第1,788回 最後の指示
79年目2月 シリーズ最終戦、横スペ大会
そしてセミファイナル。
マキーナ姫、エナ・ガロニンティスVS小下小石、結城千種。
「・・・・・・」
この試合を最後にSPZマット卒業が決まっているマキーナ姫とエナさん。マキーナ姫がもう今日からネグシハベシ国の財政を担当する大蔵大臣として着任しなければならないので、きょうこの試合のすぐ後に専用リムジンで羽田へ向かい、飛行機に乗らなければならないスケジュール。
「4年半、日本で支えてもらった方へ感謝の気持ちを込めてやります」
エナさん、神妙な表情でタッグ王者チーム相手にファイト。少々劣勢だったものの、こまかいタッチワークで相手方に決定的チャンスをつくらせない。そのまま両チーム決め手を欠き、30分ドローとなった。
そしてそのあとマキーナ姫の日本撤退セレモニー。
「4年半、長い間いろいろお世話になりました」
マキーナ姫が手短にあいさつした後、
花道奥に横付けされたリムジンへ向かい一歩一歩歩みを進めるマキーナ姫とエナさん。
リムジンバスの扉があいた。若手選手が私物と日本土産品を入れたスーツケースを積み込む。見送るのはセブン山本統括部長。
淡々とリムジンバスへ向かい歩みを進めるマキーナ姫。一方エナさんは今にも泣きそうな表情。
いよいよ花道奥、横付けされたリムジンに乗り込もうとするとき、
マキーナ姫が一言。
「エナ。今まで私の世話をしてくれてありがとう」
「姫さま?」
「あなたは、ここに残りなさい。これが私からの、最後の指示」
「姫さま・・・なんで、どうして・・・」
「理由はそのうちわかる。あなたも薄々気づいていると思うけど・・・・でも、もう私ひとりでやっていける。そう、私は判断したのよ。だから。あなたはここに残って、生きなさい。」
「姫さまっ」
「それじゃあ、いつか、また」
とかいってマキーナ姫はリムジンに乗り込むやドアが閉まり
ブゥゥ
リムジンは発進し、そのまま横スペホールを出た。50分後には羽田空港から専用機で機上の人になっていることだろう。
「姫さま・・・なんで・・・どうして・・・・」
がっくりと膝をつくエナ・ガロニンティス。
「と、とりあえずメイン始まるから・・・」
セブン山本がエナの手を取り、控室へ連れてゆく。
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そしてメインイベント。王者カンナ神威に対するはスーパー越後しのぶ。双方の打撃が交錯する壮絶な一戦となった
「潰れろ!!」
越後ブラックキック。しかしカンナ神威もギリギリで返して裏投げ、両者ダウン。ドワアアアアア
このギリギリの状況下、先に起き上ったカンナ神威、奥の手のタイガースープレックス!!!29分16秒、これで3「カウントが入った。王者が2度目の防衛に成功。
「危なかった。どちらに転んでもおかしくない勝負だった」(K神威)
カンナ神威をあと一歩まで追い込んだ越後だったが・・・
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そのあと、長原ちづるの引退セレモニー。
「みんな、今まで応援ありがとー!」
涙をこらえながら、ファンに最後の挨拶を行った長原。
先輩の小川あかり、同期の菊次莉乃から花束の贈呈で長原ちづるのダム決壊。
「うぇぇぇぇ・・・」
菊次にすがりつきながら号泣する長原。
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長原ちづる
SPZ70期
2078年4月16日、京都市立体育館大会での対野村あおば戦でデビュー。2088年2月21日、横浜スペシャルホール大会での対 斉藤智子戦で引退。稼働月数 119ケ月、出場試合数(概算)808試合
タイトル歴
第216代SPZ世界王者
第219代SPZ世界王者
第224代SPZ世界王者
第144代・149代・第152代SPZ世界タッグ王者
(パートナーは菊次莉乃)
第100代あばしりタッグ王者(パートナーは小川あかり)
第75回SPZクライマックス優勝
第56回・57回・58回 ウルトラタッグリーグ優勝
(パートナーは菊次莉乃)
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