33年目9月
9月シリーズ、初戦鹿児島大会では空位となっていたあばしりタッグの王座決定戦、大胆な若手起用を行い、なんとスカーレット小縞、佐久間理沙子対ハリケーン神田、葛城早苗組というカードが組まれた。新人の佐久間がデビュー半年たらずであばしり王者決定戦の場に出てくるとは会社側の期待の表れか。
「あたしが先発、やばくなったらお願いね」
スカ小が先発して流れを作ろうとするが、ハリケーン神田の掌底をもらってしまって痛がる。やむを得ず佐久間にタッチ。
佐久間理沙子も懸命にH神田にぶつかっていったが、
―まだまだ甘いよ。
がすっ!
出ましたゴッドハンド。この一撃で佐久間理沙子は昏倒。そのまま場外でのびてしまった。
「あーもう、仕方ないなー」
スカ小が奮闘し、葛城を追い込む。葛城も打撃を織り交ぜて反撃するが、パートナーに頼らずあたしが決めるという心意気・・・は立派なのだが、結果的にローンバトルとなってしまった。
これでも、食らえーーー
スカ小、シャイニングウィザード。カウント2.8で返す葛城、ここでH神田が救援に入ってきたが落ち着いて場外に放り投げる。
「ぬわあっ」
勢いよく場外に落とされたH神田、わき腹を押さえて痛がる。
「終わりーーーーー!!」
スカ小、出ました殺人パイルドライバー。これで葛城をしとめた。勝負タイム20分9秒。
「佐久間さん、起きて、試合終わったよ、勝ったから」
「え・・・・・・」
後半役に立たないまま終わった佐久間理沙子、あばしりベルト奪取。なんという強運・・・
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第6戦長崎大会ではSPZタッグ戦が組まれた。王者ロゼ様&ファントムローズ2号に対する挑戦者は前王者の霧島レイラ&藤原和美。ここのところ勢いのない藤原和美、なんとしても勝っておきたいところ。しかしロゼ様が大活躍。霧島レイラのバスターローズを決めるなどいい調子。しかしなんとか分断作戦に成功した挑戦者チーム、格落ちのファントムローズ2号を捕まえて、
「はぁうっ!!」
2発目のバックドロップで戦意を絶った。これで王座奪還。勝負タイム36分30秒。
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最終戦はさいたまドーム大会。関東地区では強いSPZ、相変わらずの満員御礼。
第1試合は佐久間理沙子 対 マリシアルイス。
基礎のできている佐久間さんだから外人相手のオープニングも務まるだろうという判断。得意のフロントスープレックスなどでマリシアを追い込んだが、攻め疲れが見えてきたところをマリシアは見逃さなかった。
「そこだっ」
でた裏拳。この一発で佐久間は沈んでしまった。勝負タイム9分16秒。
「んー、ああいう頭に一発もらったときにどう立て直すかが今後の課題ですね。んー、まあ新人ですからああいう形で終わるのは仕方ないです」
吉田社長が冷静な解説。
第2試合はアニービーチが登場、対戦相手は28期の中江里奈。
中江が持ち前の馬力で押し込んだが、アニーもTWWAの看板選手、ダイナミックなフライングニールキック2連発で中江をしとめた。なんと第2試合から20分13秒の熱戦。
「・・・クソーッ・・・・」
敗れた中江、悔しそうな表情で引き揚げた。
「んー、まああれがアメリカンスタイルなんでしょうね。大技を連続で食らってはいくら中江でもね。んー、まあでもいい試合でしたよ」
続く休憩前の第3試合、サキュバス真鍋、藤島瞳、早瀬葵の「アイドル商会」3名が勢ぞろい。対戦相手はマユリシアター、ファントムローズ2号、ディスガイズマスクの中堅外人3人。かわいい系の3人が懸命に向かっていったが、外人のパワーには太刀打ちできず、最後は早瀬がつかまってしまった。
「あーっと、出たー、マユリシアター、音速の上段蹴り、これは入った」
「んー、いかんですね」
「そのままフォール、返せるか、返せるか、ダメだー」
伊藤アナウンサーが絶叫。
「んー、まあ13分16秒ですか。あの3人にしてはよく頑張ったほうだと思いますね」
叩きのめされたアイドル商会の3人が起き上がって、3人並んで一礼、これだけで拍手が送られた。その試合が終わると休憩。
休憩後、シングルマッチはスカーレット小縞(SPZ26期)対葛城早苗(SPZ32期)。
