WAS特訓SS メディシンボール
「正直あまり気が進まんな」
時に西暦2060年。SPZの道場で、SPZ51期、美冬がつぶやく。
「だ、相手の攻めを受けきるのもプロレスですから。この特訓は避けて通れませんよ」
1期先輩の武藤晶(ジーニアス武藤)が諭す。
リング中央に立つ美冬。四方のコーナーには先輩レスラーの優香、杉浦美月、小嶋聡美そしてジーニアス武藤が。手にはバスケットボールのようなものを持っている。
「じゃあ、行きます・・・えいっ」
ジーニアス武藤がボールをぶつける。
「ぐっ」
美冬が肩で受ける。もちろん投げたのはバスケットボールではない。中に砂を詰めた特訓用のメディシンボールと呼ばれるシロモノでかなり重い。SPZの特訓で使われる定番の道具だ。
「えいっ」
続いて優香が勢い良くボールを投げた。これは頭で受けた美冬。
「ぐっ・・・・」
大きくよろめく。
「てい」
ここで小嶋が3級目を続けざまに投げた。これが脳天に入ってしまったらしく、片ヒザをつく美冬。そこへ杉浦が4級目。
「ウッ」
わき腹に命中。痛みに耐えかね倒れこむ美冬。リング下からはコーチ陣が追加のボールを先輩選手に手渡している。
バシッ、ビシッ、
美冬、砕けそうな意識の中、頭の急所だけをかばいながら、倒れ伏した状態でボールの猛攻を受ける。
そして10分ほど経った。4人の先輩選手はボールを10球ずつ投げた。
うつぶせにダウンした状態の美冬をジーニアス武藤がひっくり返してカバー。杉浦美月がカウントを数える。
「ワン、トゥ・・・」
カウント2で美冬はフォールをはね帰した。
「やった・・・耐え切った・・・」
なんとかふら付きながらも起き上がる美冬。メディシンボールの洗礼を耐え切った。過去これで意識を失ったりケガをした選手は数知れないのだが、美冬は受けきった。この経験が後日の躍進につながってゆくのである。
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WASの選手育成メニューである「特訓」は何をやるのか。想像して書いてみました。
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