト

第88代王者が初防衛に失敗。霧島レイラが89代王者となる

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場内に流れる「ゴーストバスターズのテーマ」

その瞬間、奈良市総合体育センターが爆発した!詰め掛けた4199名(主催者発表)の観衆は新王者誕生の瞬間を見ることができた。

「獲った・・・獲ったぞおおおおおっ!!」

霧島レイラ、同期のM祐希子に遅れること2年、女王の座・SPZベルトをついに巻いた。コーナーにかけ揚げって喚起の咆哮。場内ものすごい霧島コール。

パートナーのスカ小が霧島の腰にベルトを巻く。瞬くフラッシュ。地方興行でこんなシーンは珍しい。

「奈良の皆さん、今日はどうもありがとうございました!」

霧島レイラ、涙をこらえながらファンにお礼を言ってから引き揚げた。

2009年2月15日 (日)

第612回 新たな闘いの始まり

横浜のお嬢様プロレス団体「SPZ」(正式名称・株式会社スーパースターズ・プロレスリング・ゼット)は、数々の苦難を乗り越えてついに旗揚げ30周年を迎え、めでたさいっぱいの雰囲気の中で旗揚げ30周年記念興行を盛大に新日本ドームで開催し、超満員の観衆を集めた。

「はぁ・・・長かったでんな・・・・」

SPZの創業者にして現在は人事経理担当役員の今野氏(64)がほっと一息。役員椅子に座りながらお茶を飲む。

「んー、まあ、選手みんなのおかげかな。楽させてもらってますよ」

名解説者・鬼社長の吉田龍子氏(40)がにこやかに週刊ハッスルのインタビューに応じる。苦しかった時期を知っているだけに、この繁栄がいつまでも続く事を願っている。

「油断してはいけません。祐希子選手を脅かすくらいのいい選手をどんどん発掘してこないとお客様の足が遠のいてしまいます。商いは飽きないですから。」

SPZの影番・井上霧子氏、これからの抱負を語る。

しかし旗揚げ30周年記念興行のメインを務めた団体エース・マイティ祐希子が最強外人ジェーンのベリートゥバック、キャプチュードを食らってまさかの敗北&王座流出。

そして、新たな戦いの始まり。

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31年目5月

5月シリーズ「バトルカデンツァ」開幕。ケンドーカミスワ、マーメイド千秋が腰痛で欠場。新人の2人も居残り練習のため欠場。

向かうところ敵なしといわれたマイティ祐希子をみごとスープレックス攻勢で倒し、SPZ王座を奪取したジェーンメガライト。挑戦者をどうするかでSPZマッチメイク委員会はもめたが、「もう一度霧島レイラにチャンスをあげていいんじゃないか」という意見があり、シリーズ中に27期の霧島レイラにSPZ王座への挑戦権を与えるマッチメイクを行った。先シリーズのノンタイトル戦ではジェーンに勝っているので、霧島レイラ、またとない王座どりのチャンスが訪れた。

シリーズ初戦の高知大会では前哨戦が組まれた。

霧島レイラ、スカ小VSジェーン、マリシアルイス。

格落ちのマリシアを潰せば勝てそうだが、霧島レイラは先発を買って出て、ジェーンに向かっていった。

「おらあーーーっ!」

ジェーンにも臆せずラリアットを叩き込んでゆく霧島レイラ、本当に強くなった。外人チームはマリシアが力不足なので劣勢を挽回できない。20分過ぎに霧島・スカ小が波状攻撃をかけた。まずマリシアを叩きのめして場外に落とし、孤立したジェーンをー

「これでも食らえ!!」

試合終盤のどさくさにまぎれて、弱りきったジェーンにスカ小がラリアットを叩き込む。

「・・・・ウアッ・・・」

スカーレット小縞、子供の頃から実家のすし屋でビールケースを運んでいたので腕力はかなりのものがある、なんとこれで現SPZ王者、最強外人のジェーンからタッグマッチながら3カウント奪取。

ええええええええええええええええええええ!

思わぬ幕切れとなった。

「勝った・・・勝ったあ・・・・・」

信じられない表情で息を整えるスカーレット小縞。いくらタッグの試合の流れの中とはいえ、最強外人ジェーンから3カウントを奪うという事はなかなかできることではない。かくて前哨戦は霧島が制した。

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シリーズはそのまま四国各地を転戦。

第5戦岡山大会、メインであばしりタッグ戦が組まれた。

王者藤原和美、中江里奈組に対するはキャシーウォン&ブルックウォン。

ウォン一族の悪の連係に手こずった28期生コンビだったが、中江のパワーで形勢逆転。ものすごい頭突きでキャシーをたじろがせる。そこへ藤原がフロントスープレックスで追い打ち。

「んー、そろそろあばしりを返上させて世界タッグ戦線に持ってきてもいいころだね」

辛口の吉田社長が珍しく28期生コンビの2人を褒める。しかしこの日は最後の大逆転。キャシーのハイキックが藤原にモロに入ってしまった。

「あ、アッー・・・・」

藤原これで動きが止まった。そこをウォン一族の2人が集中砲火、最後は合体パワーボムでたたきつけて3カウントを奪った。

「横行覇道ノ何ガ悪イ?」

28期生コンビが5度目の防衛に失敗し、あばしりベルトを手放した、勝負タイム28分44秒。ベテランのキャシーウォンがひさしぶりにあばしりベルトを奪還した。

2009年2月14日 (土)

第611回 旗揚げ30周年記念興行

最終戦は新日本ドーム大会。創立30周年記念興行。

「んー、まあ、記念興行って言っても、あんまり派手なことはやらないんで、いつも通りの美プロレスをやってください」

吉田龍子社長が会場前に訓示。ドハデな演出も考えたが、「SPZらしさは手作り感だよ」という意見が多かったので、普通にドーム興行を行った。だがファンの盛り上がりは尋常ではなく、当日券チケットはあっという間に完売となった。

午後4時30分、開門。待ちかねたファンがわらわらと入る。場もたせの音楽はSPZで過去に活躍した名選手の入場テーマ曲。曲が変わるたびに場内どよめく。

だんだんアリーナ席、内野席が埋まっていき、6時30分、興行開始。

カン、カン、カン、カン、カン・・・・

本部席に陣取った今野役員がゴングを5回叩いた。そのあといつも通りリングに上がった村越リングアナがカードを読み上げる。

そして第1試合に登場する藤島瞳が花道をダッシュしてリングへ。デビュー間もないのでテーマ曲はまだない。

第1試合は藤島瞳対ディスガイズマスク。

新人の藤島瞳、東都デビュー戦だったが、何もできずディスガイズマスクに攻め込まれ、ジャンピングニー3連発に散った。勝負タイム5分40秒。

第2試合はグリズリー山本対RIKKA。

新人のグリズリー山本、新日本ドーム初登場に気合いが入っていたが、RIKKAのジャンピングニー連発で動きが止まり、

「はっ」

DDTで終了。勝負タイム6分21秒。新人2人が厚い壁に屈して、前座の2試合が終わった。

続く第3試合、場内に流れる「SEEK&DESTROY」ギターサウンドに場内沸く。

オーロラビジョンにはでかでかと、

「マーメイド千秋デビュー9周年記念試合」

PDFのリーダー(しかし構成員はもう2名しかいない)、マーメイド千秋がいつものようにポーカーフェースでリングへ。小気味いいヒールファイトで悪の軍団を支え、人気も高い。

対戦相手は実力派外人マリシアルイス。

22期生のM千秋、動きは相当落ちているが、技の鋭さは健在。ブレーンバスターも高速で投げきる。さすがに長い事DF,PDFでバイプレイヤーをつとめてきたことはある。しかし、マリシアが試合終盤に裏拳2連発。これで形勢逆転。

「・・・・・・・・」

へなへなと崩れるマーメイド千秋、そこをマリシア、無理やり引きずり起こして、

「FINISH!」

マリシアが鋭いラリアット。右腕を振りぬいた。実力派外人だけあってパワーはけっこうある。吹っ飛ぶM千秋。これで3カウント。勝負タイム15分44秒。

「クソ・・・・」

マーメイド千秋、シングルマッチではどうしても試合をうまくコントロールできない。いつの間にか団体最古参。彼女に残されたレスラー生活も残り少しなのか・・・

その試合が終わると15分間の休憩。

******************************

休憩後の第4試合、「ケンドー・カミスワ デビュー9周年記念試合」が行われた。

「上諏訪温泉マーチ」が流れ、温泉マークを模した覆面を被ったカミスワが花道に姿を現した。例によって上諏訪温泉旅館の割引券をばら撒きながら入場。

対戦相手は26期のスカーレット小縞。

「でぇりゃーーーーー」

一昨日タッグ王座を防衛して肩の荷が下りたスカ小、のびのびとしたファイトでカミスワを追い込む。しかしカミスワも持ち前のグラウンドテクで悲鳴を上げさせ、弱ったところをローリングソバットでダメージをあたえてくる。

これで怯んだスカ小、そこに隙が生まれた。

すっと組み付いたカミスワ、代名詞の上諏訪温泉極楽絞め!

