第1,438.9回 もう何も怖くない(上2)
レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記
輝くエッセンシャル 外伝
時に西暦2075年、
横浜のお嬢様プロレス団体は5月シリーズを間近に控え。各選手は調整に余念がなかった。横浜戸塚の道場、リングを占拠しているのが小川あかり、NOTORI、玄海恵理の若手選手。VIPメンバーの主力選手は全体練習が終わった後は各自思い思いに調整を行っている。
「クサナギさん。・・・・次のシリーズの2連戦なんだけど」
セイウン草薙とフォルトゥナ紫月がストレッチの合間に小声で話す。この2人は次期シリーズの頭にシングル2連戦が組まれている。初戦の新潟ではSPZタイトルマッチ。(チャンピオンはS草薙、チャレンジャーはフォルトゥナ)その翌日の奈良ではノンタイトル戦。
「ベルトはそのままで、いって、こい・・・で、どう?」
「いいわ、それで」
要するにお互い本気でやりあったら次の試合ができなくなるので、1勝1敗のイーブンで手を打とうということである。
そのあとフォルトゥナ紫月、ハルカに声をかけた。
「大月さん」
「はい・・・・」
「来シリーズの3つのことなんだけど・・・・」
「それは、流れで、いいと思う・・・・」
ハルカは細かい試合展開や結果についての事前の打ち合わせについては基本的に応じない。「お客様はバカじゃない、必ずバレる」というのがハルカの考え方であった。
(いつのまにか、先輩は相羽さん、中森さん、そして神塩さんだけ・・・・になった。)
神塩さんはああいう天然が入った性格なので、苦しんでるところをあまり見たことがないけど、相羽さん中森さんはもう全身ボロボロなのがはっきりわかる。そしてわたしも五十歩百歩・・・・
女子プロレスラーの選手生命は短い。華奢な体で投げられたり頭から落ちたり殴られ蹴られるのでどうしても身体が傷つく。10年もてば御の字。痛みに耐えて現役後期を頑張った先輩は何十人もいたが、薬の飲みすぎで胃をやられたり、ドクターストップがかかったりと、いずれも泣く泣くリングを離れている。だから会社も気を使って高いギャラを支払っている。
「ハルカは営業や宣伝とかには向いてないから、ミュージアムの資料整理係かな、会社に残るんだったら」(ブレード上原)
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その日の深夜、すずなみ食堂にて。
「あの時は・・・・本当にごめんなさい」
「もうその話はよそう。俺も悪かったから、お互い水に流そう」
「はい、でも・・・・お腹、大丈夫ですか?」
SPZ60期のハルカは交際相手のサラリーマン、加藤貴明氏と並んでとんかつライスセットを食べていた。
「いちおう取引先のつてで東京IT病院に行った。この業界、倒れるSEが多いからねえ」
「・・・・・」
「お医者さんに、まさか彼女にボコられましたとは言えないからさあ、落下したサーバーの下敷きになったと嘘をいったけど、結果は特に異常はなかったって。まあ日ごろの行いがいいんだろう、ハハハハハ」
「うん・・・・・」
「大丈夫大丈夫、うちの会社とか取引先とかもっとひどい目にあって病院行くひといるからお医者さんもいちいち個別のケースを気にしてないよ。デスマ続きでいきなり同僚を殴っちゃう社員とか。運用対応中に吐血した人とかねえ、いっぱいいるんだ」
「うん・・・」
「あさってから巡業だろ!頑張れよ。」
「え、あ、はい・・・・」
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