第819回 39年目7月 葛城早苗ラストチャンス
39年目7月
サマースターナイツシリーズ開幕。
「まだまだ。感覚は全然戻ってないよ。」
SPZ25期の八島静香がリング復帰を先月、中森社長に直訴して、話題作りが欲しかった会社サイドは了解した。3年のブランクは想像以上で、同期入門の神田コーチが付きっ切りでトレーニングに付き合った。
「復帰の理由?簡単だよ。稼がなきゃあならないんだ。プライベートでいろいろあって。それ以上は聞くなよ、空気読め」
京スポ新聞は復帰の真相を書かなかったが、一部週刊誌では結婚、出産、離婚で幼い子供を抱えて生活が苦しくなるのは目に見えていた、だったらレスラーをもう一度やって稼ごうということらしい。
「しばらくは前座で使う。後半は今の状態では使い物にならない」
神田コーチ、私情を押し殺して上記のコメント。
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東北地方か南下してゆくシリーズが続く。
第7戦幕張大会メインはSPZタッグ戦。王者葛城早苗、ジャスティスえちごに対するはフローラ小川、早瀬葵組。
「くらえっ」
えちごのダークレフトが早瀬の意識を遠のかせる。こうなるとフローラ小川の粘りがポイントだったが、いつも通りののらりくらりファイト。この流れに焦れた葛城が
「必殺の一撃受けてみろ」
出た出たついに、SPZキック。もんどりうって場外に落ちるフローラ小川。代わった早瀬もえちごのゴートゥベッドで悶絶。
フローラ小川、それでも勝負を捨てず、STFでえちごを追い込んだが、えちごもなんとか耐え切って葛城にスイッチ。そして代わった葛城のジェットスマッシュをもらってしまい、フローラ小川、苦悶の表情。
最後は早瀬が捕まってしまい、王者チームのダブルインパクトを食らって終了。勝負タイム59分53秒、意外といい勝負になった。王者チームが初防衛に成功。
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最終戦は新日本ドーム大会。メインはSPZ選手権。王者グリズリー山本に対する挑戦者は葛城早苗。
―これが最後のチャンスかもしれない。
32期生の葛城早苗、デビュー7年が過ぎ、そろそろ動きに難が出始めるところ。幸い35期生以降が思ったほど育っていないので、TOP4の座はキープしているが・・・
―山本さんも100パーじゃあない。蹴りが入れば・・・
そう考えて、葛城、序盤はスリーパー責め。グラウンドでG山本のスタミナを奪う戦法に出た。
―葛城、そんなショボイ手を使うか・・・
グリズリー山本、後先考えずチョップ、スクラップバスター、ステップキックと目いっぱいの攻め。ベテランの域に入ってから山本なりにつかんだものがあったか。
「ぶっつぶううす」
やられるまえに殺れの鉄則どおり、グリズリー山本、先に大技攻勢を仕掛けバックドロップ、グリズリーボム、ジャーマン。なんとか2.9で返したりロープに逃げたりしてフォールを防いだが、もう目は死んでいた。
「うおりゃ」
G山本、エルボーで介錯。これで3カウントが入った。
この日も勝負タイム59分27秒の熱戦。グリズリー山本、倒れたまましばらく天井を見上げていた。
ーしんどい・・・・
王者が初防衛に成功。これでSPZ王座の累計防衛回数が23となり、吉田龍子を抜いて歴代単独3位に躍り出た。(その上はマイティ祐希子の31、武藤めぐみの27、この2人しかいない!)
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SPZ世界選手権(60分1本勝負)
グリズリー山本(59分27秒、エルボーからの片エビ固め)葛城早苗
第109代王者が初防衛に成功
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デビューから8年余り、グリズリー山本の戦いはいまだ終わらない・・・・
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