第1,797.7回 王宮のゲバゲバ(2)
これにより王国の財政は安定し、消費税率も最悪期は140パーセントだったのが50パーセントにまで下げることができた。
「医療も自己責任です。医療保険から国家財政は手を引きます。」
「働けなくなった高齢者への年金も、政府からの持ち出しが無いように支給額を切り下げなさい。」
「官僚や議員の給与も、一般労働者並みに支給額を切り下げなさい」
矢次ばやに改革を断行したマキーナ姫。その財政政策は衝撃的ですらあったが、「真面目に働いたものが報われる」という一面もあったので、支持する層もあったが、公共事業や福祉に頼って生きていた層はことごとく生活基盤が破たんし、収容所に入らされ、不自由な生活を余儀なくされてしまった。
中には収容所に入るくらいなら、他人の財産を盗んでしまえと考える者も出て、王国の治安は急速に悪化していった・・・
「困りましたね」
政府内にも公然と大蔵大臣を批判する勢力が現れた。なんでも官僚は比較的恵まれていてそれなりに資産形成できていたから盗みに入られるものが続出したらしい。
「最近の政府はなにも私たちに与えてくれない」
「今の政府はことあるごとに財政規律とか言って民にぜんぜん還元してくれない。そんな政府ならいらない!政府解散!!」
「そうだ!クーデターで現政府を転覆してしまえ!!」
かくて、収容所に入れられた貧民層、バラマキの恩恵にあずかっていた職人たちはクーデターを起こさんとありあわせの武器で武装蜂起して、暴徒と化し、たちまちのうちに首都タンバーの王宮になだれ込んだ。
「そんな・・・民が・・・王宮に弓を引くなんて・・・・」
「政府解散!政府解散!王宮など不要!全員殺害してしまえ!!」
武装蜂起の暴徒どもは王宮を次から次へ破壊していった。マキーナ姫はひとりで地下室に隠れていたが。
「事ここに至っては・・・覚悟を決める必要がありますわね」
マキーナ姫の顔面は蒼白
「民に最後の説得を試みて、それでもだめなら甘んじて殺されましょう・・・私の政策は受け容れられなかったようです」
PPPPPP
その時マキーナ姫の携帯が鳴った。
「エナ!?」
電話の相手は、かつてのタッグパートナーにしてお付きの侍女、エナ・ガロニンティス。姫さまの危機を察知して電話をかけてきた。
「姫さま、ここはお逃げください」
「・・・エナ・・・・もう遅いのよ。民は私たちを見放した・・・こうなっては私はもう・・・覚悟を決めるしかないのよ。」
弱気になったマキーナ姫、従容と死を受け入れようとしていたが、
「マキーナ・オケッチ・ネグシハベシ!あなた、それでも王宮の人間ですかっ!!」
エナさんがいきなり大声で叱咤。
「一部の民が暴徒と化そうが、王宮に弓を引こうが、あなたはネグシハベシ国王宮第一皇女として生き延びる義務があります!!闘ってこの場を脱出してください!!」
「エナ・・・・」
「ヘリを一機手配しました。30分後に思い出の森の古井戸で!」
「思い出の森・・・・」
エナ、脱出用ヘリのピックアップ場所としてかつての秘密の遊び場を提案した。
「わかったわ・・・なんとかしてみる」
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