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2009年4月30日 (木)

第676回 限りないパワー 感じてるから(2)

今年から12月の開催と変更となったSPZが誇るタッグリーグシリーズ「ウルトラタッグリーグ戦」今年は大混戦の予感。優勝候補筆頭の霧島レイラ・藤原和美組が初戦からハリケーン神田に殴り倒されて不覚の立ち上がり。

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第3戦は仙台大会

八島○、H神田(4点、合体パワーボムからのエビ固め 8.06)S小縞、佐久間×(0点)

「おととい30分やりましたから、きょうはさくっと終わらそうという事で、ね」(H神田)

老獪25期生コンビ、あっさり分断作戦を成功させて新人の佐久間を沈めた。やはり新人選手は頭をやられるとたちまち動きが止まる・・・

ロゼ○、Pローズ2号(2点、バスターローズからの体固め 9.00)ブリジット、マリシア×(2点)

外人同士の対決はロゼ組が制した。これで初日を出した。タッグ王者なので当然優勝を狙うチームだ。

M祐希子○、S真鍋(4点、ダイビングプレスからの体固め 14.47)RIKKA×、葛城(2点)

「真鍋、限りないパワー、感じてるから、真鍋、DO IT TOGETHER
GET THE FLAG! 見せてくれ!!」

ゴング前にピンクのはっぴを着た「サキュバス真鍋東北応援団」が応援歌を歌う。もとは大昔のプロ野球選手の応援歌だった曲を流用したらしい。

S真鍋がポカせずに自分の仕事を果たせばこのチームは強い。いつものように絶妙の動きで相手チームの攻勢をかいくぐりマイティ祐希子にスイッチ。あとはもうお決まりのパターン。マイティ祐希子が攻めまくって、最後はかっこよくダイビングプレスでRIKKAをしとめ2連勝のスタート。

「さあー!牛タン食べに行くわよーーー♪」

霧島、藤原○(2点、JOサイクロン 20.57)斉藤×、中江(0点)

「もう、負けらんないね」

前日最古参チームにまさかの敗北を喫した前タッグ王者チーム。霧島レイラ、昨日ハリケーン神田にやられたので「もう頭は大丈夫ですか」という報道陣の質問に感じては「もともと頭悪いから」とジョークで返す余裕も。

試合が始まるや重量感あふれる攻めで斉藤を圧倒。でもってハイエナ・・・いや、クローザー藤原がトドメを刺しに来る。しかし斉藤彰子も飛燕脚で抗戦。代わった中江も精一杯のファイトを見せるが

「いくぞおおおおお」
藤原の得意技ジャーマンで頭を打ってしまった中江、最後は4人が入り乱れるベタな展開の中、藤原がJOサイクロンで決めた。これで霧島藤原も初日。

第33回ウルトラタッグリーグ。2戦を消化して25期生コンビ、そしてM祐希子組みが2連勝スタート・・・

2009年4月29日 (水)

第675回 限りないパワー、感じてるから(1)

33年目12月
ウルトラタッグリーグ(SPZタッグリーグから改題)開催。SPZタッグリーグではタイトル戦と混同されやすいという営業サイドからの要請もあって、今年から「ウルトラタッグリーグ戦」としてリスタート。

ちなみに過去32回の優勝チームは下記の通り・・・

第1回優勝 デスピナ・リブレ アリシア・サンチェス  
第2回優勝 ミミ吉原 南利美  

第3回優勝 沢崎光 草薙みこと   

第4回優勝 草薙みこと 永沢舞     
第5回優勝 草薙みこと 小川ひかる      
第6回優勝 草薙みこと 小川ひかる    
第7回優勝 吉田龍子 新咲祐希子   

第8回優勝 上原今日子 ハイブリッド南 
第9回優勝 上原今日子 ハイブリッド南  
第10回優勝新咲祐希子 スイレン草薙  
第11回優勝新咲祐希子 スイレン草薙   
第12回優勝吉田龍子  渡辺智美     
第13回優勝吉田龍子 ボンバー来島   

第14回優勝スイレン草薙 ガイア小早川        
第15回優勝ビューティ市ヶ谷 ロイヤル北条 

第16回優勝ビューティ市ヶ谷 ロイヤル北条  
第17回優勝菊池理宇 ボンバー来島   
第18回優勝ラッキー内田 マッキー上戸 
第19回優勝ビューティ市ヶ谷 ロイヤル北条 

第20回優勝ラッキー内田 マッキー上戸 
第21回優勝ビューティ市ヶ谷 ロイヤル北条 
第22回優勝武藤めぐみ イージス中森  

第23回優勝武藤めぐみ 成瀬唯     

第24回優勝武藤めぐみ ジェニービーチ   
第25回優勝コンバット斉藤 ナイトメア神威 

第26回優勝ナイトメア神威 REKI  
第27回優勝コンバット斉藤 斉藤彰子  
第28回優勝ジェーン・メガライト ジェニービーチ 
第29回優勝マイティ祐希子 イージス中森  
第30回優勝ジェーン・メガライト 斉藤彰子  
第31回優勝マイティ祐希子 サキュバス真鍋 
第32回優勝霧島レイラ 藤原和美 

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ウルトラタッグリーグ戦・今年の出場は下記の8チーム

霧島レイラ&藤原和美(前回優勝)

マイティ祐希子&サキュバス真鍋(前前回優勝)

斉藤彰子&中江里奈(元SPZタッグ王者)

八島静香&ハリケーン神田(元SPZタッグ王者)

RIKKA&葛城早苗(フレッシュスター)

スカーレット小縞&佐久間理沙子(あばしりタッグ王者)

ロゼヒューイット&ファントムローズ2号(SPZタッグ王者)

ブリジットウォン&マリシアルイス(実力派外人)

今年は各チームの実力が拮抗している、混戦になるのではというのが大方の見方。団体最強のマイティ祐希子、今年はアイドル商会のサキュバス真鍋とタッグを組んで出陣!

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2戦目のどさんこドームからタッグリーグ戦がスタート。

ブリジット○、マリシア(2点、裏拳からの片エビ固め 18.05)S小縞×、佐久間

あばしり王者チームであるスカ小&佐久間組がタッグリーグ参戦。だがブリジットのハイキックにスカ小が大ダメージ。孤立した佐久間さん。よく粘ったが外人組みの猛攻についていけず、最後はスカ小が轟沈・・・

RIKKA○、葛城(2点、パイルドライバーからの片エビ固め23.12)ロゼ×、Pローズ2号

一流外人のロゼ様に懸命に向かっていった葛城だが、打撃攻めが逆鱗に触れたのか場外パワーボムというお仕置き。しかし後を受けたRIKKAがよく攻めて、なんとパイルドライバーでロゼ様から3カウントを奪って勝利。タッグ王者チームで優勝候補の一角・ロゼ組はロゼ様の出ずっぱりが響いた・・・

M祐希子○、S真鍋(2点、サンドイッチラリアットからの片エビ固め25.21)斉藤×、中江

無敵の王者マイティ祐希子がセミに登場。「disintegration」がかかるや場内大盛り上がり。ゴング前、客席スタンドから妙な歌が流れ出した。「札幌サキュバス真鍋応援団」が熱唱。

「真鍋、限りないパワー、感じてるから~、真鍋、DO IT TOGETHER
GET THE FLAG! 見せてくれ!!」

一部熱狂的ファンの声援に後押しされたサキュバス真鍋が懸命にファイト。斉藤に蹴られまくりながらもなんとかマイティ祐希子につないで、

「はい、そろそろ終わり~!」

サンドイッチラリアット2連発で終了。

八島、H神田○(2点、掌底からの片エビ固め 30.0)霧島×、藤原

やはり25期生コンビは動きが落ちており、少し長引くともう息切れ。しかしハリケーン神田もゴッドハンドを叩き込み意地を見せる。霧島をカウント2まで追い込んだが、こういうときのためにいる藤原和美。バックドロップ連発で流れを引き寄せ、霧島に再びスイッチ。

しかし霧島、ゴッドハンドで頭がおかしくなっているのか本来の動きではない。足がふらついている。ざわつく場内、

「落ちろ」

ハリケーン神田おっそろしい掌底。崩れ落ちる霧島、これで3カウントが入ってしまった。タッグ前王者まさかの黒星スタート。

「やっぱりプロレスは何が起こるかわからんねえ!」(八島)

「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・・まあ、マグレですよ、きつかったな・・・」(H神田)

2009年4月28日 (火)

シリーズ名を考える

こんばんわ、本業激務につき本日は書き下ろしで対応いたします。

SPZはバカンスも行わず黙々と年間12シリーズ全96戦を行うプロレス団体ですが、シリーズ名はだいたい下記のような感じです。

1月「新春ロケットシリーズ」 

 ロケットスタートということで。

2月「スノーエンジェルシリーズ」

 冬のシリーズという事で。元ネタはKOTOKOさんの歌から。

3月「ファイヤーソウルシリーズ」

 春ということでブレイクする選手が出てくるのを期待して。やはりレスラーは熱く燃えないと。元ネタは某昔のアニメの必殺技から。

4月「旗揚げ○周年記念・エッセンシャルシリーズ」

  SPZは4月旗揚げなので、創業祭ですね。

5月「バトル・カデンツァ」

 2発目の横スペ本拠地興行が入るので、クォリティの高い攻防を期待して。カデンツァは音楽用語で装飾楽句の意味です。

6月「バトルアトランティス-SPZクライマックス予選会-」

 ある意味SPZで一番面白い月かもしれません。通常のタイトル戦は組まれるは若手中堅どころによるSクラ出場権をかけた争いが組まれるわ・・・カードを決めるのが一番めんどくさいつきです。

7月「サマースターナイツシリーズ」

夏の夜に輝くみたいな感じで。Sクラ本番へ向けて盛り上げます。

8月「SPZクライマックス」

SPZ真夏の祭典です。

9月「ウルトラソウルシリーズ」

秋の訪れ、戦いはますます激しく。元ネタはB’zの歌からです。

10月「飛び出せ!ビッグパワーシリーズ」

ビッグパワーシリーズだからといってパワーファイターが売り出されるわけではありません。元ネタは横浜ベイスターズ某選手の応援歌から。

11月「駆け抜ける!ダイヤモンドシリーズ」

年内最後のタイトルマッチが組まれます。元ネタはやはり横浜ベイスターズの元選手の応援歌から。

12月「ウルトラタッグリーグ戦」

年末はやはりタッグリーグ。32年目までは11月開催でしたが、33年目から12月開催に変更いたしました。

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次回 予告 

33年目12月 ウルトラタッグリーグ戦 サキュバス真鍋の大試練

2009年4月27日 (月)

第674回 33年目11月 ダイヤモンドシリーズ

33年目11月
今年からSPZタッグリーグは12月のドーム興行連発に回す事になったので(カードを捻るのがめんどくさくなった)11月「ダイヤモンドシリーズ」の東北巡業は通常の「ドサ回りカード」が組まれた。

第6戦宇都宮大会、メインはあばしりタッグ戦。王者スカ小、佐久間に挑むのは強豪外人アニービーチ&ディスガイズマスク。

「どっせーい!」

スカ小がアイドルレスラーらしからぬ力技で攻め込んでゆくが、外人チームも佐久間を狙って集中攻撃。なんとかしのぎきった佐久間がスカ小にスイッチ。逆にスカ小がディスガイズマスクをとらえて殺人パイルドライバー!!

「UA」
この一発でディスガイズ悶絶。あわててアニーがカットに入ってフォールを阻止したが、ここで佐久間が乱闘を仕掛けた。場外で殴りあいをやってのける!

「終わり~」

スカ小が倒れたままのディスガイズへ見事なフォームでダイビングプレス。これでカウント3が入った。18分39秒、王者組が初防衛に成功。

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第7戦幕張大会メインではSPZ世界タッグ戦。王者霧島、藤原組に挑むのは前王者のロゼ様、ファントムローズ2号組。

一流外人のロゼ様が奮闘するが、やはりファントムローズ2号がついていけない。それでもロゼ様がバスターローズを連発して藤原を捕まえ、最後はなんとダブルインパクトで藤原を沈めてしまった。勝負タイム28分39秒。王者組が防衛に失敗。

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最終戦横スペ大会、メインはSPZ選手権、王者マイティ祐希子に対するはジェーン。今回はM祐希子が積極的に攻めて、ダイビングプレス、ニーリフト、デスバレーとつないで3カウント奪取。29分11秒、2度目の防衛を果たし、ベルトを持っての越年が決定。

2009年4月26日 (日)

第673回 33年目10月 何回やっても何回やっても

33年目10月

SPZはグリズリー山本17歳をGWAへ海外遠征に出した。マイティ祐希子を倒せる次期エース育成のために海外で修行してもらおうと考えた。

10月シリーズ「バトルオータム」開幕。

第3戦三重サンシャインアリーナ大会。メインはSPZタッグ戦。王者霧島レイラ&藤原和美の相手は元王者、斉藤彰子&中江里奈。挑戦者チームの好連係にてこずったものの、霧島レイラが長期戦でも息が乱れなかった。だんだん本領を発揮してきて、中江をラリアット、スプラッシュマウンテンで戦闘不能に追い込むと、代わって出てきた斉藤彰子にもスプラッシュマウンテン!!これはカウント2.8で返した斉藤だったが、ここで霧島奥の手ムーンサルトで勝利。勝負タイム48分44秒の激戦を制した。

最終戦新日本ドーム大会。いつも通りの超満員。

第1試合は佐久間理沙子対サキュバス真鍋。

サキュバス真鍋が飛びまわって佐久間に攻め手を与えない。ミサイルキック2連発で勝利。先輩の貫禄を示した。勝負タイム12分26秒。

第2試合はアイドル商会登場、藤島瞳、早瀬葵対アネットデュラム、ノティアリチャーズ。実力微妙同士のタッグマッチ。熱戦が展開されたが、藤島のムーンサルト、早瀬の延髄斬りとつないだアイドル商会がみごと勝利。勝負タイム13分20秒。

第3試合は6人タッグマッチ、中江里奈、ハリケーン神田、八島静香対アニービーチ、マリシアルイス、ディスガイズマスク。実力者でありながらカード編成の都合で前半に回された3人が奮起。中江が怒涛の攻め。

「すこしは先輩にもいい格好させろや」

コーナーで八島が声をかけるが、しかし中江なかなか戻ってこない。ラリアットでアニーを吹っ飛ばしてようやくタッチ。しかしアニービーチもフライングニールキック2連発。H神田を追い込んだが、八島が満を持してリングイン。

「おらぁぁぁぁぁぁぁ」

渾身のパワーボムでマリシアを仕留めた。勝負タイム15分58秒、その試合が終わると休憩。

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休憩明けに26期生の二人が登場。スカーレット小縞&斉藤彰子に対するは前SPZタッグ王者のロゼ様&ファントムローズ2号。しかし分断作戦に成功した26期生チームが手堅く勝利。最後は合体パワーボムでファントムローズ2号を仕留めた、勝負タイム12分38秒。

ここから3大シングルマッチ。

セミ前はRIKKA対ジェーンメガライト。最強外人ジェーンに懸命に向かっていったRIKKAだったが格の差はいかんともしがたく、キャプチュード2連発に散った。勝負タイム12分38秒。試合後ジェーンがマイクアピール。
「ユキコとやらせろ。ぶっ潰してヤル」

セミファイナルは藤原和美登場。対戦相手はSPZ32期・若手有望株の葛城早苗。デビュー1年半でドームのセミでシングルマッチを闘うところまでポジションを上げてきたが、これは会社の期待感の表れ。藤原のレスリングセンスに手も足も出ず、最後はJOサイクロンに散った。勝負タイム13分15秒。

そしてメインイベント、新王者マイティ祐希子、初防衛戦の相手は霧島レイラ。何回やっても何回やってもマイティ祐希子が倒せない霧島レイラ。持ち前のパワーで攻めてゆくが、ムーンサルトで形勢逆転、あとはズルズルと祐希子に攻め込まれてしまう。

「はぁっ」
ノーザンライトを2で返す霧島、これ以上受けられないと判断してスプラッシュマウンテンで勝負をかけるが祐希子、カウント1で返す、そしてニーリフトで反撃。

「ウアー」
2で返した霧島、力のこもったラリアットで反撃、しかし2で返す祐希子

M祐希子、ダイビングプレス、しかしロープに近い、ならばとムーンサルトを狙うがかわす
「ぐうう・・・っ」

自爆。しかしM祐希子、すばやく起き上がって絡みついて逆さ押さえ込み!しかし霧島も2.9で返す!

ウオオオオオオオオオ!!

霧島、叫んでから2度目のスプラッシュマウンテン、マイティ祐希子まっさかさまにマットへ。ワン、トゥ・・・

ドドドドドドドドド!!

2.9で返すM祐希子。

「ハァ、ハァ・・・倒れろっ!てんだよっ!!」

霧島レイラ、渾身のエルボー。しかしこれもマイティ祐希子2.9で返す!!

ドドドッドドドド。

―ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・
もう足が動かない。霧島レイラ棒立ち。そこへM祐希子が組み付いて、バックに回り、タイガースープレックス!!

ドオオオン!!

腕のフックがきちんと入っている。霧島レイラ、力なく足をぱたつかせるも肩はマットから離れなかった。

ワン、トゥ、スリー!!

ラッキー内田レフェリーがマットを3つ叩いた。

「54分41秒、タイガースープレックスで、マイティ祐希子の勝ち」

両者ぶったおれたまま起き上がれない。まさに死闘。轟きわたるSPZコール。

「アレには、勝てねえ・・・・」
霧島レイラ、息も絶え絶えにコメント。スプラッシュマウンテンを2発ぶち込んでも勝てない。
勝ったマイティ祐希子も控室に戻るやいなやぶっ倒れた。

―危なかった・・・頭痛い・・・

2009年4月25日 (土)

第672回 33年目9月 さいたまドーム決戦

33年目9月

9月シリーズ、初戦鹿児島大会では空位となっていたあばしりタッグの王座決定戦、大胆な若手起用を行い、なんとスカーレット小縞、佐久間理沙子対ハリケーン神田、葛城早苗組というカードが組まれた。新人の佐久間がデビュー半年たらずであばしり王者決定戦の場に出てくるとは会社側の期待の表れか。

「あたしが先発、やばくなったらお願いね」

スカ小が先発して流れを作ろうとするが、ハリケーン神田の掌底をもらってしまって痛がる。やむを得ず佐久間にタッチ。

佐久間理沙子も懸命にH神田にぶつかっていったが、

―まだまだ甘いよ。
がすっ!

