2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 新宿グルメ12 | トップページ | 君と見る夢(20) »

2010年11月27日 (土)

君と見る夢(18)

君と見る夢(18)

降ってわいたようなチャンスをものにして、一線を越えたプロレス団体の社長と小川ひかるだが、お互いの接し方は以前と基本的に変わらなかった。あくまでも起こったことは夢。会社のなかでは雇い主と部下という関係。ふたりとも律儀なところがあるので、その辺の思いをぐっと堪えていた。

しかし団体創設からまる9年が経過しようとするある冬の日、社長は一計を案じた。

「小川さん、オーストラリア行かない?」

「お、オーストラリアですか?なぜ・・・」

シリーズ中盤、開場の際にすみっこでストレッチをしていた小川ひかるに社長が声をかける。
「いや、アメリカのGWAさんと提携を考えててね、まだ条件が合わなくて交渉中で実現はかなり先になりそなんだけど、GWAさんがオーストラリア公演を計画しててね、選手1人特別参加のオファーが来たのよ」

「・・・そうなんですか」

「断ると、新女に話が行っちゃうことは想像つくからさ、誰かしらうちから出さないと行かないのよ。でも最終戦のさいたまの翌日だから、トップどころ出すのもキツイし・・・それに・・・」

 「負けブック・・・・ですか?」

「そう。その条件出してきた。断ることもできるんだけど、先々のことを考えてここは恩を売っといたほうがいいかなって考えて。小川さんならうまくやってくれると思うし」

 「ええ、まあ。」

「それに、さ。マネージャーってことで、僕も同行するから」

小川ひかるは社長の魂胆に気づいた。

「・・・・社長も策士・・・ですね」

*********************

シリーズ最終戦のさいたま大会。午後七時前、セミファイナルが始まろうとする頃、

「じゃあちょっと行ってくるから、あと頼むわ」

リングアナ業務を部下の営業社員に任せ、社長は大急ぎでボストンバッグを持ち、本部席を離れて関係者駐車場に待たせてあったタクシーに乗り込んだ。

「羽田空港まで」

タクシーは勢い良く夜の高速を走り、羽田空港の国際線ターミナルに到着した。急いで航空会社のカウンターへ行き、搭乗チケットを受け取る。

夜十時過ぎのシドニー行き直行便で9時間のフライト。社長はエコノミークラスの座席に座った。

―さて、寝るか・・・・

飛行機が離陸し、南へ向けて水平飛行に入るころ、社長は眠りについた。仕事疲れがたまっていたので良く眠れた。

そして九時間ほどたった。

翌朝、現地時間の8時頃、シドニー空港にランディング。

「あっ、社長、お疲れ様です」

シドニー空港の到着ロビーで小川ひかると落ち合う。さいたま大会の第2試合に出て、富沢レイにあっさり丸め込まれたあと、手早く着替えて羽田へ一足先に向かい、同じ便のビジネスクラスでオーストラリア入りしたのだ。

「お疲れ様」

社長が小川ひかるに声をかける。
今回の行動は井上霧子しか知らない。まだ横浜のお嬢様プロレス団体はGWAと提携契約を締結していないため、小川ひかるはあくまで個人としての参戦。ギャラは小川ひかる個人に支給される。

空港内のカフェで軽めの朝食を済ませた後、二人はタクシーで試合会場へ向かった。

「昨日メールでもらった、今日のギミック」

 「・・・はい」

英文がプリントアウトされたメールの写しに目を走らせる小川ひかる。一読して思わず苦笑してしまった。いかにもアメリカ人受けしそうなエンターテインメイト性あふれるギミック。

「こ、これは・・・」

「だから小川さんが一番いいと思ったのよ、吉田さんやハイブリッドさんはちょっと微妙だよね」

「・・・ハハハハ、そうですね」

(続きます)

« 新宿グルメ12 | トップページ | 君と見る夢(20) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 新宿グルメ12 | トップページ | 君と見る夢(20) »