「んー、この試合は面白くなりそうですよ、小縞選手はああ見えて中江より馬力ありますからね。何しろ実家がすし屋ですから、重たいビールケース運んでたらしいですからね」
「はははは、そうですか」
「んー、でもね、真面目な話、葛城選手はこのあたりの壁を越えないと上へはいけませんよ」
「あ、出たースカーレット小縞、殺人パイルドライバー、カバー。でも、あ、返した、返した」
「小縞選手のパイルドライバーは痛いんですよ。昔の男子団体の選手のDVDを見てタイミングを押さえてますからね」
「あーっと葛城、気魄だけで向かっていくが足がついていかない。フラフラか、フラフラだ。アー組みとめられて、スカーレット小縞、何を持ってくるか、何を持ってくるか、アー、タイガードライバーここで炸裂!返せるか、返せるか、ダメだーーー」
「んー、いい試合だったんですけどね。葛城選手はもっと積極的に攻めないといかんですよ。頭打ったら勝ち目ないんですから。そうなる前に殴るなり蹴るなりしないと。」
勝負タイム13分48秒、本日の一押し試合はスカ小が制した。
セミ前は革命軍の3人が登場、霧島レイラ(SPZ27期)、藤原和美(SPZ28期)、RIKKA(SPZ29期)がリングイン。対戦相手は本隊の実力者、斉藤彰子(SPZ26期)、八島静香(SPZ25期)、ハリケーン神田(SPZ25期)の3人。
「んー、革命軍もね、打倒祐希子を目指すんだったらあんなの10分で片付けないといかんですよ」
相変わらず吉田龍子の解説は辛口だ。
「でも本隊も実力者ぞろいですからね」
斉藤彰子の掌底が鼻に入って霧島レイラおびただしい流血。
「てめええええ!」
このあたりから試合が盛り上がってきた。
「遊びじゃないんだ」
ハリケーン神田、恐怖のゴッドハンドで霧島レイラをぐらつかせる。しかし藤原も高角度のジャーマンで神田を戦闘不能に追い込む。この当たりから試合が荒れてきた。
八島がタックル攻めで藤原を追い込むが、藤原がうまく組み付いてコブラツイスト、腰投げで切り返そうとした八島だったが、
「ふん、あーーーー?」
わき腹を痛めてしまったのか電気が走る。たまらずタップしてしまった。あっけない終わり方。勝負タイム17分21秒。6人タッグは革命軍に凱歌が上がった。
「すまねえ・・・」
やはり最古参の八島、あちこちにガタがきており爆発してしまったらしい。セコンドの肩を借りて控室へ。
「んー、んー、ちょっと心配ですね。ベテラン選手はああいう負け方が一番グサッときますからね。コブラツイストで負けるなんて現代プロレスではありえないですからね。」
セミファイナルはシングルマッチ、グリズリー山本対ロゼヒューイット。Sクラ3位と健闘したG山本、トップ外人のロゼ様との試合が組まれたが、ロゼ様の多彩な攻めに防戦一方。裏拳を2連発で食らってぐらつく。
「んー、いかんですね。山本選手もっと攻めなきゃぁダメですよ」
終盤になってグリズリーボム、ラリアットで反撃したが、ロゼ様もバスターローズで勝負をかけてきて、3カウントが入ってしまった。勝負タイム17分14秒。
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さいたまドームのメインはSPZ戦、王者ジェーンに対するはSPZのエースマイティ祐希子。対ジェーン戦2連敗中なのが気がかりだが、Sクラを全勝で制したのでもう一回チャンスが回ってきた。
「かいせつの吉田さん、どちらが有利でしょうか」
「んー、まあロクヨンで祐希子かなあ。でもジェーンにはベリートゥバックがありますからね。あれ食らったら分かりませんよ、受け身が取れないですからね」
で、試合はジェーンがボディスラムを連発、そしてラリアット。
「いかんですねー、警戒しすぎですよ」
ジェーンニーリフト、苦しむM祐希子、そこへ
「もらった」
ベリートゥバック炸裂。M祐希子を頭から落とした。意識は残っていたのか、カウント2で返す。
「うわああああっ」
しかしこれで闘志に火がついたM祐希子、ローリングソバット連発、デスバレーで反撃。ジェーンが頭を押さえる。そこへ、
「これでどうだ!」
めったに見せないタイガースープレックス炸裂。これで3カウントを奪った。勝負タイム19分51秒。
「か、勝った・・・・」
本隊エースのマイティ祐希子、苦しんだもののSPZベルトの奪還に成功した。
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