第1,883回 コンビ解体へ(上)
84年目9月
「ウルトラソウルシリーズ」開幕。鳥海理奈、上沼垂鉄子が腰痛のため欠場。
起訴猶予で釈放された結城千種が実戦復帰。しかしトラブルを憂慮したSPZセブン山本統括部長が「休憩前6人タッグでの起用」のマッチメイクを徹底した。市ヶ谷とは絡ませず、移動バスや巡業宿泊先のホテル、そして会場入り時刻、練習時間、控室も東西で分ける徹底ぶり。
「あ、同じお手洗いで鉢合わせすることの無いように控室の場所は離してね。で、結城さんは第3試合終わったら宿舎に帰していいから」
こまかい指示を出すセブン山本統括部長だった。
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青森大会メインはSPZ世界タッグ戦。王者市ヶ谷レイカ、遠藤亜美に対するは過去最強クラスの外人コンビ、ハイパー・モーガン&クリスティン・ロパトカ。これはどうあっても王者組の腰からタッグベルトを引っぺがすマッチメイクだ。IWWFとEWAのトップどころ2人を組ませるとは・・・・
遠藤亜美、試合前のブリーフィングで「勝った場合のシナリオ」「負けた場合のシナリオ」を頭に入れていた。最近のSPZはストーリーラインに絡む試合の場合は、シナリオに沿ったマイクパフォーマンスを要求されることがある。そして今回のシナリオは・・・
(トップに行くために、市ヶ谷さんと別れなければならないのか・・・・)
それでも、遠藤亜美、世界最強の女モーガンと真っ向勝負。
「力では負けるけど、眠らせちゃえば関係ないもんね」
そういって得意の蹴りを乱発。
(あの子も強くなりましたわね・・・)
コーナーで見守る市ヶ谷も目を見張る威力、しかし遠藤亜美が出ずっぱり状態で捕まってしまい、外人組の合体パワーボムを食らって危ないシーン。
「うぐ・・・」
「亜美!引きどころ誤らないで!!」
これ以上捕まると危ないと判断した市ヶ谷様、タッチを要求し、今度は市ヶ谷様が猛攻。
(疲れた・・・・)
遠藤亜美、コーナー下でうずくまって息を整える
ドワアアアアアアア
「えええ?」
「ぐ、があああ」
遠藤亜美が見たものは、ロパトカのアキレス腱固めに苦しむ市ヶ谷レイカだった。珍しく苦悶の叫びをあげている。
「い、市ヶ谷さん!」
あわててカットに入ろうとリングへ上がろうとした亜美だったが、よく見ていたモーガンがロープ越しのラリアットで亜美を場外鉄柵まで弾き飛ばす
「ギウッ」
「ひぃああああッ!!」
懸命にこらえた市ヶ谷だが、これ以上我慢すると巡業に差し支えると判断したのか、ついにタップ。
48分25秒、王座移動。外人組がタッグベルトを奪取!!
場内ええええええ?あの無敵を誇った市ヶ谷様がやられてしまうとは・・・
(えっと・・・この場合どうするんだっけ・・・・)
ふらつく頭でリングに戻った遠藤亜美。
自軍が負けた場合で市ヶ谷様が負けた場合のシナリオを頭に入れていなかった。
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