第1,452回 こんばんわ。杉浦美月です。
67年目9月
シリーズ最終戦・さいたまドーム大会。
「セモポヌメ!セモポヌメ!」
「YEAAAAAAAAA」
第4試合で快勝した常連外人のセモポヌメ、コーナー2段目に上がってウァハハハハと勝どき。相羽和希、ここの所めっきり勝負弱くなった・・・・その試合が終わると休憩。
休憩後、SPZの黒田社長がリングへ。そしてマイクを握った。
場内どよめき。
「いつも応援ありがとうございます。また、このたびはハルカ選手の一件でご心配をおかけいたしまして、誠に申し訳ございません。事故調査委員会のご指摘を受け、わたくしなりにいろいろ考えました結果、小職が16年前から推進してまいりましたスポーツライク路線は、現在の興行スケジュールに照らして無理があることは否めず、いまSPZは方向性を大きく転換しなければならないと痛感いたしましたので、小職は9月末日をもって株式会社スーパースターズプロレスリングゼットの社長を退き、現業の第一線から距離を置くことを決意いたしました。
それでは、新社長を紹介したいと思います」
ええええええええええええええええ?
この重大発表はファンには知らされておらず場内どよめき。
ヘッドセットを外して本部席から立ち上がってからリングに上がったのは、それまでテレビ解説をつとめていた、スーツ姿の杉浦美月。(SPZ46期)
引退後はSPZ広報部に在籍しながらもテレビ解説に専念していたが、次期社長に白羽の矢が立った。
マイクで一言。
「こんばんわ。杉浦美月です」
ええええええええええええええええええええ!!
「10月1日付で、株式会社スーパースターズ・プロレスリング・ゼットの社長を拝命しました。こういう時期にお受けすべきかどうか迷いましたが、ファンのみなさま、選手社員一同とともに、新しいプロレス興行のあり方を希求していこうと思います」
黒田社長が再びマイクを取り
「新しい社長の元、新しいSPZプロレスを提供できるよう。選手社員一丸となって取り組んでまいりますので、今後も応援のほどよろしくお願いいたします」
どう変わるのかは、このとき、知る由もなかった。
そしてセミ前の試合、杉浦美月は本部席に戻って解説。
「杉浦さん・・・・」
「さっきの話はまた今度、リング上の中森選手のレスリングに期待しましょう」
セミ前は中森あずみVS神塩ナナシー。ベテラン同士、ねちっこい試合となった。スカす神塩、組みついて寝かそうとする中森、双方のタクティクスがぶつかり合ったいい試合は、中森がドラゴンスリーパーを決めたところで30分の時間切れのゴングが鳴った。
「ちょっと神塩さんが消極的でしたね。相手の絞め技を警戒しているのはわかりますけど」
セミファイナルはフォルトゥナ紫月VSペガサス藤原。執拗なコブラツイストを仕掛けたフォルトゥナが優位に立ち、最後はデスクロノグラフで17分6秒、ギブアップ勝ちを収めた。
メインイベントはSPZタイトル戦、王者セイウン草薙に挑む挑戦者は北条咲。
先月の初戦京都のノンタイトルで勝利した実績が評価された。
「北条さんは瞬発力が凄いですから、草薙さんから取ってもおかしくないですよ」
解説の杉浦美月が指摘。
緊張感の中、メインイベントのゴング。
「はっ」
いきなり草薙流兜落としで先制するセイウン草薙、そしてしつこくスリーパー責め。馬力のある選手はまず突進力を止めないといけない。そう考えて、さらに空気投げで追い打ち、しかし北条もラリアットで応戦。
「ぐううう」
セイウン草薙苦しげな表情、北条休まずタイガードライバー、2連発で決めた。
ワン、トゥ、ドドドド
セイウン草薙、懸命に反して組みついてバックドロップ、しかし続くフランケンシュタイナー狙いはパワーボムに切り返された。なんという北条のパワー。
しかしセイウン草薙、2度目のトライでフランケンを決めると2度目のバックドロップ、これで頭を打てしまった北条、ついに動きが止まった。
「上原さん!!技借ります」
セイウン草薙のティロフィナーレ炸裂。まともに食らった北条咲、続くフォールを返せず。勝負タイム21分42秒。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
9度目の防衛に成功した王者セイウン草薙、ダメージが深いのか慎重に起き上がり勝ち名乗りを受けた。これで通算防衛回数も20に乗せ、過去の大横綱選手と肩を並べた。
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