出ましたゴッドハンド。この一撃で佐久間理沙子は昏倒。そのまま場外でのびてしまった。
「あーもう、仕方ないなー」

スカ小が奮闘し、葛城を追い込む。葛城も打撃を織り交ぜて反撃するが、パートナーに頼らずあたしが決めるという心意気・・・は立派なのだが、結果的にローンバトルとなってしまった。
これでも、食らえーーー
スカ小、シャイニングウィザード。カウント2.8で返す葛城、ここでH神田が救援に入ってきたが落ち着いて場外に放り投げる。

「ぬわあっ」
勢いよく場外に落とされたH神田、わき腹を押さえて痛がる。

「終わりーーーーー!!」

スカ小、出ました殺人パイルドライバー。これで葛城をしとめた。勝負タイム20分9秒。
「佐久間さん、起きて、試合終わったよ、勝ったから」

「え・・・・・・」

後半役に立たないまま終わった佐久間理沙子、あばしりベルト奪取。なんという強運・・・

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第6戦長崎大会ではSPZタッグ戦が組まれた。王者ロゼ様&ファントムローズ2号に対する挑戦者は前王者の霧島レイラ&藤原和美。ここのところ勢いのない藤原和美、なんとしても勝っておきたいところ。しかしロゼ様が大活躍。霧島レイラのバスターローズを決めるなどいい調子。しかしなんとか分断作戦に成功した挑戦者チーム、格落ちのファントムローズ2号を捕まえて、

「はぁうっ!!」
2発目のバックドロップで戦意を絶った。これで王座奪還。勝負タイム36分30秒。

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最終戦はさいたまドーム大会。関東地区では強いSPZ、相変わらずの満員御礼。

第1試合は佐久間理沙子 対 マリシアルイス。

基礎のできている佐久間さんだから外人相手のオープニングも務まるだろうという判断。得意のフロントスープレックスなどでマリシアを追い込んだが、攻め疲れが見えてきたところをマリシアは見逃さなかった。

「そこだっ」
でた裏拳。この一発で佐久間は沈んでしまった。勝負タイム9分16秒。

「んー、ああいう頭に一発もらったときにどう立て直すかが今後の課題ですね。んー、まあ新人ですからああいう形で終わるのは仕方ないです」

吉田社長が冷静な解説。

第2試合はアニービーチが登場、対戦相手は28期の中江里奈。

中江が持ち前の馬力で押し込んだが、アニーもTWWAの看板選手、ダイナミックなフライングニールキック2連発で中江をしとめた。なんと第2試合から20分13秒の熱戦。

「・・・クソーッ・・・・」

敗れた中江、悔しそうな表情で引き揚げた。

「んー、まああれがアメリカンスタイルなんでしょうね。大技を連続で食らってはいくら中江でもね。んー、まあでもいい試合でしたよ」

続く休憩前の第3試合、サキュバス真鍋、藤島瞳、早瀬葵の「アイドル商会」3名が勢ぞろい。対戦相手はマユリシアター、ファントムローズ2号、ディスガイズマスクの中堅外人3人。かわいい系の3人が懸命に向かっていったが、外人のパワーには太刀打ちできず、最後は早瀬がつかまってしまった。

「あーっと、出たー、マユリシアター、音速の上段蹴り、これは入った」

 「んー、いかんですね」

「そのままフォール、返せるか、返せるか、ダメだー」

伊藤アナウンサーが絶叫。

 「んー、まあ13分16秒ですか。あの3人にしてはよく頑張ったほうだと思いますね」

叩きのめされたアイドル商会の3人が起き上がって、3人並んで一礼、これだけで拍手が送られた。その試合が終わると休憩。

休憩後、シングルマッチはスカーレット小縞(SPZ26期)対葛城早苗(SPZ32期)。

「んー、この試合は面白くなりそうですよ、小縞選手はああ見えて中江より馬力ありますからね。何しろ実家がすし屋ですから、重たいビールケース運んでたらしいですからね」

 「はははは、そうですか」

「んー、でもね、真面目な話、葛城選手はこのあたりの壁を越えないと上へはいけませんよ」

 「あ、出たースカーレット小縞、殺人パイルドライバー、カバー。でも、あ、返した、返した」

「小縞選手のパイルドライバーは痛いんですよ。昔の男子団体の選手のDVDを見てタイミングを押さえてますからね」

 「あーっと葛城、気魄だけで向かっていくが足がついていかない。フラフラか、フラフラだ。アー組みとめられて、スカーレット小縞、何を持ってくるか、何を持ってくるか、アー、タイガードライバーここで炸裂!返せるか、返せるか、ダメだーーー」

「んー、いい試合だったんですけどね。葛城選手はもっと積極的に攻めないといかんですよ。頭打ったら勝ち目ないんですから。そうなる前に殴るなり蹴るなりしないと。」

勝負タイム13分48秒、本日の一押し試合はスカ小が制した。

セミ前は革命軍の3人が登場、霧島レイラ(SPZ27期)、藤原和美(SPZ28期)、RIKKA(SPZ29期)がリングイン。対戦相手は本隊の実力者、斉藤彰子(SPZ26期)、八島静香(SPZ25期)、ハリケーン神田(SPZ25期)の3人。

「んー、革命軍もね、打倒祐希子を目指すんだったらあんなの10分で片付けないといかんですよ」

相変わらず吉田龍子の解説は辛口だ。

「でも本隊も実力者ぞろいですからね」

斉藤彰子の掌底が鼻に入って霧島レイラおびただしい流血。
「てめええええ!」

このあたりから試合が盛り上がってきた。
「遊びじゃないんだ」

ハリケーン神田、恐怖のゴッドハンドで霧島レイラをぐらつかせる。しかし藤原も高角度のジャーマンで神田を戦闘不能に追い込む。この当たりから試合が荒れてきた。

八島がタックル攻めで藤原を追い込むが、藤原がうまく組み付いてコブラツイスト、腰投げで切り返そうとした八島だったが、
「ふん、あーーーー?」
わき腹を痛めてしまったのか電気が走る。たまらずタップしてしまった。あっけない終わり方。勝負タイム17分21秒。6人タッグは革命軍に凱歌が上がった。

「すまねえ・・・」

やはり最古参の八島、あちこちにガタがきており爆発してしまったらしい。セコンドの肩を借りて控室へ。

「んー、んー、ちょっと心配ですね。ベテラン選手はああいう負け方が一番グサッときますからね。コブラツイストで負けるなんて現代プロレスではありえないですからね。」

セミファイナルはシングルマッチ、グリズリー山本対ロゼヒューイット。Sクラ3位と健闘したG山本、トップ外人のロゼ様との試合が組まれたが、ロゼ様の多彩な攻めに防戦一方。裏拳を2連発で食らってぐらつく。

「んー、いかんですね。山本選手もっと攻めなきゃぁダメですよ」

終盤になってグリズリーボム、ラリアットで反撃したが、ロゼ様もバスターローズで勝負をかけてきて、3カウントが入ってしまった。勝負タイム17分14秒。

***************************

さいたまドームのメインはSPZ戦、王者ジェーンに対するはSPZのエースマイティ祐希子。対ジェーン戦2連敗中なのが気がかりだが、Sクラを全勝で制したのでもう一回チャンスが回ってきた。

「かいせつの吉田さん、どちらが有利でしょうか」

 「んー、まあロクヨンで祐希子かなあ。でもジェーンにはベリートゥバックがありますからね。あれ食らったら分かりませんよ、受け身が取れないですからね」

で、試合はジェーンがボディスラムを連発、そしてラリアット。

「いかんですねー、警戒しすぎですよ」
ジェーンニーリフト、苦しむM祐希子、そこへ
「もらった」
ベリートゥバック炸裂。M祐希子を頭から落とした。意識は残っていたのか、カウント2で返す。

「うわああああっ」
しかしこれで闘志に火がついたM祐希子、ローリングソバット連発、デスバレーで反撃。ジェーンが頭を押さえる。そこへ、

「これでどうだ!」
めったに見せないタイガースープレックス炸裂。これで3カウントを奪った。勝負タイム19分51秒。

「か、勝った・・・・」
本隊エースのマイティ祐希子、苦しんだもののSPZベルトの奪還に成功した。

2009年4月24日 (金)

第671回 33年目9月時点のプログラムから

33年目9月。
恒例の、SPZ会場で無料配布されるプログラムの選手一覧から。

ゴッドハンド ハリケーン神田

本名:神田友子、2018年1月1日、茨城県土浦市出身。学生時代はキックボクシングで身体を鍛え、SPZ25期生として入門。2033年5月11日、高知県体育館大会での対セイレーン千春戦でデビュー。キックボクシングの経験を生かした打撃は強烈。ライラ神威とタッグを組んであばしりタッグ王者に輝き、同期の八島静香と組んでSPZ世界タッグ王者に輝く。団体最古参となったがまだまだ元気。得意技はゴッドハンド(重い裏拳)

テーマ曲:ワルキューレの騎行 (ワーグナー)

女ケンカ番長 八島静香

本名:同じ、2017年11月13日、島根県浜田市出身。実家が漁師で、家業の手伝いをするうちに体力がついた経歴を持つ。中学時代は女番長で警察に補導されることもしばしばだったが、改心してSPZの入門テストを受験。見事合格し2033年5月11日、高知県体育館での対 野村つばさ戦でデビュー。高い身体能力を生かし、トップグループに殴りこみをかけてきて、同期のハリケーン神田と組んでSPZ世界タッグ王者に輝く。得意技はデスバレーボム。

テーマ曲:アルルの女、ファランドール(ビゼー)

爆烈空手道 斉藤彰子

本名:同じ。2019年2月4日、三重県四日市市出身。姉であるコンバット斉藤と同じく子供の頃から空手に打ち込み、姉のあとを追うようにSPZ入り。SPZ26期生として2034年5月10日、長崎アリーナ大会での対八島静香戦でデビュー。姉譲りの蹴り主体のファイトで会場を沸かせる。コンバット斉藤との姉妹タッグでSPZタッグ王座を戴冠。コンバット斉藤引退後は本隊の中心選手として活躍し、中江里奈とのタッグでSPZタッグ王座を戴冠。得意技は飛燕脚、ジェットスマッシュ。

入場テーマ曲:Give me up (マイケル・フォーチュナティ)

最強のアイドル スカーレット小縞

本名:小縞緑。2018年6月9日、和歌山県和歌山市出身。抜群のルックスに目をつけたSPZにスカウトされ、SPZ26期生として2034年5月10日、長崎アリーナ大会でのハリケーン神田戦でデビュー。アイドルレスラー扱いながら実家が寿司屋であり、荷物運びや食器洗いの手伝いをしていただけあってナチュラルパワーは相当なものがあり、得意技のラリアットはかなりの威力。同期の斉藤彰子と出世競争を繰り広げ、霧島レイラと組んでSPZタッグ王者に輝く。デビュー7年目でSPZクライマックスに初出場を果たした苦労人。得意技はラリアット、殺人パイルドライバー。

入場テーマ曲:Do you know the Magic?(詩月カオリ)

SPZの格闘クイーン マイティ祐希子

本名:子安祐希子 2020年3月3日、山口県宇部市出身。井上霧子にスカウトされ、SPZ27期生として2035年4月17日、釧路アリーナ大会での対 斉藤彰子戦でデビュー。新人離れした動きを見せ、先輩レスラーや外国人選手を次々に撃破し、トップへの階段を駆け上がり、入門から2年でSPZ世界王者のベルトを巻く。

SPZクライマックスも第30回、第31回、32回。33回と4年連続優勝という偉業を成し遂げ、歴代の大エースにと肩を並べるようになった。シングルマッチの不敗記録42という金字塔を打ち立て、日本人選手にはここ数年シングルマッチでフォールを許していない。得意技はムーンサルトプレス、ノーザンライトスープレックスホールド。

入場テーマ曲:disintegration(Lia)

みなぎるパワー大砲:霧島レイラ

本名:霧島聡子 2020年2月4日、岩手県花巻市出身。SPZの新人テストに合格し、SPZ27期生として2035年4月20日、仙台市グランドアリーナ大会での対 スカーレット小縞戦でデビュー。持ち前の馬力を生かしたファイトでトップグループ入りし、2039年5月にはついにジェーンメガライトを破りSPZ世界王者に輝く。マイティ祐希子に次ぐ団体ナンバー2として存在感を発揮し、打倒祐希子を掲げ藤原、RIKKAと革命軍を結成。得意技はスプラッシュマウンテン、ラリアット。

入場テーマ曲:ゴーストバスターズのテーマ(Ray Parker Jr)

SPZのスター 藤原和美

本名・同じ 2021年1月22日、栃木県小山市出身。中学時代はアマレスと陸上競技で身体を鍛える。SPZにスカウトされ、2036年5月11日、長崎アリーナ大会での 対 斉藤彰子戦でデビュー。多くの関係者が身体能力の高さで期待しており、明日のエース目指して奮闘中。同期の中江里奈とは激しい出世争いを繰りひろげる一方、あばしりタッグ王者に輝く。革命軍入りしてからは霧島レイラのパートナーとしてSPZ世界タッグ王座を戴冠。第33回SPZクライマックスはまさかの予選会落ち、今後の巻き返しが期待される。得意技はJOサイクロン、ジャーマンスープレックス。

テーマ曲:ライディーン

ブルファイトハリケーン 中江里奈

本名・同じ 2021年1月6日、秋田県本荘市出身。SPZ入門テストに合格し、28期生として2036年5月11日、長崎アリーナ大会での対 霧島レイラ戦でデビュー。パワーには自信があると本人も話しているとおり、力任せのファイトでトップグループ入りを伺う。同期の藤原和美と組んであばしりタッグ王座を戴冠。そして斉藤彰子と組んでSPZ世界タッグ王者にも輝く。得意技はパワーボム、ラリアット。

テーマ曲:sweet passion(栗林みな実)

音速の忍者 RIKKA

本名:非公開、2021年7月18日、山梨県早川町出身、幼少の頃より奈良田の里で忍者としての修行を積み、REKIの紹介でプロレスの道を選び、SPZ29期生として2028年5月16日、高知市立体育館での対中江里奈戦でデビュー。忍者ならではの軽快な身のこなしを生かしたファイトで観客の度肝を抜く。カミスワ、マーメイド千秋と組んであばしりタッグを戴冠。得意技は農鳥、フェイスクラッシャー

テーマ曲:ラ・フォリア(アルカンジェロ・コレルリ)

SPZの小悪魔 サキュバス真鍋

本名:真鍋凛奈、2022年5月20日、福井県敦賀市出身。SPZの新人テストに合格し、SPZ30期生として2038年4月15日の札幌どさんこドーム大会の対イージス中森戦でデビュー。アイドルレスラーながらマイティ祐希子のパートナーに起用されて、第31回タッグリーグで堂々の優勝、アイドル商会のリーダーとして前座戦線を盛り上げる。得意技はミサイルキック。

テーマ曲:Upside Down(Coo Coo)

最凶熊:グリズリー山本

本名:山本喜久子、2024年2月8日、東京都調布市出身。中学時代は柔道に熱中し、都大会ベスト4の成績を残す。井上霧子にスカウトされ、SPZ31期生として、2039年4月16日、釧路アリーナ大会での対RIKKA戦でデビュー。まだまだファイトスタイルは荒削りだが、素質はいいものを持っており今後の活躍が期待される。ナイトメア神威と組んであばしりタッグ王座を戴冠。そして第33回SPZクライマックスでは並み居る先輩方を抑えて堂々の3位入賞。得意技はグリズリーボム、DDT。

テーマ曲:禿山の一夜(ムソグルスキー)

未来形アイドル 藤島瞳

本名:同じ 2024年2月9日、京都府西京区出身。SPZの新人テストに合格し、SPZ31期生として2039年4月15日、札幌どさんこドーム大会での対マーメイド千秋戦でデビュー。レスラーとしてはまだまだ発展途上だが、キューティー金井や渡辺智美以上のアイドルレスラーになるべく奮闘中。得意技はムーンサルトプレス。ネックブリーカードロップ。
テーマ曲:Eternal Wish(佐倉紗織)

希望の新星 葛城早苗

本名:同じ。2024年9月30日、山口県徳山市出身。運動能力の高さに目をつけた井上霧子にスカウトされ、SPZ32期生として2040年4月14日、札幌どさんこドーム大会での対 藤島瞳 戦でデビュー。打撃には見るべきものがあり、あの伊達遥の指導を受けてSPZキックと殺人ヒザ魚雷を伝授されるなど、今後が非常に楽しみな選手である。得意技はSPZキック、殺人ヒザ魚雷。

テーマ曲:The Four Horsemen(メタリカ)

スーパーアイドル 早瀬葵

本名、同じ、2024年7月12日、佐賀県佐賀市出身。SPZの新人テストに合格し、SPZ32期生として2040年4月16日、仙台アリーナ大会での 対 藤島瞳戦でデビュー。まだまだ発展途上だがアイドル商会の一員として前座戦線を盛り上げる。得意技は延髄斬り。

テーマ曲:キャラメルダンセン(キャラメル)

超新星 佐久間理沙子

本名、同じ。2025年12月10日、東京都日野市出身。あのラッキー内田を輩出した多摩レスリングクラブの推薦でSPZ入り。2041年4月26日、釧路厚生年金アリーナ大会での対 藤島瞳戦でデビュー。アマレス出身者らしい落ち着いたファイトで実力は上昇中。得意技はフロントスープレックス。

テーマ曲:Energy(奥井雅美)

SPZコミッショナー 井上霧子

1980年9月15日、神奈川県川崎市出身。1995年5月1日、関東女子プロレス・後楽園プラザ大会のユリシーズ島宮戦でプロレスデビュー。2004年11月に現役引退。SPZには旗揚げ前から社長秘書兼レフェリーとして参加。選手のまとめ役として貢献。2019年からはSPZ社長代行として団体フロントの顔としても活躍。現在はSPZ取締役として新人選手のスカウトを担当するかたわら、SPZコミッショナーに就任し、SPZベルトの管理を担当。

