第1,241回 美冬、戦列復帰。
56年目11月
「ダイヤモンドシリーズ」開幕。
「待たせた。」
2ヶ月休んでいた美冬が復帰。復帰戦は青森大会、AACの実力派、サンディ・サングレの攻めを受けきった上で、デスバレー、バックドロップの大技攻勢でサングレを仕留めた。
「いい試合だった。だがまだ体が慣れていない。」
最終戦ではタイトル戦があるので、それまでに身体をハードなプロレス用に作っておかないといけない。
「今日見た限りではまあ大丈夫でしょう。美冬選手は殴って勝つタイプなので」
解説の杉浦美月がコメント。
2戦目秋田ではジュリア渡辺を圧倒してパワーボムで下した王者美冬。3戦目の盛岡ではザ・USAの力押しに苦しんだものの、ブレンバスターの投げ合いを制した美冬、たまらず場外へ逃げたUSAへニーリフトの追い打ち。それでもUSAのバックドロップ、パイルドライバーを食らってしまうなど危ないシーンもあったが、DDTをタイミングよく決めて勝利。勝負タイム18分51秒。
「勝つには勝ったが・・・上の選手相手でどうなるかな」
4戦目の山形は小嶋聡美戦。ラクに勝てる相手ではない。
―小嶋さんは馬力がある。速く打撃を入れないと・・・
考えてレスリングをした美冬。ステップキックを的確に頭に入れて小嶋の動きを止める。
「せいやっ」
そして裏投げ、これはかろうじて返した小嶋だったがバックドロップ、パワーボムの大技攻勢に力尽きた。勝負タイム15分17秒。
第6戦宇都宮大会で美冬はジーニアス武藤とのシングル対決。
「武藤さんはやっかいな相手だ・・・」
何とかステップキックで相手を鼻から流血に追い込み、おびただしい出血で怯んだところを美冬がストレッチプラムに捕らえた。
「う・・・・うっ・・・」
吉見レフェリーが試合を止めた。勝負タイム19分14秒。
「後味の悪い勝ち方。武藤さんには悪いことをした。」
第7戦千葉大会。
「うううっ」
セミでエアリアル菊澤がジーニアス武藤のSTFにつかまってしまい無念のギブアップ負け。明日のタイトル挑戦に暗雲が漂った。
千葉大会メインは美冬VSレディ・コーディ。
「一番馬力のある相手。出たとこ勝負でいくしかない」
しかし、コーディのパワーに危惧していた通りつかまってしまい、バックドロップにやられてしまった。勝負タイム22分40秒。王者も翌日のタイトル戦に暗雲が・・・
「まあ、押し切られてしまいました。明日は相手の動きを止めてから仕掛けたいと思います」
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そして、最終戦 横スペ大会
営業努力の甲斐あって超満員札止めの盛況。
休憩あけの試合がジュリア渡辺VS今治みさえ。今シリーズ、ジュリア渡辺は上位戦線でファイトしたので連敗街道。
「はっ」
とくいの頭突きを入れていったジュリア渡辺だが、受け切った今治がグラウンドで反撃に転じて最後はボディスラムでフォール。20分49秒の熱戦を制した。
セミ前は小嶋聡美VSザ・USA。SPZ4強の一角小嶋が危なげないファイトを見せ、最後はしつこくしつこくしつこくコブラツイストでもって絞り上げてギブアップを奪った。勝負タイム11分16秒。
セミはジーニアス武藤VSレディ・コーディ。今シリーズのレディコーディは好調で、A菊澤には敗れたものの美冬には勝っている。この日も持ち前の馬力でジーニアス武藤を追い込み
「おおおおおお」
バックドロップでジーニアス武藤を下した。勝負タイム13分4秒。
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横スペ大会メインは7月以来久々の開催、SPZ選手権。
美冬VSエアリアル菊澤。
「どうにもならぬ相手ではない。では、行ってくる」
とにかく相手の動きを止めるまでが勝負・・・
強力な打撃を持つ美冬だが、エアリアル菊澤はやりにくい相手だった。すばやさを活かしたプロレスをしてくるので打撃がヒットしにくいのである。
―く・・・ちょこまかと・・
ここで熱くなっては相手の思う壺。美冬はともかくねちっこいファイトを心がけた。
―スタミナでは自分の方が上、練習量はこなしているはず
しかし菊澤も距離をとってのドロップキックでたじろがせる。
―落ち着け。
美冬、掌底がついにヒット、ガクッと崩れるA菊澤。そこを狙ってスリーパーに捕らえる。
「うううう・・・・」
―いけるぞ
動きの落ちた菊澤を捉えてDDT、ステップキック。
「せりゃああ」
弱った菊澤を高く抱えてパワーボムで落とした。
これで3カウントが入った。勝負タイム59分33秒。
「我慢比べだった。最後に立っていたのが私。それだけのこと。」
美冬が2度目の防衛に成功。
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