第1,619回 くそみそテクニック
最終戦はさいたまドーム大会。
第1試合はテディキャット堀VS野村あおば。テディキャット堀の東都デビュー戦だったが、まだプロとしてのスピードに欠け野村に一方的に攻め込まれチョップ連打でなぎ倒されてそのまま3カウントを許した。勝負タイム5分28秒。
続く第2試合は新人のカンナ神威VS山科瞳。入社3年目の山科が優位に試合を進め、最後は鋭いエルボーを入れてカンナ神威から3カウント奪取。勝負タイム7分48秒。
外人同士のタッグマッチの後、休憩。
休憩後第4試合は欲野深子、サキタンのアポカリプスコンビが入場。対戦相手は小早川志保、ユン・メイファの日韓越境タッグ。しかしあばしり王者になって自信をつけたのか、小早川が積極的な攻め。最後は12分49秒、ダイビングプレスで欲野深子から3カウント。
セミ前第5試合はタッグマッチ。晴れて世界タッグ王者になった菊次莉乃、長原ちづるがアポカリプスのダークヴィーナス、NOTORIと対戦。一進一退の攻防が展開されたが、飛び技を積極的に繰り出した菊次が優位に立ち、最後はムーンサルトプレスをかっこよく決めてNOTORIから3カウント奪取。勝負タイム22分59秒の熱戦を制した。
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そしてセミ、小川あかりが弱り切った表情で入場。対戦相手は先月と同じく実の母親フローラ小川53歳。しかしリングインしたフローラ小川、淡々とした表情でロングガウンを脱ぐ。表情や風貌、体のつくりは若々しく、そんな雰囲気はみじんもない。
「欲野先生にお願いしてips細胞を大量注入してもらって若返りに成功したわ」
あははハハハハハ!!
場内爆笑
「あかり、あなたは格闘技に向いてないのよ。大ごとになる前に、母さんがあなたを再起不能にしてあげるわ」
「わ、私だってパワーはともかく、テクニックならSPZで一番なんだから」
「なにがテクニックよ。あんたみたいのはね、『くそみそテクニック』っていうのよ。」
「・・・・くっ」
「さあ、おしゃべりはおしまいにしましょう。40%の力で相手してあげる。40%。」
もう言葉もない。
「フォォォォォォ・・・・アアアアアアッー」
あられもない声で気合を込めるフローラ小川、現役時代に使った筋肉細胞を再起動させている。
「問題は、この筋肉の動きに腱や靭帯がついて行かないことだけど、30分くらいなら何とかなるらしいの。さあ、覚悟なさい」
異様な雰囲気の中ゴングが鳴った。裁くレフェリーはセブン山本。
小川あかり、覚悟を決めたのかアームホイップで転ばせて執拗なスリーパー責め。そして実の母親にギロチンドロップ。しかしフローラ小川もエルボーで応戦。単純な攻防でも盛り上がった。
「もう逃げられないわよ」
フローラ小川、数十年ぶりのストレッチプラム!しかし小川あかり懸命にこらえてロープへ。なお追撃せんと組みつくフローラ小川だったが、逆に体勢を入れ替えて押し倒した小川あかり、うまく片足を取って
逆片エビ固め!!
「あおおおーっ!」
腰に致命的爆弾を抱えるフローラ小川、苦しみだし、
「・・・・がふあっ」
口から怪しい緑色の液体を吐いてしまった。どよめく場内。なんとかロープに逃れたフローラ小川だがもう戦意はなくなっていた。どうやら内部で深刻なエラーが発生したようだ。
「い、いまだ」
すかさずネックブリーカーを決めた小川あかりがフローラ小川から3カウントを奪取。
勝負タイム8分36秒。
「ギギギ」
マットに倒れ伏し、口から緑色の液体を垂れ流しながら苦しむフローラ小川。勝ったものの呆然とする小川あかり。
「おっかしいなあ」
欲野深三医師がノートPC片手にリングに上がり、フローラ小川の状態をチェック。
「でもこれで実戦データが取れた。再調整が必要やね。」
謎のナース軍団が現れフローラ小川の身体を銀色のシートで包み、ストレッチャーに乗せて引き揚げた。場内爆笑。
小川あかり、呆然とした表情で引き揚げた。
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埼玉大会メインは特別試合、玄海恵理VSクリス・モーガン。
SPZとIWWFの頂上決戦。玄海の圧倒的パワーの前にモーガンも伝家の宝刀ポセイドンボンバーで応戦。これでダメージを負った玄海へパイルドライバー2連発。劣勢となった玄海だが、ノーザンで体勢を立て直すと
「気持ちよく眠らせてやるぜ」
玄海ラストライド。19分26秒、これでモーガンを沈めた。
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