第1,377回 どこまでも個人闘争
64年目6月
「バトルアトランティス」開幕。負傷欠場者もなくフルメンバーでの興行となった。初戦沖縄大会、期待の新人北条咲は村上千春と対戦。
「あ、こんなのとやんなくちゃならねえんだ」(村上千春)
北条咲、まだまだかなうはずもなく、6分1秒、延髄斬りをもらって敗北。
「力はともかく動きがないからね。守勢に回るともろい。まあ仕方ない面もあるけど」(千春)
第5戦、大津大会メインでSPZタイトル戦、王者セイウン草薙に挑むのは前王者のハルカ。しかし逆片エビで延々と絞る作戦が効いたのか、ハルカの動きが止まってしまう。
追い詰められてアルティマシュートを放つも受けきったセイウン。得意のノーザンライト。これは何とか返したハルカだが、空気投げで叩きつけられたところを
「はっ」
レッグドロップ一撃。セイウン草薙が20分20秒、さして苦戦した印象も見せず、2度目の防衛に成功した。
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第7戦長野大会、2位につけていたブレード上原がセミファイナルで神塩にアキレス腱固めで敗れたため、10ゲーム差をつけていたセイウン草薙の上半期VIPレース優勝が決まった。
セイウン草薙、1000万円獲得が決まってほっとしたのか、メインでREIKOのジェットスマッシュをまともに食らって星を落としてしまった。
「ファンの皆様のおかげで賞金をいただけました。きょうは一撃貰っちゃいましたけど・・・切り替えて明日の埼玉がんばります」(S草薙)
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そして最終戦はさいたまドーム大会。
第1試合は神田幸子VSアプリコットつばさ。この新人2人が入ってから入社2年目の2人の目の色が変わった。
―もっと死ぬ気で頑張らないとあっさり抜かれる。
「せいっ」
しかしこの日は神田のエルボーがまともに入り、アプリコットつばさは3カウントを聞いてしまった。勝負タイム8分24秒。
続く第2試合はフェアリー三井寺VS北条咲。いきなりのスリーパー攻めで優位に立った三井寺、北条の表情がゆがむ。
―いける。向こうの力は強くても、それをかいくぐって対処できる。
しかし一瞬の隙をつかれ、組みとめられてタイガードライバーで落とされてしまう。懸命に返した三井寺だったが、立て続けにブレーンバスターを食らって万事休す。勝負タイム9分57秒。
「2人の新人も凄いんですが、2年目の2人の態度が変わりましたね。練習とかセコンド業務とか。プロレスに対して真剣に向き合ってきましたよ。今後の巻き返しが期待できます」(解説の杉浦美月)
そして第3試合は相羽和希VSペガサス藤原。
VIP復帰のためには、相羽ここは勝っておきたいところだが、入社3年目のペガサス藤原も相当力をつけており、中盤まで全く互角の攻防を展開。しかし最後は相羽が幅の広さを見せ、ダイビングプレス、バックドロップで決まったかに見えたが、ペガサス藤原も返してタイガーSHを狙ったが、
「甘い返せる」
この動きを読んでいた相羽、冷静に前方回転エビに切り返して勝利。勝負タイム20分10秒。
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休憩前は村上千春VSフォルトゥナ紫月。打撃なら千春、グラウンドならフォルトゥナ、対照的なスタイルの両者の対戦、徐々にではあるが確実にフォルトゥナが押してきて、最後はドラゴンスリーパーで千春からギブアップを奪った。勝負タイム22分13秒。
休憩後は早くも消化試合となったVIPの直接対決。まずはハルカVS中森あずみ。中森、3位以内に入ればSPZクライマックスに出られるので真剣な表情で攻める」。しかしハルカも
「アルティマシュート」
えっげつない蹴りで中森を這わせる。ならばと中森は逆エビ固めでじわじわと。お互い譲らぬ好勝負だったが、例によってニーリフトで突破口を開いたハルカが攻めきるかにみえたが、中森も逆転のストレッチプラム。懸命にこらえたハルカだったが23分29秒ついにギブアップ。中森あずみここまで15勝16敗1分け。ハルカは14勝18敗。(うち不戦敗8)
セミはブレード上原VS神塩ナナシー。押していたのは神塩のほうにも思えたが、ブレード上原も要所で反撃。そのまま相譲らず30分時間切れとなった。
神塩ナナシー、8勝22敗2分け(不戦敗8)で最下位。来月頑張らないと自動降格もある。
さいたま大会メインはセイウン草薙VS REIKO。
すでにVIPレース優勝を決めているS草薙。きょうは格下のREIKOと対戦。一発のある相手なので要注意だ。
二線級と思われがちなREIKOだが、キックの「科学的測定値」ではハルカ以上の威力をたたき出している。そのためか今期もセイウンから2勝を挙げており、番狂わせメーカーとなりつつある。
しかし相手の打撃をかなり警戒して戦ったセイウン。ジェットスマッシュを食らった時もインパクトの瞬間飛びのいて威力を半減させる。しかしREIKOも掌底、バックドロップの追い込み、セイウンもこれでは切り札を出さざるを得なくなった。
「せえええい」
出た久々の草薙流兜落とし、REIKOは頭からマットへ。当然返せるはずもなく20分22秒、決着。
セイウン草薙27勝5敗、REIKOは9勝23敗の5位。
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