第1,894回 大番狂わせ
85年目2月シリーズ最終戦 横スペ大会
第4試合後、SPZの杉浦社長がリングに上がり、マイク。
「こんばんは、杉浦美月です。いつもご来場ありがとうございます。どうしても結城千種を説得することができませんでしたので・・・最高のカードを提供できなかった責任を取って、私はSPZの社長を辞めます。」
場内どよめき。
「後任はこの後役員会を開いて決めます。まあ来月のさいたまか4月のドームには報告できるんではないかと。」
さすがに結城千種、複雑な表情を見せていた。
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セミ前のシングルマッチは鳥海理奈VSキラー・キエフ。キエフのラフファイトに苦しんだ鳥海だったが、受けきってから反撃に転じ、アバランシュホールド、STOとたたみかけてカウント3奪取。勝負タイム13分39秒。
セミはタッグマッチ。遠藤亜美・真美VSミラクル・カオス、サブリマティー組。WWCAのトップレスラー、ミラクルカオスの動きがよく。亜美真美の2人をちぎっては投げる怪力ぶり。
「くっこの」
あせった亜美がハイキックを狙ったがよく見ていたミラクルカオス、かわして軸足を水面蹴りで払ってぶざまに転ばさせてからがっちりと丸め込んだ。これで3カウント。勝負タイム18分58秒。
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そしてメインイベントSPZ戦、王者市ヶ谷レイカに挑むのはクリスティン・ロパトカ。序盤は静かな立ち上がりのあと、市ヶ谷がボディスラム乱打でエンジンをかけ始めたと思ったら、ロパトカが変形STF!
「ギャアア」
これが極まってしまい、市ヶ谷レイカまさかのギブアップ。勝負タイム14分52秒。
「ウォォォ・・・獲った・・・」
クリスティン・ロパトカ、SPZベルト初戴冠。常連外人となって何度かチャンスがあったが今回ついに市ヶ谷を下して伝統のベルトを巻いた。
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シリーズオフのSPZ戸塚本社、いつもなら大きな動きもないのだが、連日役員会議が行われていた。
そんななか、結城千種が本社に呼ばれた、
役員会議室で
「失礼します」
「おう、どうもご苦労さん、調子はどうかね」
「・・・普通です」
「ロパトカさんにわたったSPZベルトだがね・・・営業的にどうしても取り戻さにゃあならんから、来月シリーズ最終戦のさいたま、メインで君が行け」
「・・・・・っ」
「いやなのかね」
「仮に、勝ったら・・・・その次、あのひとと・・・やらなきゃあならないんですよね」
冷たい視線を交わす結城千種と次期社長。
「・・・・嘘ついてもしょうがない、そうだ」
「・・・それでしたら、やりたくありません」
「・・・・・そうか・・・・」
沈黙が流れる。
「で、オレが納得するとでも思ったか?来月タイトル戦飲まないというのならこの辞令切るよ」
次期社長が封筒から出したのは
「辞令 結城千種 殿 2093年4月1日付でSPZ総務部勤務を命じます」
と書かれた紙だった。
それは「レスラーライセンスの剥奪を意味する。
「ふたつにひとつだ。結城千種・・・さん。来月所定のカードをこなすか、この辞令を受けるか」
そのまま2分ほどにらみ合い
「・・・・わかりました、やればいいのでしょう」
その5分後SPZ本社の女子トイレ、結城千種は空のブースに思い切り蹴りを入れた。
バキョッ
レスラーの一撃、当然ブースの壁に大きな穴が開いた。
「マジむかつく・・・・しねばいいのに、ヤマモト」
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