レフェリー 吉田龍子

1997年11月13日、熊本県八代市出身。2013年4月11日、札幌キターアリーナ大会での富沢レイ戦でデビュー。2022年3月、現役引退。2027年8月、井上霧子のあとをうけて3代目のSPZ社長に就任。バランスシートも読めない社長でSPZの将来をお先真っ暗にすること確実。2033年に大日本テレビアナウンサー森和紀氏と結婚。社長を誰に譲ろうか考えているらしい。時たま前座のレフェリーもつとめる。辛口のテレビ解説は好評。

レフェリー ロイヤル北条

本名、北条美雪。2006年2月7日、富山県氷見市出身。SPZ13期生として2021年4月21日、釧路アリーナ大会での芝田美紀戦でデビュー。2030年1月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。現役時代の動き同様キビキビとした動き、かつ厳格なレフェリングは好評。

レフェリー ラッキー内田

本名:内田栄子 2008年10月30日、東京都多摩市出身。SPZ16期生として、2024年5月15日、鹿児島県営広場特設リング大会での成瀬唯戦でデビュー。2032年8月、現役引退。引退後はSPZに残り、若手選手のコーチをする傍ら、レフェリーを務める。

トレーナー イージス中森

本名:中森登志子 2012年11月29日、徳島県徳島市出身、SPZ新人テストに合格し、20期生として2028年4月16日、京都市体育館でのキューティー金井戦でデビュー。2038年4月、現役引退。その後はSPZに残り、トレーナーとして選手のコンディショニングを担当。代打レフェリーやテレビかいせつも時たま務める。

リングアナウンサー 村越忠幸

1984年6月11日、東京都八王子市出身。2019年4月入社、SPZ取締役・営業部長兼リングアナウンサーとして団体を陰から支える。会場では渉外全般を務めるかたわら、後半のアナウンスを務める。趣味は料理。

リングアナウンサー 阿部幸一

2000年5月28日、新潟県糸魚川市出身、2023年入社、グッズショップ販売を経験した後、2033年からリングアナウンサーに起用される。現在は巡業部担当課長として主に前半戦のアナウンスを担当。趣味はドライブ。

リングドクター 羽山海

1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野元社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして首都圏興行を中心に随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

2009年4月23日 (木)

第670回 SPZの年商と利益構造について

こんばんは、SPZ人事経理担当の今野です。今回はSPZの企業規模と損益計算について簡単にご説明させていただきます。

日本有数の女子プロレス団体となったSPZですが、第32期の年商が118億6000万円、大手企業の足元にも及ばない規模であります。かといってこれ以上年商を増やすことは試合数を増やすか大会場でしかやらないという選択しかありません。前者はファイトしている選手の負担を考えると現状の96試合がマックスだと思われますし、後者は地方都市のファンをつなぎとめるためにどうしても8ヶ月に1回は各都道府県を巡業したいので、難しいと思われます。

でもって、SPZの年間観客動員数が公式発表で152万5000名。5万人のドーム会場から4000人規模の地方会場まで、平均すると1会場あたり15,800名を動員していますのでまあそのくらいです。

客単価、1人あたりの売上額はだいたい4000円です。チケットの定価は特別リングサイド10,000円、アリーナ席が7,000円と5,000円。スタンド席が4,000円で(一部会場は3,000円)販売しておりますが、ドームクラスの会場を埋めるためには、どうしてもSPZ通販やSPZフィーバー店頭での直接チケット販売のほかに、地方の有力者や企業にチケットを売ってもらう「義理売り」が必要となり、その分は半額がSPZの売上となりますので、客単価は4,000円くらいです。最近はコンバット斉藤さんや武藤めぐみさん、ライラ神威さんなど団体を引退された選手にもチケットの売りさばき人をお願いしています。

そして152万5000名×4,000円で興行売上額が61億円。そして興行売上に並ぶ収益源がグッズ販売。全国48箇所に展開するグッズショップ「SPZフィーバー」のTシャツやらパーカーやら写真集の売上がざっとで1店舗1日32万円くらい、年商にすると1億2000万円。48店舗ありますのでSPZフィーバーの売上が57億6000万。

このほかにプログラムの広告収入やらエプロンサイド周りの広告収入が若干ありますがSPZの年商はざっとで118億6000万円。私が前いた小売業の年商がピーク時で600億くらいでしたから、まあそこそこの中堅企業といったところでしょうか。

グッズの原価を引いた売上総利益が81億1600万円。ここからさまざまな経費が引かれて利益を残せるかが経営者の腕の見せ所なのですが、最大の支出項目が会場費。ドームクラスの会場となると会場を借りる費用に加え、付随して発生する警備スタッフの経費、音響・演出の特殊効果に要する経費、スタッフの弁当代などの細かい経費も半端じゃなく、全96試合の会場費だけで29億2800万円もっていかれます。

あとは自団体の選手のファイトマネーが1億4500万円。とても低く抑えています。マイティ祐希子選手のようなエース格で年俸1500万円、スカーレット小縞選手でだいたい1,000万。若手新人で年俸500万。あくまで1試合いくらという計算式で積み上げてゆきますので、負傷欠場された場合は基本給の10万円のみ支給という形にしております。このあたり、プロ野球やサッカーなど他のプロスポーツ選手と比べると大変低いのですが、人件費を低く抑えることが経営を安定させるのは言うまでもありません。

あとは選手の人件費として外国人選手のファイトマネーが年間7200万円、コーチの給与が1300万円といったところです。

あと団体維持費、私や井上さんを吉田さんを含めたSPZ本社スタッフの人件費、事務用品消耗品などの諸経費、設備の減価償却リースといった固定費、ポスターやらプログラムやらの作成といった広告宣伝費をあわせて2億9900万円。そういったのが積み重なった経費が年間36億3700万円。残りの44億ちょっとが利益として残ります。経常利益率が30%を越える利益の出る体質を作り上げたと思いますが、あくまでSPZはIT企業エスピーソリューションの子会社なので、ときおり親会社からの資金要請が来て総資産の25%やら50%を拠出させられますので、内部留保をみんなで山分け・・・というわけにはいきません。

まあ企業の使命はゴーイングコンサーン、長期継続する事が大事だと思っておりますので、私も身体の続く限り、SPZの金庫番として頑張りたいと思っております。

(2041年10月 週刊東都経済 「エンターテインメント産業の経済学」インタビューより)

2009年4月22日 (水)

2009.04.21 並行世界では・・・

横浜でミミ吉原率いる女子プロレス団体旗揚げ戦

4月21日、横浜赤レンガコロシアムにて新しい女子プロレス団体「スーパースターズ・プロレスリング・ゼット」が旗揚げ戦を行った。所属選手はわずか3名だが、元ワールド女子のミミ吉原(19)が入団しエース格を務めており、また新人の獲得もこれから積極的に行うとのことで、今後の発展が期待される。

団体アドバイザーは元関東女子プロレスで「氷のヤクザキック」と呼ばれた井上霧子さん(28)が務め、新人選手のコーチを担当。新日本女子プロレスがほぼ独占状態の女子プロレス界に新風を吹き込むか。

第1試合、第2試合で新人2選手がデビュー。小川ひかる(15)と保科優希(15)両名とも急造デビューの域を出ず、AACのメキシコ選手に一方的にやられて終った。今後の奮起が期待される。

メインイベントでミミ吉原が登場。久しぶりの実戦で感覚をとりもどすようにエルボーやチョップ、ソバットなどでデスピナにダメージを与え続ける。しかしデスピナもメキシコではそうとう名の知れた実力者、DDTで反撃。最後はデスピナがミサイルキック2連発で吉原を沈めた。前半攻めた吉原だったが後半はデスピナのスピードについていけなかった。

「今日は結果を出せませんでしたが、これから何回も当たると思うので頑張ります」とミミ吉原。畑違いのIT業界から転身した社長の今野和弘氏は「いまはご覧の通りの陣容ですが、努力と良いファイトを重ねてお客様に喜んでもらえる団体にしたい」と語った。4月シリーズ(全8戦は)所属選手3名プラス外国人選手でのサーキットとなるが、既に第2回の新人テストを行うなど補強育成にも積極的なので、人員がそろい、育成が順調であれば面白い存在になると思われる。(若林)

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試合結果 観衆965名(満員)

×小川ひかる(5分16秒片エビ固め)J・カーチス○

新人小川デビュー戦も一方的に敗北

×保科優希(9分30秒片エビ固め)A・サンチェス○

合気道経験ある新人デビューも惜敗

×ミミ吉原(19分21秒 片エビ固め)デスピナ・リブレ○

吉原奮闘するもデスピナのスピードが勝る

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《2009年4月22日付 京スポ新聞紙面より》

※並行世界では2009.4.21がSPZ旗揚げ戦です。現実の私はいまだにサラリーマンやって激務に苦しんでます(涙)

2009年4月21日 (火)

第669回 33年目8月 SPZクライマックス(下)

第33回SPZクライマックス(続き)

第7戦は札幌どさんこドーム大会。
RIKKA(4点、STOからの片エビ固め 14.29)斉藤(4点)

シード権確保に燃える斉藤彰子がRIKKAを打撃でがすがすがす。しかしRIKKAも農鳥、顔面砕きで勝負をかけるいい試合となった。勝負どころでRIKKA、ヒップアタック3連発。これでたじろいだ斉藤彰子、続くSTOを食らってのフォールは返せなかった・・・斉藤彰子も4敗目を喫し、シード権確保が苦しくなった・・

霧島(12点、ブレーンバスターからの片エビ固め)S小縞(1点)

霧島レイラがガンガン攻めて6連勝。無傷で横スペの頂上対決へなだれ込むこととなった。

「最低限の仕事は果たしました。あとは横浜で全ての力をアイツにぶつけるだけです」

G山本(8点、グリズリーボムからのエビ固め 22.42)八島(6点)

歴史が勝つか、若さが勝つか。新旧パワーファイター対決。しかし八島が例によってタックル攻めでペースを握る。しかしG山本もスクラップバスターで手数を返す。しかし終盤攻め疲れの見えたG山本に、八島がタックル攻め。ワンパターンなのだが確実にダメージを与える。

―この人の壁を越えなきゃ、上には行けない。

グリズリー山本、狙い済ました裏拳、これがヒット。

「ぐわあっ」

頭を射抜かれてもがき苦しむ八島。これは効いている。

「もらったあああああ」

この隙に乗じてグリズリー山本、高く担ぎ上げてグリズリーボム!!これで3カウント、八島越えに成功。そして8点目をゲットしたので堂々のシード権獲得。

M祐希子(12点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 13.14)中江(1点)

札幌大会メインはM祐希子が危なげなく勝利。これで最終戦、霧島レイラとの全勝対決になだれ込む去年とまったく同じ展開。

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そして、最終戦横スペ大会。まず前座は外人対決2試合のあと、

第3試合はハリケーン神田、藤島瞳、早瀬葵 組対 藤原和美、葛城早苗、佐久間理沙子組。しかしこの試合は藤原が存在感を発揮。

―こんな屈辱、もう味わいたくない。

Sクラ期間中、前座の試合に回された。アイドルレスラーの早瀬と藤島を片付けると、相手チームリーダーのH神田をJOサイクロン!返されるやバックドロップ!!問答無用の投げ技攻勢でH神田から3カウントを奪い勝利した。

休憩後、Sクラ最後の4試合。

斉藤(6点、スプラッシュマウンテンからのエビ固め、20分くらい)G山本(8点)

シード権の可能性をわずかに残す斉藤彰子が懸命の攻め。的がでかいG山本は打撃を当てやすいので積極的に攻める。

「勝負」
出た、ジェットスマッシュ。しかし当たりが浅かったか致命傷には至らない。裏拳で追撃するが、G山本もグリズリーボムで反撃。ものすごい死闘となった。斉藤彰子、飛燕脚で決めにかかるもG山本、カウント2.5で返す。

「・・・はああっ!」
しかし斉藤彰子、ここで奥の手スプラッシュマウンテンを出してきた。重量級のG山本を担ぎ上げて落とす。これで3カウントを奪った。グリズリー山本、あと一歩のところで斉藤越えはならなかった・・・

中江(3点、背面トペからの片エビ固め 22.52)RIKKA(4点)

なんとしても初白星を挙げたい中江が重量感あふれる攻め。ラリアットを的確に決めてRIKKAを吹っ飛ばす。そしてバックドロップ。DDTと大技攻勢。最後はRIKKAの反撃をしのいで、ロープに振られたところを冷静に背面トペで押しつぶして3カウント奪取。ようやく初白星を挙げた。

「・・・甘くない・・・ですね。もう一度鍛えなおします」

シード権を守れなかったばかりか、1勝1分けの3点という現実・・・・

八島(8点、エルボーからの片エビ固め 14.40)S小縞(1点)

引き分け以上でシード権確保の八島。この日の相手はスカ小なので、なんとかなりそうな相手ではある。落ち着いてタックルを連発して徐々に追い込んで行って最後はパワーボム、そしてエルボー。これで3カウントを奪った。

この結果グリズリー山本の3位、八島静香の4位が確定。ここまでがシード権を確保し、

6点の斉藤彰子、4点のRIKKA,3点の中江、1点のスカ小は予選会からのスタートとなった。

M祐希子(ムーンサルトプレスからの体固め 30.0)霧島(12点)

千秋楽結びの一番はSPZ頂上決戦。マイティ祐希子VS霧島レイラ

「ま、出たとこ勝負で行きますよ」

最初の15分程度は互角の勝負を繰り広げたのだが、だんだん旗色が悪くなってくる。マイティ祐希子のスピードについていけないのだ。霧島レイラも頭突きやジャンピングニーで懸命に反撃するが後が続かない。

「がふうっ・・・」
強烈なニーリフトが霧島の戦意を奪う。意地だけでカウント2.8で返したが、そこまでだった。

「これでっ」
ムーンサルト炸裂。マイティ祐希子、30分の熱闘を制して見事優勝。堂々の4連覇だ。

優勝したM祐希子には賞金100万円と副賞のブランドバッグ、準優勝の霧島レイラには横浜中華街のお食事券5万円分、3位に食い込んだG山本にはスポーツドリンク1ケースが贈られた。

「くっそー、今年も中華街かよ!!」
4年連続準優勝という新記録を打ち立てた霧島レイラ。悔しいが笑うしかなかった。

2009年4月20日 (月)

第668回 33年目8月SPZクライマックス(中)

33年目8月 SPZクライマックス(続き)

第4戦は大阪・なにわパワフルドーム大会

斉藤(4点、飛燕脚からの片エビ固め 27.10)中江(1点)

タッグパートナー同士の対決。初白星を得ようと中江がパワーを生かした攻めを見せるが、

がすっ!

斉藤彰子がおっそろしいカウンターの裏拳。西部劇の悪役のようにユラーリとぶっ倒れる中江、場内悲鳴。突っ込んでくる相手に打撃を当てるのはヤバイだろう。半失神の中江、起き上がったところを飛燕脚でノックアウト。

G山本(2点、DDTからの片エビ固め)S小縞(1点)

予選会ではG山本が勝っているカードの再戦。
「おりゃああああああ」

昨日の不本意な敗戦でフラストレーションがたまっているのか、G山本の暴れ方が怖い。ただのドロップキックもこの人がやると重爆。スカ小もカウンターのラリアットで反撃するが、G山本が仁王立ち。怖い。しかしスカ小も諦めず、殺人パイルドライバー2連発。しかしG山本、カウント2で返して、
「ぶっ潰す」
DDT,ラリアットそしてもう一度DDT!重爆攻撃のオンパレードでスカ小を粉砕した・・・

霧島(6点、ブレーンバスターからの片エビ固め 20.50)八島(4点)

パワーファイター同士の対戦だが、パワーなら霧島が何枚も上。ローリングソバットを連発してダメージを与えてゆく。八島もデスバレー、ジャンピングニーで反撃するが、そこまでで、最後は霧島のブレンバスター連発に力尽きた。

M祐希子(6点、ニーリフトからの片エビ固め 9.16)RIKKA(0点)

この試合は危なげなくM祐希子が貫録勝ち、大技連発で動きを止めて置いてのニーリフトというえげつない勝ち方。これで3連勝。

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翌日は名古屋大会、斉藤彰子の地元に近いので、うまいこと超満員。

G山本(4点、グリズリーボムからのエビ固め 29.26)中江(1点)

「ぶっ潰してやる」
「やれるもんなら、やってみな」

この対決も面白いカード。のっけから頭突きの応酬で意地を張り合う。名古屋のファンは盛り上がった。がっすんがっすん、頭をぶつけ合う両者、恐ろしい対決だ。しかしG山本が頭突きのシバキアイを制し、よろめいた中江をとらえてDDT.頭頭と攻めるなんて非情な攻撃。そのあとコーナーに押し込んでチョップの乱打。中江の息がだんだん上がってゆく。
「ウアーーーーッ!!」

追い込まれた中江、パワーボム、DDT、ノーザンで勝負をかけるが、受けきったG山本、裏投げでぶん投げて、

「どりゃああああ」
切り札をここで出してきた、高々と担ぎ上げてグリズリーボム。
中江里奈、たまらず3カウントを聞いた。29分26秒の激闘、

勝ったG山本、ウァハハハハと高笑い。しかし剥げたペイントが戦いの激しさを物語っていた。敗れた中江、ダメージが深く控室でぶっ倒れた・・・

RIKKA(2点、農鳥からの片エビ固め12.18)S小縞(1点)

予選会ではRIKKAが勝っているカードの再戦。しかしRIKKAのスピードはスカ小にプロレスをさせなかった。蝶のように舞い蜂のようになんとやら。主導権を手放さず最後はかっこよく農鳥で決めた。これでRIKKA、Sクラ初白星。

「私は奈良田の戦士です。負け続けるわけには参りません」

霧島(8点、ラリアットからの片エビ固め 9.48)斉藤(4点)

霧島レイラも状態が良い。斉藤彰子をパワーで圧倒して下した。

M祐希子(8点、ニーリフトからの片エビ固め 13.52)八島(4点)

「まぁ、胸を借りるよ」
団体最古参の八島静香、団体最強のM祐希子に懸命にぶつかっていった。いくらうたれ強さには定評がある八島でも、技を連発で食らってしまっては・・・大技を的確に積み重ねたM祐希子が完勝。フィニッシュはこのシリーズマイティ祐希子が多用しているニーリフトだった。