「う・・・ぐっ・・・」

スカ小脱けられない。ついにぐったりしてしまった。危険と判断した中森レフェリーが試合を止めた。勝負タイム14分37秒。

続いて流れたのは藤原和美のテーマ、ライディーン。

セミ前第5試合は28期生コンビ、藤原和美、中江里奈が登場。対戦相手はアニービーチ、ハムルシアター組。先日の名古屋でのあばしり戦と同じカード。今回も藤原のスープレックス攻勢が冴え渡り、13分57秒、フロントスープレックスでハムルを片付けた。

そしてセミファイナル、SPZ30周年記念試合6人タッグマッチ。選手はひとりずつ入場。まず青コーナー側から。

まず洋楽のロックバンド音楽が流れ、キャシー・ウォンが入場。

そのあと「Give me up」がかかり、斉藤彰子(SPZ26期)が入場。

青コーナー側のトリ、は25期生ハリケーン神田。「ワルキューレの騎行」が流れる中、長い花道を歩いて入場。

続いて赤コーナー側。まず「ゴーストバスターズのテーマ」が流れ、SPZ27期の霧島レイラがゆっくり歩いて入場。もう団体準エースだが一番年少なので先に入場。

次は「アルルの女 ファランドール」がかかり、勇壮な音楽に合わせて八島静香が入場。30周年ということで気合いが入っているのか、長い角材を持っての入場。これには場内どよめいた。

最後は「レクイエム・怒りの日」が流れ、ナイトメア神威が入場。頭に麻袋をかぶされており、ロープを持って先導するのはマーメイド千秋。いつも通りの危ない人ギミックだ。

セミファイナルは30周年記念6人タッグ。キャシー・ウォン、斉藤彰子、ハリケーン神田対、霧島レイラ、八島静香、ナイトメア神威。実力者6人をごっちゃくたにしてリングに上げた節操のないカード。

「おうらあああああ」

霧島レイラがいい動き。相手チームの3人を向こうに回して暴れる。お祭り的なカードでもきっちり存在感を出す。

―誰が相手でも、ぶっ飛ばす

しかし斉藤彰子も裏拳で応戦。これはさすがにくらっとした霧島、ナイトメア神威にタッチ。

「はっ」

ハリケーン神田もゴッドハンドをN神威に決める。

このあたりからスタミナがみんななくなってきたのか、6人が入り乱れる展開。まず霧島のスプラッシュマウンテンでキャシーが戦闘不能に陥った。

「KYAAAAAAAA」
ナイトメア神威も地獄落とし。斉藤彰子をグロッキーに追い込む。しかし最後はハリケーン神田と斉藤彰子が夢の連係、ダブルインパクト!八島静香は頭からマットへ。

合体攻撃をきめた斉藤彰子が、八島から3カウントを奪い試合を決めた。勝負タイム23分3秒。

****************************

メインのSPZ戦、王者マイティ祐希子に挑む挑戦者はジェーンメガライト。

今シリーズのジェーンは不調で、霧島レイラにもシングルで負けてしまったが、得意のスープレックス攻勢に持ち込めれば可能性はある。で、試合はその通りの流れとなってしまった・・・

「ウオオオオオオ」

ジェーン、12分過ぎにベリートゥバック、そしてフロントスープレックス、バックドロップ。怒涛のスープレックス攻勢、そしてキャプチュード。マイティ祐希子に攻め手を与えない。

「ファファファファ・・・コレデドウダ」
2発目のキャプチュードが決まり、3カウントが入ってしまった。勝負タイム16分44秒、M祐希子は5度目の防衛に失敗。SPZ王座が流出。

「うう・・・・・」

マイティ祐希子、頭を打ったのか、セコンド陣に背負われて退場。シングルマッチの連勝も13で止まった。

これでSPZ30周年興行は終った。メインが意外な結末だったが、これはこれで次回以降へのリベンジがきっとあるだろう。SPZの激闘はもうしばらく続く。

2009年2月13日 (金)

第610回 旗揚げ30周年記念エッセンシャルシリーズ

横浜のお嬢様プロレス団体「SPZ」は幾多もの苦難を乗り越え、とうとう旗揚げから30周年を迎えた。そして「旗揚げ30周年記念エッセンシャルシリーズ」開幕。ドーム級の会場をめぐるBIGなシリーズだ。

初戦札幌どさんこドーム大会第1試合、藤島瞳のデビュー戦.。ルックス重視で採用されたので会社側はさして期待しておらず、受け身の初歩と基本動作を一通り覚えさせてデビューさせてしまった。

緊張した面持ちで藤島瞳、長い花道をダッシュしてリングへ。

「フッフッフ、かかってこいよ。少しは攻めさせてやっから」

デビュー戦の対戦相手はくせ者、元SPZタッグ王者マーメイド千秋。はっきりいってレベルが違いすぎる。

「てやっ」
藤島瞳、練習の成果を見せてドロップキック、スリーパーで攻めていったが、

「はい、終わり」
マーメイド千秋、ドロップキックのお手本を見せた後、いきなりSTF。あえて鼻をつぶさず顔をロックしていたぶる。

「うああああああああああああ!!」
悲鳴をあげながらも、なんとかこらえた藤島だったが

「ケケケケケケ」
続いてサソリ固めでグイグイ絞られては万事休す。藤島瞳、ギブアップせざるを得なかった。勝負タイム10分59秒。

「うう・・・痛い・・・っ」

セコンドのRIKKAにつかまりながら引き揚げた藤島瞳、控室の床にへたり込む。先輩レスラーたち全員が拍手で祝福した。

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第2戦、釧路大会での第1試合では同じく新人のグリズリー山本(本名・山本喜久子)のデビュー戦。こっちは馬力があるのでプロレスを覚えたら大化けしそうである。

「さあ、行って来い!!」

イージス中森トレーナーが叱咤する。グリズリー山本、意を決して花道を進んだ。

対戦相手は2期上のRIKKA。しかしRIKKAのすばやい動きに翻弄されっぱなし。いかに馬力があろうと捕まえられなければ意味がない。

「うがあーーーーっ」

山本、スクラップバスターを見せるなど健闘したものの、

「消えろ」
RIKKAのジャンピングニーがG山本のアゴにヒット。これで3カウントが入った。

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第4戦、名古屋しゃちほこドーム大会ではあばしりタッグ戦。王者藤原和美・中江里奈に対するは、実力派外人コンビのハムルシアター、アニービーチ組。

「はあうっ!」

しかし28期生コンビの実力はあばしりレベルを凌駕しつつあり、最後もあっけなく藤原がバックドロップでハムルをしとめた。勝負タイム19分40秒。王者組が4度目の防衛に成功。

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第5戦なにわパワフルドーム大会、メインは斉藤彰子対霧島レイラ。

「大阪ではケンカマッチが受ける」という事で派手な展開になりそうなシングルマッチを組んだ。

霧島レイラにとって斉藤は相性が悪いが、M祐希子に次ぐ団体ナンバー2になったからにはそうは言ってられない。持ち前のパワーでガンガン攻めてゆく。斉藤彰子のジェットスマッシュを食らったものの、

「覚悟!」
豪快なラリアットを斉藤に叩き込んで、カウント3。勝負タイム19分58秒の熱戦を制した。

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第6戦若鯉球場大会、メインは霧島レイラ対ジェーンメガライトのノンタイトル戦。パワーではジェーンにひけをとらなくなってきたが、レスリングセンスではまだまだジェーンが上、そこのところをどうカバーするかが見ものだったが、霧島レイラ、臆せず持ち前のパワーで最強外人ジェーンと渡り合い、

「覚悟!」

最後は2夜連続のラリアット。最強外人ジェーンもこれで沈めてフォール勝ちを収めた。

「ハァ、ハァ・・・・なんとか、勝てました。ベルトを巻くためには、外人選手でも負けられませんっ」

霧島レイラ、団体ナンバーツーとして着実に地歩を固めてきている。

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第7戦九州ドーム大会、メインはSPZタッグ戦。王者霧島レイラ&スカ小へ挑むのは今回の挑戦者は25期生コンビ(八島静香&ハリケーン神田)。

「なにがナンバー2だ。そんなものな、フッ飛ばしてやるよ!」

「・・・・誰が相手でも殴り倒す」

(強すぎるマイティ祐希子をタッグ戦線に絡ませられないので、25期生コンビかPDFしかいないという状況)

―ベルトを持って30周年を迎えたい

4人の思いが交錯する展開。しかしスカ小が25期生コンビの猛攻をしのいで霧島につなぐ。しかし霧島もパワーで押し込むが、八島のうたれ強さに決定的チャンスを作れない。そうこうする間に4人が入り乱れる展開。

「これでも、食らえーーー」
スカーレット小縞、パイルドライバー2連発。ここまで粘ってきた八島がついに動きが止まった。目がうつろだ。

「うおりゃー」
走り出すスカ小、しかしここで時間切りのゴング。けっきょく60分フルタイムドローとなった。

「来月もう一回。納得いきません」
6度目の防衛を果たしたものの浮かない表情の王者組。

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SPZ世界タッグ選手権(60分1本勝負)

