2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 第1,536回 メインイベンターの矜持 | トップページ | 草薙みこと、富士山に登る-02 »

2013年7月12日 (金)

草薙みこと、富士山に登る-01

レッスルエンジェルスサバイバー
書き下ろしSSのようなもの
富士山世界文化遺産登録記念SS
「草薙みこと富士登山DVD発売計画」

時に、西暦2013年6月、
横浜のお嬢様プロレス団体の社長は事務所で頭を抱えていた。

「今月も収支トントンだ・・・ああ資金繰りが・・・・」

プロレス団体の経営は綱渡り状態だ。選手のギャラと会場費やもろもろの経費を支払ったらいくらも利益が残らない。まだこの団体は女子プロレス興行なので、いざとなれば所属選手を一肌脱がせて水着にして写真集を出したり、映画に出演させて小金を稼がせるということができるが、エース級の選手にそれをやらせると練習のさまたげとなるデメリットがある。

この団体の社長は現金収入のありがたみをよくわかっており、チケット売り上げのほか、試合開始前休憩中に選手をグッズ売り場に立たせてグッズ売上収入を引き上げたり、小川ひかるや保科優希という実力微妙の選手に写真集発売させたりと、創立五年目の段階で綱渡りながら資金繰りを回していた。

「社長、選手寮のエアコンが壊れました。修理代20万円です」
「巡業で使っている備品のサンドバッグが壊れました。もう酷使で寿命なので新しいのを買った方が・・・」

秘書の井上霧子がつぎつぎと請求書を回してくる。会社の内部統制上、責任者がすべての請求書をチェックするのは企業経営のイロハである。

(どこかの男子団体で請求書だけが回ってくることにブチ切れた社長が現場介入しようとして団体分裂しちゃったことがあったなあ・・・気持ちはわかるよ)

請求書に承認印を押したのち、社長は缶コーヒーを飲みながら日経新聞を読み始めた。プロレス興行団体の社長は社会情勢に通じていなければならず、この団体の社長は30分かけて新聞3紙を精読するのを日課にしていた。

「富士山世界遺産登録・・・もう、そうか、登山者激増、弾丸登山が問題・・・・・・ん?そうだ!」

社長、ビジネスチャンスを思いついた。

「うちの人気選手に富士山登らせてその一部始終を収録したDVD作るんだよ。そしたら儲かるんじゃない?やっぱりビジネスは時流に乗っからないといけんからね」

井上霧子秘書が口あんぐり。

「1枚3000円として1万枚会場で売れば原価50パーとして1500万売りが立つぞ、うふ・・・うふひはっ」

「着想は非常にいいと思われますが・・・そんなしんどいことを誰にやらせるのですか」
「決まってるよ。草薙さんと小川さん。」
「・・・・・」
(はい出たよ。選手の偏向えこひいき。)

「あの2人に声かけといて、7月シリーズ前に収録するから」

んで、カメラスタッフと社長、あと草薙小川の2人は7月頭の火曜日に、スタッフの運転するクルマで富士山へ向かった。

「すごく…疲れました。それに・・・・・」(草薙みこと)

収録された内容は下記のような感じであった。

************************

DVDのタイトルは「草薙みこと富士山頂超特訓」とつけられていた。

「富士登山成功のこつは、前の晩から昼間にかけて、よく寝ておくことです」
小川ひかるがナレーションを入れる

午後10時、横浜の道場にワンボックスカーが横付けされて、草薙みこと、小川ひかる、そして銭ゲバ社長が乗り込んだ。運転するのは井上霧子。選手2人は昼過ぎまで寝だめしておき、かつ当日の練習を免除されたので体力充分。

「少し…不安です」

今やこの団体の看板選手となった草薙みことが後部座席でぽつりと。
八王子インターから深夜の中央道をワンボックスカーは爆走。

「富士山は4つの登山ルートがありますが、一番ポピュラーで初心者でも登りやすい吉田ルートを今回は登ります。まだ7月頭でマイカー規制はしかれていないので五合目までクルマで行けます」

小川ひかるがディパックの中身を確認しながらナレーションを入れる。

八王子から河口湖インターまではすっ飛ばして一時間程度。日付が変わるころスバルラインに入る。
「そろそろ高度計のスイッチ入れてください」

社長が2人に指示。カシオの高度計つき腕時計が2人には支給されている。これがあると自分がどこまで高度を上げたかがわかるので精神的に楽なのだ。

「いま標高900メートル。頂上が3776メートルですけど。2300メートルの五合目から登るので1400ちょっと高度を上げることになりますね」

小川ひかるがカメラに向かって説明口調。

井上霧子の熟練のドライビングテクニックはさすが。ヘアピンカーブが連続するスバルラインの道をうまくコーナリング。

「富士登山の場合、登らずに運転役だけの人を一人つけられるとベストです」
また小川がナレーション。

ワンボックスカーはグイグイ高度を上げて五合目のロータリーに着いた。井上霧子は団体スタッフとここで待機。

「いま、午前一時です。五合目に着いたらすぐに登らずに、気圧慣れするためにも準備運動をしてから・・・・」

といっていつもは試合前にやっている足のストレッチとか準備運動を始める2人。それを撮影する社長。

「そろそろ出発します」
AM1:30、暗闇に包まれた五合目をスタート。

« 第1,536回 メインイベンターの矜持 | トップページ | 草薙みこと、富士山に登る-02 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。