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第6戦は仙台大会。
G山本(6点、DDTからの片エビ固め15.37)RIKKA(2点)

予選会ではG山本が勝っているカードの再戦。RIKKAが動き回る前に動きを止めてしまえばよいとばかりに力押しで攻めるG山本。RIKKAも農鳥を2発繰り出すなど健闘したが、最後はグリズリーボム、DDTの大技攻勢に散った・・・RIKKA、4敗目を喫しシード権獲得が絶望的となった。

八島(6点、ぶちかましからの片エビ固め 17.47)斉藤(4点)

ここまで2勝2敗の両者が対戦。シード権のことを考えるとお互い落とせない試合。しかしぶちかまし気味のタックル連打でペースをつかんだ八島がそのまま押し切って3勝目ゲット。さすが最古参、試合運びがうまい。

霧島(10点、ラリアットからの片エビ固め 13.54)中江(1点)

中江里奈、今年は初白星が遠い。パワーなら霧島が一枚も二枚も上。押し切られてしまった。敗れた中江里奈、4敗目を喫しシード権確保が絶望的となった・・・

M祐希子(10点、ニーリフトからの片エビ固め 9.59)S小縞(1点)

団体最強のマイティ祐希子がアイドルレスラー崩れのスカ小に負けるはずがない。マイティ祐希子、精密機械のように大技をガスガス積み重ねてあっけなく勝利。強い強すぎる。スカ小もシード権確保が絶望的となった。

第33回SPZクライマックス、今年も2強のマッチレースか・・

2009年4月19日 (日)

第667回 33年目8月SPZクライマックス(上)

32年目8月
恒例のSPZクライマックス。

■「SPZの超エース」マイティ祐希子(21)

6年連続6度目の出場 第30回・第31回・第32回大会優勝

「4連覇して、ジェーンさんのSPZベルトを取り返します。あと。賞金でふぐ料理を食べに行きます(笑)」

■「みなぎるパワー 大砲だ」霧島レイラ(21)

5年連続5度目の出場
「今年こそ優勝を狙う」

■「爆裂空手道」斉藤彰子(22)

5年連続5度目の出場 
「出るからには、全力を出し切ります」

■「ケンカ番長」八島静香(23)

7年連続7度目の出場 
「応援、夜露死苦」

■「新型重戦車」中江里奈(20)

4年連続4度目の出場 
「1点でも多く勝ち点を取って、去年より上を目指します」

以下は予選会勝ちあがり組。

■「狂乱ベアー」グリズリー山本(17)

初出場 予選会1位通過
「全員ぶっ潰す!!」

■「空翔ける戦士」RIKKA(19)

初出場 予選会2位通過
「・・・奈良田忍軍の一員として恥ずかしくない戦いをします」

■「ハイパーストロング」スカーレット小縞(22)

2年連続2度目の出場 予選会3位通過
「シード権目指して頑張るから、応援よろしくーーー」。

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2戦目の九州ドーム大会から、地獄のリーグ戦がスタート。でもどうせM祐希子が優勝するんだろというのが大方の予想。優勝争いよりシード権争いのほうが面白いのではという醒めた見方もあった・・・

中江(1点、時間切れ引き分け)S小縞(1点)

リーグ戦のオープニングマッチは本隊の実力者同士の対戦、中江VSスカ小。しかしパワーなら中江が一枚上で、豪快なギロチンでスカ小、動きが止まってしまう。そこを突いて、
「おりゃあああっ」
豪腕ラリアット、そしてDDT。中江が大技攻勢で追いむが、スカ小も懸命の反撃、シャイニングウィザードを連発し反撃。最後は両者攻め疲れでダウンしたまま時間切れドローとなった。九州ドームはけっこうは拍手に包まれた。

八島(2点、延髄斬りからの片エビ固め 15.35)RIKKA

SPZ最古参にしてまだまだ元気、25期の女番長八島静香。この日もRIKKAの攻めを受ける。あまりの鉄壁ぶりに焦れたRIKKA,決め技の農鳥を早めに繰り出すが八島これも受けきってしまう。最後はスタミナ切れを起こしたRIKKAを延髄斬りでしとめた。

霧島(2点、ラリアットからの片エビ固め 10.09)G山本

正統派パワーファイターと極悪暴走機関車の激突。しかし初のSクラ公式戦で浮き足立ったのか、G山本の動きにいつものデンジャラスさがない。霧島にズルズルと攻め込まれてしまい、最後はラリアット2発に散った・・・

M祐希子(2点、ニーリフトからの片エビ固め 16.45)斉藤

マイティ祐希子、SPZ王座への挑戦権獲得のためにはSクラ制覇が必須条件、そう考えたのか、斉藤彰子を持ち前のハイスパートレスリングで追い込んでゆく。斉藤彰子も打撃で反撃したが、マイティ祐希子もその辺は分かっていて必要以上に食らうことはしない。そして勝負どころと見るやノーザン、ジャーマンのスープレックス攻勢、そしてバックドロップ。

頭から落とされると弱い空手出身者の弱点を的確に突く。これでグロッキーとなった斉藤彰子、ニーリフトで沈んだ。まさに横綱プロレス。4連覇へ好発進。

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第3戦は広島若鯉球場大会。

斉藤(2点、STOからの片エビ固め 14.39)S小縞(1点)

26期生同士の対決は斉藤彰子が殴りまくって優位に立ち、弱ったところをSTOでしとめた。斉藤彰子がこれで初日を出した。

八島(4点、背面トペからの体固め 15.21)中江(1点)

最古参だがますます元気な八島さん23歳。早めのデスバレーで中江をたたきつける。そしてぶちかましでじっくり攻め立ててゆく。あせった中江が強引なパワーボム、ラリアットで反撃するも八島は受けきってしまう、

「・・やりたいことは、終わったか?」
八島さん2度目のデスバレー、これは落ち方がヤバイ。なおも懸命に起き上がって反撃しようとする中江だったが、強引にロープに振ったところをうまく背面トペで押しつぶして3カウント。八島さんがこれで2勝目。

霧島(4点、ラリアットからの片エビ固め 15.17)RIKKA(0点)

革命軍の同門対決、RIKKAが一発狙ってきて、農鳥で霧島レイラをあわてさせたが、霧島レイラ、タックル連打で形勢を立て直すとラリアット。2勝目を挙げた、

M祐希子(4点、逆さ押さえ込み 12.19)G山本(0点)

新鋭のG山本が体格を生かしてぶつかっていったが、マイティ祐希子がある程度攻めを受けてから反撃に転じる。

―投げてしまえば、山本さんは動きが止まる。

しかしG山本も早い段階からグリズリーボムを仕掛けてM祐希子をあわてさせる。M祐希子、本気になってエルボー、これでダウンさせるとムーンサルト!カウント2で返したG山本だったが、M祐希子が次に仕掛けた技は意外にも、逆さ押さえ込み!

「・・うわっ・・・」
完全に虚を突かれたグリズリー山本、足をばたつかせて返そうとするがM祐希子がきっちり肩を押さえている。これで3カウント。

「てめえええええ!」

まだやれるのに負けてしまったG山本、試合後は荒れに荒れたが後の祭り。

「ハァ、ハァ・・・広島のメインでこの終わり方はまずかったかなって思いましたけど、けっこう追い込まれてましたし、逆さ押さえ込みはとっさに出ました。」

かっこいい勝ち方ができなかったM祐希子、かなりダメージを負っていたのか、勝つには勝ったが釈然としない表情。

第33回SPZクライマックス。2戦を消化してトップはM祐希子、霧島、八島の3人。

2009年4月18日 (土)

第666回 33年目7月 藤原和美の凋落

33年目7月

「なんでなの・・・・っ」

SPZ28期」の藤原和美、会社からは次期エースとして期待されていた節もあったが、なんとSPZクライマックス予選会敗退というまさかの結果。いくらタッグマッチで強かろうがシングルマッチで結果が残せなければ一流とはいえまい。

同期の中江はシード権。1期下のRIKKAにも結果の上では追い越された・・・これでSPZの次期エースは「グリズリー山本さんじゃないの」というのが記者さんの一致した意見だった。

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この月、今野役員67歳は体調が思わしくなく、7月シリーズ「サマースターナイツシリーズ」巡業に同行できなかった。川崎の自宅で静養していた。夏の暑さにやられてしまい、アイスクリームの食べすぎがたたって胃腸をやられたらしい。SPZのゴング叩きは阿部リングアナと村越リングアナが代わりに務めた。したがって主要試合の結果のみ。

第7戦幕張大会メインはSPZタッグ選手権、今回の挑戦者はロゼヒューイット&ファントムローズ2号。

しかし藤原和美、精彩を欠くファイト。Sクラ予選会落ちで自分のプロレスに自信をなくしてしまってるのか、外人チームにつかまってしまいズルズルと攻め込まれて最後は27分37秒、ロゼ様のパワーボムで敗北。SPZタッグ王座が海外流出。霧島&藤原組の防衛回数は9でストップ。

「そ、そんな・・・」

「フッ、私こそが最強そして最高の存在!!」

ロゼ様が久々にSPZタッグベルトを奪還。客席にアピール。久々に存在感を見せた。

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最終戦新日本ドーム。都内での興行だが今野役員はまだ起き上がれずペイパービューでテレビ観戦と相成った。

メインはSPZ戦、王者ジェーンに対するは挑戦者マイティ祐希子。先月霧島がダメだったので祐希子を当てようかというマッチメイク。

しかし今回もジェーンのペースで進んだ。ベリートゥバックを食らって動きがおかしくなって、立て続けにバックドロップ、キャプチュードを食らっフォール負け。内容も悪く、ドームメインのタイトル戦にしては短い16分47秒で敗北。あのマイティ祐希子が同じ相手に2連敗するとは・・・・

「・・・・やられました。ファンの皆さんに申し訳ありません」

マイティ祐希子、Sクラ前に不安。

2009年4月17日 (金)

第665回 藤原和美まさかの予選会落ち

33年目6月 SPZクライマックス予選会

第7戦高岡大会。予選会もいよいよ大詰め。

葛城(2点、アームホイップからの片エビ固め13.44)藤島(0点)

葛城早苗がようやく初日を出した。もっとも本人は納得していない様子。

「なかなか・・・・勝てませんね。上の人に」

わざわざ伊達遥さんに手土産持参で訪問してSPZキックのコツを教えてもらったのに・・・なぜ上の人から1勝もできなかったのか。タッグと違ってシングルマッチでは試合運びのうまさが結果を分ける。

G山本(12点、グリズリーボム 9.36)S真鍋(2点)

グリズリー山本完勝。サキュバス真鍋を子ども扱い。

S小縞(8点、殺人パイルドライバーからの片エビ固め 13.02)藤原(8点)

勝てば予選会突破が決まる藤原、しかし2敗で後がないスカ小もチョップや頭突きで応戦してくる。まさにサヴァイバル。

―小縞さん、なりふり構わず勝ちにきてる・・・

藤原もJOサイクロン、ダイビングプレスで反撃。熱のこもった好勝負となった。

「おりゃーーーー」
スカ小、ダイビングプレスでお返し。そして、非力となった藤原を捕らえて殺人パイルドライバー!!
頭をモロに打った藤原、続くフォールを返せず無念の3カウントを聞いた。2敗目を喫し、予選会突破は明日のRIKKA戦に持ち越しとなった・・・

RIKKA(10点、農鳥からの片エビ固め 15.40)H神田(6点)

悲願の予選会突破へ力を振り絞りリングを駆け回るRIKKA.しかしハリケーン神田も打撃で応戦。こう着状態を打開したのはRIKKAの農鳥。急角度ミサイルキック2連発をくらってたじろぐハリケーン神田。STOをはさんで3度目の農鳥を食らって3カウントを喫した。

「・・・・クッ。甘くないですね。」

3敗目を喫したハリケーン神田、予選会突破が大きく遠のいた・・・

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そして最終戦、さいたまドーム大会。

第1試合では新人の佐久間理沙子が登場。しかしベテラン外人のアネットにフロントスープレックス3連発で惜敗。続く第2試合から予選会リーグ最後の4試合。

G山本(14点。グリズリーボムからのエビ固め 4.08)藤島(0点)

「ぶっ潰す」

グリズリー山本、一気に決めにきて、いきなりグリズリーボム→DDT→グリズリーボムの怒涛の攻勢で藤島を失神KO。わずか4分での公開処刑。堂々の7連勝で予選会1位通過、Sクラ本大会へなだれ込む・・・

葛城(4点、ドロップキックからの片エビ固め、10分くらい)S真鍋(2点)

葛城は結局2勝5敗で予選会を終えた。この日はサキュバス真鍋にトリッキーな動きに手を焼いたものの掌底で追い込んでドロップキックで3カウント奪取。

「ひとつ返されても対応できるように、切り札を何枚も持ちたいと思います」

S小縞(10点、シャイニングウィザードからの片エビ固め 26.08)H神田(6点)

25期生のハリケーン神田と26期生のスカ小、ベテラン同士の試合。

スカ小がなりふり構わない頭突きでペースを握ろうとするがH神田には打撃がある。わずかに残る本大会出場の可能性のためにはこの試合になんとしても勝たなくてはならない。

「おりゃーーーー」
スカ小、ジャンピングニーを連発し勝利への執念を見せる。しかしH神田もステップキックで応戦。スカ小ダイビングプレス、カウント2で返すH神田、
「これでも食らえ!」

スカ小、ネックブリーカー連発もカウント2で返すH神田。そしてパワーボムで反撃。

ワン、トゥ・・ドドドドッド!

スカ小もカウント「2.8で返す。両者ダウン。試合は長引く。しかし、

「これでも食らえ!!」
先に立ち上がったスカ小のシャイニングウィザード炸裂、粘ったH神田だったがついに力尽き、6年連続の本大会出場は夢と消えた・・・

「カンダ!カンダ!カンダ!カンダ!」

26分8秒の熱戦の末、敗れたハリケーン神田選手会長にもものすごい声援が飛んだ。

「ハァッ、ハァッ・・・苦しい戦いでした・・・」

勝ったスカ小だが、本大会に出られるかどうかは次の試合の結果を待たねばならない状況。
RIKKA(12点、パイルドライバーからの片エビ固め 18.05)藤原(8点)

スカ小が星を落とさなかったので、RIKKA,悲願の初出場をすんなり確定させるためには,藤原に勝つか引き分けるしかない。しかし藤原も必死、負けたら本大会に出られない。革命軍のメンバー同士という状況を忘れてバチバチファイトを展開。しかしRIKKAもものすごい気魄。ジャンピングニー、フェイスクラッシャーと攻め手を絶やさない。

「正義は勝―――つ!!」

戦況を一変させたのが藤原のJOサイクロン。しかしRIKKAもパイルドライバー2連発で逆襲。頭を打ってしまった藤原、足をばたつかせるがフォールを返すに至らず、3カウントを聞いてしまった!!

「・・・・・・!!」

SPZタッグ王者・藤原和美まさかの予選会落ち。呆然とした表情で引き揚げた。

この結果SPZクライマックス予選会は1位通過G山本、2位通過RIKKA,3位通過スカ小が決定した。

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続くセミ前の試合、マイティ祐希子が登場、八島静香、早瀬葵と組んでブリジットウォン、マリシアルイス、ディスガイズマスクと対戦。早瀬がすこし捕まる場面こそあったものの、マイティ祐希子の無茶苦茶な攻め、八島のパワーさっぽうもあって。9分39秒、八島のパワーボムがブリジットを退けた。

セミファイナルは斉藤彰子、中江里奈に対するはロゼヒューイット、ファントムローズ2号のタッグ対決。ドームのセミという事でロゼ様がハッスルし、中江を捕らえてバスターローズ。しかし中江懸命に場外へ逃げる。ここで30分時間切れドローとなった。

さいたま大会メインはSPZ選手権、新王者ジェーンメガライトに挑むのは霧島レイラ。霧島が持ち前のパワーで王座奪還を狙ったが、ジェーンさんにはこれがある。

「ツブレロォォォォ」
みごとなベリートゥバック。まともに食らった霧島レイラ、目がうつろだ。あとはバックドロップ、ファイスクラッシャー、ネックブリーカーの波状攻撃を食らってしまい、最後はキャプチュードで終了。王者が初防衛に成功。勝負タイム25分48秒。やはりジェーンは地力がある。

2009年4月16日 (木)

第664回 過酷なイス取りゲーム

第4戦は神戸大会。

H神田(4点、DDTからの片エビ固め 11.18)藤島

ハリケーン神田、きょうの相手は楽勝の藤島。しかしハリケーン神田は会場入りするや入念な調整。そのあと打撃の練習。いつもと同じ練習メニューをこなす。そして第2試合、手早くコスチュームに着替えTシャツを羽織ってリングに向かった。藤島の挑戦を真っ向から受けて、頃合いを見てDDT一閃。貫録勝ち。

「まあ、今日はこんな感じでしょう」
自分の仕事を終えて控室に戻り、シャワーを浴びてから着替えて、そのまま会場を後にしてひとりで宿舎へ向かった。

S小縞(4点、殺人パイルドライバーからの片エビ固め 12.04)葛城(0点)

「・・・はっ」
葛城のSPZキックがうなりをあげるが、次の攻め手がなくスカ小の反撃を食らってしまう。
「これでも食らえ!」
出た出た、スカ小の殺人パイルドライバー。(見た目は普通のパイルドライバーなのだが、他の選手より落とし方がうまいためこんな名前がついてしまった)これで葛城を沈めた。

「いたたた、・・・でもまだ相手はデビュー1年ちょっとですから負けられませんよ。・・いたたた」

藤原(6点、パイルドライバーからの片エビ固め 10.08)S真鍋(0点)

「神戸牛楽しみです!」
藤原和美、試合終了後に後援者のおごりで神戸牛を喰いに行くらしい。サキュバス真鍋をさくっと倒して引き揚げた。

G山本(6点、裏拳からの片エビ固め、10分くらい)RIKKA(4点)

予選会ヤマ場の試合。29期生でそろそろ中堅どころになるRIKKAと悪役暗黒星のG山本がげきとつ。パワーならG山本だがRIKKAにはスピードがある。ラリアットをひらりとかわすシーンでは盛り上がった。

