第1,348回 誰が誰に勝ってもおかしくない試合
63年目3月
「ファイヤーソウルシリーズ」開幕。
興行用ポスターは珍しく6人の選手が掲載された。
神塩ナナシー、ブレード上原、中森あずみ、ハルカ、セイウン草薙、相羽和希がコスチューム姿で厳しい表情を見せている。
「上半期VIPシリーズ開幕!最強の女は誰だ!」というキャッチコピーが。
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上半期VIPレースが始まった。新たにVIP6人の枠に入ったのがセイウン草薙と相羽和希。
「いたっ・・・」
初戦青森大会、セミでいきなり団体エースのブレード上原とあたった相羽和希。
「力はあるけど、まだ顔じゃない」(B上原)
相手に適度に攻めさせてから、裏拳一発で相羽をひるませておいて、素早く組みついてのバックドロップ。これで目の前が真っ黒になった相羽、
「…これで終わり、ティロ・フィナーレ!」
ふっとぶ相羽、押さえ込むB上原。
しかし相羽和希、フォールをぎりぎりでを返して、懸命に組みついて裏投げ!
上原、懸命に起き上がるが、相羽組みついてもう一度、
「ええいっ!」
裏投げ。すかさず押さえ込む相羽、そのままカウント3が入った。
ええええええええええええええええええ!!
どよめく青森武道館。
「そんな・・・・ティロフィナーレを返すとは・・・・。私が甘かった。レイコさんを倒してVIPに上がってくるということは格段に腕を上げてるということなんだな・・・」
青森大会メインはセイウン草薙VSハルカ。
「ああ・・・・草薙さんの相手は怖いな」
ようするに頭から落とされるのが嫌なのである。ということで序盤からアルティマシュート、膝蹴りで攻め込む作戦をとった。しかしセイウン草薙も空気投げで反撃。
「手加減はしません」
戦いが長引くと受け身がとりにくくなる。そう考えたハルカはシャイニングウィザードで勝負をかけるが、返したセイウンもバックドロップ、パワーボムの猛攻。
―次はアレが来る、その前にっ・・・
2度目のシャイニング、しかし草薙は返してうまく組みついて押し倒し、そのまま足を取ってサソリ固めにとらえた。
「うぐぐぐ」
こらえきれずハルカはギブアップ。勝負タイム15分0秒。
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驚くことに第2戦の岩手大会でのVIP同士の同一カードはすべて昨日の青森と逆の結果に終わった。すなわち中森がSTFで神塩に勝ち、B上原が延髄斬りで相羽に競り勝ち、メインではハルカがS草薙を蹴り倒した。
「今回のレースは読めないですね、6人の実力がそんなに離れていません」
解説の杉浦が指摘する。
第3戦山形大会、SPZ王者セイウン草薙が故郷凱旋。相羽和希と対戦。
「相羽さんのこわさはよくわかっています。新人の頃よく潰されましたから」
こんどはVIP同士で相対。セイウン草薙、パワーボムを2連発。意外とこの人馬力もある。相羽返せず試合終了。
しかし今シリーズの上位戦線は「誰が誰に勝ってもおかしくない試合」が続いた。SPZ王者のセイウン草薙、同じ新VIPの相羽には3連勝したものの、テクニシャンの中森あずみ相手には2連敗。不安定な状況のまま最終戦のさいたまドーム大会を迎えた。
「これが理想のプロレス興行だと思う。強いファイターが6人いてしのぎを削りあう。マンネリだけどつねに筋書きの読めない展開。やっと形になってきたね。」(黒田社長)
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