霧島レイラ、S小縞(時間切れ引き分け)八島静香、ハリケーン神田

王者組が6度目の防衛に成功

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そして最終戦は東京水道橋は新日本ドーム大会。SPZ30周年の記念興行である。

2009年2月12日 (木)

第609回 旗揚げ30周年記念パーティー

31年目4月

新人スカウトで山本喜久子を採用。東京都調布市に柔道でセンスのあるコがいるという情報を井上霧子がかぎつけたので面談して採用となった。馬力はありそうなので育て方によっては大化けするかもしれない。

一人採用してもまだSPZは所属選手14名なので、もう一人採用しておこうか・・・と新人テストを行ったが、

「今年はレベル的に微妙な感じです」

と井上霧子が言ったが、面接した今野役員(SPZ人事経理担当)が、ルックスのよさに魅かれたのか、

「即決、採用!」

と言ってしまった。吉田龍子社長は呆れてしまった。

「いや、この業界30年やっているけどあそこまでかわいいコはなかなか・・・」

「ひかるさんに後で言いつけとくよ」

今野役員、帰宅直後にまたも奥様からラリアットを食らったらしい。

かくて30期生はアイドルレスラー候補藤島瞳と、山本喜久子(リングネームはグリズリー山本)の入団が決定した。

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そして、

2039年4月、SPZ30周年記念パーティーが横浜市内の一流ホテルバンケットルームで開かれた。会場には「SPZ30」の巨大氷細工が置かれ、テーブルには豪華な料理がこれでもかと並べられた。マスコミ記者さん、お取引先、日本レスリングコミッションのえらい人、など大勢の関係者が集まり、盛大なパーティーとなった。

会場の随所に置かれた大型テレビではSPZの過去の名勝負、好勝負、珍勝負が映し出され、中には旗揚げ直後のプレミアものの映像もあったので多くの関係者が見入った。

また展示スペースにはSPZ世界選手権、SPZ世界タッグ選手権、あばしりタッグ選手権の計5本の古びたベルトが並べられ、SPZクライマックス優勝者賞の大トロフィーも置かれた。

「さあて、タダメシ喰いますか」

京スポ新聞若林副編集長、取材を部下の記者に任せ、自らは食う気満々。

「いちおういまの私は・・・取引先ということになりますので、遠慮なく頂きます」

ギムレットオフィス社長、八重樫美月もパーティーに顔を出した。

「本日はSPZ30周年記念パーティーにお越しいただきありがとうございます。忘れもしないあの2009年4月21日、横浜赤レンガ大会にてわずか3名の選手で旗揚げしました。あのときは新人の小川ひかる選手と保科優希選手がAACの選手にボコボコにされて、この団体どうなるんだろうと思いましたが、あれから30年のときを経て、15名の素晴らしい選手、スタッフを擁する日本でも有数のプロレス団体となりました。」

井上霧子スカウト担当役員が挨拶。

「今月もドーム興行連発というチャレンジを致しますが、初心を忘れることなく、本気、まごころ、手作り感を旗印に、選手社員一丸となって頑張ってまいりたいと思います。」

SPZの影番、井上霧子。彼女もこの30年間走り続けてきた。

「えーそれではここで、SPZを支えてきた選手、支えている選手。これから支えていく選手を一人ひとりコールしたいと思います」

まず所属選手から。アナウンスは村越リングアナ。

「ふじしまー、ひとーみー」
「ぐりずりー、やまーもとー」

まだデビュー前のグリズリー山本と藤島瞳が一礼。続けて村越リングアナが若い順に次々に名前を読み上げる。

「SPZ世界選手権者、まいてぃー、ゆきこー」
デビュー4年で絶対王者となったマイティ祐希子。

「SPZ世界タッグ選手権者、スカーレット小縞 アーンド、霧島、レイーラー」
タッグ王者のスカ小と霧島は二人続けて読み上げられた。

そしてコールは続き、

「けんどー、かみーすわー」

「まーめいどー、ちあきー!」
団体最古参のカミスワとM千秋が一礼。

続いて今シリーズに参戦する外国人選手が読み上げられる。

「TWWA世界選手権者、ジェーン、メガライトオー!」

SPZの歴史は海外から来た常連外人抜きには語れない。

そして本日出席しているOG連中もコールされる。コールするのは今野役員。現役でないのでキャッチフレーズ付きである。

「爆裂空手道、こんばっとー、さいーとー」

引退したばかりのコンバット斉藤がパーティーに顔を出した。ブラックスーツが決まっている。

「SPZの仕事人、イージス、なかーもりー」

「ど根性関西ファイター、なるせー、ゆーいー!」

「仙台が生んだ青春ロケット、元SPZチャンピオン、きくちーりーゆー!」

「バトルコンピューター、ぎむれっとー、みつーきー」

現ギムレットオフィス社長のギムレット美月も顔を出した。

「SPZを駆け抜けた熱き星!元SPZチャンピオン、スタライトー、あいーばー!」

「生ける格闘伝説、吉田の前に吉田なく、吉田のあとに吉田なし、SPZクライマックスV6,元SPZチャンピオン、そして現社長、よしだーりゅーこー!」

SPZ現社長にしてSPZ歴代最強の女、吉田龍子。

「マットの覇者、うえはらーきょおーこー!」

「即売会の女王、とみざわー、れーいー!」

「脳天クラッシャー、さわざきー、ひかーるー!」

「殺人ヒザ魚雷―、だてー、はるーかー!」

「関節技の悪魔、そして今はロシア料理店「ボストーク」店長、ナスターシャ、ハンー!」

「SPZのヒロイン、おがわー、ひかーるーーー!」

OGの面々が紹介されたあと、

「元KJW世界王者、氷のヤクザキック、現在はただの酒びたり、いのうえー、きりーこー!」

井上霧子までコールされる。参会者はそれだけで盛り上がった。SPZを支えてきた名優たちが壇上に上がる。

まず鏡割り。グローブをはめたハリケーン神田選手会長(25期)が四斗ダルを上から殴って開けるというらしいパフォーマンス。

「ハッ!」

「乾杯の音頭は、SPZ旗揚げ戦第1試合で戦った小川ひかるさんにお願いいたします!」

もう45歳になるのに現役時代のイメージをどことなく残す今野ひかるが短めに挨拶した後、

「それでは皆さん・・・・カンパイ!」

こうして楽しいパーティーが盛大に行われた。

2009年2月11日 (水)

第608回 SPZ30年、360シリーズ、2860興行プロデュース。

30年目3月
3月シリーズ「バーニングシリーズ」開幕。

第6戦宇都宮大会メインはあばしりタッグ戦。王者藤原・中江に挑むのはキャシーウォン・ブルックウォンの悪役外人コンビ。

「あんな外人に手こずってられないよ!」
連係もうまく決まって、合体パワーボムをキャシーに決めて20分35秒、3度目の防衛に成功。

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第7戦、幕張大会メインはSPZ世界タッグ戦。王者霧島レイラ、スカーレット小縞に挑むのはPDFのナイトメア神威、マーメイド千秋組。

しかし霧島レイラが暴れ回る。もう力だけなら団体トップクラスだ。ナイトメア神威の狂乱ファイトを真っ向からねじ伏せる。

そしてマーメイド千秋が出てくるがどうにもならず、ラリアット→スプラッシュマウンテンの殺人コースで3カウント。勝負タイム28分37秒、王者組が4度目の防衛に成功。

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3月シリーズ最終戦はさいたまドーム大会。後半の試合からテレビカメラが入った。

セミ前が、ナイトメア神威、マーメイド千秋VS斉藤彰子、RIKKA

29期生のRIKKAが懸命にこの闘いについていく。悪役集団PDFの猛攻をしのいで斉藤彰子にタッチ。あとは斉藤彰子いつもの蹴りまくりコース。ジェットスマッシュ、飛燕脚で弱らせておいて、ドロップキック。ナイトメア神威が崩れ落ちる。そのまま覆いかぶさって3カウント奪取。

セミファイナルは25期生コンビ、八島静香、H神田対藤原和美、中江里奈の一戦。あばしり王者チームも先輩相手に懸命に向かっていったものの、終盤になってスタミナ切れを起こしてしまい、藤原がグロッキー状態、そこへ、

「これで終わりだ!」

ハリケーン神田のゴッドハンドが決まって終了。23分3秒の熱戦は25期生コンビに軍配が上がった。

メインはSPZ戦。王者マイティ祐希子に挑むのは、同期の霧島レイラ、初挑戦である。ようやく団体ナンバー2にのし上がり、タッグ王座の防衛回数を重ね、世界の一流選手に並ぶの実力をつけてきたと判断され、いよいよSPZベルトに挑戦するところまできた。

