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2012年10月 7日 (日)

とんだいっぱい食わせ者 4

そこへクレアのかかと落としが決まった。
「ギッ」

小川前のめりにダウン。前のめりに崩れることでダメージの大きさを表現している。

クレアひっくり返してカバー。
「ワン、トゥ、スリ」

井上霧子が3カウントを叩いた。

「10分47秒、踵落としからの体固めでクレア・テンプレトンの勝ち」

勝利をアピールしてから意気揚々と引き揚げたクレア。小川はもらった打撃のダメージが深いのか、その間ずっとマットにあおむけに横たわっていた。

本部席から社長がリングに入り、セコンドの新人と一緒に小川の様子を確認する。これも「相手にしばかれて大ダメージを負った小川ひかる」を強調するギミック。

とんだいっぱい食わせ物外人を第3試合で起用したが、終わってみると小川ひかるお得意のやられムーブで終わったのは小川がうまくまとめたというほかない。序盤は上手く打撃を警戒しながら立ち回っていたけどパンチ一発で形勢悪化して場外で痛めつけられて踵落としでトドメ・・・というパターン。「外人パワーに屈したベビーフェース」を演じきった。

(小川さんもやられるのがうまくなったな・・・・)

痛々しそうな表情を浮かべながらマットに横たわる小川ひかるを見て社長はつぶやいた。こういう役割をきっちりやってくれる選手はなかなかいない。

ややあって、小川ひかる起き上がり、深々と一礼してリングを降りて、新人レスラーの肩を借りながら痛々しく花道を引き揚げた。沸き起こる拍手。

控室のドアを開けて、ペットボトルの水を飲む小川。

「お疲れ様」

セミの試合に出る南利美が出迎える。

「見てたけど、それなりに面白い試合だったわ。やられっぷりもそんなにわざとらしくなかったし」

「・・・ありがとう」

小川ひかる、そんなに息が乱れてない。きょうは力ずくでたたきつけられたり、頭から落ちる危険なシーンもなかったので、彼女にとっては比較的負担の少ない試合だった。

メイン終了後、

「小川さんいい試合だったよ。とりあえずあの外人さんのカード残り6つ全部小川さんとのシングルで行くから、うまくやっといて」

「・・・はい、わかりました」

2試合見て、あまりにも使えないファイトだったので、第3試合あたりで小川相手にリードしてもらって試合を成立させるほかない・・・と社長は判断した。

地方巡業はあの流れで何とかなる。ただ最終戦は横浜総合体育館での興行で、目の肥えたファンが多いからそうはいかない。

―ちょっと、考えないと・・・・

小川ひかるは巡業バスに乗り込んだ。

それから東北巡業の5試合、小川ひかるはクレア・テンプレトンあいてにやられ続ける役割をこなした。第3戦山形では上段蹴りが入って動きが止まりやられてしまって、第4戦秋田では掌底顎突きがクリーンヒットしてぶざまに昏倒したところを押さえ込まれ、第5戦青森では豪快な飛び蹴りを食らってやられてしまって、第6戦盛岡ではグラウンドで押していたのだがボディパンチで形勢逆転され、最後は二段蹴りを食らって敗北、第7戦仙台ではタイミングよく入ったハイキックに沈むという負けブックをこなした。

「試合前練習のスパーリングでお互いの動きを確認してからやってますので、100パーセント使えない選手ということでもないと思います。とりあえず5分過ぎにいい打撃もらって動き止まって・・・というパターンでやってますから。」

「ここのところクレア・テンプレトンとのシングルマッチが続く小川ひかるだが、パワー不足の弱点を突かれ、強烈な打撃で動きを止められてフォール負け・・・・という試合結果が続いている、小川の非力ぶりは今に始まったことではないが、万全の状態で得意の関節技を仕掛けられないと小川は苦しい。小川ひかる21歳、試練の日々は続く。」

京スポ新聞には「小川と空手レスラーが抗争中」という記事を書いてもらい、表面上は抗争しているということにしてもらっている。

そしてシリーズ最終戦は横浜大会。

(続きます)

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