44年目6月
第5戦岐阜大会。予選会Aブロック最後の2試合。
中村(4点、ラリアットからの片エビ固め 12.42)辻(0点)
「もう諦めろ」
中村の力任せのラリアットが辻の意識を飛ばす。ふらつく意識の中ブレーンバスターで反撃するなどせいいっぱいの抵抗を見せた辻だが、2発目のラリアットを食らって終了。これで中村も2勝目を挙げ、予選会通過をほぼ決めた。
J永原(6点、ジャーマンSH 8.33)O朝比奈(2点)
ジャンヌ永原快勝。昨日SPZタッグを奪取して気分上々、ジャーマン連発でオーガ朝比奈をしとめAブロック1位通過を決めた。2位通過は中村真帆。
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第6戦は静岡大会。
C成瀬(2点、脇固め 12.15)真壁
予選会初出場の真壁なつき。対戦相手はベテランのクラリッジ成瀬。腕攻めを見せながら真壁のスタミナ切れを待つ戦法のクラリッジ成瀬。老獪なファイトだ。しかし真壁も1年間SPZでもまれてきた成果を見せ、食らいついて行く。
―名人芸、見せたろかい。
突っ込んできた真壁を軽くいなして脇固め。
「うわあああああ」
これで関節が極まってしまった。たまらず真壁はギブアップ。
「今年は、Sクラ、ひょっとしたら出られるかもなぁ」
クラリッジ成瀬が笑みを浮かべる。
M桜井(2点、ラリアットからの片エビ固め 12.49)F小川
「・・・・・・・・・・・・・・」
元SPZ王者の貫禄のかけらもなくなったフローラ小川、
ミシェール桜井の攻めにサンドバッグ状態でまったくいいところがない。一昨日SPZタッグを奪われてしまった。得意のSTFを見せたが、力任せに振りほどかれた。
「Fin!」
ミシェール桜井のダイビングプレス、これは2.8で返したが、続くラリアットをまともに食らって3カウントを喫した。
「・・ううっ・・・」
試合後、かなりの時間をかけて起き上がり、一礼した後花道を引き揚げるフローラ小川。予選会突破に黄信号が点った・・・
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第7戦山梨カイメッセ大会。
M桜井(4点、ダイビングプレスからの片エビ固め24.32)C成瀬(2点)
例によって腕攻めを軸にじっくりとしたファイトのC成瀬、躍動感あふれる攻めのミシェール桜井。意外にかみ合った攻防はミシェール桜井が得意のダイビングプレスで幕。24分32秒の熱戦を制した。
F小川(2点、ラ・マヒストラル 8.09)真壁(0点)
・・・この人に勝てば、私の評価も変わる。
真壁なつきはそう考えながら目の前の相手を見据えた。
目の前にいるのは傷ついた元女王。勝てるかもしれない。打撃をガスガス打ち込んでいったが、フローラ小川のスリーパーで流れが変わった。
「グホッ・・・ウァーーー」
苦しさに顔をゆがめながらも蹴りを出そうとする真壁、そこへ組み付いたフローラ小川、めったに見せないラ・マヒストラルで丸め込んだ!
ーしまっ・・・・
虚を突かれた真壁は無念の3カウントを聞いた。
「勝てました。でも次はこうはいかないでしょうね。ラ・マヒストラル・・・かなり前に道場で葛城さんと練習した技なんですけど、なんとか体が覚えていましたね」
ベテランの味を見せたフローラ小川が1勝1敗とし、本大会出場へ望みをつないだ。
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最終戦、さいたまドーム大会。
第1試合はオーガ朝比奈対ワイルドローズ4号。
Sクラ本大会に届かなかったくやしさを外人相手にぶつけたオーガ朝比奈、得意のパワーボムで勝利。上背があるので威力は充分。勝負タイム14分10秒。
「おっしゃああああ」
第2試合に早くもSPZ本隊エース・ジャンヌ永原登場。近藤真琴、辻香澄とトリオを組んで、八島中村G山本の怖いおねえさん軍団と対決。本隊エースの永原がよく動き、みごとなタイガースープレックスで中村から3カウントを奪った。
続く第3試合から予選会Bブロック最後の2試合。
M桜井(6点、ダイビングプレスからの体固め 8.56)真壁(0点)
ミシェール桜井が見事Bブロック1位通過。若手の真壁を寄せ付けず料理した。
「ふっ・・・たあいもない」
その試合が終わると休憩。
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F小川(4点、バックドロップからの片エビ固め 24.41)C成瀬(2点)
SPZクライマックスBブロック2位通過枠をめぐってベテラン2人が争うが、フローラ小川の動きがおかしい。ざわつく館内。やられてもやられても手数を返す本来の動きが見えない。
「うううっ・・・・」
グラウンドでもクラリッジ成瀬に腕をとられて苦悶の表情。あまりいいところがないまま10分経過。
―そろそろ・・・仕掛けないと・・・
フローラ小川、懸命に駆けてシャイニングウィザードを叩き込む。2発目でぐらついたクラリッジ成瀬。
フローラ小川、すかさずムーンサルトを狙ったがこれは成瀬良く見ていた、自爆。
「これなら」
フローラ小川、勝負どころと考えて2日連続のラ・マヒストラルまで見せたが、クラリッジ成瀬これも読んでいた。2.8でクリア
ドドドドドド
「これでっ」
フローラ小川、ここで切り札、母親直伝のSTF。
「うぐぐぐ・・・っ」
しかしクラリッジ成瀬もSクラ出場がかかっているので懸命にこらえてロープへ。このあたりでようやくC成瀬の息が乱れだした。
「えいっ」
フローラ小川、組み付いてバックに回り、バックドロップ。
バーンッ!
高さはないがスピードはある。クラリッジ成瀬、これで頭を打ってしまい、フォールを返せなかった。この結果、フローラ小川もSPZクライマックス本大会出場を決めた。
「勝てましたが・・・なんていうか、その・・・いっぱいいっぱいでした」
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セミファイナルはジャスティスえちごが登場、パートナーは新人のサンダー龍子。外人組のダイナマイトリナ、マリアテレジア組を迎え撃つ。
しかしサンダー龍子は顔見世程度のファイト。試合の大部分はえちごが出ずっぱりで、最後は伝家の宝刀ゴートゥベッドでマリア・テレジアを仕留めた。勝負タイム14分27秒。
メインイベントはSPZ選手権。なにげに長期防衛ロード継続中の白石なぎさに対するはベテラン外人コバトフ。グラウンド技術が高いので要注意だ。しかし白石さん、いつも通りのおっとりとしたファイト。15分経過と同時にラッシュをかけた白石、シャイニングウィザード、掌底でコバトフの動きを止めると・・・
「んしょっ」
スプラッシュマウンテンでコバトフの意識を闇へ落とした。勝負タイム20分52秒。王者が11度目の防衛に成功。
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