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2010年6月18日 (金)

第943.1回 フローラ小川の限界

44年目4月下旬のある日

横浜戸塚の日本料理店「よこ川」、カウンター席

フローラ小川はジャスティスえちごと2人でビールを飲んでいた。

「ほい、太刀魚の木の芽焼き」

この店のマスター、横川紀行が焼物を出す。すっかり歳をとったが、焼き物に関する限り腕は落ちていない。

「ぷはー」

ジャスティスえちごはガブガブとビールを飲んでいたが、フローラ小川はうつむいたままだった。

********************

ーパパは子供の頃、良く歌を教えてくれた。

「ようし、じゃあ父さんが歌を歌ってやろう。私の10代持ち歌のひとつだ、心して聞け」

「あなた、電波系とか変なのはダメよ」

母さんが持ち帰った仕事か、ノートパソコンをたたきながら釘をさすけど。

「うん、これはもう日本の準国民歌だよ」

といって父さんは歌を歌ってくれた

♪あるー晴れた 昼下がり 市場へ続く道

 荷馬車が ごとごと 子牛を連れてゆくー

 かわいーい子牛ぃー 売られてゆうくうよー

 かーなしそうな ひとみで 見ているよう

 ドナドナ ドーナー ドォーナー、子牛をのうせえてー

 ドナドナ ドーナー ドォーナー 荷馬車がゆーれーるー

それは全然楽しくない歌だった。

「悲しい歌だけどね。人生こういう面もあるのよ」

父さんは難しいことを言った。

「で、その子牛はどこへ行ったの?」

 「うーん、そうだねえ・・・可能性として高いのは、うーん・・・

 牛丼になったんだよ」

「ぎゅう・・・どん?」

びし

母さんが父さんに背後からチョップした。

「あなた!とてつもない嘘を教えない!!」

***********************

ーあれから十数年過ぎて、父さんの言ってたその意味がわかってきた。

「はぁ・・・・」

引退したくてもできないフローラ小川、ため息をついた。そして小声で歌いだした。

「ある 晴れた、昼下がり、市場へ、続く道ぃ・・・」

ジャスティスえちごは酔いつぶれて突っ伏している。

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