第1,897回 スッポンの血とマムシの粉
85年目4月シリーズ
5戦目大阪パワフルドーム大会のメインはSPZ世界タッグ戦。王者市ヶ谷レイカ、アドミラル・ヤジマに対するは遠藤亜美真美。
「あの人相手だと・・・・なるようにしかならないよね」
遠藤亜美、とりあえず打撃で切り崩す作戦に出たものの、圧倒的な力の差、何度も何度も、何度も何度も、何度も何度もマットにねじ伏せられる。そして弱ったところをヤジマが裏拳。そしてラリアット。最後は乱戦の中、遠藤亜美がつかまってしまいゴッデスボムの餌食に。しかし真美が懸命にカット。
「無駄だというのに」
ならばと市ヶ谷、パワースラムを決めてあっさりと勝利。勝負タイム28分5秒、遠藤姉妹が玉砕した・・・・
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第7戦仙台大会終了後
「結城さん」
デスマソリューションの中の人、米野香月が結城に声をかけた。
「あした、タイトル戦でしょ、必ず勝てる秘策を教えてあげる」
「えっ・・・・」
その夜10時、結城千種、デスマ、上沼垂の3人は仙台市内のすっぽん料理店にいた。
「ビッグデータから分析したわ。市ヶ谷さんにみんなやられるのは、ヒットポイントが足りないから。市ヶ谷さんの苛烈な攻めの前にヒットポイントがゼロになってしまう、だから負ける・・・そのためには最大ヒットポイントを上げればいいと思う」
「どうやって・・・?」
「はい、しぼりたてー」
店の親父が小さいグラスに入った赤い液体を。
「スッポンの血、これで最大ヒットポイントは2日間、50%上がるわ」
「えっ・・・でも」
「市ヶ谷さんに勝ちたくないの?」
「・・・わかったわ」
結城千種、勇を鼓してグラスの中身を嚥下した
「・・・・っ」
くちびるの端から流れる赤い一滴。
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そのあと1万円(税・サ込)のすっぽん鍋コースを食べた3人、
「ちょっと寄り道するわ」
そして上沼垂が案内したのは裏通りのドラッグストア
「マムシの粉、ください」
「1,980円になります」
渡されたのは香水の箱くらいの小箱。
宿舎に帰って中を開けると小瓶が
「水またはお湯に溶かして飲んでください」と箱に注意書きが
結城千種、おそるおそる瓶のふたを開ける
煮干しともちがう独特の臭い。
添付のスプーンで1さじ、中身をグラスにあけた、そしてポットのお湯を注ぐ。
「これ、飲むの?」
「市ヶ谷さんに勝ちたくないのですか?、かつて無敵を誇った柔道家の牛島辰熊は試合前に必ずマムシの粉を飲んでいたそうよ。これでヒットポイントが2日間、もう50%上がるわ」
「わかったわ、えい!」
ごくっ
結城千種、グラスの中身を口に運んだ
しかし
ウェーーーッ
独特の臭いに耐えきれず吐き出してしまった。
絨毯にシミができる。
(なんで、こうまでして・・・・っ)
スーツケースの中には巡業中にもらった千羽ヅルとかえるの貯金箱が、
結城千種、涙目でそれに目をやる。
「結城さん、お湯じゃなくて、アイスコーヒーで流し込めばいいんじゃない?」
仙涯零がアドバイス
「・・・そうね、その手があったわ」
結城千種、あらためてマムシの粉をスプーンでひとさじすくって紙コップにぱらっと入れ、その紙コップを勢いよく口に運び中身を吸い込んだ、
そのまま間髪入れずアイスコーヒーのボトルに手を伸ばし
ごくごくごっくん!
口にある変なものを喉奥にむけて流し込んだ。
そしてわずかに残ったものも
くちゅくちゅくちゅ!
アイスコーヒーで洗い流す。
はー、はー、はー・・・・
(これで、勝てる、勝てる、いける、やれるんだぁ・・・・)
結城千種、血走った眼で荒い息をつく。
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「思うツボにはまったワイ」
これもセブン山本の差し金。沈没艦隊の3人に10万円ずつ握らせ一芝居打ってもらった。
スッポンの血とマムシの粉で結城千種の戦意を上げようとしたのだ。
そして、新日本ドーム決戦へ。
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