第767回 ダークスターカオス、襲来
37年目4月
新人スカウトで田中裕子を獲得。新潟県の山奥で陸上とアマレスで鳴らし、素質がありそうだったので内田取締役がスカウトした。いかにも田舎出身で地味そうな子なので、
「リングネームで派手にしちゃおうぜ」と吉田取締役が言い出して出身地が新潟ということで「ジャスティスえちご」というリングネームを与えられた。
SPZは大物外人の招聘にも尽力し、
「んー、来るよ、ダークスターカオス」
SPZはついにアメリカの超人気団体WWCAと提携し、WWCAの主力選手、ダークスターカオスがとうとうSPZマットに襲来・・・
初戦、九州ドーム大会。ダークスターカオスはいきなりメインで登場。対戦相手は大ベテランの霧島レイラ。
「カオスだが何だかシラネエがでかい顔するヤツはぶっ潰してやるぜ」
入場シーンからファンの興奮はピークに。
「なにあのごつい体」
「人間じゃあねえ!」
そしてゴング、果敢にチョップを放っていった霧島だったが、
「フフフフフフ」
カオスはうんともすんとも言わず・・・
そしてダークスターカオスの力強い攻め。DDTやパワーボムで霧島、劣勢に立たされる。
―くっ、このままじゃあ、体力がもたねえ・・・
「マットに沈めー」
スプラッシュマウンテンを繰り出した霧島だが、ダークスターはやすやすと2で返してしまう
「そんなっ」
受けもマスターしているようだ。霧島レイラのスプラッシュマウンテンをあっさり返すとは・・・
―TOU,FINISH?(終わったか?)
ダークスターカオス裏投げ一閃。頭からマットに落とされた霧島、3カウントを喫した・・・
「まだまだ実力不足だな・・・」
なんてやつだダークスターカオス。元SPZ王者にして大ベテランの霧島レイラをばっさりと「実力不足」と言い切ってしまうとは。勝負タイム19分1秒。
「か、かいせつの吉田さん・・・」
「んーーーーーーーー、力も防御も強そうですからこりゃあ勝つのは容易じゃないですよ」
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勢いに乗るダークスターカオスは第2戦広島大会でも大暴れ。
「フフフフフ」
ダークスターハンマーを連発して藤原を追い込み、最後は見事なジャーマンで藤原を屠った。勝負タイム7分6秒。レスリングマスター藤原にプロレスをさせなかった。
「藤原さんや霧島さんのカタキは私が取ります」
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第3戦大阪なにわパワフルドームでは革命軍の核弾頭、葛城早苗がメインでダークスターカオスと対戦。
―大阪ではケンカマッチが受ける。この会場の雰囲気なら葛城も容赦なく打撃を繰り出せるに違いない・・・いくらダークスターカオスといえど打撃をいっぱい入れれば死ぬだろう・・・
そう判断した吉田龍子が大阪でこのカードを組んだが、葛城のエルボーや掌底を何度入れてもダークスターカオスはびくともしない。
「なら・・・必殺の一撃受けてみろ!」
SPZキック炸裂、しかしカオス倒れない。
「もいっちょ!」
ローリングソバット、そしてジェットスマッシュ!!
「グワーーーー」
ジェットスマッシュが入ってしまったのか、ダークスターカオスが崩れ落ちた。そのまま押さえ込んで3カウント。葛城早苗がカオスの進撃を止めた。
―はぁ、ハァ・・・今までやった中でもっとも恐ろしい相手だった・・・
21分4秒の死闘を制した葛城に大きな拍手、しかし葛城は浮かない表情。
「たまたま蹴りが入っただけです。次はこうはいかないでしょう」
「ガデーム」
屈辱を味わったダークスターカオスは第4戦名古屋大会でRIKKAをまったく寄せ付けず、13分20秒、ジャーマンで処刑。
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第5戦仙台大会セミファイナルで組まれたのが
「霧島レイラデビュー10周年記念試合」
霧島レイラ対フローラ小川。
「まさかこんなに長く現役を続けられるとは思ってもいませんでした」
隣の地元岩手県から大応援団も駆けつけた。多くのマスコミ関係者が試合前のセレモニーで花束を渡す。
約半年ぶりに帰国したフローラ小川、多少なりともパワーアップはしてきたのだが、霧島の馬力の前に主導権を握れない。なんとか寝かせよう寝かせようとするのだが、霧島の荒々しい攻めにタジタジ。
「覚悟」
ヘッドバットも相変わらずの威力、ひるんだ所をボディスラムで投げ飛ばし、起き上がってきたところをタックルでなぎ倒す。
しかしフローラ小川、なんとか攻めを凌ぎ切って30分時間切れドローに持ち込んだ。力が落ちたとはいえ元SPZ王者の霧島に負けなかったのだからたいしたものである。
「・・・強くなったな、・・・」
仙台大会メインはなんと佐久間理沙子対ダークスターカオス。
―手の内を知らない相手だから、長期戦は避けたいわね・・・
そう考えた佐久間、いきなりジャーマンでぶん投げたが、ダークスターカオスきっちり受け身を取る。そのあとは互角の攻防が続いたが、
「はいっ」
佐久間のDDTがカオスの脳天をマットへ、首を痛めたと見るや延髄斬り。
しかしカオスもものすごいダークスターハンマー、そしてパワーボム。
なんとか2.8で返した佐久間。カオスはなんとここでダイビングプレス。しかし佐久間も2.9で返す。
「はいっ!」
佐久間、隠しムーブのハイキック。これでなんとかダークスターカオスをなぎ倒し3カウントを奪取。勝負タイム20分7秒。
「アメリカならともかく、ここはSPZのリングです。初めて来た人に負けるわけには行きません」
佐久間理沙子、力強いコメント。
鳴り物入りで襲来したダークスターカオス、ここまでSPZの上位選手に当たって4勝2敗・・・
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