「せっ」
RIKKAの飛びつき式DDT。相手をよく見て闘っている。捕まりさえしなければなんとかなる。しかしG山本も、

「ウオーーーー」
ぐしゃっとつぶすようなDDTで反撃。これでRIKKAの顔色が変わった。

「決める」
パイルドライバー。頭から落とすとG山本は体重が災いしてヤバイというのを読みきっている。しかしカウント2で返したG山本、

「アーーーーーッ!」

叫んでからものすごい裏拳。これでRIKKAを沈めた。グリズリー山本、破竹の3連勝。

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第5戦福井大会。
H神田(6点、ゴッドハンドからの片エビ固め 27.40)葛城(0点)

「葛城は・・・可能性はありますけど。立場的に負けるわけにはいきません」
最古参のハリケーン神田。試合運びのうまさを見せて葛城に攻め手を与えない。打撃では一日の長がある。左右のエルボーを乱打して葛城の出足を止める。しかし葛城もムキになってエルボーで反撃。

「・・・・・・・効かないよ」
ハリケーン神田もエルボーを返す。ぐらりと崩れる葛城、そこへ強烈なステップキック。

「ぐあーーー・・・っ」
頭を押さえてのた打ち回る葛城。なんとかふらつきながら立ち上がろうとするが、
「遊びじゃないんだ」
ハリケーン神田、ここで伝家の宝刀ゴッドハンド。老獪な試合運び。27分40秒、勝負タイムは長引いたがハリケーン神田が落ち着いて下した。

「安全策をとりました。出会い頭で向こうの蹴りが入ったらどう転ぶか分かりませんから」

さすが最古参。試合の流れを冷静に読んでのファイト。

S小縞(6点、逆片エビ固め 8.25)S真鍋(0点)

前の試合と違って一転してバタバタしたファイト。しかしスカ小があっさり逆片エビでギブアップを奪った。

G山本(8点、DDTからの片エビ固め 12.29)藤原(6点)

予選会の大一番、3連勝同士の対決。
「どうりゃあああ」
G山本のラフファイトを耐える藤原。耐えてから反撃すれば立派なヒロインものなのだが、今日の藤原はぞのままズルズルと攻め込まれる悪いときのパターン。なんとかJOサイクロンで反撃したが、それまでにダメージの蓄積がないG山本はカウント2で返す。

「グワハハハッハ」
逆にG山本がDDTで逆襲。頭に重~い一撃を食らって昏倒する藤原。これで3カウントが入った。

「うう・・・・」
SPZ世界タッグ王者の藤原、シングルマッチでのポカ癖が直らない・・・・

「ウァハハハハハ」
G山本4連勝、残る相手がS真鍋藤島葛城のザコ3人なので予選会通過が確実となった。

RIKKA(6点、ヒップアタックからの片エビ固め 7.08)藤島(0点)

RIKKAが完勝、藤島をわずか7分で片付けた。予選会リーグ戦、残るイス2つを1敗の4人(H神田、スカ小、RIKKA、藤原)が争う展開。まさにサバイバルレース。

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第5戦、石川大会。

G山本(10点、グリズリーボムからのエビ固め 12.59)葛城(0点)

葛城早苗、グリズリー山本の重たい攻めに手も足も出ず、グリズリーボムに敗退
「準備運動にもならねぇんだよ!!」
5連勝のG山本、これで予選会突破が確定となった。

S真鍋(2点、バックドロップからの片エビ固め 12.29)藤島(0点)

アイドル商会同士の対戦。初勝利目指してぶつかり合う。しばらく互角の攻防が続いたが、ミサイルキックで優位に立ったサキュバス真鍋、バックドロップで初勝利を挙げた。

藤原(8点、バックドロップからの片エビ固め 13.11)H神田(6点)

「誰が相手でも自分のプロレスをする。それだけです」

デビュー8年を過ぎたハリケーン神田、いよいよ仕事師の風格が出てきた。しかしこの日は肝心の打撃が当たらない。逆に藤原の投げ技攻勢につかまってしまい、バックドロップ2連発で敗北・・・ハリケーン神田2敗目を喫し、出場権争いから1歩後退・・・

RIKKA(8点、STOからの片エビ固め 13.27)S小縞(6点)

サバイバルレースその2.悲願の初出場をめざすRIKKAがスピーディーな攻めを見せ、農鳥、STOと大技攻勢で勝利。1敗を守った。

「うむ・・・・」

第33回SPZクライマックス予選会、出場枠は3。残るイスは実質2つ。

10点:G山本(当確)

8点:RIKKA、藤原

6点:H神田、スカ小

2009年4月15日 (水)

第663回 33年目6月 よみがえった必殺技

33年目6月

恒例のSPZクライマックス予選会。

ハリケーン神田(前回本大会6点)

スカーレット小縞(前回本大会2点)

藤原和美(前回本大会0点)

RIKKA(29期)

サキュバス真鍋(30期)

グリズリー山本(31期)

藤島瞳(31期)

葛城早苗(32期)

この8人がリーグ戦を行い、得点上位3名が本大会に進出できる。

その前に開幕戦山口周南大会ではSPZタッグ選手権、王者霧島レイラ、藤原和美に挑むのはマイティ祐希子、サキュバス真鍋組。先月女王の座から転落したばかりのM祐希子、気分転換に?タッグ王座を狙ってきた。

しかしM祐希子のパートナー、サキュバス真鍋が王者チームにつかまってしまう。初のタイトルマッチなのにいったい何やってんだ状態。しかしM祐希子がそのぶん奮闘、試合は盛り上がった。サキュバス真鍋が藤原のJOサイクロンを食らって終わりかと思われたが祐希子がカット。しかしこれでサキュバス真鍋が伸びてしまった。孤立する祐希子、藤原がM祐希子にもJOサイクロン!これはギリギリで返したものの

「霧島さん!」
合体パワーボムで叩き落してM祐希子からフォールを奪った。39分54秒、王者組が9度目の防衛に成功。

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2戦目の島根大会から予選会リーグスタート。

H神田(2点、掌底からの片エビ固め 13.53)S真鍋

いくらハリケーン神田の動きが落ちているとはいえこのクラスの相手ならまだまだ余裕。真鍋のトリッキーな動きにすこし手こずったもののカウンターの掌底をうまく当てた。
「・・・・」
サキュバス真鍋一発でノックアウト。

G山本(2点、グリズリーボムからの片エビ固め 12.31)S小縞

グリズリー山本強い。馬力を生かした攻めでスカ小を攻めたてる。ラリアットでスカ小ふっとぶ。
「はいつくばれーーー」

グリズリーボム炸裂。スカ小の戦意をこれで絶った。

藤原(2点、逆片エビ固め 9.54)藤島

SPZタッグ王者の藤原がこんなアイドルレスラーに負けるはずがない、最後は格の差を見せ付けるような逆片エビ固めでぐいぐいぐい!

「うわああああっ」

藤島絶叫。危険と判断したレフェリーが試合を止めた。

RIKKA(2点、STOからの片エビ固め 10.42)葛城

デビュー5年目のRIKKA,そろそろSPZクライマックスに出てもおかしくないところまで実力を上げてきた。2年目の葛城を一方的に攻めて優位に立つ。しかし葛城も

「SPZキック・・・・」

どよめく場内。あの初代SPZ王者・伊達遥の必殺技、SPZキックが23年ぶりによみがえった。ぐらつくRIKKA、これ以上は受けられないと判断して、STOで倒して終了。

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第3戦鳥取大会。
G山本(4点、グリズリーボムからのエビ固め 19.04)H神田(2点)

グリズリー山本強い。7番勝負で倒した相手なので余裕のファイト。ハリケーン神田もゴッドハンドを繰り出すなど健闘したが、グリズリーボム炸裂。なんとかロープに逃れたものの2は積めはリング中央で決まり万事休す。

「うう・・・」

軽い脳震盪を起こしたのか、ピクピクト痙攣したまま動けないH神田。ウァハハハハと勝ち誇るグリズリー山本。時代は回る。

S小縞(2点、逆片エビ固め、8.58)藤島(0点)

スカ小ボーナスステージ。一方的に藤島を攻め込んで、最後は格の差を見せ付けるように逆片エビでグイグイグイ!

「ひぎぃいいいいい!!」

危険と判断したレフェリーが試合を止めた。

藤原(4点、バックドロップからの片エビ固め 13.50)葛城(0点)

去年本大会で0点に終わった悔しさを忘れてはいない藤原和美。
「予選会は全部勝ちます」
葛城のSPZキックを受けきってからバックドロップ。そしてネックブリーカー2連発。これでグロッキー状態に追い込んでからJOサイクロン。これは葛城の足がサードロープにかかったが、すかさずバックドロップ。これで2勝目を挙げた。

「うう・・・」

敗れた葛城だが内容的には良かった。今後が楽しみな逸材だ。

RIKKA(4点、パイルドライバーからのエビ固め 7.12)S真鍋(0点)

この試合はRIKKAが飛びまわって、サキュバス真鍋が疲れきったところをパイルドライバーで手堅くしとめた。

第33回SPZクライマックス出場権をかけた予選会、若手中堅選手のハードな闘いは続く・・・

2009年4月14日 (火)

第662回 33年目5月 東西対抗戦

「ウォオオオオオオオ」

新潟大会メイン、絶対王座マイティ祐希子を下して、第91代SPZ世界王者に輝き、ベルトを巻いてトロフィーを掲げて勝ち誇るジェーンメガライト。

ベリートゥバック・デスバレーの波状攻撃で頭を打ってしまい一時的に動けなくなったマイティ祐希子、セコンドの若手が何人か駆け寄って介抱。

「早く控室へ!」

S小縞とS真鍋に両脇を抱えられて、がっくりとした状態のマイティ祐希子が花道を下がった。こういう状態のM祐希子も最近では珍しい。控室へ着くなり若手選手が長いすの上に祐希子をそっと寝かせ、毛布をかけ、リングシューズの紐を解きにかかる。

「・・・あ、だいじょぶだから。だいじょぶだから」

マイティ祐希子、若手を制して起き上がり、シューズを自分で脱いだ後、シャワーに向かった。

「ア・・・アハハハ、ハハ、キレイに落とされちゃったねえ・・・」

私服に着替えたあと、自らがジャーマンを食らった場面の映像をマスコミ記者さんから借りてチェック。マイティ祐希子、気丈に笑う。勝てばV15で吉田龍子(現SPZ社長)、武藤めぐみ(現SPZ静岡地区チケット売りさばき人)の記録に並ぶ事ができたのに・・・

「ア・・・アハハハハハ、私もまだまだ修行が足りないかナ」

2年以上も王座を守ってきたM祐希子、ベルトを失ったショックはいかばかりか。

「さ、さあ!おナカもすいちゃったし、た、食べに行こう!」

マイティ祐希子、その夜はやけ食いで憂さを晴らしたらしい・・・

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5月シリーズ最終戦横スペ大会、恒例の東西対抗。

佐久間《東京》(6.32ランニングタックルからの片エビ固め)葛城○《山口》

新人の佐久間、2年目の葛城とあたったが、葛城が終始ペースを握り、一方的に攻め立て最後はタックルで倒して3カウント奪取。まず西軍が1勝。

G山本○《東京》(7.48 裏拳からの片エビ固め)藤島《京都》

31期生同士の対戦だが、やる前から結果は見えていた。グリズリー山本がパワフルな攻めで完勝。

RIKKA○《山梨》(8.21 ヒップアタックからの片エビ固め)S真鍋《福井》

この試合もやる前から結果は見えていた。RIKKAが一方的な攻めを見せて、ヒップアタックの連発でサキュバス真鍋をしとめた。これで東軍が2勝目、

中江《秋田》(12.35ムーンサルトプレスからの体固め)M祐希子○《山口》

昨日SPZ王座から転落したばかりのM祐希子、しかし「やけ食いでウサ晴らしをした」とのことでショックも見せず、対戦相手の中江を一方的に攻めて、ムーンサルトで快勝。これで2勝2敗の五分に戻した。

藤原○《栃木》(13.33 JOサイクロン)S小縞《和歌山》

東軍の副将が霧島レイラなので、西軍はここで勝たないと厳しい。26期生のスカ小が懸命のファイト。しかレスリングセンスは藤原が何枚も上。やばい角度のバックドロップ2連発でスカ小悶絶。

最後は藤原が伝家の宝刀JOサイクロンで仕留めた。これで東軍が3勝目、王手をかけた。

霧島○《岩手》(19.01 ムーンサルトプレスからの片エビ固め)斉藤彰《三重》

実力者同士の重厚な試合となったが、地力に勝る霧島レイラがだんだん優位に。斉藤も危ない裏拳で霧島をヒヤリとさせたが、最後は霧島レイラがスプラッシュマウンテン、なんとかロープに逃れた斉藤だったがもう足腰立たない。霧島がここで奥の手ムーンサルトプレス。まさに重爆。これで4勝目を挙げた東軍の優勝が確定。

H神田《茨城》(32.02 ブレーンバスターからの片エビ固め)八島○《鳥取》

メインイベントは最古参、25期生同士の一戦。力のこもった攻防を展開する両者。八島が例によってぶちかまし連発でペースをつかみ。最後は息切れしたH神田をパワーボム、ブレーンバスターとたたみかけて3カウントを奪った。

この結果、東西対抗は4勝3敗で東軍の勝利となった。

2009年4月13日 (月)

第661回 2年1ヶ月ぶりの3カウント

33年目5月
「バトルカデンツァ」開幕。四国地方を回るシリーズだ。

第1戦高知大会ではいきなりSPZ世界タッグ戦が組まれた。高知のファンは大喜び。

王者霧島レイラ、藤原和美に対するは、前タッグ王者の斉藤彰子・中江里奈組。しかし霧島レイラが元気。重たいラリアット連発で挑戦者チームをズタズタにしてしまう。ならばと斉藤がジェットスマッシュで藤原を狙うが、これは当たりが浅く、意識を持っていくにはいたらなかった。

「チッ・・・」

最後は満を持して出てきた霧島レイラがスプラッシュマウンテンからブレーンバスターとつないで中江を沈めた。勝負タイム29分18秒。王者組が8度目の防衛に成功。

「革命軍、このコンビは無敵だ!次は祐希子をぶっ潰してやるウウウウウウ」

怪気炎を挙げる霧島さんであった。

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シリーズ第7戦新潟大会、メインに組まれたのはSPZ戦、今回の挑戦者は最強外人ジェーン・メガライト。

王者のマイティ祐希子、この試合に勝てば、連続防衛回数を15に伸ばし、吉田龍子武藤めぐみと並んで歴代トップタイとなり、名実ともに過去の大横綱クラスの選手に並ぶ。

「んー、多分並ばれるよ。祐希子さん強いから。ハハハ」

吉田龍子が解説で自嘲気味にコメント。

しかしジェーンも世界の一流選手、ボディスラム連発で攻める。ならばとマイティ祐希子はドロップキック連打で手数を返す。

「これでどうだ!」

ジェーン、ニーリフト連打で攻勢に出ようとしたが、マイティ祐希子があっさり反撃に転じ、得意のムーンサルトプレス。

カウント2で返したジェーン、しかしマイティ祐希子もニーリフトで決めにかかる!しかしジェーンもカウント2.9、ギリギリで返す。

「クッ・・・ゲキチンシロー!!」
ジェーン、なんとこのギリギリの状況でベリートゥバック。マイティ祐希子の頭が危ない角度でマットに突き刺さった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

マイティ祐希子、本能だけでフォールを2.5で返したが、頭がぼうっとしていた。首が据わっていない。

「ん・・・これはいかんですよ」

かいせつの吉田龍子の顔色が変わった。

「捕らえタ」

ジェーン、ここを先途と、マイティ祐希子を担ぎ上げてデスバレー。マイティ祐希子の落ち方が危ない。頭から突き刺さった後、ばったりと倒れこむ。ジェーン、渾身の力で抑え込む。

ワン、トゥ、スリー。

「22分30秒、デスバレーボムからの片エビ固めでジェーンメガライトの勝ち・・・」

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SPZ世界選手権試合(60分1本勝負)

ジェーン・メガライト(22分30秒、デスバレーボムからの片エビ固め)マイティ祐希子

第90代王者が15度目の防衛に失敗、ジェーンが第91代王者となる

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えええええええええええええええええええええええええええ!!

新潟のファンは驚きの声。王座移動。絶対王者マイティ祐希子の不敗記録は42で途切れ、マイティ祐希子が2年1ヶ月ぶりにシングルマッチで3カウントを喫した。連続防衛記録も14でストップしてしまい、吉田龍子武藤めぐみの記録に並ぶ事はできなかった。

団体の至宝がまたも海外流出。

「か、かいせつの吉田さん・・・・」

「油断したんでしょうかねえ・・・九割がた追い込んだところで、いいジャーマンもらって意識が飛んじゃったんでしょうかねぇ・・・・」

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「わかんない・・・・頭打った・・・わかんない・・・今日はカンベンしてください」(マイティ祐希子)

「ユキコとは差がない。そういう相手に勝てて嬉しい」(ジェーン・メガライト)

2009年4月12日 (日)

第660回 マイティ祐希子不敗神話

33年目4月

そして最終戦、新日本ドーム大会。

第1試合は早瀬葵対佐久間理沙子(新人)。

一昨日釧路でデビューしたばかりの佐久間が早くも東都初お目見え。

「はっ」

佐久間理沙子、デビュー戦のときと違って落ち着いていて、ドロップキックやフロントスープレックスで早瀬といい勝負を繰り広げる。

「行きます!」

なんと最後は2度目のフロントスープレックスで、デビュー2戦目にして1期先輩の早瀬に勝ってしまった。勝負タイム8分41秒。

ええええええ!!