―とうとうここまできた・・・

霧島レイラ、積極的にしかける。スプラッシュマウンテンも早い段階から繰り出し、マイティ祐希子をあわてさせたが、

「これでっ」
マイティ祐希子、ジャーマンで形勢逆転。霧島場外へ逃げるが祐希子追ってきてニーリフト。しかし霧島レイラも最後まで諦めず裏投げ。

マイティ祐希子、ラストスパート。とくいのムーンサルトプレスで舞う1度目はロープブレイク、2度目は2.9で返すなど粘った霧島だったが、3連発で食らってはどうにもならず27分44秒、3カウントを聞いた・・・王者は4度目の防衛に成功するとともにシングル13連勝。

2009年2月10日 (火)

第607回 30周年のSPZでございます

「いいですかーー」

横浜戸塚のSPZ本社ビル。本社朝礼の際、今野役員が指示する。

「これから5月までは、電話に出る際は、『お電話ありがとうございます、30周年のSPZでございます』と言ってくださいね。」

そう、横浜のお嬢様プロレス団体「スーパースターズ・プロレスリング・ゼット(SPZ)」は、旗揚げ30周年を迎えるのである。

(筆者より:ここまでマジプレイで30年目というのもあまり例がないかと思いますが、マア笑ってください)

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2月シリーズ「ウルトラソウルシリーズ」開幕。マイティ祐希子は戦列復帰したが、こんどは斉藤彰子とナイトメア神威が負傷欠場。

2戦目の静岡大会でまたあばしり戦。

今回の挑戦者も前と同じハムルシアター&マリシアルイス組。28期生コンビもそろそろ上に行っていいとは思うのだが、上にいい選手が揃っているため、なかなかあばしりレベルから脱却できない。この日もハムルシアターのメリハリの利いた攻めに苦戦。

「ああっ」

ハムルの裏拳を食らった藤原の動きが止まる。このレベルの相手に苦戦しているようでは上へ行けるわけがない。
「行きますっ!」
最後は藤原がどうにかJOサイクロンを決めて、マリシアを撃破。60分の激闘を制した。

なんとか王者組が2度目の防衛に成功。

第4戦三重サンシャインアリーナ。メインはSPZタッグ戦。今回の挑戦者はロゼヒューイット、ファントムローズ2号組。チームワークは侮れない。
「勝利の栄光を掴み取る!!」

王者チーム:霧島&スカ小組もなかなか負けないタッグチーム。先輩のスカ小が流れを作って大砲の霧島につなぐ。さしものロゼ様も攻めあぐねる展開。ファントムローズ2号もDDTを繰り出して懸命にフォローしたが、最後はスカ小のジャンピングニーでロゼ様が沈んで終了。勝負タイム39分20秒、王者組が4度目の防衛に成功。

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最終戦は本拠地での横スペ大会。

セミ前から3大シングルマッチ。

セミ前は藤原和美対中江里奈、28期生同士の対戦。パワーでは圧倒的に上の中江が圧倒するが、藤原もJOサイクロン、バックドロップで猛反撃。

「しゃあっ」
しかし中江がSTO,これは2.9で返した藤原だが、ギロチンを挟んでパワーボムを食らって力尽きた。勝負タイム22分28秒。こんかいの対決は中江が制した。

セミファイナルは霧島レイラ対ケンドーカミスワ。カミスワもよく粘ったが、最後は霧島レイラのパワーが勝り、ラリアットで勝利。勝負タイム22分53秒。

メインはSPZ戦、王者マイティ祐希子に挑むのはまたもロゼヒューイット。当然M祐希子が一方的に攻める。バスターローズは終盤あえて受けたものの、最後は磐石のタイガースープレックス。12分14秒これで終了。完勝といっていい内容。

「まあ、こんなもんでしょう、ぶい!」

マイティ祐希子、3度目の防衛に成功するとともに昨年7月からのシングルマッチの連勝を12に伸ばした。

2009年2月 9日 (月)

第606回 30年目1月「新春ロケットシリーズ」

30年目1月

「新春ロケットシリーズ」開幕。

SPZ王者マイティ祐希子腰痛欠場のため締まらないシリーズとなった。この4月でSPZは旗揚げ30周年を迎えるのだが・・・

初戦鹿児島大会ではあばしりタッグ選手権。王者チーム28期コンビ、藤原和美、中江里奈が元王者のハムルシアター、マリシアルイスと対戦。外人チームが思いのほか奮戦したため盛り上がった。最後は中江がパワーボムでハムルを退けた。勝負タイム28分55秒、王者組が初防衛に成功。

最終戦新日本ドーム大会、おとそ気分の中、何とか営業努力の飼いあって満員にこぎつけた。

ドーム大会のセミはナイトメア神威対斉藤彰子。シングルプレーヤーとしてトップに食い込みたい斉藤彰子。ナイトメア神威を蹴りまくって追い込んだが、ナイトメア神威もタイガードライバー、地獄落とし2連発で反撃。

「はあーっ!」
しかし斉藤彰子、飛燕脚で弱らせてから担ぎ上げた。
新技、スプラッシュマウンテン炸裂。
「ぐわああーー」
落とされたナイトメア神威、たまらず3カウントを聞いた。

「勝っ・・・た・・・」

26期生の斉藤彰子、元SPZ王者でSクラ制覇経験もあるナイトメア神威にシングルマッチでフォール勝ちを収めた。

ドーム大会メインはSPZ世界タッグ戦。王者霧島レイラ、スカーレット小縞に挑むのは元王者の八島静香、ハリケーン神田組。

25期生チームが先輩の意地で試合を引っ張ったが、霧島レイラのスプラッシュマウンテンが決まった。

「うがががが・・・」

いくら打たれ強い八島でも、これはきつい。たまらずハリケーン神田にタッチ。
4人の中で格落ちと思われるスカ小もダイビングプレス、パイルドライバーを決めるなどいい流れを作って霧島にタッチ。こうなると挑戦者チームは苦しい。

「イクゾッ」
霧島レイラのエルボーがあごに入ってしまった。ハリケーン神田、打ち所が悪かったらしくそのまま3カウントを聞いた。意外な幕切れに場内ざわめき。36分41秒、、王者組が3度目の防衛に成功。

2009年2月 8日 (日)

オリジナルキャラファイル5 森和紀(大日本テレビ)

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記
輝くエッセンシャル
オリジナルキャラ紹介(5)

森和紀(もりかずのり:大日本テレビアナウンサー)

90年代後半、神奈川県秦野市出身。大学卒業後、大日本テレビに入社。研修を経てスポーツ番組のアナウンサーとなる。入社3年目からSPZプロレス中継の実況を担当。

「あーっと」「なんてことするんだ」「これはやばいーー」「永沢が殺されるーー」などの数々の迷セリフを残し、いつのまにかSPZプロレス中継に欠くことのできない存在となり、若林記者同様にSPZ内輪同然の人間となる。冷静な解説者・吉田龍子との掛け合いは「夫婦漫才」と称される。

シリーズには同行しないが、1シリーズで収録が2-3回あるため、大会場ではほぼ確実に見かける。その独特のアナウンスから、「世界のかずのり」と評される。

ライラ神威VS武藤めぐみのSPZ戦での「SPZベルト真っ二つ引き裂き事件」の際、プッツンした吉田龍子がリングに上がるも、ライラ神威に殴り倒され、ナイフで殺害される寸前のところを背後からゴルフクラブでライラ神威を殴打し、吉田龍子を救出。この一件でフラグが立って、吉田龍子と結婚に至る。

SPZプロレス中継以外では大日本テレビ系列でのスポーツ番組全般をそつなくこなす。駅伝、マラソン、陸上競技の実況が得意らしい。

かなりの愛社精神を持っており、SPZのマスターズ戦やファン感謝デーにも時折参戦し、年末年始の番宣を長々と行う。趣味はゴルフで、休日には近郊のコースを取引先、同僚と回る。

やはりプロレス中継に実況アナウンサーを必須と考え、興奮絶叫系のアナウンサーという設定で森さんを登場させました。かいせつ役が吉田龍子なので、なるべく対比させるように心がけながら書いています。

2009年2月 7日 (土)

オリジナルキャラ設定(4) 若林太郎(京スポ新聞)

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記
輝くエッセンシャル
オリジナルキャラ紹介(4)

若林太郎(京スポ新聞記者)

1981年東京都八王子市出身。東中野大学経済学部を卒業、大学時代は麻雀に打ち込み、通算477勝の成績を残す(本人談)

大学卒業後、夕刊スポーツ紙大手の京スポ新聞社に入社、しばらくは風俗ページを担当。エロ小説の紙面レイアウトを行っていたが、徹夜続きで体調を壊したため、プロレス担当に異動。以来30年以上にわたりプロレス記者として名を馳せる。一流スポーツ紙らしい健筆と、「必ずこの選手はやってくれるだろう」というエネルギッシュな書き口は好評。

若手社員の頃は男子インディー団体を担当していたが、SPZ旗揚げからは「色香に魅せられて」SPZ主担当となり、巡業に同行し内輪同然の人間となる。選手からの信頼も厚く、特訓の突撃取材申し入れなどにも快く応じる。草薙みことの特訓に同行し、なんと一面に草薙小川の温泉入浴シーンを掲載し、その日の駅売りを完売させた伝説を持つ。

