第1,639回 コーヒーコークの力
73年目2月
スノーエンジェルシリーズ 最終戦
横浜スペシャルホール大会。
休憩後第5試合はここ最近のビッグマッチの定番カード、フローラ小川VS小川あかり。壮絶な家庭内暴力、親子間バイオレンスを制したのは小川あかり。やはりまだフローラ小川、全盛期の感覚を取り戻してはいないようだ。銀色のシートにくるまれストレッチャーに乗せられて花道を運ばれるフローラ小川54歳、場内大爆笑。
小川あかり、勝つには勝ったものの、どこへ向かおうとしているかわからない母親の姿を見て呆然。
セミ前第6試合はレミー・ダダーンVS長原ちづる。
長原が外人の力押しをしのいでジャーマンに持ち込めるかがポイントの試合だったが、やはりダダーンの力押しが凄く、長原はズルズルと押し込まれてしまう。パワーボムはウラカンラナで切り返したものの、続けてフェイスクラッシャーで派手に叩きつけられて3カウントを許した。勝負タイム13分0秒。
セミは最強外人、クリス・モーガンVS新外国人、ガラパシ・ガルパン。
「か、かいせつの杉浦さん、ガラパシ・ガルパン選手、初来日でビッグマッチのセミに登場ですが・・・どんな選手なんですか」
「弊社の山本がロシア出張で発掘しました。まあ弊社の人材発掘能力は世界一ということで」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
伝統的にロシアはスポーツとしてのレスリングが盛ん。なんでもガルパンはロシア南部コーカサス山脈のふもとでレスリングをしながら警備員で生計を立てていたという経歴を持つ選手。地元のレスリング大会で優勝したのを見たセブン山本がSPZ参戦のオファーを出したようだ。
ガラパシ・ガルパン、IWWFの看板選手・モーガンの力押しを懸命にこらえたが、徐々に追い込まれていき、ポセイドンボンバーに力尽きた。勝負タイム11分20秒。
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そして、メインはSPZ戦、王者菊次莉乃に対するは、玄海恵理。
入場テーマこそ今まで同様の「いざゆけ若鷹軍団」だったが、玄海、コスチュームを黒系統のものに変えて悪役らしくサングラスをかけて入場。
そしてリングに上がるや、青コーナー下に置かれた小型のクーラーボックスを開け、中の小瓶に入ったコーヒーコークを飲むパフォーマンス。場内爆笑。
「かいせつの杉浦さん・・・玄海選手、コーヒーコークを飲んでますね」
「ええ、これはおそろしいですよ」
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コーヒーコーク
いうまでもなく、ブラック・コーヒーと、コーラを一定割合で混合したものがコーヒーコークと呼ばれている。
日本では コーヒーはミルクと砂糖を入れて飲む甘い飲み物というイメージが先行し コーヒーコークという飲み方は定着しなかったが、コーヒーの産地で かつアメリカ文化圏の影響を受けている中南米諸国では わりとポピュラーな飲み物のようである
コーラの爽快感と、コーヒーに含まれるカフェインの影響で、集中力や体のキレが高まる魔法の飲み物として愛好するものも少なからず存在する。
日本プロ野球の最強外人として2000本安打を達成した A・ラミレスもベネズエラ出身ということもあって コーヒーコークを愛飲しており、ベテランの域になっても活躍できたのもコーヒーコークの効果だという説がささやかれており、ラミレスの影響を受けた若手野球選手の中にはコーヒーコークを飲んで夏バテ回避を図る者も少なくない
ちなみに 一部スポーツ紙で 巨人軍好調の要因とコーヒーコークの効用が結び付けられて報道されてからは 身体を酷使する長時間労働会社員、受験生、クリエイター連中がこぞってコーヒーコークを自らブレンドして作成し、セルフメディケーションを図るものが後を絶たなかったようだが 日本人の口には合わないらしく 定期的に飲用している者は ごくまれである
高幡書房 世界喫茶店裏メニュー大全 より
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「プハー、燃えてきたぜえええ 菊次がなんぼのもんじゃい ぶっ潰してやるぜ」
コーヒーコークの効果で攻撃力をアップさせた玄海恵理、両腕を幾度か交差させて菊次を威嚇するパフォーマンス。
「もう、玄海さんの時代じゃあない。ガンガン行くよ」
しかしコーヒーコークの効果か、玄海の攻めが鋭く重い。菊次がズルズルと攻め込まれてしまう。
「ウオオオー」
最後はラストライド。まともに食らった菊次はフォールを返せなかった。
菊次、王座転落。勝負タイム20分13秒。
「ドゥハハハハ、まだまだ暴れてやんぜオラアアアアア」
コーナーに上がって勝鬨を上げる玄海さんであった。
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