60年目8月
シリーズ第7戦仙台大会。
「勝てば、VIPに留まれる・・・」
Hibari、重量感あふれる攻めを見せる。ガイア尾白川もエルボーで反撃。試合は盛り上がった。
「諦めろっ」
ビッグブーツでなぎ倒してからのボディスラム、なんとか返した尾白川、
「くらえっ」
ダイビングプレス2連発、22分46秒、hibriを沈めて逆王手。
************************
そしてSPZクライマックスもいよいよ終盤戦に。
今治(8点、タイガーSH 18.43)セモポヌメ(8点)
勝てば首位ゴールが確定するセモポヌメ。しかしこの日の相手は技巧派の今治。
「オッシャー」
ラリアットやギロチンドロップで今治を追い込むも、今治もたくみのバックドロップを押しつぶすなど抵抗。しかし場外バックドロップという荒業を見せたセモポヌメが優位に立ち。裏拳、フロントスープレックスとたたみかけるが、
―Sクラで勝つとしたら、今年しかない
今治が逆転のタイガースープレックス。これで3カウント。
これで1敗もいなくなった。大混戦。
美冬(8点、ヘッドショットキックからの片エビ固め 6.20)パルファムボーグ(2点)
セモポヌメの失速により優勝の芽が出てきた美冬、持ち前の打撃でパルファムボーグを寄せ付けず。わずか6分あまりで片付けた。
「まだまだ私は動ける。上原には負けられぬ」
アンジェリカ(6点、ハイキックからの体固め 14.12)ブリーズ(4点)
B上原(8点、ティロフィナーレからの体固め 14.57)リュクス(4点)
粘るリュクスをなんとかティロフィナーレで仕留めたブレード上原。相手のSTOを3連発でもらってしまうなど危ないシーンはあったのだが、辛くも4勝目。
これでなんと最終戦横スペ大会開始前の時点で、8点でセモポヌメ、B上原、美冬、今治の4人が並ぶ展開。久しぶりに面白い形で最終戦に。
*************************
そして最終戦は横スペ大会。第4試合は入れ替え戦7番勝負最終戦。ここまで両者の3勝3敗。ガイア尾白川VShibari。勝った方が下半期、VIPで闘うことができる。
この試合も熱い攻防が展開されたが、ビッグブーツ、ラリアットとたたみかけたhibariが勝利。VIPを守った。
休憩後、最後の公式戦4試合。
セモポヌメ(10点、バックドロップからの片エビ固め 13.49)アンジェリカ(6点)
セモポヌメが最終戦を白星で飾り、優勝決定戦進出を決めた。
今治(10点、ドラゴンスリーパー 20.47)リュクス(4点)
今治みさえも決定戦進出を決めた。粘るリュクスローズをドラゴンスリーパーで退けた。
ブリーズ(6点、シャイニングウィザードからの体固め 10.39)パルファムボーグ(2点)
横スペのセミが外人対決というのも久しぶり。ブリーズがシャイニングウィザードで3勝目を挙げ有終の美。
B上原(9点、時間切れ引き分け)美冬(9点)
最終戦メインイベント、勝った方が生き残れるというシビアな試合。地力ではブレード上原だと思われるが美冬には修羅場をかいくぐってきた経験がある。
「せやっ」
この試合は脇固めを多用し、手堅いファイトを心がけた美冬、上原もドロップキックや巻き投げで反撃するが、打撃を警戒するあまりどこか迫力にかけるファイト。そのまま時間だけが過ぎてゆき、両雄に焦りが見えてきた。なにしろ引き分けたらその時点で両者脱落なのだ。
「おおおつ」
美冬、デスバレー、ヘッドショットキックで勝負をかけるがB上原返す。その後は両者攻め手を欠き時間切れ引き分けとなった。
「この引き分けは負けに等しい」(美冬)
「勝てなかった・・・・」(B上原)
***************************
かくて、メイン終了後に10点の二人が優勝決定戦。
今治みさえVSユーリ・セモポヌメ。
―SPZの威信にかけて初来日選手にトロフィーを渡すわけには行かない
今治、2試合目で疲れてはいるが積極的に腕関節を取ってゆくいつものファイト、しかし、
がしっ
セモポヌメのニーアタック。ふっとぶ今治。そこへバックドロップ。ラリアットの猛攻、
「うう」
起き上がったところへ裏拳、2で返す今治
「ウオオオ」
ここを勝負どころと見たか、セモポヌメ、バックドロップ。この後のフォールを今治、返せなかった。勝負タイム15分22秒。
セモポヌメ!セモポヌメ!セモポヌメ!セモポヌメ!
乗りのいい横浜のファン、自然発生的にセモポヌメコールが出た。初来日でSPZクライマックスのトロフィーを抱いたのは史上初の快挙だ。外国人選手の優勝は9年ぶり3人目。過去にはスーパーカオス、アバチャしかなしえていない偉業だ。
「ハハッ トウゼンノケッカニキマッテルダロ」
セモポヌメがコーナーポストに上がって勝ち誇る。
初来日のダークホースがSクラ記念大会の優勝をかっさらってしまった・・・・
****************************
決定戦の結果を控室モニタで見た美冬。表彰式には出ず、荷物の入ったボストンバッグを付け人のハルカから受け取り、横浜スペシャルホールの地下駐車場で待たせてあったタクシーに向かった。
「ここでいい、ちょっと用事があるから先に帰る。今治にはそう言っといて」
「お、お疲れ様でした」
「・・・・ハルカ、経験は宝だ・・・しっかりな。」
そう言いのこして、美冬は車に乗り込んだ。
最近のコメント