第1414.5回 66年目に入る前の間奏曲
「だからぁ、加藤さんわー、受け身を取っている人の気持ちなんかわからないよ」
「・・・・それ言っちゃ終わりだけど、お金稼ぐということはみんな苦しんでるんだよ。はっきり言って給料なんてのは苦痛への対価だからねぇ」
横浜戸塚の食堂「すずなみ」で、泥酔したハルカが加藤貴明氏と大議論を繰り広げていた。
「頭から落とされるたびに、目の前が真っ黒になって、苦しくて、痛くて、死んじゃうんじゃないかって思ってるんですよー、あーうー」
「・・・・・」
「もういやだこんな人生、生きているのがつらい、しにたい」
「あのねえ大月さん、それは言いすぎだよ。世の中、生きたくても生きられない人がいっぱいいるんだから」
「なーにー、上から目線だー、イラッとする・・・・」
「大月さん、酔ってるねえ。まあ頑張んなよ、応援してるから、今度観に行くよ」
「やーだーもーうー」
「店長お会計!」
しかし足元がおぼつかないハルカ、「すずなみ」を出て数歩歩いて派手にすっころんだ。
「いたっ・・・こんなところで受け身取っちゃった・・・」
「あーもーこのひとは・・・・リミットの7掛けで止めるのが大人の飲み方だよもう」
そして加藤貴明はタクシーを呼び、大月遥を乗せ自らも乗り込んだ。
「で、大月さん、自宅どこなの」
「うーいー、キャンベラ・・・・」
「真面目に答えなさい。じゃないとラブホ行くよ」
「うーいー、西戸塚三丁目のー、ディストラクションー」
タクシーは西戸塚ディストラクションの前に着いた。
「で、部屋は?」
「309号室・・・・・」
ガチャコ
泥酔しているハルカを支えながら部屋の前まで。
「上がっていきたいのはやまやまだけど、まだ、そんな仲じゃないと思ってるから、ここで、じゃあな。仕事がんばれよ」
「うにゃー」
ハルカ、玄関先ダイブ。そのまま倒れこんでしまった。
その2時間後、
急な気持ち悪さで目が覚めたハルカ。
・・・口の中が酸っぱい・・・何この気持ち・・・・
トイレへ駆け込む余裕がなかったので、キッチンのシンクに縋り付き。
壮絶にリバースした。
(わたし、私・・・なにやってるんだろう・・・もう)
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その翌日、横浜ベイサイドホテルのバンケットホールで、
「SPZ旗揚げ65周年記念パーティー」が行われた。
取引先、マスコミ各社を招待しての大宴会。テーブルの上にはフォアグラのソテー、エスカルゴ、ローストビーフなどの美味珍味が並べられ、選手スタッフは一心不乱に飲食した。
しかしハルカは壇上あいさつで顔を出しただけで、すぐにタクシーに乗って引き揚げた。
(ああもう、私、何てことを・・・・)
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