ドームはちょっとどよめきに包まれた。デビュー2戦目でプロ入りシングル初勝利というのも離れ業である。

「いいのが・・・はいってきたね」

ざわめきが収まらないまま第2試合、スカ小対ワイルドローズ2号のシングルマッチ。これはスカ小がさくっとジャンピングニーでワイルドローズ1号を下した。勝負タイム7分14秒。

休憩前第3試合、サキュバス真鍋、藤島瞳対マリシアルイス、ブルックウォンのタッグマッチ。アイドル商会の2人が軽快な動きで盛り上げたが、外人2人のパワーに徐々に押されだしていって・・・

「オラオラオラオラオラ・・・・・」

「いやあああーーっ!」

ブルックウォンの逆エビ固めで藤島えびそり状態。いじめられるアイドルレスラーに場内沸いた。藤島もムーンサルトを繰り出すなど奮闘して、懸命にサキュバス真鍋にタッチ。そして最後に大逆転、サキュバス真鍋のネックブリーカーがマリシアをしとめた。勝負タイム15分32秒。

休憩明けは6人タッグマッチ。藤原和美、RIKKA、葛城早苗に対するは斉藤彰子、中江里奈、ハリケーン神田。6人の個性がぶつかり合ういい勝負の末、最後は藤原と中江、28期生同士が一騎打ち状態。17分49秒、中江がSTOで藤原をしとめた。

ここから3大シングルマッチ。

セミ前はドリームマッチ、ジェーン・メガライト 対 ロゼ様の最強外人対決。ジェーンがベリートゥバックでロゼ様を退けた。

セミファイナルはグリズリー山本7番勝負最終戦、対戦相手は強豪外人ブリジットウォン。ブリジットの打撃に苦しんだが、最後は体力を生かして逆転に成功し。重い裏拳を叩き込んで3カウント奪取。勝負タイム16分5秒、結局グリズリー山本7番勝負は2勝5敗で終わった。

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メインイベントはSPZ戦。先月のさいたまで60分ドローに終わった試合の再戦。マイティ祐希子対霧島レイラ。

―出たとこ勝負でやるしかない。相手は祐希子さんだ。

霧島レイラも先月同様、懸命に祐希子の攻めを堪える。チョップ合戦をえんえん繰り広げる激闘。しかし30分経過のあたりから霧島の動きが落ちてきた。そこを突かれてダイビングプレス、ネックブリーカーと畳み掛けられる。

「これでどうだ!」
2度目のダイビングプレスは自爆となったものの、ニーリフトで悶絶させる

「・・・のやろうっ」

霧島レイラ、強引にスプラッシュマウンテンで投げ落とすがダメージの蓄積がないので決定打には至らず、マイティ祐希子、またもニーリフト。霧島レイラが崩れ落ちる。覆いかぶさって3カウントを奪った。勝負タイム54分22秒の死闘。
「勝てねえよ、アレには・・・」
マイティ祐希子、14度目の防衛に成功、累計防衛記録も24に伸ばした。不敗記録も42に伸ばした。

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SPZ世界選手権試合

マイティ祐希子(54分22秒、ニーリフトからの片エビ固め )霧島レイラ

第90代王者が14度目の防衛に成功

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2009年4月11日 (土)

第659回 33年目4月 佐久間理沙子デビュー戦

33年目4月(続き)

「・・・甘くない、ですね・・・」
トップどころとのシングル戦「グリズリー山本暴走七番勝負」で4連敗を喫し、トップの壁を体感したグリズリー山本、控室でぼそりと。

だが試練は続く。移動日を置いて第5戦、仙台大会メインでグリズリー山本は、団体ナンバー2の霧島レイラと対戦。

「ゾウとクマの対決だね」

吉田社長が身も蓋もないコメント。

試合のほうはクマ・・・いやG山本がパワーでよく攻めてグリズリーボム、ラリアットまで出して霧島を追い込んだが
「ちったあやるな、このデクノボー」
タックルで反撃、しかしG山本も諦めず裏投げ!

「てめええええ!」
カウント2で返した霧島レイラ、本気になったのか裏投げでお返し。しかしG山本場外へ逃げる

「待てこのやろう、テメェ」
そして場外戦、ド迫力。鉄柵に降られるシーンではどよめく。しかし場外で分があったのはG山本で、マットをはがしての場外DDT2連発で霧島レイラの動きを止める。つめかけた霧島ファンは悲鳴。しかししかけたG山本もダメージか疲労かそこから先一気に攻められない・・・

霧島レイラ、フラフラの状態でリングに戻るや、これ以上は受けられないと判断して、G山本を組みとめ、担ぎ上げて

「うらああああああっ」

スプラッシュマウンテン炸裂。この高さから落ちてはG山本どうにもならず3カウントを聞いた。勝負タイム30分5秒。

―はっきり言って、危なかった・・・恐ろしい存在だ・・

長期戦になって相手のボロが出たから勝てたような試合だった。グリズリー山本、ここまで5戦全敗だが痕跡は確かに残している。

第6戦、どさんこドーム大会、グリズリー山本の7番勝負の相手は団体最古参、25期生で選手会長のハリケーン神田。

神田の動きは落ちていてグリズリー山本の力押しについていけない。ラリアットで吹っ飛ばされてから動きが止まった。それでも、

「砕け散れ!」

ゴッドハンドが炸裂、これで山本さんの闘志に火がついた。
「うらあっ!」
DDT炸裂。ハリケーン神田頭からマットへ。これで動けなくなったハリケーン神田、3カウントを聞いた。6戦目にしてグリズリー山本、七番勝負初勝利。

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札幌大会メインはSPZ世界タッグ戦。

王者霧島レイラ、藤原和美に挑むのは強豪外人チーム、ジェーンメガライト&マリシアルイス。ジェーンの投げ技は脅威だが、何しろパートナーが微妙外人のマリシアというところが大穴。・しかしジェーンが前面に立って奮闘。霧島をベリートゥバックで投げきって追い込む。これは藤原がカット。

終盤タッチを受けたマリシア・ルイスも懸命のファイト。得意の裏拳で藤原を追い込んだが藤原が奥の手JOサイクロンを出してきた。

ドーン。

並みの選手ならこれで終わり。ジェーンのカットは霧島にうまく阻止された。29分11秒、王者組が7度目の防衛に成功。

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その翌日、シリーズ第7戦釧路厚生年金アリーナ大会。

開場後、手馴れた手つきで雑用をする佐久間理沙子、そこへ神田選手会長がやってきて、

「あー、佐久間さん、今日デビュー戦だから。」

「えっ・・・」

「やれそうだって上が判断したし、新人のデビュー戦は地方の体育館と相場が決まってる。そのほうが大成するって」

「はい!」

吉田社長から「デビューはあるかもしれない」といわれ、いちおうコスチュームとシューズは作っておいたが・・・

午後6時半、いつものように阿部リングアナの挨拶とカード読み上げのあと、ゴングが5回叩かれた。

「それ行け!相手は藤島さんだから殺されりゃあしないよ、GO、GO!」

佐久間理沙子。花道を全力疾走してリングへ向かった。

「青コーナー、東京都日野市出身、さくまー、りさーこー」

「赤コーナー、京都市西京区出身ふじしまー、ひとみー」

藤島が先手を取ってドロップキック、転倒させたところを組み付いてスリーパー。佐久間も落ち着いてスリーパーで反撃。しばらくそんな地味な攻防が続いた。

「そろそろ決めちゃうよ!」

しかし藤島瞳、コーナーに登ってミサイルキック。一度はカウント2で返した佐久間だったが、立て続けに2発目を食らって万事休す。勝負タイム8分24秒、佐久間のデビュー戦は終わった。

敗れた佐久間理沙子、意識は残っていて、すぐに起き上がり、客席に一礼してから引き揚げた。

「おめでとう!」
「これでレスラーの仲間入りだ!」
控室で本隊の選手が総出で新人を祝福する。

そして最終戦、新日本ドーム大会。

2009年4月10日 (金)

第658回 33年目4月 グリズリー山本暴走七番勝負

33年目4月

新人スカウトで佐久間理沙子獲得。あのラッキー内田(SPZ16期)を輩出した多摩市のレスリングクラブから推薦があった。

受け身などの基礎ができており、メンタル面もしっかりしているので、道場に入れて受け身の練習がてらグリズリー山本や葛城、真鍋が投げまくったが、弱音一つ吐かない。これは将来有望かもしれないと吉田社長は感じた。

「はぁ、はぁ・・・・」

たいていの新人は練習中に力尽きてしまうのだが、佐久間理沙子練習メニューに最後までついていった。

「んー。まあ4月はドームシリーズで人手がほしいからさ、巡業につれてっちゃおうぜ」

とりあえず4月シリーズは雑用係として巡業に同行させてプロレスを外から見させることにした。

「旗揚げ32周年記念Aglaia」開催。

ドーム級の会場を回るビッグなシリーズなので、埋めるための企画として「グリズリー山本暴走7番勝負」が組まれた。

初戦の九州ドーム大会、グリズリー山本、いきなり最強外人のジェーンと当たったが、ベリートゥバックで動きを止められてしまう苦しい展開。体重がモロに首にかかってしまうのだから大変だ。2発食らっても懸命にロープに逃げたは立派だったが、もう目が死んでいた。

「終わりダ」

ジェーン、走りこんでネックブリーカー。13分28秒、これでカウント3が入った。

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第2戦広島若鯉球場大会。セミで暴走7番勝負第2戦、グリズリー山本対ロゼ様。グリズリー山本がパワーで暴れまわったが、ロゼも実力者、攻め疲れが見えてきた頃合いを見計らって反撃

「はあっ」
タックルでぶつかってグリズリー山本を吹っ飛ばす。さすが世界の一流選手は違う。

「まあ、プロレスは馬力だけでは勝てませんよ。後は本人が気づいてくれれば収穫・・・」

しかし解説の吉田龍子もビックり、体重の乗ったラリアットを叩き込んでロゼ様をあわてさせる!!

「・・・・(このぽっと出の三下が・・・)」

しかし怒りのロゼ様3倍返し、ラリアット3連発、そして裏拳、バックドロップできれいに投げる。そしてサソリ固めで延々いたぶっておいて動きを止めてから、

「散りなさイ」

タイミングよくブレンバスターで投げきった。これで3カウント奪取。勝負タイム26分27秒。

「ゼェッツ、ゼェッ、ゼェッ・・・」

勝ったもののロゼ様は疲労困憊。戦いの年季の差でなんとか勝てた。

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第3戦なにわパワフルドーム大会。セミではやばいくらいのケンカマッチ。7番勝負第3戦、グリズリー山本対斉藤彰子!
―あのパワーは脅威。動けなくなる前に蹴りつぶす。

早め早めの仕掛けを心がけた斉藤彰子の打撃が面白いように入ってゆく。何しろ的がでかくスピードに難があるから当て放題。飛燕脚でドハデに吹っ飛ばす。この試合は一方的な展開となった。いかに体力のあるG山本といえど、打撃をダース単位でもらってはどうにもならず、裏拳から2度目の飛燕脚で沈んだ。勝負タイム13分30秒。

「んー、まあ、斉藤選手がうまく蹴りつぶしましたね。ああなったらいくら山本選手が力あるといっても厳しいですね」

大阪大会メインは久々開催のTWWA選手権。産めるための目玉としてSPZサイドがタイトル戦を企画した。王者ジェーンに挑む今回のかませ犬は29期生、奈良田忍軍くのいちRIKKA。やはりジェーンが圧倒的パワーで押しまくり、最後はキャプチュードで終了。勝負タイム22分12秒。

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第4戦名古屋しゃちほこドーム大会。メインで組まれたのは暴走7番勝負第4戦、グリズリー山本対マイティ祐希子。さすがに絶対王者M祐希子相手ではどうにもならず、バックドロップ連打の前にあっさり敗北。勝負タイム10分39秒。グリズリー山本、7番勝負で緒戦から4連敗。なかなかトップどころの選手に結果を残すことができない。

「・・・甘くない、ですね・・・」

トップの壁を体感したグリズリー山本、控室でぼそりと。

2009年4月 9日 (木)

第657回 32年目3月ナイトメア神威 最終試合

最終戦さいたまドーム大会、セミ前から3大シングルマッチ。

「次の試合に登場するナイトメア神威選手は、この試合が最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします

「怒りの日」がかかり、ナイトメア神威がいつも通り麻袋を被ってのっそりとリングイン。リングアナのコールが終わるやセコンドのS真鍋が麻袋を外す。

「URAAAAAAA」

その瞬間、うなり声を上げておそいかかってゆくナイトメア神威、最後の戦いが幕を開けた、

対戦相手は新人の葛城早苗、9歳年下の新人だが遠慮なく殴りかかってくる。新人の葛城、技のレパートリーなどないに等しいのだが、エルボーや掌底をこつこつと当ててゆく。いくらナイトメア神威が打たれ強いとは言っても限度がある。

「URAAAAAA」
ナイトメア神威、頭突きで反撃するが、なかなか葛城の息が乱れない。

「UOOOOOOO」
ナイトメア神威、これ以上付き合ってられないと判断したか、強引に担ぎ上げるやパワーボム一閃。

しかし葛城、かろうじてカウント2で返した。ドドドドドド。
しかし、
「UAAAAAAA」
ナイトメア神威、間髪いれずに2発目のパワーボム。これで葛城を沈めた。勝負タイム28分2秒の激戦。

・・・終わったか・・・

勝ったナイトメア神威、しばらくドームの天井を見上げていた。悪役なので花束贈呈も胴上げもなく、レフェリーの勝ち名乗りを受けてから引き揚げた。

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セミファイナルは グリズリー山本対藤原和美。実力急上昇中のG山本が藤原も食ってしまった。藤原のJOサイクロンを返して、グリズリーボムで3カウントを奪った。勝負タイム14分48秒。

メインイベントはSPZ選手権。絶対王者マイティ祐希子に対するは霧島レイラ。

今度こそ勝つといきまいていた霧島レイラだったが、マイティ祐希子の壁は厚く、またしてもバックドロップ連打の前に動きを止められるが、それでもタックルやギロチンドロップで反撃し、最後まで試合を捨てなかった。3発目のバックドロップを食らった時は懸命にロープブレイク。なんと60分のフルタイムドローに持ち込んだ。

「来月、また・・・やりましょう。」
マイティ祐希子、13度目の防衛に成功したが笑顔はなかった。不敗記録も40に伸ばしたが・・・

メイン終了後、ナイトメア神威の引退式。10カウントゴングのあと、ナイトメア神威がおそらく初めてしゃべった。
「じゃあな。バイバイ!!」

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ナイトメア神威

SPZ23期生

2031年5月10日、高知県体育館での対成瀬唯戦でデビュー。2041年3月30日、さいたまドームでの対葛城早苗戦で引退。稼動月数119ヶ月(歴代2位タイ)出場試合数(概算)816試合。

タイトル歴

第77代・第82回SPZ世界王者(防衛回数1回)

第51代SPZ世界タッグ王者(パートナーはコンバット斉藤)

第55代・57代・59代・61代・64代SPZ世界タッグ王者(パートナーはREKI)

第69代SPZ世界タッグ王者(パートナーはマーメイド千秋)

第61代あばしりタッグ王者(パートナーはグリズリー山本)

第27回SPZクライマックス優勝

第25回SPZタッグリー優勝(パートナーはコンバット斉藤)

第26回SPZタッグリーグ優勝(パートナーはREKI)

2009年4月 8日 (水)

第656回 ひでえ仕事だよ

32年目3月

「・・・いろいろ考えましたが、引退します。」

23期のナイトメア神威が引退を表明。10年間悪役レスラーとしてやってきたがもう全身ボロボロらしい。したがって3月シリーズは「ナイトメア神威引退シリーズ」となった。

初戦の青森大会、セミファイナルで悪役同士の対戦が組まれた。ナイトメア神威対グリズリー山本。

しかしあのナイトメア神威がやられる一方。グリズリー山本の巨体を生かした攻めに手も足も出ない。DDT2発でもうグロッキー状態。

「ぶっ潰す・・・・」
グリズリー山本3発目のDDT、場外へ逃げたナイトメア神威だったが、G山本も追ってきて、大場外乱闘の末、机をぶん投げて動きを止めた

グリズリー山本ブレーンバスター、カウント2.9で返すN神威。もう一度投げられたが場外へ逃げるナイトメア神威
ナイトメア神威また場外へ逃げる。しかしまた場外乱闘を繰り広げ、ナイトメア神威は地獄落としを繰り出せばグリズリー山本5度目のDDT、まさにつぶしあいだ。そのあと両者ふらつきながらリングへ戻る。
「イヤハハハハハハ」
ナイトメア神威もパワーボムでG山本のガタイを叩きつけて意地を見せたが、グリズリー山本が、ここで奥の手を出してきた。

「これでとどめだ」
高く担ぎ上げてグリズリーボム。これでナイトメア神威は完全に沈黙した。勝負タイム27分5秒。悪役道伝承マッチが終わった。

―ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・

意地だけで花道を歩いて引き揚げてきたナイトメア神威、控室のドアを開けるやぶっ倒れた。
―ひでえ仕事だよ・・・

あのグリズリー山本の猛攻を真正面から受けた。最後ははじき返されたが、自らが育てた選手に恩返しされてもう心残りはない・・・そんな心境だったか。

翌日の秋田大会、ナイトメア神威は第1試合で藤島瞳と対戦。打って変わってイージーマッチ。

「URAAAAAAA」
逆片エビで散々いたぶって、最後はサソリ固めでギブアップを奪った。アイドルレスラーを泣かせるにはこの手が一番。勝負タイム10分12秒の残虐ショー。

第3戦岩手友愛ドーム大会。ナイトメア神威は第1試合でサキュバス真鍋と対戦。トリッキーな動きに手こずったものの、地獄落とし、バックドロップで優位に立ち、3度目の地獄落としでサキュバス真鍋から3カウントを奪った。勝負タイム11分35秒。

「ヒャ、ヒャ、ヒャ、ヒャ」

第4戦山形大会、ナイトメア神威は新人の早瀬葵と対戦。一方的にいたぶった挙句、9分33秒、パワーボムで始末した。

第5戦福島大会、ナイトメア神威は久々に絶対王者のマイティ祐希子とシングル対戦。祐希子が駆け出しの頃はヒーヒー言わせたのだが、いまやマイティ祐希子は絶対的エース。ナイトメア神威ただやられるだけ。シャイニングウィザードで終了。ナイトメア神威、いいところなく敗北。勝負タイム10分52秒。マイティ祐希子、不敗記録を39に伸ばした。

第6戦宇都宮大会、ナイトメア神威は第2試合で25期のハリケーン神田と対戦。

H神田も動きは落ちてきているが、かつての本隊VS PDFの攻防を思い起こさせる熱戦を展開。
「うっ・・・」
ハリケーン神田のゴッドハンドが炸裂、これで動きが止まった。
「終わりだ。」
ハリケーン神田2度目のゴッドハンド、しかしナイトメア神威カウント2.8で返した。しかしハリケーン神田、あわてずにDDTでトドメを刺して終了。勝負タイム13分57秒。

