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2011年2月17日 (木)

相撲界・分裂す(上)

完全妄想作話

相撲界・分裂す(フィクションなので実在の個人とは一切関係ありません)
時に西暦2011年。
300年の歴史を誇る大相撲は未曾有の苦境に陥っていた。
相撲は、スポーツであるとともに日本の国技という面を持っており、真剣勝負という建前であった。

しかし、相撲の力士たちは、年間90試合を闘い、その間は稽古はもちろんのこと、ハードな地方巡業や協会行事に追われており、大ケガと隣り合わせの日々であった。

こうした状況下、公傷制度は廃止され、力士たちにとって負傷は即、番付降下という名の収入低下を意味するので、彼らなりの生活の知恵として、本場所15日間の間の数日は、本気を出さず、付け人を介した事前の打ち合わせで勝敗をあらかじめ決めておくことで体力の損耗を防ぐ対策がとられていた。

「バレなければ八百長とは言わないのですよ」

事前に当事者どうしで話をつけておいて、あとはほんらいの力の半分くらいでぶつかり合って、負けるほうが攻め手を遅くして、勝つほうに得意な形を取らせてあげて、そのまま相手に攻めさせて決着をつける。

「こうでもしないと、15日間持たないよ、なあに、親方達もたいていの人は現役のときにそうやって来たのだから文句言えないよ」

1場所の間で本気で取る日を少なくすることで、ケガのリスクを減らす。これは昔から連綿と受け継がれてきた「生活の知恵」である。

しかし、時代の流れか、その八百長の事前打ち合わせを携帯メールで行った横着者が出てきてしまい、メールは消去しても復元できることに気づかず、しかも悪いことに別件の野球賭博の取調べ過程で、野球賭博にかかわった力士の携帯が解析され、八百長の事前打ち合わせのやり取りがつまびらかにされたメールが明るみに出て、警察庁がそれを相撲協会を所管する文部科学省にリークしたのだから相撲協会は上へ下への大騒ぎとなった。

「まったく困ったことを・・・・」

「携帯メールなんか使うなよ・・・・」

嘆く協会のえらい人。昔は中盆と呼ばれる力士が星の貸し借りをコントロールしていたのだが、コミュニケーション力の低下はどこの世界にも共通していたらしく、痕跡の残る携帯メールで星のやり取りの打ち合わせをしていたことに協会幹部は暗然とした。

世論なるものの反応は厳しかった。

「相撲協会は腐っている」「裏切られた」「真剣勝負じゃなかったのかよ」「もう解散しろ」

だが、彼らの多くは新聞・雑誌やネットニュースで遠巻きに相撲を見ていた層であり、テレビ観戦していた方はまだいい方で、年に何回も高い金を払って国技館に通うコアなファンの反応は違っていた。

「いまさら何を騒いでいるのか」

年間90日もフルパワーで頭からぶつかり合ったら壊れてしまうだろう。プロボクサーや格闘家は年に数試合しかしていないのに、半分くらいは事前に話がついていて勝敗が決まる取り組みがあってもそれは仕方ないことだ。だが彼らの鍛え上げられた肉体と、培った技には嘘はない。

悪党横綱と呼ばれた昼飯龍の速攻、右上手を取ったら天下無敵の身延王、突き刺すような当たりの白馬富士、がぶり寄りの北春菊・・・・・きら星のように輝く力士たちの一挙手一投足を見るために国技館に足を運んでいるのだ。チケット代は2階のイス席前列でも8200円する。その金を払ってでも彼らの雄姿は見る価値がある。八百長だの互助会が存在するいうのは薄々感じてる。それでも私達は相撲を観るのが大好きなんだ・・・・

しかし、圧倒的多数を占める世論なるものの声に屈した相撲協会は、八百長問題が明るみに出てからわずか数日で、本場所の無期限休止を決めた。
「膿を出し切るまでは本場所を開きません」

要するに裏で、メールに名前の挙がった十数人の力士が解雇を恐れてあいまいな回答を繰り返していて真相解明がにっちもさっちも進まず、けっきょく「誰が部費を盗んだのですか、正直に名乗り出るまで帰しませんよ」的な泥沼化に陥ったのであった。

従来ならこのあたりで経済への悪影響を考え、文部科学省に影響力を持つ大物政治家のフィクサーが、シナリオを書き落としどころを決めるのだが、何も決められない与党はそんな器量もなく、この問題は泥沼化するかに見えた。
「―協会は大物のスケープゴートを求めちょる。オレも以前にやっていましたと云わないかぎり前に進まんのではないか」

