2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 第1,345.5回 間奏曲 | トップページ | 第1,346回 ティッシュ箱くじ引き »

2012年7月20日 (金)

第1345.7回 間奏曲2

パパとママは、仕事大好き人間。

ママはホテルで調理チーフとかでめちゃめちゃ忙しい。

パパはシステム会社の課長とかでめちゃめちゃ忙しい。

だから自分は聞き分けのいい子を演じる。

朝7時には家を出て、帰りは夜遅く。

土日も仕事が入って家を空けることが多い。

西明里(にしあかり)11歳、東京都渋谷区笹塚在住。

ママがたまの休みの日も、ママは仕事で疲れていて、顔色が良くないのでソファーでゴロゴロしている。そんなときママは言ってくれる。

「ひかるおばちゃんのとこ、行く?」

といってママは1万円札をくれた。

もう何回か行っているので、行き方はわかっている。都会っ子だから。

京王線で新宿に出て、新宿で「ウルトラあずさ」に乗って、本を一冊読んでいればそのうちに松本に着く。

松本でバスに乗り換えて、ちょっといなかにはいったところに、おばあちゃんの実家がある。

「あらー、よく来てくれたねー」

おばあちゃんはもう70代だけど、まだ元気で身の回りのことはできる。

「ちょっと病院行ってくるから、お留守番お願いね」

「はい」

おばあちゃんの家は広い。

笹塚のマンションの3倍はある。開かずの間がいくつもあって、探検みたいで面白い。

一番北側の部屋には、段ボールがいっぱい重なっていた。

おばあちゃんからも「危ないからそこで遊んじゃダメですよ」といわれてたけど、ウンで追う神経はある方だから。

段ボールの中は「監査記録」とか「決算短信」とか書いてあるわからない書類ばかりで、重いのが多い。

ひとつくらい財宝とか金塊とか札束とか入ってないかなーって思ってさがしていたら、ひとつだけ大きい割に軽い段ボールがあった。

「わっ・・・・と」

開けてみたら、靴がいっぱい入っていた。

「なに、この靴・・・・」

底がやけに薄いブーツのような靴が6足入っていた。

気になったのは、やけにかっこいい色使い。6足とも銀色の靴で、ピンクや赤、ブルーでぶち取りがされている。

そのときおばあちゃんが戻ってきた。

「おばあちゃん、この靴、なに?」

「・・・・!!」

おばあちゃんは一瞬厳しい表情になってたけど

「昔、おじいちゃんから貰ったのよ、お仕事で使ってただけ・・・・」

******************

私もそれ以上は聞かないでおいた。

おばあちゃんも昔、プロレスをやっていたんだ。

帰りの「ウルトラあずさ」の中、ちょっとコウフンしている自分がいた。

« 第1,345.5回 間奏曲 | トップページ | 第1,346回 ティッシュ箱くじ引き »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。