マスコミ記者ながらSPZ内輪同然の人間なので、SPZシングル、SPZタッグのタイトルマッチ実施時の認定証の朗読を担当するようになった。

井上霧子とは旗揚げ前から知り合っており、飲み友達&麻雀友達で、興行終了後に盛り上がることもしばしばだったが、お互い仕事人間ということもあり交際に進展しなかった。しかし、ライラ神威のSPZベルト奪取時の大暴れの際に井上霧子を身を挺してかばい、スタンロッド攻撃を浴びて重症を負い入院を余儀なくされる。しかしこれでフラグが立って交際に発展し、井上霧子と入籍に至る。

仕事熱心な性格で、「3割、30本、30盗塁」(月に300時間以上働き、深夜残業を30時間以上行い、30日以上出勤する)をモットーとしており、その甲斐あって出世し現在は副編集長となったが、まだSPZのビッグマッチの記事は書き続けている。

プロレス記者歴30年以上だけあって、あらゆるプロレス技をいちおうマスターしており、SPZの選手会興行やマスターズ戦では黒いロングタイツをはいて常連参戦、必殺技はローリングクレイドル。試合前には必ず社員食堂で若手社員と特訓をしているだけあって、今野役員をこれで何度も死の寸前に追い込んだ。

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やはりプロレス団体の繁盛記には記者さんが欠かせません。夕刊の某スポーツ紙をモデルに、仕事熱心な記者さんの設定を作りました。SPZ選手の面々が個性派ぞろいなので、この人も書いているうちに自然と動いてくれました。井上霧子の旦那と言う設定は20年目ころに思いつきました。

2009年2月 6日 (金)

第605回 選手会興行&ギムレット美月引退試合

30年目12月 SPZ選手会主催興行。

年の瀬も押し詰まった12月30日、東京調布のギムレットホールにて、SPZ選手会主催興行が開催された。例によってSPZ選手会でキャッシュを稼いで社員旅行にでも行こうという企画だが、今回は選手会長が生真面目なハリケーン神田なので、よく言えばしっかりした興行になった。

第1試合 ギムレット美月引退試合 30分1本勝負

場内に流れる「oblivion」。SPZ10期生で11年前にSPZマットから撤退したギムレット美月36歳が、ついに現役引退を決意―

といっても、2年前からはギムレットホールのオーナーとしての活動が主で、マットには年に数回しか上がっていなかった。さすがに「このまま現役をズルズルと続けるのもどうかと思いまして」ということで、SPZ選手会の好意により引退試合が行われた。

対戦相手はきたぐにプロレスのキラーマシン489号。顔に赤いペイントを施したパワーファイター風の女レスラーだ。きたぐにプロレスは新潟に本拠地を置くインディー団体だが「パワフル&クラシカル」を旗印に掲げているので基礎はできている。

序盤、489号のタックルで、ギムレット美月は何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も倒されたが、そのたびにきっちり受け身を取る。これだけで場内沸いた。

そのあとも489号のラリアット、コブラツイストとギムレット美月は防戦一方。さすがに36歳ということで身体は動かないのか。しかし、10分過ぎ、一瞬の隙を衝いて、ギムレット美月、アキレス腱がために捕らえる。さすがにグラウンドではまだまだ通用する。しかしポジショニングが悪くロープにやや近い。

「ウアアアアア」

しかし489号、なんとかロープへ逃れた。そのあと489号、自らに気合いを入れたあと、ハイアングルのボディスラムでG美月をたたきつけた。

「ウッ・・・腰が・・・・ッ」

動けないギムレット美月。にやりと笑う489号。勝ちを確信した表情で客席に「行くぞ、ウォーー」などとアピールし、トップロープに上がる。ムーンサルトプレスを狙ったか。

しかし・・・

がしゃん!

なんとそのときリング下からパイプイスが飛んできて、ムーンサルトを狙っていた489号の頭に激突した。

「ぶべらッ」

ぶざまにコーナー最上段から転落する489号。

「い、いまだ・・・っ」

よく見ていたギムレット美月。転げ落ちた489号を懸命にスクールボーイで丸め込んだ。

「ワン、トゥ、スリ」

イージス中森レフェリーがマットを3つ叩いた。勝負タイム12分2秒、ギムレット美月がなんとか勝利。それにしてもイスを投げ入れてG美月のピンチを救ったのは・・・やっぱりこの人。SPZ17期生ライラ神威(現居酒屋トムラウシ店主)

「おう!ポンコツさん!引退おまでとん!」

息を弾ませながら勝ち名乗りを受けるG美月に駆け寄り、花束を渡す。

「・・・・・・・・?」
怪訝な表情で受け取るギムレット美月。

ZDOOOOOOOOOOOOOM!!

やはり花束が爆発した。吉田龍子の結婚記者会見で使ったのとまったく同じ手だ。

「ぬわーーーーっ!!」

引退試合の感動的雰囲気はどこへやら、ギムレット美月も爆発をまともに食らって昏倒。そのまま担架で運ばれた。結局こうなるのか、

「ワハハハハ、石川町の居酒屋トムラウシ、食べに来ねえヤツは死刑だッ」

例によって割引券をばら撒きながら店の宣伝をしつつ引き揚げるライラ神威。ブックどおりなのだがこの人も大変だ。

*************************

ざわめきと火薬の匂いが残る中、第2アトラクションとして渡辺智美がリングに上がり、「悲しみの日本海」「夜行急行能登号」の2曲を熱唱。それなりに盛り上がった。

そのあと2年前も好評だったパンチングボール大会。

「ウォーーーーー」

「いぇああああああ」

「部長のバカヤロウ、170時間も残業させやがって」

ファンの奇声気合いが乱れ飛ぶ異様なイベントとなった。みんなでパンチングボールを殴ってストレス解消。なんというファン参加型イベント。

「そうそうそう。構えて、タメを作って、すぱこーんと殴りぬけるんですよ」

井上霧子さんが実技指導までやる恐ろしいイベント。

休憩後もアトラクションは続く。まずラッキーナンバー抽選会。例年通り入場時に手渡されたカードの番号と、リング上でスカーレット小縞が発表する番号が一致したら選手関係者提供の豪華景品がもらえるというナイスイベント。

********************

セミファイナルは3WAYマッチ。ケンドーカミスワVSサキュバス真鍋VSRIKKA。フォールまたはギブアップをとった選手が勝者。ファン感謝デー的な試合なのでカミスワも肩の力を抜いたファイト。10分過ぎにカミスワがS真鍋に腕ひしぎを決めてギブアップを迫るが、RIKKAが強烈な蹴りを入れてカット。

「ウウ・・・ッ・・・」

カミスワ、頭を打ってしまったらしく場外エスケープ。リング上はRIKKAとS真鍋が1対1の状況。ああこりゃ決まるなという状況の中、RIKKAがDDT一発で勝利。

メインイベントは百花繚乱の8人タッグ。

八島静香、ハリケーン神田、斉藤彰子、スカーレット小縞の25期・26期連合軍に対するは、マイティ祐希子、霧島レイラ、藤原和美、中江里奈。8人が8人とも実力者なので沸いた。八島さんの強烈なぶちかましが藤原和美をたじろがす。

SPZ王者のマイティ祐希子は先シリーズで痛めた腰の負傷がいえていない為、顔見世程度のファイト。スカ小と軽く手合わせしてさっさとタッチして引っ込んでしまった。こうなると25・26期生コンビが有利。

「ジェットスマッシュ!」

破壊力をセーブしたとはいえ斉藤彰子のジェットスマッシュで藤原和美が大ダメージ。

「八島さん!押さえてて!」

グロッキー状態の藤原を八島が押さえて、ハリケーン神田が大きく振りかぶった。出るかゴッドハンド。沸き立つ場内。しかし、

がすっ

すんでのところで振りほどいてかわした藤原、当然ゴッドハンドは八島さんに誤爆・・・

「い、痛い、うわ、おーーーー」

ゴッドハンドをまともに食らってダウンし、頭を押さえて痛がる八島静香。

アメプロ並みに「OHやっちまったぜ」と頭を抱えるハリケーン神田。

「い、今だ・・・」

藤原和美、すかさずハリケーン神田の足の間に手を入れて倒し、スクールボーイで丸め込んだ。

「ワン、トゥ、スリー」

コンバット斉藤特別レフェリーがマットを3つ叩いた。これで27期・28期チームが勝利した。
なんというベタなブック。ファンは笑うしかなかった。こうしてお笑いと感動の選手会興行が終わった。

2009年2月 5日 (木)

第604回 30年目12月 誰をナンバー2にするか

23年目12月
「TWWA、もってかれちゃったよ、新女に・・・」
吉田龍子が頭を抱えた。

12月「スノーエンジェルシリーズ」開幕。

第1戦どさんこドーム大会。メインはSPZ世界選手権。王者マイティ祐希子に挑む今回の挑戦者はロゼヒューイット。

「自前の選手に、挑戦者がいないんだよね」(吉田社長)