宇都宮大会のメインはあばしりタッグ戦。王者マユリシアター、ブルックウォンの初防衛戦の相手はRIKKA、葛城早苗組。

新人の葛城だが奮闘ぶりが認められ、あばしり王座挑戦のチャンスが来た。
しかしこの日はマユリの裏拳が冴える。葛城を殴り倒しRIKKAにも強烈な一撃。宇都宮のファンは凍りついた。しかしRIKKAも革命軍の一員、むざむざとやられるわけには行かない。変幻自在の飛び技で相手チームを追い込んだが、外人チームのタッチワークが意外によく、決定的チャンスが作れない。

そうこうしているうちに王者チームが決めに来た。ブルックが葛城が弱りだしたのを見るやフェイスクラッシャー。これはRIKKAがカットしたが、マユリがRIKKAを場外乱闘に連れ出す。ああこりゃあ決まるなという雰囲気の中、ブルックウォンがラリアットを決めて葛城から3カウントを奪った。勝負タイム42分33秒。

第7戦幕張大会、ナイトメア神威は第4試合で25期の八島と対戦。やはり八島の重厚な攻めに手も足も出ず、最後はエルボーからショルダータックルとたたみかけられて終了。勝負タイム12分43秒。

幕張大会メインはSPZタッグ戦。王者霧島レイラ、藤原和美に挑むのはマイティ祐希子、藤島瞳組。M祐希子をタッグ戦線に絡めたい、でもベルトを独占されるのも困ると考えたSPZフロントサイドが組んだカード。パートナーが藤島瞳というのが微妙というかタッグベルトを冒涜しているのか。

マイティ祐希子と霧島レイラ、いまのSPZの2強がぶつかり合う。しかし長引くとだんだん祐希子が優位に立つ。
「ならば、私が・・・」
しかし藤原が代わりに出てきても祐希子の攻勢が止まらない。ならばと合体技に活路を見出す王者組。ダブルドロップキックから、合体パイル2連発。見事な連係攻撃。
「行くゾ」
霧島のラリアットはロープに逃れたが、マイティ祐希子、これ以上受けられないと感じたのか藤島にタッチ。そのまま場外でうずくまってしまう。ああこりゃ決まるなという雰囲気の中、王者組みが二人がかりで攻めて、藤島を合体パイルでKO。勝負タイム39分17秒の戦いを制した王者組が6度目の防衛に成功。

最終戦さいたまドームはナイトメア神威の最終試合。

(続きます)

2009年4月 7日 (火)

第655回 32年目2月 ナイトメア神威の限界

32年目2月

「バトルアトランティス」開幕。

第4戦三重サンシャインアリーナでは久々開催のあばしりタッグ戦。

王者グリズリー山本、ナイトメア神威に挑むのは強豪外人マユリ・シアター、ブルックウォン組。王者組み入場はなんとN神威の「怒りの日」ではなくG山本のテーマ「はげ山の一夜」で入場。力関係が逆転したと会社側が判断したか。

ナイトメア神威、デビューから10年近くが経過して、動きに往年の鋭さがない。しかしハッスルしてミサイルキックを叩き込むあたりただものではない。しかし外人チームも仕事師マユリがラリアットを決めて吹っ飛ばす。

「ググググ・・・・」

ナイトメア神威、ラリアットを食らって頭がぼうっとしたのか、G山本にタッチ。

「どりゃあああああ」

グリズリー山本、体格を生かした攻め。ラリアットも強烈。しかし外人チームも細かいタッチワークで応戦。

「はいつくばれぇぇ」

グリズリーボムでまずブルックが戦線離脱。なんとかマユリがカットに入った。今度はナイトメア神威がパワーボム。これで再びブルックがリングイン。ブルックウォンも蹴り連打で応戦。

「―ひとりがダメなら、二人がかりで・・・

マユリがそう考えてG山本に合体パワーボム。これはカウント2で返したが、グリズリー山本そのまま場外でうずくまってしまい、ナイトメア神威がローンバトルを強いられた。
「一点集中砲火!!」

ブルックウォンがハイキック!カウント2で返すナイトメア神威、続くブレンバスター。しかしロープに足を伸ばすナイトメア神威。パートナーのG山本は場外で伸びている。

「ククククク・・・」

ブルックウォン、止めのステップキック。これでナイトメア神威はついに戦意を断ち切られた。勝負タイム57分50秒の死闘は外人組みに凱歌が上がった。

「クソ・・・・・」

ナイトメア神威がぼそりと。元SPZ王者、表にこそ出さないがプライドがあった。このクラスの外人に負けるようでは焼きが回った・・・

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第7戦長野マウンテンウエーブ大会。セミファイナルはマイティ祐希子、藤島瞳対ナイトメア神威、グリズリー山本。なんと先発のナイトメア神威ただやられるだけ。なんとかG山本にタッチしたが、マイティ祐希子の壁は厚い。ほとんど何もできぬままニーリフトで悶絶し、ナイトメア神威に再タッチするだけ。あとは一方的に押し切られてダイビングプレスで終了。

試合後の控室、ナイトメア神威が一言
「山本さん」

「・・はい」

「次のパートナー、探しておいて。・・・もう無理」

長野大会メインはSPZタッグ戦、王者霧島レイラ、藤原和美に挑むのは前王者の斉藤彰子、中江里奈組。やはり4人の個性がぶつかりあう長期戦となった。しかし霧島レイラがこの4人の中では実力が一枚上。挑戦者チームの猛攻をしっかり受けきって、

「これで終わりだーーーー」

豪快なスプラッシュマウンテンで斉藤彰子を沈めた。

「当然の結果だろう」
勝負タイム48分50秒の激戦を制した王者組が5度目の防衛に成功。

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最終戦は本拠地へ戻っての横スペ大会。

第1試合は外人対決。アニービーチ対マユリシアター。陰気外人同士のシングル対戦。あばしり王座を取って意気揚々のマユリシアターが一気に攻める。アニービーチも懸命にローリングソバットを繰り出して反撃したが及ばず、最後は裏拳で3カウント奪取。勝負タイム13分19秒。

第2試合はアイドルタッグが登場。藤島瞳、早瀬葵が登場。対戦相手は外人のワイルドローズ1号、ブルックウォン組。

2年目の藤島瞳、エルボーなどで懸命に応戦するが外人組の余裕を消すに至らない。新人の早瀬に至っては問題にならない。藤島も粘ったが、最後はワイルドローズ1号のエルボーに散った。勝負タイム12分16秒。

休憩まえの試合はシングルマッチ、中江里奈対スカーレット小縞。昨日の長野で48分やって、体調は万全でない中江だが、スカ小をパワーで圧倒。スカ小もラリアットを繰り出すなど健闘したが、中江のバックドロップ、ノーザンを食らって動きが止まってしまい、最後はパワーボムに屈した。勝負タイム20分44秒のいい試合。

休憩明けの試合は6人タッグ。霧島レイラ、藤原和美、RIKKAの革命軍3人が登場。対戦相手は斉藤彰子、八島。ハリケーン神田の本隊3人。この試合も盛り上がった。昨日の長野で熱闘を繰り広げた斉藤と藤原がやりあう。最後は飛燕脚で斉藤彰子が藤原を蹴りつぶして終了。勝負タイム16分47秒。

ここから3大シングルマッチ。

セミ前は葛城早苗(32期)対ナイトメア神威(23期)。

新人がついにシングルで横スペのセミ前、しかも元SPZ王者のナイトメア神威と対戦。いくら葛城が掌底やスリーパーで攻めようとナイトメア神威には通じない。逆にヘッドバットでお仕置き。しかし葛城早苗、痛々しい表情を極力見せないようにしてドロップキックで反撃。新人とは思えない落ち着いたファイト。そして掌底でついにナイトメア神威がダウン。カウント2まで追い込む。

「ウガアアアア」
ナイトメア神威、パワーボムを強引に狙うが、葛城、読んでいたのかうまくリバースに切り返す。カウント2、場内拍手。

しかしここでナイトメア神威が奥の手を出してきた。シューズの中から取り出したのは五寸釘。それを頭にぐりぐりぐりぐり。

「あ、ううーーーーー」

滴り落ちる鮮血。新人相手に何てことするんだ。場内ブーイング。これで形勢逆転

「URYYYYYYYY」
ひるんだ所を地獄落としでたたきつけて3カウント。それでも勝負タイム20分14秒の熱戦に場内沸いた。

「・・・・・・・・・・・・・ッ」

頭にタオルを当てられ、痛々しい表情で引き揚げる葛城早苗。あと一歩のところで勝利を逃した。

セミファイナルはグリズリー山本対ジェーンメガライト。最強外人の投げまくり攻勢の前にG山本、なすすべなく悶絶。最後はキャプチュードで試合終了。勝負タイム12分18秒。

メインイベント、王者マイティ祐希子に挑むのはロゼヒューイット。器用貧乏っぽいところはあるが世界の一流選手。マイティ祐希子に勝てる可能性もゼロではない。しかし試合はやっぱりマイティ祐希子が完勝。さくっとニーリフトで終わらせた。勝負タイム17分58秒。12度目の防衛に成功。累計防衛回数も22に伸ばし、歴代2位の吉田龍子に並んだ。シングルマッチの不敗記録も38に伸ばした。

2009年4月 6日 (月)

第654回 32年目1月 マイティ祐希子37戦無敗

32年目1月
斉藤彰子の写真集「JET SMASH」が発売。あのハード打撃ファイター斉藤彰子が水着写真集を出す。姉のコンバット斉藤のときと同じく沸いた。

ナイトメア神威が負傷欠場。重症。この選手もけっこうガタが来ている。藤島瞳も負傷欠場。

1月シリーズ初戦は新日本ドーム大会。

オープニングマッチは早瀬葵対マスクド・ミスティ。新人の早瀬、いいところなくミスティに攻め込まれて、ラリアットで動きを止められて、最後はローリングソバットを叩きこまれて終了。勝負タイム8分56秒。

第2試合はタッグマッチ。サキュバス真鍋、スカ小対ワイルドローズ1号、ディスガイズマスク。サキュバス真鍋がうまく相手チームをかき乱して、スカ小がいつものように力強い攻め。最後は「これでも食らえ!」と叫んでからの殺人パイルドライバーでディスガイズから3カウント奪取。

第3試合に25期生コンビ登場。八島静香、ハリケーン神田対ブリジットウォン、ブルックウォン組。25期生コンビが長年のチームワークで、ウォン一族を追い込む。ブリジットもハイキックを放つなど健闘したが、八島も打たれ強さは定評がある。相手の攻めを受けきって、「ぶちかまし」で反撃して3カウント奪取。25分24秒の激闘を制した。

休憩明けの試合、「禿山の一夜」がかかりグリズリー山本入場。

対戦相手は28期の中江里奈。力押しスタイルの両者、ゴツゴツしたファイトを展開。グリズリー山本が体格を生かし、DDTやスクラップバスターで攻めれば、中江もレスリングセンスを生かしてバックドロップで反撃。この試合は盛り上がった。
「ぶっつぶすぜええ」

しかしなんと最後はグリズリー山本、新技のグリズリーボム(変形ラストライド)で3カウントを奪った。勝負タイム30分の激闘を制したG山本が中江越えを達成。

「・・・・・・」
破れた中江、グリズリーボムで落とされた衝撃が大きく、控室で倒れてしまった・・・

セミファイナルはタッグ王者登場、霧島レイラ、藤原和美に対するはRIKKA,葛城早苗組。新人の葛城がドームのセミに登場。会社側の期待の現われか。RIKKAが流れを作ってから葛城にスイッチ。
「必殺の・・一撃!!!」
葛城早苗、掌底を霧島に打っていったが、霧島はウントもスンともいわず受けきった。
「おらよっ」

ブレーンバスターで投げ返す。まるで子ども扱い。あわててRIKKAが出てきたが、霧島がここで決めに来て、ラリアットで終了。勝負タイム19分38秒。

メインのSPZ戦、絶対王者のマイティ祐希子、今回の防衛戦の相手は最強外人ジェーンメガライト。先月霧島がダメだったのでとりあえず最強外人当てとくかという無難なマッチメイク。

―油断はできない。でも自分のプロレスをやればなんとかなる。
延髄斬りで突破口を開き、ネックブリーカーで中押し。ニーリフトで動きを止める。そしてもう一度ニーリフト。危なげないファイトで21分18秒、11度目の防衛に成功。

累計防衛回数も21に伸ばし、歴代3位の市ヶ谷様に並んだ。シングルマッチの不敗記録も37に伸ばした。

******************************

そのあとSPZご一行は九州各地を転戦した後、最終戦のカイメッセ山梨大会。このシリーズ力をつけてきたG山本、佐賀大会ではRIKKAを撃破し、最終戦ではスカ小の殺人パイルドライバーをカウント2で返して、裏投げからギロチンとつないで実力者のスカ小を下した。まさに脅威。まだデビュー2年そこらだ。

―あのガタイとパワーは怖いわね・・・

花道奥で見ていた王者マイティ祐希子がぼそりと。若い選手の足跡はだんだん忍び寄ってきている。

マイティ祐希子、この日はセミで登場、サキュバス真鍋と組んでジェーン&ブルックウォンと対戦。あっさり分断作戦を成功させ快勝をおさめた。

山梨大会メインはSPZタッグ戦。王者霧島レイラ、藤原和美に挑むのは25期生コンビ、八島静香&ハリケーン神田。25期生コンビ、霧島レイラの動きを止めるために合体攻撃を多用したが、霧島もラッシュをかける。タックルの連発でハリケーン神田を追い込み、ムーンサルトで圧殺を狙ったが、神田がなんとかヒザで迎撃。

八島さんも懸命に応戦したが。パワーなら霧島が断然上で、いいところなく神田にスイッチ。カンダもゴッドハンドを藤原に決めるなどハッスル。しかし勝負をかけた合体パワーボムはカットされて、藤原が逆転のJOサイクロンを八島に決める。なんとか2で返した八島だったが既に目は死んでいて、続く霧島のラリアット、これも2.8で返したが、サンドイッチラリアットを食らって終了。勝負タイム36分28秒、王者組みが4度目の防衛に成功。

2009年4月 5日 (日)

第653回 信濃なる千曲の川の

32年目12月 SPZ選手会主催興行。

年の瀬も押し詰まった12月30日、東京調布のギムレットホールにて、SPZ選手会主催興行が開催された。例によって選手会でキャッシュを稼いで社員旅行にでも行こうという企画だが、今回は選手会長が生真面目なハリケーン神田なので、よく言えばしっかりした興行、悪く言えばあまり面白みのない興行になった。

第1アトラクション ラッキーナンバー抽選会

選手会興行恒例の企画、チケットに印刷された番号と、ハリケーン神田が引いた番号が一致したら選手が提供した豪華景品がもらえる企画。例年通り妙に盛り上がった。八島静香はゴルフボール付き孫の手を提供、マイティ祐希子は意外にも歴史小説の文庫本を提供、頭数が足りないのでスタッフもなにかしら提供。井上霧子が高級ワイン、今野役員も缶コーヒー1ケースを提供。

第2アトラクション 渡辺智美歌謡ショー

「♪上野駅 16番ホーム

 ボンネットの 金沢行き夜行急行

きたぐにへ 旅立つ

ラウンジカー 流れる街の灯

能登 能登

夜行急行 能登~~~

夢路はるかに 闇を駆け行く

能登 能登

夜行急行、能登~~~」

年齢を重ねるにつれ、えせ演歌歌手のようになってきた売れないタレント渡辺智美がリングに上がり、「夜行急行能登号」を披露。それなりに沸いた。

第3アトラクション アイドル商会歌謡ショー

今年の選手会興行は歌合戦なのか。SPZが世界に誇る若手アイドルレスラー3人が生歌を披露。場内大盛り上がり。

「サキュバス真鍋でーす」
「藤島瞳でーす」
「は、早瀬葵でーすっ」
「3人揃って、アイドル商会です!」

そして、デビューシングル、「信濃なる千曲の川の」を熱唱。

♪信濃、流れる、ちくま川

 川べり あなたの 少し後を歩く

想いは 川の流れのように だんだん ふくらんでゆく

あなたが踏んだこの小石

ただの小石でも

あなたが踏んだ石なら、宝石みたいに思えてきて

せつなくなる、だから

その石 拾って、ポケットにしまった・・・

ああ 信濃 流れる ちくま川

*************************

第4アトラクション 選手トークショー

マイティ祐希子とスカーレット小縞がスクリーンに写されたスライドを見ながら今年一年をまったりと振り返るというトークショー・それなりに沸いた。そのあと休憩。

第5アトラクション:パンチングボールコンテスト

休憩明けはファンも混じってみんなでパンチングボール選手権。一昔前のゲーセンによくあったパンチングボールをみんなで殴ってストレス解消。

「ウォーーーーー」
「いぇああああああ」

「専務のバカヤロウ、何で決算賞与出ないんだ・・・・」

ファンの奇声気合いが乱れ飛ぶ異様なイベントとなった。みんなでパンチングボールを殴ってストレス解消。なんというファン参加型イベント。中森選手会長の粋な計らいだった。

「構えて、タメを作って、すぱこーんと殴りぬけるんですよ」

井上霧子さんが実技指導までやる恐ろしいイベント。

一般参加の部は100kg以上をたたき出した人全員に「SPZオリジナルグッズ」が贈られた。

セミファイナル 普通のシングルマッチ

葛城早苗対RIKKA。そこそこ盛り上がった。ごくごく普通のシングルマッチをやって、最後はRIKKAが
「農鳥」
かっこよく伝家の宝刀、農鳥をヒットさせて3カウントを奪った。

メインイベント ストリートファイト6人タッグマッチ

マイティ祐希子、八島静香、ハリケーン神田対斉藤彰子、スカーレット小縞、中江里奈
ごく普通の6人タッグのように思えたが、6人が6人とも私服?で登場したので場内大盛り上がり。絶対王者マイティ祐希子はジーンズにパーカー姿。オオオオという盛り上がり。八島さんが特攻服姿で登場。これもどよめき。しかし一番人気はハリケーン神田がブラックスーツで黒サングラス。これにはファンも笑い転げた。ものすごい会長コール。

