第1,896回 千羽ヅルと1,941円
85年目4月
ようやく、アドミラル・ヤジマのファンクラブが設立。市ヶ谷様のタッグパートナーとしてタッグマッチで奮戦する姿が多くのファンの胸を打ったらしい。
殺人SEレスラー・デスマ・ソリューションのファンクラブが結成された。弱いのにITを駆使した攻撃で先月はマキーナ姫を沈め、多くのIT業界関係者に勇気を与えたらしい。
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新人スカウトで雛鶴さやか獲得。青森県出身で上背があり柔道の経験があったので採用に動いた。
新人テストで川端明子を獲得。小柄な体格ながらアマレスの経験があり、前座のやられ役に適任だと判断した。
「旗揚げ84周年記念エッセンシャルシリーズ」開幕。
シリーズ第4戦名古屋大会の前日、結城千種は地元ということで、ショッピングセンターでのサイン会に出席していた。
慣れた手つきで色紙にサインペンを走らせる結城千種、そこへ数人の女子中学生が、
「最終戦、新日本ドームの市ヶ谷戦、頑張ってください。・・・これ、みんなで折りました」
制服姿の女子中学生のひとりが千羽ヅルを差し出した。
結城千種、ちょっと涙腺が緩んだ。
「・・・・ありがとう、この千羽ヅルを見れば、どんなときでも負けないような気がするわ」
サイン会も終わろうとする頃、列の最後尾近くにいた小学生の男の子が、かえるの貯金箱を差し出した。
「ゆうきちぐささん!いちがやのこうまんちきなんて、ちょちょいのちょいでやっつけてよ!これでぷろていんでも買って・・・・おこづかいをちょっとずつためたんだよ」
「え・・・・あ、ありがとう・・・これを見れば苦しいときでもきっと、力が湧いてくると思うわ」
支援者やスポンサーさんから、数万円の小遣いや栄養費のたぐいは何度かもらったことのある結城千種、とはいえ子供から貰ったのは初めてだ。
かえるの貯金箱の中には小銭ばかりで1,941円が入っていた。
(そうだ・・・・私は・・・・ひとりじゃない。応援してくれるみんながいる・・・・・そのためにも・・・・がんばらなきゃ)
結城千種、サイン会終了後、クルマの中で涙した。
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「思うツボにはまったわい」
サイン会に立ち会った社員からの報告を聞いたセブン山本社長。
むろんこれはセブン山本社長の差し金、結城千種にやる気を上げてもらうため、付き合いのある子ども劇団に一芝居打ってもらった。
シリーズ第4戦名古屋しゃちほこドーム大会は久々開催のあばしりタッグ戦。王者マキーナ姫、ユキ萩原に挑むのは沈没艦隊のデスマ・ソリューション、上沼垂鉄子組。
(なんとしても勝って、ベルトのリース料をネグシハベシ国の再興資金に・・・・)
元SPZ王者のマキーナ姫、なんとか沈没艦隊2人の猛攻を耐える。しかしサンドイッチラリアットを食って苦悶の表情。代わって出てきたユキ萩原も動きがいま一つ。それでも最後は乱戦の中、マキーナ姫が上沼垂を捕まえてDDTを決め、57分55秒、勝利。3度目の防衛に成功。
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