マイティ祐希子が強すぎるため、二番手以降の選手をぶつけても相手にならない。頼りのジェーン様は引き抜かれてしまった。もうこうなってはロゼのレスリングのうまさに期待するしかなかったが、マイティ祐希子強い。

ほとんど祐希子のペースで試合が進んでゆく。ロゼ様もバスターローズで見せ場だけは作ったが、それだけで、19分7秒、ラリアットの前に敗北。王者が2度目の防衛に成功。

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今シリーズは年末ボーナス需要を当て込んでドーム級の会場を回る。第2戦福岡大会メインはGWA選手権。王者ロゼ・ヒューイットに対するは斉藤彰子。姉であるコンバット斉藤が引退した今、斉藤彰子もシングルプレイヤーとして一本立ちしてもらわなければならない。

「せいっ」

斉藤彰子の掌底がロゼを流血させる。これでムッとしたロゼ様、裏拳の連発でお返し。しかし斉藤も裏拳、飛燕脚で応戦。打撃が交錯する壮絶な試合となったが、最後はロゼ様がバスターローズを決めて28分10秒、王座防衛に成功。

「うーーーん・・・・・」

試合を見ていた吉田社長も唸るしかなかった。早いところマイティ祐希子に対抗しうる西の横綱を育成しないと団体が傾きかねない・・・

第4戦広島大会メインイベントのシングルマッチ。斉藤彰子が元SPZ王者のカミスワをジェットスマッシュで下すという快挙の星を挙げた。それでも29分21秒もかかっているあたりこの選手のグダグダぶりがみてとれる。

「ナンバーツーを斉藤彰子ってのはちょっと荷が重いかな・・・」

第5戦大阪大会メインはシバキアイのシングルマッチ。斉藤彰子対ハリケーン神田。

このふたりが大阪なにわパワフルドームのメインを任された。下手にマイティ祐希子を起用して圧勝されるよりは実力が拮抗したもの同士を当てようというSPZマッチメイク委員会の策略。案の定殴る蹴るが主体の打撃戦となった。大阪のファンは大喜び。

試合のほうは蹴りを多くもらってしまって、ハリケーン神田の動きが止まった。

「はぁーーっ!」
斉藤彰子、ここを勝負どころと見て飛燕脚。1度目はカウント2.9で返したハリケーン神田だったが、立て続けに2回目を食らって終了。46分42秒の激闘に場内大歓声。

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第7戦名古屋しゃちほこドーム大会、メインはあばしりタッグ戦。カミスワ、RIKKA組に挑むのは前王者の藤原和美、中江里奈組。

先月のタッグリーグでは28期生コンビが勝っているカード。こんどは28期生チームが気合いが入っていて、王者チームと互角以上のファイト。
「うわあああああっつ」
終盤、飛びつき腕ひしぎを食らって藤原の表情が苦悶にゆがむが、なんとか中江のカットが間に合った。最後は分断作戦に成功し、合体パイルドライバー2連発で見事あばしり王座を奪還。勝負タイム60分に及ぶ死闘を制した。

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最終戦はさいたまドーム大会。

後半の試合から3大シングルマッチ。まずは藤原和美VS八島静香。しかし八島静香、どっしりと構えて藤原の攻めを受けきってしまう。あとは攻め疲れの見えた藤原を落ち着いて延髄斬りでさばいて勝利。勝負タイム11分29秒。

セミ前は中江里奈対ハリケーン神田。

「はあっ」

いきなり頭突きをかまして先手をとった中江だったが、ハリケーン神田の打撃は一発一発が重い。中江もパワーボムを繰り出すなど大いに健闘したが、最後は棒立ちになったところをハリケーン神田の代名詞・ゴッドハンドを食らって終了。それでも勝負タイム27分25秒の激戦。

セミファイナルはマイティ祐希子対斉藤彰子のノンタイトル戦。一発ドカーンの期待をこめて斉藤彰子をドームのセミに送り出したのである。

「一気に決める!」

斉藤彰子、姉譲りの蹴り技・ジェットスマッシュ。あわやと思わせたが、M祐希子は意識を持っていかれずにしっかり受けていた。

そのあとはもうマイティ祐希子が攻めまくって、シャイニングウィザードからダイビングプレスとたたみかけて終了。勝負タイム15分41秒、まあまあ盛り上がった。

メインはSPZ世界タッグ戦。王者霧島レイラ、スカーレット小縞に挑むのはナイトメア神威、マーメイド千秋のPDF悪役コンビ。しかし霧島レイラのパワーがうなる。ナイトメア神威がかきまわすがさして通じない。

「行くゾッ」

くせ者マーメイド千秋にラリアットを叩き込んで弱らせて。
「マットに沈めー」

スプラッシュマウンテン。このあとのフォールこそ2.9で返したM千秋だったが続くギロチンで勝負あり。28分36秒、王者組が2度目の防衛に成功。

2009年2月 4日 (水)

第603回 SPZタッグリーグ戦(3)

30年目11月 SPZタッグリーグ戦(続き)

第7戦、幕張大会。

N神威、M千秋○(8点、バックドロップからの片エビ固め 13.22)M祐希子、S真鍋×(6点)

2敗同士の直接対決。

「なんでデビュー半年のカスがタッグリーグ出るんだ、この会社おかしいよ」

マーメイド千秋がS真鍋をいたぶるが、サキュバス真鍋もネックブリーカーで反撃。ただの新人ではないところを見せる。そのあとはマイティ祐希子がローンバトル。しかしそこをたくみに突いたのが策士マーメイド千秋。

「ぐわあっ」
試合の流れを変えるフィッシャーマンバスター。頭を打ってしまったマイティ祐希子、たまらず真鍋にタッチ。

「潰す。」
マーメイド千秋、キレイなバックドロップで投げつけてサキュバス真鍋を地獄送り・・・

H神田○、八島(8点、ゴッドハンドからの片エビ固め 24.04)藤原、中江×(4点)

若手コンビも懸命に食らいついていったのだが、長期戦になると無類のスタミナを持つ八島が優位にたつ。そして余力十分のH神田が出てきてゴッドハンド2連発。これで中江が沈んでしまった。

「くっそお・・・・」

28期生の若手チーム、2連勝のあと4連敗。存在感を示す事はできなかった・・・

霧島○、S小縞(8点、ネックブリーカーからの片エビ固め 15.53)キャシー×、ブルック(4点)

SPZタッグ王者王者チームも危なげなく勝ち点2をプラス。霧島レイラがパワーで圧倒した。

ジェーン、斉藤彰○(8点、ボディスラムからの片エビ固め 16.53)カミスワ、RIKKA×(2点)

ジェーン組も2敗を守った。この結果(PDF,25期生コンビ、霧島組、ジェーン組の)4チームが8点で最終戦横スペへなだれこむこととなった。近年まれにみる大混戦。

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そして最終戦横スペ大会。第3試合からタッグリーグ最後の4試合が始まった。

M祐希子○、S真鍋(8点、延髄斬りからの片エビ固め 12.50)キャシー、ブルック×(4点)

「・・・まあ、いい経験だと・・・思ってます」

デビュー半年でSPZのトップどころと連日対戦したサキュバス真鍋。パートナーにおんぶに抱っこ状態でも得るものは多かったはず。この日はマイティ祐希子が一方的に攻めてブルックウォンを下した。8点でリーグ戦を終えた。

N神威、M千秋○(10点、バックドロップからの片エビ固め 20.17)カミスワ×、RIKKA(2点)

悪役チームPDFは2敗を守ったままリーグ戦を終えた。先にRIKKAをつぶしてカミスワを孤立させ、出ずっぱりで疲れさせてからバックドロップをズバリ。さすが試合巧者だ。

霧島○、S小縞(10点、ラリアットからの片エビ固め 13.10)藤原、中江×(4点)

タッグ王者チームが28期生コンビを下して2敗をキープ。メイン後に行われる優勝決定戦に駒を進めた。

斉藤彰、ジェーン○(10点、キャプチュード 20.47)八島×、H神田(8点)

勝ったほうが優勝決定戦に駒を進められるシビアな一戦。横スペのメインにふさわしい熱闘が展開されたが、ジェーンのパワーが試合を有利に運ぶ。いくら屈強な八島でもたてつづけに投げられたのではどうにもならず、最後はキャプチュードで沈んでしまった。

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メイン終了後、15分のインターバルを置いて優勝決定戦。ジェーン組、PDF、霧島組の3チームが争う。

斉藤彰○、ジェーン(ジェットスマッシュからの片エビ固め 19.35)霧島×、S小縞

お互いフラフラの状態なのだが、優勝のために懸命に戦う。しかし霧島レイラは斉藤彰子相手になるとどうも弱い。打撃が気になっているのか、本来のガツガツしたファイトが影を潜めてしまう。押し切られてジェットスマッシュで幕。