対する青コーナー側は斉藤彰子がトレーニングウェア姿。中江里奈がジーンズにカットソー姿。スカーレット小縞はなぜかチャイナドレス姿。これも盛り上がった。まるで仮装大会。
試合のほうはぐだぐだ全開で、スカーレット小縞のすし桶攻撃、斉藤彰子のヌンチャク攻撃など、青コーナー側がひどいことをやってきてペースを握る。10分経過のアナウンスと同時にH神田と中江を除く4人が場外乱闘をおっぱじめ、ああこりゃ終るなという雰囲気の中、H神田のゴッドハンドをうまくかわした中江がうまく絡み付いてスモールパッケージに丸め込んで3カウントを奪った。ゆるーい結末に場内笑った。

締めの挨拶はアイドル商会の3人。
「これからも、SPZはアイドル商会を中心に(笑)頑張っていくので、応援よろしくね!」

年末のプロレス大賞、最優秀選手は当然M祐希子、そして葛城早苗が最優秀新人。シングルのベストバウトがM祐希子対ジェーンメガライト。タッグのベストバウトがM祐希子、斉藤彰子対霧島レイラ、藤原和美の一戦が選ばれた。

2009年4月 4日 (土)

蔵出し原稿5・プロレス観戦記2002.12.06

蔵出し原稿 プロレス観戦記シリーズ

2002年12月6日 日本武道館 全日本プロレス興行 

世界最強タッグ最終戦

休みの日に全日本プロレスの興行が武道館である事を当日に知り、急きょ観戦に行こうと思った。全日本プロレスは川田が足の故障で長期離脱中で、さらに社長が新日本出身の武藤敬司に代わり、武藤、小島らの新日本からの移籍組や元WARの選手やフリーの選手、全日の外人常連が活躍しているといった、90年代の往時を知る者にとっては考えられない変容ぶりであり、誤解を恐れずに言えば「変わり果てた姿になってしまった」のである。それでも往時の片鱗の片鱗くらいはまだ残っているので、足を運ぶ価値はあるのだが・・・午後3時に武道館に到着し、1階の前のほうの席の当日券5,000円をゲット。

5時半、開場されて場内に入る。八角形の武道館、アリーナに並べられた椅子、中央に置かれたリング。館内に流れているのは稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」。私は胸の奥がジーンとしてきた。おもわず涙が出てきそうになる。この風景だけは昔と変わらない。だ、が、10年前と違い北側はすべて黒い幕で覆われて客を入れないようにしており、大きい花道やスクリーンが設置されていた。やはり売上が落ちているのか。全日本の武道館が満員にならないとは10年前では考えられなかったことである。

さて試合開始時間の6時半になった。館内が暗転され、レーザー光線や照明がまたたき館内がウォーと言う歓声に包まれる。そのあとスクリーンで最強タッグリーグ戦のここまでの経過が流される。はでな演出だがかえって虚飾に感じられる。勝ち2点、引き分け1点、負け0点の点取り形式のリーグ戦、優勝の可能性があるのは4チーム。

武藤敬司・アニマルウォリアー組10点 、

小島聡・太陽ケア組9点、

天龍源一郎・BJテンタ組8点、

大谷晋二郎・田中将斗組8点。

きょうのセミファイナルで武藤組と天龍組、メインイベントで小島組と大谷組が対戦し、その結果もっとも点数の高いチームが優勝。これでは小島組が優勝、という予測が簡単についてしまう。

第1試合 トリプルスレッドマッチ 平井伸和 対 グラン浜田 対 愚乱浪花

トリプルスレッドマッチとは3人がリング上で闘うというユニークな試合形式。フォールまたはギブアップをとった選手が勝ちとなる。3人が同時にコールされながら入場しそのあと殴り合いが始まる。浜田が年齢を感じさせない気迫あふれる攻撃を見せるが、ひとしきり闘って疲れた所でうまく平井に場外に落とされ、そのあと浪花と平井の一騎打ちの様相となり、平井が浪花にロックボトムを決め、あっさりと3カウントを奪った。

第2試合 荒谷信孝 保坂秀樹 対 渕正信 石狩太一

荒谷、保坂が入場したあと、デンジャーゾーンがかかり、館内は大声援につつまれる。花道の奥からデビューしたばかりの石狩太一が猛ダッシュで入場し、そのあと渕がゆっくりと入場。試合は渕が保坂を攻めて試合の流れを作ろうとしたが、逆にブレーンバスターで投げられてしまい、石狩にタッチ。そこからは一方的に石狩がいたぶられる展開となった。ようやく回復した渕が保坂・荒谷を蹴り倒し、なおも顔面踏みつけで痛めつける。そして石狩にも顔面踏みつけを指示し、石狩が先輩レスラーの顔面を踏みにじる。デビューしたての新人に顔面を踏まれた怒りで保坂が反撃し、渕を場外に落とし、ラリアット、アバランシュホールドと大技をくりだし石狩を沈めた。試合後、石狩は四方に礼をして退場。館内から拍手が起こった。 

第3試合 マイク・アッサム PJフリードマン 対 奥村茂雄 土方隆司

アッサムはザ・グラジエーターの名でFMWで暴れていた大型外人。今シリーズは「殺人心理学者(何という異名だろう)」PJフリードマンとコンビを組んで最強タッグにエントリーしたが、優勝戦線に絡む事は出来なかった。試合はアッサムがパワーあふれる攻撃で奥村・土方を圧倒する。日本人組みは比較的怖くないフリードマンにタッチされるのを待って、攻撃をしかけたが、フリードマンがみごとなジャーマンスープレックスを見せ危機を脱し、すかさずアッサムにタッチ。奥村を場外に落としたあと、土方を仕留めにかかる。ダイビング攻撃を狙ったのか、コーナー最上段に登るアッサム。そうはさせじと起き上がった土方がコーナー上のアッサムに組みつく。そこをねらってアッサムが土方を逆に持ち上げる。パワーボムの体勢に担ぎ上げた。

えええ!と館内に沸き起こる悲鳴。いくらなんでも格下の相手にそれはやりすぎだろう。ざわめく館内、雪崩式パワーボムが決まり試合終了。あわれ、土方は失神し、セコンドに背負われて退場。館内からは健闘を称える拍手が。

第4試合 カズ・ハヤシ ジミー・ヤン 対 ミスター・プロブレム エクストリーム・ブレード

この試合はジュニアヘビー級のタッグマッチ。謎のニセカシンマスクマン(正体はマニア層にはバレバレらしいが・・・)プロブレムはケンドーカシンのテーマ曲「スカイウォーク」のアレンジ版で入場。プロブレムが打撃ラッシュを仕掛け、ブレードもパワフルな攻撃で押すが、決め技と思われるギロチン式エースクラッシャーに似たオリジナルの技をしかけようとするとハヤシ組はそうはさせじとカットに入る。けっきょく最後はコンビネーションに勝るハヤシ組が合体技をブレードに決めて勝利。

第5試合 世界ジュニア選手権  ケンドー・カシン 対 高岩竜人

「プロブレム」の響きから「スカイウォーク」がかかりチャンピオンのカシンが入場。きょうの対戦相手は同じく元新日本のゼロワン所属レスラー、高岩である。試合はパワーに勝る高岩が押し気味に試合を進める。リングサイドにはZEROONEで抗争中の空手家・小笠原和彦とその弟子がいる。場外にエスケープしたカシンが小笠原の前のフェンスをガシャンと蹴って挑発。これに怒った小笠原の弟子がカシンにつかみ掛かろうとするが和田レフェリーが阻止。リング上では高岩がカシンを倒すがレフェリーがいない。ようやく和田レフェリーが戻り試合再開。高岩は3連発パワーボムで勝負に出たがカシンも返す。そのあとカシンが反撃し、ロープを利しての首吊り攻撃から前方に丸め込んで3カウント奪取。防衛成功。

試合後、カシンはマイクで「小笠原!試合終わったからタクシー呼べェ!」と挑発。怒った小笠原達がリングに乱入し、カズハヤシやプロブレムも加わっての乱闘になった。このあと休憩。

第6試合 スティーブ・ウイリアムス マイク・ロトンド 対 安生洋二 宮本和志

ディスコ調の音楽に乗って安生・宮本が入場、「勇士の叫び」のテーマにのってウイリアムス組が入場。だがウイリアムスのかつての栄光など知るファンはいないのか、10年前のような「ウォーオーオー、オーォ!」の大合唱は起こらない。(私は歌ったけど)ウイリアムス組は2000年の最強タッグ優勝チームだが、今年は9点に終わり優勝戦線にとどまる事は出来なかった。試合は安生が外人組を挑発したりいなしたりして試合を進める。外人が怒るとさっと引いて宮本にタッチ。

若い宮本は臆せず攻めこんで行くが、ウイリアムスのパンチ攻撃や大型外人らしからぬ器用な合体技で徐々に劣勢に追いこまれて行き、最後は殺人バックドロップが火を噴き宮本から3カウント。試合後、宮本が頭を押さえながらウイリアムスに覚えてろよと挑発。殺人バックドロップのあとは倒れていないと。それともウイリアムスが手加減したのか。

セミファイナル 【公式リーグ戦】天龍源一郎 B・J・テンタ 対 武藤敬司 アニマル・ウォリアー

いよいよセミファイナル。サンダーストームで館内の声援もますますヒートアップ。勝てば優勝の武藤組は序盤から猛攻をしかけるが、天龍・テンタも優勝の可能性があるだけに真っ向から反撃。ヘビー級選手が正面激突するシーンはなかなか見られない。途中、アニマルが相撲出身のテンタを挑発してかコーナーで四股を踏む。するとテンタも四股を踏む。そのあと激突。この相撲はテンタが相撲出身の意地を見せアニマルを転がした。

10分過ぎ、武藤組が勝負に出てアニマルが天龍を肩車で担いで、武藤がコーナーに上ってダブルインパクトを狙ったが天龍が抵抗して失敗。ならばテンタを持ち上げて・・・と170kgのテンタをアニマルが持ち上げようとするも「それは無理だろ」の声が館内からちらほら、案の定失敗。

これでアニマルは腰を痛めたのか動きが鈍くなり、そこを天龍がノーザンライトボム、テンタのボディプレスと集中砲火。カットに入った武藤にも天龍がノーザンライトボム。たまらず武藤は場外転落。孤立したアニマルに天龍が惜しげもなくまたノーザンライトボム。そのあとテンタがエルボードロップ。全体重を乗せてそのままフォール。無敵で知られるアニマルウォリア-もこれは返せなかった。武藤組の優勝を阻止し、どんなもんだ、と勝ち名乗りを受ける天龍とテンタ。

メインイベント 【公式リーグ戦】 小島聡 太陽ケア 対 大谷晋二郎 田中将斗

大谷はいつものように刀を持って入場。小島とケアは合体テーマ曲で入場。試合早々太陽ケアがキックを放った際に足を負傷するアクシデント。以後ほとんど小島が一人で闘い、ケアはピンチのときカットに入る程度。チャンスと見た大谷組は小島に集中攻撃。合体技、大谷のスパイラルボム、田中のエルボーなどが決まるもことごとくはね返す。最後は小島が田中にラリアットを連発し、ほとんど1対2の状況で勝利を収めた。

小島・ケア組が優勝。だがケアは立ち上がれない。大谷・田中は退場するとき、花道ゲート前でリングに向かい一礼。最強タッグに対し礼を尽くしたか。館内からは拍手が。そのあと恒例の全選手(大谷、田中、天龍及び負傷中の嵐、長井は出ず)参加の表彰式&記念撮影。特大の1000万円の小切手が座ったままのケアと小島に贈られる。この風景だけは昔と変わらない。何か足りないものはあったけど、風景だけは昔と変わらぬものがあった。ヤレヤレと私は武道館をあとにした。

2009年4月 3日 (金)

ヤング井上霧子 004

SPZ外伝 ヤング井上霧子 その4

時に西暦1995年、井上霧子デビュー戦in後楽園プラザ。

ワン、トゥ、スリー

「10分33秒、首固めでユリシーズ島宮の勝ち」

ドワアアアアアア!

「よく頑張った、一礼して控室に戻りなさい」
レフェリーが倒れている井上霧子に耳打ちする。

こうして井上霧子のデビュー戦は終わった。高橋さんからは悪かった、いきなりデビューさせちゃって、と言われ、ギャラは1万円に増やしてもらって帰りに焼き肉をおごってもらった。

5月の3・4・5と神奈川県下で3試合興行があったが、このときは別のフリーレスラーを手配したので、井上霧子は雑用に専念した。

「ほらほら、霧子ちゃん載ってる」

その翌週の週刊ハッスルに、モノクロだが井上霧子の写真が載った、ゴング前で緊張しているところを撮られた一枚だ。「関東女子プロレスから新人の井上霧子がデビュー。U島宮相手に健闘したが首固めに敗れた」というキャプションがついていた。

「これでレスラーの仲間入りだね」

「・・・・はあ」

それ以来、井上霧子は高橋さんのトレーニングに同行するようになった。たまの土日に行われる関東女子の興行ではリング上で練習するようになり、プロレスのイロハを教わった。

「まず痛みに慣れるのがプロレスなんだ、受け身100回」

「えっ・・・・」

こうしてプロレスラー、井上霧子が誕生してしまった。

そして学校は夏休みに入り、関東女子プロレスも週末を中心に興行を打つようになった。

「そろそろ試合に出してもいいんじゃない」

「え、まだ彼女14歳ですよ」

「まあええやん。試合数増えるし」

この団体の社長は相当いい加減である。ということで会社からリングコスチュームとシューズが支給され、8月は3試合ほどリングに上がったが、何も技を教えてもらってないので、ただただやられ続ける日々であった。

試合前の練習、

「技は・・・教えてもらえないんですか」

 「うちの団体はね」高橋さんはタオルで汗をふきつつ言った。

 「やられることから覚えるんだ」

「えっ」

 「だから、私はね、あなたには攻撃は教えない、それはあなたで研究してね。受けだけを教えるから」

「はい、でも、それだと、どうやって試合のとき……」

 「いーい、プロレスリングってのはね、格闘技でもあるんだけど、お客さんを楽しませる興行でもあるの、相手の技をひとつ食らっただけで立ちあがれなかったら、そこで試合の動きが止まっちゃって、相手もそこからどうつなげばいいか困るでしょう、試合はね、シングルでも5分ぐらいは動けないと、つとまらないのよ、」

「はい……」

 「わかったら、もう1セットずつ、受けの練習ね」

「……はい」
井上霧子は痛む体をさすりながらリングに上がった。

2009年4月 2日 (木)

ヤング井上霧子 その3

不定期連載SS ヤング井上霧子

時に、西暦1995年、井上霧子、突然のデビュー戦。

「その子、出しちゃえば。」

「えっ・・・・」関東女子プロレス社長の一言にその場にいた誰もが目を丸くする。

「わ、私。まだ何も教わってな・・・」

「きみ、体育の成績は?」

「・・・5、です。」

井上霧子は正直に言ってしまった。

「・・・決まり、だね。」

*******************************

それから1時間後、

「青コーナー、106パウンド、井上・・・霧子ぉーー」

社長が持っていた予備のリングコスチューム(ただの水着)を着せられ、高橋さんのリングシューズを借りて、いきなりデビュー戦とあいなった。心の準備も何もあったものではない。
「赤コーナー、133パウンド、ユリシーズ・・島宮!!」

古参のレスラー、ユリシーズ島宮がコールされる。以前は別の団体にいたが怪我でセミリタイアしてもう30歳になるが、小遣い稼ぎのために関東女子で復帰し、リングに上がり続けている人だ。

「なお井上選手は本日がデビュー戦となります」

瞬くフラッシュ。記者さんがいっせいに井上霧子を撮る。

・・・うっわーー

カンッ

ゴングが鳴る。そのあとの記憶はあがっていたのであまりないが、井上霧子は島宮さんにいいように遊ばれた。というより遊ぶしかなかったらしい。技量ゼロなので100パーセント自分で試合を作るしかなかったらしい。手加減したグラウンドレスリングでいたぶられた。

「・・・うわーーーーく、苦しい・・・」

スリーパーで締め上げられる。が、本気で絞めていない。レフェリーまでロープに逃げろ、足を伸ばせと耳打ちする始末。

ただいたぶられてロープに逃げる。その繰り返し。

―苦しい、何でみんなこんな事やってるんだろう。

そうこうしているうちに10分が経過。井上霧子の息は上がっていった。

「そろそろ終わりにします!」

島宮がアピールしてからオーバーアクションで井上霧子の頭に思いっきりゲンコツ。
「うわあっ」
これは痛かった。しかし井上霧子、怒りが沸いてきた。

ー何で私がこんなことしなくちゃならないんだ。

「ウワーーーッ!!」

立ち上がって思い切り体あたりでぶつかっていった。

「くっ・・・」

思いもよらぬ反撃で倒れこむ島宮。ちょっとエキサイトさせちゃったかなと判断したので、すばやく起き上がって絡み付いてスモールパッケージで丸め込んだ。井上霧子は返し方を知らない。

ワン、トゥ、スリー

「10分33秒、首固めでユリシーズ島宮の勝ち」

ドワアアアアアア!

「よく頑張った、一礼して控室に戻りなさい」
レフェリーが耳打ち。
こうして井上霧子のデビュー戦は終わった。

2009年4月 1日 (水)

10万HIT御礼

こんばんは、レッスルエンジェルスサバイバー没頭中筆者のkonnoです。

WASプレイ日記のアクセス数が100,000件を超えました。

つたなく他愛ないこのサイトに足を運んでいただいている皆様に、厚く御礼申し上げます。

書き溜めた在庫は42年目7月までありますので、これからも「マンネリだが常に痛快であるリプレイ」を目指して、まあ頑張りますので応援宜しくお願いいたします。

さすがに40年目以降になりますと、外人レスラーの頭数が足りなくなってきますので、自力で名前を考えざるを得なくなってきます。

(近日登場予定)

コバトフ (ロシア人プロレス留学生)

マレン・ニールセン(EWA、ニールセン一族の新たなる刺客)

A・シチェルバコフ(凶暴ロシア人レスラー)

ドッペル・ベルク&ウォーレス・ベルク(強豪ヨーロピアンタッグ)

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