第630回 31年目12月 夢のマスターズ戦(上)
レッスルエンジェルスサバイバー
プレイ日誌のようなもの
輝くエッセンシャル
31年目12月 夢のマスターズ戦
12月24日、東京調布のギムレットホール。いつものSPZのリングが中央に置かれていた。
カン、カン、カン、カン、カン・・
「全国のプロレスファンの皆さん、メリー・クリスマス」
リング上で井上霧子が挨拶。
「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2039にお越しいただきましてありがとうございます」
(チケットは破格の2,000えん)
「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私ども実行委員会と致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。」
(場内笑い)
「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係でありまして、このイベントの権限と責任はすべて井上霧子にあります。そこのところもお含み置きください」
(場内失笑)
第1試合、SPZ永久選手権試合 時間無制限1本勝負
いきなり場内に「COLLECTIVE」が流れ、SPZ17期生、ライラ神威様が入場。引退してもう6年になるのだがその狂気は変わっていない。
「ウァハハハハハ横浜石川町の居酒屋トムラウシ!食べにこねエヤツは死刑だアアアアア」
自らが経営する居酒屋「トムラウシ」の割引券をばら撒きながら入場するライラ神威。
対戦相手はまだ引退してあまり経っていない21期のコンバット斉藤。旧DFの師弟対決だ。
「えー、この試合はサロンスターズ・プロレスリング・ゼット(そんな団体あろう筈がない)が認定するSPZ永久選手権試合であることを認定する、2039年12月24日。SPZ事務総長ケンドーカミスワ、代読、京スポ新聞若林太郎」
京スポ新聞若林記者が認定証を代読。そしてライラ神威がつくったSPZ永久選手権のベルトがお披露目される。2度目の防衛戦。
「ライラさんには恨みはありませんが、小遣い稼ぎのためです。眠ってください」
ゴングと同時にコンバット斉藤がいきなり掌底でなぐりかかる。
「ぐうっ」
居酒屋店主、いきなり殴られて戸惑う。
「眠ってください!!ジェットスマッシュ!!」
バキョ
現役時代と比べて威力は落ちているがそれでも軌道が見えない蹴り。たまらずライラ神威ダウン。
「ぐわあっ・・・まいった、私の負けだよ。ベルトは渡すから、これ以上痛めつけるのはカンベンしてくれ・・・」
なおも上から殴ろうとするコンバット斉藤を哀願するような口調で制止するライラ神威。
「無様な・・・さあ立てッ」
コンバット斉藤、引きずり起こそうとライラの首根っこをつかんだが、
「甘いよ、いまだっ」
ライラ神威、あらかじめ掌に仕込んであったワサビパウダーをコンバット斉藤の顔面にぶちまけた。
「ぐわあっ!目が!目があああああああ」
目を押さえてうずくまるコンバット斉藤。視界を奪われ、目の痛みにもがく
「くくくくく、アホウめ。」
そのまま足を取ってスクールボーイ気味に丸め込んでカウント3が入った。これで王者が2度目の防衛に成功。
「ウァハハハハハ」
防衛に成功して、コーナーに上がって勝鬨を上げるライラ神威。なんてやつだ。
「クソ・・・なんで私がこんな目に・・・」
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SPZ永久選手権試合(60分1本勝負)
ライラ神威(1分33秒、エビ固め)コンバット斉藤
永久王者が2度目の防衛に成功
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コンバット斉藤、初参戦のマスターズ戦の味は苦かった・・・
タイトルマッチのあとは歌謡ショー。なんという無茶苦茶な進行であろうか。歌うのは当然SPZ5期生のこの人。
第2アトラクション 渡辺智美歌謡ショー
「♪上野駅 16番ホーム
ボンネットの 金沢行き夜行急行
きたぐにへ 旅立つ
ラウンジカー 流れる街の灯
能登 能登
夜行急行 能登~~~
夢路はるかに 闇を駆け行く
能登 能登
夜行急行、能登~~~」
年齢を重ねるにつれ、えせ演歌歌手のようになってきた売れないタレント渡辺智美がリングに上がり、「夜行急行能登号」を披露。それなりに沸いた。その後休憩。
第3試合 SPZ 対 上諏訪温泉地下プロレス 対抗戦タッグマッチ
なんと休憩明けは団体対抗戦?のカードが。
8月にSPZから撤退したばかりのケンドー・カミスワが、パートナーのアイキドー・オカヤを引き連れてリングに上がり、対戦相手のノエル白石&野村つばさ組と激突。
「たあっ」
現テレビレポーターの野村つばさが軽快にリング上を駆け回り拍手を浴びたが、結局カミスワの動きに捕まってしまう。ノエル白石(いまは故郷の新潟でよろず屋の店番をしている)にいたっては練習をしていないので完全な置物状態。
「うーん・・・・」
けっきょく捕まってしまった野村つばさ、カミスワの腕ひしぎにギブアップ負け。勝負タイム8分2秒。
「みなさーん、冬のお出かけは、上諏訪温泉――――!!」
リング上でマイクアピールをするケンドーカミスワであった。
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第4試合セミファイナル スーパーZ選手権 初代王者決定戦
トレーニングウェア姿ロイヤル北条、パンツスーツ姿のラッキー内田の両雄が入場。
2年前お流れになったスーパーZ選手権、いちおうマスターズのチャンピオンという位置づけらしい。今回はラッキー内田(SPZ16期)とロイヤル北条(SPZ13期)の間で争われる。
ロイヤル北条も持ち前の勢いで攻めたが、得意のロイヤルスパイクがマスターズ戦規定(頭から落とす攻撃は禁止)に引っかかるので繰り出せないので決め手を欠く状況。ほどなく疲れ切ってしまった。
「チャンス」
ラッキー内田、絡みついてコブラツイスト。
「うぐぐぐぐ」
3分近くこらえたロイヤル北条だがこれで息が上がってしまった。そのあとスモールパッケージに丸め込まれてカウント3.ラッキー内田がスーパーZ選手権初代王者に輝いた。
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スーパーZ選手権試合(60分1本勝負)
ラッキー内田(11分7秒、首固め)ロイヤル北条
ラッキー内田が初代王者となる
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(メインは壮絶バトルロイヤル)
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