第796回 WWCA選手権 フローラ小川VS佐久間理沙子
38年目6月
フローラ小川、まさかのSPZ王座戴冠劇から一夜明けて、各スポーツ紙に大きく報じられた
『フローラ小川、奇跡のSPZ王座戴冠』(日刊ブルース)
『フローラ小川、まさかの女王』(スポーツ報連)
『ワンチャンス的中・フローラ小川・掴んだ女王の座』(京スポ新聞)
『19歳アイドルレスラー 最強の称号つかむ』(中京スポーツ)
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「ウァハハハハハ、久しぶりにスポーツ新聞まとめ買いしちまったぜい」
朝一の新幹線で帰京した今野ファウンダーが、娘の戴冠を報じるスポーツ紙を買いあさってご満悦。
「でも・・きょうは、難しいと思いますよ」
ひかるが物憂げに呟く。同じ選手に2連敗はできない。ある程度の地位にあるレスラーなら誰もが思うことだ。これで佐久間も死に物狂いで潰しにかかってくるだろう・・・・
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しかし戦いは続く。
王座戴冠劇から24時間後、こんどはさいたまドームのメインイベントで昨日と同じカードが組まれた。WWCA世界選手権。王者フローラ小川対挑戦者佐久間理沙子。
「疲れてますけど、それは向こうも同じだと思いますので」
フローラ小川、淡々とリングシューズの紐を結ぶ。2日連続でシングルのタイトルマッチというのは異例だ。
「・・・同じ選手に2連敗するわけにはいきません。今日は石にかじりついても勝ちます」
やはりこの試合佐久間の目の色が違っていた。
昨日の長野より圧倒的に大きな会場、さいたまドームで、8時10分、決戦のゴングが鳴った。
―あやまる。心の底で、あなたの事を攻めやすい相手だと思っていた。
(いや事実その通りなんで。フローラ小川は寝技で一発ドカーンしないかぎり勝てないんですから。)
序盤から積極的にエルボー連打、タックル、延髄斬りで攻めた佐久間。ペースをうまくつかんだ。
「ぐううっ・・・」
フローラ小川も懸命にSTFで反撃したがこれはあまりにもロープに近い。さすが佐久間、同じ間違いは2回はしない。STFで決められないとなるとF小川は苦しい。
「これは、どう?」
佐久間、ネックブリーカーでフローラ小川から3カウントを奪った。勝負タイム17分19秒。
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WWCA世界選手権試合(60分1本勝負)
佐久間理沙子(17分19秒、ネックブリーカードロップからの片エビ固め)フローラ小川
F小川が2度目の防衛に失敗。佐久間が新王者となる
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かくしてSPZ初の試みの2日連続同一カードタイトルマッチは、お互いの持つベルトが入れ替わった結果となった。
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