第786回 37年目12月 夢のマスターズ戦
2045年12月25日、東京調布のギムレットホールで年末恒例の
SPZお笑い興行、今年は奇数年なので「夢のマスターズ戦」が開催された。引退した選手の同窓会兼おこづかい稼ぎイベント。
「メリー・クリスマス」
今年からマスターズ戦の執行責任者となったギムレット美月(42)が挨拶。
「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2045にお越しいただきましてありがとうございます」
(チケットは破格の2,000えん)
「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私ども実行委員会と致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。」
(場内笑い)
「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係でありまして、このイベントの権限と責任はすべてギムレット美月にあります。そこのところもお含み置きください」
(場内失笑)
そしてゆるいバトルが全6試合開催された。
第1試合、霧島レイラ(SPZ27期)VSサキュバス真鍋(SPZ30期)
8月に引退したばかりの2人が対戦。SPZではほとんどシングル戦がくまれなかったカード。序盤はパワーを生かしてサキュバス真鍋を殴っていった霧島レイラだったが、サキュバス真鍋が
「しししっ、奥の手ーーーーー」
なんとセコンドの早瀬葵が投げ入れた消火器を噴射。年末お笑い興行なので何をやっても許される。
「ぐわあああっ」
消火器の直撃を受けた霧島レイラ、真っ白になって悶絶。すかさず丸め込んでフォール勝ち。勝負タイム3分11秒。
サキュバス真鍋、手下の藤島瞳・早瀬葵を呼び寄せ、アイドル商会3人でファンの歓声に手を振り、そのあと3人で「信濃なる千曲の川」を熱唱。
♪信濃、流れる、ちくま川 川べり あなたの 少し後を歩く 想いは 川の流れのように だんだん ふくらんでゆく あなたが踏んだこの小石 ただの小石でも あなたが踏んだ石なら、宝石みたいに思えてきて せつなくなる、だから その石 拾って、ポケットにしまった・・・ ああ 信濃 流れる ちくま川
第2試合、歌合戦 若林太郎 VS 渡辺智美
「八王子みっどないと 八王子みっどないと 輝くネオン 飲む酒よぉぉぉ」
SPZとは長い付き合いの若林太郎さん(京スポ新聞 常務取締役)がリングに上がり、カラオケでの持ち歌「八王子ミッドナイト」を熱唱。もう60代なのだが、まだまだタイトルマッチの立会人を務める等元気。
「へたくそー やめてかえれー」
今野ファウンダーが野次を飛ばすが、若林氏も
「うるさいよ、黙って聞け」
とやり返す。
そのあと演歌歌手・渡辺智美(SPZ5期)が登場して、
「紅白出場が決まりましたっ」と報告。これには詰めかけたファンもどええええええ状態。いったいどんなずるい手を使ったのか。
「12月31日、この曲が全国に流れます!」
と言って、「夜行急行能登号」を熱唱。
「♪上野駅 16番ホーム
ボンネットの 金沢行き夜行急行
きたぐにへ 旅立つ
ラウンジカー 流れる街の灯
能登 能登
夜行急行 能登~~~
夢路はるかに 闇を駆け行く
能登 能登
夜行急行、能登~~~」
続く第3試合、藤原和美(SPZ28期)が登場。
「帰ってきました!!」
ジャージ姿でファンに挨拶。引退してから4ヶ月しかたっていない。
対戦相手のギムレット美月(SPZ10期)を圧倒。最後はダブルアームスープレックスで投げきって3カウント。勝負タイム2分27秒。その試合が終わると休憩。
そして後半がスタート。
第4試合はライラ神威、コンバット斉藤(SPZ21期)が登場、DarkFraction再結成である。
「ウェハハハハハ」リング上で黒バットを振り回すパフォーマンス。
しかし対戦相手も強敵、ラッキー内田(SPZ16期)&武藤めぐみ(SPZ18期)組。
メインにしてもおかしくない一戦だったが、武藤は静岡でもう身体を動かしていないらしく、顔見世程度のファイト。コンバット斉藤相手に数発殴った程度。案の定3分で息切れして場外でうずくまってしまった。一方のコンバット斉藤は空手のコーチをしているだけあってまだまだ元気。ラッキー内田を蹴りでのけぞらせたあと、羽交い絞めにとらえる。
「ライラ・・・さん!」
連係攻撃をやる気かとざわつく館内。ライラ神威、ポケットから栓抜きを取り出すと、それをファンにアピールしながらコーナー2段目に登り、
「内田、氏ねおらああああ」
栓抜きを持った状態で動けない内田へダイブ!
「アッーーーーー」
瞬くフラッシュ
ダイビング栓抜きドロップが決まり、ラッキー内田悶絶。武藤は救援に入ることが出来ずこれで3カウントが入った。勝負タイム6分1秒。
「ウェハハハハハハ。石川町の居酒屋トムラウシ、飲みにこねえヤツは死刑だ」
自らが経営する居酒屋のチケットをばら撒きながら引き揚げるライラ様だった。
「うう・・・」
栓抜きの直撃を受けたラッキー内田、起き上がれず(やらせなのだが)担架で運ばれた。こちらにも温かい拍手が。
セミファイナル。仕事人イージス中森(SPZ20期)が登場。今年は手のあうケンドーカミスワ(SPZ22期・現上諏訪温泉地下プロレス所属)とのシングルマッチ。
「冬の行楽はワカサギ釣り。ドーム型観光船で爆釣できます!そして釣りの後は温泉でのんびり!上諏訪温泉へぜひお越しください」
試合前、カミスワが上諏訪温泉のマイクアピール。場内爆笑。
そのあとは地味なグラウンドでのレスリング。ジャージ姿のイージス中森32歳も奮戦。まだまだ若手選手をコーチしているだけあって地力はある。
しかし最後は15分くらいで息切れしてしまって、そこへ
「上諏訪温泉極楽絞め」
カミスワの変形スリーパーが炸裂。たまらずイージス中森はタップしてしまった。勝負タイム15分33秒。大技がまったく出ない地味なファイトだったが、これはこれでいい勝負だった。
そしてメインイベント、ハリケーン神田、斉藤彰子、八島静香の25-27期生トリオが登場。対戦相手は一回り年上のロイヤル北条(SPZ13期)、菊池理宇(SPZ11期)、成瀬唯(SPZ15期)組。
「せいっ」
現SPZ役員のロイヤル北条が豪快なキックで八島をたじろがせるものの
「おらあああ」
八島もぶちかましで反撃。大きく吹っ飛ぶR北条。菊池と成瀬はほとんど練習をしておらず一般人に近いので相手にならない。成瀬唯に至っては斉藤彰子の蹴りを食らって逃げ出してしまった。場内爆笑。菊池が丸め込みで斉藤をカウント2まで追い込むが、スピードがないので斉藤もきっちり返す。
「ぐわああっ」
菊池も八島さんのぶちかましを食らって悶絶。場外でうずくまってしまった。ロイヤル北条が孤立。これで勝負は見えた。
「氏ねーーートリシマリヤクーーー」
場内爆笑。八島さんのこの日何度目かのぶちかましでロイヤル北条悶絶。最後はハリケーン神田が特別出演。
「ゴッドハンド!!」
重たい裏拳を食らってバッタリ北条。これで3カウントが入った。勝負タイム9分20秒。
「やっぱり、プロレスは麻薬だね・・・またリングに上がりたいって思っちゃう」
いい汗を流した八島さんであった。
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