第1028.5回 野望の点火
横浜のお嬢様プロレス団体SPZ、50年近い歴史と伝統を誇るプロレス団体だが、もとはIT企業の子会社として設立された経緯もあって、選手のギャラは低く抑えられていた。トップ選手でもワンマッチ15万程度。年間96試合フル参戦したとしても基本給の120万をあわせても年俸1500万そこそこなのである。そこから所得税33%が引かれるので、選手の手取り月額は80万から90万。人気のある選手はグッズ収入があるので手取り100万を超すこともあるが、身体を酷使し、一歩間違えたら大怪我につながりかねない仕事で、かつ選手生命が短いので(あのフローラ小川でも12年だった)決して割りのいい仕事ではない。
「将来のことを考えると、自分を守るためのものは残しておきたいんですよね」
横浜ベイサイドホテル内のダイニングバー「白馬」
SPZの主力選手、サンダー龍子(本名:浅野勝子)が愚痴る。話を聞いているのは先日知り合った小売業チェーン『デンドログラム』の専務執行役員、鈴木伸之氏。
「ええ、SPZさん観客動員1試合平均で1万人は行ってるでしょう。客単価5000円としても1試合の収益は5000万は下らないはずでしょう。それなのに浅野さんのギャラが1試合10万円ってのは会社が儲けすぎだよ、ええ。」
「プロ野球選手は先発で10勝すれば億の年俸が稼げるのに、うちらレスラーのギャラは低く抑えられてるんですよ。でもって外人には団体に半期で1億5000万の契約金払ってるのに・・・」
「ええ、そりゃあSPZさんの経営者はこのビジネスをキャッシュカウ(カネを生む源泉)としてしか見てないみたいだねえ」
「私にもう少し力があれば新団体を旗揚げも考えるんですけどね」
「ええ、私は浅野さんの味方だよ。ええ。でも独立しようと思ったら準備しなきゃいかんね。スポンサーさんを集めるとかね、ええ。」
(サンダー龍子の野望・・・・続く)
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