ベテラン大関の身延王が自宅マンションで長年の戦友、佐野川親方(元大関千代駿河)に打ち明ける。

「オッサンだめだよ、大将の記録まであともうちょっとじゃあないかよ」

「なあ龍ちゃん、オレはもうこの年齢で先はない。今ここで本場所が半年停まるなんてことになってみろよ。せっかく力をつけてきた若い伊勢の郷とか北春菊と、横綱との差は縮まらんぞ。オレ一人の首を差し出せばまだ相撲界に未来が開ける」

ペチ。

「オッサン!馬鹿なことを言うなよ」
激しやすい佐野川親方が声を荒げて言う

「オッサンはオレなんかよりずっと、お客さんの声援を集めてる。そりゃあオレもオッサンも百パーセント清潔ですかといわれたら違うさ。でもオッサンが悪者になったら、なったらよう・・・オッサンを信じているお客さんが倒れちゃうぜ」

「でもなあ・・・・このままじゃあいけんよ」

「オッサン・・・オレに考えがある」

その一週間後、相撲界に激震が走った。

「私、身延王紀之は、相撲協会を退職します」

電撃的に国技館で開かれた記者会見。横綱白鳥以上に人気のあるベテラン大関が突然の引退表明

「今回の件で、相撲というスポーツが生き残るには、これがベストの方法だと・・・決断しました」

「大関は既に年寄株を取得されていますが、今後はどのような第二の人生を・・・」

「それはじきに・・・分かります」

「大関も八百長に関与されていたのですか」

「それは、お答えできません。墓の中まで持っていきます」

  早々に身延王は退職会見を切り上げた。既に取得していた年寄株は協会に返却した。解雇でも除名でもないので、退職金は規定どおり支払われた。
さらにその一週間後、2月下旬のこと、

「相撲の新団体を旗揚げします」

元大関・身延王が記者会見。
「旗揚げ戦は3月13日、後楽園ホールで行います」
記者陣どよめき。

「今回の問題が起こり、自分は夜も眠れないほど考えました。今回誰かのクビを差し出して何かが変わるのだろうか。野球賭博のときもそうでしたが、結局それでは何も・・・変わらないのではないかと。じゃあ自分が何ができるか・・・・そう考えて、別の団体をつくって、自分たちなりに理想の相撲興行のあり方を追求して行ければと考えました。」

「身延王関の他に相撲協会から同調者は出るのですか」

「・・・今の時点ではお答えできません、ただ、きょう、皆様の前でご挨拶をさせていただきたい力士がいます。大関・北三河関です。

えええええ!
ざわめく記者席。そこへ現れたもう一人の元力士。学生相撲出身で技術は相撲界随一とよばれ、大関まで登り詰めながら、賭博事件で解雇された大関・北三河。

「彼が起こしたことは、けっして許されることではありません。しかし、この一年近く、彼も苦しみ、もう一度土俵に上がりたいという思いを自分も伝え聞きましたので、今回一緒にやっていこうということになりました」

身延王と北三河がガッチリ握手。瞬くフラッシュ。

「お久しぶりです。北三河です。一度は相撲界復帰を諦めたのですが、今回・・・・大関からお話をいただき、土俵復帰を決意しました。私も年齢的に先がありませんので、相撲界のために捨石になる覚悟です」

「おいおい、オレが辞めるまで辞めるな。オレの方がおじさんなんだから」
これで場がだいぶくだけた。

「えーとそれでは新団体の概要を発表いたします。株式会社という形を取りまして、社名は株式会社ニュー・スモウ・アソシエーション。NSAって呼んでください。代表取締役社長は自分、折尾紀行が務めさせて頂きます、現段階で決まっているのは旗揚げ戦の実施だけです。参戦選手については、後日決まり次第発表さえていただきます」

けっきょく身延王、北三河以外の参戦選手が発表されぬまま、3月13日の旗揚げ戦が発表され、それでも旗揚げ戦のチケットはキャパの小ささと身延王人気もあって、一時間足らずで完売した。

そして3月13日、旗揚げ戦の日を迎えた。

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コメント

この話相撲協会に陳情しちゃえば良いのだ〜runrunrunrunrunrunrun

無理か? てか八百長問題で取り上げられた千代白鵬は地元ナンですわ、まだ若いから頑張ってほしいと思っていたのですが、、ふむ。

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