第822回 39年8月 真夏の祝祭(3)
39年目8月
SPZクライマックス。(続き)
これまでのあらすじ
横浜のお嬢様プロレス団体、SPZが毎年8月に開催する地獄のシングルリーグ戦「SPZクライマックス」。ことしも熱戦が展開された。リーグ戦3戦を終えた段階で、トップは6点の佐久間理沙子、5点でフローラ小川が追う展開。SPZ王者にして最多タイの6連覇を狙うグリズリー山本は、葛城、F小川に破れ、まさかの1勝2敗!苦しい状態で後半戦を迎える・・・・
5戦は飛行機で一気に北海道へ飛んでの札幌どさんこドーム大会。
Jえちご(4点、時間切れ引き分け)中村(3点)
えちごも打撃をよく繰り出したが、中村の戦意を断ち切るには至らなかった・・・最後はお互い決め手を欠きドロー。
「アーッ!!」くやしがるえちご。ここで勝ち点「2」を拾えなかったのはシード権のことを考えると非常に痛い・・・
葛城(4点、殺人ヒザ魚雷からの片エビ固め 11.06)早瀬(0点)
カツラロック、ストレッチプラムの痛め技攻勢を耐えた早瀬だったが、直後に殺人ヒザ魚雷をもらって万事休す・・・早瀬葵、あえなく4連敗で予選会行きが決定。
F小川(7点、ムーンサルトプレスからの片エビ固め 23.51)M石川(4点)
フローラ小川は攻めやすいところのある選手。4強の中でもっとも先に倒せるかもしれない選手・・・と若手勢も一発狙っていた。しかしM石川の攻めをしのぎきったF小川、ノーザン、ドラゴンスリーパー、ミサイルキックの大技攻勢で反撃。しかし耐え切ったM石川、パワーボムで反撃。なんという盛り上がる試合展開。
「・・・これならっ」
しかしフローラ小川、落ち着いて、立ち技での切り札であるムーンサルトプレスを繰り出して熱戦にけりをつけた。これで7点目を挙げ、シード権確保1番乗り。
佐久間(8点、ジャンピングニーからの片エビ固め 20.10)G山本(2点)
「ウォーーーッ」
奇跡の逆転優勝へ向けてもう勝つしかないG山本。しかしその焦りを見透かしたかのように佐久間、
―頭突きも、いつもの切れがないようね
延髄2連発で反撃。しかしグリズリー山本も伝家の宝刀グリボムで追い込むが、佐久間も、
―ごめん山本さん、ビートエンド!
変形フィッシャーマンバスターを食らって頭から落ちたグリズリー山本。
ワン、トゥ・・・ドドドドドド
これもなんとか2.8で返したG山本だがもはや目は死んでいた。佐久間、ふらつ来ながら起き上がったG山本を見るや、自らロープに走って、ジャンピングニーをぶち込んだ。
「がはっ・・・」
崩れ落ちるG山本。片エビ固めでカバーする佐久間。
ワン、トゥ、スリー。
ハリケーン神田レフェリーがマットを3つ叩く。
この瞬間、グリズリー山本の6連覇の夢はついえた。
がっくりと肩を落としながら引き揚げるG山本。控室の長いすに腰掛けてぼそりと。
「すみません。今日はコメント無しでお願いします」
よほど悔しかったのだろう。
吉田龍子の大記録に並ぶことはできなかった・・・
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