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2012年11月 5日 (月)

第1414.5回 66年目に入る前の間奏曲

「だからぁ、加藤さんわー、受け身を取っている人の気持ちなんかわからないよ」

 「・・・・それ言っちゃ終わりだけど、お金稼ぐということはみんな苦しんでるんだよ。はっきり言って給料なんてのは苦痛への対価だからねぇ」

横浜戸塚の食堂「すずなみ」で、泥酔したハルカが加藤貴明氏と大議論を繰り広げていた。

「頭から落とされるたびに、目の前が真っ黒になって、苦しくて、痛くて、死んじゃうんじゃないかって思ってるんですよー、あーうー」

 「・・・・・」

「もういやだこんな人生、生きているのがつらい、しにたい」

 「あのねえ大月さん、それは言いすぎだよ。世の中、生きたくても生きられない人がいっぱいいるんだから」

「なーにー、上から目線だー、イラッとする・・・・」

 「大月さん、酔ってるねえ。まあ頑張んなよ、応援してるから、今度観に行くよ」

「やーだーもーうー」

 「店長お会計!」

しかし足元がおぼつかないハルカ、「すずなみ」を出て数歩歩いて派手にすっころんだ。

「いたっ・・・こんなところで受け身取っちゃった・・・」

「あーもーこのひとは・・・・リミットの7掛けで止めるのが大人の飲み方だよもう」

そして加藤貴明はタクシーを呼び、大月遥を乗せ自らも乗り込んだ。

 「で、大月さん、自宅どこなの」

「うーいー、キャンベラ・・・・」

 「真面目に答えなさい。じゃないとラブホ行くよ」

「うーいー、西戸塚三丁目のー、ディストラクションー」

 タクシーは西戸塚ディストラクションの前に着いた。

「で、部屋は?」

「309号室・・・・・」

ガチャコ

泥酔しているハルカを支えながら部屋の前まで。

「上がっていきたいのはやまやまだけど、まだ、そんな仲じゃないと思ってるから、ここで、じゃあな。仕事がんばれよ」

「うにゃー」

ハルカ、玄関先ダイブ。そのまま倒れこんでしまった。

その2時間後、

急な気持ち悪さで目が覚めたハルカ。

・・・口の中が酸っぱい・・・何この気持ち・・・・

トイレへ駆け込む余裕がなかったので、キッチンのシンクに縋り付き。

壮絶にリバースした。

(わたし、私・・・なにやってるんだろう・・・もう)

*************************

その翌日、横浜ベイサイドホテルのバンケットホールで、

「SPZ旗揚げ65周年記念パーティー」が行われた。

取引先、マスコミ各社を招待しての大宴会。テーブルの上にはフォアグラのソテー、エスカルゴ、ローストビーフなどの美味珍味が並べられ、選手スタッフは一心不乱に飲食した。

しかしハルカは壇上あいさつで顔を出しただけで、すぐにタクシーに乗って引き揚げた。

(ああもう、私、何てことを・・・・)

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