「よし・・・勝った・・・・」

斉藤彰、ジェーン○(ベリートゥバック13.09)N神威、M千秋×

ここまで来たらもう暴れるだけ。この日3試合目となった斉藤ジェーンだが、お互い好き勝手暴れ回る。最後はうまくM千秋を捕まえたジェーン。豪快なベリートゥバックで3カウント奪取。賞金60万円を手に入れた。

ジェーン様が怪気炎

「ワハハハハハハ、アイム、ナンバーワン!!」

こうしてタッグリーグが幕を閉じた。

2009年2月 3日 (火)

第602回 30年目11月 SPZタッグリーグ(その2)

30年目11月 SPZタッグリーグ戦(続き)

第5戦は群馬大会。

カミスワ○、RIKKA(2点、キックからの片エビ固め 29.17)キャシー×、ブルック(2点)

RIKKAがつかまりかけたが、農鳥でなんとか振り切ってカミスワにタッチ。しかしカミスワもキャシーの裏拳を食らってフラフラに。最後は4人が入り乱れる攻防の中、キャシーのドラゴンスクリュー狙いをキックで切り返したカミスワがそのまま丸め込んで3カウント奪取。

「ハァ、ハァ・・・・なんとか、勝てました」

あばしり王者コンビが初日を出した。

N神威、M千秋○(6点、合体パワーボムからのエビ固め 13.38)藤原×、中江(4点)

若手コンビ、PDFの悪の牙城に屈した・・・・

「あんなの、まだまだ顔じゃねえんだよ!」(M千秋)

H神田、八島○(4点、ギロチンドロップからの片エビ固め 15.17)M祐希子、S真鍋×(4点)

「祐希子をつぶせないまでも苦しめろ。そしたら真鍋が出てくる、そうなったら勝ったも同然だ」

しかしサキュバス真鍋、5分過ぎに登場してうまく立ち回って八島をアームホイップで投げる。あとはM祐希子の出ずっぱり。しかし八島が懸命にこらえて、なんとかS真鍋の引きずり出しに成功。こんどはしとめることに成功。

「今年は各チームの力が拮抗してます。諦めずにやるだけです」(H巻だ)

ジェーン、斉藤彰○(4点、22.56ジェットスマッシュからの片エビ固め22.56)霧島、S小縞×(6点)

タッグ王者チームとドリームタッグが対戦。霧島もスカ小も思い切りのいい攻め。スカ小のラリアットで斉藤があわやというところまで追い込まれたが、斉藤彰子もこれ以上負けられんとジェットスマッシュのお返し。これでスカ小の意識が飛んで終了。

「グハハハハ!賞金ハ、私タチガ、イタダク!!」(ジェーン)

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第6戦は富山高岡大会。リーグ戦も佳境に入ってきた。

キャシー、ブルック○(4点、合体パイルドライバーからの片エビ固め18.43)N神威、M千秋×(6点)

悪役コンビ、ここへきて痛い2敗目。最後はナイトメア神威が相手チームの分断作戦にはまってしまい、場外乱闘で熱くなってしまったところを蹴り倒されて置き去りにされる。その間にリング上ではマーメイド千秋が力尽きてしまった・・・

M祐希子○、S真鍋(6点 、シャイニングウィザードからの片エビ固め 23.27)霧島、S小縞×(6点)

マイティ祐希子がひとりで23分間戦い抜いて、最後はスカ小を抜群の切れ味のシャイニングウィザードで沈めた。本当に恐ろしい存在だ。これで1敗もいなくなり、リーグ戦はますます混戦模様になってきた・・・

H神田、八島(6点、合体パワーボムからのエビ固め、20分くらい)カミスワ×、RIKKA(2点)

カミスワ組もよく粘ったのだが、八島のパワーに押されていって、最後は合体パワーボムに敗退・・・

ジェーン○、斉藤彰(6点、ベリートゥバック 13.40)藤原×、中江(4点)

中江がジェーン相手にパワーボムを決めるなど奮闘したのだが、最後はジェーンのベリートゥバック。これで藤原失神、試合後は担架で運ばれた・・・

なんと残り2戦の時点で、M祐希子組、PDF、霧島組、H神田組、ジェーン組の5チームが6点で並ぶ展開。久々に面白い展開となってきた。

2009年2月 2日 (月)

第601回 30年目11月 SPZタッグリーグ戦

30年目11月
恒例のSPZタッグリーグ戦。エントリーは以下の8チーム。

霧島レイラ&スカーレット小縞(SPZタッグ王者)

八島静香&ハリケーン神田(元SPZタッグ王者)

ナイトメア神威&マーメイド千秋(元SPZタッグ王者)

K・カミスワ&RIKKA(あばしりタッグ王者)

藤原和美&中江里奈(前あばしりタッグ王者)

キャシーウォン&ブルックウォン(TWWA代表)

ジェーンメガライト&斉藤彰子(日米ドリームタッグ)

マイティ祐希子&サキュバス真鍋(えっ!)

2戦目の山形大会からリーグ戦が開始。

中江、藤原○(2点、JOサイクロン30.0)RIKKA、カミスワ×

リーグ戦最初の一戦は現前あばしり王者の対決。
しかしやはりカミスワの右腕攻めに藤原がずぶずぶはまってゆくが、

「せいっ」

連係技、合体パイルを連発してカミスワをグロッキー状態に追い込むことに成功して、
「終わりーーーー」

出たJOサイクロン。藤原がカミスワにフォール勝ち。

霧島、S小縞(2点、ギロチンドロップからの片エビ固め25.17)N神威、M千秋×

SPZタッグの現王者と前王者が激突。

「URYYYYYYYY」
ナイトメア神威の狂乱にも動じず、

「これでも食らえっ」

スカ小、見事なパイルドライバー。代わってでてきたマーメイド千秋にも容赦なし。そして最後は霧島レイラが特別出演。スプラッシュマウンテンで半失神に追い込んでギロチンでトドメ。現タッグ王者チームが豪快な勝利。

H神田○、八島(2点、合体パワーボムからのエビ固め 18.07)キャシー、ブルック×

外人チームの粘りに手こずった25期生コンビだったが、合体パワーボムでカウント3奪取。

M祐希子○、S真鍋(2点、ダイビングプレスからの片エビ固め13.13)ジェーン、斉藤彰×

マイティ祐希子のパートナーを誰にするかでSPZマッチメイク委員会は紛糾したが、他のメンツとのパワーバランスを考えたのと、サキュバス真鍋の育成をかねて、最強マイティ祐希子と最弱サキュバス真鍋のコンビが誕生してしまった。

「ぶべらっ」
サキュバス真鍋、ジェーンに壊れたおもちゃのように投げられるが、なんとかドロップキックで反撃して振り切る。あとはマイティ祐希子の独壇場。斉藤彰子をあっさり料理した。

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第3戦は茨城カシマ大会。

藤原○、中江(4点、合体パイルドライバーからの片エビ固め15.55)M祐希子、S真鍋×(2点)

「ぬわーーーーーーーっ!」

中江のパワーボムを食らって悶絶するS真鍋、しかし這うようにしてM祐希子にタッチ。そのまま場外でピクピクと痙攣する。あとはM祐希子がローンバトル。しかし中江のパワーボム、藤原のJOサイクロンを食らってM祐希子もダウン。こうなってはS真鍋にもう一度タッチせざるを得ない。場内あーあの声。サキュバス真鍋、あっさり合体パイルでやられてしまった。

霧島○、S小縞(4点、ダブルドロップキックからの片エビ固め11.46)カミスワ、RIKKA×(0点)

チャンピオンチーム2連勝。カミスワ組はRIKKAがつかまってしまった・・・

N神威、M千秋○(2点、ダブルインパクトからの片エビ固め 18.29)H神田、八島×(2点)

タッグ元王者と前王者が激突。ナイトメア神威はいつもの狂乱ファイト。しかし八島も打たれ強い。ひとしきり受け切ってからタックルで反撃。しかしPDFも連係に活路を見出し合体パワーボム、ダブルインパクトとたたみかけて3カウント。

「しょせん中堅どころのへボコンビだ。PDFの敵じゃねえよ」

マーメイド千秋がいいフォローを見せた。

ジェーン○、斉藤彰(2点、ダブルドロップキックからの片エビ固め 11.10)キャシー×、ブルック(0点)

日米ドリームタッグが初勝利。ウォン一族をまるで問題にせず快勝。

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第4戦は宇都宮大会。
M祐希子○、S真鍋(4点、ダブルドロップキックからの片エビ固め 13.20)カミスワ、RIKKA×(0点)

マイティ祐希子のハイスパートプロレスがRIKKAをたちまちのうちに追い込む。そしてパートナーを呼び込んで、

「真鍋っ」

ダブルドロップキック炸裂。これでRIKKAから3カウント奪取。

キャシー、ブルック(2点、合体パイルドライバーからの片エビ固め23.39)藤原×、中江(4点)

「戯れは、終わりにしましょう」
キャシーのハイキックで藤原が意識を持ってかれた。これは中江がカットしたが、二人がかりで殴られ蹴られて場外に落とされ、そのあと藤原に合体パイルを決めて終了。

