第1,670回 小早川志保 引退試合
75年目6月
「・・・・これが現実ですよ」
シリーズ後半、テディキャット堀、山科瞳、野村あおばの後輩3人にシングル3連敗を喫した小早川志保、リングシューズの紐をほどきながら一言。
そして最終戦、さいたまドーム大会。
「小早川志保引退試合」
の大看板が掲げられた。
第1試合に野村あおばが登場し、新人の金森麗子と対戦。
やはり野村が軽くひねって試合を進め、教育マッチの様相となった。金森もエルボーで向かっていったが、野村もエルボーでやり返してなぎ倒し、3カウント奪取。勝負タイム6分5秒。野村が先輩の貫録を見せた。
続く第2試合は山科瞳VSユン・メイファ。やはりユン・メイファの蹴り技がさえ、最後は組みついての膝蹴りで悶絶させてのフォール勝ちをおさめた。勝負タイム9分28秒。
休憩前第3試合は越後しのぶ、テディキャット堀VSレッドロシアン、エレナ・ライアンのタッグ戦。
―あいつがチャンピオンなのに!!休憩前でくすぶってられない・・・
越後の蹴りが冴え、コンビネーションキックでレッドロシアンを昏倒させてフォール勝ち。勝負タイム10分28秒。
その試合が終わると休憩。
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そして、休憩明け、
「次の試合に登場する小早川志保選手はこの試合が最後のファイトとなります。ファンの皆様より一層のご声援をお願いいたします」
いつものアナウンスが流れ
館内に「ジューダス」のギターサウンドが流れる。SPZTシャツを羽織った小早川志保が神妙な表情でリングへ向かう。
いつものようにトップロープを軽快に飛び越えてリングイン。
そのあと「セントポール組曲第4楽章」が流れて、SPZの3代目・小川あかりがリングへ。
こちらも複雑な表情。1期下とはいえ、「後輩の」引退試合の相手を務める仕儀となった。
まず握手、そしてゴング。しばしにらみ合いの後、組み合う。
小早川がチョップを連打。しかし小川も距離を取ってのドロップキックで手数を返す。ならばと小早川もドロップキックのお返し。
「どりゃ」
気合を込めてドロップキック、起き上がったところをボディスラムで叩きつける。
―やはり立ち技じゃあ、分が悪い
5分経過のあたりで小川がそれまで大会場ということで控えていたグラウンド攻勢に転じた。腕関節を取ってねじ伏せてゆく彼女らしいファイトへ。
「が・・・・」
痛めている肩を攻められ小早川の力がガクッと抜ける。
小川あかり、相手が弱ったところをレッグドロップ連発、そして逆片エビ。小早川の動きが止まった。しかし小早川、小川をボディスラムで転がすや、コーナー最上段に登って、
一瞬だけ客席をチラ見。
そして、飛んだ。
「うあーーーッ」
瞬くフラッシュの中ダイビングプレス!!、しかし小川は2で返す。
ドドドドドド
両者ダウン。小川がわずかに先に起き上った。
「はっ」
小川、素早くダッシュしてネックブリーカー。ドンピシャのタイミングで決まり、小早川志保は続くフォールを返せなかった。勝負タイム15分55秒のいい試合。
敗れた小早川、四方にお辞儀をしてから引き揚げた。ちょっと涙ぐんでいた。
「思ったことの半分も出来てない・・・悔しいなあホント」
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