霧島、S小縞○(6点、タイガードライバーからのエビ固め20.24)H神田、八島×(2点)

霧島組が3連勝。さすがチャンピオンチーム。この日は霧島が相手チーム2人相手に大立ち回りを演じたあと、最後はスカ小がタイガードライバーで締めた。

N神威○、M千秋(4点、地獄落としからの片エビ固め 22.40)斉藤彰×、ジェーン(2点)

コンバット斉藤引退に伴い、斉藤彰子は最強外人ジェーンと組んでの出場となった。それがかえっていい影響でのびのびとファイト。最後はナイトメア神威と一騎打ち状態。しかしここでナイトメア神威が意地を見せた。

「URYYYYYYYY」
パワーボム、地獄落としのダイナミックな攻めを食らっておしまい。

第30回タッグリーグ戦、公式戦3戦を消化して霧島レイラ・スカーレット小縞組が単独トップ。(続きます)

2009年2月 1日 (日)

第600回 駆け抜ける空、歩き出す道

30年目10月

コンバット斉藤最終試合 in 新日本ドーム

第1試合はサキュバス真鍋対ミスティアマスク。前座の定番カード。

ミスティアマスクが軽快な動きを見せて、最後はステップキックで3カウントを奪った。サキュバス真鍋、シングルマッチではいまだに勝てない・・・勝負タイム8分31秒。

第2試合は外人同士の対戦。マリシア・ルイス対ノティア・リチャーズ。マリシアが一方的に攻め込んでDDTでフォール勝ち。勝負タイム6分0秒。

第3試合、休憩前はSPZ世界タッグ王者とあばしり王者が激突。霧島レイラ、スカーレット小縞対カミスワ、RIKKA組。

カミスワのグラウンド地獄にある程度付き合ったあと、霧島が猛攻。タックル、ラリアットでカミスワをばったばったとなぎ倒してゆく。ならばとRIKKAが出てくるが、霧島相手ではどうにもならない。さいごは弱りきったカミスワに、

「沈めーーーーッ」
スプラッシュマウンテン、しかしRIKKAがカット。そのままタッチ。しかし霧島レイラの勢いは止まらない。

「覚悟!」
霧島レイラ、ラリアット2連発でRIKKAを倒した。SPZタッグ王者チームが貫禄を示した。勝負タイム23分0秒。

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「そろそろ用意しますか・・・」

コンバット斉藤、このあたりでいつもの迷彩柄の空手着に着替え、リングシューズを履く。淡々とした表情で靴紐を結び、手馴れた手つきで手首にテープを巻く。そのあと軽く身体を動かしながら、斉藤彰子の試合をモニタで観戦。

休憩明け第4試合のタッグマッチ、斉藤彰子、中江里奈組対ナイトメア神威、マーメイド千秋。この試合は4人の個性が出て盛り上がった。しかし最後は

「はっ!」
斉藤彰子、伝家の宝刀ジェットスマッシュ。まともに入ってしまった。これでナイトメア神威から3カウントを奪った。勝負タイム18分34秒。

セミ前のタッグマッチ。八島静香、H神田対キャシーウォン、ブルックウォン。八島が無類の打たれ強さを発揮して相手チームの攻勢を受け切ってからパワーボムでキャシーを粉砕。勝負タイム19分24秒。

セミ前が終ったのを見たコンバット斉藤、

「じゃあ、行きますか・・・」

自分に言い聞かせるように呟いて、ファンクラブから寄贈された入場用のロングガウンに袖を通した。

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そしてセミファイナル。コンバット斉藤最終試合。

まず「ライディーン」がかかり、SPZ28期の藤原和美が入場。さすがに表情が硬い。

「次の試合に出場するコンバット斉藤選手はこの試合が最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします!」

そして場内に流れる「LAMENT」。ヒールの頃からこのテーマ曲を使っている。

ーまた消える渡り鳥の声 幼い日を甦らす一欠片・・・

黒いロングガウンを羽織ったコンバット斉藤、ゆっくりと花道を歩いてリングイン。

ドワアアアア!

「青コーナー、栃木県小山市出身、ふじわらー、かずーみー!!」

「赤コーナー、三重県亀山市出身、こんばっとー、さいーとーーーー!!」

村越リングアナが高らかにコール。

「レフェリー、ラッキー内田。なおこのカードには、横浜石川町の居酒屋トムラウシ、焼きタラバの居酒屋トムラウシ、焼きホッケの居酒屋トムラウシ、焼きコマイの居酒屋トムラウシ、焼きジャガ芋の居酒屋トムラウシより懸賞があります。」

リングを回る「トムラウシ」の広告ボードが5枚。これで客席がどっと沸いた。誰の仕業かは言うまでもないだろう。引退試合でも異様な雰囲気のなかでやらせるのはどうかと考えたライラ神威なりの心配りか、ただ店の宣伝がしたかっただけか。

対戦相手は7期下、28期生の藤原和美。午後8時22分、ゴングが鳴った。

序盤から掌底をコツコツ気当てて行くコンバット斉藤。しかし藤原も積極的に組み付いてアームホイップで応戦。

―長期戦は厳しい。早めにしかける!これが最後のジェットスマッシュだ!

「せいっ!」
5分過ぎにコンバット斉藤、感傷を振り切るようにいきなりジェットスマッシュ、

大きく吹っ飛ぶ藤原和美、しかしコンバット斉藤、フォールに行かずに藤原を引きずり起こして、

ーこれが最後の飛燕脚だ!

そして飛燕脚。ロー、ミドル、ハイキックの連打。すごい攻撃だ。ものすごい歓声。前のめりに倒れる藤原和美、ゆっくりとカバーに入るコンバット斉藤。

ワン、トゥ・・・ドドドドドド!!

しかし藤原、カウント2で返してJOサイクロンで反撃!しっかしダメージの蓄積がないので受けきったコンバット斉藤、カウント2であっさり返す。

ーよし、一気に決める!

「はーっ!」

コンバット斉藤、ここを勝負どころと見て、すばやく起き上がって藤原に組み付いて裏投げでたたきつけて、そのあとデスバレーボムで藤原を頭からマットへ。これで藤原和美は3カウントを喫した。

「9分16秒、デスバレーボムからの片エビ固めでコンバット斉藤の勝ち」

乱れ飛ぶ紫色の紙テープ。

このあとマイティ祐希子を除く全選手がリングに上がり、コンバット斉藤を胴上げ。3度宙に舞った。

「お疲れ、よく頑張ったな」

なんとDFの首魁で若手時代の師だったライラ神威(SPZ17期)が公の場に姿を現し、ご丁寧に用意した懸賞金の入った5枚のし袋を渡した後、がっちり握手。

「お疲れ様。」

そして、コンバット斉藤と抗争を繰り広げた武藤めぐみ(SPZ18期)も久々に現れて花束を贈呈。コンバット斉藤、四方に礼をしてから花道を引き揚げた。

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メインイベントSPZ戦、王者マイティ祐希子、初防衛戦の相手は毎度おなじみのジェーンメガライト。団体内部に防衛戦を行える相手がいないというのが実態。

しかしマイティ祐希子、ジェーンのナチュラルパワーの前に大苦戦。ベリートゥバックでカウント2.9まで追い込まれた。

「ウリャーー」

マイティ祐希子、懸命に態勢を立て直して、逆さ押さえ込みで反撃してからのデスバレー。これでなんとか逆転勝利。勝負タイム25分50秒。辛くも初防衛に成功。

「あ、危なかった・・・っ・・・」

試合後M祐希子はケーキバイキングに出かけてウサを晴らしたそうである。

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メイン終了後、コンバット斉藤の引退セレモニー。10カウントゴングのあとファンに挨拶。

「今まで応援ありがとうございました」

決して資質の高い選手ではなかったが、猛特訓と驚異の蹴りを武器に、SPZで一時代を築いた名選手がリングを去った。

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コンバット斉藤

SPZ21期生

2029年4月21日、釧路アリーナ大会での対イージス中森戦でデビュー。2038年10月26日、新日本ドーム大会での藤原和美戦で引退。稼動月数115ヶ月 出場試合数(推定)808試合

タイトル歴

第68代SPZ世界王者

第71代SPZ世界王者

第73代SPZ世界王者

第75代SPZ世界王者

第78代SPZ世界王者

第81代SPZ世界王者

通算防衛回数18回(武藤めぐみ、吉田龍子、ビューティ市ヶ谷に次いで歴代4位)

第51代SPZ世界タッグ王者(パートナーはナイトメア神威)

第60代SPZ世界タッグ王者(パートナーは斉藤彰子)

第65代SPZ世界タッグ王者(パートナーは斉藤彰子)

第35代あばしりタッグ王者(パートナーはREKI)

第24回SPZクライマックス優勝

第26回SPZクライマックス優勝

第28回SPZクライマックス優勝

第29回SPZクライマックス優勝

第25回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはナイトメア神威)

第27回SPZタッグリーグ優勝(パートナーは斉藤彰子)

写真集 1冊

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